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運営運営
?八ヶ月?
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1:
琉奈
あれは…そう、19歳の時。たった八ヶ月間の初恋の思い出…。
2005-07-20 01:47:00 -
2:
琉奈
想いさえあれば、強く願う心さえあれば、何でも叶うと思ってた。仕事も順調だったし、お金もある、友達もたくさんいた。でも何となく退屈にすぎていく毎日に飽き飽きして、夜中に寮を飛び出した。人通りの少ない道。タクシーもほとんど走っていない。やきもきしながらタクシーを待つあたし。行き過ぎる人達があたしを見て声をかける。『送ってあげようか?』『……』
2005-07-20 14:45:00 -
3:
琉奈
あたしに声をかけないで。そんなオーラを出しながら、とりあえず刺激しない様に彼らが行き過ぎるのを待つ。ブォォォ……30秒程して、応答しないあたしに飽きたのか車の発信音が聞こえた。…良かった。あんなのに付いていったって絶対ロクな事ないよ…。
2005-07-20 14:52:00 -
4:
琉奈
タクシーを待つ間だけでも、知り合いに来てもらおうかな…そんな事をぼんやり考えながら、道に座り込む。少し身を屈めて車道をのぞくと、少し遠くにタクシーの行灯が闇夜にぼんやりと光っているのが見えた。
2005-07-20 14:59:00 -
5:
琉奈
助かった…。とっさに立ち上がって手をあげる。タクシーは少しスピードを下げてあたしの前でスーッと止まった。カチャ…静かにタクシーの扉が開く。『こんばんわ。こんな遅くに若い女性が一人で危ないですよ』初老の親切そうな運転手が話しかけてくる。
2005-07-20 15:05:00 -
6:
琉奈
あたしはタクシーに乗り込みながら、『そうだね』と運転手の言葉に相づちをうった。『どちらまで?』バムッ…扉を閉めて、バックミラーであたしをみながら運転手が、徐行運転を始める。『難波…道頓堀までお願いします』『え?道頓堀だったら一時間弱かかっちゃいますよ?』『いいです、行って下さい』『……かしこまりました』
2005-07-20 15:17:00 -
7:
名無しさん
八ゲ月
2005-07-20 16:43:00 -
8:
琉奈
あたしの住む、この尼崎から大阪の道頓堀まで、頑張ってもタクシーで40分はかかる。行き過ぎる街のネオンを見ながら、あたしは目をつむり、ウトウトと眠りについた。
2005-07-21 00:15:00 -
9:
琉奈
浅い眠りにつきながら、あたしは昔よく行った道頓堀にあるパブの思い出を思い返していた。あの頃はまだ、夜中でも明るい街並みに馴れなくて、目に映るもの全てがまぶしくて、あの街に行く度、違う自分になれた様な気がしていた。
2005-07-21 00:20:00 -
10:
琉奈
あの頃もあたしは家出同然で家を飛び出し、この街に住み着いていたっけ。一度家に連れ戻され、それでもやっぱり親との暮らしに馴れなくて、またこの街に舞い戻ったあたしは…もう、あの頃の様に純粋な気持ちで頑張れなくなってる。
2005-07-21 00:26:00 -
11:
琉奈
だからこそ、あの頃のあの街へ。あの店へ…もう一度行けば何かが変わる気がして、自然に足が向いてしまった。
2005-07-21 03:42:00 -
12:
琉奈
『……』どのくらい走ったんだろうか…瞼に写る光がまぶしくて、あたしはそっと瞳をあける…。すると、それに気づいた運転手があたしに声をかけた。『お客さん、よく眠ってられましたね。もう着きますよ』
2005-07-21 12:14:00 -
13:
琉奈
窓の外の景色は、あたしが乗り込んだあの街から、もうすっかり一変していた。一瞬昼間と見間違う様な光の洪水、人のざわめき、あふれかえる音…。なつかしい空気。あの店の人達は今もあたしを覚えているだろうか?それとも、毎日のようにバカ騒ぎしたあの日々を懐かしんでいるのはあたしだけ…?それよりも、移転したり、潰れていたりしたら……。
2005-07-21 12:23:00 -
14:
琉奈
急に不安になって、後先考えずに飛び出してきてしまった事を少し後悔した。…そうこうしているうちに車は懐かしい通りの前で徐行する。『この辺で…よろしいんですよね?』運転手が、あたしの方を軽く振り返った。
2005-07-21 15:48:00 -
15:
琉奈
『あ…えっと、その角で結構です』見慣れたビルの建つ交差点を指さして、小脇に抱えていた少し大きめの鞄から財布を出す。夜中という事もあり、カシャカシャと節操なく上がるメーターを見ながら、あたしは少し閉口した。
2005-07-21 15:54:00 -
16:
琉奈
『こんな夜中に乗ってくれて、おじさん助かったから』そう言いながらニコニコとしわくちゃの笑顔を見せて、運転手はさらにお金を差し出してきた。『…ありがとう』6000円ならまぁ、妥当な金額ってとこか。
2005-07-21 16:12:00 -
17:
琉奈
『じゃあ、ドア開けますよ』バムッ…ドアが開いて、あたしは足を下ろし、車内から上を見上げた。目の前にそびえ立つビルの7階には、今も残る『空龍』の文字。
2005-07-21 16:17:00 -
18:
琉奈
あった…!!よかった。少しホッとして、あたしは『おじさん、ありがとう』と運転手にもう一度お礼を言った。運転手は『気をつけてね』と軽く手を振り、バムッ…とドアを閉め、走り去って行く。あたしは少し小走りぎみにその道を渡ると、懐かしいビルの中へと入って行った…。
2005-07-21 16:27:00 -
19:
琉奈
エレベーターホールに立って、↑ボタンを押して、あたしは鞄の中から扇子を取り出す。それにしても今日は暑い。扇子を広げてパタパタ扇いでいると、チンという音と共にエレベーターが一階に到着した。
2005-07-21 22:34:00 -
20:
琉奈
エレベーターに乗り込み、7階のボタンを押す。心なしか何だかドキドキしてきた。2年ぶりなんだなぁ……。あの頃に比べると、あたしは随分太ってしまった…。何か言われるだろうか…。
2005-07-21 22:39:00 -
21:
琉奈
チンッ…またエレベーターが鳴る。そして小さなカタカタという音と共にエレベーターが開いた。『…?』店へ通じるエレベーターホールは何故か真っ暗だった。でも脇にある看板は光々と光っているし、閉店してるという訳ではなさそうだ。ガラス扉の店の中からもオレンジ色の明かりと微かなレゲーの曲がもれている。
2005-07-22 15:37:00 -
22:
琉奈
すー…、はー…。よしっ。カランカラン…。呼吸を整えていざ店の中に踏み込む。…と、見たこともない子がカウンターの中でグラスを洗っていた。『……』『……』その小柄で線の細い男の子…?はグラスを洗う手を止め、あたしの事を不思議そうに見ている。
2005-07-22 15:47:00 -
23:
琉奈
まさかまだ準備中!?『…開いてるんですよね…?』やっぱり先に電話の一本でも入れておくべきだった。そう後悔してももう、遅い。突っ立ったまま、次の言葉を待つあたしに、彼は一言『どうぞ』とカウンターのイスを指さし、また黙々とグラスを洗い始めた。
2005-07-22 15:54:00 -
24:
琉奈
よかった…開いてた…んだよね?っていうか、何でこの子こんなに不愛想なの!?久しぶりにこの店に来れてホッとしたのもつかの間。あたしの胸の中からは小さな怒りがフツフツと沸き上がってくる。
2005-07-22 16:04:00 -
25:
名無しさん
しおりω?
2005-07-22 22:15:00 -
26:
琉奈
カウンターの男の子は、あたしの存在など見向きもせず、カチャカチャと小さな音をたてながら、たまっているグラスや灰皿を黙々と洗い上げてゆく。『…』さすがのあたしも、ここまで完璧に無視されると、突っかかる気力も失ってしまった。とりあえず、洗い物が終わるまで待ってみる……。
2005-07-25 16:28:00 -
27:
琉奈
両肘をカウンターにつき、両掌に顎を乗せて、あたしは暇つぶしにボーっとその男の子を観察していた。…小柄で華奢な体つきに小麦色の肌。だぼっとした大きめの白のサマーセーターがよく似合っている。年は…あたしより年下だろう。
2005-07-25 16:37:00 -
28:
琉奈
しばらくボーっとしていると、店の奥から何やら黒い影がゆらり…。『!!』突然背後から現れた人の気配にびっくりして振り向くと、そこにはノートと電卓を持って、懐かしい顔の従業員が立っていた。『はじめちゃん!!』『琉奈ちゃん!?久しぶりやん!2年ぶり…?くらいかな?』
2005-07-25 16:45:00 -
29:
琉奈
『うんうん!二年ぶり〜』ほんとに久しぶりに会う彼は二年前と全く変わっていなかった。懐かしさに笑みがこぼれる。『あれ?琉奈ちゃん、何も頼んでないん?』昔の話でキャッキャッと盛り上がっていたら、ふいにはじめがあたしの前のテーブルを見ながら不思議そうに言った。そうだった…。一瞬すっかり忘れてた…この無愛想な従業員の事を…。『ちょっと、あんた!!』
2005-07-28 23:34:00 -
30:
琉奈
『飲み物くらい聞きに来たらどうなの!?』カウンターの中、やっと洗い物が終わったのか、下を向いてタオルでごしごしと手を拭いている彼に、あたしは少し強めの口調で問いかけた。彼は、そんなあたしにびびる風でもなく、かといってナメてる感じでもなく、ペコッと一つ頭を下げてこっちに向かってくる。
2005-07-29 21:41:00 -
31:
琉奈
『すみません、洗い残しあると気になっちゃって…』あたしの前に立った男の子は、そう言いながら少しバツが悪そうに笑った。
2005-07-29 21:49:00 -
32:
琉奈
『…っ』その笑顔に、あたしの喉元まで出かかっていた彼への罵声の言葉は、ぴたりと喉の奥へ引っ込んでしまった。『もう……いいから。ビール…』そう言いながらあたしは鞄から煙草を取り出すと、吹口と先を持ってキュッとねじ上げた。
2005-08-19 10:29:00 -
33:
琉奈
その仕草をあたしの背後で見ていたハジメがあたしの顔をのぞき込む。『…何?』ニヤニヤ…『何よ』ニヤニヤニヤ『ふーん…』何だっていうのよ!ハジメの意味不明な態度に、頭の中?になりながら、煙草に火をつけようとする…と。目の前にヌッと火が出てきた。『わっ』
2005-08-19 10:36:00