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いつか、また…
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1:
七海
本当に好きな人が出来ました。
更新ペースは遅いかもしれませんが、気長に読んで下さい。2006-07-03 18:39:00 -
2:
七海
―もう誰かを好きになるなんて出来ない…―
真剣にそう思った。初夏の日差しが照り付ける7月、東京から、七海は逃げ出しすように田舎に帰った。2006-07-03 18:45:00 -
3:
七海
七海には将来を約束した恋人が居た。
ユキと言う名の同い年の恋人。出会ってすぐに付き合い出して、1年経つ頃には同棲、お互いの親も公認で周りの誰もが2人の将来を疑う事は無かった。2006-07-03 18:48:00 -
4:
七海
毎日一緒にいて、喧嘩してもすぐ仲直り、本当に幸せで近い将来を2人で語り合っては笑って…そんな日々がずっと続くハズだった。
…あの日が来るまでは・・・2006-07-03 18:52:00 -
5:
七海
ある日、七海がバイトからなかなか帰ってこない。ユキは七海に連絡をした。
『もしもし七海?どこにいるの?』【今ぁ?中野さんと一緒だよぉ〜らぁいじょぉぶぅ〜】七海は酔っているらしくろれつが回っていない。『そっか気を付けてな』そう言ってユキは電話を切った。2006-07-03 18:58:00 -
6:
七海
七海の言う中野さんとは、七海のバイト先、キャバクラのお客さんの一人。ユキもあった事がある人で、ユキは中野さんなら大丈夫だと、安心していた…。
しかしこの時、七海の異変にユキは気付いていなかった。2006-07-03 19:02:00 -
7:
七海
七海は俗に言う“ザル”だとゆうことをユキは忘れていた。そしてその日七海は戻らなかった。翌朝ユキは七海に連絡をした。
電源が切れているのか繋がらない。ユキは心配しつつも自分もバイトに向かう。2006-07-03 19:07:00 -
8:
七海
妙な胸騒ぎがしていた…。【何かおかしい…七海…】その日ユキがバイトから戻ると七海は布団で眠っていた。
七海の寝顔を見てホッとしたユキは七海を起こす事もなく、七海の隣で眠りについた…2006-07-03 19:11:00 -
9:
七海
ユキが目を覚ますと隣に居るハズの七海が居ない。シャワーを浴びているのか、水の音がする。家の中に居る事に安心したユキは七海が出てくるのを待つ内に、ウトウトしていた。
どのくらい経ったのか、ユキが目覚めるとそこにはいつもの七海…いや、何かおかしい。七海の体の至る所が赤くミミズ腫れの様になっていた。2006-07-03 19:16:00 -
10:
七海
よく見ると七海はうっすら涙を溜めて、ぼーっと視点が定まらないような感じで壁を見つめている。
『七海?どうした?』声をかけても反応が無い。『七海?おい!七海!?』体を揺すっても力なくガクガクと揺れるだけ…2006-07-03 19:19:00 -
11:
七海
七海の顔を覗きこむ。ユキを真っ直ぐ見ているハズなのに、目線が合わない…。まるで目の前にいるユキが見えていないかのように、ただ真っ直ぐ前を見ている。その瞳には今にも溢れそうなくらい涙が溜っていた。
2006-07-03 19:22:00 -
12:
七海
ユキはこの目を以前見た事がある。―アニキの目だ。―ユキは直感した。
ユキの兄は薬物依存性でよくぼーっとしていた。その兄と同じ目を、七海がしている。ユキは七海を正気に戻そうと必死に七海の名前を呼んだ。2006-07-03 19:26:00 -
13:
七海
どのくらい経ったのか分からない。ユキは七海を呼び続けた。気付けば七海はユキの呼び掛けにポロポロと涙を溢して答えていた。
『七海!おい、七海しっかりしろよ!』「…ユ…ちゃ…」『七海!?』「…ユ…キちゃん……ごめ…ん…し…ぱい…た…よね…?」2006-07-03 19:33:00 -
14:
七海
『もういいから。無理に喋るな。大丈夫ちゃんと居るからな』ユキは七海を抱き締めた。【中野…あいつだ…七海に何かしやがった…】ユキの瞳からも涙が溢れていた…
2006-07-03 19:36:00 -
15:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
それから数ヵ月―
七海とユキはあの日以来変わらず一緒にいた。あの日の事をユキも七海も口にする事は無かったが、2人の間には言わなくても空気で感じとれる何かがあった。2006-07-03 19:41:00 -
16:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
何があったかは、2人とも薄々気付いていた。七海の体の至る所にあった痣やミミズ腫れは少ししたら消えて、元通りになっていた。ただ七海はよく頭が痛いと寝込むようになって、ユキと一緒に入浴する事をかたくなに拒んだ。
2006-07-03 19:46:00 -
17:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
そんな2人の関係は近い内に終わりを迎える事になる…あいつらのせいで…。
2006-07-03 19:49:00 -
18:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
ある日の午後―
2人の部屋に訪ねてきた中年の男女。男の名は鈴木、50半ばのスラリとした長身。女の名は加藤、理想の母親像を実体にしたような優しそうなオーラを持っている。鈴木は呼び鈴を押した。中から出てきた七海は不思議な顔をして2人を迎えた。2006-07-03 19:55:00 -
19:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
「あのぉ…何か…?」見知らぬ男女を目の前に怪訝そうな顔をする七海。鈴木が口を開く。『進藤七海さんだよね?おじさんここから来たんだけど…』そう言って鈴木と加藤は懐から何かを出した。
2006-07-03 19:59:00 -
20:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
七海は黙って2人を招き入れた。七海の目の前に出されたモノ…それは2冊の警察手帳だった。
部屋に入ると加藤が口を開いた。『七海ちゃん。落ち着いて聞いてね?あのね…』「あたし、犯られたんですね。」薄々気付いていた七海は自分から切り出した。鈴木と加藤は少し驚いて目を見合わせた。2006-07-03 21:00:00 -
21:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
鈴木と加藤は細かい事を話し出した。七海はそれを黙って聞いていた。2人を真っ直ぐ見つめ、ただ静かに涙を流しながら…。
話が全て終わり、七海に決断が迫られた。このまま関わりたくないか…操作に協力するか――。2006-07-03 21:05:00 -
22:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
「……協力…します」七海は答えた。
今思えば、この決断が間違ってたのかもしれない。こんな決断しなければ、ユキと今も笑ってたのかな?ユキと七海の家族が出来てたのかな?ユキちゃん…七海、間違ってた?七海のせいでユキちゃん傷付けて、人生めちゃめちゃにして、ごめんね…。ユキちゃん、ユキちゃん…何度呼んでも、もう答えてくれないね。ユキちゃんごめんね…。2006-07-03 21:27:00 -
23:
七海 ◆8NBuQ4l6uQ
この日から、七海の戦いが始まった。
何ヵ月も前のうっすらとした記憶を探り、覚えてる事はどんな小さな事でも警察に伝える。思い出すにつれて徐々にはっきりする記憶。本当は消し去りたいあの日…。2006-07-03 22:12:00 -
24:
七海◆8NBuQ4l6uQ
――あの日、私は営業終了後野中さんとアフターで飲んでた。場所はいつもの居酒屋。ビール、日本酒、サワー…何をどれだけ飲んだかも覚えてる。
野中さんと適当な話をして、このグラスを空けたら帰ろうと言って…その時飲んでいたのは、グレープフルーツサワー…!それから、帰る前にトイレに行きたくて…。行きたくて…。……………。行った?行ってない?わからない…。ここでユキちゃんから電話があって、頭がやけにフワフワしてたんだ。そのあとの記憶が…無い…。2006-07-04 22:33:00 -
25:
七海◆8NBuQ4l6uQ
気付いたらソファで寝てて…そうだ!野中が外国の珍しい酒だって無理矢理口に液体を流し込んだんだ。
それから…。木目の天井…左に障子…目の前に裸の野中…「ヤダ…やめて…」『どうして?七海がイイって言ったんだよ?』「言ってない…やめて。やめて。やめて…」…白い布?何?…その向こう側で気味悪く笑う野中の顔…。2006-07-04 22:39:00 -
26:
七海◆8NBuQ4l6uQ
目が覚めたら最初のソファにいて…。服も着てた。あれは…夢?
でも、足がやけに痛い…。下腹部が違和感がある…。何これ…?怖い…。頭がフワフワして意識がハッキリしない。頭痛い…。ユキちゃん助けて…!ユキちゃん!私、絶対何かされたよ。でも分かんないの。覚えてない。夢か現実か分かんない…。2006-07-04 22:44:00 -
27:
七海◆8NBuQ4l6uQ
野中は七海のバックに何かを押し込んで、七海の手を引き車に乗せ、七海の店の近所で七海を降ろすと、タクシーに乗せる。運転手に行き先を告げお金を払う。タクシーは走り出した…
意識が朦朧としたまま、マンションにたどり着いた。七海は倒れこむように布団に入り眠った。2006-07-04 22:51:00 -
28:
七海◆8NBuQ4l6uQ
ふと目が覚めた。まだ意識は朦朧としている…。
「お風呂…体洗わなきゃ…」漠然とそう思った。多分あの時は本能だけで動いていた。シャワーを浴びると涙が溢れた。足が…腕が…しみる。七海は自分の手足を見て愕然とした…。2006-07-05 00:47:00 -
29:
七海◆8NBuQ4l6uQ
痣や擦り傷で腫れあがった足。指の跡がついた腕…。(犯られた…)そう思った瞬間に下腹部に激痛が走った。「…っ痛」思わず声をあげた七海が見たのは、真っ赤に染まり排水口に流れて行く水…。(何これ…!?ヤダ…どこから出てるの?)膝がガクガクと震える。痛みはお尻の方から感じられた。
2006-07-05 00:56:00 -
30:
七海◆8NBuQ4l6uQ
慌ててさっき脱いだ下着を見ると、アナルを中心に血が付いていた。(洗わなきゃ…!)七海は血の付いた下着をユキに見られたくなかった。自分の体も、下着も、洗い続けた。体は痛かったが、それよりも心が痛んで涙が止まらない。
どの位経ったのだろう…七海はユキの眠る傍に座り込んでいた。何をするわけでもなく、床にへたりこむ。ただユキの傍に居たかったのだろう。2006-07-05 01:02:00 -
31:
七海◆8NBuQ4l6uQ
やがてユキが目を覚ます。七海の異変に気付き体を揺する―――
全てを話したその後、加藤が口を開いた。『七海ちゃん…残念だけどあなたの記憶ね、間違いないわよ。野中はね、あなたとアフターを始めた所から、タクシーに乗せるまで全てをビデオに残してるの。おばさんそれ見たんだけど、あなたの証言とぴったり一致するわ…。』
2006-07-05 01:08:00 -
32:
しげ子
しおり?
2006-07-05 01:16:00 -
33:
七海◆8NBuQ4l6uQ
涙を流しながら七海は「そうですか…」とだけ答えた。『それからね…これ』加藤が出したのは数枚の写真。そこには七海の私物がびっしりと写っていた。手帳は1ページずつ、白紙のページまで。プリクラ、手帳に挟んでた写真、携帯、指輪…全てが写っていた。七海は気分が悪くなりトイレに駆け込んだ。
2006-07-05 01:16:00 -
34:
しげ子
しおり?
2006-07-05 01:17:00 -
35:
七海◆8NBuQ4l6uQ
涙を流しながら七海は「そうですか…」とだけ答えた。『それからね…これ』加藤が出したのは数枚の写真。そこには七海の私物がびっしりと写っていた。手帳は1ページずつ、白紙のページまで。プリクラ、手帳に挟んでた写真、携帯、指輪…全てが写っていた。七海は気分が悪くなりトイレに駆け込んだ。
2006-07-05 01:17:00 -
36:
七海◆8NBuQ4l6uQ
連続書き込みごめんなさい?
しげ子さんありがとう?
2006-07-05 01:19:00 -
37:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海がトイレから戻ると加藤の横に鈴木がいた。『七海ちゃん、おじさんユキくんに会ってきたよ…キミの証言と一致したよ。』と鈴木が言った。
七海はその場にへたりこんで言った。「どうして…?どうして勝手にユキに会うのよ!どうしてユキにこんな事話したの!?何でよ…ねぇ…どうして?」『…七海ちゃん仕方無いんだよ。操作…』鈴木の言葉を遮って七海は泣き叫んだ。「ユキには知られたくなかった!何でよ!何で勝手に会ったのよ!!答えてよ…。答えなさいよ!何であんたらがあたしの幸せ壊すの?警察なら何してもいいの!?」2006-07-05 01:28:00 -
38:
七海◆8NBuQ4l6uQ
泣き叫ぶ七海に鈴木がハンカチを渡そうとした…その時鈴木のふところから一枚の写真が落ちた。その写真を見て七海はそのまま倒れてしまった。
写真には全裸でもてあそばれ、縛られた状態の女が写っていた。間違いなくその女は、七海本人だった…。2006-07-05 01:34:00 -
39:
七海◆8NBuQ4l6uQ
―…嘘じゃなかった。信じたくなかった。でも、あれはあたし…。ユキもあれ見たのかな…。もう嫌われちゃったんだろうな…。ユキ…ごめんね。汚い体になっちゃった。もうユキに愛してもらえないね…。ユキ…ユキが愛してくれなくても、あたしずっとユキを愛してるよ…。ユキ…―――
目が覚めたのは、だいぶ時間が過ぎてからだろう。七海は警察の医務室にいた。傍らには加藤の姿。「加藤さん…」『七海ちゃん。ごめんなさいね。ショックだったわよね。本人に見せたらいけないものなのに…ごめんなさい。本当にごめんなさい…』加藤と鈴木が七海に向かって頭を下げる。「…いえ。大丈夫です。捜査に協力するって言ったのは私ですから。」そう言って警察を後にした。2006-07-05 01:43:00 -
40:
七海◆8NBuQ4l6uQ
それから数日―
七海は毎日のように警視庁に足を運んていた。時には裁判所の検事の所にも事情説明に向かう事もあった。現実を認めるのは悔しかったし、体力的にも精神的にも限界で何度かこのまま死んでしまおうとも考えた。しかしそんな七海を支えてくれたのは、野中への怒りの思いと、他でもないユキの存在だった。2006-07-05 01:51:00 -
41:
七海◆8NBuQ4l6uQ
優しいユキちゃん。あの後も変わらず私に接してくれてたね。ううん、変わってないと私に思わせてくれてたんだよね?ごめんね、気付けなくて。私、自分の事で精一杯でユキちゃんの気持ち分かってなかったね…。ユキちゃん…どうしたら、ユキちゃんに伝わるのかな?本当にごめんね…。
2006-07-05 01:54:00 -
42:
七海◆8NBuQ4l6uQ
事件発覚から数ヵ月。七海への事情聴取もほぼ終わりを向かえていた。そして、事情聴取を経て、七海の中で繋がらなかった記憶が、やっと繋がった。
ザルのはずの七海が飲酒により記憶が無かったのは、野中によって七海の飲み物に薬物を混入されていたからという事。七海以外にも沢山の被害者がいた事。七海以外の被害者の殆どに野中に暴行された記憶が無い事。2006-07-05 02:11:00 -
43:
七海◆8NBuQ4l6uQ
野中の名前は偽名で、田原という名前な事。それから何より衝撃を受けたのが、被害者の中には……殺害された人もいた事。
鈴木刑事が言っていた。七海に記憶があったのは、七海が最後の被害者で、殺害された人は七海の直前の被害者だったので、田原がびびって薬の量を減らしたからではないか…と。2006-07-05 02:16:00 -
44:
この事を聞いた時には、生きてられただけでも幸運だったって心から思った。
そして事件はテレビでの報道が始まった…―――" " "06/07/05 02:182006-07-05 02:18:00 -
45:
七海◆8NBuQ4l6uQ
毎日事件の事がワイドショーで取り上げられる。その内七海はテレビを見なくなった。
報道が始まってから七海は急に恐くなった。外を歩く…人とすれちがう。その人が振り返り、七海を見る。遠くにいる2人組が笑ってる。そんな当たり前な光景が、七海には恐怖でしか無かった。誰かが七海を見る度に【この人、七海が被害者だって知ってるのかも。七海の事知ってるから見るんだ。知ってるから笑うんだ…】そんな事あるはずが無いのに、七海は他人に脅え続けた。2006-07-05 02:24:00 -
46:
七海◆8NBuQ4l6uQ
そんな七海を支えてくれたのも、ユキだった。脅える七海を抱き締めて『大丈夫。七海の事は誰も知らない。七海は普通にしてたらいいんだ。大丈夫だよ。俺がいるから。』と七海が落ち着くまで頭を撫でてくれた。ユキに抱き締められたまま眠る事もよくあった。七海はユキが居ないと外にも出られない位、他人に脅えていた…。
2006-07-05 02:29:00 -
47:
七海◆8NBuQ4l6uQ
毎日ユキと居た。ユキだけが七海の支えで、七海はユキだけ居てくれたらそれで良かった…。
でもユキちゃんにはそれが重かったんだよね?ユキちゃん、七海自分の事ばっかりでユキちゃんが悩んでる事気付けなくてごめんね。今でもユキちゃんの事、大切に想ってるよ。ユキちゃんが居なかったら、七海は今ここに生きていられなかったもん。ユキちゃんごめんね…2006-07-05 14:27:00 -
48:
そうして月日は流れた――事件発覚からまもなく1年…ユキと七海は変わらず一緒に居た。そう、あの日から何も変わらず2人の時間が確かにそこにあった…。
そしてその日は突然やって来た―――" " "06/07/05 14:322006-07-05 14:32:00 -
49:
七海◆8NBuQ4l6uQ
最近ではテレビの報道であの事件を取り上げる事はなくなった。七海は少し落ち着いて、バイトを始めていた。
その日もいつものようにバイトを終え、ユキと暮らす部屋に帰る。今日の晩御飯はユキの大好きなハンバーグにしよう!スーパーで買い出しをして、部屋に戻る。「ただいまぁ〜!」誰もいない部屋に向かって一人で呼び掛けた。これもいつもの事。ただ、何故だか妙な胸騒ぎがした…。2006-07-05 14:40:00 -
50:
七海◆8NBuQ4l6uQ
いつもの時間になってもユキは戻らない。携帯を鳴らしても繋がらない。【ユキちゃんに何かあった…。】七海は直感して家を飛び出した。心当たりを全部当たったがどこにも居ない。七海は走り回った。コンビニ、公園、河川敷…。ユキの名前を呼びながら体力の続く限り走った…極度の疲労に足を止め、ふと気付けば辺りは夜明けで明るくなり始めていた。
2006-07-05 20:26:00 -
51:
七海◆8NBuQ4l6uQ
そのままタクシーに乗った…。言われた場所を運転手に告げる。もう、思考と体はバラバラで体が勝手に動いていた。
タクシーを降りる。待っていた刑事が駆け寄る。何か喋ってるけど耳に入らない。七海は心の中でただひたすらユキの名前を呼び続けた。そして刑事は小さな部屋の前に七海を連れていった。2006-07-06 12:04:00 -
52:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海は目の前のドアを開け中に入る。小さなベットで白い布をかけられた人が横たわっている。顔にかけられた布をめくると、見慣れたユキの寝顔…。触れるとひどく冷たくて、七海は静かに涙を溢した。
2006-07-06 12:18:00 -
53:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「ユキちゃん起きて…ご飯出来たよ。家帰ろうよ…こんなとこで寝てたら風邪ひくよ…ねぇ、ユキちゃん!」七海は信じたくなくて必死にユキを揺すり起こそうとした。ユキの手がベットからダラリと落ちた…。それを見て七海の中で何かが切れた…。
「いやぁぁ!!!ユキちゃん!ユキちゃんユキちゃん!起きてよ!早くっ………ユキちゃん…うぁぁぁーんいやぁー…!!」それから声も涙も枯れ果てるまで、七海はなき叫んだ。しかし、七海がどんなに泣いてもユキが目を覚ます事はない…。ユキの手を握っても、冷たくなったその手は握り返してくれない。ユキの胸に泣き付いても、もう抱き締めてくれない…。名前を呼んでも、微笑んでくれない。ユキは死んでしまった…。2006-07-06 14:43:00 -
54:
七海◆8NBuQ4l6uQ
ユキの葬儀が終わり、部屋を片付ける。不思議と涙は出なかった。不思議と寂しくはなかった。警察の話によると、ユキは公園で亡くなっていたらしい。遺体の側にアルコールの瓶と空になった睡眠薬の入れ物があったそうだ。
部屋を片付けていると、手紙が出てきた。ユキの汚い字で七海に宛てたものだった。2006-07-06 14:50:00 -
55:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海へ――
一人にしてごめんな。俺、どうしても自分が許せなかった。七海があんなに酔うわけないって知ってるのに気付けなくて、あのとききづいてたらってずっと思ってた。七海は偉いよ。悔しいのも怖いのも我慢して警察に協力した。よく頑張ったな。俺さ、七海の笑顔が大好きだった。けど、あれ以来七海が笑う度に、俺のせいでって思ってた。七海、お前はあんなにツライ事を乗り越えたんだから、絶対幸せになれる。だから笑ってくれ。七海は俺の自慢の彼女だったよ。大事な宝物だったんだ。ごめんな守れなくて。七海、最後にお願いがある。2006-07-06 14:59:00 -
56:
七海◆8NBuQ4l6uQ
俺の分も生きて幸せになってくれ。
俺は弱い人間だから、こんな事になったけど、七海なら大丈夫。頑張れ七海。ツラくなったら空見てみ?俺居るし、寂しくないから。な!笑って幸せになってくれな。ユキ―――P.S 今こんな事書くのは卑怯だけど…七海、心から愛してる。2006-07-06 15:04:00 -
57:
七海◆8NBuQ4l6uQ
涙はもう出ないと思ってた。でも、ボロボロ涙がでる。七海は手紙を抱き締めてしばらく泣いた。
七海は犯人田原を憎む気持ちより、あいつら…警察を憎んだ。あいつらがあの日来なければ。あいつらがユキに会わなければ。そう思うと憎くて仕方なかった。【ユキちゃん…私警察が許せないよ。】元々殆んど無かった田原に暴行された記憶を植え付けたのも、ユキを七海から奪ったのも、全部あいつらだ。七海は思った。そして誰より警察を恨んだ。2006-07-06 15:11:00 -
58:
七海◆8NBuQ4l6uQ
ユキちゃん。
ユキちゃんの事1日だって忘れた事無いよ。私、今もユキちゃんと一緒だって思ってるよ。
今もね、田原の裁判終わってないの。私ね、まだ警察から連絡来るんだよ。その度にユキちゃんを奪ったあいつらを思い出すんだ。憎くて憎くて、悔しい。でもね、本当は警察が悪いわけじゃないって分かってるんだよ。なのに許せない。
ユキちゃん、私生きてるよ。ユキちゃんが生きろなんてゆうから、死ねなくなっちゃった。でもね、今は生きてて良かったって思ってるよ。ユキちゃんありがとう。2006-07-06 17:52:00 -
59:
ユキが亡くなって1ヶ月。暑い日差しの中、七海はユキと暮らした部屋を出た。ユキの居ない生活は七海にとって苦痛でしか無かった。1人でこの街に暮らす事はできない。ユキ以外の男性を好きになるなんて無理だ。その時はそう思っていた。そして、七海は東京から逃げるようにして田舎に帰った――
あれから数年―――" " "06/07/06 17:572006-07-06 17:57:00 -
60:
七海◆8NBuQ4l6uQ
関東のとある墓地。
墓石には【小嶋家】と書いてある…。墓の前には七海が居た。あの頃ショートだった髪は、腰まで届きそうなくらいのロングになり、元々幼い顔付きの七海だったが少し大人びた感じになった。
静かに手を合わせ、花を添え、線香を供える。そしてその中で眠るユキに向かって語りかけた。
「ユキちゃん、私大阪に行くね。誰も知らない土地で一からやり直してみる。だからユキちゃんにもしばらく会えないけど、忘れないから。ユキちゃん、見ててね…ツラくなったら七海頑張れって笑ってね。」
そう言って立ち上がり、最後に「また来るね!」と言って七海は去っていった。
刺すような冷たい風が吹く中、一瞬暖かい日差しがさした1月。
七海は大阪に発った――。2006-07-06 18:12:00 -
61:
七海◆8NBuQ4l6uQ
大阪に来て数ヵ月。その時は突然訪れた。
華やかなネオン街、七海は女の子と歩いていた。女の子の名前は佳奈。佳奈と七海は飲み友達で、たまに遊んでは飲みに行きストレスを発散してまた日常の生活に戻る。そんな事を繰り返してた。今日も2人は飲みに行くつもりらしい。『今日どこ行く?』「佳奈ちゃんの好きなとこでいいよ〜」正直七海にはどうでも良かった。佳奈と飲みに行くのはいつもホストクラブ。どこに行っても大して変わらない。2006-07-06 21:05:00 -
62:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海は七海で決まった店があった。その店で七海は大事にされていたから居心地が良かった。
寂しければ抱き締めてくれる人、悲しければ頭を撫でてくれる人、悩めば相談にのってくれる人、励ましあって刺激しあえる人、口座だけじゃなくてスタッフみんなが七海には家族で友達で恋人みたいな存在だった。だから七海にとっては他のホストなんてどうでもよかった。2006-07-06 21:50:00 -
63:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海とユキの話はスタッフの2人だけがしっていた。口座と代表だ。七海は口座が新人の頃からこの店に通っていた。初めは何も出来なかった口座も、いつからかナンバーホストになり、もうすぐ役職になる。ユキが居ない寂しさから通い始めたホストクラブ…それなりに楽しかったけど、やっぱり思い出すのはユキの事ばかり…ただ、大阪でのたった一人の生活での寂しさを癒してくれたのはこの店の人達だったし、大阪の生活に彼等が居ない日はなかった。
『ねぇねぇ七海ちゃん!Lelis行かへん?ウチこないだ新規行ってんけど騒げるし楽しかったぁ!な!行こうやぁ!』佳奈が七海に話かける。2006-07-06 22:07:00 -
64:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「ん?あぁ。んじゃそこ行こ」佳奈に言われるままそのLelisと言う店に行くことにした。
【どうせどこ行っても一緒。適当にしゃべって適当に飲んで、その時楽しければいい…。】そう思っていたはずなのに――2006-07-06 22:15:00 -
65:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『もしぃ?しゅうタン?佳奈タンだよぉ〜!ニャンニャン☆今ねお店の近くやで!うん。迎えきてやぁ。ニャンニャン☆』佳奈がLelisの口座に連絡を入れていた。【どうでも良いけど、タンとかニャンとか…頭大丈夫この子…】佳奈の訳のわからないテンションに引きつつ付いていく。しばらく歩くと向こうから一人のホストが歩いて来た。可愛い感じで綺麗な顔立ちの子だ。
『やぁ〜ん!しゅ〜タァン!』佳奈が走り出す。綺麗な顔の子が両手を広げて『さぁおいでマィハニ〜☆』と待っている。【…マジっすか…。私あのノリは無理です…ってか引く…。離れて歩こ…。】顔が引きつった七海にそのしゅうタンとやらが気付く。『あれぇ?佳奈の友達サン?』2006-07-06 23:36:00 -
66:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「イエ。チガイマス。」片言で答えて離れて歩く。「話しかけないで。そこ2人の仲間と思われたくないから!」『ひどぉい!』…うん、ひどくても何でもいいの。でもね、ハモらないで?本当に嫌…。
七海は店につく前に疲れてしまった。2006-07-06 23:40:00 -
67:
七海◆8NBuQ4l6uQ
店についても七海は上の空だった。何人かホストが名詞を持って七海と佳奈の席につく。【はぁ…。つくり笑い疲れた…。】そんな事を考えながら形だけは楽しんだ。
ユキちゃん…やっぱり私ユキちゃん以外無理だよ。ユキちゃんが今の私見たら怒るんだろうな…。ユキちゃんに会えるなら、ユキちゃんが怒っててもいいや。ユキちゃんに会いたいな…。いつか、また…ユキちゃんに会えるのかな。いつか、また…ユキちゃんみたいに心から好きになれる人に出会えるのかな…。2006-07-06 23:56:00 -
68:
七海◆8NBuQ4l6uQ
ぼんやりとユキの事を想いながら、佳奈が飽きたらいつもの店に行こうと考えていた。
佳奈は楽しそうにしゅうタンとじゃれている。七海はまたつくり笑いで楽しむふりをしていた。2006-07-07 02:01:00 -
69:
七海◆8NBuQ4l6uQ
その時誰かが隣に座った。『初めまして!』渡されたのは…病院の診察券…。
【…リアクションに困るってば。】
とりあえず受けとる。そして冷静に突っ込む。「ありがとー!ってこれ、私がもらったら困るんじゃないの?笑」2006-07-07 02:06:00 -
70:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『せやなぁ!ちょお待ってな!笑』そういって改めてもらった名刺…。【Club Lelis 代表 榊 昂弥ータカヤー】と書いてある。【…は?代表?私新規だよ?代表つく店とか初めてだし。何ここ…】
それが昂弥との出会い――2006-07-07 02:23:00 -
71:
名無しさん
続き読みたいッ!!(>_
2006-07-08 02:45:00 -
72:
七海◆8NBuQ4l6uQ
72さんありがとう☆ちょっと更新しますね!
2006-07-08 18:25:00 -
73:
七海◆8NBuQ4l6uQ
【本当に変な店…】そう思いながら七海は昂弥とも適当な会話で済まそうと思っていた。昂弥は『俺今日酔っぱらってんねん!普段はもっと静かやで。普段の俺みたらびっくりすんで!』とニコニコしながら話かけてきた。「へぇ…そうなんだ。」そんな話興味が無いと言いたそうな七海。そこにちょっと席を離れていたしゅうタン…秀司が戻ってきた。
2006-07-08 18:34:00 -
74:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『あぁぁ!なかちゃん!!…あ…本名ゆうてもた(-_-;)ちゃうねん!七海ちゃん聞いて!俺な代表と地元の連れやねん!』慌ててフォローを入れる秀司。そんな必死な秀司を見て、七海は笑いが堪えられなくなってしまった。
「『…プッ』」タイミングよく昂弥も同時にふきだした。七海と昂弥は見合わせて笑う。「本名知ってるから大丈夫だよ!」2006-07-08 19:00:00 -
75:
七海◆8NBuQ4l6uQ
秀司が不思議そうな顔をしている。『…???』それを見てまた笑う七海。佳奈は我関せずといった顔をして、戻ってきた秀司を逃がすまいとネクタイを持ってべったりくっついている。「さっき名刺の代わりに診察券もらったの!」昂弥も笑いながら秀司を見ている。
事情を説明してやっと納得した秀司が喋りだした。『代表どう?男前やろ?俺と代表揃ったら最強やしなぁ!笑』2006-07-08 22:31:00 -
76:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「あはは。そうなんだ?」【適当に…適当に…。どうせここも初回だけ。】そんな事を考えていた。
このまま…【適当】を貫けば良かったのかな。そしたら今、私はどうなってたのかな…。どうして貫けなかったんだろう。ううん。貫けなかったんじゃない…。自分の意思で【貫かなかった】……。ユキちゃん、私これでいいのかな…?2006-07-08 23:48:00 -
77:
七海◆8NBuQ4l6uQ
昂弥は他の席を回るらしく席を外した。佳奈が秀司とじゃれながら『昂弥くんやっぱ男前やなぁ。ねぇ〜しゅうタン☆』と言う。『まぁ俺の方がかっこいいけどなぁ!笑』秀司が佳奈に向かって言った。佳奈がふいに七海の方を見て言った。
2006-07-09 19:01:00 -
78:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『昂弥くんにしたらええやん!七海ちゃん結構あーゆうタイプ好きやろ』確かに、嫌じゃない。居心地も良かった。人見知りの七海が笑いながら話して、楽しそうにしていたのも事実。
「秀ちゃん、昂弥くんでいい。もう他の子回らなくてもいいよ」2006-07-09 19:07:00 -
79:
七海◆8NBuQ4l6uQ
―え?私何言ってるの?
自分で驚いた。いつも七海は口座を決める時自分で選ばない。まず佳奈に聞く。そして帰るぎりぎりまで悩む。
七海の一言に驚いたのは佳奈の方だった。いつもならここでお決まりのセリフを言うハズなのに。《佳奈ちゃん誰がいいかな?私誰でもいいや。佳奈ちゃん好きな子選んでよ。》そう、いつもなら…。2006-07-09 19:13:00 -
80:
七海◆8NBuQ4l6uQ
そんな2人の様子に気付く気配もなく秀司が言った。『マジで?代表でいいん?やった!』そして昂弥の所に急いで行った。
残された七海と佳奈はお互い驚きを隠せない様子で話だした。2006-07-09 19:18:00 -
81:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『え?どうしたん?そんなに昂弥くん良かったん?』「…わかんない。何でだろ…今何した私。」『いつもなら有り得ない事したなぁ!笑』「絶対今日おかしいよね?口座決めるのに佳奈ちゃんに聞かなかったの初めてじゃない?自分の意思でしかもこんな短時間で即決って…私、どうした?」『「アハハハハ…」』
苦笑いがハモった所に秀司と昂弥が戻ってきた。2006-07-09 19:25:00 -
82:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『かぁなタン!たっだいまぁ〜☆』『おっかえりぃ☆しゅ〜うタン!』ニャン?コンビはまた楽しそうにじゃれだす。
七海の隣に昂弥が座った。『え?本当に僕でいいんですか?』
意外だったらしい。そりゃ意外でしょうね。でも私は昂弥くんよりもっとびっくりしてたんだよ。自分の行動が自分で理解出来てなかったんだもん。2006-07-09 19:35:00 -
83:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海は一言「うん」とだけ答えた。昂弥は笑って七海の頭をポンポンと撫でた。
すごくあったかい感じがした…。ユキちゃんがいなくなってから、何年ぶりだろうね。こんなにホッとした気持ちになったのは…。頭撫でられた時、本当は泣きそうだったんだよ。昂弥くんの手が、すごく…すごくあったかかった。2006-07-09 19:46:00 -
84:
七海◆8NBuQ4l6uQ
その日、七海はラストまでLelisに居た。
昂弥はラストまで忙しく動き回って七海の席に中々つけなかったが、七海はそれでも居た。動き回りながらも七海を気にして声をかけてくれた。ホストだし、放置の自分のお客を多少気にするなんて当たり前の行動だと七海は分かっている。他の口座もみんなそうしていたし、それがどうってわけでも無かった。
でも昂弥のそれは何故か素直に嬉しかった…2006-07-09 21:00:00 -
85:
七海◆8NBuQ4l6uQ
その日、昂弥と七海は他のホストについて話をしていた。『俺は自分のお客さんが他のホスクラ行くのも何とも思わへんし、行ってもええんちゃう?』昂弥は言った。七海はあの店の事があるので、内心かなり安心した。確かに昂弥に惹かれていたが、あの店のスタッフは七海にとっては本当に特別な存在だったから、行くなと言われる事が怖かった。
2006-07-09 21:07:00 -
86:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「そっか。私ね、メインのお店他にあるんだよね。」『へぇ〜そうなんや?そこ楽しいん?どんなとこ?』七海はあの店の事を全部話した。昂弥は特に変わった様子も無く、至って普通に聞いていた。
でも…あっちもこっちもなんて、ムシが良すぎたね。2006-07-09 21:12:00 -
87:
七海◆8NBuQ4l6uQ
ラストソングが流れ、送り出しで席を外した昂弥と秀司が戻ってきた。ニャン?コンビと昂弥と一緒に外に出る。
『暑いなぁ』酔っぱらい4人には、太陽の日差しがキツイ…。『さて…行くか!』大通りまで4人で歩く。七海のバックを昂弥が持って、七海は昂弥の後ろをついていく。2006-07-09 21:20:00 -
88:
七海◆8NBuQ4l6uQ
七海の家はLelisから近い。大通りを渡ったらもう目の前だった。
酔っぱらい4人はフラフラと大通りに向かう。佳奈は大通りでタクシーに乗る。七海は大通りを渡る。歩きながら七海は考えていた。【あそこまで歩いたら、夢から醒める…さっきのあったかい感じも、きっと冷静になったら違うって思えるハズだよ…だってあれはユキちゃんだけの感覚だもん…】2006-07-09 21:32:00 -
89:
七海◆8NBuQ4l6uQ
―少しでも早く夢から醒めたかった…。
そしたらきっと今こんなに苦しく無かったハズなのに…。
神様は意地悪だね。
2006-07-10 01:50:00 -
90:
七海◆8NBuQ4l6uQ
私からユキちゃんを奪ってずっと独りぼっちにさせて…
どうしてもっと普通に恋させてくれなかったの…?
どうしてこんなに苦しいの…?2006-07-10 01:52:00 -
92:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『あ〜!タクシー見ぃっけ!佳奈タン気ぃつけて帰りや☆』秀司は佳奈をタクシーに押し込むと笑顔で見送った。
『ふぅ〜。疲れた…さて、店戻るかぁぁ…』
辺りを見回すが、昂弥の姿は見えない。佳奈をタクシーに乗せてる間に先に店に戻ったのだろうと思い、秀司はLelisに向かった。2006-07-10 02:01:00 -
93:
七海◆8NBuQ4l6uQ
店に戻るとミーティングが始まっていた。慌てて輪の中に入る秀司。従業員の中に昂弥の姿はない。
【なかちゃん結構酔うてたな…車かトイレやな…代表はミーティング出んでも何も言われへんしええなぁ…】
ソファーに昂弥のスーツが置いてあったので従業員の誰もが似たような事を思っていた。2006-07-10 02:10:00 -
94:
七海◆8NBuQ4l6uQ
【ミーティング終わったし帰るかぁ…なかちゃん寝てるんかな?】
秀司はいつも昂弥と帰っているのでしばらくは昂弥を待っていたが、秀司もさすがに待ちきれなくなり先に帰る事にした。2006-07-10 02:45:00 -
95:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『お先で〜す!』『おー。お疲れぇ…』昂弥のスーツはまだソファーにあった。
秀司が帰ってしばらく経ったが昂弥の姿は見当たらない。残っていたのはよい潰れた従業員数名とマネージャーの悠治とボーイの朔矢。
『代表、どこにいてるんですかねぇ。』不意に朔矢が言った。2006-07-10 02:53:00 -
96:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『まぁ、荷物置いてるしその内戻るやろ』そう言って悠治はソファーに座った。『そうですね』朔矢も座り、2人は潰れた従業員数名を介抱しはじめた。
2006-07-10 02:58:00 -
97:
七海◆8NBuQ4l6uQ
その時店の電話が鳴った。『はい、Club Lelis…あ、代表。朔矢です。…はい。…はい。え?今どこにいてるんですか?荷物あるし戻ってきますよね?…はい。…わかりました。はぁい。』
電話を切ると悠治が寄ってきた。『何て言うてた?』2006-07-10 04:41:00 -
98:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『帰る時に電話くれって…あ!代表携帯も置きっぱやし…どこにかけたらいいんですかねぇ。まぁまた連絡来るか…』『何やってんだか…』
本当、何してるんですかアナタ…なぜそんなトコで眠ってらっしゃる…。
「ねぇ。おーい。起きて〜?」2006-07-10 17:12:00 -
99:
七海◆8NBuQ4l6uQ
『…ん゙』
【はぁ…ダメだこりゃ。絶対起きないなぁ。どうしよう…】
「荷物置いて来てるんだしせめてお店に連絡入れたら?」
『ん…もうちょいしたら戻るしええわ。』2006-07-10 17:17:00 -
100:
七海◆8NBuQ4l6uQ
数時間前…大通り
「じゃあうちここ渡ってすぐだから」七海は昂弥の手から自分のバックをもらおうとした。『お前んちまで送るわ』「はぁ?何言ってんの?」『送るって!』…昂弥は送ると言って聞かない。七海は酔っているからだろうと思い、仕方なく一緒に大通りを渡った。
振り返るとちょうど秀司が佳奈をタクシーに押し込んでる所だった。2006-07-10 19:18:00 -
101:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「ねぇ、マジでうちまで来るの?ミーティングあるんでしょ?」歩きながら七海が昂弥に言う。『ミーティングは悠治くんがするし大丈夫やろ!ってかお前んちどこ?』気にする事もなく昂弥はどんどん歩いていく。「だって、荷物全部店じゃん!戻りなよ。」昂弥の背中に向かって七海が言った。
2006-07-10 19:22:00 -
102:
―もしも時間が巻き戻せるなら…昂弥くんに出会う前に戻りたい
いつになったら醒めるかわからない、永い夢を見る前に…―" " "06/07/10 19:442006-07-10 19:44:00 -
103:
七海◆8NBuQ4l6uQ
昂弥はすやすやと眠っている。…七海の布団で。
七海は考えていた。
【このままじゃマズイ…何とかして店に帰さないと…でも起きそうにないし…】2006-07-10 19:47:00 -
104:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「ねぇ!ねぇってば!一回起きてよ!!」もう無理矢理起こすしかない。体を揺すって大声を出す。
そんな事をしばらく続けていると、ダルそうに昂弥が起き上がった。
『お前今日誰に名刺もらった?』2006-07-10 19:51:00 -
105:
名無しさん
実話ですか?
2006-07-10 20:46:00 -
107:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「名刺…名刺見て誰かに連絡するの?」
『おー…』
「だったら店電かサイト見てかければ?」
『お。お前頭ええな!じゃ店かけてや』
…何で私が。七海は思ったがとりあえず名刺をみながら番号を押した。2006-07-11 01:32:00 -
108:
七海◆8NBuQ4l6uQ
「はい…。」携帯を昂弥に渡す。
『…あぁもしもし。中山です。誰?朔?――――。』昂弥は従業員と喋り出した。七海は会話を聞くでもなくぼーっと昂弥を見ていた。2006-07-11 01:51:00 -
109:
七海◆8NBuQ4l6uQ
【やっぱり一緒に居るとあったかい…一人になって考えた方がいいかも。ヤバいなぁ…】
『―――。オイ!なぁこっから一番近いコンビニってどこ?』
「んぁ?あぁ分かりやすいトコならそこのファミマかな。」ぼーっとしてた七海は慌てて答えた。
2006-07-11 17:49:00 -
110:
名無しさん
続き読みたいッ(>_
2006-07-18 02:54:00