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≪風俗≫あたしにも価値はあると言って。。。≪ホストクラブ≫

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  • 1:

    自分のサイトで公開している小説です。
    70%ぐらいはあたしの体験談です。
    あまり上手とは言えませんが、
    実際に風俗やホストの世界にいる方々に
    読んでもらいたくてここに書くことにしました。

    2005-05-27 12:22:00
  • 101:

    「そういえばさ」
     もぐもぐと口を動かしながら、ミサトが少し真剣な顔になる。
    「ユウナ、最近Temptation通ってるんだって? あんた、ちょっと前まで、ホストは行ってなかったはずだよね?」
    「え、何で知ってるの?」
     あたしは驚いて言った。
    「もしかして、ミサトもTemptation行ってるとか?」
    「そうじゃないよ、うちが通ってるのは別の店。ただ、うちの友達がTemptation通ってるんだ。その子が、ユウナのことよく見かけるんだよね、ってうちに教えてくれたの。ほら、ユウナってうちの店のHPで顔出ししてるじゃない? それで顔わかったみたいなんだけど」

    2005-05-27 14:02:00
  • 102:

     なるほど。
     一つの店に通っていると、意識していなくてもだんだん他の客の顔を覚えてくる。
     ああ、この人は誰々の指名だな、とか、この子は雑誌によく載っているフードルの誰々だな、など。
     だからあたしも誰かに見られていたとしても不思議ではない。
    「ぶっちゃけ、いつもいくらぐらい使ってる?」
     少し言いづらそうに、それでもミサトは言葉を続ける。
    「ほら、ユウナって今までホスト遊びしてなかったわけじゃない? だから初めてのホストクラブの世界にハマっちゃったのかなって、なんか心配になってさ。あんたの指名してるホスト、ルックスいいらしいし」

    2005-05-27 14:03:00
  • 103:

     二人とも、もう一つ、チョコレートを食べる。
    「うちがホストで借金作ってるからさ、ユウナが同じ目に合ったらどーしよーって……ごめん、ただのお節介なんだけど」
     あたしは慌てて首を振った。
    「お節介じゃないよ、ありがと。でも、あたし多くてもその日の稼ぎ程度しか使ってないから、心配しないで」
    「そっか、それならいいんだよ。ユウナはしっかりしてるもんねー。うちなんか、ついつい煽てられて優しくされていい気分になって、ドンペリにブックにルイにカミューにリシャール……気付いたときには、売り掛け、とっても払えないような額になってた」

    2005-05-27 14:04:00
  • 104:

     ミサトはタバコを取り出し、火をつけてゆっくりと煙を吸い込んだ。
    「ユウナ、うちね、来月から吉原行くの。もうヘルスの稼ぎじゃやっていけなくてさ……本番、するしかなくなっちゃった」
    「ソープ、行くの?」
    「本当、うちって馬鹿。でもね、担当が喜ぶ顔見たくて、ついついボトル入れちゃうんだ。店通っちゃうんだ。そんなふうにお金払い続けてなきゃ、美人でも若くもないうちのことなんか、簡単に忘れられちゃいそーな気がしてね」
     マルボロメンソールの煙が、ゆらゆらと部屋に広がっていた。

    2005-05-27 14:04:00
  • 105:

    「ユウナも同じだと思うけど、この仕事してたら愛してる、とか結婚してくれ、とか寝言いう客っていっぱいいるじゃない? 中にはそこそこカッコいい若い男とか、オヤジだけど金持ちなやつとかいたりして。でもさ、そんな客たちにどんなにマジになって迫られても、プレゼントもらったりお金積まれたりしても、絶対うちの心は動かないんだよね」
     今フロントに飾られているバラの花束を思い出した。
     花言葉は、愛。

    2005-05-27 14:05:00
  • 106:

    「好きだ、とか言って必死にうちに媚びてくる客には何の情も沸かないくせに、うちがお金払わなきゃ相手してもらえないホストにずっぽりハマってソープにまで沈むなんてさー、本当にどうしようもない馬鹿だよ。何でこうなっちゃうんだろ」
     自嘲気味に話すミサトに何か言ってあげようとしたとき、部屋のコールが鳴って店長がミサトにお客がついたことを知らせてきた。
     あたしは「がんばってね」としか言えず、ミサトの部屋を後にした。

    2005-05-27 14:06:00
  • 107:

    『ユウナちゃーん、あのね、俺、髪切ったんだよ! カラーも変えたんだ、少しオレンジっぽい色になった! これから出勤するよ、店のみんなに何て言われるか楽しみなんだ!』
     翔からメールが来ていた。
    『髪切ったの? どんな感じになったかあたしも見たいな。今日仕事終わったらそっち行くね』
    『うん、待ってるよー! フードのメニューも増えたんだよ。ビーフシチューと和風パスタとフレンチトースト! 季節限定のシャンパンも入ったよ』
    『パスタ美味しそうだね、シャンパンはどんな味?』
    『カフェドパリの、桜の香りってやつ。でも俺はまだ飲んでないんだよね。飲みたいなー』
    『今日あたしがそのカフェドパリ入れるから、一緒に飲もうよ』
    『マジー? 嬉しいな、楽しみにしてるねー』

    2005-05-27 14:07:00
  • 108:

     翔の線の細い整った顔が頭に浮かぶ。
     あたしには、ミサトを馬鹿だなんて思う資格はない。
     あたしだって彼女と何もかわらない。
     せっかく自分を求めてくれる客を嫌悪して、こうして金の上にかろうじて成り立っている翔との儚い関係に幸せを感じている。
     もう連絡の途絶えた真宮のことも忘れられない。
     彼は、もうあたしのことなど忘れているのかもしれないのに。
     コールが鳴った。
    「本指名、六十分コースお願いしまーす」
     店長が早口で告げる。

    2005-05-27 14:08:00
  • 109:

     本日二人目の客は橋本だった。
     汗を拭いながら「今日は仕事が早く終わったから」とスーツを脱いだ。
     シャワーを浴びながら、乳房を揉まれ、乳首を乱暴に捻られた。
     ずきん、と痛みが走る。
     不快な刺激を受けてこわばった乳首を見て「立ってるよ、気持ちいいんだ」と橋本がにやける。
     ベッドでもやはり彼の愛撫は乱暴で稚拙で、あたしは何度もよがるフリをして体をずらし、痛みから逃げようとした。
     逃げても橋本の手は執拗にあたしの体の敏感な部分を追いかけてくる。
     痛い、と言う代わりに嬌声をあげる。
     気持ち悪い、と言う代わりに気持ちいい、と言う。

    2005-05-27 14:09:00
  • 110:

     粘膜の引きつれる感覚。
     男が三本目の指を入れてきた瞬間、一際強く熱い痛みが走った。
     喘ぎながら、ああ、切れたな、と冷静に悟る。
     愛されたかった、褒められたかった、認められたかった、必要とされたかった。
     真宮に受け入れてもらえなかった。
     スナックの客に「つまらない女だ」と呆れた目で見られた。
     婚約していた男が、あたしのことを「ろくな家事もできない馬鹿女だ」と触れ回っていると人づてに聞いた。

    2005-05-27 14:10:00
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