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≪風俗≫あたしにも価値はあると言って。。。≪ホストクラブ≫

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  • 1:

    自分のサイトで公開している小説です。
    70%ぐらいはあたしの体験談です。
    あまり上手とは言えませんが、
    実際に風俗やホストの世界にいる方々に
    読んでもらいたくてここに書くことにしました。

    2005-05-27 12:22:00
  • 131:

     扁桃腺の腫れが引くのに当初医者が思っていたより時間がかかり、結局あたしは十日間入院していた。
     翔は毎日欠かさず見舞いに来てくれて、来るたびに「お見舞いだよー」と雑誌やお菓子、ジュースを買ってきてくれた。
     一度は缶ビールを持ってきて、偶然居合わせた看護婦に怒られたりもしていた。
     退院する日、喉の炎症を抑える薬やイソジンを処方され、しばらくは喉に雑菌がつかないように念入りにうがいするように指導された。

    2005-05-27 14:30:00
  • 132:

     入院した日に書類を持ってきた看護婦が入院費用の請求書を持ってきたので、病院の一階に設置されていたATMから現金を用意して窓口へ支払いを済ませる。
     少しだが貯金しておいてよかった、と痛感した。
     家へ帰ろうとすると自動ドアのところで翔とはち合わせした。
    「よかった、もう退院しちゃったかと思ったよ」
    「今まさに退院するところ。迎えに来てくれたの?」
    「うん、病院のメシってあまり美味くなかったでしょー? だから一緒にどっか美味いモノ食べに行こーよ」
     病院を出て歩きながら、どこに行こうか、何を食べようか、と二人でしばらく考えて結局ごく普通のファミレスに入った。

    2005-05-27 14:31:00
  • 133:

     入院中、年配の看護婦が「いつもお見舞いに来てくれる男の子、カッコいい子ねー」としきりに感心していたこと。
     Temptationの新メニューの和風パスタは評判がいいのだけれど、実は作るのに手間がかかるので厨房係が迷惑そうにしているということ。
     やっぱりたわいもない内容ばかりだけれど、翔との話はとても楽しい。
     そのとき、テーブルの上に置いていたあたしの携帯電話が鳴った。
     ディスプレイに表示されている名前を見て、あたしは息を飲んだ。
    「真宮朋樹」の文字。

    2005-05-27 14:33:00
  • 134:

     もう二度とかかってくることはないと思っていて、それでもメモリから消せずにいた、真宮からの着信。
    「鳴ってるよ?」
     何も知らない翔が携帯電話を指差す。
    「ごめん、ちょっと電話してくるね」
     急いで席を立ち、店の外へ出た。
    「もしもし、真宮?」
    「清美? 久しぶりだね。東京の暮らしはどう?」

    2005-05-27 14:33:00
  • 135:

     携帯電話越しに聞こえてきたのは、紛れもなくあたしの大好きだった真宮の声だった。
    「うん、こっちで仕事もしてるし、何とかやっていけてるよ」
    「そっか、メシはしっかり食べてるか? 体壊してないか?」
     実は今朝まで入院してた、と言ったら真宮は驚いて心配するだろう、と心の中で苦笑した。
    「大丈夫、元気だよ。ほら、あたし健康には自信あるし。――それにね、東京でもあたしのこと心配してくれる人、見つけたし」
    「ああ、それはよかった。ほら、清美は少し物事を一人で抱え込むようなところがあるから、東京で一人で悩んだりしてるんじゃないかって、ずっと気になってたんだ」
     真宮の柔らかくて穏やかな声が、あたしの心に染み込んでいく。

    2005-05-27 14:34:00
  • 136:

     なんだ、あたしは初めから、一人じゃなかったんだ。
     こうして気にかけてくれる人がちゃんといたんだ。
    「電話、ありがとう。すごく嬉しい。あのね、あたしはもう真宮に忘れられちゃったんだと思ってたから」
    「そんなことないよ。確かに、俺たちは今離れた場所で、別々の生活をしてる。けれど、俺と清美は、たとえ離れていても、こうしていつでも繋がることができるだろ? 今までだってそうだったし、これからもそれは変わらないよ」
     あたしは、一人じゃないんだ。
     目の前の霧が晴れていくようだった。

    2005-05-27 14:35:00
  • 137:

    「どうもありがとう。また、電話してね。あたしからもかけていい?」
    「もちろんいいよ。いつでも待ってる」
    「じゃあ、またね、ばいばい――」
     電話を切り、翔のところへ戻った。
    「彼氏ー?」とふざけた口調で聞かれたので、「違いますー、残念ながら彼氏は募集中ですー」と口を尖らせて答えると、翔は白い歯を見せてにっと笑って、小声で呟いた。
    「じゃ、俺立候補しよっかなー」
     そしてすぐに無邪気な笑顔を浮かべて「冗談っ!」と言ったので、あたしはテーブルの上に丸めて置いてあったオシボリを彼の顔面めがけて投げつけ、そして二人で笑った。

    2005-05-27 14:36:00
  • 138:

     心の中にあった暗い空洞は、いつの間にかすっかり埋まっていた。
    「そういえば、ずっと仕事休んじゃったけど、これからどうするの?」
     翔の問いに、あたしはしばらく考え、ゆっくりと答えた。
    「まだ決めてない。店にも連絡してないし……このまま辞めるかもしれないし、戻るかもしれない」
     料理が運ばれてきた。
     あたしはフォークでドリアの上のエビをつつきながら続けた。
    「でも、もうあたしは、風俗で働くことにこだわらなくても大丈夫かもしれない」

    2005-05-27 14:37:00
  • 139:

     不器用そうにナイフとフォークでステーキを切り分けながら翔がうなずいた。
    「うん、よく考えてから結論出しても遅くないと思うよ」
     彼はステーキを一切れ口へ運び「熱っ!」と小さく叫んで慌ててクリームソーダのストローに吸い付いた。
     炭酸の小さな泡がグラスの中でゆらゆらと上っている。
    「……でも、風俗の仕事辞めたら、もうホストクラブで翔とシャンパンは飲めなくなるかも」
     あたしの言葉に、翔は少し考えるような素振りを見せ、それから「仕方ないから、クリームソーダで我慢するよ」と言って笑った。

           ――END――

    2005-05-27 14:38:00
  • 140:

    田舎ではありましたが、そこそこ有名な企業に勤め、寿退社目前にして他の男性に恋をして、失恋して、プライドを守るためそのまま退職、水商売を始めたものの散々な結果に終わり……、そしてあたしはいつのまにかヘルスの個室でお客を待つようになっていました。
    自分が「美人」ではないという、努力では乗り越えることの出来ないコンプレックス。
    「話し上手」でないというコンプレックス。
    それがあったからこそ、あたしは「翔」というキレイな外見と素直な心を持った男の子に惹かれたのだと思います。
    幸運にも、現実にあたしは「翔」と恋人同士になることができました。
    あたしは風俗を辞め、数ヵ月後に「翔」もホストを辞め、お互い昼間のごくありふれたアルバイトを始めました。
    今も、ときどき当時の話をします。
    二人とも、まるで夢の世界にいたときのようだね、と笑いながら。
    輝くシャンデリア、薄暗く狭いプレイルーム、ドンペリコール、お客の来店を告げるフロントからのコール、かしずくホストたち、性欲をむき出しにしてくる男たち…いい夢なのか、悪夢なのかはともかく。
    これからあ

    2005-05-27 14:39:00
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