小説掲示板━━━平行線━━━のスレッド詳細｜夜遊びweb関西版

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━━━平行線━━━

• 1:

  京子

  私とハルは平行線。ずっとずっと平行線。決して交差することない。交わることもない。だったらどうしていつも私の前にいるの？
  私の向かい側にはいつもハルがいた。同じ時を過ごし同じ時代を歩んで来た。

  2005-09-04 02:35:00
• 2:

  京子

  お互いを｢キョン｣｢ハル｣と呼び合いいつも一緒に遊んでいるのがずっと当たり前だった。物心ついてからも何も変わりなくハルは私にとっていて当たり前の存在になっていた。
  そんな私達も小学校を卒業し、中学に入ると少しずつ変わっていった。

  2005-09-04 02:49:00
• 3:

  京子

  ハルは中学に入った途端に何がいいのか急にモテ始め、そんなハルを見ていて私はよく分からない不思議な感情をいだくようになっていった。
  そんなある日、家にいた私は母から耳を疑いたくなる信じられないことを言われた。

  2005-09-04 02:55:00
• 4:

  京子

  夏を迎える六月の終わりごろハルのお母さんが心筋梗塞で亡くなってしまったのだ。
  ご近所付き合いもあった母や近所の人達も突然の訃報にみんなショックを隠し切れずにいた。
  お通夜、お葬式に参列した私はまだ人の『死』ということを実感できず向かい合えずにいたけど、泣いていたハルのお姉ちゃんを見て私も泣いてしまった事を今でも覚えている。

  2005-09-04 03:00:00
• 5:

  京子

  でもハルは違った。まだ私と同じ中学一年のハルが涙も見せずに参列してくれている人達に凛として挨拶していた。
  私は不思議だった。こいつ悲しくないんかなって。ハルのお父さんも我慢できずに声を漏らしながら泣いてたのに。

  2005-09-04 03:04:00
• 6:

  京子

  それから初七日が済むまで、ハルは学校を休んでいた。私は同じクラスだし家が近くだったから毎日プリントを届けた。
  勉強にも遅れないように授業で書いたノートは毎日ハルの分をルーズリーフに写して持って行った。頼まれたわけじゃなかった。
  でも何故かそうしてあげたかった。

  2005-09-04 03:09:00
• 7:

  京子

  それから初七日の日の夜７時過ぎ、私は妹に『さっきハル君が一人で公園におったで』と聞いた。一人で何してんねやろ…そう思った私は気付けば家を飛び出してた。
  公園に行くと一人でベンチに寝てるハルが見えた。ジャンプってゆう漫画を顔の上に乗せてた。寝てんのかな？こいつ。
  びっくりさせたろっ。そう思って近付いた私は顔に乗せてたジャンプをサッと取った。

  2005-09-04 03:15:00
• 8:

  京子

  次の瞬間ハルをのぞきこんだ私はハルと目が合って心臓が止まった。
  ハルの目は真っ赤だった。泣き腫らした目で鼻の頭も赤くなってて。そう。ハルは泣いてた。一人で隠れてこんなとこで。
  「お前なにすんねん」
  ハルは私が持ってたジャンプを取り上げるとまた自分の顔に乗せてしまった。

  2005-09-04 03:19:00
• 9:

  京子

  なんとも言えない感情が私の心を締め付けた。ハル悲しいんやろうな…ずっと泣きたかったんやろうな…我慢してたんやずっと…みんな泣いてたからハルは、ハルだけは頑張って我慢してたんや…
  そう思ったら私も涙が止まらなかった。何もしてあげられへんし何も言われへんかったけど、その時ハルを一人にしたくなかった。

  2005-09-04 03:23:00
• 10:

  京子

  『お前泣いてるやろ』
  ジャンプをのっけたまんまハルがそう言ってきた。
  「ハルも泣いてるやん」
  『アホか俺は泣いてへんわ。アクビしただけやし』
  ありえへんって思ったけど、その時は「そうなんや」って言ってあげた。

  2005-09-04 03:27:00
• 11:

  京子

  それから二人で１時間ぐらい黙って泣いてた。気付いたら空はもう真っ暗になってた。時計を見たら９時前。
  「なぁもう９時なんで？明日から学校来るやろ？」
  私が聞くとやっと起き上がったハルは少しだけ笑ってた。
  『なんでお前まで泣いてんねん』
  って言いながら。

  2005-09-04 03:33:00
• 12:

  京子

  たしかにそう。でも何で泣いたのか自分でもよく分からなかった。ただ、ハルの気持ちが痛いほどよく分かってなんか苦しくなってたから…。
  「もらい泣きやってば」
  あ、またや。いつもこんなことしか言われへん。気のきいた優しい言葉かけてあげたいのに…。可愛くない女。

  2005-09-04 03:37:00
• 13:

  京子

  『でもなんかようわからんけどありがとうな』
  ボソッと聞き取れないぐらいの小さな声でハルはそう言うと、ゆっくり歩きながら家の前まで送ってくれた。
  『あ、お前さぁ弁当作れる？』
  「えっ？なんで？」
  『いや、やっぱええわ』

  2005-09-04 04:37:00
• 14:

  京子

  『マジで？めっちゃ助かる。おばちゃんにもスイマセンって言っててな。じゃあまた明日な！はよ寝ろよキョン』
  キョンって…久しぶりに言われた気がした。最近ゆっくり話すこともなかったし。バイバイしながら帰っていくハルを見ながら、その時初めてドキドキしてる自分に気付いてしまった。

  2005-09-04 04:46:00
• 15:

  名無しさん

  >>1-16

  2005-09-04 06:38:00
• 16:

  京子

  次の日学校に行くと周りのみんなはハルに気を使ってるせいかやけに教室の中は静かだった。こんなんじゃ逆にハルが嫌な気するのに…そう思って私は朝からテンション上げまくりでハルにお弁当を渡した。
  「ハル、これしゃあないから持ってきたっでっありがとうは？」
  『お、ありがとう』
  少し照れながらやけに素直なハルが可愛く見えた。

  2005-09-04 06:53:00
• 17:

  京子

  それを見ていた周りの女の子達はヒソヒソと内緒話をしていた。分かってる。学年いちモテているハルに、私の存在が邪魔がられてるってことぐらい。
  ハルは女の子とはあまり話さない。私とは友達付き合いが長くてお姉ちゃんとも仲がいいから普通に話すけど。ハルとアホなこと言い合って笑ってられるのは私ぐらいだった。

  2005-09-04 06:58:00
• 18:

  京子

  でもそんなのどうでもよかった。仲がいいのは仕方ないし、そんなことで文句言われる筋合いないって思ってた。
  それからもずっとそんな感じでいたけど、夏休みがあけて二学期が始まり学校に行くと明らかにクラスの女の子達の態度が変わっていた。
  仲のよかった友達でさえ私に冷たくなっていた。でも私はけっこうそうゆうこと気にしない性格だったから別に気にせずほおっておいた。

  2005-09-04 07:02:00
• 19:

  京子

  そんなことが一週間ぐらい続き、私はクラスの女の子達から集団無視をうけていた。休み時間はハル達はサッカーをしに行っていない。その時間だけはさすがに少し心細かった。
  でも何も気付いてない男子達や先生にチクろうなんて考えたことはなかった。打たれ強さだけが最大の武器だったからだ。
  踏まれても根を張り続ける雑草のように私はただひたすら耐えていた。

  2005-09-04 07:06:00
• 20:

  名無しさん

  >>1-22

  2005-09-04 07:11:00
• 21:

  京子

  「なんなん？話って。はよしてな」
  私は煽るようにみどりに向かってそう吐き捨てた。
  『五十嵐あんた生意気やねん。なに調子のってるんびびってるくせに』
  「別にびびってもないし調子にものってないけど。あんたこそ一人でこれんかったん？こんだけ連れてこな文句の一つもゆわれへんねんなぁ」

  2005-09-04 07:14:00
• 22:

  京子

  ムカついた顔をしながら、その場にいた全員が私を一気ににらみつけた。
  『はぁ？みんなあんたに文句あるから来ただけやし、びびってないわ。タイマンはる？じゃあ』
  みどりにそう言われた私は何故かやってもいいよって答えてた。
  「じゃああんたら黙って離れてみときや」
  そして私とみどりは体育館裏に向かって歩いた。

  2005-09-04 07:17:00
• 23:

  京子

  正直、たいまん張る…ケンカすること自体が初めてだった。どうしよう、そう思っていた時後ろから思いっきり蹴りをいれられた。
  は？もう始まってんのかよ後ろからとかセコい奴やなぁって私も怒りもピークに達した。
  次の瞬間みどりの髪をつかみ押し倒すと、はらの上に馬乗りになりただひたすら殴り続けた。
  『や、やめて、助けて！』
  みどりは泣き叫んだ。必死で私に謝ってきた。私はそれでもやめなかった。今までのウップンを晴らすかのように殴り続けた。

  2005-09-04 07:22:00
• 24:

  名無しさん

  >>1-26

  2005-09-04 13:52:00
• 25:

  名無しさん

  ?

  2005-09-08 20:48:00
• 26:

  土屋佳子

  海は〜広い〜な、おおきぃぃなああ〜
  い〜ってぇみたぃぃな
  よそのぉく〜にぃ〜?

  2005-09-09 00:13:00
• 27:

  京子

  「うん大丈夫。かなり痛かっけど」
  喧嘩してたのが嘘なような落ち着いた会話。そんな私とみどりを見て笑ってるみどりの友達たち。
  「腹立つわあいつら…バカにしやがって」
  「友達って簡単にできるもんちゃうで。しょうもない友達ヅラするやつと一緒におるぐらいなら一人のほうがラクやし。少なくとも私は」

  2005-09-09 02:14:00
• 28:

  京子

  みどりにそう言ったら少し悔しそうな顔をしながらうつむいてしまった。
  「ほらっ行くで。もう授業始まんねんから」
  私はみどりにそう言うと、みどりは後ろからついてきていた。たいまん張って負けて笑われてまであの友達という上辺だけのグループに戻れるはずがなかった。
  それからみどりは何かと私の後をついてくるようになり、気付けばよく二人でいるようになっていった。

  2005-09-09 02:17:00
• 29:

  京子

  「みんな大原のこと好きやねん。だから京子のこと目障りやって言っててん。まぁ私もそうやったけど」
  ある日、学校が終わって帰り道をみどりと一緒に帰ってると急にみどりが言ってきた。
  「そんなこと分かってたって(笑)ハルのお弁当とか持って行ってるから何やねんあいつって思われてるやろうなぁって」
  「うん。でも嫌じゃなかったん？女の子みんなに無視されてたのに」

  2005-09-09 02:24:00
• 30:

  京子

  「え？そりゃ嫌やったよ。でも特別な友達でもないしそんな子らに無視されようがどーでもよかったで。ハルとは幼なじみみたいなもんやしさ」
  「そうなんやぁ…じゃあ京子は大原のこと好きじゃないん？」
  「えっ？あ、うんそーやで好きなわけないやん」
  「そっか♪良かったぁ♪私大原のこと好きやし京子がライバルやったら降参って感じやったけど…そうじゃないなら頑張れそう」

  2005-09-09 02:27:00