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1:
岬 ◆rYagzMs.go
久しぶりに書きます。よろしくお願い致します。
2006-05-24 02:09:00 -
2:
岬 ◆rYagzMs.go
第1章:脱衣所ボンバイエ
『100円シャワー』
冬になるとボクは毎朝ここに行く。木造建築100%のボロボロアパートでは、部屋の中でも息が白くなるほど寒い。これといった暖房機具も無い貧乏なボクには、この『100円シャワー』は重宝なのだ。アパートから歩いて2分くらいの所にソレはある。コインランドリーの奥にあり、100円玉1枚で5分間暖かいお湯が出る。寝ぼけた頭に、冷え切った身体に、5分間のシャワーは極楽だ。凍った身体が溶けていく・・・。2006-05-24 02:10:00 -
3:
岬 ◆rYagzMs.go
その日も寝ぼけた頭と冷え切った身体を溶かそうと凍てつく朝靄の中100円シャワーに向かった。そのコインランドリーには3つの100円シャワーがある。ボクはいつも1番奥のシャワーを使う(特に理由はない)。いつものドアノブを回すと『ガチャガチャ』 カギが掛かっている。良く見れば「使用中」のランプもついている。
「先客なんてめずらしいな・・・」2006-05-24 02:11:00 -
4:
岬 ◆rYagzMs.go
仕方なく隣のシャワーに入ろうとした時、いつものドアが『ガチャリン』と開き、中からバスタオル1枚の女性が恥ずかしそうに顔を出したのでビックリした。と思ったら引っ込んだ。と思ったらドアの隙間から顔をのぞかせて、
「あ、すいません・・・」 彼女は照れて真っ赤になりながら言った。
「これ、使い方が良くわからないんですけど・・・」
「え?ああ、鏡の横にコインボックスがあるでしょう」ボクはドギマギした。
「そこにね、100円入れればお湯が出るんですが・・・」ボクは説明しながら思った。2006-05-24 02:12:00 -
5:
岬 ◆rYagzMs.go
『女の子と喋ったの久しぶりだなあ』
「なんか、お金が出てきちゃうんですよ、これ・・・」ボクの人柄に安心したのか?ドアから手を放してコインボックスと格闘しはじめた。ボクは何気なく、至極何気なく脱衣所に入り、
「ダメですか?」などと言ってみた。脱衣所のカゴには今し方脱いだ洋服が盛られている。2006-05-24 02:14:00 -
6:
岬 ◆rYagzMs.go
ブラジャーとパンティが無造作に丸まって1番上に置かれていた。その様なものをジロジロと見ていたワケではないが、ボクの視線に気付いたのか、
「あ、ちょ、ごめんなさいっ」急いでブラジャーとパンティを洋服の1番下に押し込んだ。
「あ、いえいえ・・・」ジロジロ見ていたのかな?いいや、悟られないようにチラリと見たはずだ。2006-05-24 02:15:00 -
7:
岬 ◆rYagzMs.go
心臓はバクバク破裂しそうだが、平静を装った。
「100円玉が悪いのかな?ほら100円玉って案外モロくて踏んづけただけでも変形しちゃって自動販売機なんかでも使えない事が時々あったりしてさ」と、とにかく沈黙はヤバイ。嫌な空気を追い払うかのように喋り続けた。
「ボクのでやってみようか」
2006-05-24 02:15:00 -
8:
岬 ◆rYagzMs.go
ポケットから100円玉を取りだし投入。コインボックスは『ガチャリンコ』と返事をした。『シャワワ〜』シャワーから湯気がのぼった。
「あー!出た出たー!」彼女は嬉しそうに手を叩いた。
「さ、急がないと5分しかないよ」ボクはニコリとそう言いながら脱衣所を出た。
「あ・・・・」彼女が何か言いかけたが、さり気なくドアを閉め隣の個室に飛び込んだ。2006-05-24 02:16:00 -
9:
岬 ◆rYagzMs.go
ガッツポーズ!ボクはガッツポーズだった!できることなら叫びたかった。狭い脱衣所で大袈裟にガッツポーズ。鏡に写った自分の顔が気持ち悪かった。ボクは 昔から、ガッツポーズの時はアゴを突き出し『猪木』になるのだが今は関係ない。『うまい!うまくやった!ナイス俺!ダァーーーーーーーーー!』何度も心の中で叫んだ。しかし本当にうまくやったと思った。
2006-05-24 02:17:00 -
10:
岬 ◆rYagzMs.go
何故、彼女の100円がダメだったか、ボクは気付いていた。彼女がコインボックスと格闘している時ハッキリと見えたのだ。そう『50円玉×2』を。自動販売機と違って100円シャワーは100円『玉』じゃないと動かない。そして、あえて気付かないフリをしたのは、こう推理したからだ。『ボクが気付かないフリをして100円玉を貸してしまえば、彼女は返せない。何故なら彼女は100円玉を持っていないからだ。まさか自分の恥ずかしい失敗である50円玉×2をボクの前には出せまい』と。
2006-05-24 02:18:00 -
11:
岬 ◆rYagzMs.go
いつもならば、シャワー5分間の1秒、お湯1滴まで目一杯楽しむボクであったが、今日は違う。シャワーを浴びるまでもなく、この突発的興奮で全身がポカポカしている。『しかしシャワーに入ったのに髪の毛濡れてないのはおかしいよなあ』などと考えながら一応シャワーを浴びた。でも彼女が気になって1分足らずで出てしまった。
2006-05-24 02:19:00 -
12:
岬 ◆rYagzMs.go
服を着て、手グシで髪を整えて準備オッケー。隣の個室の音に全神経を傾けた。シャワーの音は聞こえない。着替えているらしい。『女の身支度は長いからな』独りニヤニヤしながら待っていた・・・。
『ガチャッ!』隣のドアが開いた!
「何気なく、出るんだぞ。そして、アレ?どうしたの?って顔で彼女を見るんだ」自分に念じをかけ、かるく深呼吸をしてからドアを開けた。2006-05-24 02:20:00 -
13:
岬 ◆rYagzMs.go
第2章:眠り姫
誰もいない朝の公園のベンチ。
100円作戦を成功させたボクは、彼女を公園に誘った。さり気なく誘ったつもりだ。 久しぶりに女性と2人きりで話しができて、ボクは有頂天だった。彼女もまた、このさり気ない出会いを楽しんでいるように見えた。2006-05-24 02:21:00 -
14:
岬 ◆rYagzMs.go
彼女の名前は『藤沢あや子』。歳は24で、『京劇団サントラハウス』とかいうワケのわからない劇団に所属していて、その練習場所に寝泊りしていた。が、この劇団が解散してしまい練習場所を追い出され、途方に暮れているという。
2006-05-24 02:22:00 -
15:
岬 ◆rYagzMs.go
「え?じゃあ今、どこに住んでるの?」ボクは心配そうに聞いた。
「いま、家ないんです」彼女は苦笑しながら続けた。
「実家には帰れないし・・・」『何で実家に帰れないの?』と聞こうとしたが喉で止めた。聞いちゃ悪いように思えた。2006-05-24 02:25:00 -
16:
岬 ◆rYagzMs.go
「家ないんじゃあ、どこで寝てるの?」馬鹿な質問だったのか?彼女はあたりまえの顔で、
「だから・・・寝てないんです」と苦笑した。2006-05-24 02:25:00 -
17:
岬 ◆rYagzMs.go
劇団解散が2ヵ月前。練習場所を追い出されたのが3週間前。しばらくは数少ない女性劇団員の部屋を点々としていたらしいが、次第に煙たがられ、行き場を失い、3日前から仕事を探しながらフラフラしていたという。
2006-05-24 02:27:00 -
18:
岬 ◆rYagzMs.go
「じゃあ3日間寝てないの?」ビックリと心配を混ぜた顔でボクは言った。
「夜寝たら死んでしまうでしょう?第一寒くて眠れないし・・・」また苦笑だ。
「昼間の暖かい時にね、ベンチで座ったまま寝るの・・・」その痛々しい笑い顔に涙が出そうになった。
「とにかくボクの部屋に行こう。そして少し眠ったほうがいいよ」2006-05-24 02:28:00 -
19:
岬 ◆rYagzMs.go
「ボクの部屋に行こう」ちょっと強引だったかな?
「え?で、でも・・・」彼女は怪訝そうにチラリとボクを見た。
「いや、ホラ、狭くて汚いけどさ、外よりはいくらかマシだし・・・」彼女はうつむいて黙ってしまった。マズかったかな?強引だったかな?
「あ、俺の事なら気にしないで。君が寝ている間、図書館にでも行ってるし・・・うん、と、とにかく休まないとさ・・・」アセリまくって誘い続けていたら、彼女の頭がコクリとうなずいた。
「ありがとう・・・」消え入りそうな泣き声で彼女は言った。2006-05-24 02:29:00 -
20:
岬 ◆rYagzMs.go
本当に疲れていたんだな。彼女は布団に横たわると、ものの1分足らずでイビキに近い寝息をたてはじめた。本当なら工場でアルバイトしている時間だ。しかし今のボク、女の子と2人で部屋にいる。『バイトはクビだろうな・・・ま、いいか』やっと見つけた割と待遇のいいバイトだったが、そんな事はどうでもよかった。
2006-05-24 02:31:00 -
21:
岬 ◆rYagzMs.go
さて、これからが勝負だ。彼女が眠りから覚めてからが勝負なんだ。このままではただの「親切な人」で終ってしまう。もっと親密な関係になりたい。彼女の事をもっと知りたい。そんな事を考えていたら、ボクは彼女が持っていた薄汚れたカバンに気をとられた。『カバンの中を見てみたい』もしかしたら、彼女の身元なんかがわかるかもしれない・・・。彼女はグッスリと眠っているし、バレやしないだろう・・・。
2006-05-24 02:32:00 -
22:
岬 ◆rYagzMs.go
忍び足で彼女のカバンを玄関まで持ってきた。彼女はイビキをかいている。多少の物音じゃあビクともしまい。カバンは以外に軽かった。『これが彼女の持ち物全てなのかな?』と心配するほど軽い。カバンのファスナーをゆっくり音をたてずに開ける。部屋の中は彼女のイビキとボクの心音だけ。ドキドキした。他人の、しかも女性のプライバシーを盗み見るのは・・・。
2006-05-24 02:34:00 -
23:
岬 ◆rYagzMs.go
小さなポーチが2つ出てきた。1つは色々な種類の薬が入っていた。『どこか悪いのかな?』2つ目はティッシュ・・・と思ったら生理用品だった。実物を見るのは初めて。『これがナプキンだろ・・・これはタンポンだ。2つ使うモノなのかな?』などと考えているが、このあたりからボクのチンポは勃起していた。カバンを開けて一番最初に出てきたのがブラジャーだった所為もある。
2006-05-24 02:53:00 -
24:
岬 ◆rYagzMs.go
少し大きめのポーチには化粧品が入っていた。手作りらしい巾着袋を開けてみると湿った布の塊が3コ出てきた。この時点でパンティだと解ったのだが、手にとって広げてみた。濡れているからなのか、ヨレヨレのパンティ。所々ほつれている。匂いはなかった。『さっきのシャワーで洗ったんだ』
2006-05-24 02:54:00 -
25:
岬 ◆rYagzMs.go
奥の方からビデオテープが2本出てきた。1本は『狂劇団パンドラハウス』と書かれている。『ああ、彼女の居た劇団のビデオだ。』さっき聞いた時は『京劇団サントラハウス』だと思った。「京」じゃなくて「狂」。狂劇団?パンドラ?・・・何か怖いな。見てみたいけどボクの部屋にはビデオデッキが無い。もう1本のビデオテープには何も書かれていなかった。カバンにはもう1つのファスナーが付いていた。そこを開けると、財布と手帳が出てきた。『あった・・・』これで、彼女の事が少し解るかも・・・。
2006-05-24 02:55:00 -
26:
岬 ◆rYagzMs.go
驚いたのは財布の中。1円玉数枚と五十円玉が2枚。それだけ。至ってシンプルな、いわゆる『ガマグチ』の為、お札の隠れる所はない。『お金ないんだな。さっきのシャワーは最後の100円だったんだ・・・』薄っぺらな手帳には、えらく端的に暗号の様な文字が並んでいた。
2006-05-24 02:56:00 -
27:
岬 ◆rYagzMs.go
---------------------
17日 金森、P6。仕。
18日 練。食、片山。
19日 仕。B。
2006-05-24 02:58:00 -
28:
岬 ◆rYagzMs.go
20日 生。ポラ。
21日 金森、P6。
・
・
2006-05-24 02:58:00 -
29:
岬 ◆rYagzMs.go
ひとつ気になったのは「金森」という名前(?)が幾度と出てくる事。それ以外は何だか解らなかった。『金森って彼氏の名前かなあ?』ここ2、3週間は何も書き込まれていない。書く事などなかったのだろう。最後のページに名前と住所が書いてあった。『藤沢綾子、東京都豊島区椎名町○-×-△グロールビル502号』ちゃんと本名を名乗っていたらしい。この住所は・・・劇団の練習場所かな?その住所をメモして、カバンを元に戻した。
2006-05-24 02:59:00 -
30:
岬 ◆rYagzMs.go
彼女は依然起きる様子はない。この眠っている間に、彼女を引き留める何かを作らないとな。『ご親切にありがとう、でわ、さようなら』じゃあ洒落にならない。バイトを棒に振った意味がなくなる。『そうだ!彼女はお金を持っていない。と、いうことは、食事もしていないんじゃないか?そうだ!きっとそうに決まってる!』そう思うが早いか、駅前の商店街まで走っていった。『彼女が目覚めるまでに食べ物を用意しよう!』
2006-05-24 03:00:00 -
31:
岬 ◆rYagzMs.go
第4章:デレデレ
「今日のオカズはなーんにしよー」などと悩んでいる余裕などなかった。いつボクの部屋から彼女が姿を消すかわからないという不安。スーパーのお惣菜コーナーで買った、とても2人では食べ切れないであろう大量な食料をもって家路へと走った。途中、飲み物がないのに気付き自動販売機で、これまた缶ジュース5本も買って、また走った。2006-05-24 03:01:00 -
32:
岬 ◆rYagzMs.go
起こさないように、静かに・・・テーブルに買ってきたおかずを並べていたら、いきなり彼女が起きてしまった。
「あ、ごめん。起こしちゃったね、うるさかった?」彼女はボクの顔など見ず、 テーブルのおかずに目をギラギラさせて、
「これ、食べていい?」と、スパゲッティーのラップを剥ぎながら、すがるような声でそう言った。
「う、うん、そのために買ってきたんだよ・・・どうぞ・・・」と言う前に彼女は既にスパゲッティーを『ゾゾゾ〜』とすすっていた。途中、何度かむせ返りながら、彼女は黙々と食べ続けた。
「慌てないで、ちゃんと噛まないと身体に悪いからね」母親が子供に言うような、やさしい口調で何度か宥めた。でも、彼女の耳には届いていない。時々「あぁ」とか「おいしい」とか小声でつぶやく以外、一心不乱に食べていた。いや、『食べた』よりも『食った』が正しいな。ボクはそう思った。
2006-05-24 03:02:00 -
33:
岬 ◆rYagzMs.go
彼女は箸を置くと、残りのオレンジジュースを一気に飲み干し、「ふぅ〜っ」と、大きなため息をついた。そしてボクを見て恥ずかしそうに笑いながら「ごちそうさまっ!」と元気よく手をあわせた。ボクが食後のタバコに火を付けると、
「あ、アタシも1本もらっていい?」と彼女もタバコをくわえた。ボクは女性がタバコを吸うのが嫌いなわけではない。しかし、彼女とタバコは似合わないなあ、と思った。23歳ならタバコも許される歳だ。でも彼女にタバコは似合わない。2006-05-24 03:03:00 -
34:
岬 ◆rYagzMs.go
化粧をしていないからかな?中学生くらいの女の子が悪ぶってタバコで遊んでいる様に見えた。
「へえ、タバコ吸うんだ。でも、なんか似合わないな・・・」
「あ、女の子がタバコ吸うのとか嫌い?」相当お腹がすいていたんだろう。食事の前とは別人のように元気だ。
「ううん、そんな事ないさ。ただ綾子とタバコは似合わない気がしたんだ」初めて彼女を「綾子」と名前で呼んでみた。2006-05-24 03:04:00 -
35:
岬 ◆rYagzMs.go
が、反応はなかった。
「そんなに幼くみえるかなあ?あ、でも23歳ってのは本当だよ」しばらく食後の雑談が続いた。しかし今度はボクが質問される回数がグッと多くなった。
2006-05-24 03:05:00 -
36:
岬 ◆rYagzMs.go
「名前はね、竹内幸司。26歳」
「幸司、コウジ・・・コウちゃんだね」彼女は照れながらクスクス笑った。でも、そういわれたボクはもっと照れた。
「コウちゃんか、いいねえ」ニヤニヤの照れ笑い。
「じゃあ、綾子はアヤちゃんか?」もう、デレデレのテレテレだ。
「アヤはアヤだよ」普通に言われた。
2006-05-24 03:07:00 -
37:
岬 ◆rYagzMs.go
「おれさ、実は、漫画家を目指していたんだよ。でも、才能ないみたいだ。田舎から独りで出てきて2年になるけど、まったくダメなんだ・・・。『絶対売れっ子の漫画家になってやる!』なんて大見得きっちゃったもんだから実家にも帰りづらくてさ・・・。あ、今はもう漫画もやめちゃったよ・・・」哀愁たっぷり、男の夢を語った。語ってやった。が、
「ふーん」『何だかよくわからない』という顔をされただけだった。
2006-05-24 03:08:00 -
38:
岬 ◆rYagzMs.go
お互い、話し疲れた。かれこれ3時間も話していた。会話もなくなってきた。やはりここは『2人のこれからについて』を話しあうべきだろう。そう思ったが、何て切り出したらいいか言葉が見つからない。沈黙に苦しんでいると、
「ねえ、コウちゃん。アヤ、もう少しここに居てもいい?」アヤは寂しそうに、申し訳なさそうに、そう言った。喜びで目眩がした。飛び上がって叫びたかった。しかし、ここは格好良く、
2006-05-24 03:10:00 -
39:
岬 ◆rYagzMs.go
顔から火、いや、炎が出た。
「お前なあ、人が真面目に・・・」と、言ったところで気が付いた。アヤの目から涙が溢れていた。
「ありがとう、ありがとう・・・」小声で何度も何度も繰り返していた。一瞬、戸惑ったが、
「まったく、涙ながすほど笑うことないだろ・・・」アヤの頭も『ポンッ』と叩いて、2006-05-24 03:13:00 -
40:
岬 ◆rYagzMs.go
「よし!そうと決まったら忙しくなるぞ!必要な物を買い揃えないとな!ええと、茶碗にコップに、ええと、ええと、あ、布団!え?布団?あちゃ!もうこんな時間だ!」とにかく楽しそうにはしゃいだ。
「アヤ、急げ!銀行が閉まっちまうぞ!」アヤは元気に立ち上がり、
「ありがとう!コウちゃん!」そう言いながらボクに抱きついた。2006-05-24 03:14:00 -
41:
岬 ◆rYagzMs.go
第5章:布団の中
駅前で買った1番安い布団のセットを、狭い部屋に敷きながら考えていた。『 なんで布団なんか買ってしまったのだろう?こんなものを買わなければ嫌でも1組の布団に2人で寄り添って寝れたのに・・・』そう。アヤを布団に誘う手段を、自ら潰してしまったのである。 ボクは自分の失敗に気付き、落ち込んでいた。
2006-05-24 03:15:00 -
42:
岬 ◆rYagzMs.go
「何て言ったっけ?アヤの劇団・・・えーと・・・」豆電球のぼんやりとした赤い明りの中、お互い布団から首だけ出し、天井を見ながら話していた。
「サントラハウス」確かに『サントラハウス』と言っている。2006-05-24 03:16:00 -
43:
岬 ◆rYagzMs.go
ビデオのラベルには『パンドラハウス』と書かれていたのに。なんでそんな嘘をつくのだろう?
「あ、そうそう、キョウゲキ団サントラハウス。『キョウゲキ』って中国だっけ?あの『京劇』のこと?」
「うん・・・そんな感じかなぁ・・・よくわかんない・・・」ビデオには『狂劇団』と書いてあった。2006-05-24 03:17:00 -
44:
岬 ◆rYagzMs.go
明らかに何か隠している。
「わかんないって、やってたんだろう?」アヤは答えない。押し黙ったまま天井を見つめている。少しイライラしたボクは更に続けた。
「見てみたかったなぁ。アヤの劇。アヤは何をやっていたの?」するとアヤは天井に向けていた視線をボクにうつした。
「え?・・・なにって?」その表情は何かに怯えているように見えた。
「ほら、歌とか、踊りとか。京劇なら楽器かな?」また答えない。そのかわりに、
2006-05-24 03:19:00 -
45:
岬 ◆rYagzMs.go
「寒い・・・」
そう言ってボクの顔を見ている。
「寒い?ああ、安かったもんなぁ、この布団。ペラペラだし・・・」この雰囲気。今だ!今しかない!チャンスだ!
「あ、えと・・・」アヤの目を見ていると、『一緒に寝よう』この1言が喉から出ない。2006-05-24 03:20:00 -
46:
岬 ◆rYagzMs.go
「布団かわってあげようか?」『馬鹿な!何を言っているんだ自分!なさけない!違うだろ!』自分の馬鹿さ加減に落胆していると、
「ねえ、こうしようよ!」アヤは飛び起き、
「ちょっとどいて」ボクを布団から追い出すと、2組の布団を1組にまとめた。その中に潜り込み、
「これなら2人共あったかいよ」そう言ってニコッと微笑んだ。2006-05-24 03:21:00 -
47:
岬 ◆rYagzMs.go
アヤの唇は半開きだった。ボクがタコのように唇を突き出しているのに。舌を入れてみた。・・・反応なし。優しくオッパイに手をかけた。反応なし。軽く揉んでみた。やわらかい。オッパイを揉んだのは何年ぶりだろう?右をモミモミ、左をモミモミ、モミモミモミモミ・・・・・・・・
2006-05-24 03:23:00 -
48:
岬 ◆rYagzMs.go
「コウちゃん」
いきなりアヤが喋り出したので、急いでオッパイから手をはなした。
「・ぇ?だ、なに?」アヤはボクの顔を無表情で覗き込みながら、
「アヤとセックスしたい?」そう言ってキョトンとボクの顔を見ている。2006-05-24 03:23:00 -
49:
岬 ◆rYagzMs.go
ボクは何故か腹がたった。したいからオッパイ揉んだんだ。なのに何の反応もしないで知らん顔。そのうえ『セックスしたい?』だなんて人を馬鹿にしている!本当にアヤの事が好きだから愛し合いたいんじゃないか。『嫌なら別にいいよ!』と怒鳴ってやりたかったがやめた。別によくはないからである。オッパイをモミモミした時点でボクのチンポは鋼鉄の形相を呈していた。ここで怒ったら全てが水の泡だ。
「したいよ。アヤのこと・・・好きなんだ」正直にそう言うと、
「じゃあ、電気消して・・・」と、布団の中に潜ってしまった。2006-05-24 03:37:00 -
50:
岬 ◆rYagzMs.go
電気消してって豆電球だけなのに・・・そんなに恥ずかしいのかな?カチリと豆電球を消すとカーテンの隙間から漏れる、わずかな月明りだけになった。
「これでいいかい?」ボクは布団に入るなり、アヤにキスをした。さっきとは違い、アヤの唇はボクの唇に吸い付いてきた。
2006-05-24 03:37:00