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【魔の召使い】
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1:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
冬も深まり始めた12月の事だった。友人のトモキが自殺した。原因はいじめ…。トモキとは幼い頃からの友人であり、よきライバルだった。だがいじめの事については一言も相談してくれなかった。トモキは俺に心配をかけないように自分一人で抱え込んでいたのだ。 《ちくしょう!!トモキの奴いじめなんかに負けやがって!なんで俺に相談してくれへんかったんや?力になってあげる事もできたかもしらんのに…》 疑問ばかりが頭の中をかけめぐる。考えても考えても答えなどでるはずもない。そうして俺が考えている間に形式だけの葬式は終わりを迎えようとしていた。火葬場に迎う前に最後にトモキの顔を見る事ができた。 マネキンのように無表情で生気のない顔だったが俺にはトモキがとても悔しがっているように見えた。
2006-04-10 22:36:00 -
182:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
……ジリリリリ……ジリリリリ……いつのまにか寝てしまっていたみたいだ。目覚ましを止め俺は体を起こした。《結局昨日あの後どうなったんやろ?オトンとオカンは仲直りしたんかな?》目覚めてすぐにその事が気になった。もともとの火種は俺がオカンの浮気を暴露したためだったので、やはり気になった。机の方を見るとガイコツは俺の椅子に腰掛けていた。俺が起きたのに気付き 『おはようございます。』と俺に声を掛ける。《コイツ昨日あの後どうなったか知ってるんちゃうかな?》「なぁ、昨日あの後ってどうなったか知ってる?」 と聞いてみた。すると 『ご主人さまがお眠りになった後の事でございますか?あの後は、夜遅くまでもめていたみたいですが、夜中になり急に静かになりましたよ。』 と答えた。《よかったぁ。きっとなんとか仲直りしたんやな。》俺は安心してリビングに向かった。
2006-04-28 21:42:00 -
183:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
リビングのドアを開けた瞬間俺は凍り付いた。リビングはめちゃくちゃに荒れ果てていた。そこらじゅうに粉々になった食器が散乱し、壁には穴が開いている場所があった。あの後もの凄い夫婦喧嘩があった事は簡単に予想できた。ソファーに目をやるとソファーには大量の血らしきものが付いている!《まさか…。嘘やろ…。》俺は食器の破片を踏まないように注意してソファーに向かった。ソファーに近づくに連れてソファーの前のテーブルが段々と見えてきた。テーブルの上には置き手紙らしき物が見える。そこにも大量の血らしき物が見えた。ソファーの目の前まで来た時に、ソファーとテーブルの間にオカンが横たわっているのが見えた。《嘘やろ?》俺は目を疑った! オカンは首をばっさりと刃物で切られ目を開けたまま死んでいた。そうとう苦しんだのだろう…。辺りには血が飛び散っていた。《そんな訳はない!これは夢や!俺は悪い夢を見てるんや!》必死に自分に言い聞かせていた時、置き手紙が目に入る。
2006-04-28 21:57:00 -
184:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
のぶゆきへ お父さんはあの後お母さんと大喧嘩になり、怒りに我を忘れ気付いた時にはお母さんを殺してしまっていました。お父さんは罪を償います。お前ももう子供ではないので一人の力で頑張って生きて行ってください。
2006-04-28 22:01:00 -
185:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
信じられないぐらい勝手な内容に俺は唖然とした。《罪を償うって…。警察にでも行ったんか?》俺はどうしたらいいかもわからずにとりあえずオヤジの携帯を鳴らしてみた。すると… ……ピリリリリ……ピリリリリ……しずかなリビングに携帯の着信音が響き渡った。リビングの隣にはオヤジとオカンの部屋がある。そこから着信音が聞こえてきたのだ!俺はまたまた食器の破片を踏まないように気を付けながら、オヤジとオカンの部屋に向かった。
2006-04-28 22:07:00 -
186:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
ガチャ。オヤジとオカンの部屋のドアを開け中を覗き込む。電気がついてなく薄暗くて中の様子は見えづらい。俺はゆっくりと部屋の中に入った。《これじゃあなんも見えへんわ…。確かここら辺に電気のスイッチがあったよな…。》手探りでスイッチを探す。…パチッ。割りと早く見つかり電気が付いた。その時、俺の頭に何かの雫が落ちてきた。《うわっ!びっくりした!何やねんこれ!》いきなりだったのでかなりびっくりした。気を取り直し部屋の中を眺めようと視線を部屋に向けた時、俺の目の前に何かがぶら下がっているのに気付いた。俺は目線を上にする…。《えっ…もしかして…うわっ!》俺は腰を抜かした。そう、俺の目の前にあったのは首を吊ったオヤジの死体だったのだ!!
2006-04-28 22:20:00 -
187:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
《何がどうなってるねん!何で?何でこんな事になってしまったん?》俺は一人パニックに陥った。 『なぁ、これってどういう事なん?なんで二人とも死んでるん?』 俺はそんな事など知るはずもないガイコツに聞いた。「さぁ…。私にはわかりかねません。お互い感情的になりすぎたのでしょう。人間という物はすぐに感情的になるみたいですしね。」と冷静にガイコツは俺に説明した。 『これから俺にどうしろって言うねん!最悪やわ。』俺が一人で嘆いていると、「言い方は悪いですが口うるさい者がいなくなってよかったのではないでしょうか?これでご主人さまは誰かにうるさく言われる事もなくなったので自由でございますよ?」 そう言った後、ガイコツは少しにやついた様に見えた。
2006-04-28 22:28:00 -
188:
名無しさん
しおり
2006-04-29 14:42:00 -
189:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
俺はガイコツかにやついたのを見逃さなかった! 『何がおもろいねん!』 ガイコツに怒鳴り付ける。「いえ、何もおかしい事などございませんよ。どうななさいましたか?」 少しあせったようにガイコツは答えた。《絶対おかしい!もしかしてコイツ…》『お前のしわざやろ?お前がオトンとオカンになんかしたやろ!じゃないとこんなんなるはずない!どうやねん!正直に言ってみろや!』 気が動転していた俺は顔を真っ赤にしてガイコツに詰め寄った。するとガイコツはますますあせったように「めっそうもございません!私がご主人さまの命令もなしに何かすると思いますか?とんだいいがかりでございます。ご主人さま気を確かに持ってください。」と少し後ろに下がりながら言った。
2006-04-29 20:32:00 -
190:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
《びびりすぎや!あきらかに怪しい!絶対コイツがなんかしたんや。脅したら吐くかな?》ガイコツの態度を見てそう思った俺は 『正直に言えや!お前この前も俺の許可なしに勝手にオカンに魔法かけたやんけ!昨日俺が寝てる間オトンとオカンにかけたんやろ!』 と怒鳴り付ける。するとガイコツはため息をついて 「いい加減にしてください。それをした所で私になんの利益があるのですか?」とあきれはてた態度を取った。その態度は俺の怒りを余計に大きな物にした。 『この嘘つきが!お前俺に嘘ついたらあかんのんちゃうんか?認めろや!決まりを破ったらあかんねんやろ?お前が決まりを破るんやったら俺も破ったるわ!お前みたいなしもべなんかいらんわ!魔界に帰れや!』
2006-04-29 21:54:00 -
191:
享楽 ◆MWWd7XAwZQ
俺は言ってはいけない言葉を言ってしまった。ガイコツはその言葉を聞き慌てて「ご主人さま。今のお言葉をお取り消しください!今のお言葉は契約破棄にあたります。早くお取り消し頂かないと大変な事になります。お願いです。私の意識があるうちに!」 と俺に言った。なんだかものすごく焦っていたみたいだが俺は取り消す気はなかった。《コイツが決まりを破ったんやし、契約破棄しても俺は悪くないやん!》『じゃあ認めろや!んで俺に謝った後、魔法でオトンとオカンを元に戻せ!じゃあ取り消したるわ。』 俺は勘違いをしていた。この時の俺はガイコツが契約破棄を取り消せと言ってるのは、本に戻りたくないからだと思っていたのだ。 「信じてください。私は何もしておりません。嘘などついておりません。早くお取り消しください。」 そう言った直後だった。急にガイコツは力なくその場に倒れこみ動かなくなった。
2006-04-29 22:08:00