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愛しき者へ。
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1:
◆TK1sCiSuRY
信じるって何?
愛情ってどんなモノ?
永遠なんて
あるわけないのに。2007-01-03 19:13:00 -
2:
◆TK1sCiSuRY
そんなに必死になっちゃってさ。
好きにすればいいよ。2007-01-03 19:18:00 -
3:
◆TK1sCiSuRY
そんなくだらないモノ。
見たくもない…2007-01-03 19:19:00 -
4:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-03 19:20:00 -
5:
◆TK1sCiSuRY
淋しい。助けて。
暗くて何も見えないよ… 誰か… お願い。
此処から救って。
頭が割れる。
私このまま死んじゃうの?2007-01-03 19:24:00 -
6:
◆TK1sCiSuRY
痛い。痛い。痛い。
遠くで耳鳴りまで聞こえてきたし…
あぁそうか。
このまま目を覚まさない方が楽かも知れない。2007-01-03 19:30:00 -
7:
◆TK1sCiSuRY
いっそその方が
幸福かもしれない…
2007-01-03 19:38:00 -
8:
◆TK1sCiSuRY
「――子。」
「梨奈子ってば!」
耳障りな… いや、聞き慣れた声が耳を貫く。
「いつまで寝てるの?今日から学校でしょ!早く用意しなさい。」2007-01-03 19:42:00 -
9:
◆TK1sCiSuRY
「そうだ、梨奈子。ママ今日遅くなるから、適当に先食べといてね。冷蔵庫にも色々買ってあるから。」 手慣れた様子でイヤリングを付けながら、香水の匂いをプンプンさせたママがこっちを向き話す。
『どこ…行くの?』
低血圧なあたしは、朝に弱い。ガラガラに擦れた声でママに尋ねた。
「お友達と、ご飯行くだけよ。ご飯食べたらすぐに帰るから。」
冷静な態度でそう答えると、ママはそのままバタバタと玄関の方へ走っていってしまった。2007-01-03 19:58:00 -
10:
◆TK1sCiSuRY
『うそつき…』
男なら男って言えばいいのに。
去年の夏―、うちの両親は離婚した。原因は、パパの浮気だった。夜中にリビングで一人泣いているママの姿を何度も目にした。
あたしはどちらかと言えばパパっ子だったから、一緒に暮らせなくなるのは嫌だったけど、二人の変わり果てた息苦しい空気の中… あの家で暮らすのは、もっと嫌だった。2007-01-03 22:32:00 -
11:
◆TK1sCiSuRY
あたしは、離婚が悪いことだなんて思わない。
だから、パパのことも恨んだりなんかしてない。
愛なんて所詮はそんなモノ2007-01-03 22:34:00 -
12:
◆TK1sCiSuRY
着かず離れず、曖昧で単純で。目の前に見えては、目を擦れば簡単に消えてしまう―。
価値が、分からないんじゃない。ただ、信じていたって裏切られるなら、最初から信じなければいい。
名ばかりの幸せな時間に慰められて、その度に傷を負うのなら…2007-01-03 22:41:00 -
13:
◆TK1sCiSuRY
分かりたくない。
見たくもない。
永遠なんて
あるはずないのに。2007-01-03 22:44:00 -
14:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-03 22:44:00 -
15:
名無しさん
暗い話やな
2007-01-03 23:34:00 -
16:
◆TK1sCiSuRY
頭がガンガンする。昨夜は、行きたくもない飲み会に無理矢理連れていかれた。“夏休み最後だしっ”とかいう誰かの一言で決まったらしいけど…
《日にち間違えてない?》始業式の前日に、朝まで飲み会なんてしていたバカなクラスは―、間違いなくうちのクラスだけだろう。2007-01-04 00:46:00 -
17:
◆TK1sCiSuRY
『みんなちゃんと来てるんかな…だるい。』
念の為、二日酔いに効くとママが日頃豪語している薬を飲み、重たい体を引きずりながら学校へ向かった。
2007-01-04 00:50:00 -
18:
小雪
頑張ってネ?
2007-01-04 01:02:00 -
19:
◆TK1sCiSuRY
『帰れたよー。朝、頭がかち割れて死ぬ夢見たけどね。』
さらりとあたしが答えると―、一瞬キョトンした様子だった彼女は突然笑いだした。
「…やっぱ梨奈って面白いよねーっ。たまに変なこと言いだすし!頭割られて死ぬ夢とかめちゃうけるよー」
殺人とは言ってないけど…まぁ、舞花が盛り上がってるみたいだから『ほんとだよ。寝汗ぐっしょりやったもん。』と、一緒になって笑った。2007-01-04 01:03:00 -
20:
◆TK1sCiSuRY
「あっ、梨奈来てたんやー!良く来れたなぁー。」 笑っている私達の後ろから声をかけてきたのは、クラスメートの【武志】だった。
「あっ、武志生きてたんやー!来なくていいのにねぇー!」
舞花が、武志の口真似をしてあたしに言う。
『…ぷっ』
口元が緩んでいたのか、思わず笑ってしまった。2007-01-04 01:10:00 -
21:
◆TK1sCiSuRY
「な…なんやねんっ!お前に言ってないわ〜。ひでぇ〜。だから彼氏にフラれんねんぞっ。」
武志が悔しそうな顔をして、舞花に突っ込む。
舞花はあり得ないと言った表情で「ちょっとー…フッたのはあたしの方やから!あんた知ったかしないでよねっ。」
と、武志の背中を軽く叩いた。2007-01-04 01:15:00 -
22:
◆TK1sCiSuRY
「痛てっ!お前なぁ…折れてたら責任とって結婚しれやぁー。」
叩かれた背中を手で大げさにさすりながら、武志が舞花に言う。
「ハイハイハイ。折れてたらねー!」
舞花は慣れた口調で、それを笑いながら交わしていた。2007-01-04 01:19:00 -
23:
◆TK1sCiSuRY
「女の連れ!なんかさっき無理矢理貼られたねん。ってかウザイし、画面見にくいから邪魔やわ。」
武志はそう冷静に答えると、びっしりと貼られたプリクラを一枚ずつ剥がしていき、丸めて、ごみ箱に捨てた。
武志のこういう行動が、あたしには理解できない―。2007-01-04 01:26:00 -
24:
◆TK1sCiSuRY
嫌なら、本人にその時言えばいいのに…。
愛想を振りまくだけ振りまいて、見えない所では、それを堂々と裏切る。目に見える好意を受け入れてしまえば、相手にはきっとその一面だけが全てになるのに。
裏切るくらいなら、最初から自分を偽る必要なんてない。2007-01-04 01:31:00 -
25:
◆TK1sCiSuRY
偽りの言葉や愛のない嘘を突き通せないくらいなら、その優しさこそきっと、
一番残酷なモノだ。
あとには何も残らない…2007-01-04 01:34:00 -
26:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-04 01:34:00 -
27:
◆TK1sCiSuRY
小雪サン、ありがとうございます?頑張ります!!
2007-01-04 01:36:00 -
29:
◆TK1sCiSuRY
「ねぇねぇ梨奈、今日クラブ行かない?今日、スペシャルナイトらしいよ!」 片手で携帯のメールを打ちながら、舞花が得意気に言う。
スペシャルナイトというのは、月に一度行われるクラブのイベントの一つで、入場料は無料、ドリンクなどもすべて半額になる日の事をいうのだ。2007-01-04 19:20:00 -
30:
◆TK1sCiSuRY
クラブは好き。
会話さえも掻き消してしまう爆音のミュージックが、余計な事を考える余裕も一緒に消してくれるから。
『ごめん…今日はちょっと。あ、やっぱ行こうかな』2007-01-04 19:23:00 -
31:
◆TK1sCiSuRY
二日酔いで気分が乗らなかったあたしは、誘いを断ろうとしたが、今朝のママとの会話を思い出した。
《どうせ家に帰っても一人だし…》
それなら遊んで帰った方が―、時間潰しになる。2007-01-04 19:27:00 -
32:
◆TK1sCiSuRY
「行こぉ行こー!最近梨奈顔出してなかったから、みんな喜ぶよっー。」
舞花は、メールを打ち終えた携帯を制服のポケットにしまい込むと、こっちを向きはしゃぎながら言った。
2007-01-04 19:31:00 -
33:
◆TK1sCiSuRY
「なにー?今日、check行くん?」
近くで会話を聞いていた武志が、私達に尋ねた。
【check】というのは、今街で一番人が集まっているクラブの名前のことだ。
そして、私達もその一人。2007-01-04 19:36:00 -
34:
◆TK1sCiSuRY
「行くけどー。武志も来るっ?そういえばアンタも最近顔出してないよね?レイが会いたがってたよー」 舞花が武志に言う。
【レイ】というのは、クラブ仲間の一人で武志のことを気に入っているらしい。
「えー…いーわ。俺、あの子苦手やし。今日はちょっと用事あるから、直たちによろしく伝えといてよ。」
そう言うと武志は、教室の後ろでバカ騒ぎしてる仲間達のもとへ走っていってしまった。2007-01-04 21:43:00 -
35:
◆TK1sCiSuRY
『最近、武志忙しそうだね。』
あたしが呟くと、舞花も納得といった表情で
「そうだよねー。付き合い悪いよねっ。」
と、ポケットから携帯を取り出し、返事が来たメールに二度目の返信を打ち始めた。
2007-01-04 22:02:00 -
36:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-04 22:03:00 -
37:
◆TK1sCiSuRY
…ジーンジーン…
蝉の声が、耳に響く。
朝飲んだ薬が効いているせいか… だんだんと眠たくなってきた。
退屈な数学の授業が行われている教室で、舞花は相変わらず机の引き出しから電話を半分だけ覗かして、指を動かしている。
武志は、 ボーっと窓の外を眺めて、何かを考えているように見えた。2007-01-04 22:10:00 -
38:
◆TK1sCiSuRY
いや、何かを考えているというよりは…何かを思いつめるような感じ。
【女好き】【遊び人】 【最低な男】
彼に捨てられた女達は、口を揃えて、武志のことをこう言っていた。2007-01-04 22:17:00 -
39:
◆TK1sCiSuRY
自業自得だと思うから、あたしは武志が影でどう言われてようと興味がない。
ただ、時々見せるあのどこが哀しげな表情には、人として引き付けられるものがあった。
武志に言い寄る女の子達がそれに気付いているのかいないのかは、あたしには分からないけれど――。2007-01-04 22:32:00 -
40:
◆TK1sCiSuRY
「葉山、葉山、聞いてるかぁー?」
――自分の名前を呼ばれている事に気付き、我に返ると、教壇の横に立っていたはずの先生がすぐ目の前に立っていた。
今は、各自で教科書の問題を解く時間だったらしく…教室は緊張の糸が切れたように、少し騒ついていた。2007-01-04 23:32:00 -
41:
◆TK1sCiSuRY
「二日酔いでボーッとしすぎちゃうか?次問5、前出て解いてくれよ。」 そう言うと先生は、閉じたまま置いてある机の上の教科書を開いて、そのページの問5を指差した。
『淳ちゃんのオニ…』
あたしがボソリと呟くと、「俺だって頭ガンガンしてるねん…。明日は運良く日曜やしな!」
と、あたしの頭にポンと手を置いた。2007-01-04 23:38:00 -
42:
◆TK1sCiSuRY
昨夜の飲み会に、同じように無理矢理連れてこられていた【淳ちゃん】は、あたしのクラスの数学教師で、今年26になる。
バスケット部の顧問をしていて、子供のように明るく元気で、年が近いせいか生徒達は悩み相談をしたり、愚痴をこぼしにいったりと、淳ちゃんの事を友達のように慕っていた。
去年のバレンタインデーには、両手にパンパンになった紙袋を持ちながら、恥ずかしそうに車に乗り込んで帰る淳ちゃんを見たと… 誰かが言っていた―。2007-01-04 23:46:00 -
43:
◆TK1sCiSuRY
『淳ちゃん…今日、ママとデートなの?』
突然の質問に、淳ちゃんは二日酔いで少し充血した目を真ん丸とさせた。
そして、「そうだよ。問5やっとけよ。」と言うと、もう一度優しく頭に手を置き、教壇の方へとゆっくり歩いていった。2007-01-04 23:50:00 -
44:
◆TK1sCiSuRY
淳ちゃんは、ママの新しい恋人だ。
ママとパパが離婚してからの三者面談で、ママが学校に来た時に顔を合わせたのがキッカケだった。2007-01-04 23:53:00 -
45:
◆TK1sCiSuRY
淳ちゃんのお姉さんとママが同級生だった事から話が弾み、その日、ママの誘いでパパのいなくなったあたし達の家に、淳ちゃんは夕食を食べに来た。
そのうち《男の一人暮らしは大変でしょ!》という半ば強引なママの言葉に、淳ちゃんが夕食を食べに来る機会も増え、休みの日にはあたしとママを遊びに連れていってくれたりもした。2007-01-05 01:33:00 -
46:
◆TK1sCiSuRY
……
当時、淳ちゃんは二年や三年の先輩達からも人気で、淳ちゃんの周りには、いつもたくさんの人と笑い声が溢れ返っていた。
そんな淳ちゃんに、あたしは最初全く興味がなかった。2007-01-05 01:40:00 -
47:
◆TK1sCiSuRY
あなたと初めて話した日。
ちょうどパパの浮気が発覚して、家の中には冷めきった空気と、冷めきった会話しかなくなっていた頃―…2007-01-05 01:43:00 -
48:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-05 01:43:00 -
49:
◆TK1sCiSuRY
「葉山ーだったよな?」 突然声をかけられ振り向くと、そこにはいつもたくさんの人に囲まれている新米の先生が立っていた。
『はい…』
うちのクラスは授業を受け持ってもらってないのに、なんであたしの名前知ってるんだろう…2007-01-05 01:46:00 -
50:
◆TK1sCiSuRY
不思議そうな顔をしているあたしに、
「葉山、中学ん時バスケ部やったんやんな?」
と、その先生は笑顔で言った。
どこからそんな間違った情報を聞いてきたのか… あたしは、中学時代バスケ部でもなんでもない。2007-01-05 01:49:00 -
51:
◆TK1sCiSuRY
そんなキラキラ輝く花の青春時代のような運動部ではなく、友達に誘われて仕方なく入った、地味な茶道部だった。
『違いますけど…茶道部でした。』
ボソリと言ったあたしに先生は驚くような顔をしてから慌てて、
「あれ!?あ…そうやったけなっ?あれ…?三組のハヤマはバスケ部やったって担任の鈴木先生に聞いたんやけど…ごめんな!」 と、頭を手で掻きながら言った。2007-01-05 01:55:00 -
53:
名無しさん
あげ?
2007-01-05 13:47:00 -
54:
◆TK1sCiSuRY
『多分…それ、カヤマの事だと思います。同じクラスで確かバスケ得意って前に言ってた気がするし。男ですけど……』
あたしがそう言うと、その新米の先生は、まだどこか幼さが抜け切れていない顔を真っ赤にさせながら
「あ…!!加山か!ハヤマとカヤマ…似てるよなー。いや、似てないか…!?ごめんなー。あっ、ほら俺バスケ部の顧問だからさっ…部員集め頼まれてて…って…あれ!?」2007-01-06 09:30:00 -
55:
◆TK1sCiSuRY
子供のようにあたふたと言い訳をする先生を見て…、あたしは思わずその場で吹き出してしまった―。
「…笑うなよー。」
そう言った先生の言葉にも耳を向けず、涙が出るくらい笑った。2007-01-06 09:35:00 -
56:
名無しさん
?
2007-01-07 20:34:00 -
57:
◆TK1sCiSuRY
先生はしばらくしてようやく顔を上げると、こっちを見て言った。
「葉山、笑ってる方が可愛いよ。」
その瞬間―。あたしは自分の中の何かが静かに音をたて始めたのを、…確かに聞いた。2007-01-08 02:13:00 -
58:
◆TK1sCiSuRY
クラブ仲間や、街でされるナンパなんかで声をかけてくる人達が口にする
《可愛い》
とは、また違う…
急に羞恥心に襲われ、 あたしは軽く頭を下げると逃げるようにその場を立ち去った。2007-01-08 02:16:00 -
59:
◆TK1sCiSuRY
あんなに純真な目で人に見つめられたのは、初めてだった。
感じた事のない感情に捉われた事に、ただ自分でもビックリしていた―…。
2007-01-08 02:19:00 -
60:
◆TK1sCiSuRY
それから学校で何度か先生とはすれ違ったけど、淳ちゃんの周りには相変わらずたくさんの人が集まっていて、あたしはなんとなくそっちを見ないようにしていた。
2007-01-08 02:22:00 -
61:
◆TK1sCiSuRY
ある日、日直だったあたしは面倒臭い日誌を適当に書きながら、教室へ一人残っていた。
『はーダルイ…』
そう呟いた瞬間、背後から教室の後ろ扉が開く音が聞こえた。
「…あれ?まだ誰かいたんや?」2007-01-08 02:25:00 -
62:
◆TK1sCiSuRY
嫌な予感がした。
嫌な予感っていうのは、 八割がた的中するように なっていると思う…。
「あ…葉山か?」
声の主は、ずばり今最も会いたくなかった先生だった。2007-01-08 02:28:00 -
63:
◆TK1sCiSuRY
「何?あー日誌かぁ。大変やなぁ…」
先生は、あたしの机の上の分厚いノートに目を向けると、苦笑いしながらそう言った。
『はい…』
《やっぱり、急に黙って走り去ったのは失礼だったかな…。気まずい。》2007-01-08 02:32:00 -
64:
◆TK1sCiSuRY
そんな事を考えていると、それを察したかのように―先生は、話し始めた。
「…あ!この間はごめんなぁ。やっぱり加山の方やったわー(笑)次の日さ、加山に勧誘しにいったら見事に断られてさー…。バスケはもう辞めたんだって言われたんだよなー」2007-01-08 02:36:00 -
65:
◆TK1sCiSuRY
「県体に出た事もあるらしくてどうしても力借りたくて、何度も勧誘しに行ったんやけど…やっぱり決意は固いみたいでっ。その代わりさ、辞めた理由を聞かせてくれたねん。」
加山の事を語る先生の目は優しく、まるで自分の事を話しているようだった。
「…バスケより、大切な夢が出来たんやって。自分のしたい事をするのが一番大事やし、それなら俺は喜んでその夢を応援してあげたいからな。」2007-01-08 02:43:00 -
66:
◆TK1sCiSuRY
『…先生も、バスケしてたの?』
あたしの問いに、犬のようにふわふわした焦げ茶色の髪の毛を大きな手でくしゃっと触り、淳ちゃんはまたゆっくりと話し始めた。
「…俺も、葉山達と同じくらいの時、バスケより大切な夢が出来たんだ。それが今の仕事。“教師”だよ。俺は夢が叶って後悔なんてしてないし、昔の夢を捨てた気もない。夢は…夢から生まれるモノやねん。現に今こうやって、またバスケと繋がりを持つ事が出来たしな。…だからアイツも、バスケを忘れたわけじゃない。それを愛してる限り、いつかきっと違う形でまた出会えるはずやからなっ」2007-01-08 02:53:00 -
67:
◆TK1sCiSuRY
前向きな口調とは裏腹に、先生の目はどこか切なく、遠くを―‥、見ているようだった。
「葉山は何か夢あるん?」
さっきの曇った表情は消え、今度は先生が明るくあたしに尋ねた。2007-01-08 02:57:00 -
68:
◆TK1sCiSuRY
黙っているあたしから、答を待つ先生。
『まだ…決めてません』
そう答えると、先生は少し何かを考えた後―
「夢は、無理矢理作るものじゃないからな。葉山も何かあったら何でも相談してきてくれな。」 と、笑顔で言った。2007-01-08 03:02:00 -
69:
◆TK1sCiSuRY
ごく普通の生徒と教師の会話。
だけどあたしには、それ以上の感情が生まれてしまった。
2007-01-08 03:04:00 -
70:
◆TK1sCiSuRY
いや…本当は、先生に初めて話し掛けられたあの日から、その純真な目で見つめられた瞬間から、
あたしは恋に落ちていたのかも知れない――。
2007-01-08 03:07:00 -
71:
◆TK1sCiSuRY
淳ちゃんの、大きな手が好きでした。子犬みたいな優しい笑顔が好きでした。 すぐに熱くなる性格が好きでした。常に人の事ばかり考えて、人情に厚く涙もろいあなたが…
大好きでした。2007-01-08 03:11:00 -
72:
◆TK1sCiSuRY
2007-01-08 03:12:00 -
73:
名無しさん
あげあげ?
2007-01-23 11:23:00