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夜のポチ。
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1:
名無しさん
ポチは、お日様をあまり浴びないので、真っ白だ。
そして、ポチの体はいつだって冷たい。
雪の様なポチ。
2006-09-22 21:27:00 -
801:
◆r11LF9gUco
一瞬の出来事だった。
一気に引き抜くと、赤黒い血がドクドクと泉のように吹き出し、それによってぬらぬらと怪しい輝きを放つ物が刃物であると、今更ながらに確認する。
ゆっくりと開かれたドアの向こうには、血まみれの薫が、ぞっとするような表情で、精気もなく立っていた。
恐怖で、時間の流れが停止する。2006-12-12 19:19:00 -
802:
◆r11LF9gUco
薫はギョロっと器用に目玉だけを動かし、直ぐに肩、脇腹、太ももを、なんとも機械的な動きで、次々に彼の締まった肉へと力任せに鋭い刃をめり込ませていく。
「翔!!はよいけぇえ!!」
低いうめき声が、言葉に変わった時、あたし達は我に返った。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――【コロサレル...】2006-12-12 19:26:00 -
803:
◆r11LF9gUco
冷ややかな汗が、額に滲む。
どうすればと考えている間にも、薫は怪我をしたのか右足を引きずりながら、一歩、また一歩と、確実に距離を縮めてくる。
あたしは、ガタガタと震えた。2006-12-12 19:35:00 -
804:
◆r11LF9gUco
あれは、ポチを殺したときの目だ。2006-12-12 19:37:00 -
805:
◆r11LF9gUco
ポチの首に回した手に、ぎゅっと力がこもる。
ポチは、薫をじっと睨みつけたまま後退りをする。
あたしを抱えているので、素早く逃げることも戦うこともできず、どうしようもない。
とうとう壁際に追い詰められる形となった。
薫は、ニヤリと口の端をもちあげて笑うと、ゆっくりと血まみれの右手を掲げていく。2006-12-12 19:44:00 -
806:
◆r11LF9gUco
なんで?
どうして?
そんな事ばかりが、延々頭の中をいっぱいにした。2006-12-12 21:09:00 -
807:
◆r11LF9gUco
薫はまた、ポチを殺すの?
ポチはまた、あたしのせいで死ぬの?2006-12-12 21:12:00 -
808:
◆r11LF9gUco
――――クゥン...
...ポチの、最後の鳴き声が聞こえた気がした。2006-12-12 21:14:00 -
809:
◆r11LF9gUco
あたしは、精一杯の力を振り絞って体をくねらせ、向き合う両者の間の床へ転がり落ちた。
骨と皮だけの体は、たったそれだけの衝撃で悲鳴をあげる。
激痛をこらえ、直ぐ目の前にある負傷した薫の足を両腕でしっかり掴むと、あたしは思い切り噛みついた。
あの日、ポチがしたように。2006-12-12 21:22:00 -
810:
◆r11LF9gUco
「〜っ!!!!」
ポチが叫び、駆け寄るより前に、よろけた薫はそのまま右手を振り下ろしていた。2006-12-12 21:56:00