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−ミントガム−
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1:
紅音◆LTrx1cGfeo
最後の、最後までからかったのは、やっぱりあたしが、“お子ちゃま”だったからなんだろうか。
2006-12-16 19:19:00 -
2:
◆LTrx1cGfeo
夢を見た。
三年五組。やわらかな光が差し込む、暖かい教室。
いくら望んでも立てなかったあの頃のあの場所に、あたしはやっと立っていた。2006-12-16 19:20:00 -
3:
◆LTrx1cGfeo
ざわめく教室の中、
ほら、すぐ見つけられるあの人の姿。
一番後ろの、一番端っこ。仁先輩の、特等席。
きれいな金色の髪は、風に吹かれてゆらゆら揺れる。そこにある、太陽の光全てを、彼は独り占めするかのように浴びて、先輩は机に顔をふせて、気持ち良さそうにスヤスヤ寝ていた。
まるで光合成をしているかのような、そんな先輩の姿を、目蓋の裏に焼き付けた。2006-12-16 19:25:00 -
4:
◆LTrx1cGfeo
この人には、絶対的に太陽が似合う。
2006-12-16 19:26:00 -
5:
◆LTrx1cGfeo
少しの間見とれた後、あたしはおもむろに机と机の間を静かに通り抜けた。
ゆっくりとゆっくりと、彼に近づく。
ふと、さっきまでいた他の生徒達がいなくなっていたことに気付く。だけどそんなのは関係ない。
今も昔も、あたしを恋焦がすのは一つだけ。2006-12-16 19:28:00 -
6:
◆LTrx1cGfeo
一番端の、後ろから2番目に、彼のすぐ前の席の椅子に、そっと手を伸ばし後ろへ引いた。
と同時に、椅子の脚が床を擦る、予想外に大きな鈍い音が響く。
自分でも驚いて、思わずこの最愛の人を起こしてはいないかと、恐る恐る覗きこんだ。
《…大丈夫。》2006-12-16 19:29:00 -
7:
◆LTrx1cGfeo
ホッと一息付いた後、今度は音を立てないように椅子を持ち上げながら、体を横に向けて座った。
懐かしい、堅い背もたれに頬杖をついて、後ろ向きに体をねじった。
先輩の顔を見れるように。
多分、明日は卒業式で、仁先輩とは会えなくなる。2006-12-16 19:30:00 -
8:
◆LTrx1cGfeo
先輩の金髪が、オレンジ色に染まる。ああ、もう夕方なんだなと、ぼんやり思った。
少し痛んだ毛先が、キラキラ光って綺麗で、思わずあたしはそっとそれに手を伸ばした。
夢の間中、時はスローモーションみたいにゆっくりと流れていて、心臓の音だけが耳に響いていた。2006-12-16 19:32:00 -
9:
◆LTrx1cGfeo
−…「好きです」。
2006-12-16 19:33:00 -
10:
名無しさん
小さく小さく、擦れた声でそうつぶやいた。そして指先が、先輩の髪に触れそうになるまで近づいた、その瞬間。遠くで、チャイムの音が鳴る。
−ビクッ…自分の手が、まるで映画のワンカットみたいに震えて−…
2006-12-16 19:35:00 -
11:
◆LTrx1cGfeo
目が覚めた。そんな夢。
…懐かしい。2006-12-16 19:36:00 -
12:
◆LTrx1cGfeo
ベットからゆっくりと体を起こす。しんどさのせいで、一気に現実世界に引き戻される。
二日酔いだろう、頭も痛いが、それ以上に体が鉛のように重たい。そういえば昨日は飲み会だった。
いや、あれは《合コン》と呼んだほうが正しいかもしれない。
28にもなって、笑ってしまうけれど。2006-12-16 19:37:00 -
13:
◆LTrx1cGfeo
いつも通り、まずは枕の横にあるタバコに手を伸ばした。
肺の奥の奥まで、ニコチンってやつを入れてから、ゆっくりと濃い煙を吐き出す。
あたしは、あの後どうするつもりだったんだろう。2006-12-16 19:42:00 -
14:
◆LTrx1cGfeo
大人気なく、夢の続きが気になったりした。だけど、そんな情緒に浸っている時間もなく、時計を見れば、遅刻寸前。
逆にあの時目が覚めて助かったくらいだ。
服だけ着替えて急いで家を出た。寝起き独特の気持ち悪い口の中にミントガムを放り込む。
『辛っ…。』スーッとし過ぎた、強い刺激は、あたしの体に有無を言わせず“仕事だ”と教える。2006-12-16 19:46:00 -
15:
◆LTrx1cGfeo
もう、純粋なんかじゃなくて。
何の見返りも求めず、人を好きになれるほど綺麗でもなければ、
叶わない恋を追い掛け続ける若さもない。
2006-12-16 19:52:00 -
16:
◆LTrx1cGfeo
今日見た夢だって、きっと忙しい日常に埋もれて、すぐに忘れてしまうだろう。
たけど、夢で見た仁先輩の夕日に光る金髪は、やけに印象的で、逆に、今だに覚えているんだとも思った。
…そういえば最近、めっきり減ったよなぁ、金髪。2006-12-16 19:56:00 -
17:
◆LTrx1cGfeo
シャカシャカシャカ…
いつも持ち歩いている携帯用の歯ブラシセットで、念入りに歯を磨いた。舌にくっついている粘膜みたいなモノも一緒に、削ぎ落とすようにうがいした。
酒を飲んだ次の日、吐く息はやっぱり臭い。まぁ、いつものことだけど。2006-12-16 19:58:00 -
18:
◆LTrx1cGfeo
−「また寝坊したんすか?」その声に顔を上げると、鏡越しに今井の顔が見えた。
もう一度水を口に含み、吐き出した後「おはよう」とだけ返した。
「おはようございます。」にやっと笑って彼女もそう返す。
24歳、同僚みたいなあたしの後輩だ。2006-12-16 19:58:00 -
19:
◆LTrx1cGfeo
「昨日、アヤ先輩が幹事の合コン行ったらしいすね。どうでした??」
相変わらず、ヤンキー同士が使うみたいな、なってない敬語で話し掛けてくる今井。だけど彼女のこの話し方を、あたしはそんなに嫌いじゃない。
それにこいつがこんな敬語を使うのはあたしにだけで、それは慕ってくれているからだろうと、あたしは勝手に解釈している。2006-12-16 20:00:00 -
20:
◆LTrx1cGfeo
『まぁ、うん。な?』首を少し傾げながら、あたしはニヤリと笑ってそう言ってみせた。
「せんぱぁ〜い!(笑)そうやって選り好みするから、いつまでたっても彼氏出来ないんすよ!」
今井は、冗談みたいに、だけどそれこそ平気で核心をつく。
『うるせ〜よ(笑)』2006-12-16 20:01:00 -
21:
◆LTrx1cGfeo
パッパと水に濡れた両手を払う。それから、同じく濡れた口元をシャツの袖で拭って…と。今井が、ピンクのかわいらしいハンカチをあたしの目の前に突き出した。
「ンま、その男らしい性格なんとかして下さい。」 そう言いつつ、また笑う。
『…ありがと。』綺麗にアイロン掛けされ折り畳まれた正方形のハンカチを、もう一度斜めに折って、三角にしてから、チョンチョンと口の両端を拭ってみた。もちろん、冗談で。
「似合ってないっすよ。お嬢様?(笑)」2006-12-16 20:04:00 -
22:
◆LTrx1cGfeo
本当のお嬢様がどんなやり方で口元をハンカチで拭うのかなんて知らないけど、少なくともこんなところで口元を濡らすことはないんだろうな、とは思った。
『あっそ。』そういってハンカチをポンと今井に投げ返して、あたしは颯爽とトイレ…じゃない、レストルームを後にした。
うちの会社のレストルームは広くて綺麗で、気に入っている。
いつも通りの月曜日、よくあるある、会話。2006-12-16 20:06:00 -
23:
◆LTrx1cGfeo
…おぉっと。
トイレを出たと同時に、どっかの課の男性社員と鉢合わせになった。
『おはようございます。』両方の口角を、少しだけ上げたやさしい微笑みで、姿勢良く軽くお辞儀する。
手にもった歯ブラシセットはもちろんさり気なくポケットにしまった。
目が合ってから、ニコッともう一度、(やらしくない程度の)満面の笑みで笑ってみせた。2006-12-16 20:10:00 -
24:
◆LTrx1cGfeo
「おはようございます。」後から出てきた今井も、あたしと同じように礼儀正しく、上品に、挨拶を交わす。
さっきとは全く別の顔。
女なんてみんな、こんなもん、こんなもん。2006-12-16 20:13:00 -
25:
名無しさん
第二企画部−
自分のデスクに座って、パソコンの電源を入れる。
と同時に「どうぞ」とコーヒーが置かれた。『ありがとう。』と口にはしながら、コーヒーの色が目に入った瞬間、心の中では舌打ちをしてやった。あたしのコーヒーにはミルクは三つ。2006-12-16 20:14:00 -
26:
◆LTrx1cGfeo
入社して六年、今年で七年目。有名ってわけでもないけど、なんとなく、暗黙の了解で広まっている。
なんてったって“お局様”…みたいやから。
そのまま、隣の席にも「どうぞ」とコーヒーを配る、奴の顔を見る。…やっぱり、新人のんちゃん、か。
「のんは〜…」社会人にもなって、自分のことをそう呼ぶこの女は、この春短大を卒業したとか言う二十歳。2006-12-16 20:15:00 -
27:
◆LTrx1cGfeo
起動したパソコン。
甘いコーヒーを啜りながら、まずはメールボックスを開く。
受信中
1件…3件…5件…2006-12-16 20:23:00 -
28:
◆LTrx1cGfeo
ほとんどが、取引先、上司、同僚からの、この週末で決まった仕事連絡のメール。今週も来週もその先も、やることは一杯あるんだろう。次から次へと、受信件数は増えていく。
深いため息を一つついてから、一件一件チェックしていった。
変わらない毎日。
コレが今のあたしの日常。2006-12-16 20:26:00 -
29:
◆LTrx1cGfeo
−ん?また、新規メール受信。送信元には“Imai”の文字。
カチッ。小さく鳴いて、マウスがメールを開く。2006-12-16 20:29:00 -
30:
◆LTrx1cGfeo
…80点!
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓2006-12-16 20:32:00 -
31:
◆LTrx1cGfeo
思わず笑った。返事は返さなかった。
2006-12-16 20:32:00 -
32:
◆LTrx1cGfeo
2006-12-16 20:34:00 -
33:
◆LTrx1cGfeo
2006-12-16 20:40:00 -
34:
◆LTrx1cGfeo
一目惚れだった。
後にも先にも、
たった一人だけの。2006-12-16 20:43:00 -
35:
◆LTrx1cGfeo
桜舞う春、入学式。
周りを見渡せば、どいつもこいつも気が合いそうにない奴らばかりで、あたしはただひたすら落胆していた。
予想通りのこの展開に。2006-12-16 20:46:00 -
36:
◆LTrx1cGfeo
気が付いたら外は真っ暗で、時計を見るともう10時。焦ったあたしは急いで家に帰った。雪が降る中、傘も差さずに。
あの日、あたしがカラオケで楽しんでいたあの時間、悪あがきだろうが何だろうが、猛勉強してたはずのライバル達。
あの日、あたしが必死に自転車をこいで家へと急いでいたあの時間、暖かい部屋の暖かい布団で、さっさと眠りについてたはずのライバル達。2006-12-16 20:57:00 -
37:
◆LTrx1cGfeo
何にだってなれる、
自分は特別な人間だと思っていた。
未来は眩しく、希望で満ちて−…10年後の自分が何をしているのか、
知りたくて知りたくてたまらなかった。
2006-12-16 21:03:00 -
38:
◆LTrx1cGfeo
あの頃のあたしに、
今のあたしは胸を張って会えるだろうか。
たかが弱小出版社で、
普通に働くOLが。2006-12-16 21:05:00 -
39:
◆LTrx1cGfeo
2006-12-16 21:08:00 -
40:
◆LTrx1cGfeo
久々だなぁ…この空気。
書類ばかりが入った重たい鞄を、吸い殻をよけた地面に置いて、あたしは思いっきり息を吸い込んだ。
自然と煙草に手が伸びる。2006-12-23 21:33:00 -
41:
◆LTrx1cGfeo
遠いとばかり感じていたこの場所も、新幹線に乗りさえすればたったの一時間ちょっと。多分何でも"気の持ちよう"ってことなんだろう。
大阪。
東京と同じ、朝も夜も輝く眠らない街。だけどどこか、やっぱり親しみが湧く理由は、故郷だから、それだけじゃない。
…なんて、大学卒業と同時に今の会社へ就職。この六年間の間にただの一度も帰らなかったあたしが言う言葉でもないけど。2006-12-23 21:35:00 -
42:
◆LTrx1cGfeo
さてと。
煙草を揉み消し、そこら辺に投げ捨てた。相変わらずの重たい鞄を持ち直してから、あたしはタクシーを捕まえる。目的地は、日本橋に最近新しくできたとかいう、デザイナーズマンション。
自分自身でがやらかした、単純な伝達ミスでの出張。締切日が早まったのを伝え忘れ、原稿を直接受け取りに、ここまで来た。2006-12-23 21:36:00 -
43:
◆LTrx1cGfeo
『松田太陽』至って普通のペンネームの、この新人作家の素性は謎が多くて不気味。
だけどうちの会社の“落ちこぼれ”第二企画部に任された、ゴシップ雑誌の後方、穴埋めにあたる2ページはあたしの担当で、彼の小説連載を企画した。
芸能人の裏スクープ、不正政治家のバッシングや、売れないアイドルのヌード写真。汚い情報ばかりで埋め尽くされる汚い世の中の象徴に、彼が書く綺麗で切ない純愛小説を選んだのだ。
上司には乗せるモノをもう少し選べと散々言われたが、あたしはそのまま押し通した。
雑誌の向こう側にいるしょうもない記事にかぶりつく、野次馬でしかない読者達を思い浮べる。嫌になることばかりの世の中と、人の噂ばかりを楽しむ彼ら達への、あたしなりの小さな抵抗だった。2006-12-23 21:38:00 -
44:
◆LTrx1cGfeo
−親友の彼女。
ありがちな設定、禁断の恋の定番。だけど、彼が書く物語の背景や、主人公の心情表現が、とにかくすごくすごく綺麗で切なくて、それでいて親近感が湧いた。2006-12-23 21:39:00 -
45:
名無しさん
−人魚姫は、どうして王子を殺さなかったんだろう。
彼の小説の冒頭は、この言葉で始まる。2006-12-23 21:40:00 -
46:
◆LTrx1cGfeo
そもそも、元は東京にある本社に送られてきた、数ある持ち込みの中の一つにすぎなかった。
とはいっても彼の場合は郵送で、あたしが彼の原稿を手に取り捲った時には、送られてきた消印から、一ヵ月は過ぎていた。
小さい会社ながらも、どんどん溜まる持ち込みは、直接作者本人が持ってこない限り、オフィスの隅の箱に投げ込まれる。
大概そのまま読まれることもなく、そのうち処分され…なんていうのもざらにある。雑誌の求人募集には、[郵送可持ち込み歓迎!]のうたい文句がある癖に。
…まぁ、会社なんてどこも、こんなもんなんだろう。2006-12-23 21:41:00 -
47:
◆LTrx1cGfeo
彼の場合は、送られてきた原稿が入った封筒が、あたしの好きなオレンジ色だったから、たまたま目に留まった。それだけ。
正直、仕事の合間に手が空いて、他の仕事を手伝わされるのを先に阻止するための行為だったりした。
なのに、読み始めた途端、あっという間に夢中になって、気付いた時にはその日の仕事が山積みになっていたりした。
急いで上司に報告し、急いで企画書を作り直し、急いで作者『松田太陽』に連絡を入れのだった。2006-12-23 21:43:00 -
48:
◆LTrx1cGfeo
二週間に一度、コンビニや本屋にはその本が並ぶ。
この企画が始まってから、さりげなく雑誌を前に置き並べたりする。
新米だった、入社当時のあたしみたいに。2006-12-23 21:43:00 -
49:
◆LTrx1cGfeo
大好きだった色は
オレンジ。
先輩の色。
2006-12-23 23:00:00 -
50:
◆LTrx1cGfeo
夕日に輝くその髪も、けらけら笑ったあの笑顔も、あたしの名前を呼ぶ声も…−先輩と、さよならしたあの日の空も。全部。
いつだって、オレンジキラキラ眩しくて
あたしは、目を逸らしてばかりだった。2006-12-23 23:04:00 -
51:
◆LTrx1cGfeo
踏み潰された桜の花びらが汚かった、入学式の帰り道−…。
あたしは、先輩を見つけた。2006-12-23 23:07:00 -
52:
紅音◆LTrx1cGfeo
入学式後のHRに、あたしは出る気なんて全く起きなくて、さっそくサボって自転車置場に向かった。しょっぱなからこんなんで、あたし卒業出来るんかな…
早歩きで向かった、誰もいないはずの自転車置場に、人影が見える。一歩一歩、近づく度に、それをはっきりと、鮮やかに、あたしの瞳は映し出す。2006-12-27 06:56:00 -
53:
◆LTrx1cGfeo
《やばい、めっちゃ
…綺麗。》
それだけだった。頭に浮かんだのは。2006-12-27 06:57:00 -
54:
◆LTrx1cGfeo
腰近くまである、長い栗色のロングストレートは、何かのシャンプーのCMみたいに、サラサラと風になびいていた。
“彼女”は背伸びして、目の前の男の子とキスをしていた。2006-12-27 06:58:00 -
55:
◆LTrx1cGfeo
《先輩達かな。めっちゃお似合い−…。》
そう思った、瞬間だった。
“彼女”の方が、背伸びを辞めてそのまま−…隠してた“彼氏”の方の顔が見えた。2006-12-27 06:59:00 -
56:
◆LTrx1cGfeo
愛しそうに、ほんまに、愛しそうに−…“彼女”に微笑む“彼氏”。
それが、仁先輩だった。
その、今まで見たこと無い程の優しい笑顔に…−あたしは一目惚れしたのだ。2006-12-27 07:00:00 -
57:
名無しさん
“彼氏”の視線が、ふとあたしに移って、彼は照れる素振りも見せず、ニヤっと笑った。
あたしは、その視線すらも逸らせないまま、ただ茫然と立ち尽くしていた。2006-12-27 07:01:00 -
58:
名無しさん
“彼氏”の異変に気付いてか、“彼女”が振り返り、あたしを見る。
びっくりする程、綺麗な人だった。
2006-12-27 07:02:00 -
59:
名無しさん
“彼女”の方は、照れた様子で笑って、何故かあたしに会釈した後、“彼氏”に何かを告げ、そのまま手を振り裏口の校門から、学校を後にする。
−…残された、“彼氏”と“あたし”。2006-12-27 07:02:00 -
60:
名無しさん
彼はそのまま自転車置場の入り口に座り込み、学ランの内ポケットから出したタバコに火を点けた。
遠くからでもわかる、《茶髪》は、“彼女”と同じ栗色で。太陽に照らされたそれは、あたしにはオレンジ色に見えた。2006-12-27 07:03:00 -
61:
名無しさん
相変わらず立ち尽くしたまま、一歩も歩けなくなったあたしに、彼は視線を戻すと、ちょいちょいと手招きをした。
その瞬間に、何かの魔法みたいに体が軽くなって、あたしは、何故か走って彼のもとへ向かってた。2006-12-27 07:04:00 -
62:
名無しさん
彼の前にしゃがみこみ、「彼女?」って、わかりきったことを、自然と尋ねていた。
『まぁなっ。』案の定そう答えた先輩は−…幸せそうに笑った。
2006-12-27 07:04:00 -
63:
名無しさん
『一年?』今度はあたしが質問される。コクコクと、首を大きく縦に振った。
『HRは?』…聞かれた瞬間、思わずちょっとあたしもにやけた。
『早速サボりかよ!やるなぁ!笑』その言葉に、今度はちゃんと笑った。
2006-12-27 07:05:00 -
64:
名無しさん
「あ、そういえば制服違ったかも。何部なん?」
『サッカー部のマネージャー。ちなみに俺もサッカー部!』
「あ、それで知り合ったんや!」
『それ!綺麗やろ?』
「うん、めーっちゃ!いいなぁ…」2006-12-27 07:07:00 -
65:
名無しさん
『ん?何が?』
「いや、彼氏欲しいなって!あたしにも、出来るかなぁ〜…」
『…よし!じゃぁお前、サッカー部のマネージャーんなれ!なっ!決まり!笑』
「ちょっ、勝手に決めんとってや〜!笑」2006-12-27 07:07:00 -
66:
名無しさん
会話は自然と弾んだ。
有無を言わせず、あたしを夢中にさせる先輩。
仁先輩。2006-12-27 07:09:00 -
67:
名無しさん
『おぃこら!そこで何してる!』
遠く先に、先生だろう人が見え、その怒り声はしっかりとあたし達に向けられていた。
『やっば!逃げろ!』
その声と同時に立ち上がった先輩は、タバコをコンクリートでもみ消した。2006-12-27 07:10:00 -
68:
名無しさん
『カナ、チャリある?!』「ある、オレンジの!」
『よっしゃ、鍵貸して、ほら、後ろに乗って!』
言い終わるか言い終わらないかのうちに、あたしは自分の自転車の後ろにまたがっていて、先輩はすでにチャリをこぎ始めていた。2006-12-27 07:11:00 -
69:
名無しさん
『こらぁ〜!』
先生の怒鳴り声を背中に聞きながら、あたし達は学校を後にする。
仁先輩に、呼び捨てで呼ばれた、たったそれだけのことがうれしかった。2006-12-27 07:12:00 -
70:
名無しさん
あの日。
叶わない想いだと、わかった瞬間に恋に落ちた。
そんな恋愛だった。
2006-12-27 07:12:00 -
71:
名無しさん
この学校に入学してよかったと心から思った。
ォレンジ色の自転車
仁先輩の後ろ
桜並木の坂道2006-12-27 07:13:00 -
72:
名無しさん
頑張って??
2006-12-27 07:21:00 -
73:
名無しさん
2006-12-27 20:22:00 -
74:
名無しさん
こっちも書いて−!!!
2007-01-30 00:22:00 -
75:
名無しさん
あげ
2007-01-30 11:39:00 -
76:
名無しさん
age
2007-02-07 15:41:00 -
77:
名無しさん
あげ
2007-02-07 19:26:00 -
78:
名無しさん
書いてゃぁッッ!m(__)m
2007-02-19 17:46:00 -
79:
名無しさん
あげ
2007-03-10 13:00:00 -
80:
名無しさん
?
2007-03-12 19:43:00 -
81:
名無しさん
あげ?
2007-06-24 12:34:00 -
82:
名無しさん
あげ
2007-06-24 13:47:00 -
83:
名無しさん
あげ
2007-06-27 07:40:00 -
84:
名無しさん
あげ
2007-11-08 12:00:00 -
85:
名無しさん
あげ?書いてくれ
2008-04-21 03:44:00 -
86:
名無しさん
書いてぇ?
2008-04-28 22:18:00 -
87:
ホリケン
ミントはミンチになってハンバーグの材料に使われました
2008-04-29 00:58:00 -
88:
名無しさん
あげ
2008-04-30 19:38:00 -
89:
あや
ひゃあく
2008-05-01 03:00:00 -
90:
名無しさん
主さんお元気ですか
2012-03-21 05:50:00