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揺れて溺れて───

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  • 1:

    紅◆1qsiYkasx6


    ───体に絡まってとれない。


    あなたの感触が。すべてが──

    2006-08-25 05:47:00
  • 2:

    紅◆1qsiYkasx6


    午後6時。
    毎日私が目覚める時間。
    特に何を思うでもなく、シャワーに入り身支度を始める。
    午後9時。出勤。

    2006-08-25 07:46:00
  • 3:

    紅◆1qsiYkasx6



    「レノおはよ-!」
    毎日顔を合わす店長が、今日もうっとうしい程明るく挨拶する。『…はよ。』
    店内のうるさい音楽にかき消されるくらい小さな声で答える。

    2006-08-25 07:50:00
  • 4:

    紅◆1qsiYkasx6

    「レノちゃん♪こないだの新規覚えてる-??」
    ──サリア。ひとつ年下で、ナンバーも私のひとつ下の二番手の、女の子らしさが売りの癒し系。『誰?』
    「ほら、サリアたち指名してくれたスーツの男前二人組〜。」
    『…あぁ、おとといの。』
    確か、三十代後半くらいの落ち着いた人たちだ。

    2006-08-25 07:56:00
  • 5:

    紅◆1qsiYkasx6

    『それが?』
    煙草をくゆらせながら、サリアが笑顔をこぼす。
    「今日来てくれるって♪」
    その笑顔から、二人をお気に入りなのが伺える。
    「なんか、その先輩の方がレノちゃんに一目惚れしちゃったんだって笑。」

    2006-08-25 08:00:00
  • 6:

    紅◆1qsiYkasx6

    「タケさん★マジ惚れらしいからうまくひっぱってね!」
    そう言ってサリアは更衣室へ入って行った。

    飲み方は知ってる人だと思っていたのに。

    2006-08-25 08:03:00
  • 7:

    紅◆1qsiYkasx6

    ──めんどくさい。
    慌ただしく動き回る黒服と嬢達を眺めながら、ぼーっと考えていた。

    水商売に入って二年。
    本気で働いてる訳でもなしに、いつのまにかナンバーワンに居座る自分。

    2006-08-25 08:07:00
  • 8:

    紅◆1qsiYkasx6

    長い付き合いだったショウジと別れて一年。
    それから本気で惚れた事はなかった。
    黒服や、客と付き合ったりもしたけれど、少しも満たされない─────────────────────────────────
    「いらっしゃいませ〜!!二名様ご来店です〜!!」

    2006-08-25 08:12:00
  • 9:

    紅◆1qsiYkasx6

    「きゃ〜!京ちゃんタケさん待ってたよぉ♪♪」
    サリアの声にハッとし、振り向くと、真っ直ぐに見つめる黒い瞳と視線がぶつかった。

    ────…胸が、音たつのをやめた。
    「レノ、元気か?」

    2006-08-25 10:04:00
  • 10:

    紅◆1qsiYkasx6

    動き出した心臓が早まるのを隠しながら、いつもの笑顔。
    『おととい会ったばかりでしょ?』
    優しい瞳が、私を包む。
    おとといは、気づかなかった。
    こんなに、オーラのある人だったなんて。

    2006-08-25 10:09:00
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