小説掲示板―mama―のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

―mama―

スレッド内検索:
  • 1:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか!はよ起きなさい!学校行くの?行かんの?」
    「行くようるさいなあ」
    「行くんやったらはよ起きや!ほんまに毎日毎日…」
    ほんとうるさい親。大嫌い。消えちゃえばいいのにって、何百回、何万回思ったことか。

    2006-12-18 19:15:00
  • 2:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    今日は海に行った。泳ぐわけでもなし、制服着たまま海を眺めてた。ユミと話す事といえばファッションの事、恋愛の事、ごく普通の会話。
    夕方になって、ユミと別れてあたしは彼氏のタクと会った。ご飯食べたりブラブラして家に帰ったのが夜の12時くらいだった。ガチャ 玄関のドアを開けるとすごい足音で父親が階段を降りてきた。

    2006-12-18 19:46:00
  • 3:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「お前何してんねん!何時やおもとんじゃ!」
    と怒鳴られ顔面を殴られ髪の毛を引っ張って引きずられた。父親が馬乗りになってまた殴ってきた。それを止める母親。あたしは何事もなかったようにソファーに座った。こんなのは毎日の事だ。父親は黙って寝室に戻った。「なんでこんな遅なったん?みんな心配してんねんで?」母親が優しい声で言ってきた。うるさい。もうホント放っておいてほしい。

    2006-12-18 19:59:00
  • 4:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日、地元を歩いてたら先輩に会った。「お前、タクと別れた?」「え、別れてないけど」 「あいつ昨日ナンパしてたで、ホテル行こうとかゆうてたで」 「そーなん」
    あたしは別に何とも思わない。別れたいと言われたら別れるし何も言わなかったらそのまま。
    タクとはそれから連絡回数が減って、いつの間にか別れたという事になってた。

    2006-12-20 07:26:00
  • 5:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは次の彼氏を作ってまた、つまらない毎日を過ごしてた。周りの友達は、彼氏と喧嘩して泣いただの、彼氏と何年記念だの言っている。あたしはそんな普通の事が羨ましかった。冷めてる自分が嫌になる時がある。あたしにも大好きだと思える人はできるのかな。

    2006-12-20 07:28:00
  • 6:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    はじめての夜の仕事。煌びやかな店内にはドレスを着た綺麗な女の子がいっぱい。あたしには何もかもが新鮮だった。
    「今日入ったん?あたしの名刺あげる〜、何でも聞いてな☆」 「ありがとー」
    夜の仕事って恐いイメージがあったけどみんなすごい優しい。あっという間に閉店時間になった。ロッカールームに戻ってケータイを見たら、親からの着信履歴で埋まっていた。

    2006-12-20 11:23:00
  • 7:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ゲッ…どーしよ… あたしは恐る恐るメールをいれてみる。
    ―ごめん、気づかんかった―
    速攻電話がかかってきた。「あんた何してんの!どこおるん!」 「キャバでバイトしてる」 「はあ?とりあえず帰ってこい!!」 プープー…
    一方的に切られた。

    2006-12-20 11:52:00
  • 8:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから、彼氏からも電話がかかってきた。「お前なにしてん?メールも帰ってけーへんし」 「キャバでバイトしてた」 「は?ほんまにゆーてるん?とりあえず家帰れ」


    あたしの事を監視する奴は全員いなくなれ。心の底からそう願った。

    2006-12-20 12:02:00
  • 9:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    家に帰ると母親はまだ起きてた。暗い部屋でコーヒーを飲みながら静かに言った。
    「連絡くらいしなさい、みんな心配するやろ。どこで働いてんの?もう行ったあかんよ」 「はあ?何でなん?意味わからんし!」 「夜働くなんかあかん、あんまはまだ未成年やねんから」 「うるさいなあ、あたしの勝手やろ!もう構わんといて」 言い合いがしばらく続いて、諦めたのはあたしの方だった。

    2006-12-20 12:13:00
  • 10:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    部屋に戻ったあたしはなぜか涙が出た。何でなにもかも制限されるんやろう、こんな家いやや。
    次の日、母親が部屋に入ってきて言った。
    「はるかちゃん、今日学校休んでお母さんと買い物行こう、何でも買ってあげるよ」 「うん」
    母親は、あたしの気持ちを引き止めるのに必死だった。

    2006-12-20 12:44:00
  • 11:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはそれから引きこもりみたいになった。なんか、気力を失ったというか、何もやる気が出なくなった。それを見た母親はあたしを精神病院に連れて行った。何もかも病気のせいにしてしまう考えに腹が立った。もちろんあたしは精神病なんかじゃなかった。
    帰ってから気晴らしに友達と出掛けた。やっぱり友達は元気をくれる。久しぶりにいっぱい笑った。

    2006-12-20 14:48:00
  • 12:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはこれからどうするか考えた。学校は辞めてしまった。彼氏とも別れた。そんな時、母親が求人誌をを見せてきた。住み込みのバイトの募集だった。あたしは、家を出たかったし親もそれを分かっていた。電話するとあっさり来てくださいと言われ、びっくりした。

    2006-12-20 15:01:00
  • 13:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    バイト先まで親が送ってくれた。「半年間やけど、しんどかったら帰ってきいや、たまに来るから」 「うん」
    どんな事でも、新しい事にはワクワクする。何より、家を出れた事がうれしくて仕方なかった。
    雇い主の人に挨拶して、貸してくれる家に案内された。

    2006-12-20 15:21:00
  • 14:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    夜になって、タバコを買いに外に出たら、声をかけられた。
    「ねぇ、バイトの子?」 「ん?そーやけど」
    「うわあ、関西弁だあ!俺もバイト来たんだよ、ね、喋ろうよ」
    その男はあたしと同じ年で、東京から来たらしい。名前はヒロ。

    2006-12-20 15:23:00
  • 15:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    一時間くらい話して、番号を交換した。帰ってからすぐ、ヒロから電話があって、部屋に来た。するといきなり覆いかぶさってきた。
    「は?何?やめてや!」
    「いーじゃん、ね、ね、ね。」
    そのまま最後までやってしまった。それからヒロはほぼ毎日部屋に来るようになった。

    2006-12-20 15:56:00
  • 16:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ヒロには彼女がいた。ここには彼女が許したのか勝手に来たのかは知らないけど。ヒロは典型的なB型で、自分勝手で自己中。でも一緒にいるとすごく楽しい。あたしは毎日ヒロに会うのが楽しみになっていた。
    (あたしまさかヒロの事好きになってる?そんな訳ない、あいつはチャラいしタイプじゃないし)あたしは何も考えないようにした。

    2006-12-20 16:20:00
  • 17:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    いつものようにヒロが部屋に来て、話していると、「ねぇ、はるか俺と付き合ってよ」 「は?あんた彼女おるやん」 「だめ?」
    つまり二番目って事?
    「はいはい」
    あたしは笑いながらかわした。けど、心の中は同様していた。ヒロには彼女がいる。あたしの事はどうせ遊びで終わり。でも…好きかもしれない。

    2006-12-20 16:46:00
  • 18:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしの気持ちは日に日に大きくなっていった。そんな事を知ってか知らずか、ヒロはあたしに会うと、「はるかぁ〜☆」 と言って抱きしめてくる。その度にあたしは息苦しくなってなんともいえない気持ちになる。
    これが恋ってやつかな?本気で人を好きになった事がなかったあたしは自分の気持ちに気づくのに時間がかかった。

    2006-12-20 16:51:00
  • 19:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある夜あたしが部屋にいると、他のバイトの子が来た。
    「さっき、ヒロの彼女が来たよ」 「えっ?」 「ヒロに会いに来たらしい、そのまま2人でどっか行っちゃった」 「そうなん」
    あたしの胸の鼓動が速くなった。
    「もしかしたらもう帰ってこないかもねぇ」 その子の言葉に心臓が凍りついた。そして急に涙が出た。

    2006-12-20 16:59:00
  • 20:

    。セノマコ」ヤツア

    2006-12-20 17:33:00
  • 21:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「えっ?えっ?」 その子が困惑している。
    「はるか、ヒロの事好きだったの?」 「……。」 「そっかあ…ヒロ、帰ってくるといいね」
    やっぱりあたしはヒロの事が好きだったんだ。自分でもびっくりするくらい、涙が止まらなかった。しばらく色々話した。それからしばらくして、ガチャ…
    ドアの開く音がして、見上げるとヒロが立っていた。

    2006-12-20 18:06:00
  • 22:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ヒロ〜〜、帰ってきたんだぁ。あんた見てよはるかのこの顔!」
    あたしは泣きはらした顔を見られたくなくて下を向いた。「じゃああたし帰るね」 バイトの子が帰って行った。
    「はるか…?心配してたの?」「うんっっ……」
    あたしは泣きながらヒロに抱きついた。生まれて初めて素直になれた気がした。

    2006-12-20 18:18:00
  • 23:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    何で彼女が来てたのか、彼女と何を話したのか、あたしは何も聞かなかった。それに、ヒロは自分の事を何も話したがらない。あたしがヒロについて知ってるのはほんのわずかだけ。今ここにヒロがいる。それだけで十分だった。

    2006-12-20 22:22:00
  • 24:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ヒロは酒飲みだった。あたしはあまり飲めないけど、よくみんなで飲んだ。酔った時だけヒロは色んな事を話す。
    「はるかぁ〜大好きだよ〜結婚しよぉね」
    あたし達は付き合ってないしヒロには彼女がいる。今の関係が何なのか、あたしには分からなかったし聞くのも恐かった。

    2006-12-20 22:31:00
  • 25:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    バイトの期間が終われば離れ離れになる。好きになればなる程悲しい思いをする。分かってたけど、あたしの気持ちは止められなかった。
    バイトを始めて3ヶ月くらい経った頃、ヒロがいきなり言った。
    「はるか、俺、地元帰るよ」 「えっ?なんで?」 ヒロはよく仕事をサボったりしていたから雇い主のおじさんと喧嘩してクビにされたらしい。

    2006-12-20 23:20:00
  • 26:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「そーなんや…」
    あたしは頭がパニックになった。どうしよう、もう会えないの?そんなの嫌だ…。あたしは無言でうつむいていた。
    「はるか、一緒に来る?」 「えっ!いいん?!」 「うん、俺んち来いよ」 あたしは涙が出るくらいうれしかった。

    2006-12-20 23:32:00
  • 27:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたし達は車でヒロの地元まで行った。ファミレスでご飯を食べながらヒロが言った。
    「地元マジ恐ぇ〜よ」
    ヒロは彼女に見つからないかキョロキョロしていた。あたしは見られちゃえばいいのに、と思った。バレたくないって事は彼女と別れたくないって事かな。。
    あまり深く考えちゃいけない。

    2006-12-21 21:33:00
  • 28:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ファミレスを出て、ヒロの家に行った。
    ヒロは三人兄弟の四人家族。母親はいないらしい。お兄ちゃんはやくざ、お姉ちゃんはヤンキー上がりのギャル。みんな仲良しで優しかった。
    なにより、ヒロの事を知れて、すっごく嬉しかった。

    2006-12-21 21:38:00
  • 29:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    夜になって、居酒屋に行く事になった。そこには、ヒロの友達がたくさんいて、あたしをみんなに紹介してくれた。
    あたしは嬉しくて調子に乗って飲みまくった。ヒロも久々にみんなに会えて嬉しそうだった。

    2006-12-21 21:42:00
  • 30:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    店を出る頃にはフラフラになってた。次にカラオケに行ってまた飲んだ。酒に強いヒロもさすがに酔ってた。
    「はるか、外出よう」ヒロに呼ばれて出た。
    「どしたぁ〜ん?」あたしはヒロに抱きついてふざけた。
    「はるか、ここ座って」 酔ってるはずなのに真剣な顔のヒロ。あたしは一瞬シラフに戻って言われた通りに座った。

    2006-12-21 21:46:00
  • 31:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日朝起きると、ヒロがご飯の支度をしていた。その次は洗濯。あたしはびっくりした。
    「ヒロ、お母さんは?」 「あー、男つくって出てったよ」 「そーなんや…」 「女なんてねぇ、そんなもんだよ」
    ヒロは女遊びが激しい反面、女嫌いでもあった。今までも暴力しまくってきたらしい。あたしはまだ手を挙げられたことはないけど。

    2006-12-23 17:09:00
  • 32:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    その夜、寝ていたらヒロのケータイが鳴った。
    「げっ、やべー」 そう言いながら電話をとった。「はい…」 (お前何してんだよ!帰ってきてんだろ!!) 女の子の声がする。「誰ぇ?」あたしが聞いた。 (お前女いるだろ!誰だよ!今家の前にいるから開けろよ!)
    ドアをガンガン叩く音がする。彼女か…。
    「ごめん、ちょっと行ってくるね」 え、行くの?行かないでよヒロ。そう言いたかったけど言えなかった。「うん…」

    2006-12-23 17:12:00
  • 33:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    しばらくして、ヒロが戻ってきた。よかった、帰ってこないかと思った。何話したの?あたしの事言ったの?
    あたしは何も聞けなかった。聞くのが恐かった。

    あたしはヒロの何…?

    2006-12-23 17:14:00
  • 34:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ヒロの家に来て二週間くらいした頃、あたしの母親から電話がかかってきた。
    「はるかちゃん、バイト辞めたんやってねぇ、まあ頑張った方やな。今どこいんの?」
    「友達んちー」
    「そう。しばらくしたら帰っておいでよ」

    2006-12-23 17:16:00
  • 35:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「帰ってこいって。ほんまうっとーしいなあ」
    「心配してんじゃん、俺なんて心配してくれる人いないよ?羨ましいよ。とりあえず帰れよ」
    帰ったらどーなるの?また会える?ヒロは帰ってほしいの?
    でも、いつまでもこうしていられない事も分かってた。あたしはやっと現実に目をむけた。

    2006-12-23 17:17:00
  • 36:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはヒロに新幹線の駅まで送ってもらった。「また連絡するから」
    そう言うヒロの顔を見れないままあたしは新幹線に乗った。
    また会えるよね?これで終わりじゃないよね?
    不安な気持ちを抑えきれなくて新幹線の中で泣いた。

    2006-12-23 17:20:00
  • 37:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    地元に帰ったあたしは友達と遊びまくった。少しでも気を紛らわしてないと苦しくて死にそうになるから。
    本気で人を好きになれなかったあたしは、収まりがつかない位、ヒロを好きになっていた。

    2006-12-23 22:34:00
  • 38:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから何日かして、ヒロの友達から電話がかかってきた。
    「あ、はるちゃん元気〜?あのさぁ、はるちゃんが帰ってからヒロやばいよ。マジ弱ってるもん、助けてあげてよ、ヒロに代わるね」 「はるかぁ〜〜」 ヒロはかなり酔ってるみたいだった。
    「俺ね、お前とはひと夏の恋でいいやって思ってたの。でもダメなんだ、終わらせたくねぇんだよ…」 強がりのヒロが弱音をはいた。
    「俺明日そっち行くから」

    2006-12-23 22:43:00
  • 39:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、ヒロは本当に来た。あたしは恐る恐る聞いてみた。
    「ヒロ、彼女は…?大丈夫なん?」
    「あーあいつねー、シバいてやった、マジしつけーんだよ。ちょっとかわいそうだったけど。別れたよ」
    また殴ったのか…。あたしは暴力は許せないけど、この時だけは少し安心してしまった。

    2006-12-23 22:51:00
  • 40:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この日からヒロはあたしの家で暮らすようになった。でも、毎日遊んでばかりもいられない。働かないとお金は入ってこない。
    「はるかー、お前キャバ行けよ」
    「ヒロは?働かんの?」 「んー、そのうちね」
    あたしはキャバで働くようになった。

    2006-12-23 22:58:00
  • 41:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それを知った母親はあたしを呼んだ。
    「はるか、あんたがキャバで働くのはお母さん許すことにした。けどな、あんたそのお金ヒロに使ってるやろ、ヒロは働いてないねんで、分かってる?」
    分かってた。ヒロは今まで女に金を出さすヒモのような事をしていた。あたしは別にかまわない。ヒロが好きだから。そんなの苦にも思わない。

    2006-12-23 23:05:00
  • 42:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはただ、ヒロと一緒に居れるだけでよかった。ヒロが働かない事なんてどうでもよかった。でも、母親はこんなあたしを見てられなかっただろう。この時のあたしはそんな事気にもしてなかった。

    2006-12-24 13:02:00
  • 43:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日、ヒロが言ってきた。
    「お前さぁ、風俗やれば?キャバより稼げるでしょ」 「はっ??」 あたしは自分の耳を疑った。
    「マジでゆってんの??」 「うん」
    あたしはヒロのためなら何でもできる。だって本当に大好きだから。

    2006-12-24 13:08:00
  • 44:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ヒロの言うようにあたしは風俗に行った。恥ずかしいとか、怖いとかは全くなかった。あたしの頭の中はヒロの事しか考えてなかった。家に帰るとヒロはまだ起きてた。
    「ただいまぁ〜。なんで起きてるん?」
    「お前ほんとに行ったの?」
    「え?うん行ったけど?」

    2006-12-24 13:13:00
  • 45:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「お前バカじゃねーの?何ほんとに行ってんの?」 「は?だってヒロが行けって…」
    「お前、俺の言うことは何でも聞くの?じゃあ俺が死ねって言ったら死ぬの?お前の意思はねぇのかよ?!」
    ヒロはあたしの上に馬乗りになって押さえつけてきた。「痛い!やめてよ!」
    あたしはそのままヒロにほぼ無理矢理ヤられた。

    2006-12-24 13:46:00
  • 46:

    はる◆TxNY3v7nC2

    あたしはヒロの為に、ヒロに嫌われたくない一心で、自分を見失ってた。ヒロの言ってる事は矛盾してる。でも言いたい事は分かった。ヒロは不器用で強がりだから、あんな言い方しかできなかったけど、本当はあたしを好きでいてくれたんだと思う。

    2006-12-24 14:25:00
  • 47:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか、俺もーすぐしたら帰るね」 「えっ?」 もうすぐ正月、ヒロは元旦の日に帰ると言った。「そっか、うん分かった」あたしには引き止める事ができなかった。
    大晦日の日の夜、USJに行った。あたし達はめちゃめちゃ楽しんだ。

    明日はヒロが帰る日。

    2006-12-24 14:40:00
  • 48:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    お昼前になって、あたしは新幹線の駅までヒロを送りに行った。二人とも言葉数が少ない。改札口の前でヒロが立ち止まった。
    「ありがとね」
    あたしは何も言葉がでてこなかった。言いたい事は山ほどあるのに、伝えなきゃいけない事がたくさんあるのに。何も言えない。ただ出るのは涙だけ。

    2006-12-24 15:14:00
  • 49:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「じゃあ行くね」
    ヒロはそう言って歩きだした。あたしは泣きながらつっ立っていた。涙で視界がぼやける。
    ヒロが笑いながら手を振ってホームに上がって行った。
    ヒロとはもう二度と会う事はないだろう。この時あたしは思った。

    2006-12-24 15:21:00
  • 50:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    家に帰ったあたしはまた泣いていた。ふとベッドを見るとネックレスが置いてあった。
    手に取って見てみるとヒロがしていた指輪が通してあった。何気なく裏を見ると'haruka'あたしの名前が彫ってあった。ヒロの地元に行った時に彫ったものだった。
    まさかあたしの名前だったなんて。ますます涙が止まらない。
    ヒロ…ありがとう…

    2006-12-24 15:26:00
  • 51:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたし達がもう少し大人だったら、あたしがもっと素直になっていたら、こんな結果にはならなかったかもしれない。なにより新幹線で三時間という距離がこの頃のあたし達には遠すぎた。
    あたしは本気でヒロの事を愛してた。死んでもいいと思えるくらい。
    もう会う事はないだろうけど、幸せになってほしい。心からそう思った。

    2006-12-24 15:37:00
  • 52:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それからのあたしは、家を出て風俗で働いた。母親を説得して。納得はしてなかったけど、ちゃんと連絡する事を約束して出てきた。
    別にお金が欲しかった訳でもない。ただなんとなく。ヒロの事も忘れられないし、こんな仕事でも働けば気が紛れる。

    2006-12-24 15:42:00
  • 53:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日ヒロから電話がかかってきた。
    「もしもしはるか?あのさぁ、俺の友達でこの前少年院から出てきたばっかの奴いるんだけど、そいつ大阪のボクシングジム行く事なったから遊んであげてよ」
    は?意味が分からなかった。なんであたしがそいつと遊ばないといけないのか。ヒロからの電話に少し期待したのに。
    「ヒロはこーへんの?」 「うん、そいつが引っ越しする時また手伝いに行くよ」

    2006-12-25 09:47:00
  • 54:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ヒロはもうあたしの事なんとも思ってないの?忘れようとしてた想いがまた蘇ってきた。あたしはまだこんなに好きだよ…
    それからしばらくして、ヒロの友達という奴が来た。名前はユウキ。ヒロ以上にブッ飛んでる奴だった。
    「あ、はるかぁ?ユウキだよ!ね、どこ行くどこ行く?案内してよ!」
    初めて会ったとは思えない程よく喋ってた。

    2006-12-25 09:53:00
  • 55:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    電車の中で、ユウキは手を併せて拝み始めた。
    「ん?ユウキ、何してんの?」 「あ、あのねぇ、夜7時はユウキのお母さんが死んじゃった時間なの。だから毎日お祈りしてんだよ」
    見かけによらず、ユウキはすごく優しい子だった。「ユウキねえ、捕まってた間、友達の事は1日も忘れた事なかったんだよ、はるか前地元来たでしょ?あいつら全員すげーいい奴だよ、特にヒロとは一番仲いいよ」
    ユウキはすごく純粋でいい奴だった。

    2006-12-25 10:03:00
  • 56:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ねぇはるか、俺と付き合ってよ」ユウキが言ってきた。あたしはユウキの事は好きじゃなかったけど、いい奴だし好きになれるかもしれない、そう思って付き合った。それに、まだ少しでもヒロと繋がっていたい…。
    ユウキの引っ越しの日、ヒロは大阪に来ていた。あたしはヒロに会いたい一心でユウキにメールした。
    −あたしも手伝いに行ってもいい?−
    ユウキからの返事は、 −もう終わりそうだしみんな疲れてるし無理−

    2006-12-25 10:58:00
  • 57:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ユウキは明らかにあたしをヒロに会わせまいとしていた。それでもあたしは何とかお願いしてみたがダメだった。
    ユウキはあたしの気持ちに気付いていた。
    あたしはユウキに言った。「ごめん、あたしヒロが忘れられんくて、、ユウキとはもう付き合えない。ほんまごめん」

    2006-12-25 19:31:00
  • 58:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはユウキと別れた。最後にボロカス言われたけど、あたしはユウキを利用したようなもんだから文句言われて当然だった。
    このあと、ヒロがあたしの家で一緒に住みたいと言いだしたけど、あたしは断った。ヒロはまた働かずにヒモ生活になるのは目に見えてた。会えば離れられなくなる。あたしはきっと幸せにはなれないと思ったから。
    本当は会いたくて会いたくて仕方なかった。

    2006-12-27 18:37:00
  • 59:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはヒロの思いを断ち切ろうと、仕事に勤しんだ。ヘルスを3つも掛け持ちしてよく怒られてた。毎日朝まで働いて、あたしは料理できないから毎日外食。生活は不規則だし、よく風邪をひいた。
    そんな中、母親はしょっちゅうメールを送ってきた。あたしもそれをうるさいとも思わなくなってきた。

    2006-12-27 18:49:00
  • 60:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    風俗の仕事は、恐くないといえば嘘になる。変な客だっているし、複数で犯されそうになったり、包丁を突きつけられたりした事もある。あたしも気が強いから刃向かうし、よく殺されなかったなあと思う。

    2006-12-27 21:30:00
  • 61:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日いつものように仕事に行った。客のところに行く。
    「はじめまして〜」
    「めっちゃかわいいやんラッキー♪♪」
    チャラそうな奴でちょっとイラっとした。でも話しているうちにめちゃくちゃ面白い人だと分かって最後に番号を教えた。
    すぐに電話がかかってきて仕事が終わってから会う事になった。客と外で会うのは初めて。

    2006-12-27 21:47:00
  • 62:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    仕事が終わって客に会った。ファミレスで朝ご飯を食べながら色んな事を話した。
    名前はシュン、同い年。シュンはほんとに面白い奴で、あたしは涙が出るくらい笑った。
    それからシュンとは時々遊ぶようになった。

    2006-12-29 13:57:00
  • 63:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この頃あたしはホストクラブにも行ってた。
    男に金払って飲むなんてバカのする事だと思ってたけど、ハマる人の気持ちが分かった。店の中にいる時は現実逃避できる。あたしは全然お金使わない細客だけど、口座のリョウは客を大切にしてて、あたしも色々遊びに連れて行ってもらった。

    2006-12-29 14:36:00
  • 64:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは他のホストクラブにも行ってた、そこの口座はレン。レンはめちゃくちゃ男前で、レン目当ての客ばっかりだった。レンは他の客から
    「どこおるん?!もー帰るで!」って電話がかかってきても
    「勝手に帰れブサイク!」とか平気で言うような人だった。それでもレンはみんなに好かれていた。あたしもそんなレンを友達のように思っていた。

    2006-12-29 15:12:00
  • 65:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    こうやってあたしは毎日をテキトーに過ごしてた。彼氏なんていらない。またツラい思いをするのは嫌だ。

    2007-01-18 21:28:00
  • 66:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日いつものようにホストクラブに行くと、リョウにアフターに誘われて、ご飯を食べに行った。「はるか、俺の事どう思ってる?」
    リョウがいきなり言った。
    「俺なあ、はるかの事がすごい気になるねん、好きやわ。」
    あたしは突然のセリフにびっくりして言葉が出なかった。

    2007-01-30 18:30:00
  • 67:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは何も答えなかった。そんな事言われてもホストを信じるなんてできない。そのあと家に誘われたけど、あたしもそこまでバカじゃない。バカだけどプライドくらい持ってる。あたしはそんな事言われて嬉しいなんて思う客じゃない。
    あたしはこの日からリョウに連絡するのをやめた。

    2007-01-30 18:36:00
  • 68:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    リョウはきっと、風俗嬢のくせにプライドなんか持つなって思っただろうな。そう考えると笑えてきた。
    ホスト遊びをやめたあたしはシュンとよく遊ぶようになっていた。
    シュンには彼女がいたから、相談にのったりしていた。気も使わないし何より話していてすごく楽しい。

    2007-01-30 18:42:00
  • 69:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日いつものように店で待機してるときに、母親からメールがきた。

    2007-01-30 18:45:00
  • 70:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    元気にしてる?すっかり寒くなったな、風邪ひいてない?
    はるかが出て行って、もう半年がたちますね。寂しいです。とんでもない客に遭遇してないかとか、変な事件に巻き込まれてないかとか心配で心配で、生きた心地がしない毎日を過ごしてる。それでもただ、生きてくれてたらいい、そう思ってます。
    お母さんにできる事ははるかが帰ってきた時においしいご飯作る事くらいしかないんかな。
    うっとうしいメールやけど、大切なはるかへ。

    2007-01-30 18:51:00
  • 71:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは涙が止まらなかった。母親の気持ちはすごいよく分かったし、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。けどまだ家には帰らない。帰りたくなかった。

    2007-01-30 19:25:00
  • 72:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしが風邪をひいて熱が40℃出たとき、母はすぐにとんで来てくれた。家に帰ると叔母が来ていて、あたしの部屋にやってきた。
    「はるちゃん、なんでそんな仕事してるん?辞めえな、みんな悲しむからな」
    叔母は泣きながらあたしに言った。
    でも、風邪が治るとあたしはまた自分の家に帰った。あんなに心配されて泣かれてまでしたのに、あたしは本当の馬鹿かもしれない。

    2007-03-18 13:18:00
  • 73:

    名無しさん

    ちゃんと読んでるよ??

    2007-03-18 16:24:00
  • 74:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    77さんありがとう?
    誰も読んでないとおもってたから嬉しいです??

    2007-03-18 20:29:00
  • 75:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    いつものようにシュンと遊んだ時、いきなり告白された。
    「俺と付き合って!ほんま一目惚れやねん!おねがい!」
    いきなりでびっくりした。あたしはどうしたらいいか分からなくて、うつむいて黙っていた。

    2007-03-18 20:42:00
  • 76:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「あたし、こんな仕事してるし、いいん?てゆかシュン彼女おるんやろ?」
    「彼女とは別れた。はるかが好きやねん、どんな仕事でも関係ないし、辞めろとか言わへんから」
    あたしは戸惑ったけど、いいよ、と返事した。
    きっとすぐ別れることになる。だってあたしはまだヒロを忘れられずにいるから。。

    2007-03-18 20:57:00
  • 77:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンと付き合ってから、毎日が楽しくなった。相変わらずあたしは風俗で働いてたけど、その事についてシュンは一切触れなかった。

    2007-03-19 14:12:00
  • 78:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンは会社員で、一人暮らしをしていた。夜勤とかもあったから、夜に働いているあたしとは時間が合うことが多かった。
    あたしの家に泊まったり、シュンの家に泊まったり、毎日一緒にいた。

    2007-03-19 16:15:00
  • 79:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    部屋でシュンが寝ていたとき、あたしはシュンのケータイをふと見た。
    表にはあたしと撮ったプリクラが貼ってあった。裏を見ると、知らない女の子と撮ったプリクラが貼ってある。
    (だれこれ……)
    訳がわからなくなってケータイを持ったまま固まっていた。

    2007-03-19 16:20:00
  • 80:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    (え?どゆこと?誰?友達?じゃないよな……)
    プリクラには仲良さそうに抱き合って写っているシュンの姿。
    浮気?いくらなんでもこんなに目立つとこにプリクラ貼る奴なんていないだろう。元カノかな、剥がし忘れてるだけとか。そうに違いない。
    あたしはそう思ってケータイを置いた。

    2007-03-19 16:24:00
  • 81:

    あみ

    めっちゃ読みやすいしおもしろいデス?頑張って完結してくださいね?

    2007-03-19 16:46:00
  • 82:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あみサンありがとう?
    まとまった時間がないんで更新ゆっくりになるかもやけど、完結させるんで読んでくれたら嬉しいです??

    2007-03-19 18:09:00
  • 83:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはそのプリクラの事をシュンに聞けずにいた。
    彼女なのに自信がもてなかった。
    こんな仕事をしている人間を好きになる人なんて本当にいるんだろうか。

    2007-03-19 18:20:00
  • 84:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日シュンの友達の家に遊びに行った。みんなで喋っていてあたしは眠くなってソファーでうとうとしていた。
    シュンはあたしが寝たと思い、話しはじめた。
    「俺、チヒロと別れてないねん」
    「え?まじ?はるちゃん気付いてないん?」
    「うん、あいつ俺のケータイ見てるはずやのにプリクラ見てもなんも言わんねん」

    2007-03-19 21:11:00
  • 85:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それを聞いてあたしは一気に眠気がさめた。
    今すぐ飛び起きてぶん殴りたい気持ちだったけど、寝たふりをしていた。
    (やっぱあれ彼女やったんや…別れてないとか…なんでなん?)
    「シュン、そーゆうのやめたほうがいいで、ちゃんと別れや」
    「そやねんけどなあ、なかなか別れられへんねんなあ…」

    2007-03-19 21:16:00
  • 86:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「んー…」
    「あ、はるか起きた?」
    あたしは今起きたふりをして眠そうに目をこすった。
    これ以上シュンの彼女の話なんて聞きたくない。「シュン、かえろ」
    あたしはそう言って不機嫌な顔で部屋を出た。

    2007-03-19 21:20:00
  • 87:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか?何か怒ってる?」
    シュンが心配そうな顔をして言ってきた。
    「ううん別に。眠いだけー」
    あたしは遊びなの?好きなのはチヒロって子?
    そんなの聞けるはずがない、恐くて聞けない。

    2007-03-19 21:25:00
  • 88:

    名無しさん

    ?

    2007-03-19 22:12:00
  • 89:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、あたしは意を決してシュンに聞いてみた。
    「シュン、あのプリクラだれ?てゆか、別れてないんやろ?彼女と」
    シュンは一瞬固まって、「ごめん!!!」
    と勢いよく言った。

    2007-03-19 22:36:00
  • 90:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ごめんはるか!あいつとはちゃんと別れるから!俺、はるかが俺の事好きちがうんちゃうかって思ってしもて、気ぃ引きたくてあんなプリクラ貼ってしもて……ほんまにごめん!ちゃんと別れるから!嫌いにならんといて…」
    あたしは必死に謝ってるシュンを見て、
    「いーよ」
    と、一言そう言った。
    あたしにシュンを責める資格なんてない。

    2007-03-19 23:22:00
  • 91:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから何日か後にシュンの家に行ったとき、一枚の手紙を見つけた。いけないと思いつつも、シュンがいなかったので見てしまった。

    2007-03-20 22:36:00
  • 92:

    はるか◆TxNY3v7nC2

      シュンへ
    シュンにはいつも手紙書いてるけど、今回のはちょっと重いかも。
    シュン、最近ちょっと変やんな、チヒロは気付いてないフリしてたけど、なんとなく分かってたよ。いつもソワソワしてたし、電話鳴っても出ないし。チヒロは、シュンのケータイが鳴るたびドキドキして、不安で恐くて。。チヒロはシュンのこと、ほんまに心から愛してる。誰にも負けへん自信ある。だからお願い別れるとか言わんとってな。

        チヒロ

    2007-03-20 23:05:00
  • 93:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは手紙を読み終えて、呆然とした。
    辛かったのはあたしじゃなくこの彼女だったんだ。この子はあたしの存在に気付きながらもシュンを信じ、愛してたんだ。
    あたしなんかじゃなく、こんな立派な彼女と付き合うほうがシュンは幸せなんじゃないだろうか。

    2007-03-20 23:08:00
  • 94:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そう思う反面、負けたくない、取られたくない、あたしだってシュンが大好き。そう思う気持ちも強くなった。
    このとき初めてシュンの事を大好きになっている自分に気がついた。
    ヒロを忘れられなかったあの時の自分はもう薄れかかっている。
    シュンを失いたくない。

    2007-03-20 23:09:00
  • 95:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    手紙を見てしまった事はシュンに言えるはずもなかった。そして、彼女と別れたかどうかも聞けなかった。彼女の素直な気持ちを知ってしまった以上、別れてなんて言えない。
    シュンはあれから、あたしにまだ少し気を使ってる。あたしはこんな仕事してるのに、見ていてほんとに胸が痛んだ。

    2007-03-20 23:25:00
  • 96:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    でも一週間もすると、またいつものシュンに戻った。ケータイに貼ってた彼女のプリクラも剥がされていた。

    2007-03-22 17:07:00
  • 97:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ある日、シュンが言った。
    「はるか、本番したやろ」「は?してへんよ。なんでなん?」
    「嘘つけ、知ってるんやで俺」
    「……ごめん……」
    あたしはこの間客の一人と本番してしまった。目の前に大金を積まれ、目先の欲望に目がくらんでしまった。

    2007-03-22 17:17:00
  • 98:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「え、まじ?俺カマかけて言ってんけどな」
    「え、そーなん?ごめんなさい!!」
    あたしはびっくりして謝った。
    「…えーよ、はるかの仕事知ってて付き合ってって言ったし、ケチつけるつもりもないし、俺も二股しててんしおあいこな!でもこれから本番はなしやで!!」

    2007-03-22 17:29:00
  • 99:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この日からどんなにお金を積まれても本番はしないと誓った。
    本当は仕事を辞めるべきなんだろうけど、辞めなくていいと言うシュンに甘えていた。

    2007-03-22 17:33:00
  • 100:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは店の店長にシュンの事を相談してみた。客と付き合ってると言ったらかなり怒られた。
    「お前なあ、客なんかと付き合っても続かへんで。絶対金が絡んで終わりやで。」
    「そんな事ないし!彼氏お金出してくれるもん!めっちゃ優しいし仕事辞めんでいいって言うし」
    「そんなん初めだけやわ、そのうち本性出てきよるで」

    2007-03-22 21:50:00
  • 101:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    店長はタバコの火を消して、
    まぁ頑張ってみい。
    そう言って別の部屋に入っていった。
    シュンはそんな奴じゃない、あたしが証明してみせる。
    そう思った。

    2007-03-22 22:33:00
  • 102:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    もうすぐあたしの誕生日が来る。彼氏に誕生日を祝ってもらうのは初めてで、あたしはワクワクしていた。
    シュンは有名なホテルを予約してくれていた。前の日はあたしの家でのんびり過ごした。

    2007-03-22 22:38:00
  • 103:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、朝からシュンの車でホテルに向かった。着いてから部屋で休憩して、外に食事しに行った。お酒もたくさん飲んであたし達は気分よくなって、ゲーセンではしゃいでいた。部屋に戻ったのは夜の11時頃。
    「はるか先お風呂行きやあ」
    「うん、ありがとー」
    そう行ってあたしはシャワーを浴びた。
    終わって出ると、部屋が真っ暗。

    2007-03-22 22:43:00
  • 104:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「え?なに?停電?」
    と、びっくりしていると、
    「♪ハッピバースデートゥーユー」
    シュンの歌声と同時にローソクのささったケーキが見えた。
    「♪ハッピバースデーディアはるか〜ハッピバースデートゥーユー」

    2007-03-22 23:04:00
  • 105:

    名無しさん

    読んでるよ?なんか見てて歯がゆいけどきっとはるかちゃんはいい子なんやろな??文からなんか伝わってくる?頑張ってなほんまに?

    2007-03-22 23:08:00
  • 106:

    名無しさん

    早く書いて

    2007-03-22 23:13:00
  • 107:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ローソクの灯りに照らされたシュンの笑顔が見える。
    「ほら、はるか火消して!」
    フ〜〜〜〜〜ッ
    あたしは勢いよく息を吹きかけローソクの火を消した。
    真っ暗になり、シュンが電気をつけにいく。

    2007-03-22 23:16:00
  • 108:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    明るくなった部屋にはキレイにラッピングされた箱があった。
    「開けてみて」
    あたしはドキドキしながら開けると、時計があった。
    数週間前にシュンと百貨店へ一緒に行ったときにあたしがさりげなく欲しいなあ、と言ったものだった。
    突然の出来事にあたしはその場で泣き崩れていた。嬉しくて涙が出るなんて初めてだった。

    2007-03-22 23:21:00
  • 109:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「シュンありがとう…めっちゃ嬉しい…」
    こんなに素敵な誕生日は初めて。
    シュンはあたしのために何日も前から色々考えてくれてたんだ。
    男はロマンチックって本当だったんだ。

    2007-03-22 23:24:00
  • 110:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「俺たよりないし、いいとこなんてあんまないけど、はるかを大切にするから、」
    シュンはそう言って抱きしめてくれた。


    神様、幸せってこの事でしょうか。私は今、世界で一番幸せです。この幸せがずっと、ずっと続きますように。。。

    2007-03-22 23:34:00
  • 111:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    109さん読んでくれてありがとう?私いい子なんかじゃありませんよお???頑張ります?

    110さん遅くてごめんなさい??
    寝るので今日はここでやめますゴメンナサイ??また明日書くので読んでください?

    2007-03-22 23:41:00
  • 112:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この日からあたしは仕事ができなくなっていた。客とベッドにいると、自然に涙が出てくる。触られると本気で嫌な顔をしてしまう。
    ボーっと天井を見つめ、
    (あたしは何やってんねやろう)
    と毎回考えていた。

    2007-03-23 13:55:00
  • 113:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    客に本番を迫られたとき、
    「何考えとんじゃわれ!」
    と言って客のオッサンを蹴り倒して速攻帰ったり、前みたいに上手く断ったりができなかった。そんな事が頻繁になり、あたしは仕事を休みがちになった。

    2007-03-23 14:10:00
  • 114:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母親に久しぶりにメールをした。
    【お母さん、元気?はるか彼氏できてん★】
    返事が返ってきた。
    【そうなんや、よかったな(^o^)こんど連れてきてや】
    あたしはシュンを実家に連れて行くことにした。シュンはものすごい緊張していて足とか震えてて、あたしは笑いがとまらなかった。

    2007-03-23 16:13:00
  • 115:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「初めまして〜〜シュンくん?はるかがいつもお世話になってます〜」
    母親が挨拶した。夜になって父も帰ってきて、夕食を一緒に食べた。父は気さくな性格で、冗談も言いながら喋りまくっていて、シュンもだいぶ打ち解けていた。
    こんなに楽しく家族と食事したのなんて何年ぶりだろう。今まで何であんなに反抗していたのか。シュンのおかげで家族が笑顔になっている。
    あたしはシュンに心から感謝した。

    2007-03-23 16:21:00
  • 116:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、起きてからリビングでシュンとご飯を食べていると母親が来た。
    「シュンくんはるかの仕事知ってるん?」
    「あーはい、知ってますけど」
    「そーなんや、辞めてほしいやろー?いつまでもこんなん続けてられへんしなあ、おばはんなったらやってられへんやんなあ」
    「そーっすねぇ…」

    2007-03-23 16:24:00
  • 117:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンはあたしに気を使いながら話していた。
    あたしはただ苦笑いするしかできなかった。辞めないといけないのは分かってる。
    けど、辞める勇気がない、夜の仕事ばっかりしていたあたしに普通の仕事ができるだろうか。金銭感覚も麻痺ってるし。
    この仕事を辞めるのは不安でいっぱいだった。

    2007-03-23 16:32:00
  • 118:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンはすごく優しい奴だけど、ものすごい女好きだった。それはあたしも気づいてた。
    出会い系はしょっちゅうやってるし、女友達もかなり多い。
    でも、あたしがこんな仕事してるから止めてとも言えないし、その辺が曖昧になっていた。

    2007-03-23 16:36:00
  • 119:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは意を決して風俗を上がることにした。シュンに言うとめちゃくちゃ喜んでいて、
    「しばらくは俺が養うし心配すんなよ!」
    と言ってくれた。
    いつまでもこんな事してちゃいけない、前に進まないと。
    元はヒロを忘れられずに始めただけ。ヒロへの気持ちはもうないはず。

    2007-03-23 16:41:00
  • 120:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは仕事をやめる事をみんなに伝えた。うちの店はみんな仲がよくて、今まで色んな所に行って遊んだり思い出がたくさんあった。
    かなり引き止められたけど、花束やお菓子やいろんなプレゼントをくれて、あたしは号泣してしまった。
    こんな仕事でも、あたしの選んだ道だったんだ、後悔した事はない。

    2007-03-23 17:00:00
  • 121:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    最近、シュンの様子が変だ。
    電話に出ない時が多いし、どこで何をしているのか分からない事があった。
    シュンに聞いても寝てた、とか夜勤やった、とかで、あたしはあまり気にしないようにしていた。

    2007-03-24 00:58:00
  • 122:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンの家に泊まりに行ったとき、まさかと思い、寝てる間にケータイを見てしまった。
    【そんな事ないで、あたしも好きやし!】
    ん?何のことだろう。送信メールを見た。
    【やっぱエッチせんほうがよかったかな、トモカの事好きになってしもたかも。】

    2007-03-24 01:12:00
  • 123:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    は?エッチ?意味不明。あたしはメールを全部見て愕然とした。
    シュンは浮気をしていたみたいだった。他にも複数の女の子と恋愛感情がありそうなメールをしている。
    あたしはとっさに女の番号とアドレスを写して、片っ端から電話をかけた。
    謝る子もいれば、突っかかってくる子もいた。
    それからシュンを叩き起こした。

    2007-03-24 01:16:00
  • 124:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「あんた、どーゆう事なん、トモカて子とエッチしたんやってな」
    「ごめんなさい!!」
    シュンは一瞬で目が覚めたらしく、飛び起きてうずくまっていた。
    「女ばっかとメールしてきもいねん!トモカて子に電話したから」

    2007-03-24 12:30:00
  • 125:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「まじで。あいつやくざとからんでるし知らんで、お前に何かしてきよるんちゃう」
    シュンは自分が浮気したくせに意味分からん事を言い出した。
    あたしはキレた。
    「んだらお前が殺されろや!!お前みたいなんもーいらんわ!去ね!!」

    2007-03-24 12:35:00
  • 126:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンは無言でうつむいていた。あたしは腹が立ってそのまま部屋を出た。
    駅までの道を歩きながら、あたしは怒りまくっていた。電話がなっている。きっとシュンだろう。電源を切った。
    あたしはシュンのために仕事をやめたのに、何がいけないの?まだ足りないものがあるの?

    2007-03-24 23:43:00
  • 127:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    家に着くと母親がいた。「あれ?もー帰ってきたん?シュンちゃんは?」
    そう尋ねた母親を無視して自分の部屋へ向かった。部屋でタバコを吸いながらぼんやりしていると、急に涙が出てきた。
    まさかシュンが浮気してたなんて。あたしは飽きられたんだろうか。
    さっきまでの怒りの気持ちはもうない、ただ悲しくてすごく寂しかった。

    2007-03-24 23:50:00
  • 128:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    ケータイの電源を入れた。メールの問い合わせをするとシュンから5件程来ていた。
    【ごめんなさい!!今どこ?!】
    【電話出て!話だけでもさせて!】
    【ほんまにごめんなさい、反省してます】
    あたしは画面を見つめながらぼーっとしていた。どうしたらいいのか分からなかった。

    2007-03-24 23:57:00
  • 129:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    浮気されるとこんなにツラいんだと初めて知った。彼氏にこんなにキレたのも初めてだった。
    動悸がして息苦しくて涙が溢れてくる。
    あたし、こんなに弱い奴だったっけ。。

    2007-03-25 00:01:00
  • 130:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    黙っていてもどうにもならない。あたしはシュンに電話をして事情を聞いた。シュンはひたすら謝っていた。
    明日会う約束をして電話を切った。
    こんなに枕を濡らして眠るなんて父親にシバかれた時以来だ。
    あんなに怒っていたはずなのに、今はシュンに会いたくて仕方なかった。

    2007-03-25 00:08:00
  • 131:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、シュンは家に来た。あたしは部屋に入れず、車で話した。
    「あいつとはもう縁切るし!」
    「あ、そう。好きなんちゃうん?」
    「好きちゃう!はるかが好きやから!ほんまにもうせんし誓うから別れんとって!」
    聞いてて情けなくなるくらい謝っていた。それを見てあたしは耐えきれず許した。それからのシュンはひとつも怪しいところもなく、あたしに尽くしてくれた。

    2007-03-25 00:19:00
  • 132:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    友達と遊んだ時に占いに行った。シュンとの未来を占ってもらった。
    「ん〜、あなた達はお互いに似てるところもあるし、まあまあ上手くいくんじゃないかしらね。ただ……」
    「え?なんですか?」
    「この人はすごく女性が好きねぇ…」
    うそぉ、当たってる…。これからも浮気されるんだろうか。ちょっと不安になった。

    2007-03-25 00:27:00
  • 133:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    実家に帰って2ヶ月程たって、あたしは職探しを始めた。ショップ店員の面接を受けて、昔に少し経験があったから受かった。
    普通の昼職なんて久しぶりだったから怖い反面ワクワクでいっぱいだった。
    なにより、母親の喜んでいる姿が嬉しくて、張り切って働いた。みんな優しくて、仕事にもすぐ慣れた。

    2007-03-25 00:30:00
  • 134:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    忙しくなり、シュンと会う時間もかなり減った。寂しかったけど、彼氏に依存してはいけない。それは常日頃、親に言われていた。
    仕事が楽しくて、会えなくても寂しくなかった。毎日電話もしてるし、心配事はひとつもない。

    2007-03-27 18:37:00
  • 135:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    仕事場がミナミなので、よくナンパされたりしたが、あたしは目も見ようとしない。今までなら彼氏がいても話したり番号教えたりしてたのに。
    人は変わるもんだと自分にびっくりする。
    あたしはそれ程シュンが大切になっていた。

    2007-03-27 18:45:00
  • 136:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母親にも
    「シュンちゃん優しいし真面目に仕事しやるしはよ結婚しいや〜」
    とか言われていてあたしは幸せの頂点に立っていた。シュンの家族にも紹介してくれて仲良くしてもらっていた。

    2007-03-27 18:49:00
  • 137:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    仕事から家に帰り、部屋に入り一服する。
    あたしは手を伸ばし一冊のアルバムを取った。
    パラパラとめくり、遠い目で眺める。
    そこに写っているのはヒロ。アルバム全部にヒロとあたしの写真。ヒロの笑顔もあたしの泣き顔もすべて収まってある。

    2007-03-27 19:34:00
  • 138:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    こうしてたまにこのアルバムを眺めては、懐かしい思い出に浸っていた。
    シュンの事は大好きだし結婚もしたい。捨てなきゃいけないのは分かってる。けど、どうしてもできなかった。
    あたしはまだ完全に忘れられてないのかもしれない。

    2007-03-27 19:38:00
  • 139:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンからメールが届いた。
    【お疲れ〜。いきなりやけど俺、はるかに隠してた事があるねん。】
    あたしは意味が分からなくて速攻シュンに電話をかけた。
    しかし、直接会って話したいから次の休みに家に来てくれと言われた。
    休みまであたしは気になって気になって仕方がなかった。

    2007-03-27 19:57:00
  • 140:

    名無しさん

    気になる?

    2007-03-27 22:30:00
  • 141:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    読んでくれてありがとうございます?
    今からちょっとだけ書きます?

    2007-03-27 22:46:00
  • 142:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    約束の日になり、シュンの家に着いた。早速話を聞こうとするが、シュンはなかなか教えてくれない。あたしもイライラしてきて、しつこく聞いた。
    「俺なあ、実は借金あるねん」
    「え?なんぼくらい?」
    「500とか、もーちょいあるかな。。はるか、別れたかったら別れて!」

    2007-03-27 22:59:00
  • 143:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    突然の事に驚いたけど、あたし自身、借金なんてホストの未収ぐらいしかした事ないし、よく分からなかった。
    「別れるわけないやん!アホやなあ、そんなん悩んでたん?」
    「うん、だって俺、はるかに迷惑かけるかもしれんで、金銭的にキツいしなんか買ってやったりできひんし…」
    シュンは悲しそうに言った。

    2007-03-27 23:04:00
  • 144:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「そんなんええねん!はるかの誕生日無理してたんやな、ごめんな気づかんで。あたしも手伝うし2人で返そや!」
    「それはいい!俺1人で返す!ほんまごめんな黙ってて。。迷惑かけたくなくて。」
    そう言ってシュンは申し訳なさそうにうつむいていた。そんなシュンを見て、あたしはどうにか力になりたいと思った。

    2007-03-27 23:13:00
  • 145:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それからしばらくして、シュンは副業として、ネットワークビジネスを始めた。
    あたしはそういうのは嫌いだったから少し反対したけど、借金のためなので許しざるを得なかった。
    はじめに60万くらいの物を買うらしく、あたしはびっくりして辞めてと言ったが、シュンは洗脳されてるみたいで大丈夫大丈夫!と言っていた。
    でもあたしは不安だらけだった。

    2007-03-27 23:30:00
  • 146:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それからシュンとはますます会う日数が減って、週1で会えるか会えないかくらいだった。
    シュンと会った時にまた、ケータイを見た。すると出会い系で知り合った女の子ばっかりとメールのやりとりをしていた。
    その事をシュンに聞くと、ネットワークを紹介するためにやってると言った。

    2007-03-27 23:38:00
  • 147:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「じゃあ男とメールしたらいーやん!なんで女なん!そんなん嫌やしありえへん!」
    「ツレの男には紹介してるで!出会い系は女しかメールせえへんし」
    あたしはシュンの開き直った態度にイライラしていた。借金のためだとはいえ、女が絡んでくるとあたしも嫌な気持ちになる。

    2007-03-27 23:48:00
  • 148:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンは出会い系をあたしに許すように言ってきた。
    メールだけならまだしも、実際会うとなると何があるか分からないし、それは無理だと言った。
    でも、事前に誰とどこに行くか必ず連絡する事を条件に、結局許す事になってしまった。

    2007-03-27 23:51:00
  • 149:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「絶対はるかを裏切るような事せんから。俺が愛してるのはお前だけやから!とりあえず借金返す事だけしか考えてないから信用して!」
    シュンにそう言われ、
    「いいよ、頑張ってな」
    と言った。
    やっぱりシュンが好きだ。別れるなんてできないし、今は信用して応援するしかできない。

    2007-03-27 23:54:00
  • 150:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    今日はここまでにします?
    また明日書くので読んで下さい??

    2007-03-27 23:56:00
  • 151:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンは最近また浮気していた。彼女はその時の子だった。とても珍しい名前なので、間違いない。
    あたしは怒鳴りたい気持ちを押し殺して、愛想よく振る舞った。
    シュンはあたしが想像していた以上に浮気癖がひどかった。けど、あたしは絶対に別れないと決めていた。
    浮気されるよりも別れる方がツラいから。

    2007-03-28 23:43:00
  • 152:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そんな事もあり、あたしはシュンをより一層怪しむようになってしまった。
    会えば必ずケータイを見るようになっていた。見る度に何かあるから本当に辛かった。

    シュンの家に行ったら、いつも以上に部屋が散乱していた。どうしたのかと尋ねる

    2007-03-28 23:46:00
  • 153:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ああ、昨日女の子とたこ焼き作って飲んでてん〜」
    「はぁ?聞いてないし!なんで言わんの!?」
    「ごめん!でも飯食っただけで何もしてない!ネットワーク誘うためだけやし!」
    あたしはその散らかった部屋を片付けながら情けなくなっていた。

    2007-03-28 23:52:00
  • 154:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    (なんでこんな事してるんやろう…)
    その後、ゴミ箱から使用後のコンドームが出てきて、あたしは泣きながら家を飛び出した。
    そのまま近くの男友達の家に行って話を聞いてもらった。

    2007-03-29 00:02:00
  • 155:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「お前やぁ、そんな男に魅力なんかあるけ?もーえぇんちゃうか」
    「分かってるけど無理やねん…情けないやんな…何であんな奴好きになったんやろ、優しいねんけどな」
    友達は慰めながら、困ったような顔をしていた。
    「人生長いし、ゆっくり考え。まあ俺には理解できん悩みや。別れたらえー話や」
    と言って笑ってた。

    2007-03-29 00:11:00
  • 156:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは話を聞いてもらえて少し落ち着いた。
    ケータイを見ると、シュンから電話の嵐。
    少しためらったが電話に出た。

    2007-03-29 00:15:00
  • 157:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか?今どこ!?」
    「いっちゃんの家やけど。何なん?あんたウザいで」
    「ごめんなさい!今から行くから!」
    シュンはすぐに来て、あたしはシュンの家に連れ戻された。シュンはひたすら土下座していた。

    2007-03-29 00:19:00
  • 158:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ほんまごめんなさい!もう絶対二度とせえへんしもっかいチャンスちょうだい!」
    こんなセリフも光景ももう聞き飽きたし見飽きた。
    それでもいつも許してしまう。今回もそう。

    2007-03-29 13:23:00
  • 159:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ありがとうはるか。ごめんな…もう泣かせへんから!」
    そう言ってあたしを強く抱きしめた。このぬくもりがあたしを離れられなくする。
    ずるいよ…シュン。

    2007-03-29 14:08:00
  • 160:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはその事を母に愚痴っていた。
    「シュンがそんなんなったからって、あんたもめちゃくちゃになったりしたらアカンで。耐えなしゃーないわ」
    と、母は言っていた。

    2007-03-29 23:25:00
  • 161:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    もうすぐあたしの誕生日。シュンと出会って2度めの誕生日。この一年であたしは成長したんだろうか。
    誕生日の前日に、シュンが家に泊まりに来た。
    しかし、暗い顔をして、相談があると言ってきた。

    2007-03-29 23:30:00
  • 162:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか、ほんま悪いんやけど、金貸してくれへん?」
    「は?なんぼ?!」
    「貸せるだけ貸してほしいねん」
    突然の言葉に驚いたが、話を聞くと、借金が返せない状態らしい。期日も過ぎていて、多数の友達にも借りていて、もう無理だと言われたみたいだった。

    2007-03-29 23:33:00
  • 163:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    かなり切羽詰まっているみたいで、シュンは泣いていた。
    シュンの泣き顔を見たのはこれが初めてで、あたしは同情すると同時に、助けたい気持ちでいっぱいになった。
    今考えると、この時突き放せばよかったと思う。

    2007-03-29 23:36:00
  • 164:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは貯金なんてほとんどなかったから、次の日、シュンと金融会社へキャッシングしに行った。
    お金を借りた事なんてなかったから、すごく恐くて震えるくらいだった。
    あたしは借りた50万を封筒に入れてシュンに渡した。

    2007-03-29 23:41:00
  • 165:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンはそれを借金の返済に使うと行って金融会社をまわった。いくら返したのかはあたしは全く知らない。
    シュンにそのお金で何でもいいから何か買ってと言ったらものすごく嫌な顔をされた。
    今日はあたしの誕生日なのに…。車でブラブラして何をすることもなく、1日が終わった。全く楽しくなかった。

    2007-03-30 21:42:00
  • 166:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンに家に送ってもらい、シュンも帰った。
    後に分かったことだけど、次の日シュンは女の子と遊びに行った。あたしの借りたお金で。
    シュンの浮気癖は治るどころかひどくなっていた。

    2007-03-30 23:01:00
  • 167:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしがいくらシュンの事が大好きでも、もうそろそろうんざりきていた。あたしは1日だけ前働いていた風俗に行った。
    お金が欲しいわけでもなく、ただこの状況に耐えるのが辛くなった。
    あたしは働いた事を自分からシュンに言った。

    2007-03-30 23:33:00
  • 168:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はあ!?お前最低やな!俺の気持ち考えたんか?」
    シュンはあたしをボロカスにけなして、木刀を振り回し部屋をめちゃくちゃにした。そして出ていった。あたしは驚いたものの、シュンに腹が立ち、悔し涙が出た。

    2007-03-30 23:40:00
  • 169:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    確かにあたしが悪いけど、散々勝手な事をしてきたシュンの行動を許せなかった。
    散らかった部屋を片付けながらシュンの部屋で待っていた。
    半日くらいしてシュンが帰ってきた。どこで何をしてたのかは一切聞かなかった。

    2007-03-31 16:12:00
  • 170:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「俺が悪いんやんな、俺がこんなんやからはるかが…もう一切女と関わらんからそんな事せんといて、俺はるかが大好きやねん、おらな無理やねん…」
    別れないといけない、けどできない、なんでこんな奴に惚れてしまったんだろう。

    2007-04-01 00:00:00
  • 171:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンはケータイをさわられると怒る。ある日、仕事場までシュンに送ってもらってるとき、ふざけて
    「ケータイ見してやあ」
    と言って取り上げた。シュンは
    「やめろや〜」
    と言って取り返そうとしてきた。あたしは笑いながら無理無理!と言ってケータイを見ようとした。そしたら、シュンは尋常じゃないくらい怒って本気で奪おうとした。

    2007-04-01 00:03:00
  • 172:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「どしたん?何か悪い事でもしたん?見られたら困るん?」
    「何もしてないわ!返せや!!」
    「何もしてないんやったらいーやん、見してな」
    「ふざけんな返せ!!おいコラボケ!」
    シュンはあたしを殴ってきた。

    2007-04-01 00:06:00
  • 173:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはキレてケータイをシュンの顔に投げつけ、車を飛び出した。ドアを勢いよく閉めて、シュン自慢の外車をヒールで思いっきり蹴った。
    御堂筋の真ん中で、かなり人が見ていた。シュンが何か叫んでたけど無視して仕事場の店に向かった。

    2007-04-01 00:10:00
  • 174:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    店のバックルームで泣いてみんなに愚痴った。
    もうあんな奴いらない。浮気されるのも限界だった。貸したお金は一円も返してくれない。好きだけど、もう耐えられない。
    何もかもどうでもよくなって、この日は仕事なんてできなかった。

    2007-04-01 00:23:00
  • 175:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    その日1日シュンに連絡をしなかった。
    次の日シュンからは電話の嵐だったけど、あたしは取らなかった。
    実家や、友達のとこにもかかってきて、はるかに電話とるように言ってとしつこいから、と言われたので電話をとった。

    2007-04-01 00:26:00
  • 176:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はい」
    「はるか?なんで電話とらんの?心配したんやぞ!」
    「もーさぁ、無理やねん、別れてくれん?ほんま疲れたわ」
    「え…うそやろ!?俺はるかおらな無理やし!そんなん言わんとって!女の番号とか全部消すし!はるかじゃないと無理やねん!嘘やんな?!」

    2007-04-01 00:29:00
  • 177:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「無理無理。今他の男とホテルおんねん。だからもう終わりやわ」
    「うそやん…そうなん…、ごめんなはるか、でも俺、お前の事ほんまに愛してたから!」
    「はい、じゃーねバイバイ」
    あたしは涙をこらえきれなくなり電話を切った。

    2007-04-01 00:32:00
  • 178:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    こんな嘘でもついて傷つかせないと別れられない。
    むかついてたはずなのに、嫌いになったと思ってたのに、何故か涙が止まらない。


    バイバイ、シュン…

    2007-04-01 00:35:00
  • 179:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    その後シュンからは何回も説得の電話があり、自殺すると言って泣きわめいていた。
    でもあたしは情に流されまいとシュンにキツくあたった。
    もちろんシュンは自殺なんかしなかったし、最後に捨てぜりふを言った。「俺さあ、お前知らんやろけど、ほんま数えきれんくらい浮気してきたから。何股もかけてたしな」
    と笑っていた。

    2007-04-01 20:57:00
  • 180:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはシュンの言葉に愕然として、こんな奴に惚れてたのかと思うと情けなくなった。
    でも、好きだったのは事実で、この時間は無駄じゃなかったと信じたい。

    2007-04-01 21:11:00
  • 181:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンと別れたあたしは、毎日遊びまくった。寂しさを紛らすように。
    今までシュンにはクラブも禁止されてたから、イベントもしょっちゅう行った。

    2007-04-01 21:18:00
  • 182:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    その頃地元では薬が流行っていた。あたしはシンナーしか知らなかったけど、みんなに誘われてやってみた。
    錠剤のやつで、ものすごくハイになる。
    はじめは恐かったけど、覚せい剤が混じってるらしく、依存するらしい。

    2007-04-01 22:07:00
  • 183:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    何回かしてるうちに、あたしは、一回一錠じゃ物足りなくなっていた。
    友達と騒ぎまくって、記憶も曖昧で、何をしていたか覚えていない日々が続いた。

    2007-04-01 22:12:00
  • 184:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは完全に自分を見失っていた。幻覚も見るようになったり、毎晩夢でうなされたりした。
    またダメな自分に戻るんだろうか。。生きてる意味も分からず、ただ、ずるずると流されて毎日を生きていた。

    2007-04-01 22:15:00
  • 185:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あるとき、両親に話があると言われた。
    「あんた、なんか薬物やってるやろ」
    「は?なんで?やってないし!」
    「あんたの部屋からコカイン出てきたんやで」
    意味がわからなかった。

    2007-04-01 22:28:00
  • 186:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母親があたしの部屋を片付けているときに、小さい瓶を見つけて不審におもい、知り合いの薬物の鑑識をしてる人に見せたらコカインだったらしい。
    「ほんま知らん!あたしのちゃうし!」
    連れでコカインしてる子がいたから、忘れて帰ったんだとおもう。あたしは否定し続けた。

    2007-04-01 22:40:00
  • 187:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「あかん!今から警察行こ!!」
    そう言って母はあたしの腕を掴んで引っ張って行こうとする
    「違うって!待って待って!!」
    あたしは力いっぱい必死の抵抗をした。
    捕まるのだけは嫌だ。

    2007-04-01 22:46:00
  • 188:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    すると母は手をはなし、静かに言った。
    「はるか、親に迷惑かけるのはいいよ、親やねんから。けど自分を傷つけてどうするん?お母さんたちはそんな事させるためにはるかを産んだんちがうよ。そんな風に傷ついていくはるかを見るのが辛いねん…はるかが大切やから守りたいねん…お母さんらの気持ち分かるか?」
    母は泣いていた。涙を見たのはこれで二回目だった。

    2007-04-02 16:46:00
  • 189:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ごめんなさい、もうせえへんから…」
    「はるか、自分を大切にするねんで。」


    お母さん、お父さん、こんな娘でごめんなさい…

    2007-04-02 17:04:00
  • 190:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    もうしないという約束で警察には言わないでくれた。地元の子には誘われたけど、母の泣き顔を思い出すと、できる訳なかった。
    仕事も辞めてしまっていたから暇な毎日だった。

    2007-04-02 17:14:00
  • 191:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    シュンとは別れてから2回程会った。貸したお金は月々返していくという約束をして振込先を教えた。ヨリを戻してほしいと何回も言われたけど、あたしはもう連絡してこないで、とキッパリ別れた。
    好きな気持ちはまだある。でもこのままじゃあたしはきっと幸せにはなれない。

    2007-04-02 17:18:00
  • 192:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    しばらく彼氏はいらない。けど一人はやっぱり寂しい。だから毎晩遊んでいた。
    友達とクラブに行った夜、一人の男と知り合った。
    名前は拓也。
    頭の派手なBボーイ。

    2007-04-02 19:28:00
  • 193:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    見た目はかなりチャラそう。
    「自分ら今日誰見に来たん?俺DJしてんねん〜」
    「そーなんやあ、あたしもたまにイベント出てDJしてるで〜」
    「まぢ〜じゃ友達なろやっ♪」
    そんなかんじで仲良くなって頻繁に遊ぶようになった。

    2007-04-02 19:33:00
  • 194:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    しかし、外見とは裏腹に、拓也は全くチャラくなかった。
    普通、家で2人っきりになれば、男は少しくらい下心が見えそうなものだけど、拓也は違った。

    2007-04-02 23:53:00
  • 195:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしがミニスカートで拓也の家に行けば、
    「何じゃお前!その短い服!!これにはきかえろ!!俺あっち行ってるから!」
    と言ってあたしにジャージをわたしてくる。
    ある時は、「トランプでピラミッド作ろう!」
    と言って必死に作っている。

    2007-04-03 00:00:00
  • 196:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「あー!また崩れたぁぁ!くっそ〜!次こそやったる!」
    あたしはその姿を見て、なんて純粋な人なんだと思い、いつも拓也に癒されていた。
    自分の汚れた心が澄んでいく気がした。

    2007-04-03 00:03:00
  • 197:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    拓也はつい最近、三年くらい付き合っていた彼女と別れたらしく、かなり落ち込んだみたいだった。
    食事も喉を通らなかったと笑いながら話していた。
    あたしもシュンの事を愚痴ったりしていた。

    2007-04-03 10:36:00
  • 198:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    拓也とは、映画を見に行ったり、買い物に行ったり、デートみたいな事をしていた。
    映画を見て泣き、欲しいものを見つけてはしゃぎ、そんな素直で無邪気な拓也を微笑ましく思った。
    それが普通の事かもしれないけど、今のあたしにはそんな事すら素晴らしい事のように思えた。

    2007-04-03 10:39:00
  • 199:

    名無しさん

    ?

    2007-04-03 12:37:00
  • 200:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そして、会うたび、あたしはどんどん拓也に惹かれていった。
    拓也はそんなあたしの事なんて全く気づいていない
    あたしも気づかれないように振る舞っている。けど、電話がかかってくるたび、目が合うたび、あたしはドキドキして、まるで中学生みたいだった。
    忘れていたトキメキを思い出した。

    2007-04-03 17:27:00
  • 201:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    自分の家でボーっとしているとき、拓也から電話がかかってきた。あたしはウキウキしながら出た。「もーしー??」
    「あ、はるか?聞きたい事あんねんけど、お前彼氏おらんやんな?」
    「おらんよ!別れたばっかってゆうたやん」
    「じゃあ俺と付き合ってくれ!惚れてもた!」
    「………。」

    2007-04-03 17:47:00
  • 202:

    名無しさん

    メッチャおもろい\(^O^)/

    2007-04-03 18:17:00
  • 203:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おもしろいなんて光栄です〜〜(*≧m≦*)
    拙い文章ですが最後まで読んでいただけたらうれしいです??

    2007-04-03 19:05:00
  • 204:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「あ、やっぱ無理?ええねん気にせんとって!」
    「うれしい…うそやん…まじでぇ!?」
    あたしはいきなりの告白にかなりびっくりしたけど、うれしくて半泣きになっていた。
    「えっ?えーの?」
    「うん!よろしくねっ!」

    2007-04-03 20:16:00
  • 205:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「まぢで!!うっそんバリうれしい!明日遊ぼう!えっ、じゃぁ手とか繋いでいいん?!」
    拓也は電話越しでも分かるくらい子供みたいにはしゃいでいた。
    あたしもうれしくて恥ずかしくて、いつもより口数が多くなっていた。

    2007-04-03 20:24:00
  • 206:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日、拓也の家の前に行くと拓也が出てきていた。
    「おぉ!」
    いつもと変わらない拓也。けど、何だか違って見える。あたしは恥ずかしくてまともに顔を見れなかった。

    2007-04-03 20:47:00
  • 207:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ほれ。」
    そう言って拓也は手を差し出してきた。あたしも手をのばして繋いだ。
    「あ〜やばいって!緊張して手ぇ汗かいてきた!」
    拓也は本当に緊張してて、喋りまくっていた。拓也のおばさんに
    「いやぁ〜付き合ったん〜おめでとう!」と笑顔で言われた。拓也のおばさんはとても優しくて気さくな人だった。

    2007-04-03 20:52:00
  • 208:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それからプリクラを撮ってカラオケに行った。
    カラオケで拓也が歌っている横顔を眺め、あたしは何も考えず、急にキスをした。
    「えっ!?ひぇ〜!!お前今なにしたんっ!?恥ずかしいやんけっ!」
    拓也はめちゃめちゃ照れていて、あたしも自分のした事に恥ずかしくなり、顔は真っ赤になっていたとおもう。

    2007-04-03 21:25:00
  • 209:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたし達は本当にまるで中学生だった。
    こんな新鮮な気持ち、何年振りだろう。久しぶりに幸せを感じた。
    こうして恥ずかしくて歯がゆい1日がおわった。

    2007-04-03 21:32:00
  • 210:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから拓也とはほぼ毎日会うようになった。付き合って1ヶ月くらいして、あたしは困っていた。
    シュンのために借金したお金が返せなくなっていたのだ。このときあたしは無職。
    あたしは1日だけ前の風俗で働いた。拓也にはもちろん内緒で。家にいるからと静かな所で電話をした。
    罪悪感でいっぱいだった。この日の事は一生忘れられない。

    2007-04-03 22:54:00
  • 211:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母親っていうものは凄いもんだ。
    そんなあたしの行動を見透かしていた。
    そしてそれを拓也に言った。

    2007-04-03 22:56:00
  • 212:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「拓也くん、はるか前風俗してたん知ってる?」
    「あぁ、はい、ちょこっと聞きました」
    「あの子この前も行ってたで、多分」
    「マジっすか!?うそ…」「はるかに聞いてみ」
    あたしはすぐに拓也に呼ばれた。

    2007-04-03 23:07:00
  • 213:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか、また風俗行ったん?おばちゃんに聞いた。ほんまの事言って?」
    「ご…ごめん…行ってしもた、お金返せんくなって…」
    あたしは苦し紛れの言い訳をした。
    「最低やな…」
    ほんとその通り。あたしは最低な奴だ。今更後悔したってもう遅い。

    2007-04-03 23:14:00
  • 214:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ごめん…ごめんなさ…許してくれへんやんな…」
    「はるか、俺はお前が好きやから別れへん、でも俺もショックやし、その気持ちはわかってな。それより、おばちゃんの気持ち考えてみ。俺よりツラいとおもうで」
    「うん…うん…」
    あたしは泣いている自分に腹が立った。泣きたいのは拓也のはず…。

    2007-04-03 23:49:00
  • 215:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「おばちゃんがどんな気持ちで俺に言ってきたか。お前を助けたいから俺に言ってきてんで。謝ってこい。もう一生行かへんて約束してこい」
    拓也はあたしを母の所へ連れて行った。

    2007-04-03 23:55:00
  • 216:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「お母さん…ごめん…もう一生行かへんから!ごめんなさい!」
    「ほんまに?約束やで。行ったら拓也くん悲しむで、こんな優しい子おらんで。拓也くんのために真面目になり!な?はるか約束やで!」

    2007-04-04 00:10:00
  • 217:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母はこんなあたしに優しく微笑んだ。
    こんなにいいお母さんと彼氏がいるのに、あたし、何て事してしまったんだろう。
    自分が惨めで情けなかった。
    もう二度と裏切らない。この日あたしは心に誓った。

    2007-04-04 00:16:00
  • 218:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから拓也とはラブラブな毎日を過ごした。拓也の誕生日には2人で温泉に行った。夏には海、川、山。拓也は本当に色んな所に連れて行ってくれた。
    喧嘩をしても一分で仲直りするくらい仲良しだった。
    あたしももう裏切らないし、拓也も絶対浮気はしない。何の不安もなく幸せ満開だった。

    2007-04-04 21:42:00
  • 219:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    クラブにもいっぱい行った。2人でクルー作ってイベントに出た。
    あたしがナンパされたら相手をブッ飛ばしてくれる。仕事も毎日迎えに来てくれる。
    優しくて強くて明るくて素直で無邪気で。
    拓也の好きなところなら何個でも言える。
    あたしは完全に拓也にベタ惚れだった。

    2007-04-04 21:53:00
  • 220:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    気がつけばもう冬になっていた。拓也と過ごす初めてのクリスマス。何の予定も組んでいなかったから車で天保山に行った。少しブラブラして
    「帰ろか」拓也が言った。車を走らせ、家路を急ぐ。しかしいつもと道が違う。
    「拓也?道間違ってんで?どっか行くん?」
    「……。」
    「え?無視?(笑)」

    2007-04-04 21:59:00
  • 221:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    着いた先は綺麗なホテルの前。拓也はおいで。と言って車を降りた。
    あたしは意味も分からず拓也のあとをついて行く。ボーイさんに案内されエレベーターに乗った。
    「えぇ〜?ホテル予約してたん!?聞いてないし〜!!」
    「へへ」
    部屋に着き、ドアを空ける。

    2007-04-04 22:17:00
  • 222:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そこで真っ先に目に入ったもの。
    シャンパン、バラの花束、きれいに包装された包み。
    「はるか、メリークリスマス!」
    あたしはそこで一気に号泣した。

    2007-04-04 23:18:00
  • 223:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    クリスマスのすぐあとにあたしの誕生日があったけど、拓也はそれも旅行に連れて行ってくれて、プレゼントもくれた。
    こんなにいい彼氏を振った元カノはバカだなあと何回もおもった。
    本当に幸せすぎて恐いくらいだった。

    2007-04-04 23:28:00
  • 224:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    いつものようにデートをしていて、お腹がすいたのでラーメン屋に入った。ラーメンを食べながら「たく〜、あたしら結婚する?」
    「は?何やねんいきなり」
    「あたし拓也と結婚したいねん!」
    「え?まじ?照れるし!まあまあ、そんな焦んなよ」
    拓也はそう言いながらニヤけていた。

    2007-04-04 23:33:00
  • 225:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしはこの頃から結婚したいという気持ちが強くなっていて、拓也に何回も結婚の話をしていた。
    拓也はそんな焦る事じゃないからもっと考えろと言った。

    2007-04-04 23:36:00
  • 226:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしたちは毎日会ってるのに、小学生みたいに交換日記をしていた。その時の拓也のページには、
    【はるか最近結婚しようとかよく言うてるよな〜どないしたん?何かありそうで恐いわ!!俺らまだ付き合って一年も経ってないし、そうゆうのはよく考えた方がええで。てゆか俺じゃない方がええんちゃうか?(>_

    2007-04-05 13:48:00
  • 227:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    と書いていた。あたしは拓也がちゃんと考えてくれてた事がうれしかった。
    何も急ぐ事はないし、今まで通り仲良くしていこうとおもった。

    2007-04-05 14:07:00
  • 228:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    拓也が家に来ていた時、あたしは出掛けるため玄関で靴を履こうとしていた。そこへ父がやって来た。
    「はるか〜、お母さんから聞いたか?」
    「は?何を?」
    「検査のことや。なんか、ひっかかったらしい。内臓に影があるって。もしかしたらガンかもしれんて」
    父は、半分は笑ったような、半分は泣きそうな顔をして言った。

    2007-04-05 14:12:00
  • 229:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「……は?」
    あたしは意味を理解できずに突っ立っていた。母は、会社の健康診断で引っかかったらしい。レントゲンに影かあり、再度、精密検査をすると言っていた。
    あたしは家の外で待っている拓也のところに行き、訳を話し、大泣きした。

    2007-04-05 18:28:00
  • 230:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「大丈夫やって!!おばちゃん元気やん!大丈夫って祈ってよう!!」
    拓也はあたしを必死でなだめていた。

    2007-04-05 23:38:00
  • 231:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    人は、病気になったり、死の危機にさらされて初めて、命の尊さに気づくバカな生き物だ。
    あたしは今まで親不孝してきた事を本当に後悔した。
    あんなに嫌いだった母親なのに、あたしは悲しくて絶望した。

    2007-04-05 23:44:00
  • 232:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    家に帰ると、母親がいた。
    「お母さん!大丈夫なん?検査引っかかったんやろ?」
    「そやねん〜まぁ大丈夫やろ〜!死んだらあとよろしくなあ〜」
    と、タバコをふかして笑いながら言った。

    2007-04-05 23:47:00
  • 233:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは部屋へ戻り、急に怖くなった。
    もしお母さんが死んだら。。
    そんな事考えるのやめよう。そんな事あるわけない。

    2007-04-06 14:18:00
  • 234:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    しばらくして、父から結果を聞いた。詳しくは知らないけど大丈夫だったらしい。
    あたしは神様に感謝した。よかった、本当によかった。。。
    あたしはこれから母にはいっぱい親孝行をしなければならないんだから。
    拓也にも報告すると、拓也はまるで自分のことのように喜んでくれた。

    2007-04-06 14:26:00
  • 235:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そして寒い冬も明け、桜の花が咲く頃になった。
    最近あたしは体調がよくなく、毎日風邪薬を飲んでいた。なんとなく体がだるくて、微熱が続いていた。
    友達に言うと、妊娠ちゃう?と言われ、びっくりした。

    2007-04-06 14:36:00
  • 236:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    不安になったあたしはすぐに検査薬を買って、トイレに駆け込んだ。
    10秒も経たないうちに結果がでた。
    くっきりと線が出ている。陽性だった。
    あたしはパニックになり叫んだ。

    2007-04-06 14:40:00
  • 237:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ひぇ〜〜〜っ!!!!!リオ〜!リオ〜〜!!!」
    リオはあたしの妹。
    「なんやねん?」
    リオが面倒くさそうに来た。
    「にっ…妊娠した!!どっ…どーしよ!」

    2007-04-06 16:30:00
  • 238:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はあ??拓也の子なん?」
    「当たり前じゃボケっ!」
    「病院行きや。最近近くにできたやん。やってるか調べたるわ〜」
    リオはいつも冷静だ。全然驚いていない。
    あたしはリオに教えられた病院へ行った。名前を呼ばれ中に入り、診察をした。

    2007-04-06 16:33:00
  • 239:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「おめでとうございます。妊娠してますよ」
    先生が微笑みながら言った。エコーを見た途端に涙が出てきた。心臓はまだないけど、ちっちゃい豆みたいなのが映っていた。
    病院からの帰り道、拓也に電話した。

    2007-04-06 22:53:00
  • 240:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「もしもし?あたし、妊娠した…」
    「は?!お前そーゆう冗談ええってー!女はすぐそーゆうの言いたがるからなあ。」
    「ほんまやって!!」
    「はいはい、心臓に悪いからやめろや〜〜(笑)」
    「ちゃうねんほんまやねん!今病院も行ってきてん!」

    2007-04-06 23:03:00
  • 241:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「え……まじ??うそん、え?ほんまなん?」
    「ほんまやで。どーしよ。」
    「おめでとう!まぢでえ!?うそやん子供かあ〜!!」
    拓也は喜んでいた。あたしもそれを聞いて張りつめていた糸が切れ、涙が出た。素直に心から嬉しいと思った。

    2007-04-06 23:08:00
  • 242:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    その夜、家族を集めて妊娠した事を言った。
    「えぇ!?も〜〜やめてよ!お母さん嫌やで!(笑)」
    母は爆笑していた。笑うしかないみたいだ。父の顔は引きつっている

    2007-04-06 23:14:00
  • 243:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「どーすんのよ?」
    「産むに決まってるやん!よろしく!」
    「何がよろしくやねんな!えぇ〜!?どうせお母さんが育てる事になるねんわ!勘弁してやあ〜」
    あたしは笑っている母を見て、許してくれるんだとおもった。

    2007-04-06 23:17:00
  • 244:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「はるか、お母さんは反対やで、かわいそうやけど、諦めてほしい、あんたもまだ生計たってないのに子供養える?大変やで、生半可な覚悟じゃ無理やで」
    「分かってる!頑張るから!産みたい!!」
    今日一日だけで、少し母性が芽生えた気がした。

    2007-04-06 23:21:00
  • 245:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「…そうか…。あんたが決めたんやったらそうしい。お母さんじゃなくて、あんたが決める事や。拓也とちゃんと相談しいな」
    父は何も言わなかった。どんな気持ちだったんだろう。。

    2007-04-06 23:26:00
  • 246:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    後日、拓也がうちに挨拶に来た。
    「俺絶対お前の親父さんに殴られるわあ〜」と言ってビクビクしていた。
    家に上がると、父は酒を飲みながらテレビを見ていた。そこへスーツを着た拓也が緊張しながら失礼しますと言って正座をした。

    2007-04-06 23:35:00
  • 247:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「順番が逆になってしまいましたが、はるかさんと結婚させて下さい!一生大切にします!!」
    「結婚して子供をもつのは大変やぞ?自分のしたい事も我慢せなあかん、家族のために生きなあかん。できるか?」
    「はい!!」
    「そうか。ほな頼んだぞー。頑張りたまえ!」
    父は笑いながらそう言った。拓也もホッとした様子だった。

    2007-04-06 23:40:00
  • 248:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから話はとんとん拍子に進み、結納の日取りまで決まった。
    妊娠が発覚して以来、初めて拓也の家に行った。お母さんが出てきて、
    「誠におめでとうございます〜〜」
    と言って深々とお辞儀をしてきた。あたしは照れながら座り、夕飯を一緒に食べた。

    2007-04-06 23:47:00
  • 249:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    拓也のお母さんはよく喋る。
    「ちょっとはるかちゃん!ご飯中悪いけどな、聞いて!私が拓也産んだ時なあ、いきむ時にデッカいう●こが出てなあ、この子う●こまみれやってんで!きったねぇ〜!」
    と、自分の出産話をしていた。あたしは死ぬほど笑って、本当にうれしかった。
    こんなにみんなに喜ばれて、生まれてくる子供は幸せだな。。

    2007-04-06 23:51:00
  • 250:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この時あたしはつわりの真っ最中で毎日吐きながら仕事に行っていた。
    しんどいけど、嬉しさの方が大きかった。こんなに幸せだと思えたのは生まれて初めてかもしれない。
    そして、今までロクに話もしなかった母とは、子供ができた事でよく話せるようになった。
    つい2年程前まではあんなに喧嘩していたのに…

    2007-04-07 00:02:00
  • 251:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母の実家はものすごいお金持ちで、土地も会社もたくさん持っていて、お金が有り余るほどだった。
    しかし、父親はとんでもないダメ男で、1日に億単位で女と博打に全て使い、家はどんどん崩壊していった。
    それでもギャンブルは止めれず、家宝の壺まで売ったり、母が成人式のために自分で買った着物まで知らない間に売られたりしていた。

    2007-04-07 21:03:00
  • 252:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    何度も家を出たいと思っていたけど、自分の母親を残して出れない、苦労させたくない、そう思った。
    二十歳まで我慢をして、すぐに家を飛び出したらしい。

    2007-04-07 21:11:00
  • 253:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    そして、父と結婚してあたしが生まれ、喜びに満ちていた。
    父親の母、つまりあたしのおばあちゃんは、あたしをめちゃくちゃ可愛がった。妹が生まれてもあたしだけを可愛がった。

    2007-04-07 21:21:00
  • 254:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おばあちゃんは、お菓子もくれるし何でも買ってくれる。ただそれだけの理由で、あたしは幼稚園の時から家出をして、よくおばあちゃんの家に一人で行った。
    母はあたしが毎回家出をするたび、走って探し回ってあたしを必死で引き止めていた。
    そしてあたしを抱きしめて、もう行かないでと悲しそうに言っていた。

    2007-04-07 21:36:00
  • 255:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    父は昔から暴力を振るう人で、あたしは幼稚園から殴られていた。
    夫婦喧嘩もしょっちゅうで、いつも皿やコップが飛んでいた。
    でもあたしはそんな父が大好きだった。

    2007-04-07 21:53:00
  • 256:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしが小学生の頃、母は、父やちゃんの事でストレスが溜まり、片耳の聴力を失った。
    その時しばらく入院していたが、あたしはそれをうるさい母が家にいなくてラッキーと思い、一回もお見舞いに行かなかった。

    2007-04-07 22:34:00
  • 257:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    中学のときに、その事を泣きながら言われた。それが初めて見た母の涙。
    母の気持ちなんて、ちゃんと考えた事なかった。

    2007-04-07 22:51:00
  • 258:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    それから拓也とは籍を入れ、家も借りて、お腹の子供も順調に育っていた。
    色んなとこにも連れて行ってくれて、重たいお腹をかかえて歩くあたしを支えてくれ、本当に良くしてくれた。
    そして何より、新しい命の誕生を心から待ち望んでくれた。

    2007-04-08 22:14:00
  • 259:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    予定日も近づき、あたしもドキドキしながら毎日を過ごしていた。
    そして家で寝ている早朝、お腹に鈍い痛みがあり、それが1日続き、痛みが増してきた。

    2007-04-08 22:20:00
  • 260:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    次の日の朝、耐えれず病院に行き、唸りながら診察を受け、即入院した。そして陣痛室でひたすら耐えていた。
    この時拓也は夜勤明けで、寝ていなかったのにずっと側にいてくれた。
    「痛い?痛い?頑張れ!」
    拓也はあたしの腰をさすりながらひたすら励ましてくれていた。そこに母もいたが、頑張れとかも一切ナシで助産婦さんと話している

    2007-04-08 22:24:00
  • 261:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「お母さん、この娘さん我慢強いですね〜!」
    あたしは痛いとか一切言わないで耐えようと決めていた。
    「そーなんですよ、この子は我慢強いのだけが取り柄でねぇ〜ハハハ」
    あたしは笑っている母に笑いやがって代わってくれアホ!とか思いながら必死だった。

    2007-04-08 22:29:00
  • 262:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    母が席を外したとき、拓也はあたしを抱きしめてキスしてくれた。
    うれしかったけどそれどころじゃなかったので睨んでしまった。
    それでも拓也はあたしの汗を拭いたり、水を飲ませてくれたり、色々してくれた。

    2007-04-08 22:42:00
  • 263:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    分娩台に上がり、力の限りいきんだ。拓也が手を繋いで励ましてくれている。
    もう必死すぎて訳が分からなかった。
    ケツから地球が生まれそうな勢い(笑)
    「はい、今いきんで〜!!はいもーいいよ!力抜いて!!」

    2007-04-08 22:49:00
  • 264:

    はるか◆TxNY3v7nC2



    「オギャー!!」

    2007-04-08 22:53:00
  • 265:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    元気いっぱいの鳴き声が部屋に響いた。
    あたしは感動より、自分の中から子供が出てきた事にびっくりして、
    「うわぁ!!」
    と叫んでしまった。
    ふと拓也を見ると、顔を真っ赤にして泣いていて、あたしは爆笑した。

    2007-04-08 22:57:00
  • 266:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    胸の上に赤ちゃんを乗せてもらい、なんともいえない気持ちになった。
    母になった実感はない、けれど、目の前にいる、初めて見る我が子を本当に愛おしいとおもった。
    しばらくして母も部屋に入ってきて、赤ちゃんを見て笑っていた。

    2007-04-08 23:08:00
  • 267:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    「ほなそろそろお母さん帰るわ」
    「うん、また連絡して」
    「はいはい、じゃーね〜 …はるか……おめでとう」

    小さな声で言った母のその言葉に号泣してしまった。

    2007-04-08 23:13:00
  • 268:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしが妊娠中、よく読んでいた有名な本がある。


    わたしがあなたを選びました。

    2007-04-09 22:30:00
  • 269:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    わたしがあなたを選びました



    おとうさん、おかあさん、あなたたちのことを、こう呼ばせてください

    2007-04-09 22:36:00
  • 270:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あなたたちが、仲睦まじく愛し合っている姿を見て、わたしは地上におりる決心をしました。

    きっと、わたしの人生を豊かなものにしてくれると感じたからです。

    2007-04-09 22:40:00
  • 271:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    汚れのない世界から地上におりるのは勇気がいります。
    地上での生活に不安をおぼえ、途中で引き返した友もいます。
    夫婦の契りに不安をおぼえ、引き返した友もいます。
    拒絶され、泣く泣く帰ってきた友もいます。
    あなたの温かいふところに抱かれ、わたしは今、幸せを感じています。

    2007-04-09 22:45:00
  • 272:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おとうさん
    わたしを受け入れた日の事をあなたはもう思い出せないでしょうか。
    いたわり合い、求め合い、結び合った日のことを。
    永遠につづくと思われる程の愛の強さで、わたしをいざなった日のことを。

    2007-04-09 22:51:00
  • 273:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    新しい「いのち」のいぶきをあなたがフッと予感した日のことを。

    そうです、あの日、
    わたしがあなたを選びました。

    2007-04-09 22:55:00
  • 274:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おかあさん
    わたしを知った日のことを覚えていますか。
    あなたは戸惑いました。あなたは不安に襲われました。
    そしてあなたはわたしを受け入れてくださいました。
    あなたの一瞬の心のうつろいを、わたしはよーくおぼえています。

    2007-04-09 22:59:00
  • 275:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    つわりのつらさの中で、わたしに思いを向けて自らを励ましたこと。
    わたしをうとましく思い、もういらないと呟いたこと。
    わたしの重さに耐えかねて、自分を情けないと責めたことを。
    わたしはよーくおぼえています。

    2007-04-09 23:04:00
  • 276:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おかあさん
    あなたとわたしはひとつです。
    あなたが笑い喜ぶときに、わたしは幸せに満たされます。
    あなたが悲しむときに、わたしは不安に襲われます。

    2007-04-09 23:09:00
  • 277:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あなたが憩いくつろぐときに、わたしは眠りに誘われます。

    あなたの思いはわたしの思い。あなたとわたしはひとつです。

    2007-04-09 23:13:00
  • 278:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おかあさん
    わたしのためのあなたの努力を、わたしは決して忘れません。
    お酒をやめ、タバコを避け、好きなコーヒーも減らしましたね。
    たくさん食べたい誘惑と本当によく闘いましたね。

    2007-04-09 23:20:00
  • 279:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    わたしのために散歩をし、地上のすばらしさを教えてくれましたね。

    すべての努力はわたしのため、あなたを誇りにおもいます。

    2007-04-10 07:40:00
  • 280:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あなたの期待の大きさに、ちょっぴり不安を感じます。

    初めての日に、わたしはどのように迎えられるのでしょうか?
    わたしの顔はあなたをがっかりさせるでしょうか?

    2007-04-10 09:04:00
  • 281:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    わたしの体にあなたは軽蔑するでしょうか?

    わたしの性格にあなたはため息をつくでしょうか?

    2007-04-10 09:13:00
  • 282:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    わたしのすべては神様とあなたたちからのプレゼント。
    わたしはこころよく受け入れました。


    きっと、こんなわたしが一番愛されると信じたから。

    2007-04-10 09:18:00
  • 283:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    おとうさん、おかあさん
    今わたしは思っています。
    わたしの選びは正しかったと。

    わたしがあなたを選びました。

    2007-04-10 09:25:00
  • 284:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    この本を読んだ時、子供を愛おしいと思い、大切に育てようと誓った。
    けど今は、あたしを生んでくれた母への感謝の気持ちでいっぱいだった。
    母もこんな気持ちであたしを生んでくれた。
    あたしの事を心から愛してくれた。

    2007-04-10 14:23:00
  • 285:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    なのにあたしはそんな母を傷つけてばっかりで。
    それでも母は諦めないで支えてくれていた。

    2007-04-10 14:37:00
  • 286:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしが連絡もしないで帰ってこなかったとき、母はどんな気持ちだったか。

    あたしに死ねと言われて、どんな気持ちだったか。

    2007-04-10 19:18:00
  • 287:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしが風俗で働くのを許して見送った日、どんな気持ちだったか。


    今なら分かる、本当に本当に辛かったはず。

    2007-04-10 19:21:00
  • 288:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    お母さん、
    あのとき、殴ってごめんなさい


    こんな家に生まれたくなかったなんて言ってごめんなさい

    2007-04-10 22:36:00
  • 289:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    死にたいって言ってごめんなさい


    生んでくれなんか言ってないなんて言ってごめんなさい。

    2007-04-10 22:46:00
  • 290:

    名無しさん

    ??

    2007-04-11 01:20:00
  • 291:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    あたしは生まれた子供に優しく美しい子になってほしいと優美と名付けた。
    拓也はグチ一つこぼさずに、あたし達家族のために働いてくれる。家事も育児も手伝ってくれる。こんなにいい人に出逢えて幸せだとおもう。

    2007-04-12 09:29:00
  • 292:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    何気ない毎日が幸せ、生きていることが幸せ。
    そう思えるのは難しいかもしれない、けど、そう思えたら毎日が幸せになるはず。
    何でもない平凡な毎日だけど、あたしは今とても幸せです。

    2007-04-12 20:35:00
  • 293:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    これからあたしが優美を命をかけて守っていく。
    何があっても絶対離さない。
    お母さんがあたしにしてくれたように。

    2007-04-12 20:51:00
  • 294:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    お母さん、
    今まで本当にごめんなさい

    お母さん、
    これからもあたしのお母さんでいてください

    2007-04-12 22:27:00
  • 295:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    お母さん



    あたしを生んでくれてありがとう。

    2007-04-12 22:35:00
  • 296:

    はるか◆TxNY3v7nC2

    最後まで読んでいただいてありがとうございました??
    文章力もなくて省略した部分も多く、なかなか伝わらない事もあったとおもいますが?
    何か共感してもらえるところがあれば嬉しいです

    2007-04-12 22:42:00
  • 297:

    名無しさん

    お疲れ様でした?
    私もお母さん大嫌いで
    幾度も罵り殴りました。でも、子供ができ本当に大切な人になりました。今でもむかついたりはするけど…(笑)
    孫を抱かせてあげれたのが一番の親孝行だと思いますがこれから
    沢山の親孝行をしてあげて下さい?

    優美ちゃんと旦那さんと幸せになってね?

    2007-04-14 05:13:00
  • 298:

    はるか

    ありがとうございます?そうですよね、よく分かります(笑)親になって初めて親の気持ちが分かります?
    子供ってすごいですよね、存在だけでみんなが幸せになってる気がします。
    子育て頑張ってくださいねo(^o^)o

    2007-04-14 07:44:00
  • 299:

    ゆき?

    夜遊びの小説いっぱい読んできたけど、初めて感動しました??私も母をうるさいとかうっとおしいとか思ったりしてました。仕事も風俗やし、借金もある。でもはるかさんの小説読んで、母に対して申し訳ない気持ちになりました。気付かせてくれてありがとう?

    2007-04-19 03:55:00
  • 300:

    名無しさん

    小説読んで初めて、完結まで一気に読めて満足です。ありがとう

    2007-04-19 07:39:00
  • 301:

    ?優美?

    はるかさンの子どもさンと同じ漢字だったのでびっくりしました???
    ゅぅゎ優美で(ゅぅび)っていいます??
    これからも幸せでぃて?さぃ???

    2007-04-24 17:35:00
  • 302:

    名無しさん

    何だかなぁ

    2008-11-29 15:48:00
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
―mama―を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。