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干物女

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  • 1:

    飛鳥

    私は干物女。名前は飛鳥。22歳。無職歴半年。毎日家でぐーたら。同棲中の彼氏とモコっていう犬と暮らしてる。

    2006-12-08 00:32:00
  • 126:

    飛鳥

    次の日は1日中家で過ごした。外に出るのが怖かったから。海君は覚悟を決めたのか、友達とかに電話で「しばらくおらんようになる。飛鳥が困ってたら助けてやってくれ」と言っていた。夜になってお姉さんとその彼氏さんと会った。軽く話し合いをして、ご飯を食べに行く。海君は「しばらくこんなん食べれんくなるしな。」と言っていた。最後の晩餐。帰ってきてからもあたし達2人は寝れなくて、朝まで起きていた。朝お風呂に入って出掛ける準備をする。お姉さん達と合流して、隠していた車を取りに行く。

    2006-12-15 20:27:00
  • 127:

    飛鳥

    「朝10時28分。傷害罪で逮捕。」海君は警察署に出頭した。そして逮捕となった。海君はあたしをかばった。海君のお姉さん達が、「そん時いた女の子は、たまたまナンパした子って事にしとき!飛鳥ちゃんにも飛鳥ちゃんの親にも迷惑かかるし。」と言ってくれたから。刑事から、あたしの携帯に連絡があったのは、その日の夕方になってから。逮捕になった事と、しばらく帰れないから、着替えなどを持ってきてくれという事だった。「本当は君が事件の現場にいたんじゃないのか?」と聞かれたが、あたしは「知らない。また浮気でもして女といたんですか?」と刑事に怒ったフリをした。刑事は「まだ分からないから。怒らないであげて」と言って電話は切れた。

    2006-12-15 21:06:00
  • 128:

    飛鳥

    あたしは刑事に言われた通り、下着と着替えと洗面道具などをまとめて家を出た。お金も多少ある。留置所は現金を差し入れすると、煙草も買えるしご飯も出前ができる。あたしは警察署に向かった。警察署で名前と住所と拘留者との関係を書いて、差し入れをする。あたしは『婚約者』と書いた。海君はまだ取り調べが続いていて、今は接見禁止で面会はできないと言われた。あたしはすぐ家に帰った。

    2006-12-15 21:15:00
  • 129:

    飛鳥

    しばらく仕事をしていなかったが、これからは何かとお金が必要になる。家賃なんかもだけど、拘留されている海君にもお金がかかる。あたしは夜の仕事と昼の仕事を掛け持ちする事にした。毎日、朝起きて仕事に行ったあと差し入れに行く。1度家に帰ってから夜の仕事に行くの繰り返し。毎日3〜4時間しか寝れなかった。そんだけ働いても、お金はどんどん消えていく。海君のお兄さんやお姉さんに頼んでも、実家であるはずの家の家賃すら払ってもらえなかった。理由は『私達には払う理由がない』だった。お兄さんは会社を経営していて、お姉さんはクラブのナンバー1ホステス。あたしが寝る暇も無いくらい働いているのを知ってるはずなのに、援助は一切無かった。

    2006-12-15 21:24:00
  • 130:

    飛鳥

    海君のお母さんには、頼めなかった。あの事件があってからは、お母さんは海君の事を避けていたから。だからあたしも頼まなかった。唯一、海君の友達は、差し入れでお金をいれてくれてた。あたしの事も気にかけてくれていて、いつも心配して連絡をしてくれる。共犯となった元気君は、あたしを頼むという条件で、名前は隠す約束を海君はしていた。元気君も電話を頻繁にしてくれて「お金困ってない?」と最後まで気にかけてくれていた。

    2006-12-15 21:33:00
  • 131:

    飛鳥

    みんながあたしを気にしていてくれた。あたしは友達と遊ぶ事もほとんど無くなって、毎日仕事ばかり。疲れていたのか?気付けば夜の仕事が終わった後、ある店の前に来ていた。そのお店は、あたしが前に水商売をしていた時に、ちょくちょく足を運んでいたホストパブ。2年以上前に来た以来だが、まだ看板があった。そっとドアに手をかけた瞬間、中から1人の男が出てきた。「‥凛ちゃん」その男はあたしを見てビックリしていた。「飛鳥やん!めっちゃ久しぶり。飲みに来たん?入りや!」その男は凛ちゃん。あたしのお兄ちゃん的存在。相談にもよくのってもらっていたし、頼りになる人。

    2006-12-16 01:59:00
  • 132:

    飛鳥

    凛ちゃんはあたしが悪い方向へ行きかけると、ストップをかけてくれる。弱音を誰にも吐けなかったあたしは、凛ちゃんに今に至るまでの話や不満、これからの事に対しての不安をぶつけた。凛ちゃんはあたしの話をずっと聞いててくれた。「2年っていう時間が過ぎてるのに、飛鳥が俺を頼って来てくれて嬉しい。」凛ちゃんは、あたしが喋り終わって落ち着いた時にそう言った。やっぱり凛ちゃんは、あたしの落ち着く場所なんだね。あたしは、自分の中で溜っていたものがなくなって、帰る頃にはすっきりしていた。

    2006-12-17 00:18:00
  • 133:

    飛鳥

    また次の日から同じ日々が続く。変わったのは面会が出来るようになった事。その頃には海君は、留置所から拘置所へ移動していた。拘置所は家から少し距離があったから、毎日は行く事ができない。あと、1日に面会出来る人数も決まっていたから、あたしは月・水・金曜日に行く事になっていた。この頃のあたしは海君の家族にも不満が生まれてたし、海君に対しても恐いという感情は消えていた。

    2006-12-17 00:27:00
  • 134:

    飛鳥

    海君に対しては「うっとおしい」という感情すら生まれていた。拘置所は込み合うから、面会の時は朝からの仕事の前に行っていた。夜も仕事をしているから、起きたら時間がぎりぎりなんて事も何回もあった。準備が間に合わなくて、髪の毛を乾かさないで行く日もあった。それを見て海君は「どっかの男とホテル泊まった帰りか?!」とか、嫌味を言うようになった。朝にしか面会に行けないのも、「仕事とか嘘で、他の男と遊んだ帰りやから朝しか無理なんやろ?!」とか言われる。イライラしていた。あたしはまた薬に手を出してしまっていた。

    2006-12-17 00:37:00
  • 135:

    飛鳥

    遊ぶ暇も無いくらい働いていたのに、遊んでるなんて言われるなら「本当に遊んでやる!!」あたしは男の子とも遊ぶようになっていた。昼の仕事も辞めて、水商売だけにした。自由になったあたしは、仲良しの茜と毎日のように一緒。飲んだ後そのまま面会にも行ったし、実際に他の男と寝た後に面会に行った事もあった。だんだん面会にも行かない日が出てきたせいで、海君とガラス一枚挟んで喧嘩になった事もある。家賃も払ってなかったせいで、ポストには督促状が詰まっていた。

    2006-12-17 00:47:00
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