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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
200:
涼
『お前いつ別れんのいつ別れんのってうるさいねん!!付き合ってやってんねんからそれでいいやんけ!!』
……付き合ってやってるって……どうしてそこまで上からものを言うのか。どう考えても悪いのはこっちじゃない。また泣き出してしまった。どうやら最近涙腺がイカれてるらしい。
2005-06-08 20:53:00 -
201:
涼
今まで余裕ぶっていたがもう無理だ。思ってる事を素直にぶつける。
剛は黙って台所へ向かった。
キィ…パタン
シンクの下の収納スペースの開く音と閉まる音。
??何をしてるんだろう。2005-06-08 20:54:00 -
202:
涼
(-"-;)!!!
手には包丁。涙が一瞬にして止まる。何をする気なのか皆目検討がつかない。
『俺ホンマに最低やな。俺、前浮気したとき涼に悪いと思ったから言ったんじゃなくて、あいつがダルなってきたから、お前にゆったら、あぁなると思って、あいつと別れたくて涼を利用したんやし……』今そんな事を言われても……まぁあの時感じた違和感は解決したが……なんて思ってる場合ではない。2005-06-08 20:55:00 -
203:
涼
『…………何する気?』
『俺なんか死んだ方がいいねん。浮気してごめんな。俺がほんまに好きなんは涼だけやで。春休み毎日おったからよけい寂しくて浮気してしまってん。ほんまに辛い思いさしてごめんな。もう涼の手で殺して。愛する人に殺されて人生終わるんやったらそれでいい。ほら心臓ここやし。なんやったら憎しみ全部込めてメッタ刺しでもいいで』
そう言って剛はベッドにごろん、と横になった。2005-06-08 20:56:00 -
204:
涼
メッタ刺しにしてやろうかと思った。浮気を繰り返して、あたしの事をボロカスに言う憎い男。
でもあたしのたったひとりの愛する男……
無抵抗で目の前に転がっている。でもあたしは刺せなかった。殺人罪をくらうとか、人を殺してはいけないとかそういう道徳観念の前に、剛のいないこの先など考えられなかった。あたしには剛の存在が全てだ。2005-06-08 20:57:00 -
205:
涼
『死ぬとかやめて……涼は剛の事殺すなんか出来ないよ……剛がいなきゃ生きていけないよ……』涙ながらに言った。
『無理ゆってごめんな。涼に人殺すとか無理やんな。自分で死ぬから見ててや。な?』剛が自分の手で包丁を腹に突き立てる。素早く手から包丁を奪い取る。剛なら本当に刺しかねない。ぼろぼろ涙が溢れる。2005-06-08 20:58:00 -
206:
涼
『返せって!!』
大きな声にびっくりして一瞬ひるんだ。その隙に包丁を取り返されてしまった。2005-06-08 20:59:00 -
207:
涼
言葉を発している余裕はない。剛の手首めがけて勢い任せに足を伸ばす。命中。カランと音を立て包丁が転げ落ちる。すかさず拾う。すかさず剛があたしから取り返そうとする。今度はお腹めがけて足を伸ばす。ど真ん中に命中。剛がうずくまる。マトモに入ったっぽい。と思ったらうずくまった剛があたしの頭めがけて拳を伸ばす。よけきれず頭に命中。あたしが倒れ込んだ拍子に包丁が転がる。拾い上げられてしまった。さっきあたしが蹴ったお腹が痛いのかまだ押さえている。とりあえずわき腹めがけて蹴りを入れる。こけた拍子に剛の手から包丁が飛ぶ。男と体使って喧嘩したのなんて久々だ。
2005-06-08 21:01:00 -
208:
涼
『なんで死なせてくれへんねん!!』
好きだからに決まっている。愛してるのに……目の前で死なれるなんてたまらない。2005-06-08 21:02:00 -
209:
涼
口で言ったって聞くはずがない。泣きながら喧嘩をすると疲れる。
『どうしても死ぬって言うんなら涼が先に死んでやる!!!!』もうほぼ悲鳴だ。あたしは自分の首に包丁の刃を当てる。
『もう死ぬなんて言わないって約束して!!!!何でもするから!!!!死ぬのだけはやめて!!!』
叫びすぎてむせる。むせた拍子に刃が当たってうっすら切れた。ツーっと血が流れる。さっきの喧嘩の拍子に指も切れていた。首から流れた血を見てか剛はぺたんと座り込み、黙って首を縦に振った。ほっと体の力が抜ける。思いとどまってくれた………良かった………2005-06-08 21:04:00 -
210:
涼
『じゃぁ来週30万な』
あたしの想いはこの男にはちっとも届いてないようだ。
2005-06-08 21:04:00 -
211:
涼
その日は朝から学校の親睦会だった。これに出ないと課外授業の単位が取れない。泣きはらした腫れぼったい目のまま電車に乗り学校へ向かう。
学校に着くとクラスメイトが駆け寄ってくる。
『どぉしたん!?涼ちゃんスッピン!?目赤いよ!?なんかあった!?』
ああ、そういえば今日の親睦会はティータイムクルージングだ。みんなでお洒落して行こうねって言ってたんだっけ……。そんな事すっかり忘れてた。2005-06-08 21:06:00 -
212:
涼
『朝から彼氏と包丁奪い合いの喧嘩してさぁ〜化粧する暇なくなってもたわぁ〜』とおどけながら話す。本当はそんな軽く言えたもんじゃない。でも、根ほり葉ほり聞かれるのは嫌だった。
『ってか今日の三宮での自由時間どこ行くよ!?』誰かがつっこんでくる前に自ら話をすり替えた。
『あ、あたしな行きたいトコあんねんかぁ、雑誌で見てんけどさぁ〜』
二つ年上の恭子が話にのってくる。恭ちゃんは多分あたしが話したがってないのを感じ取ってくれたのだ。みんなが恭子の話しにのる。良かった。話さないですんだ。何もなかったかのように化粧しながらみんなの話しに加わった。2005-06-08 21:07:00 -
213:
涼
ティータイムクルージングと洒落た名前がついたお茶会はさんざんだった。波で微妙に揺れる船体。とてもじゃないがゆっくり紅茶を飲める状態ではない。もとから揺れには弱い。窓から景色を見て紛らわそうにも、窓の外も揺れている。船体が揺れているのだから当然だ。限界……そう思いタバコを握りしめ甲板へと向かった。
風が当たる分いくらかましだ。
タバコに火をつけ煙をはく。あたしも煙になりたい……空気に薄められて目には見えなくなった煙が羨ましかった。2005-06-08 21:08:00 -
214:
涼
『こら!!タバコ没収です!!』
げっ先生!?うちの学校は美容系なので基本的に喫煙は校則で禁じられている。たとえ未成年じゃなくても関係なかった。やっば……と思いおそるおそる振り向くとそこに立っていたのは先生ではなく、タバコをくわえた恭子だった。2005-06-08 21:10:00 -
215:
涼
『ひひっ、びっくりしたべ!?』恭子が笑う。
『恭ちゃんかぁ、びびったしやな、ホンマ!!』
『なんあったんよ?』
唐突に話を切り出された。もとから恭子には話そうと思っていたので全部話した。
恭子はふーっと煙と一緒に深いため息をついた。2005-06-08 21:11:00 -
216:
涼
『涼ちんさぁ、そいつの事好きなんめっちゃ分かるけど、別れた方が涼ちんの為やで??恭子、初めのうち年上やからみんなに馴染めへんかったから、涼ちんともあんま喋ってなかったけど、初めに比べてめっちゃ痩せたで!?涼ちん見てたら聞いてほしくなさげやったから、恭子に話してくれるん待ってたけど……今話してくれてめっちゃ嬉しい。でも恭子は涼ちんが心配やわ。いつかそのままやったら涼ちん壊れてまうよ……そうなってほしくないねん……』
恭子は何語ってんねやろ、うち。と、八重歯を覗かせてへへっ、と照れくさそうに笑った。
話さないことによって自分の傷を深くしないようにしていたが、それによって恭子にこんなにも心配をかけた。謝るのは苦手なので心のなかでごめんね、と謝った。2005-06-08 21:16:00 -
217:
涼
恭子の思いはわかったがやっぱり剛を嫌いになる術は見つからない。偽物だったとしても、あたしにあんなに愛をくれた人は今までいない。そんな剛を忘れるなんて出来るはずがなかった。
30万どうやって作ろう……頭の中はそればっかりだ。一人二万と考えて15人。一日約二人。まぁ、なんとかいけないことはないかな……でも毎日やんなきゃいけないのか……なんて考えながら今日一人目の客との待ち合わせ場所へ向かう。2005-06-08 21:17:00 -
218:
涼
30万………こんなタイミングのいい事ってあるんだろうか。でも……中だし……下手すりゃ妊娠だ。妊娠すると決まったわけではないが、妊娠しない保証はない。大博打だ。一生一大の賭に出るかでないか……立ち止まってしばらく考える。
2005-06-08 21:19:00 -
219:
涼
頭の中で悪魔が囁く。
“行けばいいじゃん??妊娠すると決まった訳じゃないよ?30万、渡せなかったら剛に捨てられちゃうよ??”
理性がなだめる。
“だめだよ、妊娠したらどうするの!?お金のためでも中だしなんかしちゃだめだよ!!地道にやって稼げない額じゃないじゃん!!中だしはだめだよ”2005-06-08 21:19:00 -
220:
涼
地道に援交するのも、十分おかしいが、どうやら葛藤は悪魔が勝ったらしい。
あたしはその書き込みに
【先払いで30万くれるならいいですよ。梅田ですがあえますか??】
と返信した。2005-06-08 21:21:00 -
221:
涼
HEPとNAVIOの間を歩く。……しまった、ここはホストがあほ程いるんだった……金曜日の夜だからかいつもより多い。遠目に見てもスーツの男がウヨウヨ。はぁ……と少し歩く速度をあげる。声をかけてくるホストをシカトし歩き続ける。
2005-06-12 00:30:00 -
222:
涼
『なぁなぁ、俺の髪型変!?』
は!?と思わず振り返った。どうしてこう意表をついたキャッチにいつも振り返ってしまうのか自分がなさけなかったが、そこに立っていた男は本当に髪型が変だった。2005-06-12 00:31:00 -
223:
涼
天パなのか前髪がうねっている。というか前髪が特にうねっている。ちょっと吹き出しそうになったが『変ってか天パっしょ?』と言うと
『変か変じゃないかでゆうたらどっち!?』とその男が髪をかき上げながら聞いてきた。
!?!?
前髪が邪魔してよくわからなかった顔はびっくりするほどに整っていた。しかも、モロあたし好みだ……2005-06-12 00:32:00 -
224:
削除削除されますた
あぼ~ん -
225:
涼
『じゃあ俺の髪型についてゆっくり話そう!店おいでや!!』
『今からちょっと用事あんねんか、それ終わって気向いたらね。』
『マジで!?じゃ番号教えてや!』
番号を交換し待ち合わせ場所へ向かう。待ち合わせの時間は少しすぎているが電話はない。こっちからかけてもコールは鳴るが、受けない。2005-06-20 00:51:00 -
226:
涼
時々電話をかけながら15分ほど待った。かかってもこない。コイツはもう来ないな……。30万手に入れ損ねたショックもあったが中だしされずにすんだ……とホッとした。
もう二時になろうかとしている。今から新しい客を捜すのは面倒だな…
そう思ったのでさっきの子に電話をかけた。2005-06-20 00:53:00 -
227:
涼
『もーしー??なんしてんの??誰かわかる〜?』
『お〜、キャッチやでえ。用事終わったん??』
……中だしして30万貰う用事がありましたがなくなりました、なんて言えるわけがない。
『終わったよ〜』
『ほな、店くる??』
そういやホストなんて久しぶりだな……と思いながら うん。とうなずいた。
2005-06-20 00:53:00 -
228:
涼
略
そういやホストなんて久しぶりだな……と思いながら うん。とうなずいた。
2005-06-20 00:54:00 -
229:
涼
財布の中には剛の為にさっき稼いだ二万と、千円札が数枚。初回だし大丈夫……そう思い彼との待ち合わせ場所に向かった。着いて姿を探す。いない。電話をかけようとしたその時走ってくる彼が見えた。
2005-06-20 00:55:00 -
230:
涼
『ごめんな、待った?』
『ううん、大丈夫。今来たとこやで★』
『そっか〜店ちょっと遠いけどごめんな〜』
他愛もない話をしながら店へ向かう。本当に遠い……2005-06-20 00:56:00 -
231:
涼
店にはいると黒を基調とした広い店内。今まで行ったどの店より広かった。広すぎるせいかよけい空席が目立つ。案内された席に座る。
『俺口座でいいやんな?』もちろんだ。今まで男前は多数見てきたがその中でも一番あたしの好みの顔だった。2005-06-20 00:57:00 -
232:
涼
『あんな、今日下の子の誕生日やねんけど、客集めれへんぽいからイベントもやってないねんけど……可哀想やしドンペリおろしたってくれへん!?月末俺誕生日やけど、そん時なんもいらんし頼むわ!!』
初回からドンペリをねだられてしまった……でもどうせならこんなあたし好みの顔の男の為に働いた方がマシな気がしたのでOKした。2005-06-20 00:59:00 -
233:
涼
『未収できるよね?』
『おう、できるで!!』良かった。それなら大丈夫。朝方、お客さんが増えてからおろす事になった。ちらほらお客さんが入りだし、健二と篤はヘルプや雑用のために席から去っていった。
『てかさ、おまえ何でさっきからずっと無理して笑ってるんな??』
タバコに火をつけようとした手が止まる。
……見抜かれた!?2005-06-20 01:00:00 -
234:
涼
初対面の、ほんの数時間前に出会ったばかりの男に……彼の言うことはビンゴ。頭のなかは剛でいっぱいで、あたしはこの男に出会った時から作り笑いしかしていなかった。仕事柄数年間作り笑いをしてきたのに、客も見抜けていないのに、たかだかホストを初めて三ヶ月の男に見抜かれた……
『なんかあるんちゃうん??俺で良かったらきいたるで。』2005-06-20 01:01:00 -
235:
涼
ぽつりぽつりと彼に話す。出会った時のことから全て…思い出したくないことばかり。楽しい思い出もたくさんあったはずなのに、記憶に蘇ってくるのは辛かった事ばかり。思い出して涙が溢れる。話す声が詰まる。泣いてるのに気づかれた。彼はそっとあたしの頭からスーツのジャケットをかぶせ、自分の肩に抱き寄せた。そしてぽんぽん、と頭を撫でて優しい声で言った。
『辛かったな。』2005-06-20 01:02:00 -
236:
涼
彼にとっては何気ない一言かもしれないがなんだかすごく嬉しかった。
『他の人を好きになったら??忘れられるんちゃうかなぁ??』
『好きになろうとしたけど、誰のこともあいつ以上には好きになれへんかってん……』
『じゃぁ、俺のこと、好きになってや。』
初回で色恋かよ……と思いながら
『なれたらいいねぇ。どんなに楽だろ…』と軽く答えた。2005-06-20 01:03:00 -
237:
涼
略
『なれたらいいねぇ。どんなに楽だろ…』と軽く答えた。2005-06-20 01:04:00 -
238:
涼
『俺のこと、好きになろうとしてみて?本気でゆってんねんで。そんなカスみたいな男に俺は負けへん。絶対お前は俺のこと好きになるはずや。そいつより、俺のこと好きになって、別れられたら、お前は変われると思うで』
いい事を言っているが、初対面で好きになれと言われても困る。黙っていると彼はこう続けた。『決めた。俺お前の彼氏になるわ。』2005-06-20 01:06:00 -
239:
涼
は!?!?!?!?
『俺と付き合って。一緒におったら、好きになるかもしれんやん。だからって今すぐ別れろとは言わんから。俺は二股でいいから。もし、向こうの男以上に俺のこと好きになられへんかったら、捨ててくれていいから。あんたじゃ無理やわって言ってくれたら、俺すっぱり諦めるから。な?俺を彼氏にしてや』
初対面なのにこんなに心配してくれている…正直他の人を好きになって剛の事を忘れたかった。2005-06-20 01:07:00 -
240:
涼
黙っていると彼はずっといい続けた。
『な、ホンマ嫌やったら別れてくれていいから。俺とつきあお。』
もしかしたら好きになれるかもしれない。なんてったって顔がモロ好みだし。そんな軽い気持ちで、わかった。付き合うよ、と答えた。すると彼は携帯を取り出し、時間を見て
『ほんじゃ、来月から三日が記念日なっ♪』と笑った。日付を確認してたのか。2005-06-20 01:08:00 -
241:
涼
【彼氏】がいるのにもう一人【彼氏】が出来てしまった。また、出会ってたった数時間で。つくづくあたしって適当だなぁ…なんて思いながら、タバコに火をつける。どうせ、剛以上に好きになれはしない。適当に飽きたら捨てよう、そんな軽い気持ちだった。
2005-06-20 01:09:00 -
242:
涼
恋愛ジャンキー作者涼です。この作品が再び新しい掲示板にぁるとぃぅことはどなた様かがコピペして下さってぃるのでしょぅか?どのような事になっているのか、何処を見ればわかるのかわからず直接書き込ませて頂きます。移して下さるのは大変有り難いです。返信頂きたいのでよろしくお願いいたします。
2005-06-20 02:05:00 -
243:
名無しさん
夜遊びついに規制するみたいやね!
って言うスレ見たらわかるよ☆2005-06-20 02:10:00 -
244:
コピペ人
涼ちゃん どーも☆最初誰かがコピペしてて、旧掲示板が削除されてコピペ出来なくなったというので、バックアップとってた私が続きをしてます。
このまま最後までコピペしていいですか?
それと、☆厄介物語☆http://bbs.yoasobiweb.com//test/mread.cgi/yomimono/1116692559/l52005-06-20 02:31:00 -
245:
涼
コピペ人さん、ありがとうです♪作者本人、バックアップ取ってません(・・;大変ありがたいです。
しかも今見たら厄介物語のほうまで!今から続き書きますね♪
本当にありがとうございました☆2005-06-20 02:55:00 -
246:
涼
『携帯、貸して』
ぱっと、携帯をとられた。剛のメモリーを消されるかもしれない。慌てて取り返そうとする。
『そいつのメモリー消したりせぇへんて』と彼が苦笑い。何でもお見通しなようだ。
慣れた手つきであたしの携帯をいじり、源氏名で、【ホスト】のグループに登録されていた自分の名を、新しく【ダーリン】というフォルダを作り、本名で登録しなおした。
『俺、お前にとってはホストちゃうし、ダーリンやからな』っと照れくさそうに笑った。
本名は誠司。今日から彼氏の仲間入り。2005-06-21 00:40:00 -
247:
涼
略 本名は誠司。今日から彼氏の仲間入り。
2005-06-21 00:43:00 -
248:
涼
援交は主に梅田でしていたので、ちょっと控えようと思った。誠ちゃんの店の従業員にでも見られたら困る。本人に見られたらもっと困る。前までいたマンヘルに戻ることにした。
待機中に携帯がなる。誠ちゃんだ。【好きハート】……・・・いきなり!?と思ったが可愛かった。【涼も好きハート】とメールを返す。そういやこんなメール、長いこと剛とはしていないなとちょっと寂しくなった。2005-06-21 00:44:00 -
249:
涼
誠ちゃんはバイトホストだったので週三日しか出勤がなかった。でも、毎日毎日電話をくれて、メールもたくさん送ってくれた。
『俺に隠し事はなしな。あいつんとこ、行く時も、行くってゆっていけよ。でも、金はもう渡すな。絶対やぞ。』
そんな約束をしたが、いくらなんでもほんとに【剛に会いに行ってくるね】なんて言えるわけがない。曲りなりにも誠ちゃんも彼氏だ。【今日は京都の友達と遊ぶね】といって、剛の元へ向かう。2005-06-21 00:46:00 -
250:
涼
行きの電車で誠ちゃんから電話があったが、本当のことは言えなかった。どうせ、そのうち切るんだし。なんて思ってるうちに剛のいる駅へと到着した。
2005-06-21 00:48:00 -
251:
涼
いつものようにご飯を食べて、Hして、お風呂に入って、今日もカラオケに行くことになった。カラオケの最中に誠ちゃんからメールがきた。剛に見られないようにこそこそと操作する。何回かやり取りをしていたが剛は熱唱中で気づかない。良かった。
珍しく、喧嘩をしなかった。でも、帰り際精算するときに出した剛のカラオケ屋のポイントカードのポイントが前より増えているのに気づいた。優ちゃんと来たんだろうな、と直感で思ったが何も言わなかった。誠ちゃんの存在があるおかげで、心に余裕が出来たんだろうか。
朝方帰って、そのまま学校へ向かった。2005-06-21 00:49:00 -
252:
涼
そういえば、今回はお金を渡していない。剛からも要求されなかったのですっかり忘れていた。
昼休みになり、コンビニへ行く。灰皿の周りで同じ学校の生徒がみんなタバコを吸っている。校内禁煙の意味が全くねぇじゃん…と毎回思うが、恭子らと一緒にそこに混じる。春の陽射しがあったかい。のほほん、とタバコを吸っているとポケットの中で携帯が震えた。
【着信中:剛】
剛が昼間に電話をしてくることなんてほとんどない。嫌な予感がする・・・2005-06-21 00:50:00 -
253:
涼
出たくない。おそらくいい話ではない…と思っていると電話は切れた。ほっとしていると間髪入れずにまた携帯が震えだした。恭子たちから少し離れ電話にでる。
『はい……』
『お前金置いてかえらんかったやろ!!家賃払われへんやんけ!!』
『あ、ごめん…』
予感は的中。いい話ではなかった。剛は学食にいるのだろうか、まわりが騒がしい。よく友達の前でそんな話をするなぁ……と思いながら、反射的に謝った自分が情けない。2005-06-21 00:52:00 -
254:
涼
『涼ちーん!!何も買わんの〜??恭子らもう教室帰るで〜!!』
『ごめん、またかける』
『あ、待てって……』
何か言ってたが気にせず切った。
『待って待って!涼も戻るって!!』
慌てて恭子を追いかける。教室に戻ってお弁当を広げたものの、食べる気がしない。佐里がお腹空いたけど、財布を忘れて何も買えないと言っていたのでお弁当をあげた。悩むと昔からものが食べられない。体重はおちていく一方だった。2005-06-21 00:53:00 -
255:
涼
略
慌てて恭子を追いかける。教室に戻ってお弁当を広げたものの、食べる気がしない。佐里がお腹空いたけど、財布を忘れて何も買えないと言っていたのでお弁当をあげた。悩むと昔からものが食べられない。体重はおちていく一方だった。2005-06-21 00:53:00 -
256:
涼
『あかーん、涼ヤニ切れゃぁ〜屋上行ってくる!佐里、それ涼の手作りやし残すなよ〜』
出来るだけ不自然じゃないように教室をでる。うちのクラスは比較的可愛い子が多く、彼氏のいない子はたった六人だった。女の子は恋愛話が好きだから、昼休みも当然彼氏の話。幸せそうな友達が妬ましい。あたしは彼氏に金をせびられて風俗までして稼いでいるのに、TIFFANYのペアリングを買ってもらっただとか、GWに旅行に行っただとか、聞いてるだけで悲しくなってくる。誠ちゃんとつき合えばあたしもあんな風に話が出来るのかな…なんて考えていたら、誠ちゃんからメールが来た。2005-06-21 00:54:00 -
257:
涼
“おはようハニィ(ハート)俺とはいつ遊んでくれるんや??”
ハニィ…そういえば昔剛もそんな風に呼んだことがあったっけ…今じゃすっかり“お前”呼ばわりだけで名前さえ久しく呼ばれていない。絵文字のハートだって最近全然ない。というか、金の催促の電話か、別れ話のメールかしかしていない……こんなんでつき合ってる意味あるのかな…もう完璧にあたしだけが剛の事好きなんだな……ぼーっとしていると気づけばタバコは無意識に四本目だった。消したのも、新しく出して火を付けたことも全く意識がなかった。口には五本目。ぶっ通しで吸ってれば喉も乾く。ジュースでも買いに行こう……立ち上がったその時また手の中で携帯が震えた。2005-06-21 00:55:00 -
258:
涼
【着信中:誠ちゃん】
あ、メール返してなかった……
『はぁい』
『おぉっ、出た!昼休み終わってるかと思ってドキドキしたよ〜』
……ひるやすみ……??
三限目の始業のチャィムはとっくに鳴っていたらしい。やばい。
2005-06-21 00:56:00 -
259:
涼
略 三限目の始業のチャィムはとっくに鳴っていたらしい。やばい。
2005-06-21 00:57:00 -
260:
涼
と思ったけど、授業なんかどうでもいい。一回休んだくらいなんてことない。
『あは〜さぼっちゃった。てかチャィムが聞こえんかったわぁ。喋っとこ』
『なんかあったんかぁ?今日俺出勤ちゃうし家くる?てか金なくて飯三日くらい食ってないねん、飯作りに来てやぁ』
……彼女っぽい!!!
なんだかとても幸せな気持ちになった。2005-06-21 00:58:00 -
261:
涼
四限は落とせなかったので仕方なく出た。でもずっと誠ちゃんに何を作ってあげようかと考えていたのであっというまに終業。学校を飛び出し誠ちゃんの家に向かう。誠ちゃんの家の横のスーパーで材料を買い、階段を上る。ドキドキする。軽く付き合って捨てるつもりの相手にドキドキ!?自分でもおかしい。あたしが好きなのは剛だ。誠ちゃんは暇つぶし……ホストなんだし好きになっちゃいけない……自分に言い聞かせながらインターホンを押す。
ピンポーン♪2005-06-21 00:59:00 -
262:
涼
ガチャ……
無言でドアが開く。
!?!?!?!?
ドアの中には眼鏡にボサボサ頭、シミだらけの白のTシャツに汚いスウェット。スーツの誠ちゃんとはえらく違う【素】の誠ちゃんがたっていた。
『あがって〜』2005-06-21 01:00:00 -
263:
涼
………汚い………
A型でやたらと綺麗好きであたしに掃除をしろとうるさい剛の部屋とは正反対のB型の誠ちゃんの部屋。“男の子の家”って匂いがプンプンする。でもなぜか落ち着く不思議な空間。あたしが片づけ嫌いで、自分の部屋も汚いから同じような部屋に居心地の良さを見出しただけ……?それとも。。。一緒にいるのが誠ちゃんだから……?2005-06-21 01:01:00 -
264:
涼
お世辞にもきれいとは言えない部屋。吸殻が山盛りの灰皿。おそらく洗濯していないであろう服。いつ使ったのかわからないシンクの中の食器。大半の女の子が引きそうなくらい汚い部屋。
そんな中にいても、不思議と、汚いというより幸せな感情のほうが大きかった2005-06-21 01:03:00 -
265:
涼
『涼〜何作ってくれんの?』
『肉じゃがと、焼き魚。』
相当ベタだが普通の料理にしておいた。
『皮むきは?』
『え、俺料理せんからそんなんないで!?てか皮むきって何?』
よく見れば魚焼きグリルもない。・・・・・前途多難。出来上がるのだろうか。2005-06-21 01:06:00 -
266:
涼
略 よく見れば魚焼きグリルもない。・・・・・前途多難。出来上がるのだろうか。
2005-06-21 01:07:00 -
267:
涼
仕方がないので包丁でジャガイモを剥いていると誠ちゃんがじゃれてきた。
『何してんの、それ、俺もやりたい!!』と、包丁をもうひとつ取り出し鉛筆を削るようにジャガイモを剥く。なんとむちゃくちゃな。皮がその辺に飛び散る。できた!と満面の笑みで言った誠ちゃんの手にあるジャガイモは元の半分くらいの大きさになっていた。
なのに誠ちゃんは楽しかったのか次々ジャガイモを剥いていく。床が皮だらけになる。3個だけ使う予定だったのに、気がつけば袋の中の8個のジャガイモはみんな無残な姿になっていた。2005-06-21 01:11:00 -
268:
涼
『あ〜!!!こんなにつかわへんのに!!』
芋なくなったから、次これ!と今度はニンジンを剥き始める。見る見るうちに短くなっていく。結局ニンジンも三本可哀相な姿になった。
散々ひっちらかして、飽きたのか誠ちゃんはもう終わり〜とテレビのほうへ行った。2005-06-21 01:13:00 -
269:
涼
『キュウリの漬けもん、買ってきた?』
ご飯の炊き上がりのタイマーが鳴ると嬉しそうに誠ちゃんが言った。
『買ってきたよ?古漬けでいいんしょ?』切って切って、食べたい!と子供のようにねだる。可愛い。誠ちゃんはキュウリだけでご飯を二杯も食べた。
今日はじめて、家に来たのになんだか、もうずっと付き合ってるような不思議な感覚になった。誠ちゃんがなつっこい性格なのか、あたしが基本的に誰とでもすぐ仲良くなるからなのか。それともあたしは誠ちゃんが好きなのか??2005-06-21 01:13:00 -
270:
涼
そんなことを考えながら肉じゃがの煮え具合を確かめる。・・・味が濃い・・・
『味見したい〜〜肉ちょうだい、肉♪』たった一つ下なのに、まるで子供だ。
『濃い!!!』・・・やっぱり。
『でも俺これくらいのほうが好き。食べよ♪』
『魚焼くから誠ちゃん先に食べてていいよ』器によそい、ご飯をよそって渡す。
2005-06-21 01:16:00 -
271:
涼
略 なし
2005-06-21 01:17:00 -
272:
涼
フライパンで鯖を焼いたことなどない。焼けたんだか焼けてないんだかわからない。苦戦しているとおかわり!と誠ちゃんが言った。早!!!!
何とか魚を焼き上げ、やっとあたしもご飯だ。さっき、鍋ごと誠ちゃんに渡したので器を持ってテーブルへ行く。炊飯器をあけると・・・空!
『俺三日飯食ってないって言ったやん?全部食べてもた』三日飯食ってなかったからって、ご飯二合も一人で食べれるもんなのか!?2005-06-21 01:18:00 -
273:
涼
仕方がないので炊きなおした。フライパンで焼いた鯖は生煮えで、やり直して炊き上がりを待つ。結局誠チャンはその後鯖でまたご飯を食べ、あたしも食べたがまた二合が空になった。
食べ終わって、テレビを見る。食べた食器はテーブルの上にそのまま。二人でタバコを吸いながらテレビを見る。剛の家ではありえない光景。
それが居心地いいと感じてる自分がいた。何でだろう。誠ちゃんに惹かれていってるんだろうか。これは恋愛感情なんだろうか。こんなに簡単に違う人を好きになれたのか!?頭の中でぐるぐるそればっかり考えていた。2005-06-21 01:20:00 -
274:
涼
ロンドンハーツが始まった。“魔性の女リナ”が、男と買い物をしている。バーキンを買ってもらっていた。
『いいなぁ〜涼もバーキンほしい』別にバーキンが欲しい訳ではなかったが、なぜか口からそう出た。
『俺が売り上げ上がったら、バーキンくらい買うたるがな』と、普通に返してきた誠ちゃんにびっくりした。剛があたしにものを買うなんてありえなかった。物をねだることさえ、許されなかった。たとえそれがバーキンじゃなく、安物の何かであっても。2005-06-21 01:21:00 -
275:
涼
結局、リナを買い物に連れて行った男はヤラセで、リナはバーキンから何から全部取り上げられていた。
『こいつ、もの買ってくれるんやったらなんでもええんかな。あほやな』
・・・・・・剛はあたしのことをやっぱりそう見ているんだろうか。物を買うから、お金を渡すから、一緒にいるんだろうか。そんなこと、薄々気づいていた。気づいていても、認めたくなかった。現実を見たくなかった。2005-06-21 01:22:00 -
276:
涼
誠ちゃんのリナに言った一言で、認めたくなかった現実が、認めざるを得ないんだと実感した。剛にとってあたしは金。それ以外の何者でもない。見ようとしなかった現実がのしかかってくる。
『涼さ、もう俺かあいつかどっちにするか決めた?家来てくれたってことは俺の可能性もあるやんな?』2005-06-21 01:23:00 -
277:
涼
心を見透かしたかのように誠ちゃんが言った。正直傾いている。でもまだ、決める気にはなれなかった。自分のことが、金目当てでしかないことに気づいたくらいで別れられるのなら、とっくに別れている。それでも、あたしは剛が好きなのだ。
誠ちゃんは、あたしの事をお金としてしか見なくなったりしないのだろうか。誠ちゃんに傾きそうになるたび、そう思って心にストップがかかる。
だって、誠ちゃんはホストだ。たとえバイトで週三日であろうとも、ホストなことに変わりはない。ユウのときのようにならないだろうか。不安のほうが大きい。2005-06-21 01:23:00 -
278:
涼
『うん、可能性はぜんぜんあるよ。でもまだちょっとね…ごめんね…』
『そっかぁ。でも俺選んでくれるって信じてるしなっ』照れくさいのか、テレビのほうを向いたままの誠ちゃんの耳は真っ赤だった。2005-06-21 01:24:00 -
279:
涼
連日外泊していたのでそろそろ親の目がやばい。今日は帰らなくちゃ。本当はもっと誠ちゃんといたかった。
駅まで送ってもらい、タバコを吸おうとした時に気づいた。
・・・Zippoがない。
誕生日に剛にもらったZippo。後にも先にもたった一つの剛からのプレゼント…誠ちゃんちに忘れて来たらしい。慌てて電話をかけるが出ない。やばい…明後日は剛が珍しくこっちにくると言っていた。ないのがバレたら…どうなるんだろう。でも終電なので取りに行けないし、何より誠ちゃんが電話に出ない。諦めて帰ることにした。明後日来るのはどうせ金の為だけだ。家賃分を取りに来るって言ってたし。バレませんように……そればかりが頭の中にあった。2005-06-21 01:25:00 -
280:
涼
いつもと同じ昼休み。今日もコンビニでみんなでタバコを吸う。学校内では吸えないからここぞとばかりに何本も吸う。
『涼があのダメ男と別れられたらクラスみんなでなんでも好きなもんおごったげんで!!』
『その誠ちゃんて子にしいやぁ、なんで剛がいいん??』2005-06-21 01:26:00 -
281:
涼
ここ最近休み時間の話題はあたしの恋愛話ばかり。自分の周りにはなかった波瀾万丈な恋バナを、おそらくみんな楽しんでいるんだ。そう何人もが経験するような内容じゃないのはよくわかっている。他人の不幸は密の味。遠い昔から変わらない人間の心理だ。もう好奇心でも興味でもなんでもいい。誰かに話さなければあたし一人で抱え込むには大きすぎる現実。
『ホンマになんでも?をうたな〜!?たっかいもん食べさしてもらうわぁ』
明るく話していれば、重すぎる悲しい事実が少し軽くなるような気がした。2005-06-21 01:27:00 -
282:
涼
剛は今日こっちに来る。まだライターは誠ちゃんの家だ。お金を渡して、帰るんだと思っていたのに
『ラブホ行こうや』と普通に誘われいってしまった。彼氏なんだから何もおかしくはないんだが…なんだか変な感じがした。2005-06-21 01:28:00 -
283:
涼
部屋に入って、タバコに火をつけるあたしの手には100円ライター。剛が気づくか気づかないか、あたしの小さな冒険。
『あれ、涼俺のあげたライターは?』・・・気づいた。家を出る前に思いついた取って置きのごまかしを使う。2005-06-21 01:29:00 -
284:
涼
『今日タバコケースごと忘れてきちゃってさ、タバコもライターもさっき買ったんよ』そうなん、と剛は指して関心ないようだった。また、別れ話をされた。
どうしてだろう、こんなに自分が保てなくなる。
どうしてだろう、涙があふれて止まらない。
やっぱり、あたしは剛のことが好きなようだ。
2005-06-21 01:30:00 -
285:
涼
結局、いつものように仲直り。涙でぐしゃぐしゃの顔のままHした。
『もうはなさへんから』
『ずっと俺の事好きでおってな。』
『俺から離れていかんといてな。』
あたしの上で、腰を振りながら荒っぽい吐息とともに吐き出される言葉。毎回、そう言っては、次の日平気な顔でまた別れ話をする。
『涼…好きやで、愛してる・・・あぁっ・・』安っぽい愛の台詞と一緒に剛は果てた。2005-06-21 01:31:00 -
286:
涼
略
『涼…好きやで、愛してる・・・あぁっ・・』安っぽい愛の台詞と一緒に剛は果てた。
2005-06-21 01:32:00 -
287:
涼
その、安っぽい台詞がほしかった。剛に愛されたい。その一心でオッサンに触られるのも舐められるのも、入れられるのもすべて我慢してきた。でも・・・剛は【あたし自身】を愛してはくれない。【あたしの持ってるお金】を愛した。
愛してるなんて久しぶりに言われた。嬉しくて仕方がなかった。そのせいか、2限目の授業の片づけが遅くなって、みんなより一足送れてコンビニへ向かう。
手の中で携帯が震える。2005-06-21 01:33:00 -
288:
涼
【着信中:剛】
・・・・・・なんだろう??
『はい?』
『ちょ、お前明日までに七万用意できる??』。。。は!?
お金なら昨日渡した。10万はなかったけど、8万くらいは入ってたはずだ。2005-06-21 01:34:00 -
289:
涼
『昨日のお金は?』
『帰ってから、連れと遊んで使ってもーたわぁ。家賃はらわなあかんねん!だから七万用意しろって!』
『使ってもーたわぁ、ってお前どんな遊び方したら8万も一晩で使えんねん??』
『は!?お前誰に口きいてんねん!!俺が用意せぇっつったら用意したらええんじゃ!!』2005-06-21 01:36:00 -
290:
涼
金をもらってる側の人間がなぜにそこまで偉そうなのか。あたしはあんなに尽くしたのに。やっぱり、あたしのことお金としてしか見てなかったんだ。頭の中で何かが切れる音がした。
『お前どこまで偉いねん。金もらってる側の癖になんでそんな偉そうやねん!もう知らんわ!愛しの優ちゃんにでも払ってもらえや!涼はもう知らん!!今後一切連絡してくんな!!』
電話の向こうでまだ何かしゃべっていたが、かまわず切った。そして速攻着信と、メール受信の拒否設定をした。2005-06-21 01:37:00 -
291:
涼
今までで初めてここまで好きになったのに、終わりはあっけなかった。
もう、いいよね?あたしもそろそろ、あたし自身を愛してほしいんだ・・・。
非常階段で怒鳴ったので、ほかのクラスの生徒がびっくりしている。基本的に学生は階段使用なので結構な人数が、上から下からあたしを見ていた。
あぁ、別れてしまった。何であんなやつ好きだったんだろう。最初に愛してくれた、偽りの姿がいつまでも忘れられなくてしがみついてた自分が情けなくなった。
剛が、お金のために初めからすべて計算していたことなのか、お金を渡したときから変わってしまったのか・・・2005-06-21 01:38:00 -
292:
涼
今となってはわからないけど、あたしは剛を愛してた。何をしてでも、剛からの愛がほしかった。お金で買ってでも、愛がほしかった。そんなの本当の愛じゃないのに。わかっていても、それしか手段が見つからなかった。
さようなら。今までで一番愛した人。あたしは本当にあなたを愛してました。伝わらなかったけどね・・・2005-06-21 01:40:00 -
293:
涼
自分からはじめて別れを告げた。もういいと、思ったはずなのに涙があふれる。ふと携帯に目をやると【不在着信10件】すべて剛だ。拒否ってるので携帯は鳴らない。剛を忘れなきゃ、あたしは前には進めない。そのとき手の中で今度はちゃんと震えた。誠ちゃんからメールだった。
【おはよう!学校?俺今日カレーめっちゃ食いたい気分☆作りに来てやぁ(^−^)】
この人は、あたしを愛してくれるだろうか・・・???2005-06-21 01:40:00 -
294:
涼
誠ちゃんには別れた事を直接言おう。そう思って“じゃぁ、学校終わったら行くね”とだけ返事を返した。
注目の的から早く外れたくて、駆け足で階段を下りる。降りたものの、自分が何をしようと思って外に来たかを忘れた。とりあえずコンビニに入ってみたがわからない。仕方なしに何もせずに教室に戻った。2005-06-21 01:42:00 -
295:
涼
『はぁ〜い、お知らせっ!!なんと涼ちん、剛と別れましたぁ!!』無理に明るく言ってみた。クラスメイトが一斉に振り返る。
『マジで!?』『おぉ、ようやったなぁ、涼!!』『良かったよかった』みんなが口々に何かを言っている。“別れました”と口にすると、なんだか吹っ切れたような気がした。
誠ちゃんに言ったらどんな顔するかな・・・と考えるとちょっとわくわくした。2005-06-21 01:43:00 -
296:
涼
今日は3限までだったので、早めに誠ちゃんの家に向かう。言ったらどんな顔するだろう…そればっかり考えていたら、あっという間に家に着いた。
ピンポーン♪
中から出てきたのは、やっぱり汚い格好の誠ちゃんだった。今日から、この人だけが、あたしの【彼氏】だ。
メールを入れてきてからまた寝たらしく寝ぼけた顔の誠ちゃんはまたベットにごろんと転がった。2005-06-21 01:44:00 -
297:
涼
『涼〜カレー…』まるでお母さんの気分だ。
『じゃぁ、買い物行って来るね』と言うと俺も行く〜〜と、体を起こした。
ジーパンはしんどかったので、誠ちゃんのスウェットに着替え二人ともなんだか汚い格好。でも、一緒にスーパーへ行くと、はたから見たら同棲している二人のように見えるんだろうな、なんて考えながら買い物をした。2005-06-21 01:45:00 -
298:
涼
ふと気づけばかごの中にはお菓子がいっぱい。さっきからちょろちょろいなくなると思ったら、お菓子を取りに行ってたのか。
『誠ちゃん!!』というと、びくっとしてへへ、と子供みたいに笑った。そしてまたどこかへ行きポテトチップスを手に戻ってきた。
『これで最後にするからぁ。いい??』ほんとに、お母さんになった気分だ。2005-06-21 01:46:00 -
299:
涼
誠ちゃんは、こないだので楽しかったのか、帰るとまた芋をむき始めた。とりあえずこの汚い部屋を、せめてごみだけでも捨てよう、と片付けているときに、はっと気づいた。しまった、遅かった・・・ジャガイモはまた無残な姿にされていた。
『飽きた〜〜ゲームする!!』一個だけ残して誠ちゃんはテレビの前に来た。一個だけ残ってもなぁ、と思い最後の一個も剥く。下ごしらえを終えて後は煮えるのを待つだけ。誠ちゃんはゲームに夢中だ。2005-06-21 01:47:00 -
300:
涼
『誠ちゃん、涼な、別れてきたで。今日から、涼は誠ちゃんだけやで』と言うと、よほど驚いたのか口にくわえていたタバコがぽろっと落ちた。
『ほんまに?マジでゆうてん?うわぁ、めっちゃ嬉しい!!』
別れた理由は、剛の言動に心底腹が立ったのもあったが、涼は確実に誠ちゃんに惹かれていっていた。2005-06-21 01:48:00 -
301:
涼
『あぁ〜明日出勤やぁめんどくさいなぁ…』
『がんばりよ。誠ちゃん人気あるやろ?』
『俺、あんまお客さんおらんねん。』
意外だった。それと同時にいやな予感がした。
『涼、俺のこと支えようって気持ちある?』
・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。2005-06-21 01:48:00 -
302:
涼
略
・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。2005-06-21 01:49:00 -
303:
涼
剛はホストでもなんでもない、ただの一般人だったけどユウ以上に酷い事をしてくれた。ユウのように暴力的なことはないが精神面でいたく傷つけられた。
【ホストなんか信じるもんじゃない】と言うけれど、あたしからすれば、それはホストだからとかじゃない。相手による。現にホストでもなんでもないただの大学生はあたしから金を引っ張り、騙した。2005-06-21 01:51:00 -
304:
涼
職業で、くくりが付けられるなら苦労しない。ベテランホストだったユウと、大学生の剛がしたことは、ほとんど同レベルだ。そんな男に引っかかったあたしが悪いのはわかってる。
でも、愛されたかった。誰かに、必要としてほしかった。たとえそれがあたしのお金であっても。というかあたしが選んだ相手が悪かった。この二人のおかげであたしの価値観は大きく変わった。おそらくあたしは、誠ちゃんの店に行くだろう。2005-06-21 01:52:00 -
305:
涼
今日は誠ちゃんの誕生日。お店に行く約束をした。今日は智也のライブもある。マヤは最近ボーカルの真一にハマッていたので今日は二人でライブだ。誠ちゃんの店には三時頃に行くね、とだけ言った。
ライブで久しぶりにみる智也は前より一層男前になっていた。ふと気づいた。誠ちゃんに似ている。いや、誠ちゃんが智也に似ている。付き合いたいとかそーゆー感情は智也に対してはもうない。2005-06-22 00:06:00 -
306:
涼
『涼やんけぇ〜!!久しぶりやなぁ!!』
大好きだった声がする。あたしの手の届かない人。あたしには今誠ちゃんがいる。でも久しぶりに会った大好きな智也の笑顔に胸が締め付けられる。極めて普通に接したが内心ドキドキしっぱなしだ。ふと見るとマヤと真一は仲良く酒を飲んでいた。2005-06-22 00:07:00 -
307:
涼
『あっちぃ〜!!クーラーついてんか!?』と言いながら智也は汗でびしょびしょになったTシャツを脱いだ。線の細い智也の上半身があらわになる。あぁ、あの体に抱かれたんだ……と一人で恥ずかしかった。妹に接するように優しい智也。この人と付き合えていればあんな目には遭わなかったかも…なんて考えてるうちにライブは終わり、みんなで打ち上げに行った。知らない人ばかりが一緒に出演していたので久々にずっと智也のそばにいた。ここがあたしの居場所なら、どんなに良かっただろう。
2005-06-22 00:09:00 -
308:
涼
みんながワイワイ騒いでいる中、時計は二時半を指していた。そろそろ誠ちゃんの店に向かわなければ。智也に次いつ会えるかわからないからほんとはちょっと帰りたくなかった。でも今、あたしの彼氏は誠ちゃんだ。
『いらっしゃ〜ぁせぇ!!!』入り口で大きな声が響く。特にイベントをしているわけではないらしく花はなかった。案内された席に座り誠ちゃんの姿を目で探す。いた。ベロベロに酔っぱらっている。まともに歩けていない。シャンパンを頭からかぶったのか髪もペッタンコだった。2005-06-22 00:10:00 -
309:
涼
『りょぅぉ〜!!』ドサッとあたしの上に誠ちゃんが降ってきた。
『シャンパン持ってこいシャンパン!!カフェパリちゃぅぞぉ〜ドンペリ!!ピンクじゃぁ〜』
ロゼ!?!?!?あたしの席でロゼを飲む気なのか!?自分の誕生日はなにもいらないからと言うから、初回のあの日、未収してまで見知らぬ子の誕生日にドンペリをおろしたのに。2005-06-22 00:11:00 -
310:
涼
『ドンペリロゼいただきゃしたぁ〜!!ありやっす〜!!』ぞろぞろとシャンパンコールの為にホストがあたしの席の周りに集まる。おろさないなんて言えなくなった。仕方ない……誠ちゃんは比較的下の方だったので上の人間ばかりが席についた。緊張する。雑誌でみた事ある顔が、あたしの前に並んでる。はっきりいってロゼをおろされた事に腹が立っていた。もちろん金額的なものもある。何より勝手におろされたのが許せない。十何万もするような酒を……
でもここで上の人間にあたるわけにはいかない。この先誠ちゃんが仕事しにくくなるかもしれない。ヘラヘラと作り笑いを浮かべ上の人間と話をする。気を使って、なんだか自分が接客してるみたいだ。誠ちゃんは日頃あまり飲まないがいったん飲むと酒乱になるらしく、面白がったお客さんたちがあっちでもこっちでもシャンパンをおろす。誠ちゃんはどんどん酔っぱらっていく。フラフラになって帰ってきた。とおもったらあたしが飲んでた烏龍茶をいっきに飲み干しまたよその席へフラフラと行った。2005-06-22 00:13:00 -
311:
涼
だんだんお客さんも増えてきた。上の人たちは自分のお客さんのもとへ、下の子は雑用やヘルプに大忙し。あたしの席には誰もいなくなった。
誠ちゃんを支えると言った日の事を思い返す。負担にはさせない、無理はさせない、来てくれるだけでいいと、言っていたはずだ。それは別に今日に限った事ではなく、この先店に来るときも含め、だ。少なくとも、今日のロゼはあたしにとっては負担だ。2005-06-22 00:14:00 -
312:
涼
『入ってきて速効シャンパンとかカッコィィっすねぇ〜』見るからにアホそうな奴が前に座る。空気を読めないのか、ベラベラ喋っている。あたしは今それどころじゃない。どうあがいたって、未収は払わなければいけないし、誠ちゃんは席に来ないし、イライラしてきた。喋っているのに一言も返事をしなかったので、やっと空気を読んだのかそいつは灰皿交換してきます、と言ったまま戻って来なかった。
2005-06-22 00:15:00 -
313:
涼
『りょぅぉぉ!たばこぉ〜』どこから帰ってきたか、全身にカフェパリの甘い匂いを纏って誠ちゃんが帰ってきた。顔は真っ赤で酒臭い。どれほど飲んだのだろう。
『全然涼んとこおらんでごめんな?先輩の席でシャンパン下ろしてもらって、先輩の売り上げあげるんが、可愛がってくれた先輩への恩返しやから……ごめんな?怒ってる?』
子犬みたいなうるんだ目。酔っているからなのはわかるが、可愛すぎて怒る気が失せた。
2005-06-22 00:15:00 -
314:
涼
『あのショートの人は○○さんの本カノでなぁ、あの向かいの人は○○さんのエース兼色カノやねん笑』とか本カノ情報をペラペラ喋る。その声がまた大きい。慌てて口をふさぐ。ひとしきり喋るとまた大好きな先輩にじゃれついたままどこかへ行ってしまった。あたしの席にいなくても、先輩の為に頑張る誠ちゃんはなんだかかっこよく見えた。
2005-06-22 00:16:00 -
315:
涼
眠たくなってきたので、うつむいてじーっとしていると、横に人が座った感じがした。薄目をあけると………代表だった。
『ぅわっ!!あっ、ごめんなさい、おはようございます……お、お疲れさまです??』何を言ってるのか自分でもわからない。ははっと代表は笑った。2005-06-22 00:17:00 -
316:
涼
『あいつが席につかなくて寂しいって顔してんで?ほんとのイイ女ってのは、そーゆーのは顔にださへんもんやで。席に戻ってきても文句はゆうたあかんで?笑顔で“がんばってるね”ってゆうたんねん。それが出来るようになったら、涼ちゃんはイイ女になれるで』
初めて喋ったのに、寂しがってる事まで簡単に見抜き、嫌みなくアドバイスまでくれた。あぁ、人の上に立つ人はやっぱ器が違うな、と思った。2005-06-22 00:18:00 -
317:
涼
『はい、頑張ります』
誠ちゃんの姿を探す。四つ向こうの席でシャンパンコールをせずに直瓶している。
頑張れ!!心の中でつぶやいた。2005-06-22 00:19:00 -
318:
涼
代表の言うとおりにすれば、イイ女なんだろうが、勝手に下ろされたロゼはまた別問題だ。とはいえ、誠ちゃんはベロベロで、おそらくまともに話は聞いてくれないだろう。
『涼、しんどい?帰ってもいいで??』頭からシャンパンをぽたぽたたらしながら、誠ちゃんが戻ってきた。2005-06-22 00:20:00 -
319:
涼
『あーぁ、びしょびしょやん。大丈夫やで。がんばりよ。涼帰ったら誠ちゃん休むとこなくなってまうやん。ここにおるから。頑張って飲んでおいで。』頭を吹きながら言った。
『涼優しいなあ〜さすが俺の女やぁ〜』
だから、声がでかいってば……。隣のお客さんの視線が痛かった。2005-06-22 00:21:00 -
320:
涼
そうこうしてるうちに閉店だ。ラストソングを誠ちゃんが歌う。綺麗な声だった。帰りのエレベーターで誠ちゃんはぎゅっとあたしを抱きしめた。そしてフラフラした足取りでまたエレベーターに乗り店に戻っていった。店前でタクシーを拾い、家に帰る。“ただいま”誰からの返事もない。両親は共働き、妹二人は学生。誰かがいる方がおかしい。さっきまで、あんなに人が大勢いる場所にいたので、なんだか一人が寂しかった。とりあえずロゼの件は許せない。口で言っても聞かないだろうし、もう寝てるだろうから、メールで送ろう。
2005-06-22 00:22:00 -
321:
涼
“なんで今日勝手にロゼなんかおろしたん!?負担かけへんって、無理はさせへんって、ゆったやんな?あれは涼には負担やで。わかるやんな?あれの為に涼は働かないとあかんねんで?こんなんされてたら、誠ちゃんのゆうてる事なんも信じれへんくなる。”
文章は強気だが内心怖かった。ユウの時のことが重なる。同じになるのでは…どうせ夜まで返事は来ない。ゆっくり、眠ろう……2005-06-22 00:23:00 -
322:
涼
目をとじる。眠くはなかったが、目を閉じていれば眠れるだろう。枕元で携帯のアラームがなった。日頃は学校だから、設定したままだった。(こんな時間に起きたのでは確実に遅刻だが)止めなきゃ。手探りで携帯を探す。
【着信中:誠ちゃん】
あ、アラームと誠ちゃんの着メロは同じにしたんだった………
着信中!?!?誠ちゃん!?起きてたのか……2005-06-22 00:24:00 -
323:
涼
『あのメール、何???』
『何って、涼が思ったこと。ゆってる事とやってる事違うやん。負担かけてるやん。てか俺の誕生日はいらんからってゆったんちゃうの?それで、初回の日、涼シャンパン卸したやんか。』
『ごめん・・・』2005-06-22 00:25:00 -
324:
涼
『ごめんちゃうわ、謝ったってはらわなあかんねんから。支えるって、店で金使ってあんたの売り上げ上げることなん?それじゃ剛と変わらんのんやで!?信用しろったってあれじゃできへんで?』
『俺…た…誕生日、涼にも……ひっ。。祝ってほしかっ…ぅっ・・たんやぁ・・・』
・・・・・泣かしてしまった。2005-06-22 00:26:00 -
325:
涼
『誕生日。。仕事で、、一緒におれへんからっあっ、会いたかったしっ、祝って欲しかった。。。俺・・・信用してほしいねん。。ぅっ…今日のんは…俺が悪かったから・・・ど、どうしたら。。。信じてくれ、、るん??・・ぇっ・・・』
・・・・・号泣している。
『誕生日、祝うのだってな別に店でやらんかったてええやん?違う日に家で、そりゃ店みたいに華やかなことはできへんけど、お祝いしたって良かったやん?』2005-06-22 00:27:00 -
326:
涼
『ごめん。。。俺のこと、き、嫌いになったぁ???ぇっ。。。ひっ。。』
泣きすぎだ。店にまだいるらしく、後ろから男の子の声がする。“えっ何泣いてるんスか??”“どうした〜??”声だけでは誰だかわからないがいろんな人が心配して周りに集まってきたっぽい。泣きやまさないと・・・。2005-06-22 00:28:00 -
327:
涼
『嫌いにはなってへんよ。でも、これからちゃんと信用させてや?ゆうた事は、守りよ?涼は、誠ちゃん好きやよ。』
『ごめんなぁっ・・・俺も、好きぃ・・・』何とか泣き止んだ。
起きたら電話するから、といって電話は切れた。それにしても泣くとは。びっくりした。
シャンパン代、こないだのと合わせても結構いくな・・・仕事しなきゃ。2005-06-22 00:28:00 -
328:
涼
仕事といっても、援交である。ベットに転がったまま、カチカチとサイトをいじる。うーん。平日の昼間は、やっぱ中心地まで出なきゃ客がおらんなぁ…なんて考えているうちに寝てしまった。
はっ、と目が覚めると夕方。誠ちゃんの店は従業員が多いからどこに誰がいるかわからない。今日は梅田では仕事しないでおこう…とりあえずオッサンと待ち合わせをして十三に出た。2005-06-22 00:30:00 -
329:
涼
駅前でオッサンを待つ。聞いた目印と一致するような人物は見あたらない。“どこですか?”とメールを打つが、返事は来ない。ブチられた。一本あたりの稼ぎがいい分、来るか来ないかわからないというデメリットがあるのが面倒だ。また探しなおしだ。くそぅ。めんどくさい。
2005-06-22 00:31:00 -
330:
涼
十三はなんだか人通りがまばらだ。仕方なしに梅田に出た。JR大阪なら、誠ちゃんの店のキャッチ場には含まれてなかったはず。時刻は7時ごろ。仕事帰りのオッサンが一番多い時間。書き込んだメッセージに返事が続々届く。しかし、届きすぎていったいどれが誰なのかわからなくなってきた。あぁもう。イライラする。
2005-06-22 00:37:00 -
331:
涼
『よっ!!ひさしぶりぃ☆』
・・・誰だよ、久しぶりじゃねぇよ・・・誠ちゃんの次くらいに、あたし好みの男がそこにいた。
オッサンを待つ間、暇つぶしにそいつとしゃべった。笑ったときの八重歯と子供みたいな顔がかわいくてちょっとドキッとした。とりあえずオッサンが来そうなのでその子と番号を交換して待ち合わせ場所へ移動。今度はちゃんとオッサンが来た。2005-06-22 00:38:00 -
332:
涼
事がすんで、オッサンと別れ、受信メールを見ると、さっきの書き込みに今頃反応してきた人がいたのでそいつと待ち合わせをした。そいつもちゃんと来たのでサクッと2本終わらせ、今日は帰ろうかな、と御堂筋沿いを歩く。時間はまだ10時。終電を言い訳にすれば、次に会った人もさっさと終わらせて帰れるかも、なんて期待を抱きまたサイトに書き込む。
2005-06-22 00:39:00 -
333:
涼
まめにメールも来るが、後10分ぐらいだといって、一向に来ないやつを待つうちに終電はなくなった。タクで帰らなきゃ。と、言うことはもう一人行かなきゃ。こいつはアテにならない。諦めてほかを探す。人通りの少な目の階段に座っていたのに、ふと気づくと横に誰かがいた。若そうなので、怪しくはない。
2005-06-22 00:40:00 -
334:
涼
『なんか用?』
『きづくんおそっ!何してんの?』・・・お前が何してるのかしりてぇよ。うっとぉしい。引かせれば、そばからいなくなるかと思った。
『援交待ち。』
なんと、そいつは引かずにあたしに説教をし始めた。でもなんだか言ってる事がもっともだったので、納得してしまい、どこかの店舗に入ろうかなという気になった。2005-06-22 00:40:00 -
335:
涼
そいつはあたしにひとしきり説教をして仕事に戻った。今日最後の客が来たので、そいつに送ってもらった。シャンパン代には、まだ足りない。
次の日、起きてまたサイトをいじる。もうほとんど学校には行かなくなっていた。ほとんど行ってなくても、誰からも連絡はなくて、余計に行く気がしなかった。2005-06-22 00:42:00 -
336:
涼
いつもなら、先払いは絶対なのに機嫌を損ねて七万逃したくなかったのでしぶしぶ後払いを承諾した。終わって、コンビニによってお金を下ろすという。舐めまわされた洗っていない体が気持ち悪い。トイレにも行きたい。仕方なく車から降りた。最短でトイレから出て戻ると、車はなかった。もちろん、あたしの荷物も。
2005-06-22 00:44:00 -
337:
涼
幸い携帯は自分で持っていた。相手はメアドしか知らなかったのであわててメールを送る。
『どこ行ってん!?鞄返せや!!!』
『ファミマの裏に置いてあるから』2005-06-22 00:45:00 -
338:
涼
置いてあるからったって見知らぬ土地のファミマってどこだよ!?通行人に道を聞きながらたどり着いたファミマの裏に、あたしの鞄はいた。財布も入っている。でも、中身はなかった。もとから小銭しか入っていなかったが、それがすっかりなくなっている。これではキセルさえ出来ない。
2005-06-22 00:46:00 -
339:
涼
人通りは全くなく、途方に暮れた。携帯が鳴った。昨日番号交換した駿だ。迷ったが今の状況をすべて話した。警察に言ったら?と言われ警察に電話をしたら、調書を取られ、現場検証に連れて行かれた。どっちみち誰かに迎えに来てもらわないとあたしは帰れないらしい。誠ちゃんに電話をするが出ない。心配していると思ったのでまた駿にかけた。駿は朝一で迎えに来てくれると言った。
2005-06-22 00:47:00 -
340:
涼
また警察と話をしていると誠ちゃんから電話が鳴った。迷ったが全部話した。誠ちゃんは援交したことに関しては怒らず、遠方に一人で出向いた事を怒った。知り合ったばかりの駿に迎えに来てもらうのは、やっぱり気が引けるので誠ちゃんに頼んだが車もお金もないので無理だという。そうだ、周りに車持ちの奴はたくさんいるが誠ちゃんは免許がなかったんだ…
2005-06-22 00:48:00 -
341:
涼
『誰かおるやろ、来てくれるやつ』
『わかったわ。来てくれるってゆった子おるけど彼氏でもないのに悪いと思ったから、誠ちゃんに来てもらおうと思ったのに』
『彼氏でもないのにって……来る奴男なん!?』
『男やで??なんで?』
『そいつの事好きなん!?』2005-06-22 00:49:00 -
342:
涼
急に誠ちゃんの声が半泣きになった。
『だって彼氏の俺でもめんどくさいのに、お前を迎えに来るって、それ絶対お前の事好きやん…帰って来て涼そいつの方がいいってなるかもしれんやん』
どうしてそうなる!?てかそこまで言うなら来てくれよ……と思ったけど、可愛い。2005-06-22 00:50:00 -
343:
涼
『大丈夫だよ、たとえそうでも涼には誠ちゃんだけやよ』
『ほんまに?迎えに来てもらって、すぐそいつとバイバイしてや?遊んだりしやんとってや?』
だからそんなに心配なら来いよ…と思ったが言っても無駄なのでわかってるよ、と答えた。
警察のロビーのソファで一夜をあかし、駿が来た。身元引き取り人のサインをし、警察署を後にした。お金がなかったからキセルしてきた!と駿は笑顔で言った。……と言うことは帰りもキセル……2005-06-22 00:51:00 -
344:
涼
でもそこまでして来てくれた駿。一瞬、彼氏の選択間違えたかなと思ってしまった。警察のソファは固く、寝にくかったのであたしはウトウトしていた。
『俺らカップルみたいやなぁ〜』と駿が言った。若い男女が一緒にいれば誰だってカップルに見えるよ、と言いそうになったがそれじゃあまりにもかわいげがなさすぎるかと思って、そうやなぁ〜と答えた。この一言で後々あんな事になるなんて思ってもみなかった。2005-06-22 00:52:00 -
345:
涼
とりあえず無理してもらったので駿を家にあげた。誠ちゃんに電話をかけ帰って来たことを伝える。
『迎えに来てくれた奴は?』………(-_-;)
『もう帰ったよ。駅でバイバイした。』2005-06-22 00:53:00 -
346:
涼
ごめんね誠ちゃん……あたしの家に奴はいるよ……
夕方まで寝て駿は仕事に行った。あたしも昨日の穴埋めをしなきゃ。用意をして梅田へ向かう。2005-06-22 00:54:00 -
347:
涼
二本終わらせ今日は終わり。ふとこの間のやつが言ってた事を思い出し、店舗を探そうとマンガ喫茶へ入った。
良さそうな店を見つけ、面接に行くとその日に体験をさせてくれた。女の子の人数は三人。待機室にいても緊張する。2005-06-22 00:55:00 -
348:
涼
『何歳〜?』目がくりくりの真美が話しかけてきた。
『二十歳です…』
『同い年やねぇ〜』
『なぁなぁ、自分ホストとか行く!?彼氏おるん!?』2005-06-22 00:56:00 -
349:
涼
いきなり会話に入ってきた奈々。どこの店にもこういうホストの話をしたがりの奴は、一人はいる。
『たまに行きますよ…』
『どこの店にっ??』
奈々は話に食いついて来た。2005-06-22 00:57:00 -
350:
涼
こういう聞きたがりは嫌い。どうせ聞いたことを友達に言いふらしたり、サイトに書いたりするタイプだ。
『どこ飲みに行ってんの?彼氏何歳??カッコいい??』
そんな次々聞かなくても…2005-06-22 00:58:00 -
351:
涼
『○○です・・・』できるだけ彼氏の話題は避けようと思った。深く突っ込まれてきたら困る。ユウのときに、軽々しくしゃべって痛い目を見たから喋る気にはならなかった。
『今度うちの行ってる店に行こうよ!うちな、口座君に片思いしてんねんやん。涼ちゃんは?口座君のことはホストとしてしか見てないの??』恋愛相談に乗ってほしいのか、自分と同じ立場の人間でも探しているのだろうか…それにしても答えにくい質問だ…と黙っていると奈々は続けた。2005-06-22 00:59:00 -
352:
涼
『あたしの行ってる店に一緒に行って、口座君の態度見てよぉ。』・・・・・・無理だよ…よその店に行ったらばれるかもしれない。そして、こいつの誘いを断るには、彼氏がホストだとばらさなければいけない。。。
『あたし、彼氏ホストだから・・・よそには行けないねん。ごめんね。』
『バレへんバレへん!!』奈々は笑いとばした。2005-06-22 01:00:00 -
353:
涼
仕事が終わって漫画喫茶で寝ていると誠ちゃんからの着信で目が覚めた。
『ねとったぁ?今日暇ねん〜俺んち来る?』
一瞬で目が覚めた。化粧を直して誠ちゃんちへすっ飛んでいった。2005-06-22 01:02:00 -
354:
涼
家に着くと、誠ちゃんは鍵をあけてくれた後また寝てしまった。相変わらず汚い。飲み会でもしたのかテーブルには酒の空き缶がごろごろ転がっている。食べ残した宅配ピザ、いつのかわからないパックのお茶・・・あたしの部屋も大概汚いが、こういう食べ物系はほったらかさないのでなんだか気になった。虫がわく。そう思って掃除を始めた。
2005-06-22 01:03:00 -
355:
涼
誠ちゃんは起こしてもおきないので、掃除の音くらいでは目を覚まさず相変わらずすうすうと寝息を立てている。部屋を片付け終わって、次は洗い物だ。・・・洗剤がない。もう隣のスーパーは開いている。洗剤を買いに、一人で出た。
2005-06-22 01:04:00 -
356:
涼
『涼!?』
部屋に戻るとドアの音に反応したのか誠ちゃんが飛び起きた。
『わっ、びっくりした、起きてたの?おはよ。』
『さっき、目覚ましたらおらんから…どこ行ったんかと思ったよう〜なんか怒ってんのかと思って…』
半泣きだ。これじゃ昼寝から目を覚ましたらお母さんがいなかった三歳児だ。可愛い。2005-06-22 01:05:00 -
357:
涼
『ごめんね。洗剤買いに行ってたんよ〜。』
『部屋めっちゃ綺麗になってるやん!涼が片付けたん?』あたしがやんなきゃ誰がやるんだよ。
『そうだよ〜誠ちゃん、食べ残しくらいは捨ててや〜』2005-06-22 01:06:00 -
358:
涼
だんだん目がさえてきたのか、誠ちゃんはあたしをほったらかしゲームに夢中になった。ほんと、こいつは可愛いのは眠いときと酔ったときだけだな…なんて思いながら、一緒にいられるのが嬉しくて、会話をしなくても苦ではなかった。
2005-06-22 01:07:00 -
359:
涼
『暇やなぁ〜スロットいこか。』
特に会話もせず時間が経ち、なんだか結婚五年目の夫婦のようなこの関係は周りからも【熟年夫婦】だといわれていた。付き合ってまだ間もないのに、妙な感覚。本当に、ずっと前から一緒だったかのような不思議な居心地。2005-06-22 02:58:00 -
360:
涼
家の近くのパチ屋へ行くと【海一番全台設定?】と書いたポスターが目に付いた。んなあほな。店内の海一番には本当に全台に?、とかかれた札が刺さっている。まぁ、刺すだけなら誰にでもできるし…とあたしは素通りした。のに、誠ちゃんは座っている。踊らされてんじゃないよ〜と思いながら違う台を打つ。誠ちゃんの様子を見に行くと・・・出してる!
2005-06-22 02:58:00 -
361:
涼
『涼もこれ打てって〜!ぜってー出る!!』言われたとおりに打つと、本当に出た。隣に、カップルが二人で座った。女は打ったことがないらしい。手つきでわかる。?が二つ並んだり、演出が出る度に手が止まる。そんな簡単にボーナスを引けないのは、一人で打てる人なら誰でもわかる。横から彼氏が押してあげる。ほほえましい光景だ。大して可愛くなかったけど、“スロットができない”というあたりがかわいらしく思えた。涼には遠い昔だ。その女の子がちょっとうらやましかった。
二人で馬鹿みたいに勝って、その日は誠ちゃんちに泊まった。2005-06-22 03:00:00 -
362:
涼
目を覚ますともう夕方だった。夜中まで桃鉄をして、いつの間にか二人とも寝てしまった。
・・・そういえば、Hしてない。同じベットで寝たのに、誠ちゃんは手を出してこなかった。まぁ、疲れてたんだし…。自分にそう言い聞かせた。今日は誠ちゃんは出勤日だ。起こさなきゃ。シャワーからあがって一服しているとマヤから電話がかかってきた。お茶しよう、という誘いだったので梅田についたら連絡する、といって、あわてて用意を再開した。誠ちゃんを起こす、起きない、起こす、起きない・・・・やっとのことで目を覚まし、のそのそとシャワーへ行く。2005-06-22 03:01:00 -
363:
涼
『お前、昨日とえらい違い』と誠ちゃんが笑った。昨日はぶかぶかの誠ちゃんのジャージにすっぴん。今はぐりぐりに巻いた髪の毛にバッチリメイク。巻いた髪にセットをしていると、誠ちゃんもスーツに着替え、髪をセットしようと鏡の前で悪戦苦闘している。
『誠ちゃんの方が昨日と違いすぎやし』というと『ホストはスーツでかわんねん』と笑った。2005-06-22 03:02:00 -
364:
涼
『お前、すぐ出勤?』『ううん、友達から電話あったからちょっと遊んだら出勤』『マジで?俺友達に会ってみたい!』
普段ならすぐオッケーだ。だが、今日のは相手が悪い…マヤにあたしは今まで何度も男を取られてきた。マヤは外見はあゆそっくりの大きな目をして可愛い子だ。ただ、無類の男好きで、それも、“他人の男”にものすごく興味を示す。2005-06-22 03:04:00 -
365:
涼
大して可愛くない外見で、男っぽいさばさばした涼と、女の子です!って性格をした可愛いマヤでは勝ち目がなかった。本性はさばさばしていても、男の前では完璧に女を演じるマヤ・・・人は外見じゃないというけど、男という生き物は馬鹿で、すぐに作り物の中身にだまされる。会わせたくないなぁ…
2005-06-22 03:05:00 -
366:
涼
梅田について電話をするとマヤは百貨店にいるから待っててぇ〜と甘ったるい声で言った。あぁ、対面してしまう。
『ツレに惚れたらあかんで?』というと誠ちゃんはきょとんとしていた。
『惚れる?なんで?』『可愛いから』『マジで!楽しみやわぁ』イラッとしたのが顔に出たのか『大丈夫やって、冗談やんけぇ』と笑い飛ばした。2005-06-22 03:07:00 -
367:
涼
『ごめぇ〜〜ん待ったぁ?あっ、彼氏?こんにちは〜はじめましてマヤですぅ』・・・・出た、マヤ得意の必殺スマイル。誠ちゃんのほうを見ると、
『どうも。彼氏です。』とわけのわからない挨拶をしていた。『俺ほな仕事行くわな。また電話するわぁ。ばいばいマヤちゃん♪』と笑顔で去っていった2005-06-22 03:08:00 -
368:
涼
『涼の彼氏、超かっこよくない?』あぁ、たぶんマヤにスイッチが入ってしまった・・・とりあえず二人で喫茶店に入り、他愛もない話をした。ブブブブブブブブ・・・携帯が震える。誠ちゃんからメールだ。
“あれ、可愛いか?”と一言入っていた。・・・B専なのか!?2005-06-22 03:08:00 -
369:
涼
マヤは誠ちゃんのタイプではなかったんだろうか。とりあえず一安心だ。
マヤとバイバイして、出勤。今日は奈々は休みだった。うるさくまとわりつかれないですむ、と思うとほっとした。まぁまぁ客の入りもよく、時間を感じさせず仕事は終わった。誠ちゃんの店まで、あたしの店から徒歩5分。案内され、席に座る。2005-06-22 03:09:00 -
370:
涼
『おぅ、お疲れ』酔っていない誠ちゃんはものすごくクールだった。
『お前の友達、あれ可愛いんか?俺はあーゆータイプあんま好きじゃないで?なんか、あたし可愛いでしょ、って全身から出てる。』マヤは、あたしの男たちに会ったときにはこんな評価を得たことはない。彼氏であっても、ただの男友達であっても、誰にでも会いたがったマヤの誘いを断れず何人もの男を会わせ、最後にはみんなマヤにハマッてあたしから離れていった。マヤ自身、自分でもそれをわかっているのか、最近はキャバクラをはじめオッサンたちから貢がれまくっていた。2005-06-22 03:10:00 -
371:
涼
みんな、可愛いって言うもん。涼今までの男ほとんどみんな取られたんやもん。』
『お前、俺がそんなんで向こうに行くと思った?あほやなぁ。てか俺、そーゆー女めっちゃ嫌い。ちょ、涼、ゲームしようや。』誠ちゃんが目を輝かせていった。
『お前、今からそいつに電話しろ。んで、俺が可愛い可愛いってゆーて会いたいってゆーてるから、会ったってって言え。俺がはまらせて、捨てたる。痛い目見せてやりたいやん?お前の仇☆』2005-06-22 03:13:00 -
372:
涼
なんということを思いつくのか。でも、誠ちゃんなら本当にできそうだった。マヤが今まで合わせてとせがんできた男は、あたしの彼氏・男友達そしてそこにもうひとつ条件があった。“男前”。現に誠ちゃんに会った後、マヤはカッコいいカッコいいといっていた。
店からそのまま電話をかけた。案の定マヤは、騙されてるとも知らずに誠ちゃんの言葉を鵜呑みにした。2005-06-22 03:14:00 -
373:
涼
次の日もマヤと会うことになった。
『誠ちゃんて、本間にマヤのこと可愛いってゆーてるん??』・・・言ってません笑 と思ったが『ほんまほんま、もう彼女としてのメンツもへったくれもないわぁ』というと、『マヤ可愛くないのになぁ〜』と鏡を見ながら言った。うそつけ。2005-06-22 03:15:00 -
374:
涼
その日、偶然にも、キャバクラの帰り道で誠ちゃんに会ったらしい。・・・偶然な訳がない。キャッチ場とさほど離れていなかったからマヤの店のそばでキャッチをさせていたのだ。
誠ちゃんの店に今から行くという。普通、連れの彼氏だと知ってて行くか!?と思ったが、誠ちゃんの作戦のひとつだろうと思って、ほっておいた。2005-06-22 03:16:00 -
375:
涼
待機室に戻ると、誠ちゃんからメールが来ていた。
“おもろい話いっぱいできた〜仕事終わったら電話してなぁ”
マヤがきっと何かしたんだ。わくわくした。
お店に着くと誠ちゃんは薄ら笑いを浮かべていた。気持ち悪い。
『あの女ほんまにアホやな。あいつに惚れる男の気持ちがわからんわ』大爆笑しながら言った。2005-06-22 03:17:00 -
376:
涼
何でもマヤは、酔った〜といいながら肩にもたれたり、いきなり“マヤ、手ちっちゃいねん”といって手を合わせてきたり誠ちゃんが今度遊ぼうな、というと二人で?マヤ誠ちゃんの家に行きたい!と言ったらしい。あぁ、さすがマヤ。落とす気満開である。
『あれは一回遊んだら落ちるで』ひゃひゃ、と笑った誠ちゃんの顔が悪魔に見えた。
『お前の仇、絶対取ったるからなっ♪見とけよ〜』こいつなら、できそう。初めてマヤが男に捨てられることを思うとわくわくした。2005-06-22 03:18:00 -
377:
涼
マヤは驚くほど誠ちゃんにハマッていった。毎日何度も何度も、メール・電話…誠ちゃんが参ってきていた。
ある日、仕事が暇だったので、キャッチ中だろうと思い誠ちゃんに電話をかけた。出ない。珍しい、お客さん来てるのかな、と思いほっといた。すると、誠ちゃんからメールがきた。2005-06-22 03:19:00 -
378:
涼
“今マヤ来てる。出んといて、お前には来てる事内緒にしてって言うから出れへんかった、ごめん。マヤ帰ったら電話するわ。”
店に来てる!?そこまでして会いたいのか。そこまでハマッたか…。しばらくして誠ちゃんからマヤが帰ったと電話が入った。と同時に、マヤからのキャッチも入った。2005-06-22 03:20:00 -
379:
涼
『涼、マヤなぁ誠ちゃんやめといたほうがいいと思うで?最近涼のこと客としてしか見れへんくなったって。付き合うんやったらマヤみたいな可愛い子がいいって言ってたで。』カチンときた。何を真に受けてるのか。それはあんたをはまらすために、あたしと誠ちゃんで考えたくどき文句である。
2005-06-22 03:21:00 -
380:
涼
『そうなん、どこで誠ちゃんと喋ってたん?』『道やでぇ。』うそだ。行ってたのは知ってる。それに毎回あんたがメールや電話で遊ぼう遊ぼうと言っているのも知ってる。
『じゃぁ、誠ちゃんに涼に直接言いって言っといて。』『そんなん言ったら傷つくからできへんのちゃう?でも、誠ちゃんマヤは可愛いってずっといててってゆってたしぃ』この女はどこまでアホなのか。もう限界である。2005-06-22 03:22:00 -
381:
涼
『店行ってたやろ?』『えっ・・・いってないよぉ?』声が上ずった。
『あんた、可愛いからって何でも真に受け取ったらあかんで。店行ってたん知ってるし、何でそんな嘘つくん?誠チャンに甘えたことも、家行きたいって言ったことも、あんたが毎日毎日遊ぼうっていってんのも、全部知ってんねんから。全部誠ちゃんから聞いてんねん。何でそうやってすぐ涼の男取ろうとするわけ?』2005-06-22 03:23:00 -
382:
涼
『あたし別に可愛くないし。涼はそうやってあたしに嫉妬ばっかりしてるから、みんなあたしのほうが可愛いって言うねん。もう男関係であんたと喧嘩すんのこりごりやわ。縁切る。』
・・・縁が切れるのはかまわないが、何でそれをお前が言うんだ?あたしのことを見下してたのは知ってた。でも、そこまであらわに言葉で言われたことはなかった。
友達を一人、失った。2005-06-22 03:24:00 -
383:
涼
どうしたらいいんだろう…仕事は本当に暇で、考え事をしたくないのにすることがないせいで考えてしまう。どうすればいいんだろう。
価値観の違う香織に認めさせるのは難しいし、説明したって到底わかってはくれないだろう。どうすれば・・・そればかり考えていると電話がなった。誠ちゃんだった。2005-06-22 03:26:00 -
384:
涼
『もう仕事終わる〜〜??』『・・・・・・・・うん』『どうした?なんかあった?』誠ちゃんは声の調子でいつも見抜く。
『友達、いなくなっちゃった…』『マヤか?お前マヤしか友達おらん訳ちゃうやろ?』『マヤともう一人・・・香織だけしか友達なんていないようなもんやってん…でも香織が友達やめるって…』『店来て話きいたるから。終わったらすぐおいでや?』やさしい誠ちゃん。早く会いたい。ぽろぽろ涙がこぼれた。2005-06-22 03:27:00 -
385:
涼
店は終わり、お給料をもらう順番を待っていると誠ちゃんからメールが来た。
“周りが誰もおらんくなったって、俺はずっとお前のそばから離れへんから。絶対にな。”
また、涙があふれた。
店に着くと、すぐに誠ちゃんが来た。2005-06-22 03:28:00 -
386:
涼
『なんてメール来たん?』というのでメールを見せた。読み終わると誠ちゃんはぼそっと『俺のせいやんな?これ・・・』とつぶやいた。
空気を読んだのか今日は誰もヘルプがいない。2005-06-22 03:29:00 -
387:
涼
『誠ちゃんのせいじゃないよ・・・』『どうしたらいいんやろ…俺がこの子に電話しよか?そんなつもりじゃないって。俺はちゃんとお前との先も考えてるし、今こんなことさせてるけど、ずっとさせるつもりはないって。俺がゆったらわかってくれるかなぁ??』おそらくそんなことをしては、香織の性格上、火に油を注ぐだけだ。
2005-06-22 03:30:00 -
388:
涼
『ど〜したぁ、暗い顔してぇ』軽いトーンで、先輩の聖夜がやってきた。誠ちゃんは、聖夜に事細かに説明した。あたしは、どうしていいかわからなくて、ただ、泣いているだけだった。
『やっぱなぁ、同じ状況に立たないと人ってわからんからなぁ。でも、涼ちゃん この子とは長いんやろ?時間経ったらわかってくれるよ、きっと。』と聖夜サンは言った。2005-06-23 01:45:00 -
389:
涼
『んで、お前な、涼ちゃん大事にせぇよ??こんなメール来ても、お前と別れずにおってくれてんねんぞ?極端にゆうたら、涼ちゃんは友達よりお前をとったんやで。これから、友達の分もお前が傍にいてやらな。なっ?』
『はい。わかってます。』『おう、ほんならええねん。ほんまに大事にせぇよ?』誠ちゃんの肩をポンとたたき、聖夜はどこかへ行ってしまった。2005-06-23 01:46:00 -
390:
涼
『聖夜サンに先に言われたけど、俺同じ事思ってるから。香織ちゃんにしてたしょうもないメールも俺に送って来たらいいし、しょうもない小さなことでも電話してきたらいいし。俺がお前の、彼氏にも、友達にもなるから。な?俺はどこにもいかへんで。ずっと、お前の傍におるから。』
日頃はそんな甘甘なことを誠ちゃんは言わない。だから余計に嬉しかった。それが本音でありますように。本当に、ずっと誠ちゃんがあたしの傍にいてくれますように…2005-06-23 01:57:00 -
391:
涼
あのロゼの件から誠ちゃんはあたしの信用を得る為にちゃんと態度で示してくれるようになった。起きたら必ず一番に電話をかけてくれたし、出勤日は終われば必ず電話をくれた。前もって決まってる営業はすべて教えてくれたし、ちゃんと営業に行く前と帰ってきてからは報告の電話もくれた。
そんなある日いつまで待っても営業が終わったという報告がない…不思議に思って電話をかけてみた。2005-06-23 02:01:00 -
392:
涼
『もしもし!?今どこ!?』
『ん〜っ……寝てたぁ……』
寝てた!?営業に行ったんじゃなかったのか!?
『どこで!?帰ってきてたんなら電話ぐらいしてきぃさ!!』
『寝てたけど……俺んちじゃない…わかるやろ?』
なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…2005-06-23 02:03:00 -
393:
涼
略
なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…2005-06-23 02:03:00 -
394:
涼
『営業終わってんねやったら帰ってきて!!涼梅田におるから。』と言うとわかった…と眠そうな声で答えた。そして30分ほど経った時電話が鳴った。
『どこぉ??』ほんとに帰ってきた!!!2005-06-23 02:05:00 -
395:
涼
『今日出勤しようかと思ってたけどだるいからやめ〜カラオケでも行くかぁ??』っていうか髪が!!うねうねしていた髪はストパーでサラサラになっていて、しかも若干切ったらしく、“誰が見ても男前”な誠ちゃん……あたしの勘は当たった。あまりのかっこよさににやけてしまった。
初めて外で誠ちゃんと遊べる!!さらにテンションが上がった。誠ちゃんはミスチルやラルクなどの流行歌ばかりを歌っていたが、その全てがラブソングだった。ミスチルの“抱きしめたい”を歌い終わった誠ちゃんに、冗談めかして『この歌詞みたいな風に涼のこと想ってくれてんのん〜?』2005-06-23 02:07:00 -
396:
涼
……だまったまま……しまった、聞くんじゃなかった…と思ったら、小さな声で恥ずかしそうに『……思ってるよ』と言った。嬉しくて嬉しくて、『ラブソング返しッ』と言って“おなじ星”を歌った。誠ちゃんは気に入ったらしく、タイトルを聞いて、あたしの着メロをそれにした。剛の時にはありえなかった幸せな時間。そういえば、最後に剛とカラオケに行ったとき、別れの歌ばかり歌ってやったな、なんて思い出して笑えた。誠ちゃんがごろんと膝に横になる。ドキドキする。サラサラの髪をなでる。“ん?”というように誠ちゃんがこっちを見る。あぁ、心臓が破裂しそう………
2005-06-23 02:07:00 -
397:
涼
日頃誠ちゃんが甘えてくる事なんてない。あたしが甘える事もない。恥ずかしがりだと自分で言う誠ちゃんは甘えさせてはくれない。しばらくあたしの膝の上に寝ころんだまま歌っていたが、起きあがった。勇気を出して誠ちゃんの膝の上に寝ころんでみる。
2005-06-23 02:08:00 -
398:
涼
『どしたん?甘えたくなった??』ひひっと誠ちゃんは笑った。拒否られなかった!!調子に乗ってそのままチュウをせがんでみた。手招きをするので顔をあげると
『お前からしてこい』
………無理だよう……
初めて誠ちゃんとチュウをした。2005-06-23 02:09:00 -
399:
涼
奈々はやたらとあたしになついていた。ホストへ行こうと執拗に誘ってくる。真美の誕生日に、一緒に行くことになった。“真美ちゃんのお祝いだよ”と言われては、断る理由がない。新参者のあたしに断る権利なんて、もちろんない。仕方ナシに一緒に行ったが、誠ちゃんにバレないかが気になって気になって楽しめなかった。
2005-06-23 02:10:00 -
400:
涼
その日から、奈々は何かと理由をつけては、あたしをホストに誘う。だんだん“バレなきゃいいや”という感覚になってきた。そう、ミナミに行けばいいんだ!変なところに気がついてしまった。あたしは奈々とミナミのホストの初回に行きまくった。確実に誠ちゃんの目は届かない。誠ちゃんの店では“彼女”というプレッシャーに似た何かがあり、嫌いなヘルプにも愛想良く接したし、誠ちゃんが席にいなくても文句を言わず“いい子”を多少演じた。他店ではあたしはただの客。ホスト達はみんなつなぎ止めるのに必死で、優しい。
2005-06-23 02:11:00