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包帯人形

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  • 1:

    岬 ◆rYagzMs.go

    久しぶりに書きます。よろしくお願い致します。

    2006-05-24 02:09:00
  • 2:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第1章:脱衣所ボンバイエ

     『100円シャワー』
    冬になるとボクは毎朝ここに行く。木造建築100%のボロボロアパートでは、部屋の中でも息が白くなるほど寒い。これといった暖房機具も無い貧乏なボクには、この『100円シャワー』は重宝なのだ。アパートから歩いて2分くらいの所にソレはある。コインランドリーの奥にあり、100円玉1枚で5分間暖かいお湯が出る。寝ぼけた頭に、冷え切った身体に、5分間のシャワーは極楽だ。凍った身体が溶けていく・・・。

    2006-05-24 02:10:00
  • 3:

    岬 ◆rYagzMs.go

    その日も寝ぼけた頭と冷え切った身体を溶かそうと凍てつく朝靄の中100円シャワーに向かった。そのコインランドリーには3つの100円シャワーがある。ボクはいつも1番奥のシャワーを使う(特に理由はない)。いつものドアノブを回すと『ガチャガチャ』 カギが掛かっている。良く見れば「使用中」のランプもついている。
    「先客なんてめずらしいな・・・」

    2006-05-24 02:11:00
  • 4:

    岬 ◆rYagzMs.go

    仕方なく隣のシャワーに入ろうとした時、いつものドアが『ガチャリン』と開き、中からバスタオル1枚の女性が恥ずかしそうに顔を出したのでビックリした。と思ったら引っ込んだ。と思ったらドアの隙間から顔をのぞかせて、
    「あ、すいません・・・」 彼女は照れて真っ赤になりながら言った。
    「これ、使い方が良くわからないんですけど・・・」
    「え?ああ、鏡の横にコインボックスがあるでしょう」ボクはドギマギした。
    「そこにね、100円入れればお湯が出るんですが・・・」ボクは説明しながら思った。

    2006-05-24 02:12:00
  • 5:

    岬 ◆rYagzMs.go

    『女の子と喋ったの久しぶりだなあ』
    「なんか、お金が出てきちゃうんですよ、これ・・・」ボクの人柄に安心したのか?ドアから手を放してコインボックスと格闘しはじめた。ボクは何気なく、至極何気なく脱衣所に入り、
    「ダメですか?」などと言ってみた。脱衣所のカゴには今し方脱いだ洋服が盛られている。

    2006-05-24 02:14:00
  • 6:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ブラジャーとパンティが無造作に丸まって1番上に置かれていた。その様なものをジロジロと見ていたワケではないが、ボクの視線に気付いたのか、
    「あ、ちょ、ごめんなさいっ」急いでブラジャーとパンティを洋服の1番下に押し込んだ。
    「あ、いえいえ・・・」ジロジロ見ていたのかな?いいや、悟られないようにチラリと見たはずだ。

    2006-05-24 02:15:00
  • 7:

    岬 ◆rYagzMs.go

    心臓はバクバク破裂しそうだが、平静を装った。
    「100円玉が悪いのかな?ほら100円玉って案外モロくて踏んづけただけでも変形しちゃって自動販売機なんかでも使えない事が時々あったりしてさ」と、とにかく沈黙はヤバイ。嫌な空気を追い払うかのように喋り続けた。
    「ボクのでやってみようか」

    2006-05-24 02:15:00
  • 8:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ポケットから100円玉を取りだし投入。コインボックスは『ガチャリンコ』と返事をした。『シャワワ〜』シャワーから湯気がのぼった。
    「あー!出た出たー!」彼女は嬉しそうに手を叩いた。
    「さ、急がないと5分しかないよ」ボクはニコリとそう言いながら脱衣所を出た。
    「あ・・・・」彼女が何か言いかけたが、さり気なくドアを閉め隣の個室に飛び込んだ。

    2006-05-24 02:16:00
  • 9:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ガッツポーズ!ボクはガッツポーズだった!できることなら叫びたかった。狭い脱衣所で大袈裟にガッツポーズ。鏡に写った自分の顔が気持ち悪かった。ボクは 昔から、ガッツポーズの時はアゴを突き出し『猪木』になるのだが今は関係ない。『うまい!うまくやった!ナイス俺!ダァーーーーーーーーー!』何度も心の中で叫んだ。しかし本当にうまくやったと思った。

    2006-05-24 02:17:00
  • 10:

    岬 ◆rYagzMs.go

    何故、彼女の100円がダメだったか、ボクは気付いていた。彼女がコインボックスと格闘している時ハッキリと見えたのだ。そう『50円玉×2』を。自動販売機と違って100円シャワーは100円『玉』じゃないと動かない。そして、あえて気付かないフリをしたのは、こう推理したからだ。『ボクが気付かないフリをして100円玉を貸してしまえば、彼女は返せない。何故なら彼女は100円玉を持っていないからだ。まさか自分の恥ずかしい失敗である50円玉×2をボクの前には出せまい』と。

    2006-05-24 02:18:00
  • 11:

    岬 ◆rYagzMs.go

    いつもならば、シャワー5分間の1秒、お湯1滴まで目一杯楽しむボクであったが、今日は違う。シャワーを浴びるまでもなく、この突発的興奮で全身がポカポカしている。『しかしシャワーに入ったのに髪の毛濡れてないのはおかしいよなあ』などと考えながら一応シャワーを浴びた。でも彼女が気になって1分足らずで出てしまった。

    2006-05-24 02:19:00
  • 12:

    岬 ◆rYagzMs.go

    服を着て、手グシで髪を整えて準備オッケー。隣の個室の音に全神経を傾けた。シャワーの音は聞こえない。着替えているらしい。『女の身支度は長いからな』独りニヤニヤしながら待っていた・・・。
    『ガチャッ!』隣のドアが開いた!
    「何気なく、出るんだぞ。そして、アレ?どうしたの?って顔で彼女を見るんだ」自分に念じをかけ、かるく深呼吸をしてからドアを開けた。

    2006-05-24 02:20:00
  • 13:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第2章:眠り姫

     誰もいない朝の公園のベンチ。 
    100円作戦を成功させたボクは、彼女を公園に誘った。さり気なく誘ったつもりだ。 久しぶりに女性と2人きりで話しができて、ボクは有頂天だった。彼女もまた、このさり気ない出会いを楽しんでいるように見えた。

    2006-05-24 02:21:00
  • 14:

    岬 ◆rYagzMs.go

    彼女の名前は『藤沢あや子』。歳は24で、『京劇団サントラハウス』とかいうワケのわからない劇団に所属していて、その練習場所に寝泊りしていた。が、この劇団が解散してしまい練習場所を追い出され、途方に暮れているという。

    2006-05-24 02:22:00
  • 15:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「え?じゃあ今、どこに住んでるの?」ボクは心配そうに聞いた。
    「いま、家ないんです」彼女は苦笑しながら続けた。
    「実家には帰れないし・・・」『何で実家に帰れないの?』と聞こうとしたが喉で止めた。聞いちゃ悪いように思えた。

    2006-05-24 02:25:00
  • 16:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「家ないんじゃあ、どこで寝てるの?」馬鹿な質問だったのか?彼女はあたりまえの顔で、
    「だから・・・寝てないんです」と苦笑した。

    2006-05-24 02:25:00
  • 17:

    岬 ◆rYagzMs.go

    劇団解散が2ヵ月前。練習場所を追い出されたのが3週間前。しばらくは数少ない女性劇団員の部屋を点々としていたらしいが、次第に煙たがられ、行き場を失い、3日前から仕事を探しながらフラフラしていたという。

    2006-05-24 02:27:00
  • 18:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「じゃあ3日間寝てないの?」ビックリと心配を混ぜた顔でボクは言った。
    「夜寝たら死んでしまうでしょう?第一寒くて眠れないし・・・」また苦笑だ。
    「昼間の暖かい時にね、ベンチで座ったまま寝るの・・・」その痛々しい笑い顔に涙が出そうになった。
    「とにかくボクの部屋に行こう。そして少し眠ったほうがいいよ」

    2006-05-24 02:28:00
  • 19:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「ボクの部屋に行こう」ちょっと強引だったかな?
    「え?で、でも・・・」彼女は怪訝そうにチラリとボクを見た。
    「いや、ホラ、狭くて汚いけどさ、外よりはいくらかマシだし・・・」彼女はうつむいて黙ってしまった。マズかったかな?強引だったかな?
    「あ、俺の事なら気にしないで。君が寝ている間、図書館にでも行ってるし・・・うん、と、とにかく休まないとさ・・・」アセリまくって誘い続けていたら、彼女の頭がコクリとうなずいた。
    「ありがとう・・・」消え入りそうな泣き声で彼女は言った。

    2006-05-24 02:29:00
  • 20:

    岬 ◆rYagzMs.go

    本当に疲れていたんだな。彼女は布団に横たわると、ものの1分足らずでイビキに近い寝息をたてはじめた。本当なら工場でアルバイトしている時間だ。しかし今のボク、女の子と2人で部屋にいる。『バイトはクビだろうな・・・ま、いいか』やっと見つけた割と待遇のいいバイトだったが、そんな事はどうでもよかった。

    2006-05-24 02:31:00
  • 21:

    岬 ◆rYagzMs.go

    さて、これからが勝負だ。彼女が眠りから覚めてからが勝負なんだ。このままではただの「親切な人」で終ってしまう。もっと親密な関係になりたい。彼女の事をもっと知りたい。そんな事を考えていたら、ボクは彼女が持っていた薄汚れたカバンに気をとられた。『カバンの中を見てみたい』もしかしたら、彼女の身元なんかがわかるかもしれない・・・。彼女はグッスリと眠っているし、バレやしないだろう・・・。

    2006-05-24 02:32:00
  • 22:

    岬 ◆rYagzMs.go

    忍び足で彼女のカバンを玄関まで持ってきた。彼女はイビキをかいている。多少の物音じゃあビクともしまい。カバンは以外に軽かった。『これが彼女の持ち物全てなのかな?』と心配するほど軽い。カバンのファスナーをゆっくり音をたてずに開ける。部屋の中は彼女のイビキとボクの心音だけ。ドキドキした。他人の、しかも女性のプライバシーを盗み見るのは・・・。

    2006-05-24 02:34:00
  • 23:

    岬 ◆rYagzMs.go

    小さなポーチが2つ出てきた。1つは色々な種類の薬が入っていた。『どこか悪いのかな?』2つ目はティッシュ・・・と思ったら生理用品だった。実物を見るのは初めて。『これがナプキンだろ・・・これはタンポンだ。2つ使うモノなのかな?』などと考えているが、このあたりからボクのチンポは勃起していた。カバンを開けて一番最初に出てきたのがブラジャーだった所為もある。

    2006-05-24 02:53:00
  • 24:

    岬 ◆rYagzMs.go

    少し大きめのポーチには化粧品が入っていた。手作りらしい巾着袋を開けてみると湿った布の塊が3コ出てきた。この時点でパンティだと解ったのだが、手にとって広げてみた。濡れているからなのか、ヨレヨレのパンティ。所々ほつれている。匂いはなかった。『さっきのシャワーで洗ったんだ』

    2006-05-24 02:54:00
  • 25:

    岬 ◆rYagzMs.go

    奥の方からビデオテープが2本出てきた。1本は『狂劇団パンドラハウス』と書かれている。『ああ、彼女の居た劇団のビデオだ。』さっき聞いた時は『京劇団サントラハウス』だと思った。「京」じゃなくて「狂」。狂劇団?パンドラ?・・・何か怖いな。見てみたいけどボクの部屋にはビデオデッキが無い。もう1本のビデオテープには何も書かれていなかった。カバンにはもう1つのファスナーが付いていた。そこを開けると、財布と手帳が出てきた。『あった・・・』これで、彼女の事が少し解るかも・・・。

    2006-05-24 02:55:00
  • 26:

    岬 ◆rYagzMs.go

    驚いたのは財布の中。1円玉数枚と五十円玉が2枚。それだけ。至ってシンプルな、いわゆる『ガマグチ』の為、お札の隠れる所はない。『お金ないんだな。さっきのシャワーは最後の100円だったんだ・・・』薄っぺらな手帳には、えらく端的に暗号の様な文字が並んでいた。

    2006-05-24 02:56:00
  • 27:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ---------------------
    17日  金森、P6。仕。
    18日  練。食、片山。
    19日  仕。B。

    2006-05-24 02:58:00
  • 28:

    岬 ◆rYagzMs.go

    20日  生。ポラ。
    21日  金森、P6。
     ・
     ・

    2006-05-24 02:58:00
  • 29:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ひとつ気になったのは「金森」という名前(?)が幾度と出てくる事。それ以外は何だか解らなかった。『金森って彼氏の名前かなあ?』ここ2、3週間は何も書き込まれていない。書く事などなかったのだろう。最後のページに名前と住所が書いてあった。『藤沢綾子、東京都豊島区椎名町○-×-△グロールビル502号』ちゃんと本名を名乗っていたらしい。この住所は・・・劇団の練習場所かな?その住所をメモして、カバンを元に戻した。

    2006-05-24 02:59:00
  • 30:

    岬 ◆rYagzMs.go

    彼女は依然起きる様子はない。この眠っている間に、彼女を引き留める何かを作らないとな。『ご親切にありがとう、でわ、さようなら』じゃあ洒落にならない。バイトを棒に振った意味がなくなる。『そうだ!彼女はお金を持っていない。と、いうことは、食事もしていないんじゃないか?そうだ!きっとそうに決まってる!』そう思うが早いか、駅前の商店街まで走っていった。『彼女が目覚めるまでに食べ物を用意しよう!』

    2006-05-24 03:00:00
  • 31:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第4章:デレデレ

    「今日のオカズはなーんにしよー」などと悩んでいる余裕などなかった。いつボクの部屋から彼女が姿を消すかわからないという不安。スーパーのお惣菜コーナーで買った、とても2人では食べ切れないであろう大量な食料をもって家路へと走った。途中、飲み物がないのに気付き自動販売機で、これまた缶ジュース5本も買って、また走った。

    2006-05-24 03:01:00
  • 32:

    岬 ◆rYagzMs.go

    起こさないように、静かに・・・テーブルに買ってきたおかずを並べていたら、いきなり彼女が起きてしまった。
    「あ、ごめん。起こしちゃったね、うるさかった?」彼女はボクの顔など見ず、 テーブルのおかずに目をギラギラさせて、
    「これ、食べていい?」と、スパゲッティーのラップを剥ぎながら、すがるような声でそう言った。
    「う、うん、そのために買ってきたんだよ・・・どうぞ・・・」と言う前に彼女は既にスパゲッティーを『ゾゾゾ〜』とすすっていた。途中、何度かむせ返りながら、彼女は黙々と食べ続けた。
    「慌てないで、ちゃんと噛まないと身体に悪いからね」母親が子供に言うような、やさしい口調で何度か宥めた。でも、彼女の耳には届いていない。時々「あぁ」とか「おいしい」とか小声でつぶやく以外、一心不乱に食べていた。いや、『食べた』よりも『食った』が正しいな。ボクはそう思った。

    2006-05-24 03:02:00
  • 33:

    岬 ◆rYagzMs.go

    彼女は箸を置くと、残りのオレンジジュースを一気に飲み干し、「ふぅ〜っ」と、大きなため息をついた。そしてボクを見て恥ずかしそうに笑いながら「ごちそうさまっ!」と元気よく手をあわせた。ボクが食後のタバコに火を付けると、
    「あ、アタシも1本もらっていい?」と彼女もタバコをくわえた。ボクは女性がタバコを吸うのが嫌いなわけではない。しかし、彼女とタバコは似合わないなあ、と思った。23歳ならタバコも許される歳だ。でも彼女にタバコは似合わない。

    2006-05-24 03:03:00
  • 34:

    岬 ◆rYagzMs.go

    化粧をしていないからかな?中学生くらいの女の子が悪ぶってタバコで遊んでいる様に見えた。
    「へえ、タバコ吸うんだ。でも、なんか似合わないな・・・」
    「あ、女の子がタバコ吸うのとか嫌い?」相当お腹がすいていたんだろう。食事の前とは別人のように元気だ。
    「ううん、そんな事ないさ。ただ綾子とタバコは似合わない気がしたんだ」初めて彼女を「綾子」と名前で呼んでみた。

    2006-05-24 03:04:00
  • 35:

    岬 ◆rYagzMs.go

    が、反応はなかった。
    「そんなに幼くみえるかなあ?あ、でも23歳ってのは本当だよ」しばらく食後の雑談が続いた。しかし今度はボクが質問される回数がグッと多くなった。

    2006-05-24 03:05:00
  • 36:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「名前はね、竹内幸司。26歳」
    「幸司、コウジ・・・コウちゃんだね」彼女は照れながらクスクス笑った。でも、そういわれたボクはもっと照れた。
    「コウちゃんか、いいねえ」ニヤニヤの照れ笑い。
    「じゃあ、綾子はアヤちゃんか?」もう、デレデレのテレテレだ。
    「アヤはアヤだよ」普通に言われた。

    2006-05-24 03:07:00
  • 37:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「おれさ、実は、漫画家を目指していたんだよ。でも、才能ないみたいだ。田舎から独りで出てきて2年になるけど、まったくダメなんだ・・・。『絶対売れっ子の漫画家になってやる!』なんて大見得きっちゃったもんだから実家にも帰りづらくてさ・・・。あ、今はもう漫画もやめちゃったよ・・・」哀愁たっぷり、男の夢を語った。語ってやった。が、
    「ふーん」『何だかよくわからない』という顔をされただけだった。

    2006-05-24 03:08:00
  • 38:

    岬 ◆rYagzMs.go

    お互い、話し疲れた。かれこれ3時間も話していた。会話もなくなってきた。やはりここは『2人のこれからについて』を話しあうべきだろう。そう思ったが、何て切り出したらいいか言葉が見つからない。沈黙に苦しんでいると、
    「ねえ、コウちゃん。アヤ、もう少しここに居てもいい?」アヤは寂しそうに、申し訳なさそうに、そう言った。喜びで目眩がした。飛び上がって叫びたかった。しかし、ここは格好良く、

    2006-05-24 03:10:00
  • 39:

    岬 ◆rYagzMs.go

    顔から火、いや、炎が出た。
    「お前なあ、人が真面目に・・・」と、言ったところで気が付いた。アヤの目から涙が溢れていた。
    「ありがとう、ありがとう・・・」小声で何度も何度も繰り返していた。一瞬、戸惑ったが、
    「まったく、涙ながすほど笑うことないだろ・・・」アヤの頭も『ポンッ』と叩いて、

    2006-05-24 03:13:00
  • 40:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「よし!そうと決まったら忙しくなるぞ!必要な物を買い揃えないとな!ええと、茶碗にコップに、ええと、ええと、あ、布団!え?布団?あちゃ!もうこんな時間だ!」とにかく楽しそうにはしゃいだ。
    「アヤ、急げ!銀行が閉まっちまうぞ!」アヤは元気に立ち上がり、
    「ありがとう!コウちゃん!」そう言いながらボクに抱きついた。

    2006-05-24 03:14:00
  • 41:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第5章:布団の中

    駅前で買った1番安い布団のセットを、狭い部屋に敷きながら考えていた。『 なんで布団なんか買ってしまったのだろう?こんなものを買わなければ嫌でも1組の布団に2人で寄り添って寝れたのに・・・』そう。アヤを布団に誘う手段を、自ら潰してしまったのである。 ボクは自分の失敗に気付き、落ち込んでいた。

    2006-05-24 03:15:00
  • 42:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「何て言ったっけ?アヤの劇団・・・えーと・・・」豆電球のぼんやりとした赤い明りの中、お互い布団から首だけ出し、天井を見ながら話していた。
    「サントラハウス」確かに『サントラハウス』と言っている。

    2006-05-24 03:16:00
  • 43:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ビデオのラベルには『パンドラハウス』と書かれていたのに。なんでそんな嘘をつくのだろう?
    「あ、そうそう、キョウゲキ団サントラハウス。『キョウゲキ』って中国だっけ?あの『京劇』のこと?」
    「うん・・・そんな感じかなぁ・・・よくわかんない・・・」ビデオには『狂劇団』と書いてあった。

    2006-05-24 03:17:00
  • 44:

    岬 ◆rYagzMs.go

    明らかに何か隠している。
    「わかんないって、やってたんだろう?」アヤは答えない。押し黙ったまま天井を見つめている。少しイライラしたボクは更に続けた。
    「見てみたかったなぁ。アヤの劇。アヤは何をやっていたの?」するとアヤは天井に向けていた視線をボクにうつした。
    「え?・・・なにって?」その表情は何かに怯えているように見えた。
    「ほら、歌とか、踊りとか。京劇なら楽器かな?」また答えない。そのかわりに、

    2006-05-24 03:19:00
  • 45:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「寒い・・・」
    そう言ってボクの顔を見ている。
    「寒い?ああ、安かったもんなぁ、この布団。ペラペラだし・・・」この雰囲気。今だ!今しかない!チャンスだ!
    「あ、えと・・・」アヤの目を見ていると、『一緒に寝よう』この1言が喉から出ない。

    2006-05-24 03:20:00
  • 46:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「布団かわってあげようか?」『馬鹿な!何を言っているんだ自分!なさけない!違うだろ!』自分の馬鹿さ加減に落胆していると、
    「ねえ、こうしようよ!」アヤは飛び起き、
    「ちょっとどいて」ボクを布団から追い出すと、2組の布団を1組にまとめた。その中に潜り込み、
    「これなら2人共あったかいよ」そう言ってニコッと微笑んだ。

    2006-05-24 03:21:00
  • 47:

    岬 ◆rYagzMs.go

    アヤの唇は半開きだった。ボクがタコのように唇を突き出しているのに。舌を入れてみた。・・・反応なし。優しくオッパイに手をかけた。反応なし。軽く揉んでみた。やわらかい。オッパイを揉んだのは何年ぶりだろう?右をモミモミ、左をモミモミ、モミモミモミモミ・・・・・・・・

    2006-05-24 03:23:00
  • 48:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「コウちゃん」
    いきなりアヤが喋り出したので、急いでオッパイから手をはなした。
    「・ぇ?だ、なに?」アヤはボクの顔を無表情で覗き込みながら、
    「アヤとセックスしたい?」そう言ってキョトンとボクの顔を見ている。

    2006-05-24 03:23:00
  • 49:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ボクは何故か腹がたった。したいからオッパイ揉んだんだ。なのに何の反応もしないで知らん顔。そのうえ『セックスしたい?』だなんて人を馬鹿にしている!本当にアヤの事が好きだから愛し合いたいんじゃないか。『嫌なら別にいいよ!』と怒鳴ってやりたかったがやめた。別によくはないからである。オッパイをモミモミした時点でボクのチンポは鋼鉄の形相を呈していた。ここで怒ったら全てが水の泡だ。
    「したいよ。アヤのこと・・・好きなんだ」正直にそう言うと、
    「じゃあ、電気消して・・・」と、布団の中に潜ってしまった。

    2006-05-24 03:37:00
  • 50:

    岬 ◆rYagzMs.go

    電気消してって豆電球だけなのに・・・そんなに恥ずかしいのかな?カチリと豆電球を消すとカーテンの隙間から漏れる、わずかな月明りだけになった。
    「これでいいかい?」ボクは布団に入るなり、アヤにキスをした。さっきとは違い、アヤの唇はボクの唇に吸い付いてきた。

    2006-05-24 03:37:00
  • 51:

    岬 ◆rYagzMs.go

    パジャマを脱がして、やっとわかった。豆電球の明りさえも嫌がった理由が。アヤの肌はガサガサだった。きっと、ここ数ヵ月の不規則な生活で荒れてしまったのだろう。それを見せたくないんだ。ボクはアヤのことを、ますます愛しく思った。パンティの中に手を滑り込ませ、優しくヒダをめくると濡れていた。しかし、不思議な感触も発見した。陰毛が短いのである。手触りから長さを判断すると、1、2センチといったところか。何故だろう?しかし、そんなこと聞けやしないし、今はどうだっていい。ボクは優しくアヤを愛撫した。

    2006-05-24 03:57:00
  • 52:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第6章:謎

    凍てつく朝靄の中ボクは100円シャワーに向かった。もちろんアヤも一緒である。アヤがボクの部屋に来てから1週間がたった。2人で毎朝シャワーを浴びに行こうと決めていた。

    2006-05-24 03:58:00
  • 53:

    岬 ◆rYagzMs.go

    そしてボクはまた今日も、
    「なぁ、一緒に入ろうよ」
    とダダをこねる。すると決まって
    「やぁだ。1人でゆっくり入るのー」とうまくかわされてしまう。1週間前の夜から、ボク達は毎晩愛し合った。しかしアヤは依然、裸を見せようとしない。セックスも真っ暗闇の中、布団を剥ぐことも嫌がる。シャワーも別々。もっとも、この狭い100円シャワーに2人で入るのは少々無理があるのだが・・・。

    2006-05-24 03:59:00
  • 54:

    岬 ◆rYagzMs.go

    1週間たっても解明しないアヤの謎は2つ。1つは『アヤの裸体』。どうして直隠しにするのか?肌荒れはそんなにひどいのか?ボクには理解しがたいが、それが女性なのだろうか?もう1つは『狂劇団パンドラハウス』。何故、『京劇団サントラハウス』などと嘘を付くのか?サントラだろうがパンドラだろうがマントラだろうが、そんな事はどうでも良いが『狂劇団』には少々引っかかる。劇団の名前に関してはアヤのカバンを盗み見た時の情報なので突っ込んで聞くことが出来ない。ビデオを見れないとなると、唯一の手がかりといえば手帳に記されていた住所だろう。そこに行けば2つの謎を解くヒントがあるかもしれない。

    2006-05-24 04:00:00
  • 55:

    岬 ◆rYagzMs.go

    毎朝の100円シャワーのあと、アヤの作った朝食を食べる。正直に言って美味しくはない。御飯はその日によって固かったりベチャベチャだったり。目玉焼きは必ず潰れている。

    2006-05-24 04:01:00
  • 56:

    岬 ◆rYagzMs.go

    味噌汁は甘いし、アジの干物は焼かずに出てくる。
    「おいおい、焼かないと・・・コレ」
    「え?それって焼いてあるんじゃないの?」それでも一生懸命作ってくれる。自分の作った料理を食べて、
    「まずーいっ。アヤ、あんまり料理とかしたことないから・・・ゴメンね」本当に申し訳なさそうな顔をするので、困ってしまう。
    「いやあ、美味しいよ。それにずいぶん上達してるよ。これが『まずい』ってわかるだけ、見込みがあるってモンだ」
    「ひどーい!やっぱりまずいんだー!」2人はうまくいっていた。

    2006-05-24 04:02:00
  • 57:

    岬 ◆rYagzMs.go

    前から気になっていた手帳の住所に行ってみようと思った。2つの謎が、どうしても気になってしまう。アヤの持っている2本のビデオテープも謎を解く手がかりになるのだろうが、アヤは肌身離さず持ち歩いていた。やはり見られたくない、『何か』が映っているのだろう。ここはあの住所に行ったほうが早い。謎の結果はどうでも良い(と言えば嘘になるが)。その結果でアヤへの気持ちが変ることはないと思う。しかし『何故隠しているのか?』これだけは知っておきたい。

    2006-05-24 04:04:00
  • 58:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「えー、コウちゃんいないんじゃつまんないなぁ。1人で何してよう・・・」
    「たまには1人でゆっくりするのも悪くないよ。いつも一緒じゃ息がつまるだろ?」
    「コウちゃん、アヤとずっと一緒にいると息がつまるの?アヤは全然平気だけど・・・」悲しそうな顔この上ない表情だ。

    2006-05-24 04:04:00
  • 59:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「い、いや、そーゆう意味じゃなくて・・・あ!そうだ、この本面白いぞ!」本棚から適当に抜いた本をアヤに手渡すと、
    「ふーん・・・」さっそく1ページ目を読み出し、ボクの存在を忘れた。
    「じゃあ、行ってくるね・・・」反応なし。本に夢中。

    2006-05-24 04:05:00
  • 60:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第7章:口臭大男

    「グロールビル・・・ここだ!」駅から10分ほど歩いた所に、そのビルはあった。見たところ普通のマンションだった。『こんな所に劇団の練習場所が?』と、少々違和感を感じた。

    2006-05-24 04:07:00
  • 61:

    岬 ◆rYagzMs.go

    メールボックスが並ぶロビー。
    「502、502・・・あった!」『金森インターナショナル・狂劇団パンドラハウス』間違いない。金森という名前もアヤの手帳に記されていた。
    「アヤはここに居たんだ・・・」

    2006-05-24 04:08:00
  • 62:

    岬 ◆rYagzMs.go

    エレベーターで5階へ。502号室にもメールボックスと同じプレートが貼られていた。インターフォンを押す前に、作戦のセリフを確認。『ボクは狂劇団パンドラハウスの団員、藤沢綾子の大ファンなのですが、劇団解散後、彼女の活動について聞きにきました』アヤが劇団にいたのは確かだし、これで大丈夫だろう。最悪、頭のおかしいミーハーのフリでもすればいい。アヤが秘密にする、劇団の事が少しでもわかればそれでいいんだ。

    2006-05-24 04:09:00
  • 63:

    岬 ◆rYagzMs.go

    『よし、いくぞ』震える指でインターフォンを押す。・・・応答なし。留守か?もう1度・・・人の居る気配がない。劇団解散で、ここも閉めてしまったのだろうか?『せっかくここまで来たのに・・・』くやしさも混じって、インターフォンを押しまくる。
    「おう!ちょっとまてまて・・・」いきなり背後から怒鳴られて心臓が潰れそうになった。

    2006-05-24 04:10:00
  • 64:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「そんなに押したら壊れんだろう!ったく、今開けるから・・・」お相撲さんの声だった。『どうして太るとこんな声になるのだろう?』その大男はポケットからジャラジャラと大量のカギを取り出すとドアを開けた。
    「あいよ、どうぞ」その男はデップリと太った大男である。油ギッシュな顔にナイフで切り込んだような目。髪の毛は油でギラギラと後ろに撫で付けてある。どう見ても普通じゃない・・・。

    2006-05-24 04:11:00
  • 65:

    岬 ◆rYagzMs.go

    このお相撲さんが金森か???
    「面接か?もうすぐ担当が来るから、そこ座ってまってな・・・」面接?何の面接だろう?まぁ、中に入れるのなら何でもいいや・・・。

    2006-05-24 04:12:00
  • 66:

    岬 ◆rYagzMs.go

    部屋は結構広い1ルームだった。書類やら衣装らしき物が散乱している。窓際に薄汚れたソファ。そこに座らされた。『汚ねえ部屋』が感想だった。練習場所には見えない。ここは事務所なのだろう。

    2006-05-24 04:17:00
  • 67:

    岬 ◆rYagzMs.go

    狂劇団パンドラハウス    Bloody Party.Vo27 六本木BooBeeTRAP◆◆◆ 20xx'2/18◆         OPEN:Pm9:00 START:Pm10:00  -Price- MEN:\40.000 WOMAN:\20.000

    2006-05-24 04:21:00
  • 68:

    岬 ◆rYagzMs.go

    『ブラッディパーティー』・・・『血まみれパーティー』なんかヤバイな。それにこの値段、間違いなく普通じゃないぞ。しかも2月18日って来週じゃないか。そうか、『狂劇団パンドラハウスは解散などしていない・・・』

    2006-05-24 04:22:00
  • 69:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「おう、わりぃなぁ。今担当から連絡あってよお、ちょっと遅れるそうだ」大男はチラシを見ているボクを、ジロリと睨み、
    「お前、それ、見たことあんのか?」『それ』っていうのは、ブラッディーパーティーのことだろうか?
    「え、は、はい。い、1度だけ・・・チラッと・・・だけ・・・」ヤバイ。冷や汗が背中を伝う。
    「はぁ?そんなんでやろうってのか?大丈夫かよ」何をやろうとしているんだボクは?

    2006-05-24 04:23:00
  • 70:

    岬 ◆rYagzMs.go

    マズイ、何とかしないと・・・
    「え、えぇ・・・。じ、実はボク、藤沢綾子さんのファンで・・・」大男の細い目が少しだけ太くなった。グッと身を乗り出して、
    「お前、ミイラの事知ってんのか?!」ミイラ・・・僕は確かに『藤沢綾子』と言った。

    2006-05-24 04:24:00
  • 71:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ミイラ???
    「なるほどぉ、ミイラ目当てか・・・ブフフ、けど残念だなぁ」大男は『グヒヒ、ブヒヒ』と不気味な笑いを混ぜながら、
    「残念だけどミイラはもう居ねえぞ・・・」ニタニタ、グヒヒブヒヒ、気持ちの悪い男だ。おまけに近寄ると汗臭いし、足は納豆の臭いだし、口臭の凄さときたら、目眩がするほどだ・・・。

    2006-05-24 04:25:00
  • 72:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「居ないって、辞めてしまったんですか?」白々しく聞いた。
    「逃げたんだよ」
    「逃げた?」
    「あぁ、グフフ、ブフフフ・・・」大男は不気味にほくそ笑みながらこう言った、
    「ミイラ・・・藤沢綾子はなぁ、俺のムスメなんだよ。」

    2006-05-24 04:26:00
  • 73:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第8章:ノックダウン

    『この醜いお相撲さんが、アヤの父親??』ボクが当惑していると、
    「血はつながっちゃいないけどな、グヒュヒュ・・・」あたりまえだ。アヤも「美人」ってほどじゃあないけど、この醜くて臭いお相撲さんのムスメとは思えない。

    2006-05-24 04:27:00
  • 74:

    岬 ◆rYagzMs.go

    しかし・・・
    「まあ、よくある話しだけどよ、買ったんだよ。ミイラの本当の親からな」なにを言っているのだろう?『買った?』どこがよくある話しだというのだ?

    2006-05-24 04:28:00
  • 75:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「なんで逃げてしまったのですか?」ボクが聞くと、大男は突然不機嫌そうな顔をして、
    「さあな、嫌んなったんじゃねえか?」そしてまたほくそ笑み、
    「たった200で買ったんだけどよお、その10倍くれえは稼がせたしなあ。グフフ、それにアリャもうダメだ。あんな汚ねえんじゃあ、もうダメだ」『汚い』そう聞いて、アヤの裸を思い出した。あのガサガサの肌を・・・。いったいアヤは何をされていたのだろう??
    「あのお、ボクそろそろ・・・」時計をチラリと見て言った。面接の担当者が来る前に帰ったほうがよさそうだと思った。

    2006-05-24 04:29:00
  • 76:

    岬 ◆rYagzMs.go

    何の面接だか解らないし、ヘタにボロを出すのもまずい。
    「また出直します。今日はちょっと約束が・・・」
    「なんだ?ミイラが居ないと解ったら、豚なんかやってらんねえってか?グヒヒ、グヒブヒ・・・」大男はブヒブヒ笑った。『豚ってなんだ?』
    「いえ、また来ます。明日にでも・・・」
    「おう、来る前に電話くれや」大男はサイフから名詞を取り出した。そこには『金森茂樹』と書かれていた。

    2006-05-24 04:30:00
  • 77:

    岬 ◆rYagzMs.go

    部屋に戻ると、アヤは晩御飯の仕度の最中。
    「ただいまー」アヤのホッペに軽くキスをした。
    「おかえり!もうすぐ出来るよー」鼻唄まじりでとても楽しそうだ。アヤに暗い過去があるのは間違いない。でも今はとても幸せそうだ。『この幸せをずっと保っていたいな』そう思う。アヤの幸せそうな顔を見ていると、今日、自分のとった行動が恥ずかしく思えてきた。アヤの暗い、隠していたい過去を、わざわざ掘じくり返している自分が嫌になった。『過去は過去だ。アヤは今幸せなんだ。時が解決してくれるさ。アヤが自分から話してくれるのを、待てばいいんだ・・・・』

    2006-05-24 04:31:00
  • 78:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「お、今日は凝っているいねえ」テーブルに並べられたお皿の上には、ハンバーグとサラダ。それに餃子にコロッケ。ワインまでが並んでいた。
    「いやあ、うまそうだ。しかし、凄い組み合わせだなあ」笑いながらそう言うと、
    「だって、コウちゃん居ないし、ヒマだったんだもん」と、答えになっていない答え。思わず吹き出してしまうと、
    「なーに?」笑い顔で睨まれた・・・。

    2006-05-24 04:32:00
  • 79:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「フンッ!やっぱりなあ・・・」突然、ボクの部屋の中にお相撲さんの声が響いた。
    「か、金森・・・??」何故だ?何故、金森がボクの部屋にいるのだ??バレていたのか??つけられたのか???完全にパニックに陥った。全身の力が抜け、ただただ唖然としていた。

    2006-05-24 04:33:00
  • 80:

    岬 ◆rYagzMs.go

    「コウちゃん・・・・な、なんで・・・・???」アヤは怯え震えていた。この状況を把握できないらしい。あたりまえだ。いきなり金森が現われるは、知るハズのないボクが金森の名前を口にするは・・・。
    「ふざけやがって・・・」金森はニヤニヤ、グフグフとボクに近づいてきた・・・。重たい革靴がボクの顔面を蹴り飛ばす。

    2006-05-24 04:34:00
  • 81:

    岬 ◆rYagzMs.go

    お腹にも、背中にも・・・い、息ができない・・・
    「やめてぇーー!!!!!」アヤの叫び声。『チキショウ・・・・』怒りと悔しさの中、何も聞こえなく、見えなくなった・・・・・・

    2006-05-24 04:35:00
  • 82:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第9章:BOX

    ボンヤリと目をさますと、そこは荒れ果てたボクの部屋だった。アヤの作ってくれたハンバーグも、サラダも餃子もコロッケも、全てグチャグチャに散乱していた。まだ、ボーッとする頭。そこいらじゅう痛む身体。しかし、重要な事に気が付き、愕然とする。
    「アヤ・・・・・」ボクが気を失っている間に、連れ去られてしまったのだろう・・・。アヤのカバンも無い。放心状態、ボーッと部屋の中を見渡していると、ある物に気付いた。玄関の所に大量のティッシュペーパーが無造作に捨ててある。『???』ソレを手に取り、広げて見る。所どころ湿っている・・・。直ぐに解った。

    2006-05-24 04:36:00
  • 83:

    岬 ◆rYagzMs.go

    それは精子の匂い・・・。
    「あの野郎・・・」ボクの部屋で、しかもボクが気を失っているすぐ横で、『アヤをヤったんだ・・・チキショウ・・・チキショウ・・・チキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウチキショウ・・・・・・・・』怒りで涙が止らない・・・。『今すぐ、あのビルまで行って金森をブッ殺してやる!!』しかし、それが無理なことはボク自身が1番良く解っていた。こんなガタガタな身体では、何も出来やしない・・・。しかし、居ても立っても居られない。

    2006-05-24 04:37:00
  • 84:

    岬 ◆rYagzMs.go

    悔しさに息を荒だてていると、またある物に気付いた。『ビデオテープ!!』ボクが気を失ってブッ倒れていた所に、1本のビデオテープがあった。ラベルには何も書かれていない。『このビデオは???』アヤの持っていたビデオだろうか?それとも金森が持ってきたビデオなのか?どちらにせよ、何かの手がかりになるかもしれない。アヤからのメッセージか?金森からの脅迫か???

    2006-05-24 04:38:00
  • 85:

    岬 ◆rYagzMs.go

    『個室鑑賞。アダルト3千タイトル!毎日新作入荷!!』俗に言う『ビデオBOX』だ。ビデオデッキを買う金が無い。知人の家で見せてもらうのもマズイ(何が映っているか見当もつかないからだ)。そこで、思い付いたのが、このビデオBOXだった。店は雑居ビルの1室にあり、店内は普通のレンタルビデオのお店と変りがない。ただ、扱っているビデオがほとんどアダルトだというところが違っていた。客はここで、好きなアダルトビデオを選び、奥にある個室(中は1畳ほどで、テレビとビデオデッキがある)で、1発ヌク、という極単純な風俗の店である。『ここならば、誰にも気付かれず、このビデオを見ることができる・・・』店に入ると、適当にビデオを選び、カウンターでお金を払った。
    「19号室をお使い下さい」ビデオテープとリモコンの入ったカゴを手渡され、急いで個室に入る。ヘッドフォンをして、例のビデオテープをデッキへ押し込んだ。『ガシャコン・・・・・』

    2006-05-24 04:39:00
  • 86:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第10章:ビデオ鑑賞

    部屋。あの「金森インターナショナル」の事務所だった。部屋には2人の男が映っている。両方とも知らない奴。ビデオを撮っている男を含めて3人。3人は酒を飲みながら楽しそうに話しをしている。かなり画像が悪い。音声も聞き取りにくい。しばらくすると、アヤが部屋に入ってきた。

    2006-05-24 04:40:00
  • 87:

    岬 ◆rYagzMs.go

    下品な笑い声がする。男達はアヤをソファに座らせると、挟むように両隣へと腰をおろした。アヤは無表情のように見える。アヤも酒を飲んでる。隣の男達はアヤの身体を撫で回したり、時には頭を叩いたりしながら笑っている。そこにもう1人の女性が入ってきた。なにやら紙袋を持っていて、とても楽しそう。紙袋の中からは小ビンとストローが出てきた。

    2006-05-24 04:42:00
  • 88:

    岬 ◆rYagzMs.go

    両手両足を縛られたアヤはイモムシのようにモゾモゾうごめいている。金森は靴と靴下を脱ぎ、アヤの顔を踏みつける。その足をアヤの口の中にネジ込む。「ゲホッゲホッ」アヤはむせ返るが金森はお構い無しに足先を突っ込む。そこでカメラは別の2人を映した。アヤを縛っていた男と、紙袋を持っていた女だ。2人共、既に裸。女はソファに座り、タバコを吸いながら大きく股を開いている。その下に男が膝まづき、女の股間に顔を埋めている。女は男の髪の毛を掴み、笑っていた。

    2006-05-24 04:44:00
  • 89:

    岬 ◆rYagzMs.go

    再びアヤと金森が映し出される。アヤは金森の足をベロベロと舐めていた。金森も全裸。醜い、不潔そうな金森の裸体。金森は舐めさせている足でアヤの顔を蹴る。うずくまるアヤ。金森は足でアヤを仰向けにさせ顔をまたぐ。そのまま腰を下ろし、アヤに肛門を舐めさせた。アヤは当り前のように舌を伸ばし舐める。ウンコ座りの態勢で肛門を舐めさせながら、アヤの乳首を弄ぶ。左右の乳首にはピアスがあった。それを千切れる程引っぱり、ネジり、摘み上げるたび、アヤはモゾモゾとのたうち、悲鳴を上げる。それを聞き、楽しそうにニヤニヤする金森。

    2006-05-24 04:46:00
  • 90:

    岬 ◆rYagzMs.go

    画面はアヤのオマンコのアップになった。初めて見るアヤのオマンコ。陰毛は綺麗に剃られている。しかし『少女のような〜』ではない。黒ずみ、ヒダが醜く伸びきってグロテスクだった。ここにもピアスがされていた。左右のヒダに1つづつ。クリトリスの所に1つ。計3つのリング状のピアスだ。そして剃られた恥丘に入れ墨があった。赤い花に蝶々の模様。金森は両手で裂けるほどに広げる。リングをつまみ、グリグリと引っぱる。奇妙に変形するアヤのオマンコ。そしてそのたびに上がる悲鳴。ビデオを撮っている男の指がアヤのオマンコにネジ込まれる。

    2006-05-24 04:47:00
  • 91:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ゴツイ指が3本、アヤの膣内をかき回す。『ヌチャッヌチャッ』と音が聞こえる。引き抜かれた3本の指はアヤの愛液でぬめり光っていた。その指はおもむろにアヤの肛門にネジ込まれた。力づくでグリグリとネジ込む。アヤの悲鳴は金森の肛門で塞がれて「ヴガァヴガァ」と野ブタの鳴き声のようだった。金森やほかの男の笑い声。女は「うるさいよ!黙れ!」と言いながらアヤの横腹を蹴っていた。カメラが固定され、アヤを含めた5人全員が映し出された。四つん這いのアヤは金森に髪の毛を掴まれて、フェラチオさせられていた。強引に喉の奥まで突っ込まれるたびに「グベェ、グベェエ」と胃液を吐いた。

    2006-05-24 04:49:00
  • 92:

    岬 ◆rYagzMs.go

    後ろから男がパツンパツンと音がするほど激しく、アヤを犯している。かわるがわる、口とオマンコ、そして肛門を犯されるアヤ。最後に金森がアヤの顔の上に射精。精液だらけのアヤの顔を足の裏でコネくり回す。そしてカメラに向かって「イエーイ」とピースしながら、うずくまるアヤに小便をかける金森。大爆笑する男達。調子に乗ってアヤを蹴りまくる女。アヤはピクリとも動かない。男達の笑い声の中、ビデオは終った。

    2006-05-24 04:50:00
  • 93:

    岬 ◆rYagzMs.go

    部屋に戻ったボクは、布団を敷いて電気を消して眠りについた。
    その夜、ボクは生まれて初めて夢精した。

    2006-05-24 04:56:00
  • 94:

    名無しさん

    ・゚・(>_

    2006-05-24 06:55:00
  • 95:

    岬 ◆rYagzMs.go

    97サン、ありがとうございます。今から更新しますね。

    2006-05-24 07:13:00
  • 96:

    岬 ◆rYagzMs.go

    第11章:ブラッディパーティ

    次の日も、次の日も、布団の中で考えていた。アヤの作った料理が部屋のあちらこちらで腐って悪臭を放っていた。あのビデオを見てから食べ物を食べていなかった。お腹はすいているのだが、食べ物が喉を通らない。頭の中はアヤが残虐なリンチをうけている場面が占領している。近づくだけで臭う、金森の臭い足をベロベロ舐めるアヤ。金森のケツの穴に舌を伸ばすアヤ。醜いグロテスクなオマンコのアヤ。イモムシのようにモゾモゾうごめくアヤ。ブタのような悲鳴を上げるアヤ。胃液を吐くアヤ。精液まみれの顔のアヤ・・・・・。そんなアヤの事だけ、何度も何度も繰り返し考えていた。そして2月18日(『ブラッディパーティー』の日)をジッと耐え待っていた。

    2006-05-24 07:14:00
  • 97:

    岬 ◆rYagzMs.go

    『六本木BOO BEE TRAP』
    オープン30分前だと言うのに店の前には10人ほどの列が出来ていた。ケバイ化粧の水商売風の女性とハゲた中年オヤジとのカップル。鋲付き皮ジャンパーのパンキッシュな女性。ロングコートに帽子を深くかぶり、皮の手袋をしている人殺し風の男。家出してきたような少女風な女性など、ちょっと変った人たちの列だった。

    2006-05-24 07:15:00
  • 98:

    岬 ◆rYagzMs.go

    ボクは列の一番後ろに並んだ。ボクの前にはサイケ風ファッションの女性2人組みが並んでいる。2人共あわせて10個以上のピアスが耳を飾っている。
    「今日ミイラちゃんでないのかなぁ」
    「逃げちゃったんでしょ?」などと話しているのが聞こえる。行列はどんどん伸びて、オープン時間になる頃には30人をこえていた。

    2006-05-24 07:16:00
  • 99:

    岬 ◆rYagzMs.go

    地下に降りる、細くて薄暗い曲がりくねった階段。階段の下には小さなカウンター。そこでお金を払い、店の中へ。どこにでもある、小さなライブハウスといったかんじ。ステージは真っ白い布が敷き詰められ、所どころローソクが灯してあった。暗い青い照明。賛美歌がゆったりと流れていた。直ぐに店内は満員になった。50人ほどの男女が、並べられた椅子を埋めている。ボクは後ろの方に隠れるように座った。

    2006-05-24 07:17:00
  • 100:

    岬 ◆rYagzMs.go

    いきなり照明が落とされ、同時にけたたましいピアノの不協和音が大音量で鳴り響いた。一斉に観客達は悲鳴や怒鳴り声を上げ出した。滅茶苦茶なピアノの音と断末魔のような叫び声の中、ステージの照明は青から赤に変り、真っ白いカーテンの裏から一人の女性が現われた。その女もまた真っ白いレースのネグリジェの様なものを来ていた。男も女も気がちがったかのように、『ミイラ!ミイラ!ミイラ!』と叫ぶ。

    2006-05-24 07:18:00
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