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小説:砂の城
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1:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
フィクションです。よかったら読んでみてください。
2005-05-03 21:23:00 -
201:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
略部分。
「舞…?」2005-05-10 16:32:00 -
202:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「みんなね、いらないって言うの。お前なんかいらないよって。でもね、今の仕事だとみんながいるって言ってくれるの。可愛いよって、鞠香じゃないと嫌って。」
主馬…?なんで、そんな辛そうな顔するの?なんであなたが泣くの?2005-05-10 16:40:00 -
203:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「でもね、嫌なの。本当はあんな汚い事したくないんだ…。でもそうじゃないと、あたしが生きてる価値なくなっちゃう…。ねぇ、主馬。お金でいいよ…お客でいいよ…あたしの事、必要として?いらないって言わないで?」
主馬が辛そうな顔をする。2005-05-10 19:09:00 -
204:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「あたしなんか…いらないってわかってるの。…死んだ方がいいのかな。生まれてこなきゃよかった。」
「舞…!」
主馬の腕が強くあたしを抱き締める。
「舞はいらない子なんかじゃない!!いらないのは、必要ないのは、死んだ方がいいんは俺の方や…」2005-05-10 22:37:00 -
205:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「主馬はいらない子じゃないよ…。代表にも店長にも後輩にだって好かれてるじゃない」「違う違う違う!」
主馬が激しく首を振りながら叫ぶ。
「みんなが必要としてるんは、ホストの俺や!本間の俺じゃない」 悲痛なまでの主馬の声。2005-05-10 22:41:00 -
206:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「舞だけや…。俺の事ちゃんと見てくれてるんは。こんなみっともない子供みたいな姿見せれるんは舞だけや」
主馬が困ったような照れたように笑った。
「一緒やな、舞と俺は…。舞、ずっと俺が傍におる。舞が俺の事嫌いにならん限り、ずっと一緒におるから」2005-05-10 22:46:00 -
207:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
主馬があたしの頬に手を伸ばす。その手があたしの涙を拭って、髪に触れる。
どちらともなく距離を縮めた。
何度も、何度もキスした。まるでお互いの存在を確かめ合うように。2005-05-10 22:50:00 -
208:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
主馬はあたしに鎖をかけた。「ずっと一緒」という言葉の鎖。それは幾重にも重なり、あたしを戒める。
「舞、今度どっか遊びに行こう?」
「舞、俺No.1を続けて3回なれたらホストあがるわ!」2005-05-10 22:59:00 -
209:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
そう彼が言う度にあたしは黙って頷いていた。微笑みながら、彼を信じきっているふりをして…。
悲しい…。嘘だとわかっているから。
2005-05-10 23:03:00 -
210:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
わかってる、どれもその場凌ぎの言葉だって事。でも認めたくない。
…もう少しの間だけ、騙されていてあげる。
まだこの居心地の良い檻の中から抜け出したくないの。2005-05-11 04:20:00 -
211:
?ゅりぇ?
しぉり?
2005-05-11 07:14:00 -
212:
?桜?
しおり?
2005-05-11 07:23:00 -
213:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
?ゅりぇ?さん、?桜?さん、しおりありがとです?
2005-05-11 18:47:00 -
214:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
少しずつ、あたしは彼に距離を置くようになった。その都度、彼はあたしを追い求める。
好きなんだと、愛していると、必要なんだと、繰り返し言う。
あたしも好きだと答える。あなたを愛していると。2005-05-11 18:49:00 -
215:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
彼は多分あたしを本気で好きなんだろう。今自分の周りにいる異性の中で、あたしは【特別】なのだ。
彼は使う金額の大きさを、自分への愛情の大きさに置き換える。あたしはそれに気付いた時、彼を可哀相な人だと思った。2005-05-11 18:52:00 -
216:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
エレベーターホールで自分の感情を曝け出してしまってから、彼とあたしの関係が微妙に、そうきっと誰も気付かないくらい少しだけ変わった。
「舞、探したよ。」2005-05-11 18:57:00 -
217:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
また逃げていたあたしを彼が、見つけた。
「おらんくならんといてよ…不安になるやん。」
主馬が、あたしにもたれながら呟く。
「ごめん…」
あたしは彼の汗と煙草の香りのする髪に顔を埋めた。2005-05-11 19:00:00 -
218:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「戻ろう…?」
無言であたしを抱き締める腕を、そっと振りほどきながら主馬の顔を覗き込む。
「舞…俺、疲れた。もし俺がホスト辞めても、傍におってくれる…?」
いつもの冗談交じりの口調ではなく、真剣な声。2005-05-11 19:03:00 -
219:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
《もちろん、ずっと傍にいるよ?》
そう、答えようとした。だけどあたしの口からは、ただ一言、「うん。」としか出なかった。
何かが変わっていく不安。それはあたしの望みどおりに変わっていこうとしている。なのに何故、不安になるのだろう。2005-05-11 19:06:00 -
220:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
主馬ともう習慣になっている週に一度の食事の帰り道、突然それはやって来た。
「舞、あのさ…ずっと言おうと思ってたんだけど。」 人気のない道を二人で並んで歩いていると、主馬が突然切り出した。
予感がした。ついにこの時が来たと。2005-05-11 19:10:00 -
221:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしを捕まえて、鎖で繋いでいるのは彼。
逃げられないように、離さないように。
そしてあたしもそれを望んでいる。なのに…2005-05-11 20:01:00 -
222:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「舞、付き合おうか。」
―――心臓が止まりそうになる―――
「えっ…」
2005-05-11 20:03:00 -
223:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
声が出ない。
変化はあたしが望んでいたものをくれた。そして望んでいない結末も…。
「いい。いらない…」2005-05-11 20:05:00 -
224:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしが喉の奥から手がでるほど欲しかったモノ。 主馬が手に入るならなんでもできると思った。
だけど、あたしが本当に望んでいたのは違うモノだと気付いた。2005-05-11 20:08:00 -
225:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしと彼は同じ色。同じ物。
だから一緒に居れば居るほど理解しあえて、同じになってしまう。
交ざり合い、きっと同化してしまう。そしてそれは知らない間に相手を傷つけてしまう…。2005-05-11 20:12:00 -
226:
?ゅりぇ?
?げときま??す??〃
2005-05-12 06:18:00 -
227:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
?ゅりぇ?さん、あげてくれてありがとう?
2005-05-12 07:38:00 -
228:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
――あたしじゃ、彼を支えてあげる事はできない。
あたしは、弱すぎる。
きっと甘えて、彼はそれを黙って受け入れてくれるだろう。だけどそれでは彼を苦しめてしまう。彼は我慢してくれる人だ。
あたしは彼を苦しめたいんじゃない。支えて、幸せにしてあげたいのに…あたしではダメだ。ストレスの原因になってしまう。。2005-05-12 18:55:00 -
229:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
だけどそれは、
ただの自己満足で、
あたしは、
あたしは…
2005-05-12 19:04:00 -
230:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
略部分
あたしは…2005-05-12 19:05:00 -
231:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
《感情がなくなればいいのに。彼の所有物になれたらいいのに。》
ずっと、そんな事を考えていた。だけどそれは、あたしの思い込みだった。2005-05-12 19:07:00 -
232:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
鎖をつけられて
拘束されて
戒められて
ずっと傍にいたいと
愛されていたいと
それが歪んだ物でも構わないと2005-05-12 19:09:00 -
233:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
略部分
それが歪んだ物でも構わないと2005-05-12 19:10:00 -
234:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
信じきっていた。
だけど本当は、彼があたしの気持ちに応えてくれなくてもよかった。応えてほしいと願いながら、だけど心の奥底では求めていなかった。2005-05-12 19:13:00 -
235:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
必要とされたかった。
こんなあたしでも価値があると言ってほしかった。
お金でもよかった。
いつもあたしは独りぼっちで、寂しくて寂しくて…2005-05-12 19:16:00 -
236:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
好きなのに。愛しているのに。
この世で一番幸せな事――それは誰かを愛し、その人もまた自分を愛してくれる事。2005-05-12 19:18:00 -
237:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
もし、あたしがもう少し大人で強かったら。
もし、あたしが普通の女の子だったら。
こうして、主馬が付き合おうって言ってくれたら素直に頷けただろう。2005-05-12 19:23:00 -
238:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
主馬の事が好きなのに…彼の全てを受けとめる事ができないほど弱くて…。
自己犠牲、自己満足に逃げようとした。
自分が狡いって事を認めたくないから、正当化して逃げようとした。2005-05-12 19:26:00 -
239:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
2005-05-12 19:28:00 -
240:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「舞…なんで?俺の事嫌いになった?」
主馬の悲しそうな声が頭上から降ってくる。
主馬、ごめんなさい…あたし、自分がここまで最低な人間だと思わなかった。2005-05-12 19:32:00 -
241:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「違う…好きなの。好きすぎてどうしたらいいかわからないくらい、好き。」
「じゃあ…」
「でもっ!だから駄目なの…あたしじゃ、駄目なんだよ。好きだから、駄目…」
うまく説明できなくて、もどかしかった。2005-05-12 19:36:00 -
242:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「…何それ。意味わからん!お互い好きやったらいいやんか!それでなんでなん!?」
主馬の、怒ったような、苦しいような声。
「ごめんなさい…」
それしか言えなかった。擦れた、情けないくらいに震える声で。2005-05-12 19:40:00 -
243:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
例え――例えあたしがこの矛盾した、自分でも理解しかねる感情をうまく説明できたとしても、
あなたはきっと笑い飛ばすだろう。
「そんな事ない」って。2005-05-12 19:43:00 -
244:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
アタシハ、自分ガ寂シイカラ、貴方ノ傍ニ居タ。
貴方ノ傍ハ心地良スギテ、同ジ様ニ傷ツイテ居ル、貴方ニ依存シテイタ。
猫ミタイニ、貴方ノ傍デ喉ヲ鳴ラシテ甘エテイタカッタ。2005-05-12 19:47:00 -
245:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
ダケドモウ終ワリニシマショウ?
2005-05-12 19:49:00 -
246:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
それが、主馬とあたしの最後。…あたしの横には今、優真がいる。
優真はただ静かにあたしの傍に居てくれた。
「舞ちゃん、舞ちゃんがその主馬って人を忘れられなくても、いいよ?俺は舞ちゃんがいつか俺の事を受け入れてくれるまで待つから。」2005-05-12 20:18:00 -
247:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
そう言って微笑んでくれた。
狡い…と頭の中でもう一人のあたしが罵る。確かに狡いかもしれない。あたしは主馬を傷つけておきながら、今は優真に甘えている。
そして優真の横にいながら、主馬の事を想う…2005-05-12 20:22:00 -
248:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
最低、と誰かに言われても仕方なかった。
ヘルスも辞め、優真との幸せな日々の中でふと考える時がある。
あれは本当に夢じゃなかったのかと。だけど、こうしてたまに鳴る携帯の着信履歴を見ると、それが現実であると再確認する。2005-05-12 20:25:00 -
249:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしはこの罪悪感を一生背負って生きていく。
ずっと変わらずに一緒にいると言った彼を裏切った事。
「ねぇ、優真…」2005-05-14 05:46:00 -
250:
削除削除されますた
あぼ~ん