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ハナ
-
1:
名無しさん
ハナが、口の右端だけを上げて笑う。
何か企んでいる証拠。2006-11-27 03:04:00 -
151:
名無しさん
《はぁ…。》ため息をつきながら、横目でハナをにらむ。
顔の前で両手を合わせて、口パクで…え?何て?
『ごめんっ!ほんっまごめん!』
《誤って済むなら警察はいらん!》2006-12-26 23:58:00 -
152:
名無しさん
《やらかしてくれるやん》なんて思いながら、体の向きを真っすぐ前に動かした。同時に目に入る、下を向いて落ち込むハナ。と、味噌汁、野菜炒めと豚の生姜焼き。うまそうやんけ…−
…うん、あれは仕方なかった。うん、な?笑
「え〜よ、もう。あいつアホやし。」2006-12-27 00:05:00 -
153:
名無しさん
そういった瞬間、ハナの表情がパァッと明るくなって…
「『食べよか!』」
声も揃う。昨日と同じ、料理はむっちゃ上手かった。2006-12-27 00:08:00 -
154:
名無しさん
食べおわった後、さっきの電話の件もあり、二人別々に出勤することにして、俺が先に家を出た。
ちなみに、ハナはとりあえず当分はRAINで働くと言ってくれていた。
“玲花の代わり”…といっちゃあれやけど、まぁこれで、〔club RAIN〕。
とりあえずは安泰だろう。2006-12-27 00:13:00 -
155:
名無しさん
PM7:30
「タク使っていいで。ワンメーターやし。金払ったるから。九時やぞ、遅れんなよ。鍵、下駄箱の上置いとくから。んな、」
洗い物をしているハナを背中に、俺は急いで家を出た。仕事や…−!2006-12-27 00:17:00 -
156:
名無しさん
2006-12-27 00:18:00 -
157:
名無しさん
『お疲れさまで〜す』 「はいお疲れ〜今日はがんばったな!」
『お疲れ〜っす』 「おう、明日もよろしく」
AM4:00
ちょっと早めの、club RAIN。閉店。2006-12-27 00:22:00 -
158:
名無しさん
ヤバい。こりゃヤバい。
あ゛〜どおしよ!!
[玲花]。
死ぬほど認めたくないけどお前、やっぱすごいわ−…2006-12-27 00:25:00 -
159:
名無しさん
土晩やのに。昨日とは打って変わって客足はまばら。いつもなら来てくれる顔馴染みの客も、
『玲花辞めたんやろ?んな今日はいいわ〜…』
なんて、もう(T_T)2006-12-27 00:28:00 -
160:
名無しさん
久々に来た、余りにもしけた店の状態に、嬢達はいつもより営業をがんばってくれて、なんとか越えた売り上げ20万。おいおい。土晩やで−…。
そぉでなくても雪は積もって寒いのに。もぉ、身も心もボロボロやわ…2006-12-27 00:33:00 -
161:
名無しさん
『まぁまぁ…今日は寒かったし、仕方ないって!』
ため息が止まらない俺を、ボーイの啓太が励ましてくれる。ちなみに、例の電話の相手。俺とタメの19歳、ボーイ歴、一年とちょっと。俺の右腕。
もう一人いるボーイはのりちゃん。俺の後輩。18歳。ボーイ歴、半年。店全体の弟的存在。この日は先に送りに出てもらっていて、先に帰らせた。2006-12-27 00:41:00 -
162:
名無しさん
店に残ったのは俺と啓太とハナとリナ、2個1の奈々ちゃん美々ちゃん。
『准く〜ん!送りまだ?今日ミナミまで出してほしいねんけど。いける?』
「ホスト?あんま貢いでんちゃうぞ!」
『うるさいわ!しゃぁないやろ男前好きやねんから』2006-12-27 00:47:00 -
163:
名無しさん
『男前ならここにおるやんけ、二人も!』
俺とリナのその会話に、啓太が口を挟む。
『どこ?ま〜ったく見えへん!!』2006-12-27 00:49:00 -
164:
名無しさん
『おぉっとお!?このB専め!!』
『そうやで。啓太君めっちゃかっこいい〜!』
二人の会話をクスクス笑うのは美々ちゃん奈々ちゃん。
うちの店はいっつもこんな感じ。仲の良さだけで言ったら、どこにも負ける気せぇへん。2006-12-27 00:53:00 -
165:
名無しさん
『黙れっ!笑 んな、店長〜!このちんちくりん送ってそのまま帰るわ〜。』
「はいよ〜お疲れ〜!」
『『お疲れさまで〜す』』2006-12-27 00:55:00 -
166:
名無しさん
挨拶と、鈴が鳴るドアと一緒に啓太とリナは店を出ていった…
『あ、准ちゃ〜ん!ご飯出来たよ〜!!』
丁寧に、例の言葉を叫ぶためにもう一度ドアを開けて。2006-12-27 00:59:00 -
167:
名無しさん
『え〜ッ?!何何!?どういうこと?!』
食い付くリナと、顔を見合わせにやける美々奈々。同じくしてやったりの顔した啓太。
《いつか殺す…(・∀・)》2006-12-27 01:02:00 -
168:
名無しさん
「も〜うるさいうるさい!啓太、お前黙れ!笑」 誤魔化しながら、思わずハナをチラ見する。
案の定、口の右端だけ上げたあの顔で笑ってる。
《笑い事ちゃうぞ−…。》2006-12-27 01:06:00 -
169:
名無しさん
『『疲れ様でしたぁッ』』
毎日何回も聞くこの言葉を、今日最後に聞いて、2個1の美々ちゃん奈々ちゃんをいつものコンビニまで送り届けた。
あとは家に帰るだけ−。2006-12-27 01:10:00 -
170:
名無しさん
AM6:00−
『おもろいなぁ、RAIN…−。』
美々奈々に、笑顔で手を振りながら、ハナがつぶやいた。
なんていうか、すごい、悲しそうに。2006-12-27 01:15:00 -
171:
名無しさん
「まぁなぁ。…ちっこい店やからな。自然とみんな、仲良くもなるわな。」
車をUターンさせながら、俺はそう返事をした。
朝六時。冬の夜明けは遅く、他の車は見当たらなかった。夜明けはすぐそこだけど、なんとなく…
このまま朝なんて来なければいいのにと、思った。2006-12-27 01:20:00 -
172:
名無しさん
『家族みたい…。』2006-12-27 01:20:00 -
173:
名無しさん
静かな、静かな朝に、小さく、小さく。
ハナは確かにそう言ったけど、俺は…−
自分でもよくわからないまま、何故か。
聞こえない振りをした。2006-12-27 01:23:00 -
174:
名無しさん
雪は夜からやまず、街を白く染める。
来なければいいと思ったところで、日は登り
朝日は雪を溶かし、雪は朝日を反射させる。
キラキラ眩しい、真っ白な世界に、俺とハナ。2006-12-27 01:27:00 -
175:
名無しさん
二人だけが、
誰かに
取り残されたみたいで
切なかった。2006-12-27 01:30:00 -
176:
名無しさん
なぁハナ。
いつか、俺はお前に「黒猫みたい」って言ったけど
雪みたいでもあったよ。2006-12-27 01:33:00 -
177:
名無しさん
なぁハナ。
白と黒は正反対に見えて、実は一緒なんやな。
朝と夜みたいに 光と影みたいに
お前みたいに。2006-12-27 01:37:00 -
178:
名無しさん
2006-12-27 02:35:00 -
179:
名無しさん
『なぁ、本間に、大丈夫なん?うち、ここにおって』
家に帰った後、風呂から上がった時にはもう飯の用意が出来ていた。俺が今日先に仕事に出た後には作り始めてたのか、今日はブリ大根に炊き込みご飯、味噌汁。気付けば部屋も片付けてあって、二日前と比べれば信じられない空間の中に俺はいた。
相変わらずどれもご飯はめっちゃ上手くて、必死になって口にいっぱい頬張っている俺に、思い出したかのようにハナが言った。2006-12-27 02:44:00 -
180:
名無しさん
口に含まれた白飯を、味噌汁で流し込んでから、「なんで?」って答えた。
『だって…。今日、啓太君にばれてたやんか。』
「まぁ、そうやけど…。別に大丈夫ちゃう?まさかその女がハナやって分かってる訳ちゃうやろし。仮にそれもバレてたとしても、付き合ってないねんから。」2006-12-27 02:48:00 -
181:
名無しさん
少し冷たい言い方をしてしまったかなって、言った後に一瞬思ったけど
『それはそうやけどさ。准ちゃん店長やんか。バレたら示しつかへんくない?』
気にしてる様子もなく会話を続けるハナを見て、安心した。のと、ちょっとへこんだ。2006-12-27 02:52:00 -
182:
名無しさん
「あ〜。まぁな。でも別に、店内恋愛禁止してるわけちゃうし。啓太だって、リナと付き合ってるし。」
『えっ?!そうなん?!』
身を乗り出し、ハナは目をキラキラ輝かせて食い付いてきた。やっぱ、女はみんなこの手の話好きなんやなぁ〜…。
「せやで。まぁ、一応二人とも俺にしか言ってないみたいやけどな。《ミナミに送って》は、お泊りの合図や笑」2006-12-27 02:56:00 -
183:
名無しさん
『へぇ〜。そうなんや…。すごい…すごいなぁ!!』
《…んな、感動せんでも》
「そゆこと〜!はいっ、ご馳走様でした!」2006-12-27 02:58:00 -
184:
名無しさん
ハナがうれしそうに笑うから、なんとなく俺もうれしくなって元気良く手を合わせた。
『…准ちゃんは?彼女。』
そっと顔色を伺いながらそう聞くハナは、摘み食いしようとする猫みたいで、不覚にもまたドキッとした。2006-12-27 03:02:00 -
185:
名無しさん
「出来たらお前追い出すから、すぐ用意しろよ!笑」
『それちょっとヒドくない?!笑 死んでしまえ!』
その言葉に笑い合いながら、俺はテーブルから立ち上がり、食べ終わったお皿と茶わんを流しに持っていった。2006-12-27 03:06:00 -
186:
名無しさん
「准ちゃん!いいよ、あたしやるから!」
『おう、ありがとう。でもその《准ちゃん》っての辞めて。』
「なんで〜?かわいいやんか!」
《かわいないわ…−》2006-12-27 03:09:00 -
187:
名無しさん
「なんでもッ!」
そう言って俺はベットに勢い良く飛び込んだ。うつむせになって伸びする俺の背中を、両手で揺すって、ハナは相変わらず『なんでなんで?』ってしつこく聞いてくる。
「…ガキ扱いされてる気がするから。」2006-12-27 03:13:00 -
188:
名無しさん
『え?なんて?なんて?』
言った瞬間、いきなり恥ずかしくなって、俺は枕に顔をうずめたまま、ハナの言葉を無視してた。
《…二度と言うか!》2006-12-27 03:16:00 -
189:
名無しさん
ふと、ハナが黙った。諦めたのかとハナの方へ顔を向けた。
けど…ほらな、またそうやって笑うやろ?
『も〜!准ちゃん!か〜わ〜い〜い〜!!』
…逆効果。2006-12-27 03:19:00 -
190:
名無しさん
散々バカにした後、やっと飽きたのか、ハナはすっと立ち上がり、今度は手際良く片付けを始めた。
本間気分屋。
きまぐれ。
猫そのまま。2006-12-27 03:22:00 -
191:
名無しさん
結局、『頼むから辞めて』って言う俺のお願いに、ハナはしぶしぶ頷いて、「准」って呼び捨てで呼ばれることになった。
ハナと、准。
《うん。いい感じ、いい感じ…−。》2006-12-27 03:24:00 -
192:
名無しさん
AM8:30
片付けが終わったのか、彼女はリビングに戻ってくると、電気を消して、机の上に置いてあった俺のセッタに手を伸ばした。カーテンから差し込む、すっかり明るくなった外の光に、セッタから立ち上る煙が照らされる。2006-12-27 03:29:00 -
193:
名無しさん
俺等は。
太陽が上る頃眠りに着く。太陽が沈んだ頃目を覚まし
月が輝く夜に、生きてくため働く。
こんな街じゃ星は見えないけど、星の代わりにネオンが輝き、おれ等を照らす。2006-12-27 03:33:00 -
194:
名無しさん
なぁ、ハナ。
お前の、背中にある闇は、俺を一緒には連れてってくれなかった。
追い掛けて、お前をまた抱き締めたかったのに2006-12-27 03:36:00 -
195:
名無しさん
2006-12-27 03:48:00 -
196:
名無しさん
「おいで。」
ハナがタバコを吸いおわるのを待ってから、俺はベットの片端に寄ると、右腕は伸ばしたまま、左手で、ベットの開いた方をポンポンと叩いてそう言った。2006-12-27 04:20:00 -
197:
名無しさん
それを見て、彼女は少し照れたように笑って、タバコを灰皿にもみ消した。
《あ、今の顔、むーっちゃ好きかも。》2006-12-27 04:21:00 -
198:
名無しさん
ハナは真っすぐ俺を見つめた後、もぞもぞとベットに潜り込むと、そのままうつむせに寝転がった。
てっきり腕枕を受け入れてもらえるとばかり思ってた俺は、引っ込みが着かない右腕をどうしようかと、必死で考えていた。2006-12-27 04:22:00 -
199:
名無しさん
カーテンから除く朝日だけが、俺等を照らす。
「明日、店休みやしな。やっとゆっくり寝れるわ〜!」
そんなどうでもいいことをつぶやきながら、さり気なく伸びをして右腕を抜いた。そのまま起き上がって、俺もセッタに手を伸ばす。2006-12-27 04:22:00 -
200:
名無しさん
自然に、自然に−…。そればっか、必死に考えてた。
2006-12-27 04:23:00