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小説:砂の城
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1:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
フィクションです。よかったら読んでみてください。
2005-05-03 21:23:00 -
9:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
その静かな口調と声だけでは彼がどう思っているかわからない。あたしは彼に言おうとした。
「違うよ!なんともない。何もないから…」
でもそれは声にならなかった。言えない。言い淀んだという事で自分がまだ【あの人】を忘れられていないという事を再確認したから。2005-05-04 02:12:00 -
10:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「…行こっか!」
優真は何事もなかったかのように笑って手を差し出した。あたしはようやく笑って優真の手を握った。
何事もなかったかのように笑ってくれる優真。決して何も聞かない優真。優しい優しい優真。
その優しさがあたしには居心地が良く、ひどく痛いものだ。2005-05-04 02:24:00 -
11:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
風が吹く。仄かな暖かさを含んでいるのに、何故かあたしにはひどく冷たいものに感じる。
《優真…ごめんね》
あたしは心の中で小さく呟いた。
あたしは優真と肩を並べて歩きながらふと、【あの人】の事を思い出していた。2005-05-04 03:11:00 -
12:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
目を瞑るだけで彼の笑顔を、声を、手の温もりを、抱き締められた時に香った香水の匂いを容易に思い浮べる事ができる。
あたしが生まれて初めて愛した人。彼の為なら死ねると思った。2005-05-04 03:26:00 -
13:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
「おはよ〜今日は忙しかった?」
前髪をいじりながら店から出てくる彼、主馬《かずま》はNO.2ホスト。キャッチで知り合った。
「まぁまぁかな?」
そう答えながらドアを開けて店の中に入る。
「いらっしゃいませぃ!」2005-05-04 03:42:00 -
14:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしがこの店に初めて来たのは一ヵ月前。なんとなく、暇つぶしだった。
特にハマるわけでもなく飲んで帰った。
それから一ヵ月後、仕事帰りに飲み足りなくて顔を出したのがきっかけ。それから週に一回のペースで飲みに行くようになった。2005-05-04 03:45:00 -
15:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
焼酎を飲みながら話していると、主馬が微笑みながら無言であたしを見つめてくる。あたしはそれに気付かないふりをしてグラスの中身を空けた。
主馬が時々そうやってあたしを見るようになったのは一体いつからだろう。2005-05-04 03:49:00 -
16:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
あたしは主馬の視線から逃れるようにヘルプの男の子に空いたグラスを渡した。主馬はまだあたしを見ている。
「…なに?」
なんだか気まずくなってあたしは彼の方へ上半身を捻りながら聞いた。
「んー?…いや、なんか雰囲気変わったな〜と思って」2005-05-04 08:20:00 -
17:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
微笑みながら、まるで子供をあやすかのように優しい声で話す彼。その声と表情はひどくあたしの心を掻き乱す。
《これは好きになっちゃいけない人。リップサービス、お金を落としてもらう為の言葉。》
そう自分に言い聞かせながらも、堪らなく彼にひかれていく自分をあたしはとめる事ができない。2005-05-04 08:26:00 -
18:
サクラ ◆sfmh9zaJHs
水商売の事はわかってるつもりだった。でもそうして妙な自信を抱くほど愚かな事はないという事に、あたしはまだ気付いていなかった。全てが若さ故、のものだった。
そして無駄に知識がある方が危険だという事にも気付かなかった。2005-05-04 08:30:00