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ハナ
-
1:
名無しさん
ハナが、口の右端だけを上げて笑う。
何か企んでいる証拠。2006-11-27 03:04:00 -
651:
名無しさん
ねぇ准ちゃん。
こんな性格だから、絶対に言えなかったんだけど。
だけど
一回くらいは頑張って言えばよかったかな。
《アイシテル−…。》2007-01-30 18:03:00 -
652:
名無しさん
2007-01-30 18:04:00 -
653:
名無しさん
?????????
2007-01-30 20:54:00 -
654:
紅音◆LTrx1cGfeo
准は、あっという間にオムライスを食べ終えると、毛布にくるまり、ソファの上で眠りに就いた。
彼が深い寝息を立て始めた頃には片付けも終わり、准の隣に座り込んで寝顔を見つめた。
《黒猫、かぁ…−》
准が笑いながら言った言葉が、胸に突き刺さる。2007-01-31 03:10:00 -
655:
名無しさん
〔何色にも染まらへん。〕
その通りかもしれない。だってあたしは、とっくの昔に、真っ黒に染められてしまっているから。
爆睡しているだろう准が寝返りを打って、あたしの方を向いた。かわいい寝顔を目の前に、あたしはまた泣きそうになる。
なんでこんなに、あたしは弱いんだろう。2007-01-31 03:10:00 -
656:
名無しさん
いつもならネオンや照明に照らされて、他愛もない話で笑っているこの時間。
今は、日が落ちると同時に暗くなったこの部屋の中で、あたしは…−
黒い闇に、落ちた。2007-01-31 03:11:00 -
657:
名無しさん
その日あたしが眠りに就けたのは、太陽の光が部屋を明るくする頃だった。
ママに殴られる夢を見たけど、准は、あの時みたいにあたしを起こしてくれなかった。
2007-01-31 03:12:00 -
658:
名無しさん
2003年12月17日
AM12:00
クローゼットの片隅に置いた携帯に、咲君からメールが届く。内容は、見なくたってわかる。2007-01-31 03:13:00 -
659:
名無しさん
《あと、一週間…−》
カウントダウンが、
始まる。2007-01-31 03:14:00 -
660:
名無しさん
2007-01-31 03:14:00 -
661:
名無しさん
2007-01-31 03:14:00 -
662:
名無しさん
Final
SIDE 准
2007-01-31 03:21:00 -
663:
名無しさん
なぁ、ハナ
その黒い闇の向こうに、お前は何を見た?
2007-01-31 03:23:00 -
664:
名無しさん
赤、青、緑、黄色。色とりどりのネオンが、街中を飾り、いつにも増して眩しく夜を飾る。
もうすぐ、クリスマスだ。
年末とも重なって飲み屋街には人が集まり、クリスマスソングと、浮かれた笑い声があちこちで響く。2007-01-31 03:24:00 -
665:
名無しさん
『お願いします!』
グラス一杯に注がれたビールが、数滴床に染みを作ったけど、かまわず早足で客席へ置いた。
店は大忙しで、カウンターには数人の待ち客が、啓太と会話を楽しんでいた。2007-01-31 03:24:00 -
666:
名無しさん
『ハナさん入ります!』
のりちゃんの嬢回しの声と同時に、ヘルプで付いていた新人の子が待機席へ帰ってきて、そしてすぐにまた別の客席に戻る。
club RAINのNO1、ハナは今日も誰よりも忙しく席を回る。
俺はそれぞれの席にチェックを入れ、そして目に止まるのは、やっぱりハナだ。2007-01-31 03:26:00 -
667:
名無しさん
客によって接客中にコロコロと表情を変えるハナは、さながらどっかの女優みたいで、すごい。
あれだけ潰れそうだったRAINも、今では嘘のように客で溢れ返り、噂のお陰で面接にくる嬢の数も増え、人手も充分。
恐いくらい順調だった。2007-01-31 03:29:00 -
668:
名無しさん
だけど…−
最近、よく思う。 ハナの様子が、おかしい。
いざ店の外に出ると、
何かに追われてるかのように辺りを気にして、外に出歩かなくなった。俺と目が合っても、すぐに逸らすようになった。
何より、笑わなくなった。2007-01-31 03:31:00 -
669:
名無しさん
《何があったん?》
相変わらず、
ちゃんと聞けないまま。2007-01-31 03:32:00 -
670:
紅音◆LTrx1cGfeo
時間ばかりが過ぎる。もう、ハナに出会ってから二ヵ月が経とうとしていた。
『お疲れさまで〜す』
ラストまで、客席は埋まったまま、今日も無事1日を終えた。
いつものように送りを出し、最後にハナを乗せて一緒に帰る。久々に雪が降り積もり、朝のその真っ白な世界は、ハナといればいつもより余計綺麗に見えて、不思議だった。2007-01-31 19:23:00 -
671:
名無しさん
「もうすぐクリスマスやなぁ〜…」
車の中、俺はハナに話し掛けた。新人の子の送り先は反対方向だったため、ここから俺の家までとなると結構遠い。暖房が効いてきたお陰で、フロントガラスの端が少しだけ曇った。
『せやなぁ…。』
ハナから零れた言葉はそれだけで、居たたまれなくなってラジオをかけた。
今年一番流行った歌のサビが、タイミングよく流れる。2007-01-31 19:24:00 -
672:
名無しさん
永遠を 貴方は信じてた?奪わないで いなくならないで あたしは 君の隣にいたいよ 叶わなくても 届かなくても あたしは あたしには 貴方しかいないの
毎晩 何を祈るの? 真っ白な雪が君を隠して 見失ってしまう 好き それすらもう 伝えられないの?
…−
いつか聞いた、玲花のメロディーコールはこの歌だった。2007-01-31 19:25:00 -
673:
名無しさん
『ずっと、好きやった。』2007-01-31 19:26:00 -
674:
名無しさん
悲しそうに笑った彼女を見て、気付けば俺は玲花の手を取り、半分引きずる様に、足早に歩いていた。
『ちょっ…准?!准!どこ行くん!…ってかお金!』
玲花の声にはっとして、喫茶店の出口で立ち止まった。驚いた顔した店員に、急いで財布から金を出し、会計を済ませた。
《何やってるねん俺…》2007-01-31 19:27:00 -
675:
名無しさん
そんな俺を見て玲花は笑い、どこ行くん?ともう一回俺に聞いた。
だけど俺は、別に何か考えていたわけじゃなくて。
ただ、さっきのあの悲しそうな笑顔が、今の自分とかぶって、見ていたくなかっただけやった。
「どこ行きたい?」
そう聞き返すと、玲花は元気良く『飯!』と答えた。笑う玲花はうれしそうだ。2007-01-31 19:28:00 -
676:
名無しさん
『見て欲しかってん、うちを。だから、准を困らせることばっかしてた。』
彼女がそっとそう話し始めたのは、飯を食い終わり、玲花の要望で夜景を見に行く車の中でだった。
『クビなって、なんでわかってくれへんねんって、ムカついた。やけになって、SIX入店して、悪い噂流して…。あたしがいなくなってどんだけ困るか、教えたんねんって思ってた。』
「最低やな!笑」
『うちもそう思う。笑』2007-01-31 19:29:00 -
677:
名無しさん
『…−なぁ、准はさ、冷たくてやさしいよね。』
彼女がそう言ったのは、丁度夜景スポットに車を止めた時だった。
「何それ、どういう意味な…『きれー!!』」
玲花は少し大きな声でそういうと、会話を止めた。2007-01-31 19:31:00 -
678:
名無しさん
ぱっちりした大きな目を余計大きく見開いて、窓を開けて身を乗り出した。同時に、冷たい風が入ってくる。
「…寒っ!」
思わずそう言うと、玲花は慌てた様子でドアを閉めた。
「ははっ、ええよ、別に。開けとき。」
そう言って笑うと、玲花は恥ずかしそうにうつむく。気付かない振りして、ハンドルに顎を乗せ、綺麗なぁ、と呟いた。2007-01-31 19:33:00 -
679:
名無しさん
夜景なんて約2年ぶりぐらいで、久々に見た大阪の街は、前よりも明るくなった気がする。
《なんか、こうして見るとやっぱり…−
小せぇな、人って。》
『准?』玲花が俺をそっと呼んだから、おれは助手席へ顔を向けた。2007-01-31 19:34:00 -
680:
名無しさん
『准は、やさしいよ。』 そしてまた、ポツリと言った。
『馬鹿なこと、聞いてもいい?もう、わがまま言わへん。困らせるようなこともせぇへん。やから、嘘でも、何でもいいから…−
《好き》って言って?
そしたらあたし、めっちゃ頑張れる。RAINに、戻る。』2007-01-31 19:35:00 -
681:
名無しさん
目の前に広がる夜景が、玲花の顔をかすかに照らす。玲花は、やっぱり女の子らしくてかわいい。
簡単なことだ。たった一言、《好きだ》って言えばいい。玲花とハナが店に揃えば、向かうところ敵なしだ。
だけど…−だけど。2007-01-31 19:36:00 -
682:
名無しさん
《無理だ。》2007-01-31 19:36:00 -
683:
名無しさん
以前の俺なら、迷わず言えただろう言葉も、今は言えない。だって、ハナの顔が頭から離れない。ハナが俺のことを好きじゃなくても、ハナに他の好きな人がいても、俺には、…−ハナしか見えへん。
黙りこくった俺を、玲花は潤んだ瞳で見つめて、そして言った。
『ほらな?冷たくて、やさしい…−。』2007-01-31 19:37:00 -
684:
名無しさん
おわり?まだよみたいよぉ?
2007-01-31 21:43:00 -
685:
名無しさん
『言ってくれへんって、わかってたよ?ありがとう』
帰り道、玲花は小さな声でそう言った。2007-02-01 03:08:00 -
686:
名無しさん
車内にそれ以上の会話はなく、若干の気まずさが二人を包む。雪が、また降り始めていた。
「んな、気を付けて。」
玲花の家の前に到着し、俺はそう別れを告げた。
−…トンッ2007-02-01 03:09:00 -
687:
名無しさん
ほんの、一瞬。甘い香水が、薫る。
《あ、これ…元カノと一緒。なんやったっけ…。えっと、ベビードール…?》
突然のことで、状況がつかめないまま…−そんなことだけが、頭に浮かんだ。
玲花は、俺の胸元に顔を埋め、ギュッと俺に抱きつきながら、鼻をすすって、泣いていた。2007-02-01 03:10:00 -
688:
名無しさん
「玲…花?」
抱き締め返すことも、引き剥がすことも出来ず、俺は彼女の名前を呼んだ。
2007-02-01 03:10:00 -
689:
名無しさん
彼女は俺の胸元から体を離すと、
『准、変わったね!』
と、それだけ言って涙を拭い、満面の笑みでバイバイ、と手を振った。
マンションのエントランスのその奥に、消えていく玲花を、俺はいつまでも見ていた。2007-02-01 03:12:00 -
690:
名無しさん
彼女は、春が来たらこの街を出るらしい。2007-02-01 03:12:00 -
691:
名無しさん
2007-02-01 03:12:00 -
692:
名無しさん
『なぁ…准が設定したあたしの着信音、これやったやんな?』
ふと、ハナがそう聞いてきて、現実世界に引き戻された。
《そういえば、そうやったっけ…−》2007-02-01 03:14:00 -
693:
名無しさん
確か、ダウンロードランキングで一番上にあって、勝手に設定したはずだった。
この歌…
「いい歌詞やんな?!」 『安っぽい歌詞。』
曲が終わり、MCのむやみに明るい解説を後ろに、二人の声が重なった。2007-02-01 03:15:00 -
694:
名無しさん
少し驚いた顔して、ハナと俺は顔を見合わせた。
「えっ?いい歌やん!」 『はぁ?准センスないな!どこがやねん。』
「何やねんお前!可愛げのない女やな!」
『うっさいわボケ!死んでしまえ!笑』
「おい、だからそれ言い過ぎやろ!笑」2007-02-01 03:16:00 -
695:
名無しさん
それは久々に見た気がした、ハナの笑顔。
なんでかうれしくなって、俺は何度もハナを横目に見つめた。
赤信号で、車が止まる。 静かに、静かに雪が降る。2007-02-01 03:17:00 -
696:
名無しさん
『セッタちょーだい?』
その言葉に、胸ポケットからタバコを取出し、ハナに渡した。ハナがタバコを加えたのを確認してから、ライターに火を点け、ハナの口元まで持っていった。
彼女に初めてあった日に、そうしたみたいに。
ありがと、と言ってから、彼女はそのままタバコに火を点けた。ハナの長い前髪がかすかに手に触れて、こそばかった。2007-02-01 03:17:00 -
697:
名無しさん
フーッと、細い煙が上がる。そしてハナのその尖らした唇に、俺は気が付いたらキスをしていた。
時間が止まる。
細い道に、朝方他に車はなく、信号は青に変わり、また赤に変わった。
2007-02-01 03:18:00 -
698:
名無しさん
なぁハナ
永遠を、お前は信じてた?
安っぽい歌詞やって、お前はそう言ったけど
愛を囁く言葉なんて、もともと全部安っぽいねん。
だって‘愛’が何なのかなんて、誰も知らない。 それでもみんな、必死で考えてそれを求める。2007-02-01 03:20:00 -
699:
名無しさん
ハナ。
だから俺は、
またお前に会えたら
壊れるくらい強く抱き締めて、
『愛してるで』って、 言うと思うねん。2007-02-01 03:22:00 -
700:
名無しさん
2003年12月23日
2007-02-01 03:26:00