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ハナ
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1:
名無しさん
ハナが、口の右端だけを上げて笑う。
何か企んでいる証拠。2006-11-27 03:04:00 -
601:
名無しさん
2nd Return
SIDE ハナ
2007-01-27 01:42:00 -
602:
名無しさん
ねぇ准ちゃん。
好きだなんて、言葉にすれば簡単なことなのに、
気持ちは付いていかんかったりするよね。
不器用で、遠回りしたりするけど…−2007-01-27 01:43:00 -
603:
名無しさん
ねぇ准ちゃん
でももう、
決めたんだ。
2007-01-27 01:44:00 -
604:
名無しさん
准ちゃん、准ちゃん。
気付いてる?
あたし気付いたよ?
何よりも
一番大切な人。2007-01-27 01:46:00 -
605:
名無しさん
PM8:00
3時前に家を出てから、准はまだ帰ってきてない。
彼が、あたしを起こさないようにそっと起き上がったのも、小さな声で誰かに電話したのにも、そしてそのまま約束の場所に向かったのにも
あたしは気付いてた。もちろん、寝たふりを決め込んでたんやけど。2007-01-27 01:47:00 -
606:
名無しさん
持て余した時間で、なんとなく、久々にオムライスを作ってみたりした。今度はちゃんと、鳥肉と玉葱がたっぷり入ったやつ。
綺麗に半熟に出来ていた卵も、とっくに冷めて、あんまりおいしそうじゃない。
確かに、今日の朝のことを考えるとすごく気まずい。だけど、せっかくの休みなのに。2007-01-27 01:48:00 -
607:
名無しさん
「准ちゃん…こっち。
−…おいで?」
思わず口から出たあの言葉に、下心があったわけじゃなかった。ただ単純に、准のぬくもりの中で、ぐっすり眠りたかった。
そのまま流れるようにああなったことにも、抵抗はまったくなかった。
むしろ‘やっと触れてもらえた’そう思った。2007-01-27 02:02:00 -
608:
名無しさん
だって愛を、感じたんだ。
重なり合った唇に、あたしをそっと触わる指先に、あっという間に熱く火照った自分の体に。
愛を。2007-01-27 02:03:00 -
609:
名無しさん
あんなに、やさしく触れられたのは初めてで、そしてあたしは、思い知らされるかのようだった。
准の気持ちを、
准への気持ちを…−
きっとあたしは、准のことを好きになっていて。咲君よりも、咲君を好きだったあの頃よりも、准ちゃんのことを、好きになってて。2007-01-27 02:04:00 -
610:
名無しさん
こうして自覚すると、気持ちが大きくなるから不思議。もっとずっと前から、好きだったような気さえする。
だからあたしは、幸せだった。この上なく。
准ちゃんに触れられることが、准ちゃんが、そこにいることが…−。2007-01-27 02:06:00 -
611:
名無しさん
だけど、あの時。
思い出したのと、見えたのは同時。
准ちゃんの背中に、黒い闇を。気持ち悪く笑う、宮崎を。2007-01-27 02:07:00 -
612:
名無しさん
あたしに覆いかぶさったぬるい温もり、あたしの肌をつかむ様に触わる手、あたしの体中を這いずる乾いた舌。ひどい、嫌悪感。
だからあたしは汚い。
身も心も。
受け入れたのは、あたし。拒まなかったのは、あたし。止められなかったのは、あたし。2007-01-27 02:08:00 -
613:
名無しさん
そして准は途中で辞めた。
もしかしたら、バレたのかもしれない。
汚い体に、気付いたのかもしれない。2007-01-27 02:09:00 -
614:
名無しさん
…−
やばい、
泣きそうだ。2007-01-27 02:10:00 -
615:
名無しさん
遠ざかっていたあたしの後ろに、また黒い闇が近付き、広がる。
だけど…−
汚い体に、准ちゃんが入ってこなくてよかった。2007-01-27 02:11:00 -
616:
名無しさん
この闇に、彼を巻き込んじゃいけない。
准を、染めちゃいけない。
…守るんだ。2007-01-27 02:12:00 -
617:
名無しさん
2007-01-27 02:13:00 -
618:
名無しさん
ねぇ准ちゃん
好きだよ。
2007-01-27 02:13:00 -
619:
名無しさん
神様なんて信じてないけど
いたとしても、
大嫌いだったけど
もしもいるなら。2007-01-27 02:14:00 -
620:
名無しさん
お願いです。
准ちゃんを守って下さい。
ずっと、笑い続けていれるように。
あたしの代わりに。2007-01-27 02:15:00 -
621:
名無しさん
??
2007-01-27 08:58:00 -
622:
名無しさん
読みやすいしおもしろいし頑張ってください!!
2007-01-28 10:55:00 -
623:
絢
更新お疲れさまです?めっちゃいいですね?胸がキューってなります。続きすごく楽しみにしてるんでまた時間ある時書いて下さいね。
2007-01-28 15:03:00 -
624:
絢
あまりにも好きな話やったんでファンスレ作らせてもらいました。迷惑だったらすいません?
2007-01-28 15:07:00 -
625:
紅音◆LTrx1cGfeo
すみません、本当にありがとうございます!迷惑だなんてとんでもないです??めっちゃうれしくて、今若干泣きそうです?笑
今から更新します。もう本当に、ありがとうございます!がんばります!2007-01-30 17:27:00 -
626:
紅音◆LTrx1cGfeo
2007-01-30 17:28:00 -
627:
名無しさん
PM11:00
カチャリと鍵を開ける音がして、あたしはベットから飛び起きた。
「お帰り…」
笑って、そう言ってみた。2007-01-30 17:29:00 -
628:
名無しさん
−…
帰ってきて、よかった。と言うかここは、准ちゃんの家なんだけど、それでも。
『ただいま!』
ほら、くしゃっと笑った、その笑顔。
今ではもう、咲君に似てる笑顔だなんて思わない。 准ちゃんの、笑顔。2007-01-30 17:30:00 -
629:
名無しさん
「…ご飯は?」
平然を装ってそう聞いた。一番聞きたかったことは、胸の奥で飲み込んだ。だって、
《どこ行ってたん?》
…そんなことは、聞かなくたって、仄かに香るベビードールが、勝手に想像を膨らませてくれる。
あたしは別に、彼女でもなんでもないし、好きだと言ってもらえたわけでもない。そんな事実を再確認した気分だった。2007-01-30 17:32:00 -
630:
名無しさん
『あ〜…作った?』
そう少し困った顔で、逆に聞き返される。一瞬だけ悩んでから、作ってないよ、と言った。後でオムライスは捨てとこう。
「眠くなってきたぁ…」
わざと聞こえるようにささやいて、ベットに潜り込んだ。2007-01-30 17:33:00 -
631:
名無しさん
布団をかぶって、潤んだ涙腺に力を入れた。もう、これが何の涙なのかすら、わからない。
《すぐ泣くな!》
いつかママに言われた言葉が、今更耳に響く。
それでも、我慢できずに一筋だけ頬に伝った涙を、急いで手の甲で拭った。2007-01-30 17:34:00 -
632:
名無しさん
絞りだすように流れた一滴だけの涙には、色んな想いが重く重なって、なんだかあたしをひどく切なくさせた。だけど准ちゃんにだけは見せたくなくて、小さく濡れた右手を握り締めて、目を閉じた。
2007-01-30 17:35:00 -
633:
名無しさん
AM0:30
『おい、嘘つき!起きろ!ハナ!起きろって』
気付けば本当に眠ってしまったようで、あたしは准に起こされ、目を開けた。2007-01-30 17:36:00 -
634:
名無しさん
−…ピーッ
同時に、レンジが鳴る音で、准はキッチンへ行った。上手く頭が回らないままベットから降りる。
そしてすぐに、彼が両手に持ってきたのはあたしが作った、オムライス…−。
准は、もう一度《嘘つき》とあたしに言って、またくしゃっと笑った。2007-01-30 17:37:00 -
635:
名無しさん
ねぇ准ちゃん。
本当の本当に守りたいものなんて、きっとみんな一つだけなんだと思わへん?
2007-01-30 17:39:00 -
636:
名無しさん
准ちゃん。
あたしが守りたかったのは、准ちゃんだけだったよ。
准ちゃんの、
あの笑顔だけだったよ。2007-01-30 17:40:00 -
637:
名無しさん
だから、あの日。
准ちゃんを、黒い闇に連れてってしまう前に 離れるって、決めたんだ。
だけど、もう少しだけ。
あたしの、21歳の誕生日まで。
傍に、いさせてね。2007-01-30 17:43:00 -
638:
名無しさん
ねぇ、准ちゃん。
最後の最後まで、
わがままなあたしを
許して。2007-01-30 17:44:00 -
639:
名無しさん
2007-01-30 17:45:00 -
640:
名無しさん
『あっ、忘れとった忘れとった。』そういうと、准はまたキッチンの方へと向かった。
《そういえば、冷蔵庫にいれたままやったっけ…》
目の前のテーブルには、二つ並んだオムライス。
レンジのおかげでホカホカと湯気を立て始めたそれは、またおいしそうに変わっていた。2007-01-30 17:46:00 -
641:
名無しさん
颯爽と、キッチンからあたしの前に戻ってきた准の右手には、今度はトマトケチャップがあった。
『食べよか!』
軽く寝呆けたまんまのあたしにそう言って、准はうれしそうにケチャップの蓋を外した。
『あっ、せや!絵書こ。』幼く笑った准はやっぱり子供みたいで、年下なんやなぁ、と思う。
准は覚えてるかな。あたしが彼に、初めて作った料理を…−。2007-01-30 17:48:00 -
642:
名無しさん
彼がケチャップを器用に動かして、オムライスに楽しそうに絵を書く。あたしはボーッとしながらそれを見ていた。
『出来たっ!』
彼が得意げにそう言って、絵が正面に来るように、あたしの方へお皿を向けた。
『これ、ハナのな。』2007-01-30 17:49:00 -
643:
名無しさん
「…これ、…犬?」
『猫や!笑』」
「むっちゃ下手くそ!笑」
二人で笑う。2007-01-30 17:51:00 -
644:
名無しさん
だけど裏腹に、心は、別のところにあるみたいだった。大好きな准の笑顔は、今はあたしをつらくさせるだけで。
だってわかっていても、この人と、離れ離れになるなんて嫌だ。でも、守りたくて、守らなきゃいけなくて。だったら、彼から離れるのが一番で…−
自問自答ばかりが頭に浮かんで消えない。2007-01-30 17:52:00 -
645:
名無しさん
だけど、笑う。
だってそんなこと、顔には出したくない。
これは単純に、あたしのプライドに近い、幼い頃からの癖。あたしはこうして生きてきてんから。2007-01-30 17:53:00 -
646:
名無しさん
「なんで猫なん?」
平然を装って、会話を続ける。だてに、NO1だったわけでもない。
−…なのに。
『ハナは、猫みたいやからやで。』2007-01-30 17:55:00 -
647:
名無しさん
…−准は、そんなあたしをいつも崩してしまう。
『気分屋で、わがままで、強がりで、誰にも媚ひん。まんまやん?笑』
准は、笑いながらそう言ったけど、あたしの顔からは笑顔が消えていくのがわかる。2007-01-30 17:56:00 -
648:
名無しさん
准はまたケチャップを手に取ると、大量にその‘猫’の輪郭を塗り潰した。
『ちなみに絶対黒猫な!何色にも染まらへんから!』
「何それ…。」
あたしは今、上手に笑えてるんだろうか。2007-01-30 17:57:00 -
649:
名無しさん
『だから、お前はずっと、そのままでいてな。』
最後に彼は、笑顔を辞めてそう言った。2007-01-30 17:59:00 -
650:
名無しさん
准ちゃん。
あたしな、生まれ変わったら猫になりたい。
今度こそ、
誰にも染められない
黒猫に。2007-01-30 18:00:00