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ハナ

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  • 1:

    名無しさん

    ハナが、口の右端だけを上げて笑う。



    何か企んでいる証拠。

    2006-11-27 03:04:00
  • 401:

    名無しさん

    店中に広がる、重たい空気はますます重たくなるばかりで。その暗い雰囲気に、誰も口を開けなかった。
    このままじゃ、確実に潰れるclub RAIN。

    しばらく続いたその沈黙を、破ったのはハナだった。

    2007-01-22 03:28:00
  • 402:

    名無しさん

    『なぁ店長!今日はもう店閉めて、みんなで飲みにいこか!』



    「はぁっ…?!」

    2007-01-22 03:29:00
  • 403:

    名無しさん

    唇の、右端だけを上げて笑った。
    今、確かに見た。ハナのあの、癖のある笑顔。


    《何企んでる?》

    2007-01-22 03:29:00
  • 404:

    名無しさん

    想像すら出来なかったその言葉に、みんなが顔をハナに向けた。


    『啓太くんとりなさんの馴れ初めも聞きたいし!ねっ!』

    2007-01-22 03:30:00
  • 405:

    名無しさん

    なぁハナ         

    助けてもらったのは
    俺の方。

    2007-01-22 03:31:00
  • 406:

    名無しさん

    ハナ?          
    だから…−

    俺が重ねた物語は
    悲恋なんかじゃないで

    2007-01-22 03:32:00
  • 407:

    名無しさん





    2007-01-22 03:32:00
  • 408:

    名無しさん

    『やからなぁ〜、啓太は!信用出来ひんねん!でも好きやねんも〜…!!』   
    もしかしたらこいつは、明日意識が戻った瞬間、恥ずかしさで死ぬかもしれない。
    そんなことを考えながら、酔っ払いリナの発言に俺は笑い、ハナもにやにや。みんなも笑う。啓太だけがあきれ顔やった。      
     
    《この光景、死ぬほど玲花に見せたりたいわぁ…−》

    2007-01-22 03:34:00
  • 409:

    名無しさん

    笑い転げてはしゃぐ俺等は、たった2時間前の俺等とは、別人みたいやった。
    ハナのあの言葉に、重たい空気はあっという間に軽くなり、俺の中でも何かがはじけた。

    「よし、行こか!笑」   
    みんな口々に何か言いながら、それでも嬢達はドレスを脱ぎ、ボーイは車を回しに外へ出る。

    2007-01-22 03:36:00
  • 410:

    名無しさん

    レギュラー嬢五人、ボーイ二人、そして俺とハナ。
    みんな揃って、向かうは店から大分離れた小さな居酒屋。仕事とは違う酒は、いつもより一段とうまかった。

    それぞれ誰に煽られる訳でもなく、だけど大量に酒を飲んだ。酔っていても客席に着きさえすればしっかりするリナですらも、今はもうこの状態。眠そうにうつむせになり、机に顔を付けていた。

    2007-01-22 03:36:00
  • 411:

    名無しさん

    『準君…あたし、がんばるわぁ。RAIN、潰したくない。玲花なんかに

       …負けたくない。』 

    呟くようにそう言ったのが、確かに聞こえた。啓太も少し驚いたようにリナを見下ろし、だけどすぐにやさしい顔でほほ笑むと、彼女の頭をポンポンと撫でた。

    2007-01-22 03:37:00
  • 412:

    名無しさん

    『よっしゃぁ!負けるかこらぁ〜!』
    ろれつの回ってない舌で、のりちゃんがグラスを上げた。           
    美々と奈々はコクコク首を縦に何度も振る。なんかのおもちゃみたいで可愛かった。

    他の嬢達も、今まで見たことなかったいい笑顔。

    2007-01-22 03:39:00
  • 413:

    名無しさん

    『協力したるわ!しゃぁなしやで!笑』
    自信満々の顔を見せて、ハナはそう言った。


    《何様やねん笑》

    2007-01-22 03:39:00
  • 414:

    名無しさん

    「よっしゃ!はい上がんでRAIN!かんぱ〜い!」 
    グラス同士が勢い良く音を立てて、中に入った酒が揺れる。こぼれた水滴は照明にキラキラ反射して、白く眩しく綺麗だった。

    別に、力を合わせてとか、友情だとか、そんなん言うつもりもないけど。
    俺はここにいれて良かったと思った。それだけ。

    2007-01-22 03:40:00
  • 415:

    名無しさん

    《噂やで?なんでそんな噂信じるん?信じられへんわ…−》リナ。

    《そう思うんやったら、伝票でも何でも見せるよ?》美々。

    《あたしはただ、大切なお客さんやって、そう思いながら接客してるつもりでした》奈々。

    2007-01-22 03:41:00
  • 416:

    名無しさん

    一度失った信用を取り戻すのは簡単なことじゃない。だけど取り戻すしか道はない。

    《いろんな噂が出回ってますが、信じてください。それしか言えません。》

    俺はそれだけ伝えた。

    2007-01-22 03:42:00
  • 417:

    名無しさん





    2007-01-22 03:43:00
  • 418:

    名無しさん

    なぁハナ         
    お前とあの笑顔を、忘れられるわけない。      
    待ってるから。       
    俺はここでずっと
    待ってるから。

    2007-01-22 03:44:00
  • 419:

    名無しさん


    いつでも
    帰ってきてええよ

    2007-01-22 03:46:00
  • 420:

    名無しさん





    2007-01-22 03:46:00
  • 421:

    名無しさん





    2007-01-22 03:47:00
  • 422:

    名無しさん


    Return
    SIDE ハナ

    2007-01-22 03:52:00
  • 423:

    名無しさん





    2007-01-22 03:53:00
  • 424:

    名無しさん

    なぁ准ちゃん

    あの場所に帰りたい。

    今更、虫がよすぎるかもしれへんけど

    2007-01-22 03:53:00
  • 425:

    名無しさん

    ごめん、准ちゃん。

    それでも、あたしはあんたに会いたい。

    2007-01-22 03:54:00
  • 426:

    名無しさん

    詳しい事情を、少しだけリナさんに聞いた。あたしがRAINに来たその日にいなくなった、元 NO.1…−‘玲花ちゃん’

    会ったこともないその子に対して、あたしは別に何の感情も湧かない。だけど、RAINを、准ちゃんの店を、潰したくない。それだけははっきりと思った。

    『飲みに行こか!』あの日、あの言葉は気付けば口から自然と出ていた。言った直後には、さすがに少しの後悔もあったけど、今更引き下がれるわけもなく、そのまま強引な理由を付け足した。

    2007-01-22 03:56:00
  • 427:

    名無しさん

    だって准が、なんだか今にも泣きそうな顔をしていたから。あの日、あの瞬間。あたしを動かしたのはきっと、自分の中に生まれて初めて出来た、たった一つの感情だったと思う。



    《守ってあげたい。》

    2007-01-22 03:57:00
  • 428:

    名無しさん

    あたしは彼を好きなんだろうか。ううん、多分違う。 
    笑っててほしい。
    幸せでいてほしい。
    それだけだ。       
    例えばそこに、あたしはいなくても…−。

    2007-01-22 03:58:00
  • 429:

    名無しさん

    あの飲み会から一週間。准やリナさんを始めとするみんなの努力の甲斐あって、RAINは少しずつ、だけど着実にお客さんを取り戻していた。それでも、前ほどの売り上げには到底及ばないらしく、准は毎日のように、あれやこれやと忙しく走り回っていた。


    最近では、あたしがご飯を作っても食べたり食べなかったりで、心配になる。
    そしてあたしは、口いっぱいに頬張りながら、おいしそうに食べる准のあの顔が、大好きだった。だからそれを見れないのも、ちょっと淋しかったりした。

    2007-01-22 04:00:00
  • 430:

    名無しさん

    〜〜♪

    なんて、そんなことを考えていると携帯が鳴った。画面を開き、慣れない手つきでボタンを押して、新着メールを開いた。

    〔遅くなりそうやから、先に寝てていいで。〕

    2007-01-22 04:01:00
  • 431:

    名無しさん

    なぜ出たのか分からないため息を一つ着いてから、お風呂に入ろうとバスルームに向かった。少し熱めに設定してから、蛇口から出る水の温度を指先で確かめる。

    〔ごはんは?〕

    タオルでその濡れた指先を拭いた後、そう一言だけ返信した。その後、光沢のあるシンプルな黒色のそれを、ポンとベットの上に軽く投げ置いた。

    2007-01-22 04:02:00
  • 432:

    名無しさん



    …−『えっ?!お前携帯持ってないん?!』

    准は、ひどく驚いてあたしにそう聞き返した。黙ってうなずくあたしに、彼は何かを言い掛けたけど、すぐに辞めた。

    2007-01-22 04:03:00
  • 433:

    名無しさん


    彼のこういう所が、一番嫌いだった。
    だけど、一番助けられている所でもあった。

    2007-01-22 04:04:00
  • 434:

    名無しさん

    そして、次の日、『こっちやって!お前は絶対この色!』そう言って、あたしにこの携帯を買ってくれたのだ。

    機械音痴なあたしは、今まで着信音を変えたことがなく、いつも初期設定のままだった。だけど准は、それじゃ携帯の意味がないとかわけのわからんことを言い出して、勝手に変えた。  

    《電話とメール以外に何の意味が携帯にあんねん。》

    2007-01-22 04:05:00
  • 435:

    名無しさん

    〜〜♪
    また、携帯が鳴った。

    准が設定した着信音は、題名は知らないけれど冬のバラードで、とりあえず、幸せな歌ではなさそうだった。そういえば、准本人の携帯の着信音も、切なそうな失恋歌だったっけ。

    2007-01-22 04:07:00
  • 436:

    名無しさん

    返信の内容は見なくても分かる。
    〔今日は飯いいわぁ〜〕


    《今日は、じゃなくて今日も、やろがボケ!》

    2007-01-22 04:07:00
  • 437:

    名無しさん

    なんて、彼女でも何でもない、勝手に住み着いてるだけのあたしに、そんなこと言える権利なんてない。だけど、作った料理をこうしてバレないように捨てるのは、やっぱり悲しい。

    〔了解〜♪〕

    送信したと同時に、お風呂が調度良いタイミングで沸き、着替えを片手に、バスルームへ向かった。

    2007-01-22 04:09:00
  • 438:

    名無しさん

    《…汚い体。》

    お風呂は、あんまり好きじゃない。見たくないものを、どうしても見てしまうから。

    細いだけで、胸もお尻も小さい、貧相なこの体系は、あの人には似ても似つかない。だけど、お腹と胸下にある大きな切傷も、背中にいくつもある小さな火傷跡も、全部。あの人にもらった。

    2007-01-22 04:09:00
  • 439:

    名無しさん

    だから、どうしても…−。思い出さずにはいられないのだ、あの闇を。


    【…ママ?】

    2007-01-22 04:10:00
  • 440:

    名無しさん

    あたしは知っている。   
    どれだけ追い掛けても、受け入れられない愛を。
    どれだけ傷つけられても、追い掛けずにはいられない愛を。
    どれだけ受け入れて貰えても、傷つけられる愛を。  
    それは、永遠に終わらない堂堂巡り。黒い黒い闇。

    2007-01-22 04:12:00
  • 441:

    名無しさん





    2007-01-22 04:12:00
  • 442:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん。      
    この体に、たくさんのキスをありがとう。
    腕に、背中に、胸に、お腹に。頬に、唇に。

    暖かいキスをありがとう。

    2007-01-22 04:13:00
  • 443:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん

    もしもあたしが雪だったなら、溶けて消えてしまえたのにね。

    准ちゃんの、暖かいキスで、いなくなれたのにね。

    2007-01-22 04:14:00
  • 444:

    名無しさん

    准ちゃん。        
    あたしは今、口癖みたいに貴方の名前を呼んでるよ。 
    准ちゃん准ちゃん。    
    もうあたしには
    雪は降らない。

    2007-01-22 04:15:00
  • 445:

    名無しさん





    2007-01-22 04:22:00
  • 446:

    名無しさん

    ぉもろぃ!頑張って下さい!!

    2007-01-22 10:51:00
  • 447:

    名無しさん

    ??
    めちャおもろぃ

    2007-01-22 13:17:00
  • 448:

    名無しさん

    おもろぃ??続き待ってます

    2007-01-22 15:40:00
  • 449:

    更新お疲れさまです。この話、1番好きです?また続き楽しみにしてます。

    2007-01-22 18:57:00
  • 450:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    ありがとうございます?本間に励まされます?更新します??



    2007-01-22 22:20:00
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