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ハナ

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  • 1:

    名無しさん

    ハナが、口の右端だけを上げて笑う。



    何か企んでいる証拠。

    2006-11-27 03:04:00
  • 201:

    名無しさん

    −カチッ

    音と一緒に、ライターに火が点く。ジュッと、タバコに火が移る。
    部屋中に、その音だけがやけに響く。

    2006-12-27 04:24:00
  • 202:

    名無しさん





    2006-12-27 04:24:00
  • 203:

    名無しさん


    「ハナ?」

    2006-12-27 04:25:00
  • 204:

    名無しさん

    沈黙が重くて、俺は思わず彼女の名前を呼んだ。
    『ん?』
    やさしい、やさしい返事と一緒に、ハナはこっちを向いた。

    「なんで源氏名、《ハナ》にしたん?」

    2006-12-27 04:25:00
  • 205:

    名無しさん

    別に、そんなに気になってたわけでも何でもなかったんだけど、そんなことしか、頭に思い浮かばなかった。

    彼女は俺から顔を背けて、また真っすぐ前を向いてから、言った。

    2006-12-27 04:26:00
  • 206:

    名無しさん

    『大好きやった人の、大切な人の名前。』

    黒と白が基調の、飾り気のない俺の部屋に、その一言がポツリと浮かんで…−

    消えた。

    2006-12-27 04:27:00
  • 207:

    名無しさん

    何て返せばいいのかわかんなくて、黙りこくることしか出来なかった。

    ただ、ハナが、
    すごく、ひどく、
    愛しくなった。

    2006-12-27 04:28:00
  • 208:

    名無しさん


    だから、抱き締めた。
    壊れないように、そっと。

    2006-12-27 04:28:00
  • 209:

    名無しさん

    なぁハナ。        
    あの頃も、今でも
    俺は、お前のことを何も知らない。

    聞かなかったんじゃない。聞けなかった。

    2006-12-27 04:29:00
  • 210:

    名無しさん

    主さん、もう一度好きだと言って。の、紅音さんだったんですね??
    頑張ってねえ??

    2006-12-27 07:41:00
  • 211:

    名無しさん

    この小説めちゃ好きです?がんばってください?

    2007-01-01 06:12:00
  • 212:

    名無しさん

    ありがとうございます??年末年始と忙しく、更新遅れてしまい申し訳ありませんでした?
    これから更新します?

    2007-01-05 00:21:00
  • 213:

    名無しさん





    2007-01-05 00:21:00
  • 214:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    ハナは、そのまま俺の首に手を回し、昨日と同じように俺の髪の毛をやさしく撫でた。

    『准ちゃん…』

    彼女はまた、俺の名前を‘ちゃん’付けで呼んだけど、抱き締め、抱き締められながら、やっぱりそれも、悪くないかなって思った。

    2007-01-05 00:23:00
  • 215:

    名無しさん


    当たり前やけど、ハナの胸は昨日と変わらずやっぱりちっこくて、やっぱりあったかくって−…だけどなんでか、切なくなった。

    2007-01-05 00:24:00
  • 216:

    名無しさん

    PM7:00

    悪い夢を見て、ベットから飛び起きた。俺の腕の中には、もうハナはいなかった。なんとなく嫌な予感がする。耳を澄ましてみたけど、ハナが家にいる様子はない。

    2007-01-05 00:25:00
  • 217:

    名無しさん

    悪い夢−…
    雪が振る中、ハナが
    手のひらに舞い落ちて溶ける雪のように

    消えてしまう夢。

    2007-01-05 00:26:00
  • 218:

    名無しさん

    俺はハナが好きだ。

    初めて目が合ったあの瞬間に、俺は恋に落ちた。生まれて初めて、自分からこんなに人を好きになれた気がする。だけど、うまく言えないけど、それだけだった。ただ、好きで。だけどそれだけ。

    好きだからどうするとか、どうしたいだとか、‘突き動かされるような’そんな衝動は無いに等しかった。

    2007-01-05 00:27:00
  • 219:

    名無しさん

    ただ、俺の側にいてくれるだけで、
    あの癖のある笑顔を−…
    見ているだけで、

    俺は十分だった。

    2007-01-05 00:28:00
  • 220:

    名無しさん

    なぁハナ。

    だから、お前がもってる影なんて、俺には関係なかったよ。
    全部受けとめてやる。
    それごと、全部抱き締めてやるから。

    2007-01-05 00:29:00
  • 221:

    名無しさん

    だから−…

    また、笑って。

    2007-01-05 00:30:00
  • 222:

    名無しさん




    『ただい…えっ?准、どっか行くん?!』      
    数分後、俺の変な不安や心配をよそに、ハナはごく普通に帰ってきた。探す宛てもないくせに、スウェットにコートだけ羽織って、ハナを探しに出かけようと靴を履いた、丁度その時だった。

    2007-01-05 00:32:00
  • 223:

    名無しさん

    『外めっちゃ寒いで?風邪引くで?もっとあったかい格好して行きや?』

    《…お前が言うな。》

    まくしたてるようにそう言うハナの両手には、スーパーの袋。大量の野菜や肉が入っていた。

    2007-01-05 00:33:00
  • 224:

    名無しさん

    「いや、タバコ買いにいくだけやし。行ってくるわ」 
    それだけ言い残し、俺はそのまま家を出た。

    ハナの言ってた通り、外はめっちゃ寒くて、ポケットの奥の奥の方まで、深く両手を突っ込んだ。吐く息は真っ白で、雪で白く染まった街に綺麗に溶け込む。

    2007-01-05 00:34:00
  • 225:

    名無しさん

    「なんでこんなテンパってるんやろ、俺。かっこわる…。」

    独り言は、透き通った冬の夜にポツリと浮かんだ。
    肩の力が抜けて、そのまま道の真ん中に座り込む。

    2007-01-05 00:35:00
  • 226:

    名無しさん

    《でも、よかった−…》


    ため息を付きながら、心からそう思った。

    2007-01-05 00:36:00
  • 227:

    名無しさん

    休みの日に限って、時間はあっという間に過ぎていく。いや‘休みやから’か。 
    PM9:00ー

    『ご飯出来たで!そっち運ぶん手伝って〜!』
    その声を合図に、キッチンへ迎う。どこにも行かず、何もしてないせいで、食欲なんてそんなに無いハズなのに、グツグツと煮えるシチューを前にすると、お腹はしっかりと鳴っていた。

    2007-01-05 00:37:00
  • 228:

    名無しさん

    相変わらずの旨そうな料理たちをリビングへ運びながら、今日こそ少しでも話を聞こうと心に決めていた。 

    −…逃げてばっかりじゃなくて。

    2007-01-05 00:39:00
  • 229:

    名無しさん

    「あっという間に今年も終わりそうやな〜」
    『…まだ10月やけど?』
    「いや、“もう”やろ!年末か〜…。RAINも忙しなるわ。」
    『…せやな。』

    2007-01-05 00:40:00
  • 230:

    名無しさん

    ハナはテレビのバラエティに夢中で、一切こっちを向かずに短く返事をする。

    「年末はな〜、どこも忙しいやろけどなぁ」
    『そらそやわ。』
    「あっ、でも新地とか、…CRUWとか。年末ちゃうくてもいつもいっぱいだったんちゃん?」

    2007-01-05 00:41:00
  • 231:

    名無しさん

    『…別に、そんなこともないけど。』

    《CRUW》。その名前に、ハナは初めて俺にチラッと目線を向けた。

    《…どうしよ。》

    2007-01-05 00:41:00
  • 232:

    名無しさん

    「やっぱ新地でもあんな大きい店やったら客引きとかいらんねやろな〜。羨ましいな〜…」

    『…何やねん、何が言いたいねん?』

    2007-01-05 00:42:00
  • 233:

    名無しさん

    自分でも、わざとらしい言い方やなって思いながら言ってたから、ハナのこの反応は正しかったと思う。

    …ただちょっと、いつもより声が低すぎるんちゃうか、とは思ったけど。

    2007-01-05 00:43:00
  • 234:

    名無しさん

    「いやっ!あんな、ハナ。聞きたいことあるねん。」 
    箸を置いて座り直し、体をハナの方へ向けた。自然とそうしてた。

    「なんで、CRUW辞めて、こんなローカルの小さい店に体験来たん?帰るところがないんは、なんで?」

    2007-01-05 00:44:00
  • 235:

    名無しさん

    テレビから、芸人の大げさなリアクションに笑う、観客のおおげさな笑い声が流れる。なんとも場違いなそれをBGMに、ハナは意外にもすぐに口を開いた。


    『あたしは元々、咲く…、CRUWの、今の店長にスカウトされて、夜の世界に入ってん。』−…

    2007-01-05 00:45:00
  • 236:

    名無しさん

    ハナが辞めなかった理由。 
    −…それは、スカウトしてくれた今の店長“咲くん”(当時はボーイだったそうやけど)を、好きになったからやった。


    『むっちゃ好きやってん。むーっちゃ。』

    2007-01-05 00:48:00
  • 237:

    名無しさん

    ハナは、いつものあの顔で、笑いながらそう言ったけど、なんだかそれは、ひどく悲しそうに見えた。
    同時に、俺の胸もグッと、締め付けられたようで、苦しかった。


    『だから、頑張ってん。咲くんが、応援してくれたから、頑張れてん。それ以外、何も考えてなかった。』

    2007-01-05 00:48:00
  • 238:

    名無しさん

    だけど、あんな大きなクラブで、店内恋愛なんて論外やったし、ましてや出世して店長になった‘咲君’と両想いになることなんて、−ない。


    『だから、逃げてん。なんかもう、色々しんどくなって。』

    2007-01-05 00:50:00
  • 239:

    名無しさん



    笑えてない笑顔をもう一度見せた後、彼女は顔を伏せた。

    2007-01-05 00:51:00
  • 240:

    名無しさん

    ハナは、‘ココ’がNO1にまで伸し上がったことを、俺が知っていることを知らない。

    『多分、向いてたんやと思う。夜の世界。』

    彼女は一言そう言っただけで、彼女の口から直接その言葉出ることは、最後まで無かった。

    2007-01-05 00:53:00
  • 241:

    名無しさん

    『あたしの実家、RAINの近くやで。昔勘当みたいなんされて、帰られへんかっただけで。』

    「やんちゃし過ぎて?」

    『いや…?笑』

    2007-01-05 00:53:00
  • 242:

    名無しさん

    そういって、今度は、ちゃんと笑った。右の口端だけ上げて…


    《あ、そうなんや笑》

    2007-01-05 00:54:00
  • 243:

    名無しさん


    『雨…降っててんやんか。親に勘当された日も、咲君に声かけられた日も。
    やからかな、あの店に、目に止まったの。

     −…運命感じてん!』

    2007-01-05 00:56:00
  • 244:

    名無しさん

    最後の語尾にだけ力を入れて、ハナは続けてあの顔で笑う。


    《運命…、ね。》

    2007-01-05 00:58:00
  • 245:

    名無しさん

    なぁハナ。

    お前はいつも、俺を真っすぐ見つめながら、その後ろに誰を思い描いてた?

    なんて、聞かなくてもわかるねんけど。

    2007-01-05 00:59:00
  • 246:

    名無しさん

    でもな、俺とハナが出会ったあの日も、雨は降ってたで。
    ただ、寒空が雨粒を雪の結晶に変えただけで−…


    なぁハナ、これは?運命?

    2007-01-05 01:01:00
  • 247:

    名無しさん





    2007-01-05 01:01:00
  • 248:

    名無しさん

    あげ?

    2007-01-05 13:47:00
  • 249:

    名無しさん

    読んでます?

    2007-01-09 01:39:00
  • 250:

    名無しさん

    かいてほしいです?

    2007-01-11 16:23:00
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