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ハナ

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  • 1:

    名無しさん

    ハナが、口の右端だけを上げて笑う。



    何か企んでいる証拠。

    2006-11-27 03:04:00
  • 500:

    名無しさん

    『おうココ!これから向かうわ!』
    「了解〜。でも関ちゃん。ココって言うの禁止やで?わかってる?」
    『おう、せやった、せやった♪ごめんやで』
    「もう!頼むで本間!」  
    それから、RAINの場所を詳しく教えて、手短に電話を切った。

    2007-01-23 06:32:00
  • 501:

    名無しさん

    今日もRAINは、相変わらずの不調。
    今の時点で、客は2組。
    1番テーブルに3名様。新規。

    3番テーブルに2名様。リナとハナ指名客。

    2007-01-23 06:32:00
  • 502:

    名無しさん

    昨日くらいから来ている、体験の子2人を含めて、今日の嬢数は全部で8人。内、席に着いてるのが5人。 

    《多分、いや、確実に足りない。》

    1番テーブルの新規客はさっき入ったばかりで、盛り上がっている様子…となると。

    2007-01-23 06:33:00
  • 503:

    名無しさん

    携帯を閉じ、唇にグロスを塗った。下品に見えない程度に、薄く。

    「お待たせしました♪」またまた、にっこり笑って、席に戻った。様子を見てから、何度かカクテルのおかわりを繰り返した。何のことはない会話を続ける。あと、15分ってとこか…−。

    2007-01-23 06:34:00
  • 504:

    名無しさん

    『失礼します!そろそろお時間の方なんですが、ご延長の方どうされますか?』 
    聞きに来たのは、啓太君。現在の値段と、延長後の値段を書いた紙を客に差し出す。紙を手に取りながら、どうしようかと考えている客に、わざと接近して耳元でささやく。       
    「明日もお仕事ですよね?無理だけはせんとってください。武田さんはいつもやさしいから、私の為に無理してないか、いつも心配になるんです。」
    彼は少し驚いた顔であたしの顔を見つめた後、うれしそうに笑うと、『わかったよ』とだけ言った。    
    そのままチェック。

    2007-01-23 06:35:00
  • 505:

    名無しさん

    「ご馳走様でした。ありがとうございました。」   
    コートはエレベーターが上がって来るまで着せないで持っておく。扉が開いてから、ゆっくりとコートを着せる。たった数秒のこと。だけどその数秒は、彼らにとって“特別”だったりする。           
    『さっき、耳元で何て言ったん?』
    エレベーターが1階まで降りたのを確認してから、リナさんがあたしにそう聞いた。
    「えっ…?別にそんな特別なことじゃないですよ?」『でも、引っ張ろうと思えば引っ張れたやん。そうやろ?』

    2007-01-23 06:38:00
  • 506:

    名無しさん

    …−お客さんが来るから。なんて、言えない。まだ。 
    笑って、
    「でも、無理やったみたいです。すみません。」−…そう言った。
    『あぁそう。』      
    リナさんが、必死にがんばっていることぐらいわかっている。だから別に、あたしは…−

    2007-01-23 06:40:00
  • 507:

    名無しさん


    冷たくそう言い残し、彼女は颯爽と店へと戻った。


    今は、嫌われても、いいんだ。

    2007-01-23 06:41:00
  • 508:

    名無しさん


    リナさんの背中を追って、店に戻ろうと扉に手を掛けたのと同時に、携帯がまた鳴った。
    店には入らず、廊下の片隅に移動して通話ボタンを押した。

    2007-01-23 06:42:00
  • 509:

    名無しさん

    『もう着くわ!』
    「わかった。そのまま、黒服が二人立ってるハズやから、キャッチされて。」
    『おぅ。しかし、面倒やなぁ。』
    「えぇから!笑 ちなみに、何人?」

    2007-01-23 06:43:00
  • 510:

    名無しさん



    …−ビンゴ!

    《5名様、ご来店です。》

    2007-01-23 06:43:00
  • 511:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん。      
    失ってからじゃないと気付けないことは
    この世界に腐るほどあって 
    だけど、後悔しないのは
    それだけの価値があるから

    2007-01-23 06:53:00
  • 512:

    名無しさん

    准ちゃん。        
    准ちゃんの腕の温もりや
    くしゃってなる、咲君と似たその笑顔や
    やさしくて暖かいキスを              
    あたしは、一生忘れない。

    2007-01-23 06:54:00
  • 513:

    名無しさん

    ねぇ、准ちゃん。     
    だけど
    あたしは別に、健気に頑張る女の子なんかじゃない

    だから、あたしのことは

    2007-01-23 06:55:00
  • 514:

    名無しさん



    忘れていいよ。

    2007-01-23 06:56:00
  • 515:

    名無しさん





    2007-01-23 07:01:00
  • 516:

    名無しさん

    切にゃぃ??
    頑張ってくださぃ?

    2007-01-23 08:03:00
  • 517:

    名無しさん





    2007-01-23 08:08:00
  • 518:

    名無しさん


    2nd Return
    SIDE 准

    2007-01-23 08:09:00
  • 519:

    名無しさん





    2007-01-23 08:09:00
  • 520:

    名無しさん

    なぁハナ

    お礼くらい、
    言わして。

    2007-01-23 08:10:00
  • 521:

    名無しさん


    《寒い。寒すぎる。》   
    かじかむ手に、息を吹きかけてみるものの、その効果はないに等しい。

    あっという間に冬は深くなり、今日で散々だった11月も終わる。

    2007-01-23 08:11:00
  • 522:

    名無しさん

    とはいっても後半は、前半とは打って変わって順調で、今日もこうして客引きには出ているものの、店は満員で、そんなに焦る必要もない。
    潰しの噂は回りきったのか、むしろ良い噂に変わって、また回る。
    落ちるとこまで落ちた噂は、上がることしか出来なかったみたいだ。      
    〔club RAIN。
      …−結構、優良店。〕

    2007-01-23 08:12:00
  • 523:

    名無しさん

    あの飲み会以来、やる気満々になった嬢達の接客は、見る見るうちに上達したし、面白半分で来たのか、新規の客が突然増え、そのままリピーター客にも変わった。
    客層も大幅に広がり、最近では結構遠くから、わざわざ足を運んでくれる客さえいる。

    2007-01-23 08:13:00
  • 524:

    名無しさん

    なんて、言ってみただけで、これが偶然でないことぐらい、さすがに俺だって気付いてる。
    だてに二年近く、ボーイをしてるわけじゃない。


    …−《ハナのお陰だ》。

    2007-01-23 08:14:00
  • 525:

    名無しさん

    だって、新規の団体の大蔵省と思われる客は、必ずハナを気に入り指名したし、何より彼らはみんな、以前では考えられないほど、ボトルやらシャンパンやらを卸す太客ばかりだった。  
    多分、新地CRUW‘ココ’の客だった人達なんだろう。 

    出会ったあの日に感じた直感は当たった。
    ハナは、club RAINを見事に変えた。

    2007-01-23 08:16:00
  • 526:

    名無しさん

    いつかハナは、携帯を持っていないと言ったけど、きっとあれも嘘なんだろう。じゃないと、彼らと連絡がとれるはずがない。    
    だけど、ハナが持っていないと言う以上余計な詮索はしないし、彼らが自分の客だったことを隠すなら、それにも騙されていてやる。 
    なんて、これも言ってみるだけで、実際は聞けなかっただけやねんけど。    
    はぁ。相変わらず…−
    《かっこ悪ぃ。》

    2007-01-23 08:26:00
  • 527:

    名無しさん

    それでもやはり、こぼした大量の常連客はSIXに移動し、売り上げは両店増え、相変わらず同じくらいだった。

    けど別に、そんなことは気にもならなかった。

    2007-01-23 08:27:00
  • 528:

    名無しさん

    あえて言うなら…−
    一時期なくなっていた非通知が、ここ最近また増えだしたこと。

    思い当たる人物は、例の一件で結構いるものの、まぁ誰よりも‘玲花’が近い。

    2007-01-23 08:28:00
  • 529:

    名無しさん

    けどさすがに、あの時は頭に血が上って、今ではやりすぎたかなと思う。


    《先月の給料も渡さなあかんし、そろそろ、手ぇ打っとくかな。》…−

    2007-01-23 08:28:00
  • 530:

    更新お疲れさまです。
    めちゃめちゃ切ない?楽しみにしてるんで頑張って下さいね?

    2007-01-23 10:12:00
  • 531:

    名無しさん

    おもろい!頑張って!

    2007-01-23 13:31:00
  • 532:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    絢さん、いつもありがとうございます??547さんも、ありがとうございます?もう本当、感謝です?? 更新します??



    2007-01-25 00:30:00
  • 533:

    名無しさん

    AM5:30

    『お疲れ〜っす』
    「はいお疲れ〜っ。」
    いつも通りの一週間が終わり、みんな次から次へと店から出ていく。今日も売り上げはまぁまぁで、明日は一日、ゆっくりと休みを満喫出来そうだ。

    2007-01-25 00:31:00
  • 534:

    名無しさん

    「送りもうちょっとだけ待ってな〜」
    美々奈々とハナにそう告げて、集計が終わった売り上げ表をファイルに挿んだ。『『はぁーい。』』
    息のあった三人の返事に軽くもう一度だけ誤り、ファイルを持ってリストへ移動する。

    《え〜っと…あ、あった》

    2007-01-25 00:32:00
  • 535:

    名無しさん

    −顧客ノート玲花−
    何冊も積み上げられたたくさんのノートの中から、玲花のだったピンクのノートを引き抜いた。      
    確か、ここに…−ほら、やっぱり。

    一番最初のページに書いてあった玲花本人の番号を、携帯に登録する。メルアドは…変わってるかもやけど、一応入れとくか。

    2007-01-25 00:34:00
  • 536:

    名無しさん

    え〜っと…
    re、i、ka、、hi、me...  


    《…姫?玲花姫?何ていうか、うわぁ〜(´Д`)笑》

    2007-01-25 00:34:00
  • 537:

    名無しさん

    『何してるん!?』
    玲花のアホみたいで、かつ無意味に長いメルアドを打ち込むのに手間取っている間に、ハナが痺れを切らしてリストに顔を出した。  
    「ん〜。もぉちょい待って…よしオッケ!行こか!」             
    質問には答えずそれだけ言った。携帯を閉じてハナがいるほうに目をやると、ハナは不思議そうに俺を見つめた後、
    『はよ支度しろ!』とだけ言ってリストから離れた。

    2007-01-25 00:36:00
  • 538:

    名無しさん

    AM8:00          
    「おやすみ〜…」
    疲れた体でお腹いっぱいになれば、睡魔が襲ってくるのも早い。

    少し落ち着いたここ最近では、ちゃんと毎日三食食べるのが当たり前になっていた。というか、食べないとハナが口うるさく怒る。

    2007-01-25 00:37:00
  • 539:

    名無しさん

    だけどそれはほんまに有り難いことで、数日前に発見した、ハナが持ち込んだ何冊かの料理本は、キッチンに綺麗に並んでいる。
    そしてそれはどれも『健康のための一ヵ月献立』だとか、『栄養バランスメニュー』なんてタイトルで、俺の体を気遣う料理を作ってくれているのが嫌味なくわかった。


    今更やけど、ハナはほんまに家庭的な女やった。その見た目や言葉遣いからは、到底想像できないくらいに…−。

    2007-01-25 00:38:00
  • 540:

    名無しさん

    「ふぁ〜あ。」
    あくびと一緒に、涙腺が潤む。
    そういえば、ソファーで寝る生活にも最近やっと慣れてきた。始めのうちは起きた時に体中が痛くて苦労したけど、人間何においても、慣れさえすれば平気なもんらしい。

    今この瞬間も、毛布一枚にくるまって、体を丸めて眠りに落ちる、まさに直前。

    2007-01-25 00:39:00
  • 541:

    名無しさん

    あったかい空間に、俺とハナ。その事実は、止めを刺すかのように俺の眠気をそそる。

    数分か、数十分後。    

    『…准ちゃん?』

    2007-01-25 00:39:00
  • 542:

    名無しさん

    暖かい部屋で、やさしい声で、ハナが俺の名前を呼んだ。
    その声に、半分寝呆けながらも、寝返りを打って返事をした。

    『…起きてる?』
    「ん…」

    2007-01-25 00:40:00
  • 543:

    名無しさん

    『准ちゃん…こっち。
         −…おいで?』 


    ハナの擦れた小さな声で、ゆっくりとその言葉が、俺の耳に届き、その意味が理解できた瞬間に、軽く眠気は吹き飛んだ。

    2007-01-25 00:41:00
  • 544:

    名無しさん

    ソファの上からじゃ、ハナの顔は見えない。今ハナが、どんな顔してその言葉を発したのか、すごく気になった。

    正味、前みたいにハナと同じベットで寝なくなったのは、彼女といればいる程、距離が近くなれば近くなるほど…−彼女に惹かれ、彼女の全てに吸い込まれてしまうから。もう、理性を保つ自信がない。

    …って、すでに今の可愛い一言で、そんなもんはなくなってしまってんけど。

    2007-01-25 00:42:00
  • 545:

    名無しさん

    寝た振りをしようと思った。けどその考えとは反対に、口が勝手に動いた。

    「…あかん。」

    精一杯の、我慢。

    2007-01-25 00:42:00
  • 546:

    名無しさん

    閉まり切ったカーテンは、少しの隙間すらなく、外はもう陽が登っただろうこの時間帯でも、部屋の中は真っ暗だ。
    静かで、長い、長い沈黙。 
    先に口を開いたのは…−

    2007-01-25 00:43:00
  • 547:

    名無しさん


    「襲ってまうから。」


    …−俺。

    2007-01-25 00:44:00
  • 548:

    名無しさん

    何て言うか、拒否ってるわけじゃないことを、伝えときたかった。だけど、冷静に考える時間も余裕もなく、選べばいい言葉をバカ正直に発してしまったのだ。 
    しばらく何の返事もなく、やけに早く響く自分の鼓動で、手に汗を握っていることに気付かされる。    

    《寝たんかな…−》
    そう思った、瞬間。

    2007-01-25 00:45:00
  • 549:

    名無しさん


    『………−いいよ?』   


    確かに、そうハナが、言った。

    2007-01-25 00:47:00
  • 550:

    名無しさん

    ぃっつも更新ありがとござぃます?
    毎日楽しみにしてるんで??
    ゅっくりでぃーんで書ぃてくださぃ?・゚

    2007-01-25 03:21:00
  • 551:

    名無しさん

    気になるあげ

    2007-01-25 03:43:00
  • 552:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    俺はもぞもぞと体を動かし、ベットのすぐ側にしゃがみこんだ。丁度、こっちを向いてるハナと顔が近い。



    「…マジで言うてる?」

    2007-01-25 15:23:00
  • 553:

    名無しさん

    そう聞いた俺に、
    ハナは…−口の右端だけを上げて、笑った。     
    「あんま、舐めてたらあかんで?笑」

    俺はそれだけ言うと、一気にベットに上がり、横を向いていたハナの両手を、まとめて片手で抑えつけ、体ごと正面に向けると、そのまま彼女の上に膝を立てて乗っかった。

    2007-01-25 15:24:00
  • 554:

    名無しさん

    真っすぐ、ハナを見下ろす。ハナも、真っすぐ俺を見上げる。おれの瞳に映るその顔に、あの笑顔はもうない。
    その代わり、出会ったあの日と同じ、力強い目があった。           
    《−…負ける?》

    その言葉が頭に浮かんだと同時に、俺はハナにキスをした。

    2007-01-25 15:25:00
  • 555:

    名無しさん

    ハナの唇はやわらかくて、そして冷たい。

    何もかもが真っ白になる。何も考えられないし、何も考えたくない。

    唇のその奥に、夢中になって舌を絡ませた。

    2007-01-25 15:26:00
  • 556:

    名無しさん

    唇と相反した、暖かいそれに俺はますます欲情し、もっと激しく強引に、少し遠慮がちに動くハナの舌を求めた。『んッ…−』何も聞こえない静かな部屋に、ハナのその声だけが異様に響いた。

    …−

    2007-01-25 15:27:00
  • 557:

    名無しさん

    ふと、重なり合った唇を離して、ハナを見つめる。

    『手…痛いって。』
    やさしく笑って、ハナが言った。気付けば、俺は自分で思っていたよりもきつく彼女の手を握り、抑えつけていたみたいて同時に手をパッと離した。
    ハナはまたふっと笑うと、離されたその両手をそのまま俺の首に回した。

    2007-01-25 15:28:00
  • 558:

    名無しさん

    また、顔が近づく。

    さっきの、激しいだけのキスは、やさしい、ゆっくりとしたキスに変わり、暖かい何かが、俺とハナを包み込む。唾液が、ピチャピチャと音をたてる。

    立てていた膝をねかし、全身でハナの上に覆いかぶさる。すぐ近くに感じる、ハナの体温で再確認する。

    2007-01-25 15:28:00
  • 559:

    名無しさん

    俺はずっと、触れたくて触れたくて仕方なかったんだ、ハナに。

    切れ長でつり目の、猫みたいな目。鼻筋が通った、形のいい小さな鼻に、少し広いおでこ。肩まで伸びた、細くてやわらかい髪に、ピンク色のアヒル口。華奢な肩から伸びる細い腕。割と小っこい胸に、すらりと真っすぐ伸びた長い足に。

    ハナのその全てに。

    2007-01-25 15:29:00
  • 560:

    名無しさん


    触れたかったんだ、
    ずっと。

    2007-01-25 15:30:00
  • 561:

    名無しさん

    どちらからともなく、顔を離し、長いキスが終わった。
    ハナを見つめると、虚ろな目に、少し乱れた呼吸。紅潮した頬。
    全てが色っぽく、少しだけ戻ってきていた俺の理性をまた吹き飛ばす。

    今度は短いキスを何度も繰り返しながら、右手をハナの胸へと伸ばし、そっと触れた。俺の手のひらにすっぽりと納まる、丁度いいサイズ。布団から出ていたその手は冷たく、ハナは少しだけビクッと体を震わせた。そんな小さなことが、やけに愛しく感じる。

    2007-01-25 15:30:00
  • 562:

    名無しさん

    自分の膝を、ハナの足の付け根まで上げ、軽く刺激する。
    キスを止め、舌を首元に移動させた。ツーッと、舌先で首筋をなぞる。ハナのサラサラの髪の毛を、もう片方の手でかき上げ、そのまま指で耳を触る。たまに零れるハナの甘い声に、我慢し切れず下に手を伸ばした。パンツの上からハナのそこに触れると、ハナはまた体を震わした。もう一度、キスをするためハナに顔を近付けた。指先には、湿った感触。

    「…濡れてるん?笑」

    2007-01-25 15:31:00
  • 563:

    名無しさん

    そう聞いて、数センチしか離れていないハナの顔を覗く。その瞬間、ハナは閉じていた目を開き、無表情でじっと、俺を見つめた。



    2007-01-25 15:32:00
  • 564:

    名無しさん

    …−そこで、辞めた。



    ハナの潤んだ瞳にはっきりと映る俺はみじめだ。

    2007-01-25 15:32:00
  • 565:

    名無しさん





    2007-01-25 15:34:00
  • 566:

    名無しさん

    なぁ…ハナ。

    なんで泣きそうなん?

    2007-01-25 15:35:00
  • 567:

    名無しさん


    ハナ。

    俺の後ろに、誰を見てる? 

    2007-01-25 15:36:00
  • 568:

    名無しさん

    なぁ、ハナ。

    口の右端だけ上げたあの笑顔も、綺麗な顔から吐き出すきつい口癖も、心配性な性格も、あっという間に作ってしまう旨い手料理も、

    2007-01-25 15:37:00
  • 569:

    名無しさん

    見えないところで支えてくれる強さも、
    隠し通した弱さも、
    残酷な程の一途さも。

    …−全部。

    2007-01-25 15:38:00
  • 570:

    名無しさん

    ほんまは、
    それすらも全部、

    俺だけのもんに、
    したかってん。

    2007-01-25 15:39:00
  • 571:

    名無しさん





    2007-01-25 15:39:00
  • 572:

    名無しさん

    PM2:00ー         
    〜♪           
    永遠を、あなたは信じてた?奪わないで、いなくならないで。あたしは君の隣にいたいよ。叶わなくても届かなくても私は…ープツッ  
    メロディーコールが途切れ、彼女はやっと電話に出た。   
    『はい?』

    2007-01-25 15:41:00
  • 573:

    名無しさん

    電話越しに聞こえるその声は、やけに懐かしく感じた。−…玲花。       
    「もしもし?准やけど。わかる?」
    『…うん。』       

    「これから、会えるか?」

    2007-01-25 15:42:00
  • 574:

    名無しさん

    PM2:30

    ハナは、俺に背中を向けた状態で、ベットで眠っている。起こさないように、そっと家を出た。

    何となく歩いて、玲花と待ち合わせしている喫茶店へ向かう。

    2007-01-25 15:43:00
  • 575:

    名無しさん

    寒冬らしい、今年は。そりゃ、雪もよく降るはずだ。 
    かじかむ手をいつものようにポケットに突っ込んで、俺は昨日のことを思い出していた。

    《さっき、ハナ起きひんくて、よかった…−。》   
    なんてどっちにしろ、すぐに顔は会わすのだから、今安心したところでしょうがないんやけど。

    2007-01-25 15:44:00
  • 576:

    名無しさん

    昨日は結局、一睡も出来ないまま、ソファーの上で時間が経つのをひたすら待っていた。         

    『…−准?』
    これからって時に、手を止めた俺を、ハナは何とも言えない表情で見つめて、そっと俺の名前を呼んだ。
    確かに‘准ちゃん’ではなく‘准’と呼んだ。

    2007-01-25 15:45:00
  • 577:

    名無しさん

    だからきっと、なんとなくわかってたんやろうと思う。ハナも。        
                 
                 
    ハナの瞳には、俺じゃない誰かが映ってた。     
    ‘俺じゃない、誰か’が。

    2007-01-25 15:47:00
  • 578:

    名無しさん

    結局、「付き合ってないしやっぱり我慢する」なんて当たり障りのない理由をつけて、昨日のあの場は取り繕った。「好き」とも言ってない癖に。

    別に、そのまま最後までやろうと思えば出来た。

    やけど…気付かない振りして俺は腰を振るんか?そんなの…そんなん、みっともなさ過ぎるやろ。

    2007-01-25 15:48:00
  • 579:

    名無しさん

    喫茶店につき、コーヒーを注文した。玲花はまだ来ていないようだ。どーせあいつのことやから、遅刻するに決まってる。



    −…ハナは俺を‘咲君’の代わりにしているんだと思う。ハナは俺なんか見てない。俺の後ろにいる‘咲君’を見ている。

    2007-01-25 15:49:00
  • 580:

    名無しさん

    全く気付いていないわけでもなかった。予感が確信に変わっただけで、そんなにダメージはない。

    元々、恋愛に本気になることなんてなかった俺が、いきなりこんな不毛な恋愛をするなんて、想像すら出来なかった。

    《俺は、どうしたらいいんやろ。てか、どうしたいんやろか。》

    2007-01-25 15:50:00
  • 581:

    名無しさん

    PM3:30

    約束の時間から30分が過ぎた頃、やっと玲花が表のガラス越しに見えた。
    俺に気付いて、俺の前の席に座る。『ミルクティー、ホットで。』店員にそう言った後、すぐにタバコに火を点けた。
    遅刻したことを謝る素振りはない。しかしこれも、わかっていたことで、別になんとも思わなかった。

    2007-01-25 15:51:00
  • 582:

    名無しさん

    「電話出てくれてよかったわ。久しぶり、玲花。」  

    まるで台詞みたいにすらすらと言葉が並び、そのまま口から出した。

    今も、頭ん中は、ハナのことでいっぱい。だけど、何か用事を作って、あの家から出たかった。

    2007-01-25 15:51:00
  • 583:

    名無しさん

    『…何の用なん?』
    ふてこく、玲花が一言だけ返事をした。       
    けどその用事に、こいつを選んだのは間違いだったかもしれない。やっぱり…  

    《相変わらず腹立つわ。》

    2007-01-25 15:52:00
  • 584:

    名無しさん

    さっさと終わらして、スロットにでも行ってこようかな…−          
    「これ、先月分の給料。遅れてごめんな?あと、少ないけど、俺が沈めてもた携帯の修理代も入ってるから。あの時も、ごめんな?」 
    少し間を開けてみたものの、玲花は何も言わない。  

    《…はぁ。あっそ。》

    2007-01-25 15:54:00
  • 585:

    名無しさん

    「んな、それだけやから。…じゃぁな?」

    そう言って、席を立とうとした、瞬間。

    『何で怒らへんのッ?』

    2007-01-25 15:54:00
  • 586:

    名無しさん

    そう、小さな声で玲花が言った。          
                 
    座り直して、玲花をまっすぐ見つめた。明るかった長い金髪は、落ち着いた茶髪に変わっていて、今日はクルクルの巻き毛じゃなくて、ただのストレートロングだった。         
    日曜。SIXも、今日は休みだ。          
    久々に見た玲花は、暗くした髪色のお陰か、大人っぽくなっていたけど、少しやつれた感じもした。

    2007-01-25 15:57:00
  • 587:

    名無しさん

    「何が?遅刻?」     
    少し笑ってそう答えた。  
    『違くて…、いや、それもやけど…。』       

    俯き、黙りこくった玲花が、何を言いたいのかくらいわかる。

    2007-01-25 15:58:00
  • 588:

    名無しさん

    「えぇよ、別に、もう。あれは俺もやりすぎたし。気にすんな。」       
    『でも…』        
    そういえば、ふてこいイメージしかもう残ってなかったけど、玲花だってRAIN開店当初は、今みたいにか弱そうな女の子やったっけ。                       

    『あたしっ…』

    2007-01-25 16:00:00
  • 589:

    名無しさん

    顔を上げ、玲花は一瞬俺を見たけど、すぐに目を逸らした。

    「いいって、それ以上言わんでも。んな俺行くな?」

    もう一度、立ち上がろうとしたその時やった。

    2007-01-25 16:01:00
  • 590:

    名無しさん




    『好きやってん!
        准のこと…!!』

    2007-01-25 16:02:00
  • 591:

    名無しさん

    驚いて、玲花の顔を見下ろすと、耳まで真っ赤になっていた。

    『ずっと、好きやった。』 

    また、目が合ってから、玲花はそう付け足すと、少し悲しそうに笑った。

    2007-01-25 16:03:00
  • 592:

    名無しさん





    2007-01-25 16:03:00
  • 593:

    名無しさん

    きになる!!

    2007-01-25 17:14:00
  • 594:

    名無しさん

    ???????????????????

    2007-01-25 21:48:00
  • 595:

    名無しさん

    なぁハナ。        
    人を好きになることは
    いいことばかりじゃない。 
    ‘好き’だなんて、
    うまくいかなきゃただの不安にしか過ぎなくて

    2007-01-27 01:34:00
  • 596:

    名無しさん

    伝えとけばよかったのかな 
    伝わらなくても、
    伝わるまで。       
    そしたら、
    こんなに、後悔せんくてすんだんかな。

    2007-01-27 01:35:00
  • 597:

    名無しさん

    なぁハナ         
    もう届かないん?     
    お前が隣にいないなら、
    春なんていらない。
    来なくていい。

    2007-01-27 01:36:00
  • 598:

    名無しさん

    冬だけに降る
    真っ白な雪で、
    全部…−

    隠してしまえばいいねん。

    2007-01-27 01:38:00
  • 599:

    名無しさん





    2007-01-27 01:39:00
  • 600:

    名無しさん





    2007-01-27 01:40:00
  • 601:

    名無しさん


    2nd Return
    SIDE ハナ

    2007-01-27 01:42:00
  • 602:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん。      
    好きだなんて、言葉にすれば簡単なことなのに、
    気持ちは付いていかんかったりするよね。

    不器用で、遠回りしたりするけど…−

    2007-01-27 01:43:00
  • 603:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん       

    でももう、
    決めたんだ。

    2007-01-27 01:44:00
  • 604:

    名無しさん

    准ちゃん、准ちゃん。   
    気付いてる?       
    あたし気付いたよ?    
    何よりも
    一番大切な人。

    2007-01-27 01:46:00
  • 605:

    名無しさん

                 
    PM8:00          
    3時前に家を出てから、准はまだ帰ってきてない。
    彼が、あたしを起こさないようにそっと起き上がったのも、小さな声で誰かに電話したのにも、そしてそのまま約束の場所に向かったのにも          
    あたしは気付いてた。もちろん、寝たふりを決め込んでたんやけど。

    2007-01-27 01:47:00
  • 606:

    名無しさん

    持て余した時間で、なんとなく、久々にオムライスを作ってみたりした。今度はちゃんと、鳥肉と玉葱がたっぷり入ったやつ。
    綺麗に半熟に出来ていた卵も、とっくに冷めて、あんまりおいしそうじゃない。 


    確かに、今日の朝のことを考えるとすごく気まずい。だけど、せっかくの休みなのに。

    2007-01-27 01:48:00
  • 607:

    名無しさん

    「准ちゃん…こっち。
         −…おいで?」 
    思わず口から出たあの言葉に、下心があったわけじゃなかった。ただ単純に、准のぬくもりの中で、ぐっすり眠りたかった。
    そのまま流れるようにああなったことにも、抵抗はまったくなかった。
    むしろ‘やっと触れてもらえた’そう思った。

    2007-01-27 02:02:00
  • 608:

    名無しさん

    だって愛を、感じたんだ。 

    重なり合った唇に、あたしをそっと触わる指先に、あっという間に熱く火照った自分の体に。

    愛を。

    2007-01-27 02:03:00
  • 609:

    名無しさん

    あんなに、やさしく触れられたのは初めてで、そしてあたしは、思い知らされるかのようだった。     
    准の気持ちを、
    准への気持ちを…− 

    きっとあたしは、准のことを好きになっていて。咲君よりも、咲君を好きだったあの頃よりも、准ちゃんのことを、好きになってて。

    2007-01-27 02:04:00
  • 610:

    名無しさん

    こうして自覚すると、気持ちが大きくなるから不思議。もっとずっと前から、好きだったような気さえする。

    だからあたしは、幸せだった。この上なく。
    准ちゃんに触れられることが、准ちゃんが、そこにいることが…−。

    2007-01-27 02:06:00
  • 611:

    名無しさん

    だけど、あの時。


    思い出したのと、見えたのは同時。
    准ちゃんの背中に、黒い闇を。気持ち悪く笑う、宮崎を。

    2007-01-27 02:07:00
  • 612:

    名無しさん

    あたしに覆いかぶさったぬるい温もり、あたしの肌をつかむ様に触わる手、あたしの体中を這いずる乾いた舌。ひどい、嫌悪感。   
    だからあたしは汚い。
    身も心も。

    受け入れたのは、あたし。拒まなかったのは、あたし。止められなかったのは、あたし。

    2007-01-27 02:08:00
  • 613:

    名無しさん

    そして准は途中で辞めた。 

    もしかしたら、バレたのかもしれない。
    汚い体に、気付いたのかもしれない。

    2007-01-27 02:09:00
  • 614:

    名無しさん


    …−

    やばい、
    泣きそうだ。

    2007-01-27 02:10:00
  • 615:

    名無しさん

    遠ざかっていたあたしの後ろに、また黒い闇が近付き、広がる。

    だけど…−
    汚い体に、准ちゃんが入ってこなくてよかった。

    2007-01-27 02:11:00
  • 616:

    名無しさん

    この闇に、彼を巻き込んじゃいけない。
    准を、染めちゃいけない。 

    …守るんだ。

    2007-01-27 02:12:00
  • 617:

    名無しさん





    2007-01-27 02:13:00
  • 618:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん

    好きだよ。

    2007-01-27 02:13:00
  • 619:

    名無しさん

    神様なんて信じてないけど 
    いたとしても、
    大嫌いだったけど

    もしもいるなら。

    2007-01-27 02:14:00
  • 620:

    名無しさん

    お願いです。
    准ちゃんを守って下さい。 
    ずっと、笑い続けていれるように。

    あたしの代わりに。

    2007-01-27 02:15:00
  • 621:

    名無しさん

    ??

    2007-01-27 08:58:00
  • 622:

    名無しさん

    読みやすいしおもしろいし頑張ってください!!

    2007-01-28 10:55:00
  • 623:

    更新お疲れさまです?めっちゃいいですね?胸がキューってなります。続きすごく楽しみにしてるんでまた時間ある時書いて下さいね。

    2007-01-28 15:03:00
  • 624:

    あまりにも好きな話やったんでファンスレ作らせてもらいました。迷惑だったらすいません?

    2007-01-28 15:07:00
  • 625:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    すみません、本当にありがとうございます!迷惑だなんてとんでもないです??めっちゃうれしくて、今若干泣きそうです?笑
    今から更新します。もう本当に、ありがとうございます!がんばります!

    2007-01-30 17:27:00
  • 626:

    紅音◆LTrx1cGfeo





    2007-01-30 17:28:00
  • 627:

    名無しさん

    PM11:00         

    カチャリと鍵を開ける音がして、あたしはベットから飛び起きた。       
    「お帰り…」
    笑って、そう言ってみた。

    2007-01-30 17:29:00
  • 628:

    名無しさん

    −…
    帰ってきて、よかった。と言うかここは、准ちゃんの家なんだけど、それでも。 
    『ただいま!』
    ほら、くしゃっと笑った、その笑顔。
    今ではもう、咲君に似てる笑顔だなんて思わない。 准ちゃんの、笑顔。

    2007-01-30 17:30:00
  • 629:

    名無しさん

    「…ご飯は?」
    平然を装ってそう聞いた。一番聞きたかったことは、胸の奥で飲み込んだ。だって、           
    《どこ行ってたん?》   
    …そんなことは、聞かなくたって、仄かに香るベビードールが、勝手に想像を膨らませてくれる。     
    あたしは別に、彼女でもなんでもないし、好きだと言ってもらえたわけでもない。そんな事実を再確認した気分だった。

    2007-01-30 17:32:00
  • 630:

    名無しさん

    『あ〜…作った?』    
    そう少し困った顔で、逆に聞き返される。一瞬だけ悩んでから、作ってないよ、と言った。後でオムライスは捨てとこう。

    「眠くなってきたぁ…」  
    わざと聞こえるようにささやいて、ベットに潜り込んだ。

    2007-01-30 17:33:00
  • 631:

    名無しさん

    布団をかぶって、潤んだ涙腺に力を入れた。もう、これが何の涙なのかすら、わからない。

    《すぐ泣くな!》
    いつかママに言われた言葉が、今更耳に響く。
    それでも、我慢できずに一筋だけ頬に伝った涙を、急いで手の甲で拭った。

    2007-01-30 17:34:00
  • 632:

    名無しさん



    絞りだすように流れた一滴だけの涙には、色んな想いが重く重なって、なんだかあたしをひどく切なくさせた。だけど准ちゃんにだけは見せたくなくて、小さく濡れた右手を握り締めて、目を閉じた。

    2007-01-30 17:35:00
  • 633:

    名無しさん


    AM0:30          
    『おい、嘘つき!起きろ!ハナ!起きろって』

    気付けば本当に眠ってしまったようで、あたしは准に起こされ、目を開けた。

    2007-01-30 17:36:00
  • 634:

    名無しさん

    −…ピーッ
    同時に、レンジが鳴る音で、准はキッチンへ行った。上手く頭が回らないままベットから降りる。
    そしてすぐに、彼が両手に持ってきたのはあたしが作った、オムライス…−。  

    准は、もう一度《嘘つき》とあたしに言って、またくしゃっと笑った。

    2007-01-30 17:37:00
  • 635:

    名無しさん


    ねぇ准ちゃん。

    本当の本当に守りたいものなんて、きっとみんな一つだけなんだと思わへん?  

    2007-01-30 17:39:00
  • 636:

    名無しさん

    准ちゃん。        
    あたしが守りたかったのは、准ちゃんだけだったよ。 

    准ちゃんの、
    あの笑顔だけだったよ。

    2007-01-30 17:40:00
  • 637:

    名無しさん

    だから、あの日。     
    准ちゃんを、黒い闇に連れてってしまう前に    離れるって、決めたんだ。 
    だけど、もう少しだけ。  
    あたしの、21歳の誕生日まで。                      
    傍に、いさせてね。

    2007-01-30 17:43:00
  • 638:

    名無しさん

    ねぇ、准ちゃん。     
    最後の最後まで、
    わがままなあたしを    
                                         
    許して。

    2007-01-30 17:44:00
  • 639:

    名無しさん





    2007-01-30 17:45:00
  • 640:

    名無しさん

    『あっ、忘れとった忘れとった。』そういうと、准はまたキッチンの方へと向かった。

    《そういえば、冷蔵庫にいれたままやったっけ…》  
    目の前のテーブルには、二つ並んだオムライス。
    レンジのおかげでホカホカと湯気を立て始めたそれは、またおいしそうに変わっていた。

    2007-01-30 17:46:00
  • 641:

    名無しさん

    颯爽と、キッチンからあたしの前に戻ってきた准の右手には、今度はトマトケチャップがあった。     
    『食べよか!』      
    軽く寝呆けたまんまのあたしにそう言って、准はうれしそうにケチャップの蓋を外した。         
    『あっ、せや!絵書こ。』幼く笑った准はやっぱり子供みたいで、年下なんやなぁ、と思う。       
    准は覚えてるかな。あたしが彼に、初めて作った料理を…−。

    2007-01-30 17:48:00
  • 642:

    名無しさん

    彼がケチャップを器用に動かして、オムライスに楽しそうに絵を書く。あたしはボーッとしながらそれを見ていた。         
    『出来たっ!』      
    彼が得意げにそう言って、絵が正面に来るように、あたしの方へお皿を向けた。 

    『これ、ハナのな。』

    2007-01-30 17:49:00
  • 643:

    名無しさん


    「…これ、…犬?」
    『猫や!笑』」
    「むっちゃ下手くそ!笑」 
    二人で笑う。

    2007-01-30 17:51:00
  • 644:

    名無しさん

    だけど裏腹に、心は、別のところにあるみたいだった。大好きな准の笑顔は、今はあたしをつらくさせるだけで。

    だってわかっていても、この人と、離れ離れになるなんて嫌だ。でも、守りたくて、守らなきゃいけなくて。だったら、彼から離れるのが一番で…−

    自問自答ばかりが頭に浮かんで消えない。

    2007-01-30 17:52:00
  • 645:

    名無しさん

    だけど、笑う。

    だってそんなこと、顔には出したくない。

    これは単純に、あたしのプライドに近い、幼い頃からの癖。あたしはこうして生きてきてんから。

    2007-01-30 17:53:00
  • 646:

    名無しさん

    「なんで猫なん?」    
    平然を装って、会話を続ける。だてに、NO1だったわけでもない。       
    −…なのに。                   
                             
    『ハナは、猫みたいやからやで。』

    2007-01-30 17:55:00
  • 647:

    名無しさん

    …−准は、そんなあたしをいつも崩してしまう。               

    『気分屋で、わがままで、強がりで、誰にも媚ひん。まんまやん?笑』

    准は、笑いながらそう言ったけど、あたしの顔からは笑顔が消えていくのがわかる。

    2007-01-30 17:56:00
  • 648:

    名無しさん

    准はまたケチャップを手に取ると、大量にその‘猫’の輪郭を塗り潰した。

    『ちなみに絶対黒猫な!何色にも染まらへんから!』 
    「何それ…。」      
    あたしは今、上手に笑えてるんだろうか。

    2007-01-30 17:57:00
  • 649:

    名無しさん


    『だから、お前はずっと、そのままでいてな。』   


    最後に彼は、笑顔を辞めてそう言った。

    2007-01-30 17:59:00
  • 650:

    名無しさん

    准ちゃん。        
    あたしな、生まれ変わったら猫になりたい。     
    今度こそ、        
    誰にも染められない
    黒猫に。

    2007-01-30 18:00:00
  • 651:

    名無しさん

    ねぇ准ちゃん。      
    こんな性格だから、絶対に言えなかったんだけど。  
    だけど          
    一回くらいは頑張って言えばよかったかな。                                                     
    《アイシテル−…。》

    2007-01-30 18:03:00
  • 652:

    名無しさん





    2007-01-30 18:04:00
  • 653:

    名無しさん

    ?????????

    2007-01-30 20:54:00
  • 654:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    准は、あっという間にオムライスを食べ終えると、毛布にくるまり、ソファの上で眠りに就いた。
    彼が深い寝息を立て始めた頃には片付けも終わり、准の隣に座り込んで寝顔を見つめた。         
    《黒猫、かぁ…−》

    准が笑いながら言った言葉が、胸に突き刺さる。

    2007-01-31 03:10:00
  • 655:

    名無しさん

    〔何色にも染まらへん。〕 
    その通りかもしれない。だってあたしは、とっくの昔に、真っ黒に染められてしまっているから。

    爆睡しているだろう准が寝返りを打って、あたしの方を向いた。かわいい寝顔を目の前に、あたしはまた泣きそうになる。      
    なんでこんなに、あたしは弱いんだろう。

    2007-01-31 03:10:00
  • 656:

    名無しさん

    いつもならネオンや照明に照らされて、他愛もない話で笑っているこの時間。
    今は、日が落ちると同時に暗くなったこの部屋の中で、あたしは…−      


    黒い闇に、落ちた。

    2007-01-31 03:11:00
  • 657:

    名無しさん

    その日あたしが眠りに就けたのは、太陽の光が部屋を明るくする頃だった。


    ママに殴られる夢を見たけど、准は、あの時みたいにあたしを起こしてくれなかった。

    2007-01-31 03:12:00
  • 658:

    名無しさん

    2003年12月17日
    AM12:00


    クローゼットの片隅に置いた携帯に、咲君からメールが届く。内容は、見なくたってわかる。

    2007-01-31 03:13:00
  • 659:

    名無しさん

    《あと、一週間…−》   


    カウントダウンが、    
    始まる。

    2007-01-31 03:14:00
  • 660:

    名無しさん





    2007-01-31 03:14:00
  • 661:

    名無しさん





    2007-01-31 03:14:00
  • 662:

    名無しさん


    Final
    SIDE 准

    2007-01-31 03:21:00
  • 663:

    名無しさん

    なぁ、ハナ        

    その黒い闇の向こうに、お前は何を見た?

    2007-01-31 03:23:00
  • 664:

    名無しさん

    赤、青、緑、黄色。色とりどりのネオンが、街中を飾り、いつにも増して眩しく夜を飾る。        
    もうすぐ、クリスマスだ。 

    年末とも重なって飲み屋街には人が集まり、クリスマスソングと、浮かれた笑い声があちこちで響く。

    2007-01-31 03:24:00
  • 665:

    名無しさん

    『お願いします!』

    グラス一杯に注がれたビールが、数滴床に染みを作ったけど、かまわず早足で客席へ置いた。

    店は大忙しで、カウンターには数人の待ち客が、啓太と会話を楽しんでいた。

    2007-01-31 03:24:00
  • 666:

    名無しさん

    『ハナさん入ります!』  
    のりちゃんの嬢回しの声と同時に、ヘルプで付いていた新人の子が待機席へ帰ってきて、そしてすぐにまた別の客席に戻る。     
    club RAINのNO1、ハナは今日も誰よりも忙しく席を回る。

    俺はそれぞれの席にチェックを入れ、そして目に止まるのは、やっぱりハナだ。

    2007-01-31 03:26:00
  • 667:

    名無しさん

    客によって接客中にコロコロと表情を変えるハナは、さながらどっかの女優みたいで、すごい。

    あれだけ潰れそうだったRAINも、今では嘘のように客で溢れ返り、噂のお陰で面接にくる嬢の数も増え、人手も充分。

    恐いくらい順調だった。

    2007-01-31 03:29:00
  • 668:

    名無しさん

    だけど…−        
    最近、よく思う。    ハナの様子が、おかしい。 
    いざ店の外に出ると、   
    何かに追われてるかのように辺りを気にして、外に出歩かなくなった。俺と目が合っても、すぐに逸らすようになった。
    何より、笑わなくなった。

    2007-01-31 03:31:00
  • 669:

    名無しさん

    《何があったん?》


    相変わらず、
    ちゃんと聞けないまま。

    2007-01-31 03:32:00
  • 670:

    紅音◆LTrx1cGfeo

    時間ばかりが過ぎる。もう、ハナに出会ってから二ヵ月が経とうとしていた。  
    『お疲れさまで〜す』   
    ラストまで、客席は埋まったまま、今日も無事1日を終えた。

    いつものように送りを出し、最後にハナを乗せて一緒に帰る。久々に雪が降り積もり、朝のその真っ白な世界は、ハナといればいつもより余計綺麗に見えて、不思議だった。

    2007-01-31 19:23:00
  • 671:

    名無しさん

    「もうすぐクリスマスやなぁ〜…」         
    車の中、俺はハナに話し掛けた。新人の子の送り先は反対方向だったため、ここから俺の家までとなると結構遠い。暖房が効いてきたお陰で、フロントガラスの端が少しだけ曇った。   
    『せやなぁ…。』     
    ハナから零れた言葉はそれだけで、居たたまれなくなってラジオをかけた。   
    今年一番流行った歌のサビが、タイミングよく流れる。

    2007-01-31 19:24:00
  • 672:

    名無しさん

    永遠を 貴方は信じてた?奪わないで いなくならないで あたしは 君の隣にいたいよ 叶わなくても 届かなくても あたしは あたしには 貴方しかいないの
    毎晩 何を祈るの? 真っ白な雪が君を隠して 見失ってしまう 好き それすらもう 伝えられないの? 
    …−

    いつか聞いた、玲花のメロディーコールはこの歌だった。

    2007-01-31 19:25:00
  • 673:

    名無しさん





    『ずっと、好きやった。』

    2007-01-31 19:26:00
  • 674:

    名無しさん

    悲しそうに笑った彼女を見て、気付けば俺は玲花の手を取り、半分引きずる様に、足早に歩いていた。   
    『ちょっ…准?!准!どこ行くん!…ってかお金!』 
    玲花の声にはっとして、喫茶店の出口で立ち止まった。驚いた顔した店員に、急いで財布から金を出し、会計を済ませた。      

    《何やってるねん俺…》

    2007-01-31 19:27:00
  • 675:

    名無しさん

    そんな俺を見て玲花は笑い、どこ行くん?ともう一回俺に聞いた。       
    だけど俺は、別に何か考えていたわけじゃなくて。  
    ただ、さっきのあの悲しそうな笑顔が、今の自分とかぶって、見ていたくなかっただけやった。      
    「どこ行きたい?」    
    そう聞き返すと、玲花は元気良く『飯!』と答えた。笑う玲花はうれしそうだ。

    2007-01-31 19:28:00
  • 676:

    名無しさん

    『見て欲しかってん、うちを。だから、准を困らせることばっかしてた。』   
    彼女がそっとそう話し始めたのは、飯を食い終わり、玲花の要望で夜景を見に行く車の中でだった。    
    『クビなって、なんでわかってくれへんねんって、ムカついた。やけになって、SIX入店して、悪い噂流して…。あたしがいなくなってどんだけ困るか、教えたんねんって思ってた。』 
    「最低やな!笑」     
    『うちもそう思う。笑』

    2007-01-31 19:29:00
  • 677:

    名無しさん


    『…−なぁ、准はさ、冷たくてやさしいよね。』   
    彼女がそう言ったのは、丁度夜景スポットに車を止めた時だった。       
    「何それ、どういう意味な…『きれー!!』」
    玲花は少し大きな声でそういうと、会話を止めた。

    2007-01-31 19:31:00
  • 678:

    名無しさん

    ぱっちりした大きな目を余計大きく見開いて、窓を開けて身を乗り出した。同時に、冷たい風が入ってくる。            
    「…寒っ!」       
    思わずそう言うと、玲花は慌てた様子でドアを閉めた。            
    「ははっ、ええよ、別に。開けとき。」       
    そう言って笑うと、玲花は恥ずかしそうにうつむく。気付かない振りして、ハンドルに顎を乗せ、綺麗なぁ、と呟いた。

    2007-01-31 19:33:00
  • 679:

    名無しさん

    夜景なんて約2年ぶりぐらいで、久々に見た大阪の街は、前よりも明るくなった気がする。        
    《なんか、こうして見るとやっぱり…−
     小せぇな、人って。》  

    『准?』玲花が俺をそっと呼んだから、おれは助手席へ顔を向けた。

    2007-01-31 19:34:00
  • 680:

    名無しさん

    『准は、やさしいよ。』 そしてまた、ポツリと言った。           

    『馬鹿なこと、聞いてもいい?もう、わがまま言わへん。困らせるようなこともせぇへん。やから、嘘でも、何でもいいから…−   
    《好き》って言って?   
    そしたらあたし、めっちゃ頑張れる。RAINに、戻る。』

    2007-01-31 19:35:00
  • 681:

    名無しさん

    目の前に広がる夜景が、玲花の顔をかすかに照らす。玲花は、やっぱり女の子らしくてかわいい。     

    簡単なことだ。たった一言、《好きだ》って言えばいい。玲花とハナが店に揃えば、向かうところ敵なしだ。

    だけど…−だけど。

    2007-01-31 19:36:00
  • 682:

    名無しさん





    《無理だ。》

    2007-01-31 19:36:00
  • 683:

    名無しさん

    以前の俺なら、迷わず言えただろう言葉も、今は言えない。だって、ハナの顔が頭から離れない。ハナが俺のことを好きじゃなくても、ハナに他の好きな人がいても、俺には、…−ハナしか見えへん。

    黙りこくった俺を、玲花は潤んだ瞳で見つめて、そして言った。

    『ほらな?冷たくて、やさしい…−。』

    2007-01-31 19:37:00
  • 684:

    名無しさん

    おわり?まだよみたいよぉ?

    2007-01-31 21:43:00
  • 685:

    名無しさん




    『言ってくれへんって、わかってたよ?ありがとう』 
    帰り道、玲花は小さな声でそう言った。

    2007-02-01 03:08:00
  • 686:

    名無しさん

    車内にそれ以上の会話はなく、若干の気まずさが二人を包む。雪が、また降り始めていた。        
    「んな、気を付けて。」  
    玲花の家の前に到着し、俺はそう別れを告げた。

    −…トンッ

    2007-02-01 03:09:00
  • 687:

    名無しさん

    ほんの、一瞬。甘い香水が、薫る。         
    《あ、これ…元カノと一緒。なんやったっけ…。えっと、ベビードール…?》  
    突然のことで、状況がつかめないまま…−そんなことだけが、頭に浮かんだ。

    玲花は、俺の胸元に顔を埋め、ギュッと俺に抱きつきながら、鼻をすすって、泣いていた。

    2007-02-01 03:10:00
  • 688:

    名無しさん

    「玲…花?」

    抱き締め返すことも、引き剥がすことも出来ず、俺は彼女の名前を呼んだ。

    2007-02-01 03:10:00
  • 689:

    名無しさん

    彼女は俺の胸元から体を離すと、          
    『准、変わったね!』   
    と、それだけ言って涙を拭い、満面の笑みでバイバイ、と手を振った。     

    マンションのエントランスのその奥に、消えていく玲花を、俺はいつまでも見ていた。

    2007-02-01 03:12:00
  • 690:

    名無しさん





    彼女は、春が来たらこの街を出るらしい。

    2007-02-01 03:12:00
  • 691:

    名無しさん





    2007-02-01 03:12:00
  • 692:

    名無しさん

    『なぁ…准が設定したあたしの着信音、これやったやんな?』

    ふと、ハナがそう聞いてきて、現実世界に引き戻された。

    《そういえば、そうやったっけ…−》

    2007-02-01 03:14:00
  • 693:

    名無しさん

    確か、ダウンロードランキングで一番上にあって、勝手に設定したはずだった。 
    この歌…

    「いい歌詞やんな?!」 『安っぽい歌詞。』    
    曲が終わり、MCのむやみに明るい解説を後ろに、二人の声が重なった。

    2007-02-01 03:15:00
  • 694:

    名無しさん

    少し驚いた顔して、ハナと俺は顔を見合わせた。   
    「えっ?いい歌やん!」 『はぁ?准センスないな!どこがやねん。』
    「何やねんお前!可愛げのない女やな!」
    『うっさいわボケ!死んでしまえ!笑』
    「おい、だからそれ言い過ぎやろ!笑」

    2007-02-01 03:16:00
  • 695:

    名無しさん

    それは久々に見た気がした、ハナの笑顔。

    なんでかうれしくなって、俺は何度もハナを横目に見つめた。

    赤信号で、車が止まる。 静かに、静かに雪が降る。

    2007-02-01 03:17:00
  • 696:

    名無しさん

    『セッタちょーだい?』  
    その言葉に、胸ポケットからタバコを取出し、ハナに渡した。ハナがタバコを加えたのを確認してから、ライターに火を点け、ハナの口元まで持っていった。
    彼女に初めてあった日に、そうしたみたいに。

    ありがと、と言ってから、彼女はそのままタバコに火を点けた。ハナの長い前髪がかすかに手に触れて、こそばかった。

    2007-02-01 03:17:00
  • 697:

    名無しさん

    フーッと、細い煙が上がる。そしてハナのその尖らした唇に、俺は気が付いたらキスをしていた。

    時間が止まる。
    細い道に、朝方他に車はなく、信号は青に変わり、また赤に変わった。

    2007-02-01 03:18:00
  • 698:

    名無しさん

    なぁハナ         
    永遠を、お前は信じてた? 
    安っぽい歌詞やって、お前はそう言ったけど     
    愛を囁く言葉なんて、もともと全部安っぽいねん。  
    だって‘愛’が何なのかなんて、誰も知らない。  それでもみんな、必死で考えてそれを求める。

    2007-02-01 03:20:00
  • 699:

    名無しさん

    ハナ。          
    だから俺は、
    またお前に会えたら    
    壊れるくらい強く抱き締めて、           
    『愛してるで』って、  言うと思うねん。

    2007-02-01 03:22:00
  • 700:

    名無しさん




    2003年12月23日

    2007-02-01 03:26:00
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