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水商売の変貌

スレッド内検索:
  • 1:

    名無しさん

    1 名前:杏奈:05/09/09 06:58
    夜の世界ではでも耳にしたことがありますよね?突然の変貌や変身って言葉を。そしてその世界に入ってくる約七割が心に何らかの闇を抱えていることを。
    つかればつかる程変わっていく。これは本職ホストの彼氏の実話を元にした話。

    2006-09-07 14:29:00
  • 2:

    名無しさん

    2 名前:杏奈:05/09/09 07:04
    私の彼氏は某ホストクラブの代表。水商売歴は○年と長い。夜の街ではちょっとした有名人。
    私が彼、光輝と出会ったのは今から五年も前のことだった。

    2006-09-07 14:31:00
  • 3:

    ?まぁゃ?

    前も書いてましたょねぇ?

    2006-09-07 14:36:00
  • 4:

    杏奈

    光輝を初めて見た時、体中に電気が走ったようにドキッとした。
    うわっ…めっちゃカッコイイやん。
    それが光輝の第一印象やった。初めて会ったのにすぐに意気統合して、お互いの友達も交えてそのままカラオケへと移動した。

    2006-09-07 14:37:00
  • 5:

    名無しさん

    コピペさしてもらってるんです、すいません

    2006-09-07 14:41:00
  • 6:

    名無しさん

    光輝には不思議な影があった。時々ふと淋しげな顔をする。初めて会った時からずっとそれが気になってた。
    歌う曲も淋しげなバラードばかり。私はすぐに光輝に吸い寄せられるようにひかれていった。

    2006-09-07 14:44:00
  • 7:

    杏奈

    『光輝君って何してる人なん?学生?』
    同じ歳ぐらいかと思ってた私はとりあえず年齢を知りたくて聞いた。
    『え?全然。めっちゃ引く仕事かも。ホストやねん。まだ始めたとこやねんけどな。二週間目。ちなみに19歳やで。杏奈の一個上』
    一個上かぁ。あんまり変わらんねや。

    2006-09-07 14:46:00
  • 8:

    杏奈

    でも見えない壁を感じた。光輝は何かを抱え込んでるように見えた。そして私はあまり接点のなかったホストとゆう夜の世界の人間を光輝を通して知っていくことになった。
    『杏奈引いたやろ?』
    『全然☆光輝君カッコイイしいいんちゃう?』
    私は最初は本当にそう思ってた。

    2006-09-07 14:48:00
  • 9:

    杏奈

    それから携帯番号を交換して、その日はカラオケが終わると普通にバイバイした。
    毎週日曜は光輝と会うようになってそれ以外は電話をする日々が続いた。いつの間にか光輝を好きになっている自分に気付いた頃、突然の光輝からの告白。

    2006-09-07 14:51:00
  • 10:

    杏奈

    ちょうど出会ってから二ヵ月目の日曜日やった。
    『杏奈のこと好きなってもうた。付き合ってくれ』
    私は迷うことなくオッケーした。大好きな光輝の彼女になれた。それだけで幸せやった。
    その頃まだ光輝は駆け出しの新人ホスト。毎日酔い潰れながら給料と呼べる額には程遠いぐらい薄っぺらい給料袋を私に見せてくれた。


    2006-09-07 14:55:00
  • 11:

    杏奈

    え?こんな少ないん?明細を見てびっくりした。手取りで六万円弱。日曜日以外毎日働いて六万円。
    想像してた夜の世界とは全く別なものやった。それでもそのわずかなお金で給料日のあった週の日曜日は、おいしい物を食べに少しリッチなお店に連れてってくれた。
    私はそんな優しい光輝がほんまに好きやった。

    2006-09-07 14:58:00
  • 12:

    杏奈

    でも私は付き合って半年ぐらいまで光輝のお店の場所がどこにあるかも知らず、次第に興味をいだくようになった。
    ホストをしてる光輝も見てみたい。どんなとこで働いてるんやろうって。
    何回か頼んでやっとオッケーをもらい、仕事が終わるとバイト仲間の桜ちゃんと一緒に遊びに行った。もちろん支払いは私もちで。

    2006-09-07 15:05:00
  • 13:

    杏奈

    近くまで行くと光輝が迎えに来てくれ、お店まで三人で歩きながら向かった。
    『俺の彼女ってゆったら代表がセットだけでいいって言ってくれたし俺出すから金払わんでいいで』
    光輝が私達に言ってきた。
    『いいって☆無理ゆって来たしセットぐらいなら全然払えるから』

    2006-09-07 15:08:00
  • 14:

    杏奈

    『いいから!出すな』
    光輝に言われて渋々うなずいた。そしてお店に着くと黒いスーツに身をまとった人達がたくさんいた。
    男前な人や可愛い人、三枚目系の楽しそうな人、いっぱいいたけど私はやっぱり光輝が一番やなぁと思った。
    お店にいる時の光輝は少し大人に見える。暗がりな店内なせいもあってキレイな顔に見えた。

    2006-09-07 15:10:00
  • 15:

    杏奈

    『初めまして!代表のアースです。地球って書いてアースって読むねん。英語ではEarthってゆうやろ?』
    突然席に入ってきて光輝の隣に座った代表、アースさんは座った途端にマシンガントークが炸裂やった。
    『杏奈ちゃんやっけ?よう光輝が話してるで。僕の彼女は可愛いって。こいつ今めっちゃ頑張ってるわ。今月ナンバー4ぐらいいくんちゃうか?』

    2006-09-07 15:12:00
  • 16:

    杏奈

    『えー♪光輝凄いやん。めっちゃ頑張ってるもんなぁ』
    嬉しかった。ナンバー入りできる光輝を素直に喜んだ。でも内心は違ってた。
    最近は日曜日でも会えるのは夜中から。私はバイトをわざわざ日曜、月曜を休みにしてたのに。
    日曜の夜遅くに会って、月曜日の光輝の仕事の時間までしか会えなくなってた。

    2006-09-07 15:18:00
  • 17:

    名無しさん

    読んだことないから続き読みたい!!おも白い(^^)

    2006-09-07 15:19:00
  • 18:

    杏奈

    私はその言葉の意味が分からなかった。でも少しずつその意味が分かっていくようになる。
    初めて光輝のお店に行った日から一ヶ月。私はあれ以来お店には行ってなかった。光輝はアースさんの家に他のホスト二人と転がりこんで生活していた。

    2006-09-07 15:25:00
  • 19:

    杏奈

    すれ違いの毎日の中でも唯一の救いは朝、光輝が電話で起こしてくれることだった。毎朝9時ごろ、光輝は毎日電話をしてくれた。
    光輝にとってはモーニングコール兼おやすみコール。電話を切る時はいつも決まって『おやすみ』だった。

    2006-09-07 15:27:00
  • 20:

    杏奈

    でもギリギリうまくいってた付き合って八ヵ月がたつ頃、状況が変わってくる。
    朝の電話も途切れるようになり、日曜も会ってる間ずっと寝てることが多くなった。私はまだ実家だったし光輝はアースさんの家に居候だったからお泊りはいつもホテル。
    光輝が仕事が終わった日曜日の朝から月曜日の夜まで丸二日間ずっとホテルにいた時もあった。

    2006-09-07 15:29:00
  • 21:

    杏奈

    それでも一緒にいる間は良かった。安心できた。光輝のそばにいることで不安からも開放された。
    その頃は光輝はナンバー3になっていた。そしてある日曜日、いつものように光輝と会ってその日は久しぶりにデートらしいデートをした。
    映画見たり買い物したり、プリクラ撮ったり。その時買い物中に光輝に初めて指輪ももらった。

    2006-09-07 15:33:00
  • 22:

    杏奈

    『お前が不安にならんようにつけとけ。ごめんな最近あんまり時間作ってあげれんくて』
    って言ってくれた。私は嬉しくて店の中やったのに泣いてしまって光輝は恥ずかしそうにしてた。
    光輝の彼女は私なんや、信じてたら大丈夫。光輝だって頑張ってんねんから。
    そしてまたいつものようにホテルでお泊りしてると光輝が言ってくれた。

    2006-09-07 15:35:00
  • 23:

    杏奈

    『一年目の記念日きたら一緒に住もっか』
    私は光輝の突然の言葉に頭がいっぱいになった。一緒に住もっかって…?光輝と私が?二人で?嬉しさと喜びでいっぱいになった。
    『あと四ヵ月ガマンしとけよ。今金もためてるし。一緒に住んだら毎日飯作ってな。アースさんの彼女めっちゃ飯うまいねん』
    『彼女…?』
    『あれ?ゆうてへんかった?彼女も最近一緒に住んでんねん』

    2006-09-07 15:37:00
  • 24:

    杏奈

    全然知らんかった。ってことは毎日生活してる場に女がおったんや…いくらアースさんの彼女とはいえ少し嫌な気分になった。
    でも四ヵ月、あともう少し頑張ろう。そうすればきっと今みたいな不安からも開放される。
    でも私の不安は予想外な展開を引き起こす種になってしまった。

    2006-09-07 16:06:00
  • 25:

    杏奈

    いつものように光輝は先に寝てしまい、私は脱ぎっぱなしにしてたスーツのジャケットをハンガーにかけようとした。
    その時、内ポケットからピンクの封筒を見つけてしまった。今まで感じたことない嫌な勘がはたらいた。
    なんなんやろコレ。私は少しためらいながらも気付けば封筒を手にしてた。

    2006-09-07 16:09:00
  • 26:

    杏奈

    封筒の表にはダーリンへ?と書かれてあった。寒気がした。裏を見ると愛子と書かれてた。
    見ちゃだめだ。頭では分かっていた。でももう理性は働かなかった。
    内容は意外に普通なことだった。最後の二行を見るまでは。
    ━━省略━━
    もうすぐ付き合って一ヶ月だね?今度また家に遊びに来てな?一回来てくれてからずっと来てくれへんし。忙しいのは分かってるけど。ワガママ言ってごめんね。愛子より?

    2006-09-07 16:11:00
  • 27:

    杏奈

    愛子…って誰よ…。私の中の何かがプッツンと切れた。寝ていた光輝を起こして手紙を投げ付けた。
    『ど…したん?杏奈も一緒にねよぉ』
    寝ぼけた光輝は気付かないまま私にそう言ってきた。
    『愛子って誰なん』
    『えっ?なんて?』

    2006-09-07 16:13:00
  • 28:

    杏奈

    『愛子って誰なんよ!!』
    私は初めて光輝に怒鳴った。怒った私を見て驚いた光輝は跳び起きた。そして投げ付けた手紙を見ると顔が青ざめていくのが分かった。
    『ちゃうねん』
    『何が違うんよ!また家に来てってどーゆうこと?一ヶ月記念って何なん!』
    『客やねんって。店の客。色で引っ張ってるからしゃあないねん信じてくれや』

    2006-09-07 16:16:00
  • 29:

    杏奈

    色…?私は意味が分からなかった。夜の世界とは無縁やったしそんな客とのルールみたいなものがあることすら理解できひんかった。
    『信じれるわけないやん』
    『ちょっと待ってくれや!全部お前とのこれからのためやん。マンションの契約にも金いるし。色なんか当たり前にあんねんから』

    2006-09-07 16:33:00
  • 30:

    杏奈

    当たり前?そうゆう風に人に嘘つくことが当たり前?私はこの時初めて光輝に対して不信感をもった。
    『杏奈のためって何なん?そんなことしてまでお金作ってマンション契約なんて望んでないわ。杏奈は…光輝と一緒におれるだけでいいのに…そんなんしてまで同棲なんてしたくな…』
    声がでえへんかった。悲しくて悔しくて寂しくて。

    2006-09-07 16:35:00
  • 31:

    杏奈

    光輝がどんどん変わっていく。悪い悪魔のように変貌を遂げていく。涙がとまらんかった。
    『信じてくれ。家には行ったけどなんもしてないし、一切触れてもない。休みの日だって絶対杏奈とおったやん』
    そうやった。休みの日だけは私のそばにいてくれた。でも他の日は…そう思うと泣き止むどころかワンワン泣いてた。

    2006-09-07 16:39:00
  • 32:

    杏奈

    愛子って人だけじゃないかもしれん。光輝は今ナンバー3。もっと他にもたくさんお客さんがおる。
    もしかしたら…いや、そうは思いたくない。でも…。途切れた糸は繋ぎ合わせるまで時間がかかった。
    その日は結局、一応仲直りした。でもそこから私は変わってしまった。光輝をしばるようになっていった。不安で苦しくて光輝をしばることで安心するようになって。

    2006-09-07 16:41:00
  • 33:

    杏奈

    バイト中も暇を見つけてはトイレに行き昼も電話をかけた。光輝はあの時以来、私が余計な心配をしないように寝てても絶対に電話に出てくれた。
    なにやってんねやろ私…。光輝にとって重い存在になってる。それが分かってるのに気持ちのブレーキがきかんかった。

    2006-09-07 16:44:00
  • 34:

    杏奈

    そうこうしてるうちに付き合って10ヵ月目が過ぎた。ある日、私は仕事が終わった時に見知らぬ携帯番号から電話が鳴った。
    『はい』
    『もしもし杏奈ちゃん?俺オレ、アースですけど』
    『アースさん?あっどうしたんですか!?』
    『今からちょっと時間ある?話したいことあって』

    2006-09-07 16:46:00
  • 35:

    杏奈

    私は言われるがままに指定された場所に向かい、アースさんを待っていると走りながらアースさんは現れた。
    『行こっか』
    そう言うとアースさんは歩きだした。夜の街をゆっくり歩いたのは初めてやった。すれ違う人はアースさんに挨拶したりジロジロ見てたり、違うオーラみたいなものを感じた。

    2006-09-07 16:50:00
  • 36:

    杏奈

    でもアースさんが入ったのは焼肉屋…え?
    『腹減ってない?俺めちゃめちゃ減りまくりんこ』
    私は思わず笑ってた。りんこって(笑)そしてテーブル席に座った私とアースさんは飲み物を頼み、とりあえず食事した。その間アースさんは普通の話をしてた。
    やっと食べ終わる頃、アースさんは私をじっと見るとこう言った。
    『杏奈ちゃんは光輝のこと信じられへん?』

    2006-09-07 16:52:00
  • 37:

    杏奈

    『えっ?あ、あぁ…光輝から何か聞いたんですか?』
    『うーん、まぁ聞いたとゆうか最近光輝がちょっと元気なさそうに見えたから、俺から聞いてみてんな。そしたら杏奈ちゃんと喧嘩ばっかりやって言ってたから。原因は仕事やって言ってたしナンバーのプレッシャーかけてた俺にも責任あるかなぁと思って』

    2006-09-07 16:54:00
  • 38:

    杏奈

    『そんな…ことないです。アースさんのせいとか。ただ杏奈が、あ、私が光輝に色のこととか言われて理解できなくて…』
    『そっか。でもあいつ頑張ってんで。杏奈ちゃんと一緒に住むためって給料も使わんとおいてるし多分今月ナンバー2になるやろうな。来月は物件見に行くって張り切ってたわ』

    2006-09-07 16:56:00
  • 39:

    杏奈

    私は恥ずかしかった。光輝は私に嫌な想いばっかりさせるって思ってた。でも…安心させたいってゆう言葉に嘘はなかったんや…。
    情けなかった。
    『信じてあげてくれな。一番大事な人間に信じてもらわれへんのってかなり辛いもんやから』
    アースさんはそう言うと私にニコッと微笑んだ。
    『あの、アースさんも彼女さんと喧嘩したりするんですか?』

    2006-09-07 16:58:00
  • 40:

    杏奈

    『俺?うーん…めちゃめちゃすんで。今の女とは三年になるけど殴り合いにもなったし何回も別れたし。同棲しても何回も出て行ったりしたし俺の女気強いから客に電話したりもしたわ』
    『そう…なんや』
    私はびっくりした。そんなこともあるんやって。
    『まぁそれも最初だけやけどな。女も水商売やってたし仕事のこと分かってくれるようにもなって今じゃ何にも言わん(笑)だから逆に怖いわ。』

    2006-09-07 17:00:00
  • 41:

    杏奈

    『何で?何も言われない方がラクじゃないの?』
    私は不思議に思った。
    『最初はそうやったよ。でもガマンしてんねんなぁってだんだん変わってきた。こいつは絶対何があっても守っていこうって。何も言われんかったら逆にこっちが不安になってもうた』
    そうなんやぁ…。
    『でも結局は信じてもらえたってこと。お互いの間に信用がなくなったら終わったも同然やから』

    2006-09-07 17:02:00
  • 42:

    杏奈

    信用…。私は光輝を信じてるの?自分自身に問い掛けた。ただただ自分の不安さばかりを光輝に押し付けてただけや…。
    『まぁ杏奈ちゃんも光輝もまだ若いしゆっくり作りあげたらいいよ。信頼関係を。焦ってたらうまくいくもんもいかんようなるから、何かあった時はとりあえず落ち着いて考えてみ。喧嘩する前に絶対もっと違う答えが見つかるから』

    2006-09-07 17:04:00
  • 43:

    杏奈

    アースさんの話すことは奥が深い。そして必ず当たってる。私はアースさんに言われた言葉をちゃんと胸にしまった。
    『杏奈ちゃん店ちょっと寄っていきーや。金は俺付けでいいから。日曜まで待たれへんやろ?光輝びっくりするやろな』

    2006-09-07 17:06:00
  • 44:

    名無しさん

    もー読んだわぁ↓↓

    2006-09-07 17:38:00
  • 45:

    名無しさん

    うちも読んだけど もう一度読みたいわ 読んでない人もいてるやろうし

    2006-09-07 17:53:00
  • 46:

    杏奈

    私は何度も断ったけど、アースさんの押しに負けて結局アースさんとお店に向かった。お店に入るとアースさんは席に案内してくれ私の隣に座ってくれた。
    誰も私だと気付いてない。はたから見ればアースさんのお客さんに見えたのだろうか。
    『杏奈!?ちょっ、お前何してんねん』
    突然少し離れた席から大きな驚いた声で光輝がこっちに向かってきた。

    2006-09-07 20:10:00
  • 47:

    杏奈

    『杏奈ちゃんな、お前しょうもない男やから俺にのりかえるって。な?』
    アースさんはそう言うと私にウインクしてきた。あ、冗談か…。私は冗談にのってうんっとうなずいた。
    『ちょっと待って下さいよー。嘘でしょ?おい!杏奈嘘やんな?』
    オドオドしてる光輝を見てアースさんは爆笑していた。

    2006-09-07 20:12:00
  • 48:

    杏奈

    『ハハッ当たり前やんけ。お前もまだまだ青いなぁ。ちょっと座っとけ、俺からのサービスや』
    そう言うとアースさんは光輝の座ってた席へ向かい、そこに座った。
    『マジで何で代表と一緒に来たん?ほんまに口説かれたりせんかった?何もされてない?』
    こんなに心配そうな光輝は初めて見た。でもちょっぴり嬉しかった。

    2006-09-07 20:14:00
  • 49:

    杏奈

    『アースさんめっちゃいい人やで。光輝が元気ないの心配してたし…杏奈にも色々アドバイスしてくれてんやん。てゆーかごめんな。自分のことばっかり考えて光輝の重荷になってたわ』
    光輝は私の頭をなでながら
    『やっぱりお前可愛いわ。俺ちょっと考えててん。お前苦しめるぐらいなら辞めようかなって。でももうちょっとで一緒に住めるし頑張ってきて良かったわ』

    2006-09-07 20:17:00
  • 50:

    杏奈

    『杏奈も嬉しい☆』
    私がそう言うと、光輝は耳元で『毎日チューもHもできるな』
    ってささやいた。少し照れくさかったけど嬉しかった。でも、店内の周りの女の子達の目が少し怖く見えた。じーっと見て睨んでるようにも。
    その頃はサイトなんてものはなかったから時代的にはラッキーやったんかもしれん。光輝のお客さんは光輝を目で追い、痛いぐらいの視線を浴びせるから。

    2006-09-07 20:18:00
  • 51:

    杏奈

    光輝のお客さんは若い女の子もたくさんいた。クラブのママさんクラスの人も。その日も光輝のお客さんは三組も来てた。
    視線に耐えられなくなり、私は帰ろうとしたけど終電もなくなりどうしようかと悩んでいた。
    『明日もショップのバイトあるし帰るわ』
    光輝にそう言うとそのまま一緒に席を立ち、お店を出てくれた。エレベーターをおりてもくっついたまま。

    2006-09-07 20:20:00
  • 52:

    杏奈

    『もういいよ?早く戻ってあげて。お客さんめっちゃ来てるんやし』
    私はそう言うと光輝に背を向けて歩いた。でも私の後をついてくる。
    『あの通りまで一緒に行くわ。タクシー乗るまでゆっくり歩こう』
    光輝はそう言うと私の隣にピタッとくっついた。
    そしてタクシーを拾ってくれると私に一万円渡して帰ったら電話しろよって笑ってバイバイしてきた。

    2006-09-07 20:26:00
  • 53:

    杏奈

    行き先を告げるとタクシーは走り出した。私は何度も後ろを振り返った。光輝は見えなくなるまでずっと見送ってくれていた。
    バイバイしたばかりなのに胸がしめつけられる。光輝のことが好き。はっきりとそう思った。
    もっともっと時間がほしい。でもあと少し我慢すれば毎日一緒にいれる。そう思うと耐えられた。

    2006-09-07 20:28:00
  • 54:

    杏奈

    家に着いて光輝に電話をした私は電話を手にしたまま寝てしまってた。
    次の日からは変わらないいつもの日々。日曜日が待ち遠しくて、それだけを楽しみに毎日頑張ってた。
    そして、一年記念を控えた日曜日、やっと待ちに待った物件探しの日が訪れた。その日は光輝は寝ないで夜の仕事をしている人を専門とした不動産屋の人と朝から二人で待ち合わせをした。
    『何件かリストアップしてるんで絞っていきましょうか』

    2006-09-07 20:31:00
  • 55:

    杏奈

    私は不思議に思った。普通は不動産屋ってお店に行って色々調べるもんだと思ってたから。こんなこともできるんやって少し感心してしまった。
    喫茶店で物件資料を広げ、十件近くあるマンションから設備や場所、環境を考えて三件まで絞った。
    そしてお昼前には物件めぐり。まるで新婚さんにでもなったかのように私達ははしゃいでた。

    2006-09-07 20:33:00
  • 56:

    杏奈

    一件、二件、三件と見たけど私は絶対に二件目が良かった。光輝はどうなんだろうなぁ?そう思ってるとニコニコした光輝が私に話してきた。
    『杏奈の気に入ったとこでいいで☆杏奈が選んでくれや』
    『えー?光輝はどこが良かったん?杏奈もゆうから教えてや。どこも良かったしなぁ…』
    『うーん俺は二番目に見たとこが良かったかなぁ。キッチンも広かったしベランダも日当たり良かったし』

    2006-09-07 20:35:00
  • 57:

    杏奈

    『ビンゴ!杏奈も二件目が良かったぁ!じゃあ決まりい☆』
    『ほんまに二件目か?俺に合わしてない?まぁいっか。じゃあ決めよか』
    そしてその日のうちに仮契約をすませた。ずっと待ち続けた夢が叶った。私は飛び上がりそうになるぐらい嬉しかった。

    2006-09-07 22:05:00
  • 58:

    名無しさん

    見てます?

    2006-09-07 23:31:00
  • 59:

    杏奈

    審査にも無事通過し、一週間後の日曜日に本契約した。その日にカギをもらうと私達は喜んですぐスペアキーを作りに行った。
    なんだかくすぐったい気分だった。とりあえず何もない部屋に二人で行った。
    電気やガスの契約をし、明日からでも住める用意を整えた。
    『なぁ杏奈の荷物取りに行こか。今日しかないやろ。ついでに何か挨拶しとかなあかんやろし。同棲すんねんから』

    2006-09-07 23:51:00
  • 60:

    杏奈

    『うん☆どうせ服とかそんなもんしかないけど』
    私は嬉しくて声が弾んでた。『ついでに帰りに家具とか電化製品見よか。俺かなり金貯めてたから保証金とか払ってもめっちゃ残ってるし』
    そして、お店の店長にハイエースを借りた私達は、とりあえず私の実家に向かった。日曜日ってこともあったし、家に着くとお父さんの車が止まったままだった。
    うちの家は普通の家庭だ。平凡な楽観主義な両親と、もう結婚している歳の離れたお姉ちゃん、年子の弟の五人家族。

    2006-09-07 23:53:00
  • 61:

    杏奈

    光輝と付き合っていることは家族みんな知っていた。お父さんもお母さんも光輝がホストだと知っても何も言わなかった。
    一度家に遊びに来た時の挨拶の声の大きさや礼儀正しい印象が良かったらしい。だから私が最近同棲する話をした時も、軽く流してくれた。

    2006-09-07 23:57:00
  • 62:

    杏奈

    『ただいまぁー』『おじゃまします!』
    私と光輝が家に入るとリビングにはお父さんとお母さんが待ってくれていた。
    『座って座って』
    お父さんは少し嬉しそうだった。普通、娘が彼氏連れて来たら怒ったりするのが普通やのになぁ…私は笑いそうになった。
    『契約大丈夫やったんか?』
    お父さんがそう言うと私達は二人でカギを見せ合った。

    2006-09-08 00:00:00
  • 63:

    杏奈

    部屋に行って荷物をまとめてる間、光輝はお父さんの釣りの話に付き合わされていた。まぁ幸い光輝も釣りが好きだったから話も合ってて一安心だった。
    玄関に荷物もまとめ終わりリビングに戻ると、お父さんが今度みんなで釣にいこうとゆう話にまでふくれあがってた。
    意外と光輝も乗り気でお父さんは上機嫌だった。

    2006-09-08 00:11:00
  • 64:

    杏奈

    そしてもう夕方になってしまったから帰ることにした。また今度遊びに来てねと言って実家をあとにすると私達はハイエースに荷物を積み、電化製品を買いに向かった。
    コンポは私の部屋から持ってきたけど、それ意外全部揃えなきゃならなかった。テレビに冷蔵庫、洗濯機に炊飯器。一通り揃えて明日配達してもらうことになり私達は家へと帰るために車に乗り込んだ。

    2006-09-08 00:22:00
  • 65:

    杏奈

    『あっ!!』
    光輝が急に大声を出した。『なんなん?びっくりするやん…』
    『肝心なこと…ベッド…ってゆーか布団のこと忘れてた。どうしよ?今なら間に合うかな?』
    時計を見ると8時前。ぎりぎり開いてるだろうってことで急いでお店を探した。そしてやっと見つけたホームセンターで布団を買うことができた。ダブルサイズで枕が二つ。
    ベッドを買うまで布団でいいやん☆そんな会話をしながらも幸せいっぱいやった。

    2006-09-08 00:25:00
  • 66:

    杏奈

    付き合って一年目は二人で迎えることができた。もう日曜日じゃない普通の日でも記念日は一緒にいられる。
    私はバイトを週三日に減らし、なるべく光輝と生活リズムを合わせるようにした。一日二回は家でご飯を食べるように毎日料理も頑張ったし光輝も仕事が終わったらすぐに帰ってきてくれた。

    2006-09-08 00:36:00
  • 67:

    杏奈

    その頃の光輝はナンバー2をキープしてた。ナンバー1は、もちろんアースさん。代表だけあってやっぱりアースさんは凄かった。
    『いつかアースさん抜くのが夢やねん』
    光輝はこれが口癖やった。でもそんな夢もそれから二ヵ月後、すぐに叶ってしまった。
    光輝がホストを始めて1年4ヵ月目のことやった。その頃私とは付き合って1年2ヵ月がたっていた。

    2006-09-08 00:38:00
  • 68:

    杏奈

    ガチャ…バタバタ
    帰ってくるなり急いで私に駆け寄った光輝は嬉しそうな顔で『俺今月のナンバーワンなれてん!!』って。
    私は一緒に喜んだ。そしてアースさんも喜んでくれていた。でもこれを機にアースさんは現役を引退し、裏の経営者になることになった。
    常日頃からアースさんはよく言っていたとゆう。
    『ナンバーワンじゃなくなった時が俺の引き際や』って。

    2006-09-08 00:40:00
  • 69:

    杏奈

    寂しい気がした。でもそれがアースさんにとっての、ホストのプライドだった。そして、光輝に抜かれるなら本望だと。
    それからアースさんは表舞台からは引退した。光輝は有名になった。アース代表を引退まで追いやったやり手ホストって。
    そしてチーフから店長に、その一ヶ月後には常務になった。全てが順調に進んでいった。

    2006-09-08 00:41:00
  • 70:

    杏奈

    でも毎日ベロンベロンになって帰ってくる光輝を見ていると心配やった。同棲を始めて三ヵ月がたつ頃には食事を作って待ってても、お酒飲んで帰ってきて気分が悪くなって吐いてる光輝は
    『ごめん明日くうわ』
    って言うようになってた。そんな日々が続くと食事を作って待ってることがアホらしくなっていった。

    2006-09-08 00:42:00
  • 71:

    杏奈

    私の悪いクセ。自分のことばっかり考えるようになっていった。ナンバーワンになった光輝は毎月の給料も半端じゃないぐらい持って帰ってきてくれたけど、その分少しずつ変わっていくのが分かる。
    このままで大丈夫なんかな?私は毎日そう思うようになっていった。

    2006-09-08 00:43:00
  • 72:

    杏奈

    でもそのたびに信じること、アースさんに言われた言葉を思い出してた。あかん、私が光輝の一番の味方で理解者でおらな…そう思うようにした。
    その頃、私は光輝に言われて服屋のバイトもやめることになり、毎日家にいる日々。光輝のいない夜はたまに暇を見つけては友達と遊んだりしてた。

    2006-09-08 00:45:00
  • 73:

    杏奈

    『いいなぁ杏奈は。仕事せんでも遊ぶお金もらえて。めっちゃ羨ましいわ』
    友達はみんな私にそう言ってた。でも充実なんてしてなかった。なにかが違う、そう思ってた。
    心のどっかにポッカリ穴があいてるみたいに足りない何かを考えるようになっていった。
    光輝は酔い潰れて店で寝てしまう日もあるようになってたし、家で一人でおる時間がすごく苦痛やった。

    2006-09-08 00:46:00
  • 74:

    杏奈

    ナンバーワンになってからの光輝はキープするために前以上に必死で頑張ってた。家におる時もお客さんと電話したりするようになってて。
    私はいい気はせんかったけど何も言わんようにしてた。そんなある日、光輝はたまにいつもより早く用意をして出勤しようとする。
    『何で今日は早いん?』
    私は最近不思議やなぁと思ってたから聞いてみた。

    2006-09-08 00:47:00
  • 75:

    杏奈

    『あぁ、同伴やねん客と』
    よく分からなかった。
    『同伴ってなになん?なんかするん?』
    『客と店入る前に飯食ったりちょっと店の近くで会ったりしてから一緒に出勤するってこと』

    2006-09-08 00:48:00
  • 76:

    杏奈

    『ふーん』
    そっかそっか…って?え?なにそれ?私は始めて知った“同伴”の意味に少し疑問をもった。
    『大丈夫やって。心配せんでも客やねんから』
    光輝はそう言うといつものように出勤していった。私は分からなかった。仕事とはいえそんなことする必要があんのかって。
    水商売を分かってなかった私には理解できないことが多すぎた。

    2006-09-08 00:50:00
  • 77:

    杏奈

    だから光輝が出掛けてからも不安やった。今なにしてんねやろ?どこなんやろ?って。同伴のことを知らんかっただけで、今までも同伴してたんかな?って。
    心配になりすぎて私は電話をかけてしまってた。
    光輝はちゃんと電話に出た。でもいつもとは話し方も違う。『もうすぐ店やし後でかけるから待ってて』って。律義な話し方。

    2006-09-08 00:51:00
  • 78:

    杏奈

    ホストってゆう仮面をかぶった光輝になってた。ホストの彼女ってみんなこんなん思うんかな?もしかして私だけ?
    毎日心配して不安になって一人で空回りして…。安心できるのは光輝の寝顔を見てる時だけ。

    2006-09-08 00:52:00
  • 79:

    杏奈

    光輝と同じ生活、環境になれば私にも何かが分かるかもしれん。私はいつからかそう思うようになっていった。
    『なぁ杏奈も夜の仕事したいなぁと思ってんねん』
    私が話をした時、光輝はびっくりした顔をした。
    『なにゆってんねん!?ちゃんと生活費だってあるしやる必要ないやん。やらんでいいって』

    2006-09-08 17:30:00
  • 80:

    杏奈

    ソッコー却下。私も光輝に言われるがままに毎回そう言いくるめられた。
    でも付き合って一年半が過ぎたある日、光輝のシャツの胸ポケットから名刺を見つけてしまった。
    三枚ある名刺は全部違うお店。そしてそれは全部女の子の名前が書かれていた名刺やった。

    2006-09-08 17:32:00
  • 81:

    杏奈

    携帯番号が書かれてある名刺にはClubやLoungeと書かれてあった。飲み屋さん?そう光輝は今でゆうキャバクラに行っていた。
    『この名刺なに?』
    『あ、違う店やけど仲いいホストの代表さんと付き合いで飲みに行っただけ。あと営業がてらな』
    光輝は平然と私にそう言った。前なら少し焦ってあたふたしながら言い訳も考えたりしてくれたのに。

    2006-09-08 17:33:00
  • 82:

    杏奈

    私ばっかり一人で必死になってた。ただでさえ光輝の周りには女の子がいっぱいやのに飲みにまで行ってるなんて…。
    『光輝おかしいわ。なんで平気なん?こんな名刺見て嫌な気なんの分からん?持って帰ってこんといてよ』
    私はまた光輝に強く言ってしまった。

    2006-09-08 17:34:00
  • 83:

    杏奈

    『あーうるさいなぁもう。しゃーないやん仕事やねんから。いいやんけ。こうやってお前と付き合って一緒に住んでんねんぞ?』
    光輝はだるそうに私にそう言うとベッドに入り、背中を向けて寝てしまった。
    な、なんなん…一緒に住んでんねんから文句ゆうなみたいなこと言って。私は光輝の考えてることが、だんだん分からくなっていった。

    2006-09-08 17:36:00
  • 84:

    杏奈

    水商売に慣れ、味をしめ、そこにつかりつつある光輝は少しずつ嫌な男に変貌をとげていく。
    そして私と光輝の間には見えない溝ができてしまった。二日帰って来ない日ができたり、帰ってきても一言も話さない日があったり。
    私と一緒にいる意味があるのかと疑問を抱くようになっていく。

    2006-09-08 17:37:00
  • 85:

    杏奈

    何か話せばケンカになり、まともに話すことすらなくなっていった。それでも私は嫌いにはなれなかった。優しかった頃の光輝の面影だけをずっと支えに我慢できた。
    その頃もずっと光輝はナンバーワンやった。雑誌に出るようにもなった。光輝の飛躍とは裏腹に私達の距離は少しずつあいていく。
    そして付き合って二年目の日は光輝は家に帰ってこなかった。

    2006-09-08 17:38:00
  • 86:

    杏奈

    二年目の記念日。一人ぼっちで待ってた。去年の同じ日はあんなに幸せに満ち溢れてたのに…。
    苦しかった。寂しかった。こんなにも変わってしまうものなんだと思うとはがゆかった。
    二年目を迎えて私はちゃんと話をしようと思ってた。話すことも一生懸命考えた。今なら間に合うって。まだ光輝を元の光輝に戻せるかもって。

    2006-09-08 17:39:00
  • 87:

    杏奈

    そんな私の気持ちや期待すらあっけなく終わった。もうあかんなぁ…私も疲れてしまってた。
    こんな思いしながら一緒におる意味なんてない。もう疲れた…。
    二年目の記念日の翌日、私は家を出た。一年で増えた物は多すぎて、軽くいる物だけを袋につめて実家に戻った。
    期待してたから。すぐ迎えに来てくれるって。だから大丈夫やろうって。

    2006-09-08 17:40:00
  • 88:

    杏奈

    でもそんな私の期待もまたはずれてしまった。一週間たっても連絡がなかった。私はお父さんやお母さんにも何かあったんか?って聞かれるようになった。
    そりゃそうだ。同棲してるはずの娘が一週間も家に帰ってきてるんだから。でも何もないって話を流してた。
    私は家にもいずらくなり、八日目の朝、しかたなくマンションに帰ることにした。

    2006-09-08 17:42:00
  • 89:

    杏奈

    帰るのは悔しかったけど…かっこわるいけど…でも帰るしかなかった。
    家に帰るとあまり変わらないままの部屋だったけど、光輝は帰ってきてた。でも私はベッドで見つけてしまった。
    長いつけマツゲ。私は嫌な予感がした。ごみ箱を見た。あんな脱力感を味わったのは初めてだった。

    2006-09-08 17:43:00
  • 90:

    杏奈

    実家に帰る前に空にしておいたごみ箱の中に、ゴムとティッシュが入ってたのだ。
    紛れも無い事実。私は信じたくない現実と向き合うしかなかった。信じてたのに…アースさんの嘘つき…信じてたって何もいいことなかったやんか…。
    どうしようもできない気持ちを誰かのせいにすることで私は逃げ道がほしかった。

    2006-09-08 17:44:00
  • 91:

    杏奈

    その時だった。ガチャっとドアが開く音がした。光輝が帰ってきたのだ。誰かと話してる。そして女の子の声も聞こえた。
    そして廊下につながる扉が開いた。私はリビングに座ってた。光輝は顔が真っ赤でいつものようにベロベロに酔っていた。
    『お前なにしてんねん帰ったんちゃうんか。勝手に自分から出て行ったくせに帰ってくんなや』
    『光ちゃん誰なん?前の彼女?』

    2006-09-08 17:45:00
  • 92:

    杏奈

    光輝が連れて帰って来た女は私を見ながらそう言った。キツイ香水の匂いで息がつまりそうだった。
    『いちいちうるさいねん!しゃしゃんな腐れホステスが!お前も帰れ!』
    光輝はその女にも大声で怒鳴ると突き飛ばして倒れさせた。びっくりしたその女は
    『もう知らんわ!』
    と言ってバタバタと帰って行った。

    2006-09-08 17:46:00
  • 93:

    杏奈

    光輝は目が死んでた。酔っていたからとかじゃない。目に光がなくなってしまってた。心を持たない人形のように。
    そして私を見ると何も言わずにベッドに入り、何も言わずに寝てしまった。
    光輝は少しやつれた気がした。痩せてしまったようなそんな気が。
    寝てしまった光輝の寝顔を見ながらそう思った。寝顔さえも前みたいな穏やかな顔をしてない。疲れきった顔…。

    2006-09-08 17:47:00
  • 94:

    杏奈

    可哀相…こんな顔して…。でも私は信じてた光輝の裏切りに心を傷付けられた。それだけは変わらない事実。本当に腹立たしかった。嫌いになった。でも…それでも私は光輝をほっとけなかった。
    せめてちゃんとご飯食べさせないと倒れてしまう。光輝の周りの人は誰も気付かんの?こんなにボロボロになってまでナンバーワン続けて…そんな“1番”に何の意味があるんやろう。

    2006-09-08 17:48:00
  • 95:

    杏奈

    私はその日、久しぶりに家中を掃除した。綺麗にすることで気持ちを晴らそうとするかのように。光輝のために久々に食事も作った。二日酔いでも食べれるようにあっさりとしたものを考えて。
    もう我慢とか感情とかの問題じゃなかった。多分、ただ必死やっただけ。ヒドイ男に変わってしまっても、光輝をほおっておかれへん。
    私しかおらんから…。

    2006-09-08 17:49:00
  • 96:

    杏奈

    周りの同僚ホストや仕事の関係者、お客さん達はみんな光輝の表面しか見てない。ホストの仮面をかぶった光輝しか見てない。
    だから分かんねんや…。私は一人でずっとそんなこと考えながら食事の用意をしてた。
    その日夕方6時過ぎ、光輝は起きてきた。キッチンに立つ私を見ても何も言わない。キッチンも素通りしてお風呂に入っていった。

    2006-09-09 00:39:00
  • 97:

    杏奈

    ちょうど食事の用意も終わり、お皿をテーブルに並べると私はひとつ深呼吸をした。
    多分光輝は食べないかもしれん。いらんって言う。でも体のため光輝のためにちゃんと食べさせなあかん。そう思いながら。

    2006-09-09 00:40:00
  • 98:

    杏奈

    光輝がお風呂から上がると私は何もなかったかのように普通のテンションで言った。
    『ちょうどご飯できたから食べよう』って。
    でも光輝はこっちも見ずに何も言わずベッドに向かうとリビングとつながってるドアを絞めてしまった。
    私はイライラした。何も言わない光輝が逆にむかついた。でも、黙って目をつぶり自分に言い聞かせた。
    “私は頑張れる。私が頑張らな光輝はどんどん変わってしまうんや”って。

    2006-09-09 00:42:00
  • 99:

    杏奈

    その時、スーツに着替えた光輝が部屋から出てきた。
    『ちゃんとご飯食べて行ってよ。光輝めっちゃやつれてるやん…』
    私がそう言うと光輝は黙って座ってる私をジッと見た。一分…二分もずっと。
    少し怖かった。光輝の目は色がなく、冷却な感じがしたから。

    2006-09-09 00:42:00
  • 100:

    杏奈

    『お前あほやろ?何やねん何がしたいねん?こんなことして楽しいか?俺に振り回されて。昨日の女と俺、やったで。お前と寝てたあのベッドで俺は違う女と寝たんや』
    『分かってるわ!』
    私は大声で叫んだ。分かってた。知ってた。でも光輝の口から聞きたくなかった。もし違うって言ってくれたら私は事実と異なってもそれを信じれたかもしれんのに…。

    2006-09-09 00:44:00
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