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『一番大切なこと』

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  • 1:

    ?りんご?

    久しぶりに行った地元のバーで私は偶然にも久しぶりに颯太(そうた)と再会した。颯太は隣中学の同級生。私達は今24歳。10年前に出会った私達の苦しい切ないすれ違いがまた始まろうとしていた。
    「久しぶりやなぁ。全然変わってないやん」
    私に気付いた颯太はすぐに話し掛けてきた。颯太と話すのは6年ぶりだった。成人式の日、久しぶりに見かけたけど話すことのないままで。

    2005-08-27 04:00:00
  • 88:

    ?りんご?

    私はもう隠す必要もなかったし、「そうやで」って答えた。斗真くんの顔は少し変わった気がしたけど、すぐに元に戻ったし私は別に気にしなかった。
    でも颯太とのことを深く聞いてくる斗真くんが私は少しうっとうしく感じた。帰り際も車で送ってくれてる時に何で別れたのかとか、今でも引きづってるのかとかずっと聞いてきた。

    2005-09-07 02:11:00
  • 89:

    ?りんご?

    斗真くんのことは嫌いではなかった。でも、颯太を思い出してしまうような話を聞いてくる斗真くんに、私は苛立ちを隠せずにいた。
    「なんなん?もう過ぎたことやしだいたい斗真くんには関係ないやろ」
    私はムカついたあまり、怒鳴ってしまってた。斗真くんは私の家の近くに着くまでずっと黙ってた。
    「ありがとう今日は。楽しかった。じゃあ帰るわーバイバイ」

    2005-09-07 02:15:00
  • 90:

    ?りんご?

    私は家のすぐそばに着くとそう言って車を降りた。そして家に帰ろうと歩いてると、斗真くんは車を止めたまま窓を開けて少し大きめな声で私に向かって叫んだ。
    「ごめんな!でも俺、ちゃんと知っておきたかってん。好きやから」
    えっ!?どういうこと!?私は一瞬わけが分からんかった。
    「美樹が俺のことキライじゃなかったら付き合ってくれや。好きじゃなくてもいいから。俺のこと好きなるから絶対。返事は待つし」

    2005-09-07 02:21:00
  • 91:

    ?りんご?

    「な、何それ。好きじゃなくてもとかめちゃくちゃやん・・・」
    そう言ったけど私は少しドキドキしてた。その日はそのまま返事もせずに帰ったけど、家に帰ってからもずっと考えてた。
    悪い人じゃない。それに見た目よりも遥かに頭もいいし楽しい。最近は斗真くんと電話するのが当たり前になってたし・・・。
    好きって気持ちはないけど颯太のことから本当に一歩踏み出すには斗真くんと付き合うのもいいのかもしれない。ズルイかもしれないけど前に進むためだから。

    2005-09-07 02:27:00
  • 92:

    ?りんご?

    それから私は三日考えた。その間、斗真くんからは連絡がなかった。私は毎日電話してた斗真くんの存在の大きさが分かった。
    好きじゃなくても私にとって支えになってたんやってことが。だから斗真くんからの告白から四日目に、オーケーする返事をした。
    斗真くんは言ってくれた。
    「これから美樹が俺のこと好きなるまで待つから。付き合っていくって言っても俺は変なことせえへんで。ちゃんと好きになってもらうまで。だから安心しろよ」

    2005-09-07 02:32:00
  • 93:

    ?りんご?

    冗談っぽくそう言って笑ってくれた。何なんめっちゃいい男やん・・・付き合ってすぐにそう思った。
    それからも何も変わることなく、休みの日には遊びに行ったり毎日電話したりで相変わらずの日々が過ぎていった。
    斗真くんはほんまに何もしてこんかった。手も繋いでこーへんかった。ちゃんと約束を守ってくれてた。見た目はチャラ男やのに、そういう誠実なところに私は少しずつやけど惹かれるようになった。

    2005-09-07 02:35:00
  • 94:

    ?りんご?

    そうして少しずつ前を向き、うまくいき始めた私と斗真くんは付き合って三ヵ月目に初めてキスをした。
    いつの間にか斗真くんのことを好きになり始めてたから。いつもそばで笑わせてくれたり私に真っ直ぐに向き合ってくれてた。
    だから私にとっても斗真くんは大切な人になっていってた・・・はずやった。あの時までは。

    2005-09-07 02:39:00
  • 95:

    ?りんご?

    ちょうどあの花火大会が近付いていた夏の日だった。私は由紀達に呼ばれ、とあるファーストフード店で待ち合わせをした。
    そこには由紀や沙織、颯太の友達や和也にこうすけ。昔よく遊んだメンバーが集まってた。
    「どーしたん?みんな。ってゆーかめっちゃ久しぶりやん♪」
    由紀達はよく遊んでるから久しぶりではなかったけど和也達に会うのは久しぶりやった。

    2005-09-07 02:44:00
  • 96:

    ?りんご?

    でもなぜかみんなの表情がおかしい。何か話があるって言ってたし・・・。
    「どーしたんってば」
    私は思わず聞いていた。そしたら由紀がゆっくり話し始めた。
    「落ち着いて聞いてな。今美樹はちゃんと彼氏もできてやっと立ち直ったけど颯太がな・・・」
    由紀はそこから先を話さんかった。とゆうより話せなさそうな雰囲気やった。そうしたら和也が静かに口を開いた。

    2005-09-07 02:47:00
  • 97:

    ?りんご?

    「ええわ。もう俺から話すから。びっくりせんと聞いてな。颯太な、五月に子供産まれたん知ってるやろ?」
    「うん。聞いてたで由紀から。それがどうかしたん?ってゆーかもうその話はしたくないねんけど」
    せっかく颯太のことから離れてたのに・・・まだみんなは気にしてんの?私はイライラしていた。
    「ちゃうねん。血液型な、颯太はOであの女Aやってん。でも子供がBやねん。分かるか?颯太の子ちゃうかってん。やっぱりオカシイと思っててんゴムつけてて一回やっただけでできるわけないって。」

    2005-09-07 02:54:00
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