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1:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
あの頃の友達はどこに行ってしまったんだろう。
友達と呼べる程の友達なんて私にいたのかな??
あの頃の輝きはどこに行ってしまったんだろう。
輝きなんてものじゃなかったのかもしれない…2006-09-05 00:14:00 -
50:
一日でだいたい仕事の流れを掴んだ。
一人の客が払う金額はだいたい二万。羽振りがよければ別だけど。二万以外の場合は客を事務所に連れ戻して…その後は怖くて聞かなかった。
客が来なくて暇な時にはやっぱり事務所の待機室でシンナー。または稲本さん達とご飯、女の子達とカラオケ。2006-09-13 00:55:00 -
51:
手にしたことのないお金が舞い込んだ。
稲本さん名義で、すぐにマンションを借りた。マチコは実家と蘭のマンションと行ったり来たり。
淋しいときは仲間を呼んだ。一緒にシンナーをしたり。
誰も捕まらない時はナンパされた男を連れ込んで、朝までベットですごす。2006-09-13 00:59:00 -
52:
嫌なことがあってムシャクシャするとユウジに電話をかけて気が済むまでしゃべり続ける。原チャの免許を取ったユウジに迎えを何度も頼んだ。
それでもユウジは優しかった。何時でも、次の日仕事でもどこにでも迎えにきてくれた。2006-09-14 02:54:00 -
53:
こんな好都合な奴はいない。
でもこれっぽっちもユウジを好きにならなかった。ヨシキがいたし、たくましい男が好きな蘭には優し過ぎるユウジは頼りなかった。
でも、仕事のことだけは言えなかった…。2006-09-14 03:01:00 -
55:
稲本さんの事務所で働く女の子の人数が増えた。
全部で10人。
蘭、マチコ、ミナミで知り合った仲間3人。と元からいた女の子達。
みんな歳が近くて話が合った。また蘭の仲間が増えた。2006-09-14 03:05:00 -
56:
新しく知り合った仲間の一人がヨシキと同じ地元だと言う。
「ヨシキって知ってる??3コ上やから19やと思うんやけど…」
女の子の顔が固まった。2006-09-14 03:08:00 -
57:
「ヨシキさん…最低な人だよ…」
その子が言うには、ヨシキは17歳の時に彼女を孕ませ彼女の親に責任をとらされ婚約。18歳の誕生日に入籍。2006-09-15 00:40:00 -
58:
嫁となった人が子供をうんでも義父母が金持ちなのをいいことに仕事もせずに遊び回る日々。
浮気三昧、ヤンチャ三昧、お金も使い放題。
揚げ句の果てに最近では嫁と子供に暴力を振るうらしい。
「え…ヨシキが…」2006-09-15 00:43:00 -
60:
ヨシキは出会った時からつかみどころがなくて、あれ…どうやって出会ったんだっけ…??
もう、いいや。男なんていっぱいいる。…ヨシキよりステキな人も。
たぶん…2006-09-15 00:50:00 -
61:
毎日楽しい。仲間がいて、毎日違う男と遊んで、シンナーを吸って、出会ったばかりのオッサンと性行為をして…。お金があって。
ヨシキのことは意外にもすぐ忘れられた。
さよなら。こっちから連絡をしないから、一度も言葉を交わす事なく別れた…。2006-09-15 00:54:00 -
62:
コンビニでバイトをしてお金を作った。
バイトも学校も楽しかった。
唯一の悩みと言えば合コンも紹介もつまんなくて、全く男っけがないこと。2006-09-15 01:09:00 -
64:
久しぶりに蘭からの電話。コッチがかけてもでないクセに。
ナンパされて遊んでた男と私の学校の近くで別れた。ユウジ君に迎えにきてもらう予定だからそれまでカラオケにでも行こう、とのこと。2006-09-15 01:14:00 -
65:
久しぶりの蘭。
昔と変わらない笑顔。私の顔を見ると走り寄って来た。
「蘭、久しぶり。最近どぉしてたん??あれ…太った??」
『ハァ??しばくぞ、太ってへんし!!!!』2006-09-15 01:17:00 -
67:
「蘭…、私に言ってくれてありがとう。でもな、お願いやからやめて??家に帰って来…」
泣きながら訴えた。なぜ泣いてるんやろ。蘭が遠くに行ってしまうような…せのまま戻ってこないような。そんな気がして。
『は!?説教とかマジだるい。あーちゃんは蘭のことわかってくれるかと思った!!!!』2006-09-15 01:29:00 -
68:
蘭はすごく怒って部屋を出ていってしまった。
私は急いで追い掛けた。フロントで伝票と千円札を二枚を店員さんに無理矢理渡して店を飛び出た。
料金、足りたかな…?2006-09-15 01:33:00 -
69:
中学時代、運動部に所属していたおかげで蘭にはすぐ追い付いた。
「蘭、ごめん…。ちゃんと話そう??」
蘭は泣いている。取りあえず駅の近くの公園に入る。ベンチに蘭を座らせてジュースを買いに行った。2006-09-15 15:20:00 -
70:
「蘭ちゃん☆ミルクティーとファンタどっちがいい??」
蘭はちらっと私を見て無言でファンタを取って笑う。
『ファンタ好きなん覚えててくれたん…??』
「当たり前やん!!!!」
いつもの蘭。笑顔の蘭。…本当にこの蘭がシンナー、売春??2006-09-15 15:27:00 -
72:
組事務所の奥の待機室で女の子達みんなでシンナーをしてること。
ヨシキ君に家庭があって別れたこと。
『でもな、シンナーはあーちゃんが思ってるほど体にわるくないねんで。気持ち良くなって…すぐに効果切れるし。』2006-09-15 15:43:00 -
73:
なぜだか私の目からは涙がこぼれた。
そんな生活今すぐにでもやめてほしい。でも今の蘭にそんなことを言ったらまた怒ってしまって逆効果。
「蘭…。今蘭がしてることに口出しせぇへんから絶対に何かあったら連絡してね。蘭には私がおること忘れやんといて…」2006-09-15 15:52:00 -
76:
『もし!!!!お前タイミング悪いんじゃ…おん…駅ね。今から行くわ。』
蘭…相変わらずユウジ君にキツイな。優しいから何も言われへんのかな…。
『あーちゃん。イマイチ道わからんから駅まで着いて来て??あかん??』
「いいよ。私も電車で帰るし駅行かな」2006-09-15 16:18:00 -
80:
さっきと同じカラオケに入る。店員さんに謝って、部屋に案内してもらう。
ユウジ君は私に色々話し掛けてくれる。緊張しすぎてちゃんと答えられてるかな…??2006-09-15 17:08:00 -
81:
部屋に入ってすぐに蘭はトイレに立った。その間は二人きり。
あぁどうしよう…
「あの…ありさちゃん??メルアド、聞いてもいいかな??」2006-09-15 17:18:00 -
83:
適当に歌って楽しんで帰宅。
帰るとユウジ君からメールが来た。
【今日は楽しかった。またメールしような。】
嬉しくて飛び上がる。お母さんが私を見て不思議な顔をした。2006-09-15 17:46:00 -
84:
?蘭17歳。
相変わらずの毎日に終止符を打った。好きな人が出来た。
ヨシキ以来いっぱい遊んだけど好きになる人はいなかった。2006-09-15 17:55:00 -
85:
『もしもし?しんちゃん?蘭だよ☆』
しんちゃんは新人ホスト。仕事帰りにキャッチされてた。すごくおもしろくて楽しくて、すごく大好き。
マンションの家賃があるので仕事はちょくちょく行ってたけど、仲良くなった客と番号を交換して外で会ってお金をもらったりしてる毎日。2006-09-15 21:05:00 -
86:
しんちゃんはまだ新人でお金がないので蘭が助けてあげないと生活できない。
今日はしんちゃんとデート。買い物に行こう。
まだ付き合ってはいない。しんちゃんはまだ新人でお金がないから、人並みに稼げるようになったら蘭と付き合ってくれる約束をしてる。2006-09-15 21:08:00 -
87:
態度でわかる。きっとしんちゃんも蘭が好き。何回も体を重ねたし、愛の言葉をくれる。
「蘭??俺ホストやのに全然ブランドもってなくてカッコ悪い…」
しんちゃんがそぉ言うのでマフラーとネックを買ってあげた。2006-09-15 21:11:00 -
88:
10万円…。痛い出費だけどしんちゃんはすごく喜んでくれて、
「蘭ありがとう、ホンマ好きやわ。早く売れて付き合いたいな☆」
蘭もしんちゃんが好き…2006-09-15 21:13:00 -
89:
「蘭!!ドライブ行くぞ」
と、後輩から借りて来たボロボロの軽四でマンションの前まで迎えに来た。
大好きなしんちゃんが家に来てくれたのが嬉しくて家を飛び出て車に飛び乗った。2006-09-15 21:18:00 -
90:
ヨシキのピカピカのスカイラインよりこのボロボロの車の方がいい。しんちゃんと手を繋げるから…
しんちゃんが蘭を愛してくれてるから…。2006-09-16 00:20:00 -
92:
確かに真昼等に比べたら少ないけど…。夜の仕事をしている人や、カラオケ屋さんの勧誘、酔っ払いのサラリーマン…がちらほら。
本当にこの街は眠らない。2006-09-19 01:01:00 -
93:
ゴミがたくさん散乱して汚い汚いミナミの街をボーっと眺めている…といつの間にかひっかけ橋。
『え…しんちゃん??こんなところ車で入っていいの…??』
「いいねん♪」2006-09-19 01:04:00 -
95:
日曜日。朝方。
シャッターを閉めてる店がほとんど。
するとしんちゃんはギアを『R』にいれてすぐに『D』…シャッターに向かって急発進!!!!
『きゃあーーー』2006-09-19 01:09:00 -
96:
名無しさん
?
2006-09-23 23:21:00 -
97:
名無しさん
気になる?
2006-09-24 16:19:00 -
98:
―――――ガシャン!!!!
「えへ☆ビックリした??」
ノンキなしんちゃんと目が点の欄。車をシャッターにぶつけるのがしんちゃんの楽しみらしい。2006-09-24 23:45:00 -
99:
しばし無言。
二人目を合わせて大爆笑。「ヨッシャ!!次行こう」
『行こう行こう☆』
しんちゃんといるとホントに楽しい…。2006-09-24 23:48:00 -
100:
延々と並ぶミナミのお店のシャッター。それを次々車でぶつけてまわって。笑いが絶えなくて。
いつの間にか空が白んできたので家路についた。お金がなくて携帯代が払えないと言うので六万円渡した。「ありがとう、蘭。お前と連絡取られへんかったら俺寂しくて死ぬわ、マジ☆」
そういって笑うしんちゃん。…もっと頑張ってお金を稼いで早くしんちゃんと付き合いたい…。蘭の唯一の願いだった。2006-09-24 23:53:00 -
101:
マンションの自室の鍵を開けて、濁った空気が充満した部屋に入ると、携帯が鳴った。
メール。受信:あーちゃん
【蘭☆おはよう(o^v^o)実は…昨日ユウジクンに告白されて付き合うようになってん♪♪♪蘭には一番に報告だよ!!!!】2006-09-25 00:00:00 -
102:
何もない部屋。部屋を借りた記念に稲本さんが買ってくれたテレビと布団。
食べ残したコンビニのお弁当の箱に生えたカビと、タバコと、シンナーと、ナンパしてきた男が放った精液の匂いが入り交じった空間に一人…。
蘭は静かに携帯を閉じた。
『あーちゃんとユウジが…??』2006-09-25 00:08:00 -
103:
二人がメールしてたのは知ってたし、ユウジに恋愛感情は全くない。それでも…蘭のことが好きだと言っていたユウジが蘭から離れて行ったような気がして寂しくて堪らなかった。
2006-09-25 00:11:00 -
104:
もうユウジを足に使うことも出来ない。
あーちゃん、奥手のくせにちゃんと恋愛できるのかな…??
幸せな恋愛…。蘭もしんちゃんと早く付き合って幸せになりたい…。2006-09-25 00:13:00 -
106:
?ありさ17歳。
毎日は相変わらず。ただ何となく明るくいれるのは、好きな人が出来たこと。
蘭の知り合いのユウジクン。初めて会った時に一目惚れ。
今は毎日何通もメールをする関係にまで発展した。2006-09-25 00:18:00 -
107:
でもユウジクンは何年も前から蘭のことが好き。
だから付き合うとか、そんなことは考えないようにしてメールを楽しむ。
メール受信:ユウジクン
【おはよう。今日も仕事頑張ってくるわ!!!!ありさちゃんも学校頑張ってな。また休み時間にでも返事ちょーだい。】2006-09-25 00:22:00 -
108:
【おはよう(o^v^o)体壊さない程度に頑張ってね☆★今日は大嫌いな世界史の授業が二回もあるねん(:_;)帰りたいけど頑張るよ…】
送信:ユウジクン
毎日こんな感じ。たまに夜に電話をくれたりするけどそこでも普通。の、友達…??何やろう…。2006-09-25 00:26:00 -
110:
勤務時間が終わって更衣室に入って一番にすることはやっぱり携帯チェック。
メール二件。
受信:お母さん
【帰り気をつけてね】
これも日常。バイトがある日は毎日このメールをくれる。…もう一件は…2006-09-26 06:15:00 -
111:
受信:ユウジクン
キャー!!!やっぱり☆嬉しい。
すると私をチラっと見て先輩が言った。
『ホラ、その顔。何か幸せそうでいいな〜』2006-09-26 06:17:00 -
112:
知らない間に顔がニヤけてたみたい…。
【お疲れ様。話があるから電話したい。メールしてなぁ。】
話って何やろう。気になるので急いで着替えて店を飛び出た。2006-09-26 06:27:00 -
113:
「お疲れ様ですッッ」
私と入れ代わりにレジに入った店長に元気に挨拶して外に出ると、さっきの先輩の彼氏らしき人が迎えにきていて車に乗り込む先輩の顔が幸せに満ち溢れていた。
私もさっき…あんな顔してたのかな??じゃあ『綺麗』の要素をくれてるのはユウジクンかな…??2006-09-26 06:30:00 -
114:
そんなことを考えながら、学校指定のカバンをカゴにほうり込んで自転車にまたがると、メールをせずにユウジクンに電話をかけた。
『お疲れ。かけてくれたんやぁ☆』
と、こな会話から始まり本当の世間話。…話って何やろう。もうすぐ家に着いちゃうよ…2006-09-26 06:33:00 -
116:
突然。何??
車がたくさん通る大きな道から、家が見える脇道に入るカーブを曲がったところでユウジクンはイキナリ言った。
「え…。」
ユウジクンは蘭が好き。だから自分の気持ちをユウジクンに伝えることはなかった。それなのに…何??2006-09-26 06:38:00 -
117:
からかわれてるのかと思って涙が出た。
泣いてるのを悟られないように返答する。
「ユウジクンは蘭が好きやろ??告白する相手間違ってるよ。」
『え、ちょ…』
「ごめんね、家着いたからメールにして。」2006-09-26 06:44:00 -
118:
無理矢理電話を切って玄関の戸を開けると愛犬が飛んで迎えに来てくれる。これも日常。
ただいつもと違ったのは、私の目から涙が止まらないこと。
いつまで経っても抱っこしてくれない私を不思議そうな目で見て首をかしげる愛犬。2006-09-26 06:46:00 -
119:
涙を拭いて立ち上がり、愛犬を抱き上げてリビングに入る。
「お母さん、今日はご飯いいや。何か食欲なくて…」
あらそ、と背中を向けたまま答えるお母さん。この人は昔から私のことなら何でもおみとおし。今日もなにかあったことを悟って何も言わないでくれる。2006-09-26 06:50:00 -
120:
ソファーに座ってテレビを見ている弟に愛犬を抱かせてお風呂に入った。
カバンの中で携帯のマナーモードが震えてたような気がしたけど、今は触りたくなかった。2006-09-26 06:52:00 -
121:
脱衣所に入り服を脱ぐ。
中学時代、部活で嫌々ながらついた筋肉も落ちて少し、女の子らしい体になった。常時日焼けしていた肌も本来の白に戻った。
鏡に写った全裸の自分を見ると不思議と涙は止まった。2006-09-26 19:45:00 -
122:
自分でも気付かないうちに大人になっている。だけど中身は子供のまま。
ユウジクンが何をしたいのかはわからないけど逃げてしまうことだけは…自分には負けたくない。2006-09-26 21:22:00 -
125:
すぐにでてくれた。噛んでる。
「あの、さっきはごめんなさい。途中で電話切っちゃって…」
『いいねん。いいねん。いいねん。』
焦ってるのがすごく伝わって来てユウジクンもそれに気付いて二人で笑った。2006-09-26 23:53:00 -
126:
『あの…俺の好きな子は蘭じゃないから!!!!ありさちゃんが好きやねん。ホンマに。』
黙って話を聞こう。今声を出したら泣いてるのがばれてしまうから。
『出会った頃は蘭のことが好きやったけど…。蘭は俺のこと足としか思ってないし、ありさちゃんと出会う頃には妹みたいにほっとかれへん存在になってた』2006-09-26 23:57:00 -
127:
『…ありさちゃんのこと好きって気付いてから蘭とは連絡とってないよ。』
信じられなくて、夢みたいで…初めての告白。両想い。
「こんな私のどこが好きなん??」
『友達とか家族をホンマに大事にするとこ。ありさちゃんみたいに優しい人に今まで会ったことがない。』2006-09-27 00:00:00 -
128:
「…プッ。最後は言い過ぎ〜!!!!」
二人で笑った。
それから、私も同じ気持ちだったことを伝えてこれからよろしくって挨拶を交わす。
朝まで電話を切れなくて、次の日は二人とも学校や仕事、大変だねってまた笑った。2006-09-27 00:03:00 -
129:
ユウジクンの出勤時間。
「行ってらっしゃい。頑張ってね。」
『ありがと☆ありさちゃんも頑張って、学校。夜また電話する』
こんな会話を男の子とするの初めて。彼氏。ユウジクンが。私の。2006-09-27 00:06:00 -
131:
色々考えて真っ赤になった顔をクッションに埋めて
「キャーッッ」
っと叫んだ。
外は朝だと言うのに鳥の鳴く声も無い、街路樹の枯れ葉が散って少し寂しい秋の終わりを示していた。2006-09-27 00:12:00 -
132:
記念日は11月11日。
来年も再来年も、ユウジクンでいっぱいの今日を迎えることができますように。
蘭には一番に報告。寝てるかもしれないのでメールを送った。返事は無い。
元々生活のリズムがズレている私と蘭。あまり気にせずに登校の準備に取り掛かった。2006-09-27 00:15:00 -
133:
?蘭17歳・後半。
やっと暖かくなって来た。雑誌に載ってる春服を買ったのはいいけど、なかなか着れなくてウズウズしている。
毎日仕事に行き、毎日しんちゃんに会いに不二家前をウロウロ。不二家前はしんちゃんのキャッチ場所。2006-09-28 05:48:00 -
134:
しんちゃんにお金を渡して家に帰ってシンナー。
最近はマチコは蘭から一時も離れない。蘭も何かと言うことを聞くマチコを悪くは思ってなかった。2006-09-28 05:51:00 -
135:
「蘭ちゃんおつかれ!!!!今日はいくら稼げた??」
『おー。今日は四人でちょうど10万やな…』
と、毎回稼ぎと人数を女の子全員が記帳する決まり。
「蘭!!!!不二家前行こ」
マチコ。あぁ、うるさい…2006-09-28 05:59:00 -
136:
返事もせずに事務所を出て歩きだす。
「あん。待ってよ〜」
と、シンナー臭い息をハァハァさせながら着いてくるマチコ。
もう、勝手にして。
いつも、仕事が終わるとしんちゃんのことしか見えない。2006-09-28 06:43:00 -
137:
「お☆蘭!!!!」
どんなに遠くからでも必ずしんちゃんは蘭を見つけてくれる。自然と小走りになって駆け寄ると、人目も気にせずに抱きしめてくれた。
嬉しくてテンパっていると『お、その子がシンヤの“彼女候補ちゃん”か??』2006-09-28 06:47:00 -
138:
と、後ろから声がした。しんちゃんの店の…何かよくわからんけどすごい役職がついた人。しんちゃんが尊敬する先輩。
「お疲れ様です!!!!そうなんスよ、“候補”やけど、ほぼ“確定”です。…俺が売れたら付き合うって約束で…」2006-09-28 06:50:00 -
139:
「そうか。ほな頑張らなのー。」
と言って去って行った。隣には、ブランド物をたくさん身につけた女の人。お客さんかな??
それよりも、さっきのしんちゃんの言葉が嬉しすぎて涙がでそうになった。2006-09-28 06:52:00 -
140:
『しんちゃん…。手紙書いたの。読んでね』
昨日の夜に一生懸命書いた手紙を渡す。中に今日稼いだお金をほとんど入れて。
しんちゃんは喜んで受け取ってくれた。2006-09-28 06:55:00 -
141:
しんちゃんのキャッチの邪魔をしないように、これで別れた。
『じゃあまたメールするね☆』
と立ち去ろうとすると、それまで退屈そうにしてたマチコの顔に花が咲いた。2006-09-28 06:56:00 -
142:
しんちゃんのためなら、仕事も全然苦にならない。
大好きなしんちゃん…。
人が見ればとんでもない生活でも、蘭にとっては幸せそのもの。2006-09-28 06:58:00 -
143:
今も幸せだけど、しんちゃんと付き合える日々が早くくればいいな。
そんなささいな願いも打ち砕かれ、蘭を絶望の闇が包んだ。2006-09-28 07:00:00 -
144:
いつものように、しんちゃんと不二家前で会ってマチコと同居するマンションに帰る。いつの間にかこの部屋を訪れる仲間も減って、マチコとコンビニ弁当を貪り、シンナーを体内に取り入れ、寝て起き仕事…と言う日々が続いた。
2006-09-28 07:03:00 -
145:
この日は違った。
マチコが誰かと会うと言って今日は一人でシンナー。マチコが誰と会おうと全く興味が無い。
部屋で一人。いい気分の波が蘭を包む…2006-09-28 07:05:00 -
146:
―――ガチャ。
鍵なんてかけない。いつ、誰が入ってくるかわからないから。
―――バタバタバタ。
マチコ??それにしては足音の数が多いな…。2006-09-28 07:07:00 -
150:
日焼けサロンで焼きすぎて汚い肌。カラーリングを繰り返してる上に全く手入れしてない汚い金髪。
着飾ってはいるが何となく汚い。二人とも。
「お☆蘭!!!!」
俺が呼ぶと汚い歯を除かせて微笑みながら駆け寄ってくる。お腹のお肉が揺れてますよ。2006-09-28 07:18:00 -
151:
顔を見たくないからとりあえず抱きしめた。
俺に会いに来る前に香水をふってきたのか、シンナーの臭いと混じって有り得ないほどの異臭を漂わせるこの女。
俺の銀行。蘭。
銀行といっても金を預けることは一生無い、“お引き出し”専用。2006-09-28 07:21:00 -
152:
するとそこに俺の大先輩が、女と登場。
蘭のことを聞いてきたので、蘭が喜ぶだろうなと思うセリフを口から吐く。
こんな時の俺は、自分でも恐ろしくなるくらいに嘘の言葉が次々と出てくる。
やっぱり。蘭は喜んで。2006-09-28 07:25:00 -
153:
早く金だけ置いて帰らないかなと思っていると、
『しんちゃん。手紙書いたの、読んでね…』
とディズニーキャラが散らばった封筒を差し出した。
いらねー。。。と思いながら受け取ると、触った感じ、厚さや、大きさ的に金が入ってるのがすぐにわかったから笑顔で受け取った。2006-09-28 07:30:00 -
154:
去っていくバカ共の背中が見えなくなると、封筒を破り、金を数える。…九万。今日はまずまずやな。
手紙は読まずに、捨ててあるコンビニの袋に入れて口を縛り蹴飛ばした。どうせ書いてある文章はいつもと一生。
手紙の残骸が、明日以降蘭に見つからなければそれでいい。2006-09-28 07:33:00 -
156:
蘭は店に来たがる。絶対呼ばない。あいつは17歳。もしも、のことがあってはいけない。
それに、店で実はそこそこ売れている俺の正体を知られたら、
『売れて来たから付き合ってよ』
なんて言うに決まってる。2006-09-28 07:37:00 -
158:
?マチコ17歳。
毎日が楽しい。うるさい、うるさい親から逃げ離れて憧れの街、ミナミで蘭と二人暮し。
ちょっと見た目の気持ち悪いオッサンと、大好きなセックスをするだけで物凄い大金が舞い込む。
人間関係を気付くのが苦手な私も、蘭といればしゃべり相手くらい作れる。2006-09-28 07:44:00 -
159:
誰にも言えないのが、蘭の恋人(?のようなもの)のシンヤ君に恋をしてしまってること。
それでも、楽しい。周りにあまり男がいないからしょうがない。私は常に片思いをしておかないと気が済まないから。2006-09-28 07:47:00 -
160:
蘭はシンヤ君にお金を渡さないといけないからほとんど毎日仕事に行く。
私は、前日シンナーをやりすぎて体がダルかったりすると仕事を休む。
簡単な事。真っ当な仕事じゃないから、本当に甘い。夜の仕事ってこんなものか。2006-09-28 07:50:00 -
162:
「どうしたの?蘭は仕事でいないよ…」
内心ドキドキが止まらない。『あー…。今日はマチコちゃんに会いに来たねん。はは…』
え…!?嬉しい!!!2006-09-28 07:54:00 -
163:
軽く部屋を片付け、シンヤ君を布団の上に座らせた。
しばらく二人並んでテレビを見ていたど突然…
『俺、ホンマは蘭よりマチコちゃんが好きやねん…』と言い、押し倒してきた。『あかん??』
いいに決まってる。2006-09-28 07:56:00 -
165:
――蘭に悪いなとは思いながらも、欲望にまかせた。罪悪感は簡単に消され、一時の快楽を楽しんだマチコは、体に残った余韻を楽しんでいた。――
「あのさ、蘭…帰って来たらヤバイし、腹も減ったし外行かへん??」2006-09-28 08:01:00 -
167:
仕事を終えてから、蘭や稲本さん達と何度か来たことのあるファミレスに入る。
窓際の、喫煙席。二人向かい合わせに座る。
シンヤ君はホットコーヒー、私はクリームソーダを注文して二人ほぼ同時に煙草に火をつけた。2006-09-28 12:01:00 -
168:
「あのさー、マチコちゃん…」
シンヤ君はこれからの二人の付き合いについて話すのかな??
あ…蘭はどうしよう。きっと怒るだろうな…。もし、シンヤ君が私とちゃんと付き合ってくれるなら、実家に帰ろう。蘭 から離れればいい。2006-09-28 12:04:00 -
169:
「仕事の仕組みとかさ、詳しく聞かせてくれへん??」
『…へッッ??』
てっきり、これからの付き合いについて話し合うと思ってたのに。
でも、これから彼女になる私の仕事の事も知っててもらわないとね。2006-09-28 12:07:00 -
170:
『えっとね。お客さんはどうやって集めてるかは知らんけど事務所で紹介料払ってね、女の子は適当に組の人が決めて二人でホテルへ行くの。それでね、ここからは女の子と客同士で料金そうだんするの。だいたい二万〜。二万以下しか払わない場合は電話して組の人が来て…お客さんどうなっちゃうんやろうね…ハハ…』
2006-09-28 12:15:00 -
171:
「ふんふん。それで??」
『何人か客をとって終わったら、一日の稼いだ金額と人数をノートに書くの。』
「へー。じゃさ、シンナーはどこでやってるの??どこから手に入れてる??」2006-09-28 12:17:00 -
172:
『どこから仕入れているのかは知らん…』
「お待たせしましたぁ☆クリームゾーダのお客様ぁ?」
『あ、はぁーい。…でもね、奥の和室に常時あるよ。女の子みんなやってる。』2006-09-28 21:50:00 -
173:
マチコは、席に届いたクリームソーダの氷をカラカラ鳴らしながら一気に半分飲み干した。次に、アイスクリームを半分食べて…の繰り返し。
クリームソーダの食べ方。マチコ流。
「そうなんや…。色々ありがとう。」
「ごめんな、ホンマ…」2006-09-28 21:57:00 -
174:
名無しさん
?
2006-09-29 23:44:00 -
178:
縋る思いでシンヤを見ると…。彼は笑顔でこちらを見て手を振っていた。
何事か、すぐにはわからない。
ただ、パトカーに乗せられてる事からすると私は捕まってしまったようだ。2006-09-30 04:06:00 -
179:
携帯どころか鞄ごと没収され、仲間に連絡も取れない。
これからどうなるのだろう。親に連絡。逮捕。あ、未成年やから鑑別所か少年院か――――。
私を乗せたパトカーがどこかに到着する頃には、不思議と落ち着いていた。2006-09-30 04:14:00 -
180:
ただ、怖いのは…
こう言う場合、一人が捕まると芋づる式に組織全体が捕まる、みたいな話を思い出してしまったこと。
蘭、みんな、稲本さん達もつかまっちゃうのかな…2006-09-30 04:16:00 -
181:
名無しさん
面白いです??続ききになるぅ????
2006-09-30 09:46:00 -
182:
?ありさ17歳・後半。
ユウジクンと付き会って四ヶ月。会う度にドキドキ。電話やメールが楽しみ。
学校もバイトも順調。
楽しい。毎日。2006-10-01 00:52:00 -
183:
ただ気になるのは…蘭と連絡が取れないこと。
蘭、また携帯代払ってなくて止まってるんかな…??
料金を払って、電話を使えるようになったらまた何かしら連絡してきてくれるだろう、とあまり気にせず過ごした。2006-10-01 01:02:00 -
184:
『俺ホンマに好きやわ…ありさちゃんのこと…』
「…。」
いつも、愛を囁かれると恥ずかしくて言葉が出なくなる。
ユウジクンの家で二回目のキス。唇が触れるか触れないか…2006-10-01 01:04:00 -
186:
キスの時はギュっと目をつむってしまう…。一度ユウジクンの唇が離れて、もう一度重な…
――――ガチャ。
『あーーー!!!!お母さん!お兄ちゃんチュウしてるよー。』2006-10-01 01:08:00 -
187:
ユウジクンの妹。ユリエちゃん。小学五年生。明るくて笑顔がかわいい子。
『ちょ…おま…ウザイ!!!!』
ユウジクンもかわいい妹には本気で怒ったりしない。2006-10-01 01:10:00 -
188:
「キャハハハ☆」
と笑いながらリビングに走って行ったユリエちゃん。
私、赤面。
二人の目が合う。ユウジクンはごめん、と言って二人で笑った。2006-10-01 01:13:00 -
190:
ユウジクンはいつも自転車で家の近くまで送ってくれる。私たちは原チャの二人乗りはしない。危ないから。
今日は夕方からバイトやから、バイト先のコンビニまで。
「ユウジクンありがとう。終わったらメールするね☆」2006-10-02 16:30:00 -
191:
『わかった。頑張ってな』
ユウジクンの、自転車に乗った背中が見えなくなるまで見送った。
優しくて、大好きなユウジクン…。さっき触れ合った、唇を触って一人で赤面してしまう。
『おはよ☆』2006-10-02 16:34:00 -
192:
―ビクッッ!!!!先輩。
「あ…おは…!!おはようございます。」
声が裏返る。
『ビックリしすぎー☆今の子が彼氏??優しそうな子やね』2006-10-02 16:37:00 -
194:
今日もいつものバイト。いつも通り。
終わって、着替えを済ませて店を出てユウジクンにメール…するといつも返事は電話をくれる。2006-10-02 16:44:00 -
195:
夜道は危ないから、と言って家に着くまで切らないでいてくれる。
「ただいまー。お腹空いたー。」
『お帰り。あ、蘭ちゃんから電話あったよ、家に。携帯が壊れてしまったから、家の電話にかけて下さいって言うてやったわ。』2006-10-02 16:47:00 -
196:
名無しさん
あげー
2006-10-03 03:33:00 -
197:
私はお腹がすいてることなんて忘れて、部屋に駆け上がり蘭の家に電話した。
―――プルル…
『…はい』
ふてこいこの出方は蘭や!!「もしもし、蘭!!!!ありさやで」2006-10-03 14:05:00 -
198:
名無しさん
書いて????
2006-10-04 18:14:00 -
199:
『あーちゃん!!!!会いたい…』
「ちょ…うん、今すぐ行く」
幸にも今は春休み。明日のバイトは遅番。チャリンコで5分の蘭の実家に急いだ。2006-10-05 04:06:00 -
200:
ユウジクンが心配するといけないので、
【音信不通だった蘭から連絡があったので、ちょっと家まで行ってきます(^^)実家だよ☆チャリンコで5分】
と、メールを入れる。
久しぶりすぎる蘭。いきなり会いたいだなんて…何かあったのかな…??2006-10-05 04:21:00 -
202:
狭い、狭い四畳半の和室に二人。一人は煙草を吸いながら漫画を読みあさる。
もう一人はポッキーを端からポリポリ。窓の外をボーッと眺める。2006-10-06 18:28:00 -
203:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
『あーちゃんてさ。すごくない??』
煙草に漫画を辞める事なく蘭が言う。
「んー??何が??」
『だってさ。毎日朝練してさ授業受けてまた部活行って…塾行って…。そんな毎日しんどくない??』2006-10-06 18:44:00 -
205:
毎日楽しい。でも時々色んな事が嫌になる時もある。
私たちの学年の親が立ち上げた『新制バレー部』のキャプテンにいきなり選ばれて、先輩も『監督』と呼ぶには知識が無さ過ぎるただの『顧問』と、二年生になってからは後輩達の指導。部長会議。2006-10-06 19:02:00 -
206:
塾では、地域の塾同士の『学年での成績争い』。
私は塾の中で一番成績がよかったので、地域の争いに参加させられる。
成績表をもらうたび、緊張で胸が張り裂けそう…プレッシャー。2006-10-09 01:52:00 -
208:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
「うん、ごめん。ボーッとしてた…ハハ…」
『何それ。疲れてるんちゃうん??毎日ご苦労様☆』
毎日ご苦労様☆
毎日ご苦労様☆
毎日ご苦労様☆2006-10-09 01:58:00 -
209:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
目線は窓の外を向いたまま。
毎日ご苦労様☆
毎日ご苦労様☆
毎日ご苦労様☆
窓の外では、小さなスズメが飛び立った。2006-10-09 04:52:00 -
210:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
今見るべきものはそんなものではない。
かつて、そんな言葉をかけてくれる人はいただろうか。
蘭は、誰よりも人の気持ちがわからなくて…だけど誰よりも私の気持ちを見抜いて、いつも…ほしい言葉をくれる。2006-10-09 04:55:00 -
211:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
飛び去ったスズメは視界から消え去り、窓の外は一面空に変わった。
私の目からは涙。
蘭、ありがとう。
『ちょ…あーちゃん!!!!何泣いてるん!?おーい…』2006-10-09 04:58:00 -
212:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
「蘭…大好ぎー…」
『ハァ??』
二人の笑い声が狭い和室に響いた。――――――――
蘭の部屋。汚くて、煙草臭くて。だけど私の大好きな場所。2006-10-09 05:00:00 -
213:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
蘭のお母さんに挨拶して、二階に上がり蘭の部屋の戸を開ける。
ここに来るのは何年ぶり…??
「蘭!!!!」2006-10-09 05:02:00 -
214:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
『あーちゃん!!!!おヒサァ☆』
寝そべりながら、煙草。漫画。変わらない蘭のスタイル。
だけど蘭は、すごく太ってて…肌はボロボロ。2006-10-09 05:04:00 -
215:
「蘭、何があったん??」
『実はなぁ…』
蘭が話し出す。この一ヶ月、鑑別所に入っていたこと。規則正しい食事と生活でこんなに太ってしまったこと。洗顔とかがなくて、石鹸で顔を洗わないといけなくて肌荒れしたこと。2006-10-12 14:23:00 -
216:
「捕まったって…!!!!何でそぉなったん??」
今にも零れそうな涙を堪えながら聞く。
『マチコがな…。先につかまって。んで尋問で蘭と稲本さん達の居場所吐いたみたい。』
蘭の中ではもう笑い事の様で。終始笑顔。
『ご飯とかめっちゃマズイねんでー!!!!量少ないし。甘い物とかたまにしか食べられへんしな。』2006-10-12 14:27:00 -
217:
『でもな、援交と家出とボケやってて鑑別所止まりでよかった☆…それでな。』
「…うん。」
『しばいちゃった…☆マチコ。』2006-10-12 14:38:00 -
218:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
「…!?」
――――鑑別所が同じだったマチコと蘭。そこでマチコは蘭に言った。2006-10-12 15:12:00 -
219:
「蘭。あたし、シンヤ君と付き合うことになったから。もうシンヤ君に近ずかんといてな。エッチもしたし。」
マチコは、警察に仲間である蘭の名前を出した揚句、男まで寝取った。
怒った蘭は、鑑別所を出てすぐに男を連れて行ってマチコをしばいた。
『これも警察にチクるんか??そぉなったら地元におられへんようにしたるからな。』2006-10-12 15:17:00 -
220:
名無しさん
あげぇ??
2006-10-13 02:25:00 -
221:
?蘭、18歳。
鑑別所を出てすぐに、親が見つけて来たバイトを始めた。
知り合いが経営する会社。最初は事務で入る予定だったが、あまりの見た目に工場勤務に回される。
金髪プリン。そりゃそうか。2006-10-13 05:52:00 -
222:
パートのオバサンが『子供が家にいるから』と言う理由で休む『夏休み期間限定』の、一ヶ月ちょい。
まだ警察の監視があるので渋々毎日つとめた。2006-10-13 05:55:00 -
223:
捕まった時に携帯を取られて、出処の時に返却されたものの、機械自体が古いのと、長い間電源が切れていたせいで二度と画面から光が放たれることは無かった。
唯一、連絡が取れるのは…あーちゃん。今更マチコとつるむつもりもない。2006-10-13 05:58:00 -
224:
そんなあーちゃんも、夏休みといえどバイトとユウジで忙しいらしく、週に三・四回しか会えなかった。
寂しい…しんちゃんは本当にマチコのことが好きになっちゃったのかな??
会いたい…2006-10-13 06:06:00 -
225:
そんな思いが募って、夜中部屋を抜け出して親の財布からありったけの紙幣を抜き取り、タクシーを呼んでミナミへ…。
とりあえず稲本さんの事務所の前で下ろしてもらう。2006-10-13 06:17:00 -
226:
ほんの二ヶ月前まで一日の半分を過ごしていたそこは、シャッターが下りシンとしている。
ここで過ごした楽しい日々はもう戻らないのかな…?2006-10-13 06:44:00 -
229:
…そうだ、店に行こう。幸い、今の工場で働き出してすぐに誕生日を迎えて18歳になった。店に入れる。しんちゃんに…会える。
なんども無理矢理着いて行った、不二家からしんちゃんの店までの道。忘れるはずが無い。2006-10-13 06:51:00 -
230:
一分一秒でも長くしんちゃんといたかった。
「着いてくるな」
と言われるからしんちゃんの少し後ろを歩いた。
大きな背中。大きな手。大きな声。全部好き。2006-10-13 06:53:00 -
231:
…。
店にホストも客もチラホラしかいない。みんなキャッチに出てるのかな??
ふ、と目が合ったホストが近寄って来た。
「いらっしゃいませ。今日は誰…」
『しんちゃ…シンヤ君いてる??会いたいんやけど!!!!』2006-10-14 13:01:00 -
232:
「あぁ…。シンヤやったらとっくに辞めたよ。てか飛んだ。未収の回収できてないまま。こっちが探してるぐらい。」
――――えっ!?――――シンちゃんが飛んだ??それってもう…会えないってこと…??2006-10-14 13:04:00 -
233:
頭が真っ白になった蘭は店を出てボーっと街を歩いた。
しんちゃんのいないミナミはこんなにも色あせている。…帰ろう。
「あれ?蘭ちゃん??やっけ…。ごめん名前ハッキリわからん…」
『あー!!!!』2006-10-14 13:07:00 -
234:
名前を呼ばれた方に振り向くと、そこには稲本さんのところで一緒に働いてた女の子の一人。
名前…はナツミやったかな??
「久しぶり!!!!話あるし暇やったらどっか店入らん?」
『うん、いいよ☆』2006-10-14 13:10:00 -
235:
蘭とナツミは喫茶店に入る。
『どうしてた?あれから。』
「私?あれからみんな捕まっちゃってねー。蘭ちゃんもやろ??私はたまたま実家に帰ってたからセーフ。で、働くとこないから風俗して寮に入ってる。蘭ちゃんは?」2006-10-14 13:13:00 -
236:
蘭は、捕まってから今までのことと…さっきあったしんちゃんの出来事を話す。
『嘘やん!!!!最悪…。で、これからどぉするの??』これからのことなんて、考えてなかった。
ただ、このまま家に帰って毎日バイト…みたいな単調な毎日は嫌だった。2006-10-14 13:16:00 -
237:
『これから…どうしよう』
「良かったらさ、うちにおいでよ!!!!仕事紹介するし、すぐ寮にも入れるよ☆今日はウチに泊まって明日から行こう。」
『そうする。お願い。』2006-10-14 13:19:00 -
238:
ナツミの部屋はまぁ、女の子らしく片付いていて。家具こそはあまりないものの、生活感がありすぐに落ち着いた。
「明日から、風俗デビューやな。」
ナツミが布団をかぶりながら言う。
『デビューか。でも稲本さんとこでしてたのと変わらないよな。』
不安はなかった。頑張らないと、この大好きなミナミにしがみつく術はない。2006-10-14 13:23:00 -
239:
ユウジクンと付き合って半年。節々にキスはたくさんしたけど、一度も体を重ねたことは無かった。
最近では、私に魅力が無いのかな?なんて悩んだり。
♪♪♪着信ユウジクン♪♪♪「ハイ☆うん…わかった。待ってる。じゃあね。」2006-10-14 13:29:00 -
240:
今日はデート。ユウジクンがどうしても見たいと言うので映画館へ。
今まで一度も喧嘩なんてない。お互いがお互いを信じ合い、きっともともと波長が合っていたんだと思う。2006-10-14 13:32:00 -
241:
映画を見終えて、アイスクリームを買ってベンチに座りながら話す。
「ユウジクン…あんな…。私進路決めた。なれるかわからんけど、看護学校受験しようと思うねん!!」
『マジ!?いいやん♪♪ありさちゃん、看護士めっちゃ似合う☆俺入院したいぐい☆笑☆』2006-10-14 13:38:00 -
242:
親にも先生にも、大好きなユウジクンにも大賛成された私の夢。
来年の桜が咲く頃には、看護学校の制服に身を包んでますように、と願う。2006-10-14 14:06:00 -
243:
?蘭、19歳。
風俗嬢が板について来たのかはわからない。ただ、『挿入以外の方法でお客様を満足させる』と言うやり方は思ったよりも難しく、蘭には合わなかった。2006-10-14 15:33:00 -
244:
名無しさん
あげ??
2006-10-14 19:54:00 -
245:
源氏名を付けられるのも、一週間の出勤予定を決めるのも、決められた時間いっぱいいっぱい客と過ごさなければならないのも、全部蘭には合わなかった。
「こんばんわ☆蘭です。よろしくね」
何てセリフ、口が裂けても言わない。気持ち悪い。2006-10-18 09:56:00 -
246:
『蘭ちゃん、かわいいね。今日はどんなサービスしてくれるの??』
「あぁ。くわえるん嫌いやから本番しよ。」
客にとっては願ってもないこと。
その代わり、シャワーは一人で浴びさせた。2006-10-18 10:06:00 -
247:
店にクレームを出す奴なんていない。本番をしてしまった後では、結局客の方が悪くなる。
最後の客を見送って、事務所に入り今日の給料をもらう。2006-10-18 10:08:00 -
248:
「蘭ちゃん、お疲れ様。ハイ、給料。」
『…。』
もらって即、明細と中身を確かめる。
『はぁ!?二万??夜10時から働いて二万て何??てか最近待機長すぎる。』2006-10-18 10:10:00 -
249:
時代遅れの汚いギャル、本指名が全くない蘭に、店も客をたくさんつけるわけにはいかない。
蘭が本番をしている噂も出回っていた。
「ごめんね、今日は蘭ちゃんだけじゃなくてみんな暇やってん…」
嘘。看板娘は毎日約七万円。新人でも四万円稼げるくらいの集客率。2006-10-18 10:14:00 -
250:
他の女の子の客付きがいいことなんて蘭にもわかってる。
苛立ちを隠しながら事務所を出た。
行かなくてはならない場所がある。
足早に、通い慣れた道を進む。あるビルの前に着くと携帯を取り出し、電話をかける。2006-10-18 10:18:00 -
251:
――――プルルル
『もしもし??たっちゃん?着いたよ。…うん、わかった。待ってる。』
少し前から蘭が通っているホストクラブ。で、できた彼氏。たっちゃん。たっちゃんを支えるため、もちろん店にも通った。2006-10-18 10:22:00 -
252:
少し古い型のエレベーターの表示が1を指してドアが開いた。
「蘭!!!!仕事お疲れ。早く中入り☆」
手を引かれながらエレベーターに乗り込む。たっちゃんがB1を押して、今日の稼ぎを聞いてくる。2006-10-18 10:27:00 -
253:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
『二万だった。今日店が暇でね…。』
「そっか…。じゃあ今日はシャンパンおろせないな。もぉすぐ付き合った記念日やしシャンパン飲みたかったなぁ。」
たっちゃんがそんなことを考えてくれてたなんて知らなかった。
『シャンパン飲みたい!!!!未収でいいからおろそう、シャンパン』2006-10-18 10:29:00 -
254:
「やったあ!蘭大好きー」
たっちゃんがよろこんでくれるなら何でもする。
こんな出来事が積み重なって、蘭の未収は100万を越えていた。たっちゃんは未収も二人で乗り越えような、と励ましてくれる。2006-10-18 10:31:00 -
255:
ヨシキもしんちゃんも、大好きだったけどたっちゃんが一番好き。優しくて蘭のことをすごく考えてくれる。
この日は結局、シャンパンを20本おろして未収が40万増えた。2006-10-18 10:34:00 -
256:
捕まって以来、携帯がなかったので稼いだお金でまずプリケーとカードを買った。
またあーちゃんの実家に電話をして、携帯番号を聞いて連絡を取れるようにした。
今の状況を話すと
「何かあったら絶対に言ってね。何もできないかもしれないけど…」
と言ってくれた。2006-10-18 22:01:00 -
257:
相変わらずユウジとはラブラブとか言ってたな。
蘭にも、守ってくれるいい彼氏がいると言うと安心したような声で喜んでくれた。2006-10-19 01:48:00 -
258:
名無しさん
書いて
2006-10-19 12:19:00 -
260:
大好きなたっちゃんからの着信。口の中に入ってるコンビニ弁当を、烏龍茶で流し込み咳ばらいを一つしてから電話に出た。
『もしもし☆たっちゃあ』
「おう、蘭。今何してる?」
たっちゃんはいつも、コレを聞く。2006-10-20 04:18:00 -
261:
『今ぁ??お肌のお手入れしてたよ☆』
嘘。たっちゃんに、できるだけ女の子らしく可愛く思われたいがために、いつも嘘を着く。
「そかー。あんな、蘭未収あるやんか??
“締日”って知ってる??うちの店はな、月末末の締日までに全額回収しやなあかんねん。」2006-10-20 04:22:00 -
262:
そう言えば、ナツミがそんな事を言っていた様な気がした。
ナツミも大のホスト好き。たっちゃんと同じ店にお気に入りがいて、二人で通うこともしばしば。
「でな、蘭はあと三週間で152万。大丈夫??」2006-10-20 04:27:00 -
263:
『え…150万なんて。無理…』
「でもな、蘭が用意してくれへんかったら俺も蘭も上の人に何されるかわからへんねん。まずは実家に電話して…」
実家はまずい。お金を盗んで家出して消息不明な蘭がホストの未収で150万…なんて言ったら何を言われるかわからない。2006-10-20 04:39:00 -
265:
『…わかった。仕事毎日行って頑張る。』
これから三週間、毎日仕事にいっても150万たまるかわからない。でも頑張るしかない。2006-10-20 04:42:00 -
266:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
たっちゃんと約束をした。毎日の稼ぎを、ご飯代を除いてたっちゃんにすぐ渡すこと。
仕事→たっちゃんの店。毎日ちゃんと行く。お金を渡す。2006-10-20 04:44:00 -
268:
「蘭☆寒いやろ。中入り」
そう言われて、店の中に入る。それで毎日少し使う。仕事は暇。蘭の未収は、一向に減らなかった。そんな不安が爆発しそうな時、たっちゃんが言った。
「頑張ってる蘭めっちゃかわいい☆でも、あと一週間で108万…。」2006-10-20 04:49:00 -
269:
まだそんなにあるのか、と正直驚いた。
『ごめん…。明日から昼も働くから、まだ実家には電話しやんといてな…』
しんちゃんは、ニコッッと笑って頑張れと。少しぐらい遅れてもいいように、上の人にたのむからと。二人で頑張って乗り越えていこうな。といって頭を撫でてくれた。2006-10-20 04:52:00 -
270:
嬉しい。こんなにも、蘭のことを考えてくれる人は生涯この人しかいない。
たっちゃんに迷惑をかけないように、毎日がむしゃらに働いた。2006-10-20 04:54:00 -
271:
?ナツミ20歳。
冬のミナミの街は、恋人達が寄り添って歩いていて独り身に寒さが染みた。
ここはお店の待機室。隣には蘭。2006-10-20 04:57:00 -
272:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
蘭はここ最近連勤。
彼氏がホストで、お店に未収を作っちゃったとか。
私も同じ店に行くけど、未収なんて絶対しない。使う金額はその日の稼ぎのみ。2006-10-20 07:03:00 -
273:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
『ナツミお願いがある。』ある日蘭が言った。
『お金…貸してくれへん?』
バカか、こいつは。
貸すわけがない。未収を払えないくらい稼ぎが少ないのに。そんな奴に貸したらいつ返してくれるのか想像もつかない。2006-10-20 07:07:00 -
274:
心の中では何とでも思える。
「ごめん、蘭。私も支払い溜まってて…。今からお金いるねん。」
そもそも、本当に無くしたくない友達にはお金を借りたり出来ないはず。そこにも腹がたった。2006-10-20 07:10:00 -
275:
元気なく微笑んだ蘭。
待機室のドアが開く。従業員が入って来て、手にはお客が来た明かしのカード。これをホテルに見せて入室するわけ。
さぁ、どっちかな??私か蘭か。2006-10-20 07:13:00 -
276:
「レイさん、90分お願いします。」
やっぱり。
レイは私の源氏名。本指名、チラホラ。店の人とも仲が良い。
蘭、風営法が厳しくなった今、本番嬢。ふてこくて店の人に嫌われてるよ?2006-10-20 07:32:00 -
279:
結局蘭は期限内に未収をはらいきれなくて、延ばしてもらったとか。
『たっちゃんが蘭のために上の人に頼んでくれた。』
と喜んでいたけど、私には引っ張られてるようにしか見えない。2006-10-20 18:06:00 -
281:
その頃私は、友達に誘われて行った三ノ宮のホストクラブにお気に入りができたので、仕事を三ノ宮に変えようと考えていた。
新しい店を見つけて、寮を借りて。2006-10-20 18:14:00 -
282:
その話を蘭にすると、着いていきたい。とのこと。
「じゃあさ、未収飛んじゃえよ。」
私がそう言うと、蘭の顔に花が咲いた。2006-10-20 18:18:00 -
283:
実家の母から
【家の裏の公園の桜が綺麗に咲いてるよ。たまには家に帰って来てね】
とかメールが入った。適当に返事を返して、私と蘭は電車に飛び乗った。2006-10-21 02:20:00 -
284:
?ありさ、18歳。
―――キャンキャン!!!!
私が玄関を出ようとすると、可愛い愛犬が悲しそうな声で鳴く。
「行ってきまーす」
通勤ラッシュの過ぎた頃、私は地元の駅から各駅停車に乗って学校へ向かう。2006-10-21 02:30:00 -
285:
『おはよう☆明日の実習のさ…』
「うんうん。」
この四月から、念願だった看護学校に入学。やりがいのある実習と、その後の恐怖のレポート提出。難しい勉強も楽しかった。2006-10-21 02:34:00 -
286:
ありさ◆Ki5XSvxrmU
●略●
この四月から、念願だった看護学校に入学。やりがいのある実習と、その後の恐怖のレポート提出。難しい勉強も楽しかった。2006-10-21 02:54:00 -
287:
【ユウジクン☆おはよう(*・∀・)仕事頑張ってる?
私明日から実習だぁ。夜また電話します】
授業が始まる前にメールを打った。2006-10-21 02:57:00 -
288:
もうすぐ夏休み。学校にも慣れて来たしそろそろバイトでもしようかな。
蘭は元気かな。最近時間のすれ違いが多くて、電話できてないな。優しい彼氏がいるって言ってたし心配ないか。2006-10-21 03:03:00 -
290:
借りている寮の家賃のためにほとんど毎日仕事。
時々買い物に行ったり。ミナミの街は、たっちゃんの未収の件があってから近寄れない。2006-10-21 03:19:00 -
291:
名無しさん
毎日楽しくよんどーよ?続き楽しみ?
2006-10-22 23:15:00 -
292:
名無しさん
はよ書いて?
2006-10-24 22:54:00 -
293:
名無しさん
・゚・(>_
2006-10-25 00:53:00 -
294:
――――初めて降り立った三ノ宮の街。ミナミまでとは言わないがなかなか眠らない。
ミナミ特有のギラギラしたオーラはなくて、蘭の中ではゆっくりと時間が流れる。2006-10-25 14:42:00 -
295:
♪♪♪着信:あーちゃん
『もーし☆久しぶり。電話くれて嬉しいわ。
うん、元気。…うん、うん。三ノ宮にも慣れてきた。…うん。
えー!!!!やっとやん☆笑☆』2006-10-25 14:54:00 -
296:
あーちゃんとユウジがやっと初エッチをしたらしい。よく知ってる二人の…、想像したらなんだか照れた。
付き合って一年半、ずっとキス止まりだったユウジとあーちゃんがやっと体を重ねた。2006-10-25 23:10:00 -
297:
そう言えば、蘭のことを好きと言ってた頃も手をだしてこなかったな。
一時はユウジがEDなんかじゃないかと本気で悩んだ。
誠実なユウジのことだから、きっとあーちゃんを本気で大事にしてるんだろうな…。2006-10-25 23:17:00 -
298:
いいな…。初体験を大事に出来て。
蘭も、もっと体を大事にすればよかった。
「蘭さん、パネル指名で40分でーす。」
心ではそう思いながらも、お金が必要なので働く。2006-10-25 23:34:00