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平凡な私の平凡な日常
-
1:
エリ
名前はエリ。
よくあるありふれた名前。
春に
まわりに言っても
恥ずかしくない程度の
大学を卒業して
同じく
まわりに言っても
恥ずかしくない程度の
銀行に就職。
今までの人生を
振り返っても
たいした挫折も後悔もない。
ただ
ただ
自分の目の前にまっすぐ見えてた道を
自分の足で歩いてきただけだから。
それが正しかったのか
間違ってたのかなんて
考えても時間の無駄。
きっとこれからも
そんな感じで
残りの人生を
送っていくのだろうから
難しい事は
考えない様にしたいの。2006-08-12 18:43:00 -
2:
名無しさん
この営業スマイルのせいで
昼には頬の下に
ファンデーションが
寄ってしまうの。
でもこのキャラは
嫌いじゃない。
だってこうしてると……
「エリ」
来た来た。
「おはよ。朝まわしたこの書類なんだけど…」2006-08-12 18:56:00 -
3:
エリ
「朝まわしたこの書類なんだけど…」
営業の後藤さん。
歳は26。
うちの支店では
エースの営業マン。
押しの強さが売りで
歳の割に大きな案件を
持ってくるから
上司にも一目置かれる存在。
ちなみに、彼女アリ。2006-08-12 19:00:00 -
4:
エリ
…だから処理するのもうちょっと後回しにしてもらってもいい?
後でまた声かけるから」
そう言って
書類に落としていた目線を
私に向ける。
「わかりました」
私もまっすぐ彼に目線を合わす。2006-08-12 19:05:00 -
5:
エリ
彼はまた視線をそらすと
「じゃあ今日もやりますか!」
と溜め息混じりの声で
誰に向けた訳でもなく呟く。2006-08-12 19:19:00 -
6:
エリ
私も視線を書類に戻し
仕事モードに入った"フリ"をする。
すると
「エリ」
また私を呼ぶ声。2006-08-12 19:24:00 -
7:
名無しさん
「はい?」
おどけた"フリ"をする私。
「今日何か雰囲気いつもと違うよ。香水変えた?」
…ほら。2006-08-12 19:27:00 -
8:
名無しさん
略ばっかで読む気しやん
2006-08-12 19:28:00 -
9:
エリ
「わかります?」
そう言って
ふふっと笑ってみせる。
2人だけの世界…
…的雰囲気。2006-08-12 19:29:00 -
10:
エリ
彼も私に意味ありげな笑みをよせて
「好きな匂いだよ」
と。
そしてそっと立ち去る。2006-08-12 19:33:00 -
11:
エリ
男ってどうも
"特別"になりたがる。
二人だけにしかわからない
特別な会話。
特別な時間。2006-08-12 19:39:00 -
12:
エリ
後藤さんもそう。
4月でまだ会社に入りたての頃
「お先に失礼しまーす」
と営業室を出る私。2006-08-12 19:42:00 -
13:
エリ
「エリちゃん!」
更衣室に向かう螺旋階段を昇る私を呼びとめるのは…
営業の…
この人なんて名前だっけ?2006-08-12 19:44:00 -
14:
エリ
首から下げた名札で
さりげなく名前を確認して…
あー思いだした。
「後藤さん?」2006-08-12 19:53:00 -
15:
エリ
「いつもめちゃめちゃ帰るの早いんだもん!こんな早く帰っていつも何してんの!?」
…関係ないじゃん2006-08-12 20:00:00 -
16:
エリ
「いつも…別に何する訳でもなく家でママとおしゃべりしたりしてますけど」
なーんて
嘘だけど。2006-08-12 21:07:00 -
17:
エリ
「ははっ、エリちゃんらしいなー」
…へぇ
この人笑うと目がなくなるんだ。2006-08-12 21:09:00 -
18:
エリ
「じゃあさ、今度ご飯でも食べにいこうよ」
「連れてってくれるんですかー
うれしい!」2006-08-12 21:11:00 -
19:
エリ
少しオーバーだったかな?
まぁいっか。
「じゃあ何食べよう?お肉?お寿司?」2006-08-12 21:12:00 -
20:
エリ
「後藤さんにお任せしますー
美味しいもの食べさせて下さいねー」
「わかった!じゃ、お疲れ様ね」2006-08-12 21:14:00 -
21:
エリ
「お疲れ様でーす」
そして次の週の金曜。
更衣室に帰っていつものメールチェック。2006-08-12 21:16:00 -
22:
エリ
『メール 3件』
13:32 貴戸順平
地元の幼なじみ。
こないだ紹介した友達との近況報告だろう。2006-08-12 21:20:00 -
23:
エリ
13:55 松本可奈子
ん?
同期の女の子だ
なんだろ2006-08-12 21:21:00 -
24:
エリ
『今日さー同期で集まって飲もうって話なんだけどこれそう?仕事終わったら連絡ちょーだい!!』
2006-08-12 21:23:00 -
25:
エリ
んー
同期と飲むと割り勘だし
あんまノリ気じゃないなー
どうしよ…2006-08-12 21:24:00 -
26:
エリ
あと1件は
17:40 西野省吾
付き合って4年になる彼氏。
今は遠距離恋愛中…2006-08-12 21:26:00 -
27:
エリ
『お疲れー!
今週も疲れたよー
今日はエリまっすぐ帰宅?
俺はとりあえず家帰ります!また連絡して!』2006-08-12 21:28:00 -
28:
エリ
省吾とは大学1年の秋友達の紹介で知り合い、出会った次の日には付き合う事になった。
ちなみにその日のうちにHもした。2006-08-12 21:32:00 -
29:
エリ
当時私は前の彼氏と別れたばかりで、少し揉め事も残ってて、とにかくその馬鹿男と完全に切る為に必死で代わりを探してた
2006-08-12 21:35:00 -
30:
エリ
省吾は見た目も悪くないし
代わりとしては『適当』な人だと感じたんだろう
よほど焦ってたのか、明らかに遊んでそうな外見もその時は気にならなかった2006-08-12 21:38:00 -
31:
エリ
省吾は
かなりの遊び人だった。
付き合って4ヵ月後
3股だった事が発覚。2006-08-12 21:39:00 -
32:
エリ
私は
気が狂うんじゃないかってぐらい
怒ったが、
その時点では、既に他の女は切っていた省吾は2006-08-12 21:41:00 -
33:
エリ
「何で今さらそんな昔の事引っ張り出してきて怒ってんの?俺の中では終わってる話なのに」
と、素っ頓狂な事を口にした2006-08-12 21:44:00 -
34:
エリ
呆れて一瞬面くらったが
「何訳わかんない事言ってんの!?
あんたの中で終わってても私の中では今始まった事なの!!」2006-08-12 21:46:00 -
35:
エリ
…とすかさず反論したっけ。
ほーんと馬鹿馬鹿しい話。
あの時なんで許してしまったのか今だに謎だが2006-08-12 21:48:00 -
36:
エリ
自分で言うのも何だが
私は遊び人の男を一途に変える素質があるらしく
その後の省吾の変わり様といったら自他共に驚くほどだった2006-08-12 21:50:00 -
37:
エリ
私は省吾を変えた
省吾に愛されてる自信もあったし
愛される自信もあった2006-08-12 21:52:00 -
38:
エリ
私は省吾の彼女であり
何でも話せて、一緒にいて1番楽な親友であり
身の回りの世話をし、
栄養バランスの良い食事をとらせる母であり2006-08-12 21:55:00 -
39:
エリ
未来の事を
具体的に堅実的に語りあえる嫁でもあり
姉であり、妹であり…
省吾にとって女は私1人で充分だったから2006-08-12 21:57:00 -
40:
エリ
大学卒業が迫り
省吾は有名企業に内定が決まり、東京で半年合宿形式の研修を受ける事になった2006-08-12 22:01:00 -
41:
エリ
私はその時一人暮しだったが
一人で半年後まで省吾の帰りを待つのが嫌で
実家に戻り実家から仕事に通う事に決めた2006-08-12 22:03:00 -
42:
エリ
省吾とは真剣に結婚を考えていたし
そうするのが経済的にも
間違いないと感じたから2006-08-12 22:05:00 -
43:
エリ
しかし実際省吾の仕事は予想を遥かに越えて忙しくなかなか連絡のとれない日々が続いていた
2006-08-12 22:07:00 -
44:
エリ
連絡がなかなかとれない事は
予想はしていたし
省吾となら大丈夫…と自信もあったはずだが2006-08-12 22:08:00 -
45:
エリ
想像以上に私は弱く、
省吾への気持ちもよくわからなくなっていた
淋しかった…2006-08-12 22:10:00 -
46:
エリ
こんなはずじゃなかったのに…
更衣室の窓から空を見上げると
手の平の中で携帯が震えた2006-08-12 22:11:00 -
47:
エリ
着信中
後藤 健次
後藤さん?2006-08-12 22:14:00 -
48:
エリ
「もしもし…」
「エリちゃん?ごめん突然!今どこ?」
「まだ更衣室です」2006-08-12 22:15:00 -
49:
エリ
「そっかぁ…あのさぁ今日何か予定ある?」
「今日…同期と飲みに行くの誘われてて。今まだ迷ってるんです」2006-08-12 22:18:00 -
50:
エリ
「そっかぁそれならいいや。じゃ…」
「えっ、何か用事だったんじゃないんですか?」2006-08-12 22:19:00 -
51:
エリ
「いや、飯でも行こうかなッて思ってたんだけど用事あるならいいよ」
「ご飯?別に大丈夫ですよ。まだ返事してないし」2006-08-12 22:21:00 -
52:
エリ
「本当?じゃあと少しで仕事終わるし待っててくれる?」
「いいですよ」2006-08-12 22:23:00 -
53:
エリ
電話を切る。
ご飯かぁ…
でも2人で??2006-08-12 22:25:00 -
54:
エリ
可奈子に電話しなきゃ…
トゥルル…
「もしもしエリ?」
「可奈子?お疲れさま。今日なんだけどさ…」2006-08-12 22:27:00 -
55:
エリ
「えーもしかして無理とか!?」
「うん、ちょっと…」
「まじでー?困ったなぁ、エリの分もいれて店予約しちゃったよー2006-08-12 22:29:00 -
56:
エリ
しかも私一人で行くのもきまづいしエリに一緒に来て欲しかったんだよねー
どーしよ…」2006-08-12 22:31:00 -
57:
エリ
この手の"どーしよ…"に弱い私。
「そっかぁ…実は支店の先輩にご飯誘われてて…」
「ご飯だけ?じゃ私一回家帰ってそれ終わるの待っとこうかな」2006-08-12 22:34:00 -
58:
エリ
「えっ、そんなの悪いよ、待たせちゃうみたいで」
「いいよいいよ、私家近いし。気にしないで!じゃまた後でね!」2006-08-13 03:04:00 -
59:
エリ
「えっ」
プツッ…ツーツー…
この強引さ…
断れなかったし2006-08-13 03:06:00 -
60:
エリ
根っからの体育会系の可奈子は私とは外見も中身もまるで逆。
ふんわりスカートが好きで毎日9割ぐらいの確率でスカートをはいてる私。2006-08-13 03:09:00 -
61:
エリ
性格は甘えんぼで
やきもち焼き、
優柔不断…と
女そのものの私に対し、2006-08-13 03:14:00 -
62:
エリ
可奈子はサッパリ、キッパリでまるで男みたい。
…表面上は。2006-08-13 03:15:00 -
63:
エリ
実は中身はまったく逆で、
特に恋愛において私は
嫌なものは嫌、
曖昧なのは嫌いで
何にでもケジメをつけたがるタイプで2006-08-13 03:18:00 -
64:
エリ
自慢じゃないが今まで1度も
"彼氏"にフラれた事がない。
例え恋の始まりは追う側でも2006-08-13 03:20:00 -
65:
エリ
結局最後は追われて逃げる。
可奈子は
その整った外見からか
今までの彼氏すべて
『大好き!』と言われ2006-08-13 03:23:00 -
66:
エリ
相手の押しに負けて
付き合うのがいつものパターンらしいが
途中で必ず形勢逆転し
今までの恋愛ほぼ全て
フラれて終わっている2006-08-13 03:25:00 -
67:
エリ
そんな感じで正反対な私達は
会社の研修で出会ってまもなく意気投合し
合コンに行っても可愛い系"エリ派"、2006-08-13 03:29:00 -
68:
エリ
カッコイイ系"可奈子派"と
タイプがまったく別れる都合の良さから
自然と週末も一緒に過ごす事が多くなってた2006-08-13 03:30:00 -
69:
エリ
困ったな…
上の空で考えながら
化粧ポーチを取出し
1日働いて崩れたメークを
鏡でチェックする2006-08-13 03:34:00 -
70:
エリ
肌を整え
アイシャドーを心なしか濃いめに重ね
夜遊び仕様に軽くラメを重ねる2006-08-13 11:17:00 -
71:
エリ
エリはどちらかというと
化粧は濃い方だ
心の奥にある虚しさを
多い隠す様に2006-08-13 11:19:00 -
72:
エリ
着信中
後藤 健次
あっ
「もしもしー?」2006-08-13 11:20:00 -
73:
エリ
「もしもし?終わったよ!もう車もとってきて下で待ってるから」
「あっ、今行きます」2006-08-13 11:22:00 -
74:
エリ
慌ててバラバラに出た化粧品をポーチに詰め込み
バッグに入れてソファーを立つ2006-08-13 11:24:00 -
75:
エリ
更衣室を出る前に
壁に備えつけられている大きな鏡で
もう一度全身をチェック2006-08-13 11:26:00 -
76:
エリ
ビーズとスパンコールが首元に縫い付けられた白のニットに
歩くと裾がゆらゆら揺れる黒のシフォンスカート2006-08-13 11:29:00 -
77:
エリ
雑誌で嫌気がする程見掛けるコーディネート
人と同じは嫌いなのに
なんでこんなに安心するんだろう2006-08-13 11:32:00 -
78:
エリ
…もたもたしちゃだめだ
待たせてるんだった
我に返ると
足早に更衣室を出る2006-08-13 11:33:00 -
79:
エリ
外に出ると
店の駐車場の隅に
スポーツカータイプの
黒い車が見えた2006-08-13 11:36:00 -
80:
エリ
歳と予想される今の収入には少し不釣り合いな"イイ車"
後藤さんはかなりの車好きだって誰かから聞いたな2006-08-13 11:41:00 -
81:
エリ
エリが小走りに駆け寄る
エリの気配に気付いているはずだが
手元の携帯に視線を落とし気付かないフリ2006-08-13 11:43:00 -
82:
エリ
…コンコン
窓を叩くとようやくこっちを向き
あいてるよ、と合図を送る2006-08-13 11:45:00 -
83:
名無しさん
なんかいいね??
読んでますよ2006-08-13 11:47:00 -
84:
エリ
「ごめんなさい…待たせちゃって、お願いします」
と言って車に乗り込む
「こちらこそ、急にゴメンね、大丈夫?同期。」2006-08-13 11:50:00 -
85:
エリ
…そうだった
忘れかけてた
「えっ…まぁ…」
「ん?何かあんの?」2006-08-13 11:53:00 -
86:
エリ
「実は…友達を待たせちゃってて」
「えっ?いいの?」
「でも後藤さんとご飯、約束してたし」2006-08-13 11:54:00 -
87:
エリ
「そんな、俺はよかったのに」
…言うべきじゃなかったかな2006-08-13 11:55:00 -
88:
エリ
名無しさんありがとうございます♪
コメントうれしいです2006-08-13 11:57:00 -
89:
エリ
「いやっでも同期の飲みとか本当顔出す程度でいいし、後藤さんのお話とか聞きたかったし…」
2006-08-13 11:59:00 -
90:
エリ
後輩らしい可愛いコメント。
「そう?なんならその子も呼んであげたら?どこの支店の子?」2006-08-13 12:01:00 -
91:
エリ
「西支店です」
「西なら俺同期いるし、そいつも呼んでみるよ、ちょっと待ってて」2006-08-13 12:04:00 -
92:
エリ
後藤さんが電話してる間
車内インテリアを見渡す
落ち着いた雰囲気に統一された内装2006-08-13 12:10:00 -
93:
エリ
最新型のナビ
少しキツメのフレグランス…
なんかこの車、
エロいな2006-08-13 12:13:00 -
94:
エリ
「…ちゃん?エリちゃん?」
「えっ」
「何考え事してんの?同期来れるみたいだし電話してあげて」2006-08-13 13:12:00 -
95:
エリ
「あっ、すいません」
「ははっ、エリちゃんってちょっと不思議な雰囲気あるよね。天然っていうか」2006-08-13 13:15:00 -
96:
エリ
天然…?
馬鹿にされてるみたいじゃん
「そんなことないですってば」2006-08-13 13:16:00 -
97:
エリ
「そんなことないことないよー」
「そんなことないですってば!」
少しむくれてみせる。2006-08-13 13:18:00 -
98:
エリ
「何怒ってんの?」
「怒ってないです。私、天然とか言われるの嫌だな、なんか、頭悪い子みたいで」2006-08-13 13:19:00 -
99:
エリ
「違うよー頭悪い子は、頭弱い子っていうもん、俺。天然と頭弱いのは違うよ。」
2006-08-13 13:21:00 -
100:
エリ
「そうですかー?でもなんか嫌」
「そう?俺は好きだな、天然っぽい子」
ふーん2006-08-13 13:22:00 -
101:
エリ
後藤さんの方を見ると
後藤さんもこっちに視線を向ける
この人…2006-08-13 13:26:00 -
102:
エリ
バッグの中で携帯が震える
可奈子からだ
「もしもしー?」2006-08-13 13:27:00 -
103:
エリ
「エリ?結局どうする?」
「今電話しようと思ってたとこなの。先輩がね、可奈子も食事一緒にどう?って」2006-08-13 13:29:00 -
104:
エリ
「えっまじで?でも気まずくない?」
「西支店の先輩も来るって」
「えっ?でも私営業の人とあんま口聞いたことないし」2006-08-13 13:31:00 -
105:
エリ
「じゃあなおさらいいじゃん。仲良くなるチャンス!」
「ははっ、まぁそうだねー今どこ?」2006-08-13 13:33:00 -
106:
エリ
「今中野通りのアーバンホテルぐらいんとこ。可奈子は?」
「車で来てんの?私今店から駅向かってる途中」2006-08-13 13:36:00 -
107:
エリ
「そっか、うーんちょっとまって」
通話口に指をあてて後藤さんに話しかける
「車どことめます?」2006-08-13 13:38:00 -
108:
エリ
「どこでもいいよ。友達今どこにいるって?」
「お店から駅向かう途中みたいです」
「じゃあ西支店にとめさせてもらお。戻ってもらっていい?」2006-08-13 13:41:00 -
109:
エリ
「もしもし可奈子?西支店に車停めるから戻ってもらってもいい?」
「了解ー待ってるわ」
「はーいじゃ後で」2006-08-13 13:43:00 -
110:
エリ◆yB/YZHxg4E
「何だって?」
「西支店で待ってるみたいです」
「了解」2006-08-13 20:45:00 -
111:
エリ◆yB/YZHxg4E
「…そういやエリちゃんって彼氏いるんだっけ?」
「いますよ」
「彼氏いくつ?」
「同い年です」2006-08-13 20:50:00 -
112:
エリ◆yB/YZHxg4E
「じゃもう働いてんの?」
「はい、今年から」
「いいねー初々しくて!地元一緒なの?」2006-08-13 20:52:00 -
113:
エリ◆yB/YZHxg4E
「いや…遠距離なんです」「遠距離!?…そっかぁ、じゃぁ寂しいねー」
「遠距離…やっぱ続かないですかね?」2006-08-13 20:54:00 -
114:
エリ◆yB/YZHxg4E
「んー無理だろうね、たいていの場合は」
煙草に火をつけながら
わかりきった様な口調で言う2006-08-13 20:57:00 -
115:
エリ◆yB/YZHxg4E
何よ
たった3歳しか違わないのに
えらそうに
まぁ関係ないけど。2006-08-13 22:31:00 -
116:
名無しさん
なんか起こりそうな予感?
どんどん更新しちゃって??2006-08-13 23:37:00 -
117:
エリ◆yB/YZHxg4E
「後藤さんは彼女と付き合ってどのぐらいなんですか?」
「俺彼女なんていないし」2006-08-14 00:03:00 -
118:
エリ◆yB/YZHxg4E
「またぁー騙されないですよ!彼女おいくつなんですか?」
「…俺のひとつ上。」2006-08-14 00:05:00 -
119:
エリ◆yB/YZHxg4E
「へぇ、年上の彼女かぁー綺麗な人なんですか?」
「んまぁ…歳の割に大人っぽい感じかな」
「可愛い派より綺麗派?」2006-08-14 00:07:00 -
120:
エリ◆yB/YZHxg4E
「俺?そうだなぁ、綺麗なお姉さんは大好物だねー紹介してよ」
「はー?チャラーい。嫌ですよ。」2006-08-14 00:10:00 -
121:
エリ◆yB/YZHxg4E
こういう軽いノリ、嫌い。
「冗談だよ、そんなに怒んないでよ」
ちらりと私の方を見て笑う2006-08-14 00:12:00 -
122:
エリ◆yB/YZHxg4E
わざと目を反らし車窓から外を見る
辺りはだんだん暗くなったが
金曜の夜だけあって
人通りは多い2006-08-14 00:15:00 -
123:
エリ◆yB/YZHxg4E
皆何を求めて
夜の街へ繰り出すのかな
これだけの人がいるのに
何故こんなに孤独なんだろう2006-08-14 00:17:00 -
124:
エリ◆yB/YZHxg4E
「エリ!」
車を降りると可奈子が駆け寄ってくる
「ごめん待たせて!」
遅れて車を降りる後藤さんを手招きし2006-08-14 00:19:00 -
125:
エリ◆yB/YZHxg4E
「こちらうちの営業の後藤さん。4年目。」
「どうも」
「はじめまして!松本可奈子です!4年目っていうと…」2006-08-14 00:22:00 -
126:
エリ◆yB/YZHxg4E
「早川と同期。あいつもうすぐ来るから先店いこうか」
「あー早川さんと同期か!私あんま喋った事ないや」2006-08-14 00:26:00 -
127:
エリ◆yB/YZHxg4E
「あいつも言ってた。緊張して喋れないって」
「なんですかそれー。あんま皆話しかけてくれないから寂しいのに」2006-08-14 00:29:00 -
128:
エリ◆yB/YZHxg4E
「ははっ、言ってやってよ。さぁエリちゃん、いこっか。」
「あっ、はい」
歩き出す後藤さんの後につき私と可奈子も歩き出した2006-08-14 00:31:00 -
129:
名無しさん
コメントの返事ぐらいしたったら?
2006-08-14 07:26:00 -
130:
コメント書いた者ですが…
いいんですよ???ファンなんで?
マイペースに更新していただければ??
ありがとうございます?
2006-08-14 13:15:00 -
131:
エリ◆yB/YZHxg4E
コメント本当ありがたいのにちゃんと返事してなくてごめんなさい(>__
2006-08-14 18:37:00 -
132:
エリ◆yB/YZHxg4E
「すいません、なんか2人きりのとこ邪魔しちゃったみたいでー
ってか後藤さんエリ狙ってました?」2006-08-14 18:45:00 -
133:
エリ◆yB/YZHxg4E
…可奈子!
「ははっ、いいよー全然」
後藤さんは少しおちゃらけた様子で可奈子の興味本位の探りをさらっと交わした2006-08-14 18:48:00 -
134:
エリ◆yB/YZHxg4E
後藤さんが予約しておいてくれたのは落ち着いた感じの和風創作料理の店だった
…悪くないな
半個室の席に案内される2006-08-14 18:51:00 -
135:
エリ◆yB/YZHxg4E
「早川まだだし、先少し頼んじゃおうか」
そう言って私の前にメニューを広げる
「何飲む?」
「私あんまり飲めないからな…」2006-08-14 19:00:00 -
136:
エリ◆yB/YZHxg4E
「ピーチマンゴー」
「ピーチマンゴーとか、いかにも頼みそーな感じ!」
茶化して笑う
いちいちうるさいな2006-08-14 19:02:00 -
137:
エリ◆yB/YZHxg4E
「可奈子ちゃんは?」
「レッドアイで!」
「可奈子ちゃんはなんか飲めそうだよね」
「それが私全然飲めなくて…すいませーん!」2006-08-14 19:04:00 -
138:
名無しさん
a-c-b.d.g@docomo.ne.jp
2006-08-14 19:06:00 -
139:
エリ◆yB/YZHxg4E
可奈子が手を上げて店員を呼ぶ
「ピーチマンゴーとレッドアイとー後藤さんは?」
「俺は生」2006-08-14 19:06:00 -
140:
エリ◆yB/YZHxg4E
「じゃ、とりあえずそれで!」
可奈子はいつも勢いがいい
「可奈子ちゃんって本当元気でいいね、営業向きだよ絶対」2006-08-14 19:08:00 -
141:
エリ◆yB/YZHxg4E
「私営業出たいんですよー事務的な仕事って向いてない気がして」
「どんどん出なよー今うち女性の営業推してるし」2006-08-14 19:11:00 -
142:
エリ◆yB/YZHxg4E
「エリちゃんはどう?女性営業」
「私は…出ろと言われれば嫌とは言いませんけど。確かに内勤は退屈と感じる事もあるし」2006-08-14 19:13:00 -
143:
エリ◆yB/YZHxg4E
「確かに…あっ早川」
空間を仕切るブラインドの奥に男の人が見える
「ごめん遅れて、あっ松本さん、どうも」2006-08-14 19:16:00 -
144:
エリ◆yB/YZHxg4E
その男の人はやんちゃな笑みを浮かべた
「早川さん!お疲れ様でーす」
「お疲れーてか本当お疲れだし」2006-08-14 19:19:00 -
145:
エリ◆yB/YZHxg4E
「なんかあった?」
「ややこしい客につかまってさーまぁ、仕事の話は今はよそう!で、これが健次んとこの新人さん?」2006-08-14 19:21:00 -
146:
エリ◆yB/YZHxg4E
「はじめまして、水嶋エリです」
「健次から話は聞いてるよ、面白い子が入ったって」
「面白いー??」2006-08-14 19:23:00 -
147:
エリ◆yB/YZHxg4E
何か余分な事いったなー
後藤さんの方を横目でにらむ
「悪い意味じゃないって!いい意味で面白いって事。色んな意味でね」2006-08-14 19:26:00 -
148:
エリ◆yB/YZHxg4E
後藤さんはまたからかう様に笑って言う
もういい
相手にしないもん
「別にいいです!」2006-08-14 19:27:00 -
149:
エリ◆yB/YZHxg4E
「そんな怒るなって!早川何飲む?」
「もちろん生!すいませーん」
早川さんが威勢よく手を挙げる
ほんと営業マン!って感じ2006-08-14 19:34:00 -
150:
エリ◆yB/YZHxg4E
注文を終えると
体を向き直して早川さんが言う
「でもなんか仲いいよね、2人。うちの店なんか全然だよ?松本さん他の営業と仲いい?」2006-08-14 19:37:00 -
151:
エリ◆yB/YZHxg4E
「全然ですよ!早川さんとだってちゃんと話すのこれが初めてですもんね」
「うちだってそうだよ。だからちゃんと話がしてみたくて今日食事に誘った訳。」2006-08-14 20:33:00 -
152:
エリ◆yB/YZHxg4E
私の方をじっと見ながら
後藤さんが言う
「うわーなんか怪しい!2人実はデキてたりして」
…ありえないし2006-08-14 20:36:00 -
153:
エリ◆yB/YZHxg4E
「見てて飽きないんだよね、なんか」
笑いながら後藤さんが言う
「ぽーっとしてたり一生懸命懸命だったり。なんか目で追っちゃうんだよ、何してんだろって」2006-08-14 20:49:00 -
154:
エリ◆yB/YZHxg4E
やっぱり
なんかこの人…
軽い。2006-08-14 20:51:00 -
155:
エリ◆yB/YZHxg4E
「ごちそうさまでしたー楽しかったぁ!」
店を出てお酒も入ってるからかちょっと上機嫌の可奈子が言う2006-08-14 20:53:00 -
156:
エリ◆yB/YZHxg4E
「2人はこれから同期と合流するの?」
「はい、ちょっとだけ」
「あんま飲みすぎないよーにね!じゃあお疲れー」2006-08-14 20:57:00 -
157:
エリ◆yB/YZHxg4E
そう言って後藤さんは早川さんと、私は可奈子と一緒にそれぞれ別の方向に歩き出した
2006-08-14 21:01:00 -
158:
エリ◆yB/YZHxg4E
「ごめんねなんか急に付き合わせて」
「全然いいよ!むしろ誘ってくれてありがとうって感じ。早川さんとも話せたし」2006-08-14 21:04:00 -
159:
エリ◆yB/YZHxg4E
「本当?良かった」
「でもさぁやっぱ後藤さんとエリ何かいいカンジだよねーいいじゃん後藤さん!」2006-08-14 21:08:00 -
160:
エリ◆yB/YZHxg4E
「可奈子!嫌だよ、後藤さん。なんか軽いし。第一ぜんぜん好みじゃないもん。あんまり茶化さないでよねー」
「はいはいごめん!エリには愛しの"省ちゃん"がいるもんねっ」2006-08-14 21:11:00 -
161:
エリ◆yB/YZHxg4E
「またそうやってからかうー」
「エリはからかい甲斐があるんだもん!さぁー2件目も飲むぞー」
可奈子ったら…
面白いから許すけど。2006-08-14 21:17:00 -
162:
エリ◆yB/YZHxg4E
エリ達も輪の中に入り、その取り留めもない話に加わる。
気を使う事もない安らぐ雰囲気。
乗り気ではなかったが、来てよかったな、とエリは思った2006-08-14 23:08:00 -
163:
エリ◆yB/YZHxg4E
楽しい時はあっという間…
「今何時!?私明日用事で朝早いんだった!」
可奈子が突然焦り出す
「やっばーもう12時じゃん!私終電で帰る!エリは?」2006-08-14 23:12:00 -
164:
エリ◆yB/YZHxg4E
「私も…」
あっ
省吾にメール返すの忘れてた…2006-08-14 23:14:00 -
165:
エリ◆yB/YZHxg4E
バッグから携帯を取り出す
着信4件
全部省吾だ…
メールの返事の催促もきてる2006-08-14 23:17:00 -
166:
エリ◆yB/YZHxg4E
省吾うるさいんだよな
うたぐり深いし
自分はあんな事しておきながら…
あーなんか…
めんどくさい…2006-08-14 23:19:00 -
167:
エリ◆yB/YZHxg4E
ねぇ
私は
ちゃんと省吾と
繋がっているのかな2006-08-14 23:22:00 -
168:
エリ◆yB/YZHxg4E
2人を繋ぐのは
電波だけ…?
その時
タイミングよく
携帯が震える2006-08-14 23:25:00 -
169:
エリ◆yB/YZHxg4E
着信中
後藤 健次
後藤さん?
まだ何か用かな2006-08-14 23:27:00 -
170:
エリ◆yB/YZHxg4E
「はい?」
「もしもし?まだ同期と飲んでんの?」
「もーすぐお開きだと思うんですけど…」2006-08-16 20:43:00 -
171:
エリ◆yB/YZHxg4E
「そう、じゃ行くから」
「えっ?」
「迎えに行くから待ってて」
「どこにですか?てか、後藤さんどこにいるんですか?」2006-08-17 20:26:00 -
172:
名無しさん
「エリちゃんが先答えて」
「…駅南の葡萄屋ッて居酒屋ですけど」
「じゃあと10分でつくから」2006-08-19 14:50:00 -
173:
エリ
はぁ…
私の周りって
何でこんな強引な人ばっかなんだろ2006-08-19 14:51:00 -
174:
エリ◆yB/YZHxg4E
「可奈子、私も帰るよ」
「そう?じゃ下まで一緒にいこ。笹木くーん、私とエリ先抜けるから」2006-08-19 14:53:00 -
175:
エリ◆yB/YZHxg4E
外に出ると
ほろ酔いの体に
4月の風は
まだ少し冷たかった2006-08-19 15:43:00 -
176:
エリ◆yB/YZHxg4E
「じゃあ私帰るね!てかエリどうやって帰るの?」
「なんか後藤さんが今から来るらしい」
「えー!やっぱ何か怪しい!まぁまた話聞かせてよ」2006-08-19 15:45:00 -
177:
エリ◆yB/YZHxg4E
そう言って笑顔で手を振りながら可奈子は駅に向かって歩き出した
そうだ
省吾にメール返さなきゃ2006-08-19 16:02:00 -
178:
エリ◆yB/YZHxg4E
省吾…
学生の頃は
本当に毎日毎日
いつも一緒にいたね
伝えたい事も
いつもそばで伝えられたのに2006-08-19 16:04:00 -
179:
エリ◆yB/YZHxg4E
寂しいよ…
車のクラクションが鳴り
エリが顔を上げると
後藤さんの黒い車が目の前にとまっていた2006-08-19 16:06:00 -
180:
名無しさん
楽しみ?
2006-08-19 19:50:00 -
181:
エリ◆yB/YZHxg4E
助手席から車に乗り込む
「待った?」
「いいえ」
「だって急いだもん」
悪戯な笑み。2006-08-20 18:17:00 -
182:
エリ◆yB/YZHxg4E
「後藤さん、飲酒運転。」
「わからないかなぁー、ちょっとのリスクを侵してもエリちゃんに会いたかったんだよ」2006-08-20 18:21:00 -
183:
エリ◆yB/YZHxg4E
調子のいいことばっかり言っちゃって。
「ねぇ」
「はい?」2006-08-20 18:22:00 -
184:
エリ◆yB/YZHxg4E
名無しさんありがとうございます☆
ペースは遅くなりますが
頑張って更新しますね!2006-08-20 18:23:00 -
185:
エリ◆yB/YZHxg4E
「彼氏と上手く言ってないでしょ」
「えっ」
「エリちゃん、ふとした時に寂しい顔するんだ。きっと何かあるんじゃないかって気になってて。今日も話聞いてあげたくて君を誘ったんだ」2006-08-20 18:26:00 -
186:
エリ◆yB/YZHxg4E
そんな事…
気付いてたの?
私の事
解ってくれてたの?2006-08-20 18:28:00 -
187:
エリ◆yB/YZHxg4E
「いつも笑って皆のアイドル演じて。でも本当はそうじゃないでしょ?エリちゃんだって悲しくて泣きたい時もあれば、悔しくて怒りたい時もある。もっと自然でいいんだよ。…もっと自然のエリちゃんが見てみたいんだ」
2006-08-20 18:32:00 -
188:
エリ◆yB/YZHxg4E
エリは言葉を失っていた
暗い車の中で
2人の目が合う
泣き出しそうなエリに彼は優しく微笑みかける2006-08-20 18:36:00 -
189:
エリ◆yB/YZHxg4E
堪えてたものが
一気に溢れ出す
私…
辛かったんだ
本当は
泣きたかったんだ2006-08-20 18:39:00 -
190:
エリ◆yB/YZHxg4E
さみしがりやでちっぽけで
でもそんな自分を認めたくなくて
彼氏依存症なんて
格好悪い2006-08-20 18:40:00 -
191:
エリ◆yB/YZHxg4E
本当はいつも誰かに
そばにいてほしくて
誰かの"特別"でいたくて2006-08-20 18:42:00 -
192:
エリ◆yB/YZHxg4E
そんな私を
後藤さんは見抜いていたの?
少し恥ずかしくて
でも嬉しくて2006-08-20 18:48:00 -
193:
エリ◆yB/YZHxg4E
気付くと
涙がとまらなくなってた
家までの道を
少し遠回りしてドライブして帰った2006-08-20 18:49:00 -
194:
エリ◆yB/YZHxg4E
よくある平凡な
"彼氏への不満"を
彼は時折笑いながら
でも真剣に聞いてくれた2006-08-20 18:51:00 -
195:
エリ◆yB/YZHxg4E
家に着く頃には
エリはもう笑顔で
「ありがとう」を言って
車を降りると
スキップしたくなるほど心が軽やかだった2006-08-20 18:54:00