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小説:砂の城

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  • 1:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    フィクションです。よかったら読んでみてください。

    2005-05-03 21:23:00
  • 2:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    携帯の画面が光る。
    【不在着信・二件】
    ボタンを押して確認すると同じ名前が並んでいる。
    その名前の前には全て着信拒否のマークが付いている。
    《もう一ヵ月以上経つのに…》

    2005-05-03 21:28:00
  • 3:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    あたしはため息を吐いて着信履歴を削除した。残したままにしておくと掛け直して声を聞きたいという欲望に負けてしまいそうだからだ。
    携帯の画面を閉じて鞄の中に投げ込むと、あたしは立ち上がった。

    2005-05-03 21:30:00
  • 4:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「舞!!」
    約束していた場所に少し遅れて行くと、彼は先に来ていた。笑顔であたしの名前を呼ぶ彼――優真――
    彼は一ヵ月半前までホストだった。今は普通の昼職をしている。

    2005-05-03 21:40:00
  • 5:

    ?ゅりぇ?

    サクラさんの?見つけたァ??今回も自分のペースで頑張って?サィ??????

    2005-05-04 01:01:00
  • 6:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    ?ゅりぇ?さん、お久しぶりです?よかったらまた見てくださいね??

    2005-05-04 01:34:00
  • 7:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「ごめん!遅れちゃった」
    まるでドラマに出てくるような状況と台詞だな、と思ってつい頬が弛む。
    その表情とは裏腹についため息を吐いてしまう。

    2005-05-04 01:52:00
  • 8:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「どした?」
    優真が心配そうに聞いてくる。あたしは言い淀んだ。
    「…あの人か?」
    あたしはすぐに顔に出るタイプ。優真が静かに言った。無言で頷くあたしに、優真は「そうか。」とだけ呟く。

    2005-05-04 02:00:00
  • 9:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    その静かな口調と声だけでは彼がどう思っているかわからない。あたしは彼に言おうとした。
    「違うよ!なんともない。何もないから…」
    でもそれは声にならなかった。言えない。言い淀んだという事で自分がまだ【あの人】を忘れられていないという事を再確認したから。

    2005-05-04 02:12:00
  • 10:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「…行こっか!」
    優真は何事もなかったかのように笑って手を差し出した。あたしはようやく笑って優真の手を握った。

    何事もなかったかのように笑ってくれる優真。決して何も聞かない優真。優しい優しい優真。
    その優しさがあたしには居心地が良く、ひどく痛いものだ。

    2005-05-04 02:24:00
  • 11:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     風が吹く。仄かな暖かさを含んでいるのに、何故かあたしにはひどく冷たいものに感じる。

    《優真…ごめんね》
    あたしは心の中で小さく呟いた。
    あたしは優真と肩を並べて歩きながらふと、【あの人】の事を思い出していた。

    2005-05-04 03:11:00
  • 12:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    目を瞑るだけで彼の笑顔を、声を、手の温もりを、抱き締められた時に香った香水の匂いを容易に思い浮べる事ができる。

    あたしが生まれて初めて愛した人。彼の為なら死ねると思った。

    2005-05-04 03:26:00
  • 13:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「おはよ〜今日は忙しかった?」
    前髪をいじりながら店から出てくる彼、主馬《かずま》はNO.2ホスト。キャッチで知り合った。
    「まぁまぁかな?」
    そう答えながらドアを開けて店の中に入る。
    「いらっしゃいませぃ!」

    2005-05-04 03:42:00
  • 14:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    あたしがこの店に初めて来たのは一ヵ月前。なんとなく、暇つぶしだった。
    特にハマるわけでもなく飲んで帰った。
    それから一ヵ月後、仕事帰りに飲み足りなくて顔を出したのがきっかけ。それから週に一回のペースで飲みに行くようになった。

    2005-05-04 03:45:00
  • 15:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    焼酎を飲みながら話していると、主馬が微笑みながら無言であたしを見つめてくる。あたしはそれに気付かないふりをしてグラスの中身を空けた。
    主馬が時々そうやってあたしを見るようになったのは一体いつからだろう。

    2005-05-04 03:49:00
  • 16:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     あたしは主馬の視線から逃れるようにヘルプの男の子に空いたグラスを渡した。主馬はまだあたしを見ている。
    「…なに?」
    なんだか気まずくなってあたしは彼の方へ上半身を捻りながら聞いた。
    「んー?…いや、なんか雰囲気変わったな〜と思って」

    2005-05-04 08:20:00
  • 17:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    微笑みながら、まるで子供をあやすかのように優しい声で話す彼。その声と表情はひどくあたしの心を掻き乱す。
    《これは好きになっちゃいけない人。リップサービス、お金を落としてもらう為の言葉。》
    そう自分に言い聞かせながらも、堪らなく彼にひかれていく自分をあたしはとめる事ができない。

    2005-05-04 08:26:00
  • 18:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     水商売の事はわかってるつもりだった。でもそうして妙な自信を抱くほど愚かな事はないという事に、あたしはまだ気付いていなかった。全てが若さ故、のものだった。
     そして無駄に知識がある方が危険だという事にも気付かなかった。

    2005-05-04 08:30:00
  • 19:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「そう?そんな事ないよ」
     あたしは彼から視線を外して微笑んだ。言葉とは裏腹に、本当に自分でも変わったな、と思っていた。
     服装や全ての事に口出ししてくる彼氏と別れてから、あたしは自分のしたい様にしていた。そして何より驚いたのが、自分も結局一人の女だったという事。

    2005-05-04 08:34:00
  • 20:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     人と被るのが嫌、と口では言いながら結局似たような物を身に纏っている自分。
     会計を済ませ、エレベーターから降りる。談笑しながら駅へと向かう道で、あたしはなぜか苛々していた。今思えば、お酒が入っていたからだと思う。

    2005-05-04 10:00:00
  • 21:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     気が付けばあたしは主馬に抱きついていた。
    「ちょっ…?どないしたん?」
    驚いて逃げようとする主馬に、あたしは思いっきり背伸びしてキスした。
    「うわぁっ!!」
    主馬は叫んでしゃがみ込む。耳まで真っ赤になっている。

    2005-05-04 10:04:00
  • 22:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「なによ〜?そんなの馴れてるでしょ」
    あたしが笑いながら言うと、主馬がまだ赤い顔で立ち上がった。
    「あかんて…俺タイプの子に弱いんやから。」
    「あはっ!営業トーク?いらないよ。」

    2005-05-04 10:07:00
  • 23:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「そんなんちゃうし!」
     主馬がむすっとした顔で答える。今思えばこの時が一番幸せだったのかもしれない。
    「はいはい。」
    あたしは笑って主馬に手を振った。
    「一人で帰れるから〜」

    2005-05-04 10:09:00
  • 24:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     駅まで歩くのが怠いのでタクシーに乗って帰る事にした。乗り込んで行き先を告げると、あたしは煙草に火を点けて煙と一緒にため息を吐いた。
     タクシーのシートに深く身を埋めながら煙草を吸い続ける。
     唇が、まだ熱い。主馬のそれと触れ合った時の感覚がなかなか消えない。

    2005-05-04 10:18:00
  • 25:

    ?桜?

    発見?しおり??

    2005-05-04 10:22:00
  • 26:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    ?桜?さん、わぁお?お久しぶりです?しおりありがとぉ??

    2005-05-04 10:27:00
  • 27:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     携帯が鳴った。
    「もしもし?もう電車乗った?」
    「ううん」
    答えながら煙草を灰皿の中で揉み消す。
    「は?どこ?」
    「しんどいからタクシー乗ってる」
     あたしはもう一本新しい煙草を取り出して火を点けた。

    2005-05-04 10:35:00
  • 28:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    略部分。
    「しんどいからタクシー乗ってる。」
     あたしは新しい煙草を取り出して火を点けた。

    2005-05-04 10:36:00
  • 29:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「そっか!ならいいんやけど。心配やったからね。」
     独特のリズムで延ばすように喋る彼。そのリズムはひどくあたしを安心させる。
    「ありがと。今日襲っちゃってごめんね〜?」
     あたしは茶化すように、冗談っぽく言った。

    2005-05-04 10:42:00
  • 30:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「あははは!いやいや、嬉しかったよ」
    「えっ!?」
    「あっ!!なんでもない!また後でメールするわ!ばいばい!」
     プッ、ツーツーツー…

    2005-05-04 11:01:00
  • 31:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    《なんだそりゃ…》
     そんな気持ちとは裏腹に顔は自然とにやけてしまう。何故か心が暖かい。
    《あぁ、あたし主馬の事好きになりかけてるんだ。》
     妙に冷静にそう思えた。

    2005-05-04 11:04:00
  • 32:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     主馬にこの想いを伝えてもなかなか信用してもらえなかった。
    「はいはい、みんな同じように言うからね〜。ちょっと酔ったからそう思うだけやって。本間の俺を知らんやろ?」
     そう笑って一蹴された。「じゃあ、教えてよ?店行くからその時にでも話してくれたらいい。」

    2005-05-04 11:12:00
  • 33:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     若いってのは恐い事だと思う。
     この時、主馬24才。あたし、舞は17才。ミテコだった。
    「なんで俺みたいなんがいいん?付き合ったってしんどいだけやで?こんな仕事やからあんまり会われへんし、日曜だって疲れて寝てばっかりやし。」
     主馬はあたしに諦めさせようと色んな事を言ってきた。

    2005-05-04 14:59:00
  • 34:

    ぷー ◆3GeKd17wBo

    ァゲ?頑張って下さぃねッッ??

    2005-05-04 15:01:00
  • 35:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    ぷーさん、あげてくれてありがとう??

    2005-05-04 15:21:00
  • 36:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     ねぇ、主馬。じゃあどうしたらいい?あたしの中で日々膨らんでいくあなたへの想いを、あたしはどこに吐き出したらいい?
     あなたの事を考えるだけでこんなにも苦しいのに。その苦しみを主馬は自分の中に閉じ込めていろって言うの?そんなの無理だよ…

    2005-05-04 15:26:00
  • 37:

    名無しさん

    ιぉレ」?

    2005-05-04 15:38:00
  • 38:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    39さん、しおりありがとう?????

    2005-05-04 15:42:00
  • 39:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     仕事に関してはなんとも思わなかった。店でなくても【ウリ】はした事があったから。
     …ただたまに奇妙な感覚に苛まされた。疎外感、とでもいうのだろうか、普通の人と自分は違うというような、まるで機械にでもなってしまったかのような感覚。

    2005-05-04 17:41:00
  • 40:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     このままでいいと思う自分と、駄目だと叫ぶ自分。
     単調でつまらない生活。 なんの刺激もない生活。なのに何故こんなにもあたしは追い詰められた気持ちになるんだろう。

    2005-05-04 17:57:00
  • 41:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    実の親にもいらないと言われたあたし。
    友達なんてできても裏切ったり、いじめられたりしたあたし。
    せっかく彼氏ができても浮気されたり冷められたりするあたし。
    誰にも、必要とされないあたし――

    2005-05-04 18:01:00
  • 42:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     誰か。お願い。必要としてよ。
     他の誰でもない、あたしを必要としてよ。
     生きてる価値がどこにも見つからないよ。
     いらない子なの…?

    2005-05-04 18:03:00
  • 43:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs


    「あぁ、【鞠香ちゃん】…いいよ、すごく…あぁッ!」
     ドクッ…!!
    男のモノが脈打つようにしてあたしの口の中で果てた。

    2005-05-04 18:06:00
  • 44:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     生暖かいどろっとした液体があたしの口いっぱいにだされる。独特の生臭い、えづきそうになる精子の匂い。あたしはできるだけ顔をしかめないようにしながら、ソレをティッシュの中に吐き出して捨てた。
    「いやぁ、鞠香ちゃんは評判どおりだねー!すごく良いよ。また指名して来ちゃおうかな。」

    2005-05-04 18:10:00
  • 45:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「本当ですか!?すごく嬉しいっ!じゃあ今度会ったら鞠香、もっとサービスしちゃう!」
     にっこりと笑いながらお客をシャワー室に連れて行って簡単に体を流す。
     服を着ているお客の横で名刺の裏に、【今日は初めてなのに鞠香を選んで来てくれてありがとう☆また会いにきてね♪】と簡単にメッセージを書く。

    2005-05-04 18:25:00
  • 46:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     上機嫌のお客さんをカーテンの裏まで送って行ってお決まりの送りチュウをして、部屋に戻る。
     使用済みのタオルを片付けて、シーツの乱れを手早く直す。
     その日は本指名が3本、フリーが2本、後はパネル指名と雑誌指名が1本ずつ。まぁまぁの一日だった。

    2005-05-04 18:42:00
  • 47:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    「鞠香ちゃーん、お疲れ!今日はもう上がっていいよ!」
     店長が機嫌の良い声でコールをしてきた。
    「はい。お疲れ様です。」
    シーツや、生臭い匂いのするゴミを片付けて、ローションを補充してからシャワーを浴びる。

    2005-05-04 18:53:00
  • 48:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

    ザァァァァ…
     少し熱めのシャワーに身を打たれると、少しだけ疲れが取れた気がした。
     蛇口を廻してお湯を留めると、体を拭こうと新しいタオルを手に取った。
    「うっ…。」

    2005-05-04 19:01:00
  • 49:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     新しい綺麗なタオル。なのに、生臭い精液の匂いがした。思わず吐きそうになる。
    あたしは息を止めて手早く体を拭いた。化粧水を顔と体に塗ってため息を吐く。
     …体中からその匂いがする気がする。まるで染み付いているかのように。
     堪らなく厭になって香水をふりまいた。

    2005-05-05 00:21:00
  • 50:

    サクラ ◆sfmh9zaJHs

     甘ったるい香水をどれだけ振りまいても、あたしの肌に染み込んだこの匂いは消えない。
     財布の中にどれだけお金が入っていても満たされない。

    この気持ち、どうしたら埋まるんだろう…。

    2005-05-05 04:57:00
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