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『一番大切なこと』

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  • 1:

    ?りんご?

    久しぶりに行った地元のバーで私は偶然にも久しぶりに颯太(そうた)と再会した。颯太は隣中学の同級生。私達は今24歳。10年前に出会った私達の苦しい切ないすれ違いがまた始まろうとしていた。
    「久しぶりやなぁ。全然変わってないやん」
    私に気付いた颯太はすぐに話し掛けてきた。颯太と話すのは6年ぶりだった。成人式の日、久しぶりに見かけたけど話すことのないままで。

    2005-08-27 04:00:00
  • 18:

    ?りんご?

    同じ学校じゃなくて良かった。もし一緒だったら気まずいもん。そう思ってると半分泣きそうになった。
    「みきー帰んのか?」
    聞き慣れた声が後ろから聞こえた。自転車に乗った颯太が後ろからきたのだ。
    「なに泣きそうな顔してんねん。泣きたいのは和也やろ(笑)まだ帰らんでもいいやろ?ちょっとりんご公園行こや」
    そう言われ、近くにあったりんご公園に行った。颯太と私はブランコに乗ると少しの間沈黙が続いた。颯太もいつもと少し違う。やっぱり怒ってんのかな?和也フッたこと…。颯太の友達やし…。

    2005-08-27 06:05:00
  • 19:

    ?りんご?

    私はさっき和也に言われた言葉も頭から離れへんかった。
    颯太のこと好きなんやろ?って。隣にいる颯太のことまともに見れなかった。
    「気にすんなよ和也のことは。まぁみんなで遊ぶのは気まずいかもしれんけど美樹が普通にしてたらアイツも普通になれると思うしな。てゆーか何でフッたん?俺ずっと和也のこと好きなんかと思ってた」
    ???え???

    2005-08-27 06:11:00
  • 20:

    ?りんご?

    「え?マジで。和也は仲いいけどそんな風に見たことなかった。ってゆーか颯太何で来たん?みんなまだ遊んでるやろ?」
    よく考えてみるとコイツ何しにきたん?って思った。
    「何で来たんはないやろー。美樹泣きそうな顔してたから笑わしたろと思ってきたのに」
    私はそれを聞いて笑ってしまった。
    「お、笑ったやんけ。良かった良かった。ほらな、俺の楽しさが分かったやろ」

    2005-08-27 06:17:00
  • 21:

    ?りんご?

    わけの分からん慰め方も、颯太なりの優しさなんやろうなぁって思った。そういえば颯太はいつもみんなで遊んだ帰りも一番最後まで送ってくれるし。颯太が今こうして隣にいるのも全然違和感がない。
    笑えるしホッとする安心できる存在。好きかどうかなんて分からんけど、颯太といたら楽しい。
    そうして意識するようになってからは、いつの間にか颯太を好きになっていた自分に気付くようになった。

    2005-08-27 06:22:00
  • 22:

    ?りんご?

    和也に告白された日から、私達と和也颯太達は前ほどは遊ばなくなり、時々遊ぶ程度になっていた。でも、颯太とは毎日といっていいぐらい夜になると家の近くで1時間ぐらい会っていた。
    会わない日は二時間も三時間も電話したりして。友達の由紀や沙織には和也のこと気にしないで早く付き合いなよってよく言われた。

    2005-08-27 06:38:00
  • 23:

    ?りんご?

    でもそんなことが続き、秋が過ぎると受験モード全開。冬休みも冬季講習などで慌ただしかった。その冬休みの間も変わらず颯太とは会ってたけど…。
    よく颯太の家にも遊びに行くようになって、お姉ちゃんとも仲良くなったりして毎日が楽しかった。そんなある日、いつものように颯太の部屋で遊んでるといつものように颯太にキスされた。
    それで、そのまま初エッチ。よく会うようになってからは毎日キスはしてたけど、その日はついにやっちゃった。

    2005-08-27 06:45:00
  • 24:

    ?りんご?

    お互い初めてだったからスムーズに…とはいかなかったけど、痛くても颯太の抱きしめてくれる腕があったかくて、なんかそれだけで良かった。
    照れくさくて終わった後はお互い目合わせられなかったけど(笑)でも幸せやった。嬉しくて嬉しくて、私が1番幸せやねんでーって大声で叫びそうなぐらい。
    あほみたいやけどそんなこと思ったりした。

    2005-08-27 06:50:00
  • 25:

    ?りんご?

    「なぁ美樹俺のことどう思ってるん?」
    いつもの颯太とは違う真面目な声でそう聞いてきた。
    「え?どうって…好きやと思う。多分」
    「多分んー?めちゃくちゃやなぁ。俺は好きやで。ほんまにめっちゃ好き」
    その言葉に胸がしめつけられた。今までずっと一緒にいたけど、好きって言ってくれたの初めてやったから…。ほんまはめっちゃ考えてた。颯太は何を考えてんのかな?って。私のことどう思って毎日一緒におるんやろうって。

    2005-08-27 06:55:00
  • 26:

    ?りんご?

    ある日、私はバイトの帰りに同じバイト先で働いていた大学生の大野さんに友達と一緒に車で送ってもらった。家の前でおろしてもらい車をおりると、そこには颯太が待っていた。
    車が走りだすと颯太は私に近付いてきて初めて大声で怒鳴った。
    「なにやってんねんヘラヘラ笑って。誰やねんあいつ」
    「バイトの人やって。さっき友達も送ってもらって最後が美樹やっただけやねんけど」

    2005-08-27 07:07:00
  • 27:

    ?りんご?

    「はぁ?送ってもらう必要もないやんけ。携帯もずっとつながらんし家かけたらまだ帰ってないとかゆわれたし。何のためにバイトしてんねん男と遊ぶためか。勝手にしろや俺も勝手にするから」
    颯太は延々とそんな言葉を私にぶつけてきた。
    「付き合ってないやん」
    私は何故かそんなことを言ってしまった。
    「はぁ?何ゆってんねん」

    2005-08-27 07:12:00
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