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≪風俗≫あたしにも価値はあると言って。。。≪ホストクラブ≫
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1:
自分のサイトで公開している小説です。
70%ぐらいはあたしの体験談です。
あまり上手とは言えませんが、
実際に風俗やホストの世界にいる方々に
読んでもらいたくてここに書くことにしました。2005-05-27 12:22:00 -
2:
あたしを必要としてくれる人なんて、この世界中のどこにもいないんじゃないだろうか?
そんな不安を、風俗という仕事は一時的にだけれど忘れさせてくれる。
「ありがとう、本当によかったよ。絶対また来るからさ、名刺くれるかな?」
四十歳前後だろうか。
黒いスーツに地味なネクタイ、銀縁のメガネをかけた、どこにでもいるようなサラリーマン。
スーツの袖に腕を通しながら、その客はあたしに向かって笑いかけてくる。
「もちろんですよー」
店の名前や住所、電話番号が白黒印刷された名刺を一枚取り出して、ボールペンで「ユウナ」と書いた。
裏には「毎週水曜日、お休みです。ぜひ、また遊びに来てくださいねー。楽しみに待ってます」と書く。2005-05-27 12:23:00 -
3:
どうせ渡す名刺ほとんど全部が同じ内容なのだから前もってまとめて書いておけば楽なのだろうけれど、こうして客の目の前で書くことで好印象を与えるらしい。
自分のために風俗嬢が書いてくれたメッセージ、だと思わせることができるからだ。
「はい、これ。あたし、ユウナです。本当にまた来てくださいね?」
両手で名刺を渡し、小首を傾げて、上目遣いで客を見上げる。
そしてデレデレとしただらしない笑顔を確認しつつ、その唇に軽くキス。2005-05-27 12:24:00 -
4:
「お客様お帰りでーす」
個室のドアを開け、フロントまでの狭い廊下を腕を組んで歩く。
最後にカーテンの裏でもう一度キス。
「じゃあね、またね。ありがとうございましたぁ」
客をカーテンの向こう側へ送り出し、あたしは両手を真上に上げて伸びをする。
あたしは風俗嬢、ユウナ。
この街では老舗のファッションヘルス「ピンキードール」で働くヘルス嬢だ。2005-05-27 12:25:00 -
5:
古い雑居ビルの二階にある店舗の中のあてがわれた個室で、口や手を使い――つまりセックス以外の手段で客を射精させるのが仕事。
時計は深夜一時過ぎを指していた。
今日の仕事はこれで終わりだ。
個室に戻り、息を止めながらゴミ箱の中から精液臭い袋を取り出して口をしっかりと結び、空になったゴミ箱には新しい袋をかぶせておく。
さっきの接客で使用した、ベッドの端でぐしゃぐしゃになっているバスタオルを全部まとめて右手に抱え、左手でゴミ袋をつかむ。2005-05-27 12:26:00 -
6:
廊下の奥にあるタオル置き場のドアを開けてタオルを投げ入れ、ついでに脇にある大きなポリバケツにさっきの精液まみれのティッシュが詰まったゴミ袋を放り込んでくる。
廊下を歩くと店長の趣味である洋楽の有線に混ざって接客中の誰かのわざとらしい嬌声が聞こえてきた。
閉店ギリギリの時間に入った客がいるようだ。
この店はそれぞれの個室にシャワー室が完備されているのが気に入っている。
ひらひらとレースの施された安っぽいキャミソールワンピースを脱いでシャワー室へ入り、ぬるめのシャワーを浴びて、念入りに歯を磨く。2005-05-27 12:27:00 -
7:
一日に何度もシャワーを浴びるせいで肌が乾燥して仕方がないので、体を拭いたあとすぐに乳液を全身に塗りたくってから私服のツーピースを着た。
乳液はこの前買ったばかりだと思っていたのにもう残り少ない。
帰りに買っておかなければ。
「ユウナちゃん、お疲れ様」
バッグと、ドライヤーや名刺等の私物の入ったカゴを持ってフロントへ行くと、店長がギャラの入った茶封筒を差し出してきた。
封筒の表には四万六千円の文字。
まぁまぁだ。2005-05-27 12:28:00 -
8:
中身を取り出し、金額を数えて財布へ押し込む。
封筒は私物カゴと一緒に店長に返した。
「次の出勤は明日ね。もう五時からの予約が一本入ってるから、遅刻したり休んだりしないでくれよ。まぁお前は出勤は真面目だから心配してないけどな」
真面目、と言われて嬉しいけれど少しおかしかった。
職場に約束した日、約束した時間に出勤する。
もし急病などのどうしようもないことで遅刻、欠勤するときは少しでも早めに電話連絡をする。
ただそれだけを守っているだけで真面目と言われるのだから、この業界ではいかにルーズな女が多いのか、またルーズな姿勢が許されているのかがわかる。
以前勤めていた会社なら、無断欠勤なんて考えられなかった。2005-05-27 12:29:00 -
9:
「多分大丈夫ですよ、ちゃんと来ますから」
「じゃあ、待ってるよ。お疲れ様」
「お疲れ様でしたぁ」
店を出て、大きな通りを歩く。
歓楽街の人ごみは、様々な欲望の熱気に満ちている。
あたしも一応若い女性の部類に入るので、念のため夜の路地裏は歩かないようにしているのだ。
横断歩道を渡った先にあるコンビニで乳液を買おう、そう思い信号待ちをしていたとき。
「すみません、ちょっといいですか?」
後ろから急に声をかけられた。2005-05-27 12:30:00 -
10:
振り向くと、黒いスーツを着た若い男が立っている。
「お仕事の帰りー? この近くで飲み屋をやってるんだけど、よかったら飲みに来ませんか?」
夜の繁華街には彼らのような客引きが多くいる。
居酒屋やバー、キャバクラやホストクラブ、風俗店からカラオケボックスまで店は様々だけれども、彼らをいちいち相手をしているとキリがないのでいつも「ごめんなさい」と一言だけ言って立ち去るようにしている。
信号はまだ赤だった。2005-05-27 12:30:00 -
11:
とりあえずどこの店かは知らないけれど断ろう、と思い改めて彼の顔を見てふと思った。
似ている。
じっと見たら吸い込まれてしまいそうな、大きな二重の目をびっしりと長い睫毛が囲っている。
まるで人の心の奥までも見透かしてしまいそうなきれいな目。
こんな目をした男をあたしはもう一人知っていた。
だから、思わずうなずいたのだ。
「いいよ、行く。何ていうお店なの?2005-05-27 12:31:00