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水商売の変貌

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  • 1:

    名無しさん

    1 名前:杏奈:05/09/09 06:58
    夜の世界ではでも耳にしたことがありますよね?突然の変貌や変身って言葉を。そしてその世界に入ってくる約七割が心に何らかの闇を抱えていることを。
    つかればつかる程変わっていく。これは本職ホストの彼氏の実話を元にした話。

    2006-09-07 14:29:00
  • 301:

    杏奈

    ごめーん?すぐ寝てたよ?疲れてたから?

    返ってきたメールを見てショックやった。嘘つかれたことがめっちゃ腹立った。ひょっとしたらほんまのこと言ってくれるかもって期待してたとこあったのに。

    2006-09-16 04:36:00
  • 302:

    杏奈

    私はムカついた。もういいや、ほんまのこと言おう。そう思って電話をかけたけどルイは出なかった。
    もしかして店かな?出勤したんかも…そう思って代表に電話したら休みだと。
    女の勘は妙に働くもんやった。あ、もしかしたら…

    2006-09-16 04:37:00
  • 303:

    杏奈

    そうは思いたくない。でも…。私は光輝に電話をした。
    「店にルイ来てる?」
    「えっ?あ…」
    「来てんねやろ」
    「来て…ます」

    2006-09-16 04:38:00
  • 304:

    杏奈

    はぁぁぁ?人の電話も出ずに光輝の店で飲んでる?ふざけんな!私は何も言わずに電話を切ると、着替えてミナミに向かった。
    光輝は知らない。ルイも知らない。従業員も誰も私が向かっていることは知らなかった。

    2006-09-16 04:40:00
  • 305:

    杏奈

    キラキラ光る夜のミナミ。のんべーになってるおじ様達や色んな人で溢れ返っていた。
    タクシーからおりた私は光輝の店へと足早に急いだ。エレベーターに乗り着いた先は…光輝のお店。
    ドアを開けると大きな音やガヤガヤした声が聞こえてきた。

    「いらっしゃいませー」

    2006-09-16 04:41:00
  • 306:

    杏奈

    各テーブルから次々に声がする。そして…見つけた。ルイは端のほうのBOXに座ってた。
    その向かいには光輝。その席には一人知ってる従業員の店長をしてるヒロが座ってた。私に気付いたヒロはビックリした顔だった。

    「あ、杏奈さんお久しぶりです。代表!」

    2006-09-16 04:42:00
  • 307:

    杏奈

    私に気付いていなかった光輝とルイは私を見てビックリしていた。

    「お前どうしてんビックリするやん」

    「あ、杏奈ごめん今さっき携帯見てん。電話くれてたやんなぁ」

    2006-09-16 04:43:00
  • 308:

    杏奈

    「ちょっ、杏奈!お前立ってたらおかしいからとりあえず座れや」

    私はそう言われて光輝の横に腰掛けた。状況は最悪やった。店にいた女の子や従業員は何があったかと心配そうに見てた。

    2006-09-16 04:44:00
  • 309:

    杏奈

    「ここで何してるん」
    私は静かにルイに問い掛けた。

    「ちゃう、暇やったから飲みに出てきてたまたま来てみてん。いい店やなぁ」

    2006-09-16 04:45:00
  • 310:

    杏奈

    「そんなこと聞いてないねん。何しに来てるん。昨日も今日も嘘ついてまで。何もないわけないやろ?しらっとした顔してるけどホンマ最悪やな」

    私がそう言うとルイはフッと鼻で笑ってきた。

    「なーんや知ってたんや。光ちゃん黙っててって言ったのにぃ。ややこしいことなりたくないからそう言っててんでー」

    2006-09-16 04:46:00
  • 311:

    杏奈

    光ちゃん?なんなん?ホンマにブチギレるかと思った。でも冷静にならなあかん…ここは店の中やねんから。
    そう思って静かに話をしてた。
    「ルイ、あんた何考えてんの?」

    「えっ?何も考えてない。一個ゆえることは好きになっちゃったってこと」

    2006-09-16 04:46:00
  • 312:

    杏奈

    「えっ?」
    「えっ?」
    「えっ?」

    私と光輝とヒロの三人は声が揃っていた。好きになっちゃったって何?

    2006-09-16 04:47:00
  • 313:

    杏奈

    「一目惚れしてん。別に取る気とかないで。ただ好きになるのに順番とか法律とか関係ないやん」

    呆れた…。こんなこと言う子やったんや…。

    2006-09-16 04:48:00
  • 314:

    杏奈

    「順番とか確かにそんなん人好きになんのに関係ないけど常識ってもんあるやろ?分からんの?」

    「分からん」

    「ちょっと出て話さん?ここやと周りの目もあるし」

    2006-09-16 04:49:00
  • 315:

    杏奈

    私がそう言って立ち上がった時、光輝に手を引っ張られてまた座らされた。

    「ごめん。気持ちは嬉しいねんけど。杏奈とは付き合って長いしこれからもずっと付き合っていくつもりやねんな。俺は杏奈のこと好きやしルイちゃんのことは杏奈の友達としてしか見られへんねん。ごめん」

    2006-09-16 04:49:00
  • 316:

    杏奈

    えっ…?光輝…。私はビックリして口が開いたままだった。こんなにハッキリと目の前で言ってくれるなんて。意外だった。

    「告ってもないのに勝手にフラんといてや。あたし別に付き合いたいとか杏奈から取ろうとか考えてたわけちゃうし。何で好きなだけじゃあかんの?」

    「ルイちゃんみたいな子やったらもっと他にいい男おると思うしな。それに店での杏奈との関係もあるやろ。だからハッキリさせときたかったから」

    2006-09-16 04:52:00
  • 317:

    杏奈

    「意味わからんし。杏奈と付き合ってきた時間が長いんか知らんけど恋愛に時間なんか関係ないやん。あたしは好きなもんは好きやし簡単に変わるもんじゃないから」

    ルイは怒って店を出て行った。

    2006-09-16 04:53:00
  • 318:

    杏奈

    簡単に変わるもんじゃないって?会ってまだ二日やそこらでそんなに深く好きになるもんなん?理解できひんかった。

    「もう帰るわ。急に来てごめんな」

    私が席を立つと光輝も一緒に立ち上がった。お店にいた人達は、チラチラ見てきてた。その頃に、私の存在の噂が立ったのは言うまでもない。

    2006-09-16 04:54:00
  • 319:

    杏奈

    その頃からネットといわれるいわゆるホームページや掲示板サイトなどが盛んになっていた。
    噂は噂を生み、あることないことかかれ始めていた。光輝の本カノはキャバ嬢、店で喧嘩をしてた、客と喧嘩をしてた、結婚してる、子供がいる…もう散々だった。

    2006-09-16 04:55:00
  • 320:

    杏奈

    よくもまぁ次から次にない話をあるかのように書くなぁと感心した。
    私はというと、あの日以来ルイとは口を聞かなくなった。お店をやめても良かった。むしろやめたかった。でも…やめなかったのはルイの監視ってほど大袈裟なもんじゃないけど、光輝と同じ街にいないと心配だったから。

    2006-09-16 04:56:00
  • 321:

    杏奈

    そして、あれ以来お互いライバル心を持ってしまった私達はお店でも火花を散らしてた。
    ルイはすぐに周りを味方につけた。他の女の子達にありもしない話を吹き込んだり私が嫌われるようにしたり。
    店の子達も、代表によくしてもらってた私を気に入ってなかったこともあったせいか私のお客さんのヘルプに着いた時にホストと付き合ってるとかバツイチとか散々なことを言われていた。

    2006-09-16 04:57:00
  • 322:

    杏奈

    お客さんも何人か減ったりした。でも私は平気だった。ちゃんと仕事さえしてれば指名は入るし、新規もできる。
    だからそんな嘘を信じて離れていくようなお客さんなら初めっからいらないと思ってた。

    2006-09-16 04:58:00
  • 323:

    杏奈

    指名で勝ってやりたい…そう思い始めたのはその頃だった。ルイはナンバーワンなままだったし私は相変わらず週三のバイト出勤。
    それでもお店ではナンバー5だった。抜きたい…抜いてやりたい…。
    私はいつからかそんなことばかり考えるようになっていた。

    2006-09-16 04:59:00
  • 324:

    杏奈

    でも光輝との約束があった。週三の約束。
    同伴とアフターをしない約束も私はずっと守ってた。破るつもりもなかったし、そうゆう約束で始めたもんやったから…。
    ちょうどそんなことを考えてた時、代表にまた飲みに誘われた。前のこともあったし、その時は光輝にちゃんと連絡してから行った。

    2006-09-16 05:00:00
  • 325:

    杏奈

    着いた先は…やっぱりまたいつもの居酒屋。

    「とりあえず、ビール二つと…焼き物適当に!」

    代表はいつものように注文した。ビールでお疲れ乾杯をすると、ウマーイって思えた。私は苦手なビールも仕事のせいか克服できていた。

    2006-09-16 05:01:00
  • 326:

    杏奈

    「最近どー?」
    「あ、まぁ普通かな」

    私がそう言うと少しシーンとした空気が流れた。

    2006-09-16 05:02:00
  • 327:

    しぉり?

    2006-09-16 05:28:00
  • 328:

    杏奈

    「嘘つくなって。めっちゃしんどいやろルイ達のせいで。あいつら変な噂立てたりやり方汚いねんなぁホンマ」

    「どーでもいいし」

    気付けばポツリとそうこぼしていた。

    2006-09-16 10:18:00
  • 329:

    杏奈

    「えっ?」

    「あ、別に。全然大丈夫やで。友達でもないし仲良くするつもりもないから。お客さんも切れたらまた作ればいいだけやもん」

    「おっ♪アンもゆうようなったやん。でもしんどなったり疲れたら俺にゆってこいよ。何もできんかもしれんけど力なれることならなるし」

    2006-09-16 10:21:00
  • 330:

    杏奈

    代表…勇二君はいつも優しかった。光輝にグチはこぼせない。もし口にすれば、じゃあ仕事をやめろって言われるのが目に見えて分かるから。
    その日から私はたまに代表に愚痴を聞いてもらうようになっていった。

    2006-09-16 10:23:00
  • 331:

    杏奈

    そんな日々が続いてた頃、光輝の売り上げが上がってるとかそんな噂があるサイトの掲示板に書かれてあった。
    そして“いつもよく見るあの人が光輝の彼女?”とか“綺麗な子やなぁ”とかそういうことも書かれ出した。
    へぇ、光輝新しいお客さんできたんやぁ。でかいんかなぁ?そんな軽い気持ちだった。

    2006-09-16 10:24:00
  • 332:

    杏奈

    光輝には掲示板を見ていたことは黙ってたし、わざわざそんなこと聞く必要もないって思ってたから。
    でも…。

    「おい、アン!ちょっと今日時間いい?光輝には内緒やねんけど大事なことやねん」

    2006-09-16 10:25:00
  • 333:

    杏奈

    私は悩んだけど大事なことって言われたし、代表はちゃんとした人やから光輝には連絡しないで店が終わるといつもの居酒屋へ行った。

    「なぁ勇二君、大事な話ってなんなん?」

    「あぁ…。アンな、ルイの携帯の待ち受け見た?」

    2006-09-16 10:27:00
  • 334:

    杏奈

    「待ち受け?知らん。ってゆうか話すこともないのに携帯なんか見ることないやん」

    「あ、そうやんな」

    代表はフーッとためいきをついてビールを飲んだ。

    2006-09-16 10:29:00
  • 335:

    杏奈

    「てゆうか待ち受けって何?何かあったん?」

    「あ、うん。ルイの携帯の待ち受けが光輝やねん。多分写メやと思うねんけど。今日たまたま見てもうてんやん。ルイと仲悪くなったのってもしかして光輝が原因なん?」

    私は黙ってた。また頭がおかしくなりそうやった。何で光輝の写メがルイの待ち受けなん?

    2006-09-16 10:31:00
  • 336:

    杏奈

    「アン?聞いてる?」

    勇二君は心配そうに私を見ていた。なんかよく分からんかった…。頭がいっぱいで…。もしかして最近掲示板サイトに書かれてたのってルイのことかもしれんって。
    光輝の売り上げ上がったのもナンバーワンのルイが行ってるからかもしれん…って。

    2006-09-16 10:33:00
  • 337:

    杏奈

    シンドイ…光輝のことは信じてるけど、もしルイが店に来てたこと私に黙ってたら…そう思うと急に涙が出て来た。

    「ちょっ、アン?どうしてんって!なぁ」

    勇二君はアタフタしてた。もう嫌や…なんか分からんけどルイのことが頭いっぱいでパンクしそうやった。

    2006-09-16 10:35:00
  • 338:

    杏奈

    「もう帰る…」

    私はそう言って席を立つと居酒屋を出た。帰るつもりやったけど…足は光輝の店に向かってしまった。

    「アン!ちょっと待てって。どこ行くねん、光輝んとこか?俺ついてったるわ。ルイに店で嫌がらせされてた話もどうせ光輝に言ってないんやろ?何も我慢することないやん。俺がゆったるわ」

    2006-09-16 10:40:00
  • 339:

    杏奈

    気持ちは嬉しかった。お店でも味方は勇二君だけやったから。でも、迷惑かけられへんかった。

    「大丈夫。一人で行けるから。色んなことが杏奈の勘違いかもしれんし。だから行って自分で話して確かめてみる」

    2006-09-16 10:41:00
  • 340:

    杏奈

    「分かった。でも何かあったら連絡してこいよ。俺が光輝にゆったるし」

    「うん、ありがとう。いつもいつもごめんな…。またあさってお店でね」

    そう言って勇二君とはそこでバイバイした。

    2006-09-16 10:42:00
  • 341:

    杏奈

    (ウィーン)
    2…3…とエレベーターは上がっていく。また来てしまった。私の噂が立ってからは、しばらくお店には来てなかったのに。

    「いらっしゃいませ」

    またいつもの大きな声がいくつも聞こえてくる。

    2006-09-16 10:44:00
  • 342:

    杏奈

    「あ、杏奈さんいらっしゃいませ!どうぞ」

    ヒロ君が気付いて開いている席に案内してくれた。

    「ヒロー?光輝は?」

    2006-09-16 10:45:00
  • 343:

    杏奈

    「あっ、今奥の席着いてるんで呼んできます」

    私はヒロが一瞬焦ったような感じに見えた。

    「奥って誰が来てるん?嘘ついてもすぐばれんねんからホンマのこと言って」

    2006-09-16 10:46:00
  • 344:

    杏奈

    ヒロは困った顔をしてた。可哀相やけど仕方なかった。
    「男のお客さんと…ルイさんです」

    自分で聞いておきながら信じたくなかった。夢であってほしいと。

    2006-09-16 10:47:00
  • 345:

    杏奈

    しかもルイはお客さんを連れてアフターに来ていた。これじゃあ席に行くこともできない。
    そして、ルイと来ていた奥のお客さんがトイレに行く時に私の横を通り過ぎた。見てビックリした。
    そのお客さんは元々私のお客さんやったから。ルイがセコい嘘を吹き込んで取られた人やった。

    2006-09-16 10:48:00
  • 346:

    杏奈

    でも私は知らないフリをして静かに飲んでた。そしたらすぐに光輝が私のところに来た。

    「杏奈…ちゃうねん」

    「何が違うん?嘘ついてたんやろずっと。ルイが一人で来てたんかアフターで来てたんかは知らんで?でも杏奈に黙って平気な顔してたん?信じられへんわ」

    2006-09-16 10:49:00
  • 347:

    杏奈

    「ちゃうねんって…。でもとりあえずごめん」

    「とりあえずって何なん?とりあえずで謝られても迷惑やわ。それにルイの携帯の待ち受けが何で光輝の写メなん?」

    私達が言い争っている間、近くの席の二人組の女の子や一人の女の子がジロジロと見てきていた。

    2006-09-16 10:51:00
  • 348:

    杏奈

    「待ち受けぇ?知らんって。あ、でもこの前来た時写メ取られたわ。でも客連れて来てくれてたから何も言われへんやん撮んなとか。俺、悪いけど何もやましいことなんかないから」

    光輝は強く私に言った。分かってる。でも当たる先は光輝に対してしかなかった。

    2006-09-16 10:52:00
  • 349:

    杏奈

    ルイと話がしたい。でも今はお客さんもいる。どうにもならん気持ちが爆発寸前やった。

    「ルイはアフター以外で来たりもしてたん?」

    光輝はちょっと黙ってた。しばらく黙った後、ゆっくり話し始めた。

    2006-09-16 10:54:00
  • 350:

    杏奈

    「正直にゆうわ。ほとんどがアフターやで。でも一人で来たこともあった。友達と来たこともあった。でもな、客やん所詮。それ以上でも以下でもない。金使ってくれるし売り上げも上がるやん。ちゃうか?」

    「ちゃうか?って何よ?自分を正当化しすぎなんじゃないん?分かってる?何があってこうなってんのか」

    2006-09-16 10:55:00
  • 351:

    杏奈

    「分かってるって。黙ってた俺が悪いで?でも話しても怒っただけやろ?」

    言葉がでんかった。悔しくて情けなかった。確かに私は怒ったと思う。いくらお金を使ってくれてもルイは…ルイだけは嫌やったから。

    2006-09-16 10:56:00
  • 352:

    杏奈

    その時…
    「ありがとうございましたー」
    大きな声が店内に響いた。奥の席から歩いてきたのはルイと客だった。

    「ちょっ、杏奈待ってて。送り出しやから。待っててな」

    2006-09-16 10:57:00
  • 353:

    杏奈

    そう言って光輝は席を立った。そして、私の前を通り過ぎて行くルイ。一瞬私を見て笑っていたような気がした。
    何も言えない状況だったからなおさら腹が立った。
    しばいたろか…ほんまに思った。

    2006-09-16 10:59:00
  • 354:

    杏奈

    その時、ヒロが席に来た。申し訳なさそうな顔して。
    「ごめんなぁ…ヒロ。なんかさっき怒ってしまって。あほみたいやわ」

    「そんなことないっす。杏奈さんが心配すんの分かりますもん。でも代表も仕事やから仕方ない部分もあると思うんすよ…。こんといてくれとかやっぱ言えないでしょ。女の子はすぐ泣くし。それに売り上げはやっぱり大事っすから」

    2006-09-16 11:00:00
  • 355:

    杏奈

    分かってる…そんなことくらい分かってるよ…。でもルイだけは客としてでも光輝に近付いてほしくないねんもん…。
    あんなセコい女…全部取ろうとしてくるやん…。私に何がしたいん?光輝が好きなら正々堂々としてたらいいのに。
    客取ったり噂流したり嘘ついたり…ましてお金使いに店来るなんてありえへんわ。

    2006-09-16 11:01:00
  • 356:

    杏奈

    「テキーラ!」

    私はとりあえず飲みたかった。たいして強いわけでもないのに調子にのってテキーラを頼んでた。グイッと一気に飲み干した後、のどの焼ける感じが気持ち悪かった。光輝が戻ってきても気分は晴れないまま。

    「ごめんごめん。もう帰っていったから。あ、ヒロもういいで、3番行っといて」

    2006-09-16 11:04:00
  • 357:

    杏奈

    光輝はヒロを他の席に行かせると私の隣に座ってまた話し始めた。

    「俺が悪かった。でも杏奈もちょっとは分かるやろ?売り上げとか指名とか口座とか。やっぱり俺はナンバーワンでおりたいし客も必要やねん。プラスに考えてたらいいやん。お前の嫌いなルイちゃんから俺が金を絞ってるって」

    2006-09-16 11:04:00
  • 358:

    杏奈

    テキーラのせいで酔いが回ってきてた私は頭がおかしくなりそうやった。
    言ってくれると思ってたのに。もう来ささんようにするって。私がこんなにルイのことで嫌な思いしてんのに…それでも光輝はホストってゆう立場の売り上げを…ナンバーワンを取るんや。

    「光輝はこんなにゆっても客としてルイとの繋がり切れへんってゆうん?」

    2006-09-16 11:05:00
  • 359:

    杏奈

    「何で分からんねん。俺はお前と付き合ってるやん。俺の彼女はお前でお前の彼氏は俺やろ?客は全くちゃうもんやん」

    「ルイは違うもん…ルイは嫌やねん。光輝は知らんかもしれんけど…」

    私は言われへんかった。ルイに嫌がらせされてたことやお店で女の子達から孤立してること。

    2006-09-16 11:06:00
  • 360:

    杏奈

    「なんやねん。俺の知らんことって」

    「いい。もういいわ。なにゆっても一緒やから。もういいどうでも」

    ホンマにどうでもいいと思った。こんなわからずやに何ゆっても一緒やって。

    2006-09-16 11:07:00
  • 361:

    杏奈

    「何で分からんねん…」

    「分からんのは光輝のほうやんか!お金が大事?ナンバーワンが大事?お客さんが大事?ルイが大事?杏奈よりそうゆうことのほうが大事なんやろ?もう勝手にしてよ!」

    私は店を飛び出した…。やっちゃった…。あんなにお客さんおったのに…。自分が恥ずかしくなった。

    2006-09-16 11:08:00
  • 362:

    杏奈

    店を飛び出してビルから出た私の目に飛び込んで来たのは…勇二君やった。

    「何で?何してるん?帰った…じゃない…ん」

    もう言葉は声にならなかった。

    2006-09-16 11:09:00
  • 363:

    杏奈

    「何で泣いてんねん!アン?泣いてたら分からんやろ?何かあったんか?」

    勇二君はちゃんと私の話を聞いてくれようとする。光輝は違う。完全なホストになってしまった光輝は、自分のことでいっぱいになってるから。

    「もう嫌やぁ…」

    2006-09-16 11:10:00
  • 364:

    杏奈

    「お前何してんねん」

    その時後ろから光輝の声がした。光輝は私と勇二君のほうに歩いてきた。

    「何してんねんお前ら。勇二お前杏奈に気ぃあんのかこんなとこまで来て。なぁ?杏奈が呼んだんか?答えろや」

    2006-09-16 11:11:00
  • 365:

    杏奈

    「勇二君は関係ないから!たまたまここ通っただけやねん。ってゆうか光輝には関係ないやんもうほっといてーや!」

    私がそう言うと勇二君は私の腕をつかんでいた光輝を突き飛ばして私の前に立って光輝に言った。

    「たまたま通ったんちゃうわ。心配やったから待ってたんじゃ。お前がちゃんとせえへんからアンずっとしんどい思いしててんぞ?」

    2006-09-16 11:12:00
  • 366:

    杏奈

    「はぁ?どういう意味やねん?だいたい勇二に関係ない話なんちゃうんか」

    二人は今にもつかみ合いになりそうな雰囲気やった。

    「知ってんのか?お前。アンが店でずっと嫌がらせされてたの。ずっと色んな心配してたこと」

    2006-09-16 11:13:00
  • 367:

    杏奈

    「もういいって勇二君」

    「もういいちゃうわ!なんやねん嫌がらせって」

    「ルイに決まってるやんけ。周りの女味方につけて店でずっと嫌がらせしてたんじゃ。客もセコいやり方で取ったりアンの変な噂流したり…それでもお前にも誰にも何も言わんと我慢しててんぞ」

    2006-09-16 11:14:00
  • 368:

    杏奈

    「それでも店やめんとずっと来てたん何でか分かるか?お前のことが好きやからちゃうんか?近くにおらな心配やからやったんやろーが」

    思っていたことのほとんどを勇二君に言われた私は、止まりかけていた涙がまた止まらなくなってしまった。

    2006-09-16 11:15:00
  • 369:

    杏奈

    「そんなん言ってこやな分からんやんけ!何もゆうてこーへんのに分かるわけないんちゃうんか?だいたいお前さっきからアンアンゆうてるけどコイツの何やねん?ただの店のスタッフやろが」

    光輝はそう言って勇二君の胸ぐらをつかんだ。光輝には通じんかったんや…。私がずっと我慢してたこと。言わな分からんって?言ったらどうにかなってたん?

    2006-09-16 11:16:00
  • 370:

    杏奈

    私がそんな思いしてる頃、光輝は客としてルイを接客してたのに。私の気持ちなんて分かるはずない。
    勇二君は胸ぐらをつかまれたままやった。何で光輝こんなことするん…

    「アンが好きやからに決まってるやんけ!ずっとゆうつもりなんかなかったわ。黙ってるつもりやったわ。お前とこんなんなると思わんかったしお前に惚れてるアンのことが好きになってんから」

    2006-09-16 11:18:00
  • 371:

    杏奈

    えっ…?一瞬自分の耳を疑った。

    「ほんなら最初っからそう言えや!お前もルイと一緒やんけ!」

    2006-09-16 11:19:00
  • 372:

    杏奈

    「あんなんと一緒にすんな!女泣かせることがお前の男気なんか?自分の女泣かせて我慢させて苦しめることがお前の彼氏としてのやり方なんか?俺ならそんなこと絶対せえへんわ。自分の女幸せにせんで誰を幸せにすんねん?客か?店か?ない頭絞って考えろや」

    2006-09-16 11:20:00
  • 373:

    杏奈

    勇二君がそう言った時、光輝は勇二君を殴っていた。鈍い音が痛々しかった。

    「殴るんなら殴れや。俺はなんもせんから。好きにしろ」

    勇二君はそう言うと血の混じったツバをペッと吐き捨てた。痛かったはず、殴り返したかったはずやのに…。

    2006-09-16 11:21:00
  • 374:

    杏奈

    「杏奈、お前なに考えてんねん?こんなやつと仕事しとったんか?お前ら浮気しとったんちゃうんか!」

    光輝は私の腕を痛いぐらいにつかんでそう言って来た。
    呆れて言葉も見つからなかった。浮気?こんなやつ?勇二君はいつでも味方でいてくれた。光輝の話もいつもちゃんと相談に乗ってくれてたし。私にとって唯一の支えやった人。

    2006-09-16 11:22:00
  • 375:

    杏奈

    恋愛感情はなかった。でも人として優しくて芯の強い人。いつも近くで見守ってくれてた人。
    そんな勇二君をこんなやつ呼ばわりされたくなかった。

    「もう光輝いいって。もう…別れよう。あんたと何を話しても無理って分かった。一から十まで話しても多分何も分からんと思う」

    2006-09-16 11:23:00
  • 376:

    杏奈

    「はぁ?何ゆってんねん?お前勇二んとこ行くんか!ありえへんことゆうな」

    あほらしかった。別に勇二君に好きって言われたから気持ちが移ったわけでもないし、勇二君を好きなわけじゃない。勇二君に乗り換えるつもりもなかった。

    ただ、もう光輝とはもうやっていかれへんって思ってた。こんな分からず屋…。

    2006-09-16 11:24:00
  • 377:

    杏奈

    「何で分からんの?光輝がここまで頭おかしいとは思わんかったわ!ルイみたいなんと話してるから頭悪なったんちゃう?ナンバーワンホスト?聞いて呆れるわ。あんたみたいなん中身のない人間ってゆうねん」

    「はぁ?お前っ!!」

    酔いが残っていた私の言葉に光輝はめちゃくちゃ怒った顔で初めて私も胸ぐらをつかまれた。

    2006-09-16 11:25:00
  • 378:

    杏奈

    バコン…

    次の瞬間光輝は目の前に倒れていた。勇二君が…光輝を殴ってしまってた。

    「お前何してるか分かってんのか!女の胸ぐらつかむようなことすんな。目ぇ覚ませいい加減!」

    2006-09-16 11:26:00
  • 379:

    杏奈

    光輝は倒れたまま笑ってた。私には意味が分からんかった。

    「ハハッ、何アツなってんねん。もうええわ。お前ら好きにすれば?」

    光輝はそう言うと立ち上がってビルに入って行った。

    2006-09-16 11:28:00
  • 380:

    杏奈

    「大丈夫か?ごめんな…俺いらんことしてもうたやんなぁ…マジごめん」

    勇二君はそう言って私に何度も謝って来た。

    「何で勇二君が謝るん?謝らなあかんの杏奈のほうやわ…。ごめんな変なことに巻き込んでしまって…」

    2006-09-16 11:29:00
  • 381:

    杏奈

    ホンマその通りやった。勇二君は光輝と仲のいい友達やったのに…私のせいでこんなことなって…。

    「気にすんなって。光輝はちょっと今おかしなってんねん。やっぱナンバーワンとかって必死なってまうとことかあるからな。光輝マジで少し変わってもうたけど、俺は嫌いやから喧嘩したわけちゃうから。あいつのいいとこいっぱい知ってるしそれはアンも一緒やろ?」

    2006-09-16 11:30:00
  • 382:

    杏奈

    いいところ…か。知ってるよ。いっぱい知ってる。そんなんずっと付き合ってきててんから知り過ぎてるくらい分かってる。

    「でも…もうとりあえず別れる。一回ちゃんと距離置いて考えたいし。ルイのこともやっぱり杏奈は納得なんかできひんから」

    2006-09-16 11:31:00
  • 383:

    杏奈

    「そっか。よっしゃ、分かった。なぁ…ルイに勝ちたない?仕返しってゆうたら大袈裟やけど」

    「えっ?何かあるん?」

    「アンが頑張ってルイを抜いてナンバーワンなればいいねん。これはある意味いいと思うで?俺はアンにはできると思ってるしずっとそうなってほしかったから」

    2006-09-16 11:32:00
  • 384:

    杏奈

    「ナンバ…ワン?」

    「そう。ナンバーワン」

    勇二君にそう言われた私は考えた。これはある意味戦争みたいなもんやなって。光輝は関係なく、女としてルイに勝ちたい。負けてるなんて思ってないし、あんな空っぽホステスなんか…そう考えたら私の中の何かがパッと弾けた。

    2006-09-16 11:34:00
  • 385:

    杏奈

    「やってみよ…かな?頑張ってみよかな?できるかは分からんけど…」

    「おー。やってみろや。俺が完全なバックアップしたるわ。そんかわり出勤は最低でも週5は入らなあかんで」

    「うん☆やってみる!あ…あのさぁ、杏奈ずっと光輝と住んでたやん。だから実家帰ってもいいねんけどちょっとミナミから遠くなんねんやん」

    2006-09-16 11:35:00
  • 386:

    杏奈

    「うーん…どないする?てゆうかマジで光輝と別れる気なん?」

    勇二君はビックリした顔で私にそう言った。

    「うん。なんかさ、そう考えたらラクになってん。ナンバーワンにもなりたいなぁって」

    2006-09-16 11:36:00
  • 387:

    杏奈

    「そっか。あ、俺がさっきゆったことは気にせんといてな」

    「ん?何?」

    「いや…あの…だから…。好きやとか…そんなんゆうたこと」

    2006-09-16 11:37:00
  • 388:

    杏奈

    「あっ…あぁうん…」

    ちょっと気まずい雰囲気にはなったけど、勇二君に心の中でありがとうって思った。

    「店の俺の客に不動産会社の専務おるからマンション借りるなら適当に話しとこか?お金も抑えてくれるやろし」

    2006-09-16 11:37:00
  • 389:

    杏奈

    そうやなぁ…確かにそのほうが便利やし仕事上近いほうがラクやし…

    「うん。じゃあお願いしよっかな☆1Kとかでいいし。とりあえず今日はマンション戻っているものだけ取りに行って友達のとこ行くわ」

    2006-09-16 11:38:00
  • 390:

    名無しさん

    続き気になる?

    2006-09-16 12:14:00
  • 391:

    名無しさん

    (*´∀`)

    2006-09-16 21:56:00
  • 392:

    杏奈

    「びっくりしたわぁこんな朝っぱらに急に電話かかってきて。なんかあったん?」
    真美に不意をつかれた。なんかあった…か。

    「うーん…ちょっと。急に来てごめんなぁ」

    2006-09-16 22:53:00
  • 393:

    杏奈

    「全然いーよ。おりたいだけおってな」

    真美はそう言うと、私用に小さめの布団を出してくれた。朝の10時過ぎだった。それから寝てなかった私はウトウトしながらいつのまにか寝てしまっていた。

    (ブーブーブー)

    2006-09-16 22:54:00
  • 394:

    杏奈

    電話?そう思って目が覚めた。窓の外は夕暮れで薄暗い部屋の中、携帯の振動が布団に響いてた。メールだった。

    ?(お前どこおんねん?勝手なことすんなや。勇二と一緒なんか?)

    メールを見た私は寝起き早々呆れてしまった。どこまで光輝はアホなんやろうって。

    2006-09-16 22:55:00
  • 395:

    杏奈

    少しは頭冷やしたんかと思ったのに…何も分かってないし…。

    ?(一緒なわけないやろ?もういい加減にしてよ?勝手にしたらいいのは光輝のほうやわ?しばらく連絡してこんといて)

    2006-09-16 22:56:00
  • 396:

    杏奈

    メールを送った私は目を閉じて一人でつぶやいてた。「しんど…」って。

    疲れてた。ほんまに結構いっぱい?やった。昨日の出来事を思い出しただけで頭痛くなってた。
    ルイのことが特に…。

    2006-09-16 23:01:00
  • 397:

    杏奈

    「おはよー。杏奈ぁ先にフロ入る?美容院一緒に行こっか♪」

    真美は眠そうな目をこすりながら寝起きもキゲンが良かった。私達はシャワーを浴びて軽く化粧をすると時間もギリギリだったし急いで美容院に向かった。

    2006-09-16 23:02:00
  • 398:

    名無しさん

    やば気になる?

    2006-09-17 01:39:00
  • 399:

    名無しさん

    めっちゃ更新されてる?

    2006-09-17 03:19:00
  • 400:

    名無しさん

    あげ

    2006-09-17 23:08:00
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