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【魔の召使い】
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1:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
冬も深まり始めた12月の事だった。友人のトモキが自殺した。原因はいじめ…。トモキとは幼い頃からの友人であり、よきライバルだった。だがいじめの事については一言も相談してくれなかった。トモキは俺に心配をかけないように自分一人で抱え込んでいたのだ。 《ちくしょう!!トモキの奴いじめなんかに負けやがって!なんで俺に相談してくれへんかったんや?力になってあげる事もできたかもしらんのに…》 疑問ばかりが頭の中をかけめぐる。考えても考えても答えなどでるはずもない。そうして俺が考えている間に形式だけの葬式は終わりを迎えようとしていた。火葬場に迎う前に最後にトモキの顔を見る事ができた。 マネキンのように無表情で生気のない顔だったが俺にはトモキがとても悔しがっているように見えた。
2006-04-10 22:36:00 -
162:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
《よし!終わったみたいやな。》俺はカオリの元へ近づいた。カオリの肩を叩き 『おつかれさま。大変やなぁ。めっちゃ人多いしな。疲れるやろ?』 と声を掛ける。少しカオリの顔が赤くなったのが、とても印象的だった。 『バイトって何時に終わるん?終わったら飯でも食いに行けへん?今日俺ん家誰もおらんから飯ないねん。』「うん。いいよ!バイトはもう少しで終わるから待っててもらってもいいかな?」『わかったぁ。じゃあ終わったら携帯に電話して。適当に時間潰しとくから。』そう言って俺はゲーセンを後にした。
2006-04-26 22:28:00 -
163:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
ゲーセンを出て近くのコンビニに入る。カオリはもう少しでバイト終わるって行ってたので立ち読みでもして時間を潰すことにした。 立ち読みを始めて少しした時、駅前を救急車やパトカーが慌ただしく通りすぎていった。きっとホテル街に向かうのだろう。その様子をチラッとだけ見て雑誌に目を戻した。それから少しして携帯に着信が入る。 『おつかれさま。もうバイト終わったん?』 「終わったよ。疲れた〜。ノブユキ君どこにおるん?」『コンビニにおるで!暇やし立ち読みして時間潰しててん。今から外でるわ。』電話を切りコンビニの外に出た。
2006-04-27 19:27:00 -
164:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
コンビニの外に出てゲーセンの方を見ると、ちょうどカオリがこっちに向かって歩いて来ている所だった。カオリは俺の元に着くと救急車の事が気になっていたのか『なんかあったんかな?』と救急車が走り去って行った方向を指差して言った。「なんやろな?別に気にする事もないんちゃう?」 俺は知らないふりをして 「それより何食べる?」 するとカオリは少し考えた後 『ファミレスいこっか?』と言ったので俺たちはファミレスに向かった。
2006-04-27 19:44:00 -
165:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
ファミレスに入り席に着くとカオリはなぜか落ち着きもなく辺りを見回している。『どうしたん?さっきからキョロキョロして落ち着きないけど…なんか気になるん?』「うん。ちょっとね…。」そう言うとカオリはまたキョロキョロと店内を見渡す。その時カオリの目の動きが治まり一点を見つめだした。俺はカオリの視線の先が気になりカオリの見ている方向を見てみた。その先にはみた事があるような男の店員がいた。《んっ?あの男どっかで見た事あるような…。あっ!カオリの彼氏や!!》俺が思い出したと同時に男はカオリに気付いたみたいでこっちに向かって歩いてきた。
2006-04-27 20:03:00 -
166:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
『カオリ誰こいつ?』 俺たちの所に来た男は、カオリを見つめながら言った。カオリは男の目を見つめながら「アンタとはもう終わったんやし関係なくない?それより仕事に戻ったら?」 と機嫌が悪そうに言った。《今、確かにアンタとは終わったって言ったよな?》俺はどうしたらいいのか解らず二人を見ていた。 『終わったって…。俺はあんなん納得いけへん。もう一回考え直してくれや。』男の方はとても未練があるみたいだ。どうにか引き止めたいらしい。だがその言葉にしびれをきらしたのか「もう無理やって。てかこの人アタシの彼氏やで?そういう事やからバイバイ。」カオリは冷たく言い放った。
2006-04-27 21:59:00 -
167:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
カオリの言葉はそうとうなダメージを与えたようだ。男はきつく俺をにらみつける。『てか、話聞いたやろ?さっさと仕事に戻ってくれへん?雰囲気ぶち壊しや。』にらまれたせいか自然と言葉が出ていた。《なんかあったらガイコツがおるしな。》内心緊張はしていたがガイコツのおかげで強気な態度がとれる。男はチッと舌打ちをした後、店の奥の方へ戻っていった。 「巻き込んでごめんね。」男が去った後カオリは申し訳なさそうに俺に言った。 『別に気にしてないで!でもどうしたん?相手は結構未練あったみたいやん。』「んー。もともとアイツとは性格合わなかったからしんどかってん。それに少し気になる人できたしね。」《おっ!もしかして俺の事ちゃうん?》そう思いながらもそこには触れないで…『そうなん。変な事聞くけどどんな別れ方したん?』するとカオリは笑いながら 「バイト終わってからメールでふっちゃった。」 と簡単に言った。どうやら未練は全くないようだ。
2006-04-27 22:17:00 -
168:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
その後他愛もない話をしながら夕食を済ませて俺たちはファミレスを出た。周りはすっかり暗くなり、クリスマスのイルミテーションがとても綺麗だ。気のせいかとてもカップルが多いように見える。《周りから見たら俺達もカップルに見えるんやろーな。》と少しうぬぼれながら歩いていると駅前の大きなツリーの前に着いていた。「わぁ。めっちゃキレイ!ノブユキ君一緒に写真撮ろぉ。」カオリはツリーに感動したのか目を輝かせながらデジカメを取り出した。俺がデジカメを持ち二人で記念撮影をした。体が密着したので緊張し心臓の音が聞こえないか心配だった。 『これからどうする?もう暗いし帰る?』 写真を撮り終え聞いた。 「そうやな。帰ろっか?」『一人で帰るん危ないし俺家まで送ったろか?家はこっから遠いん?』 「えっ、本間に?じゃあ送ってほしいなぁ。多分帰り道ノブユキ君と同じ方向だと思うよ。家は昨日財布落とした所の近くやからね。」俺たちは暗くなった夜道を歩きだした。
2006-04-27 22:36:00 -
169:
☆
。
2006-04-28 11:44:00 -
170:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
いつのまにか俺たちは昨日財布が落ちていた所に着いていた。帰り道にカオリはなぜか一言も話をしなかった。俺も何を話したらいいのかわからずに黙っていた。『ノブユキ君ありがとう。アタシの家こっちやから。もうここでいいよ。今日はありがとうね。楽しかったよ。』「俺も楽しかった。またどつか遊びにいこな。」 そして、俺がその場から立ち去ろうとした時 『ちょっと待って!ノブユキ君に話あるんやけど…』 急にカオリが引き止めた。
2006-04-28 12:48:00