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≪風俗≫あたしにも価値はあると言って。。。≪ホストクラブ≫

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  • 1:

    自分のサイトで公開している小説です。
    70%ぐらいはあたしの体験談です。
    あまり上手とは言えませんが、
    実際に風俗やホストの世界にいる方々に
    読んでもらいたくてここに書くことにしました。

    2005-05-27 12:22:00
  • 91:

     男と女として? お付き合い?
     はぁ? 何言ってるの? と笑い飛ばすわけにはいかない。
     この男はあたしの時間を買った客だ。
     不愉快にはさせられない。
    「なぁに、今日はどうしたの? マーくん酔っ払ってるのー? 酔ってるときは熱いシャワー浴びなきゃねー」
     あたしは何とか話をそらさなければ、と焦りながら、目を合わさないようにしてマサノブのぐっしょりと湿ったYシャツのボタンを外そうとした。

    2005-05-27 13:52:00
  • 92:

    「ユウナちゃん、真面目な話だよ? ちゃんと聞いてよ」
     彼はあたしの腕を押さえ、生臭い息を吐きながらまくし立て始めた。
    「ねぇ、俺は初めて会ったときから、運命を感じてたんだ。こんないつも笑顔で心が優しくて素敵な女の子は他にいないってね。俺、風俗嬢としてじゃなくて、一人の女の子としてユウナちゃんを愛してるんだ」

    2005-05-27 13:53:00
  • 93:

     ベタベタした掌。
     汚れがびっしりと詰まった黒い爪先。
     ガサガサした唇。
     生臭い息。
     脂と汗でぎらぎらと光る顔。
     いつも笑顔で優しいのは、お前が金を払った客だからだよ。
     一人の女の子としてって何だ? 風俗嬢としてサービス中のあたししか見てないくせに、何わかったようなこと言ってるんだよ。
     次から次へと罵詈雑言が浮かんできて、あたしはそれらを飲み込むのに必死だった。

    2005-05-27 13:54:00
  • 94:

    「俺達、相性ぴったりだと思うんだ。だから、ねぇ、今日こそは最後までしようよ。俺、ユウナちゃんと一つになりたい。ね、いいでしょ?」
     あたしの手首をつかんだまま、彼は全体重をかけてあたしの上にのしかかってくる。
     男にパンツを脱がされた。
     彼は続いてごそごそと自分のズボンとパンツも脱いで、勃起したもの引っ張り出している。
     胸が、お腹が圧迫されて苦しい。
     変な角度で押さえられたままの右手首の関節が悲鳴をあげる。
     太ももの付け根に硬いものが押し付けられる感触。
     ああ、これはもう本番強要で部屋から叩き出しても許されるレベルだな、と冷静に思った。

    2005-05-27 13:55:00
  • 95:

     ヘルスではSEXはできない。
     挿入を強要した時点で、ルール違反者としてサービスは中断、客はポラロイド写真を撮られ、場合によっては罰金を支払わされた後その店へは今後一切入店禁止になる。
     このデブを振り払って、フロントにコールしちゃおうかな、と考える。
    「好きなんだ。好きだから最後までしたいんだ。ユウナちゃんのこと、もっともっと可愛がって気持ちよくさせてあげたいんだ」
     気持ちよくねぇよ。
     デブの額に浮かんだ汗がぽたり、とあたしの頬に落ちてきて鳥肌が立った。

    2005-05-27 13:56:00
  • 96:

    「ねぇ、いいでしょ? 俺たち付き合おうよ。付き合ってる男と女がSEXするのは自然なことだよ?」
     もううんざりだった。
    「マーくん、それ以上言うなら、あたしフロントにコールしなきゃならないよ」
     感情を込めずに言うと、男はあたしの手首をつかむ力を緩めた。
     そのぶよぶよした巨大な体を押しのけて起き上がる。
    「ユウナちゃん、嫌だった? ごめんね……」
     表情のないあたしの顔を見て、彼なりに何かに気付いたらしく、急にしゅんとして言い訳を始めた。

    2005-05-27 13:56:00
  • 97:

    「俺、ユウナちゃんが本当に好きなんだよ。だからつい……ごめんね。そうだよね、いきなりじゃ怖いよね。でも、俺は真剣にユウナちゃんと付き合いたいと思ってるんだ。返事は今すぐじゃなくてもいいよ。次に俺が会いに来るまでに考えておいて」
     大の男が一方的に愛だか性欲だかわからないような感情を押し付けてくる、その姿は滑稽で情けなく、あたしは心底呆れてしまいもはやフロントを呼ぶ気もおきなかった。
     プレイ時間が余っていたので、それからあたしはいつも通りただ機械のように男の体を洗い、あちこちを触ったり舐めたりこすったりしてデブを射精させた。
     好きだ、愛している、と繰り返していたわりには、プレイの間中ここを舐めて、あそこも触って、もっと激しく、今度はこっちを、もっと奥まで、口を休めないで、最後は飲んでよ、といちいち細かい注文をつける男だった。

    2005-05-27 13:57:00
  • 98:

    「さっきの話、真面目に考えておいてよ?」
     シャワーでローションや色々な体液を洗い流していると、マサノブは懲りずに唾を飛ばしながら話しかけてきた。
    「俺、ユウナちゃんにはこんな仕事早く辞めてほしいんだ。風俗なんかで働いていたことは忘れて、俺と幸せになってほしい」
     ――こんな仕事? 風俗なんか?
     その「風俗なんか」に来て金を払い射精しているのはどこのどいつだ。
     あたしが自分から選んだ仕事なのに、それをこの男は忘れろと言うのか。
     この世界のことは何も経験せず、何も得なかったかのように?

    2005-05-27 13:58:00
  • 99:

     馬鹿にするにもほどがある。
     あたしの人生の一部を、この男は丸ごと全部否定するつもりなんだ。
    「あたし、忘れるつもり、ないから」
     イライラするのを抑えてできるだけ冷静に言うと、デブは懲りずにまた反論してくる。
    「辛い仕事だからすぐには忘れられないかもしれないけれど、でも俺が忘れさせてあげたいんだよ」
     もう、何も話したくなくなった。
     帰り際、その背中に向かって、二度と来なくていいよ、と小声で囁いた。
     男が帰った後、あたしは店長に「本番強要されたので」と彼をNG指定にした。
     指名客が一人減ったが、これでもう二度とあのあつかましいセリフの数々を聞かなくてすむ。

    2005-05-27 13:59:00
  • 100:

     ベッドの上に広げられたタオルの上に、ミサトがお菓子の箱を並べた。
    「新製品出てたから買っちゃったんだよねー。一人で全部食べたら体重ヤバイからさ、一緒に食べようよ」
     ミサトがワインレッドのマニキュアを塗った指でバリバリと箱を開け、チョコレートを一つ取り出して口へ放り込んだ。
     あたしも一つつまんだ。

    2005-05-27 14:01:00
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