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SAKURA
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1:
りこ ◆1qvVKAOlVI
さくら…元気にしてますか?風邪などひいていませんか?お姉ちゃんは元気です。
…あの頃より
…強くなりました。2006-06-15 04:54:00 -
2:
りこ ◆1qvVKAOlVI
小学四年生の春。
りこ「行ってきます。」
母「行ってらっしゃい。」
いつもの朝の光景。
私は四年生になったばかりで、クラス変えをしたばかりのまだ、なじめてない教室を思い浮かべ、重いあしどりで学校へとむかった。2006-06-15 05:00:00 -
3:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私の家は九人家族の大所帯で、祖父母、父、母、兄二人、私、妹、弟で構成されていた。
妹と弟は母親が違ったが、母はなんの違いもなく平等に育てていた。2006-06-15 05:06:00 -
4:
りこ ◆1qvVKAOlVI
元々私達の父親は極度の女好きで、何人か女の人を囲っており、滅多に家には帰ってこなかった。
モノゴコロついたころからそうだったので、小学生の私は「そんなものだろう。」と軽く考えていた。
…慣れてしまっていたのだろう。2006-06-15 05:10:00 -
5:
りこ ◆1qvVKAOlVI
そのわりに体裁を気にするのか(本人は自分の事を棚にあげて)しつけや教育にはうるさかった。
その証拠に、兄二人は有名私立の学校に行き、寮生活をおくっていた。
私も友達と遊ぶ暇もないくらい習い事をさせられ、家に帰るのは毎日、日が暮れてからだった。
妹と弟はまだ幼かったが、私立の幼稚園へと通っていた。2006-06-15 05:18:00 -
6:
りこ ◆1qvVKAOlVI
兄弟みんな仲は良かった。だけど私が1番可愛がっていたのは五歳の妹、さくらだった。
人見知りで滅多に懐かないさくらだったが、私にはベッタリで、何でも私の真似をしたがった。
それが私には可愛くてたまらなかった。
同性というのもあったのだろう、とにかく何でもしてあげたかった。2006-06-15 05:25:00 -
7:
りこ ◆1qvVKAOlVI
その日私は学校から帰ると、家がいつもと違う。
りこ「ただいま…」
………………………。
りこ「…?」
いつもなら、「おかえりなさい」と誰かが言ってくれる。
なんともいえない不安を抱きながら、居間へとむかった。
……誰もいない。
居間のテーブルの上には置き手紙が置いてある。
「りこへ
お母さんが倒れたので、病院にいきます。さくらとしんちゃんを幼稚園までむかえに行ってください」
手紙にはそれだけ書いてあった。2006-06-15 05:36:00 -
8:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私は目の前が真っ白になったが、すぐに妹達の事を思いだし、幼稚園へとむかった。
幼稚園へ着くと、私も受け持ってもらっていた先生が来て、「りこちゃん、お久しぶりだね。お家からは連絡あったよ。大丈夫?今さくらちゃんとしんちゃんよんでくるからね。」と優しく声をかけてくれた。
園児用の小さな下駄箱の前にしゃがみこむと、急に心臓の音が大きくなるのを感じた。
―お母さんどうしたんだろう…―
その時、
「お姉ちゃーん」
さくらがしんちゃんの手を引っ張って、かけよってきた。2006-06-15 05:47:00 -
9:
りこ ◆1qvVKAOlVI
さくら「今日はお姉ちゃんがお迎えなの?うれしいな!ね、しんちゃん。」
しん「おかぁさんは?」
無邪気に笑う妹達を見て、哀しさと不安が入り交じる何ともいえない気持ちになったが、(私はお姉ちゃんだから)と自分に言い聞かせた。
りこ「お母さんはちょっと身体がイタイイタイやから、病院にいってるの。でも心配ないってよ。すぐ帰ってくるっておばぁちゃまが言ってるからね。」
しん「イタイイタイの?」
さくら「さくらヨシヨシしてあげに行ったらダメ?」 りこ「大丈夫だよ。心配しないで。」2006-06-15 05:56:00 -
10:
りこ ◆1qvVKAOlVI
妹達は心配しているものの、あまり意味がわかっておらずそれは私にとって救いだった。
先生方に軽く挨拶をして、私は妹達の手をひきながら幼稚園を後にした。
誰もいない家に帰るのがなんとなく怖くて、途中駄菓子屋で飴を買ってあげて、児童公園へとむかった。
人気のない児童公園で、声をあげて笑いながら遊ぶ妹達を、ブランコに揺られながらぼーっと見ていた。
―お母さん大丈夫かな…―
妹達は一時間くらい遊んで「疲れたぁー」といいながら、私のもとへかけよってきた。
りこ「そろそろ帰ろっか」2006-06-15 06:06:00 -
11:
りこ ◆1qvVKAOlVI
家に帰ると、祖母が母親の部屋にいた。
私は妹達を居間に連れていき、テレビをつけてあげた。なんとなく、妹達の前で祖母の話しを聞きたくなかった。
妹達がテレビに夢中になってるのを確認して、祖母の元へとむかった
祖母「あ、りこ。ごめんね。さくら達迎えに行ってくれてありがとう。」
そんなことより不安だった私は急かすように聞いた。
りこ「お母さんは…?」
祖母「…。ほんと幸子さんはねぇ迷惑かけて…。」2006-06-15 06:15:00 -
12:
りこ ◆1qvVKAOlVI
祖母と母は仲が良くなかった。というより、祖母は母に何かと厳しくあたっていた。
私やさくらの前でも、祖母は平気で母の悪口を言った。
私はそれを聞くのがとても嫌で、幼いながらに祖母に苛立ちを感じる事が多々あった。2006-06-15 06:19:00 -
13:
りこ ◆1qvVKAOlVI
りこ「…お母さんは大丈夫なの?どこが悪いの?」
祖母「お母さんは自殺しようとしたんだよ。意識はもどったけど、入院することになったんだよ。今おじいちゃまとお父さんが病院にいるけどね。おばあちゃまも下着とかもってまたすぐ病院もどるから。」
りこ「………。」
私は泣く事もできず、ただただ哀しくなった。
(なんでお母さん自殺なんかしようとしたん?)
(私達がいるのになんでなん?)2006-06-15 06:27:00 -
14:
りこ ◆1qvVKAOlVI
続きはまた明日書きます。見てくれてる人がいたらうれしいです(^-^)
2006-06-15 06:33:00 -
15:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母が入院して数日がたった。祖母達は何回か病院に見舞いに行っていた。
私も行きたかったが、今は駄目だと連れていってはもらえなかった。
母がいない家は妙に薄暗く、私は家に帰るのが嫌で、習い事がおわっても寄り道をして帰るようになった。家に帰りたくないわけはもうひとつあった。2006-06-15 07:38:00 -
16:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母が入院してから、なぜか父が帰ってくるようになったのだ。妹達が寝てしまうとまた違う家に帰ってしまうのだが…。 父と母はもう何年も前から折り合いが悪く、顔をあわせば喧嘩をしていた。 マザコンだった私は、そのたびに母を守るために父親へ食ってかかっていた。 父親はそれが気に入らないらしく、私はそのたびにボコボコにされた。
2006-06-15 07:44:00 -
17:
りこ ◆1qvVKAOlVI
父に殴られることはとても恐怖だったが、それよりも母を傷つける父親が許せなかった。
母が入院した理由も、父親が原因だとわかっていた。父親の女癖が原因…。
私はますます父親に対して反抗的な態度をとっていった。2006-06-15 07:48:00 -
18:
りこ ◆1qvVKAOlVI
妹達は、父親が珍しく家にいるので嬉しそうにしていた。母がいない寂しさを埋めている。
たとえそれが憎い父親であっても、私は安心した。
妹達の寂しそうな顔を見ないですむのなら…と。2006-06-15 07:52:00 -
19:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母が入院して二ヶ月近くたったある日曜日、ようやく母の見舞いに行けることになった。退院も近いらしいが、一刻も早く母に会いたかった。
妹達もわかってるのかわかってないのか、ニコニコしながら父親の車へ我さきにと乗り込んだ。
病院につき、駐車場へと車をとめると、祖父母が先に病院の中へと入っていった。2006-06-15 07:58:00 -
20:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私達は何故か病院内には入らせてもらえないらしく、駐車場で妹達と影踏みをしながら母をまっていた。父親は車の中でダルそうに新聞を読んでいる。
その時、母が祖父母達とでてきた。かなり痩せていたが、変わらない笑顔でこっちに歩いてくる。
「おかぁさ〜ん……!!」妹達は走って母親に飛び付いた。2006-06-15 08:03:00 -
21:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母親は唇を噛み締め、妹達を抱っこした。
そして妹達に先をこされ、モジモジとしてる私の所へ来て抱きしめてくれた。私は母が入院してから初めて泣いた。安心したせいか、涙がとまらなかった。
母は私を抱きしめたまま、何度も「ごめんね、ごめんね…」とつぶやいた。
母の肩も震えていた。2006-06-15 08:10:00 -
22:
りこ ◆1qvVKAOlVI
その後、何度かお見舞いにいったのち、ようやく母が退院してきた。
さくらやしんちゃんも、母と一緒にいれる事がとても嬉しいらしく、退院した母の後をくっついてまわっていた。
―ようやく、普通の生活にもどれる…―
そう思っていた。2006-06-15 08:16:00 -
23:
りこ ◆1qvVKAOlVI
そんなある時、さくらがヤクルトをもって私の横にちょこんと座った。
私はヤクルトをあけてあげてそれを渡すと、さくらがヤクルトを飲みながら、
さくら「お姉ちゃん、お母さんまだイタイの?」
りこ「え…?」2006-06-15 08:21:00 -
24:
りこ ◆1qvVKAOlVI
りこ「大丈夫だよ。さくらは優しいね」と頭を撫でてあげると、安心したのかヤクルトを飲みほし、私のひざ枕で昼寝をはじめた。
さくらは恐ろしいほど感受性が強く、人の顔色を見るこだった。小さいくせに、人の気持ちを感じるのが上手だった。
だから怖かった。母が退院したにもかかわらず、日に日に弱っているような気がしてるのが。認めたくなかったのに……2006-06-15 08:28:00 -
25:
りこ ◆1qvVKAOlVI
「りこへ
さくらとしんちゃんを迎えに行ってください。」
(ざわざわ…)
普通の置き手紙なのになぜか不安がはしった。2006-06-15 08:34:00 -
26:
りこ ◆1qvVKAOlVI
祖母は展示会かなんやらでいない。こんなときに限って…!母は買い物…?いや、こんな時間に行かないはず。私は母の部屋へと走った。
…荷物がない。母のクローゼットの中の洋服や、鞄は半分ほどなくなっていた。
不安は的中した。2006-06-15 08:39:00 -
27:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私は半狂乱になって、祖父の会社に電話をした。混乱してたため、何を言ったか覚えてないが、祖父はとりあえずすぐ戻る。と言った。祖父や父が帰ってくる間、私はずっと泣いていた。妹達を迎えに行くことも忘れるぐらい…。
2006-06-15 08:44:00 -
28:
りこ ◆1qvVKAOlVI
一時間近くたち、ようやく祖父と父が帰ってきた。祖父も父もさすがにあわててあれこれ動きまわっていた。私は気が動転してしまっており、その時の事をよく覚えていない。
覚えているのは、イライラした父親が、私を殴りつけ、急いで妹達を迎えにいったこと。2006-06-15 08:49:00 -
29:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母はその日を境に帰っては来なかった。
私達は置いていかれた…。2006-06-15 08:51:00 -
30:
りこ ◆1qvVKAOlVI
母は私の部屋に手紙を残していた。
「ごめんね…弱いお母さんを許して。さくらとしんちゃんをよろしく頼みます」お母さん、私にはむりだよ。さくらにもしんちゃんにも、まだまだあなたが必要です…。そして私も。
私は毎日手紙を読み返し、何度も何度も泣いた。2006-06-15 08:56:00 -
31:
りこ ◆1qvVKAOlVI
さくらは母がでていった事を知っていた。母がでていってから、泣き虫だったさくらは泣かなくなった。
そしてあの日から二度と、「お母さん」と口にすることはなかった。
まだ甘えたい時期なのに、こんなちっちゃな子が大人に気を使わせないように、お母さんの悪口を言われないようにと気遣っている。そんなさくらの姿を見ると無償に涙がでた。2006-06-15 09:04:00 -
32:
りこ ◆1qvVKAOlVI
しかし、母がでていって数日たったある日、さくらとしんちゃんが行方不明になった。祖父母は青くなって捜しまわり、父も車で捜しにでた。私も自転車で人に聞きながら捜していた。
捜索願いもだし、皆で懸命に捜し回り、ようやく見つかったとの情報がはいった。二人は大人の足でも30分はかかる場所にいたらしい。一体どうして…?2006-06-15 09:13:00 -
33:
りこ ◆1qvVKAOlVI
祖父母も父も安堵と同時に呆れており、どうしたのと妹達にたずねていた。
しんちゃんはあっけらかんとしており、さくらはうつむいてだまったままだ。二人共、何度もこけたのかひざ小僧を擦りむいており血がにじんでいた。2006-06-15 09:17:00 -
34:
りこ ◆1qvVKAOlVI
しんちゃん「あのねー、ぼくたちお母さんさがしにいったの。でもどこにもおらんかったよ。」
りこ「………。」
さくらは目にいっぱい涙をためていた。
私は切なさでいっぱいになり、さくらを抱きしめた。…母のかわりに。2006-06-15 09:21:00 -
35:
りこ ◆1qvVKAOlVI
今日はここで終了します
(^^ゞ2006-06-15 09:23:00 -
36:
りこ ◆1qvVKAOlVI
いくつか季節が繰り返し、私は小学六年生になっていた。
父親への反発心も前よりもっと強くなり、私がいわゆる[不良]と呼ばれるものになっていったのもこのころだ。2006-06-16 04:01:00 -
37:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私は年上の友達が多くいた。
原チャリの盗みかたや、暴走族の名前、シ〇ナーなど多くの悪いことをこの時期に教わった。
それらは父親に対しての反抗心だけではなく、私の好奇心の対象でもあった。
私が後ろ指をさされることが、体裁を気にする父親へのあてつけでもあり、快感でもあったのは確かだが…。2006-06-16 04:13:00 -
38:
りこ ◆1qvVKAOlVI
金髪に近い茶色の髪。眉毛は半分なく、たりない部分は自分で書いていた。耳には2Gのボディピアス。
…全てカッコイイと思っていた。2006-06-16 04:54:00 -
39:
りこ ◆1qvVKAOlVI
学校へもほとんど行かず、近くの神社でたまって面白そうな事を考え、遊んでいた。
当然父親がだまっているはずもなく、毎日のように殴られてはピアスやタバコを捨てられた。
―また盗めばすむ事…―
反省など全くなかった。2006-06-16 05:00:00 -
40:
りこ ◆1qvVKAOlVI
私は荒れたまま、中学に入学した。
入学して驚いた。
私のような人間がゴロゴロいることに。2006-06-16 05:04:00 -
41:
りこ ◆1qvVKAOlVI
その頃、さくらは小学三年生になっていた。
擦れることもなく、まっすぐに育っていた。2006-06-16 05:10:00