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恋愛ジャンキー

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  • 1:

    旧掲示板作品です。

    2005-06-02 17:03:00
  • 300:

    『誠ちゃん、涼な、別れてきたで。今日から、涼は誠ちゃんだけやで』と言うと、よほど驚いたのか口にくわえていたタバコがぽろっと落ちた。
    『ほんまに?マジでゆうてん?うわぁ、めっちゃ嬉しい!!』
    別れた理由は、剛の言動に心底腹が立ったのもあったが、涼は確実に誠ちゃんに惹かれていっていた。

    2005-06-21 01:48:00
  • 301:

    『あぁ〜明日出勤やぁめんどくさいなぁ…』
    『がんばりよ。誠ちゃん人気あるやろ?』
    『俺、あんまお客さんおらんねん。』
    意外だった。それと同時にいやな予感がした。
    『涼、俺のこと支えようって気持ちある?』
    ・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。

    2005-06-21 01:48:00
  • 302:


    ・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。

    2005-06-21 01:49:00
  • 303:

    剛はホストでもなんでもない、ただの一般人だったけどユウ以上に酷い事をしてくれた。ユウのように暴力的なことはないが精神面でいたく傷つけられた。
    【ホストなんか信じるもんじゃない】と言うけれど、あたしからすれば、それはホストだからとかじゃない。相手による。現にホストでもなんでもないただの大学生はあたしから金を引っ張り、騙した。

    2005-06-21 01:51:00
  • 304:

    職業で、くくりが付けられるなら苦労しない。ベテランホストだったユウと、大学生の剛がしたことは、ほとんど同レベルだ。そんな男に引っかかったあたしが悪いのはわかってる。
    でも、愛されたかった。誰かに、必要としてほしかった。たとえそれがあたしのお金であっても。というかあたしが選んだ相手が悪かった。この二人のおかげであたしの価値観は大きく変わった。おそらくあたしは、誠ちゃんの店に行くだろう。

    2005-06-21 01:52:00
  • 305:

    今日は誠ちゃんの誕生日。お店に行く約束をした。今日は智也のライブもある。マヤは最近ボーカルの真一にハマッていたので今日は二人でライブだ。誠ちゃんの店には三時頃に行くね、とだけ言った。
    ライブで久しぶりにみる智也は前より一層男前になっていた。ふと気づいた。誠ちゃんに似ている。いや、誠ちゃんが智也に似ている。付き合いたいとかそーゆー感情は智也に対してはもうない。

    2005-06-22 00:06:00
  • 306:

    『涼やんけぇ〜!!久しぶりやなぁ!!』
    大好きだった声がする。あたしの手の届かない人。あたしには今誠ちゃんがいる。でも久しぶりに会った大好きな智也の笑顔に胸が締め付けられる。極めて普通に接したが内心ドキドキしっぱなしだ。ふと見るとマヤと真一は仲良く酒を飲んでいた。

    2005-06-22 00:07:00
  • 307:

    『あっちぃ〜!!クーラーついてんか!?』と言いながら智也は汗でびしょびしょになったTシャツを脱いだ。線の細い智也の上半身があらわになる。あぁ、あの体に抱かれたんだ……と一人で恥ずかしかった。妹に接するように優しい智也。この人と付き合えていればあんな目には遭わなかったかも…なんて考えてるうちにライブは終わり、みんなで打ち上げに行った。知らない人ばかりが一緒に出演していたので久々にずっと智也のそばにいた。ここがあたしの居場所なら、どんなに良かっただろう。

    2005-06-22 00:09:00
  • 308:

    みんながワイワイ騒いでいる中、時計は二時半を指していた。そろそろ誠ちゃんの店に向かわなければ。智也に次いつ会えるかわからないからほんとはちょっと帰りたくなかった。でも今、あたしの彼氏は誠ちゃんだ。
    『いらっしゃ〜ぁせぇ!!!』入り口で大きな声が響く。特にイベントをしているわけではないらしく花はなかった。案内された席に座り誠ちゃんの姿を目で探す。いた。ベロベロに酔っぱらっている。まともに歩けていない。シャンパンを頭からかぶったのか髪もペッタンコだった。

    2005-06-22 00:10:00
  • 309:

    『りょぅぉ〜!!』ドサッとあたしの上に誠ちゃんが降ってきた。
    『シャンパン持ってこいシャンパン!!カフェパリちゃぅぞぉ〜ドンペリ!!ピンクじゃぁ〜』
    ロゼ!?!?!?あたしの席でロゼを飲む気なのか!?自分の誕生日はなにもいらないからと言うから、初回のあの日、未収してまで見知らぬ子の誕生日にドンペリをおろしたのに。

    2005-06-22 00:11:00
  • 310:

    『ドンペリロゼいただきゃしたぁ〜!!ありやっす〜!!』ぞろぞろとシャンパンコールの為にホストがあたしの席の周りに集まる。おろさないなんて言えなくなった。仕方ない……誠ちゃんは比較的下の方だったので上の人間ばかりが席についた。緊張する。雑誌でみた事ある顔が、あたしの前に並んでる。はっきりいってロゼをおろされた事に腹が立っていた。もちろん金額的なものもある。何より勝手におろされたのが許せない。十何万もするような酒を……
    でもここで上の人間にあたるわけにはいかない。この先誠ちゃんが仕事しにくくなるかもしれない。ヘラヘラと作り笑いを浮かべ上の人間と話をする。気を使って、なんだか自分が接客してるみたいだ。誠ちゃんは日頃あまり飲まないがいったん飲むと酒乱になるらしく、面白がったお客さんたちがあっちでもこっちでもシャンパンをおろす。誠ちゃんはどんどん酔っぱらっていく。フラフラになって帰ってきた。とおもったらあたしが飲んでた烏龍茶をいっきに飲み干しまたよその席へフラフラと行った。

    2005-06-22 00:13:00
  • 311:

    だんだんお客さんも増えてきた。上の人たちは自分のお客さんのもとへ、下の子は雑用やヘルプに大忙し。あたしの席には誰もいなくなった。
    誠ちゃんを支えると言った日の事を思い返す。負担にはさせない、無理はさせない、来てくれるだけでいいと、言っていたはずだ。それは別に今日に限った事ではなく、この先店に来るときも含め、だ。少なくとも、今日のロゼはあたしにとっては負担だ。

    2005-06-22 00:14:00
  • 312:

    『入ってきて速効シャンパンとかカッコィィっすねぇ〜』見るからにアホそうな奴が前に座る。空気を読めないのか、ベラベラ喋っている。あたしは今それどころじゃない。どうあがいたって、未収は払わなければいけないし、誠ちゃんは席に来ないし、イライラしてきた。喋っているのに一言も返事をしなかったので、やっと空気を読んだのかそいつは灰皿交換してきます、と言ったまま戻って来なかった。

    2005-06-22 00:15:00
  • 313:

    『りょぅぉぉ!たばこぉ〜』どこから帰ってきたか、全身にカフェパリの甘い匂いを纏って誠ちゃんが帰ってきた。顔は真っ赤で酒臭い。どれほど飲んだのだろう。
    『全然涼んとこおらんでごめんな?先輩の席でシャンパン下ろしてもらって、先輩の売り上げあげるんが、可愛がってくれた先輩への恩返しやから……ごめんな?怒ってる?』
    子犬みたいなうるんだ目。酔っているからなのはわかるが、可愛すぎて怒る気が失せた。

    2005-06-22 00:15:00
  • 314:

    『あのショートの人は○○さんの本カノでなぁ、あの向かいの人は○○さんのエース兼色カノやねん笑』とか本カノ情報をペラペラ喋る。その声がまた大きい。慌てて口をふさぐ。ひとしきり喋るとまた大好きな先輩にじゃれついたままどこかへ行ってしまった。あたしの席にいなくても、先輩の為に頑張る誠ちゃんはなんだかかっこよく見えた。

    2005-06-22 00:16:00
  • 315:

    眠たくなってきたので、うつむいてじーっとしていると、横に人が座った感じがした。薄目をあけると………代表だった。
    『ぅわっ!!あっ、ごめんなさい、おはようございます……お、お疲れさまです??』何を言ってるのか自分でもわからない。ははっと代表は笑った。

    2005-06-22 00:17:00
  • 316:

    『あいつが席につかなくて寂しいって顔してんで?ほんとのイイ女ってのは、そーゆーのは顔にださへんもんやで。席に戻ってきても文句はゆうたあかんで?笑顔で“がんばってるね”ってゆうたんねん。それが出来るようになったら、涼ちゃんはイイ女になれるで』
    初めて喋ったのに、寂しがってる事まで簡単に見抜き、嫌みなくアドバイスまでくれた。あぁ、人の上に立つ人はやっぱ器が違うな、と思った。

    2005-06-22 00:18:00
  • 317:

    『はい、頑張ります』
    誠ちゃんの姿を探す。四つ向こうの席でシャンパンコールをせずに直瓶している。
    頑張れ!!心の中でつぶやいた。

    2005-06-22 00:19:00
  • 318:

    代表の言うとおりにすれば、イイ女なんだろうが、勝手に下ろされたロゼはまた別問題だ。とはいえ、誠ちゃんはベロベロで、おそらくまともに話は聞いてくれないだろう。
    『涼、しんどい?帰ってもいいで??』頭からシャンパンをぽたぽたたらしながら、誠ちゃんが戻ってきた。

    2005-06-22 00:20:00
  • 319:

    『あーぁ、びしょびしょやん。大丈夫やで。がんばりよ。涼帰ったら誠ちゃん休むとこなくなってまうやん。ここにおるから。頑張って飲んでおいで。』頭を吹きながら言った。
    『涼優しいなあ〜さすが俺の女やぁ〜』
    だから、声がでかいってば……。隣のお客さんの視線が痛かった。

    2005-06-22 00:21:00
  • 320:

    そうこうしてるうちに閉店だ。ラストソングを誠ちゃんが歌う。綺麗な声だった。帰りのエレベーターで誠ちゃんはぎゅっとあたしを抱きしめた。そしてフラフラした足取りでまたエレベーターに乗り店に戻っていった。店前でタクシーを拾い、家に帰る。“ただいま”誰からの返事もない。両親は共働き、妹二人は学生。誰かがいる方がおかしい。さっきまで、あんなに人が大勢いる場所にいたので、なんだか一人が寂しかった。とりあえずロゼの件は許せない。口で言っても聞かないだろうし、もう寝てるだろうから、メールで送ろう。

    2005-06-22 00:22:00
  • 321:

    “なんで今日勝手にロゼなんかおろしたん!?負担かけへんって、無理はさせへんって、ゆったやんな?あれは涼には負担やで。わかるやんな?あれの為に涼は働かないとあかんねんで?こんなんされてたら、誠ちゃんのゆうてる事なんも信じれへんくなる。”
    文章は強気だが内心怖かった。ユウの時のことが重なる。同じになるのでは…どうせ夜まで返事は来ない。ゆっくり、眠ろう……

    2005-06-22 00:23:00
  • 322:

    目をとじる。眠くはなかったが、目を閉じていれば眠れるだろう。枕元で携帯のアラームがなった。日頃は学校だから、設定したままだった。(こんな時間に起きたのでは確実に遅刻だが)止めなきゃ。手探りで携帯を探す。
    【着信中:誠ちゃん】
    あ、アラームと誠ちゃんの着メロは同じにしたんだった………
    着信中!?!?誠ちゃん!?起きてたのか……

    2005-06-22 00:24:00
  • 323:

    『あのメール、何???』
    『何って、涼が思ったこと。ゆってる事とやってる事違うやん。負担かけてるやん。てか俺の誕生日はいらんからってゆったんちゃうの?それで、初回の日、涼シャンパン卸したやんか。』
    『ごめん・・・』

    2005-06-22 00:25:00
  • 324:

    『ごめんちゃうわ、謝ったってはらわなあかんねんから。支えるって、店で金使ってあんたの売り上げ上げることなん?それじゃ剛と変わらんのんやで!?信用しろったってあれじゃできへんで?』
    『俺…た…誕生日、涼にも……ひっ。。祝ってほしかっ…ぅっ・・たんやぁ・・・』
    ・・・・・泣かしてしまった。

    2005-06-22 00:26:00
  • 325:

    『誕生日。。仕事で、、一緒におれへんからっあっ、会いたかったしっ、祝って欲しかった。。。俺・・・信用してほしいねん。。ぅっ…今日のんは…俺が悪かったから・・・ど、どうしたら。。。信じてくれ、、るん??・・ぇっ・・・』
    ・・・・・号泣している。
    『誕生日、祝うのだってな別に店でやらんかったてええやん?違う日に家で、そりゃ店みたいに華やかなことはできへんけど、お祝いしたって良かったやん?』

    2005-06-22 00:27:00
  • 326:

    『ごめん。。。俺のこと、き、嫌いになったぁ???ぇっ。。。ひっ。。』
    泣きすぎだ。店にまだいるらしく、後ろから男の子の声がする。“えっ何泣いてるんスか??”“どうした〜??”声だけでは誰だかわからないがいろんな人が心配して周りに集まってきたっぽい。泣きやまさないと・・・。

    2005-06-22 00:28:00
  • 327:

    『嫌いにはなってへんよ。でも、これからちゃんと信用させてや?ゆうた事は、守りよ?涼は、誠ちゃん好きやよ。』
    『ごめんなぁっ・・・俺も、好きぃ・・・』何とか泣き止んだ。
    起きたら電話するから、といって電話は切れた。それにしても泣くとは。びっくりした。
    シャンパン代、こないだのと合わせても結構いくな・・・仕事しなきゃ。

    2005-06-22 00:28:00
  • 328:

    仕事といっても、援交である。ベットに転がったまま、カチカチとサイトをいじる。うーん。平日の昼間は、やっぱ中心地まで出なきゃ客がおらんなぁ…なんて考えているうちに寝てしまった。
    はっ、と目が覚めると夕方。誠ちゃんの店は従業員が多いからどこに誰がいるかわからない。今日は梅田では仕事しないでおこう…とりあえずオッサンと待ち合わせをして十三に出た。

    2005-06-22 00:30:00
  • 329:

    駅前でオッサンを待つ。聞いた目印と一致するような人物は見あたらない。“どこですか?”とメールを打つが、返事は来ない。ブチられた。一本あたりの稼ぎがいい分、来るか来ないかわからないというデメリットがあるのが面倒だ。また探しなおしだ。くそぅ。めんどくさい。

    2005-06-22 00:31:00
  • 330:

    十三はなんだか人通りがまばらだ。仕方なしに梅田に出た。JR大阪なら、誠ちゃんの店のキャッチ場には含まれてなかったはず。時刻は7時ごろ。仕事帰りのオッサンが一番多い時間。書き込んだメッセージに返事が続々届く。しかし、届きすぎていったいどれが誰なのかわからなくなってきた。あぁもう。イライラする。

    2005-06-22 00:37:00
  • 331:

    『よっ!!ひさしぶりぃ☆』
    ・・・誰だよ、久しぶりじゃねぇよ・・・誠ちゃんの次くらいに、あたし好みの男がそこにいた。
    オッサンを待つ間、暇つぶしにそいつとしゃべった。笑ったときの八重歯と子供みたいな顔がかわいくてちょっとドキッとした。とりあえずオッサンが来そうなのでその子と番号を交換して待ち合わせ場所へ移動。今度はちゃんとオッサンが来た。

    2005-06-22 00:38:00
  • 332:

    事がすんで、オッサンと別れ、受信メールを見ると、さっきの書き込みに今頃反応してきた人がいたのでそいつと待ち合わせをした。そいつもちゃんと来たのでサクッと2本終わらせ、今日は帰ろうかな、と御堂筋沿いを歩く。時間はまだ10時。終電を言い訳にすれば、次に会った人もさっさと終わらせて帰れるかも、なんて期待を抱きまたサイトに書き込む。

    2005-06-22 00:39:00
  • 333:

    まめにメールも来るが、後10分ぐらいだといって、一向に来ないやつを待つうちに終電はなくなった。タクで帰らなきゃ。と、言うことはもう一人行かなきゃ。こいつはアテにならない。諦めてほかを探す。人通りの少な目の階段に座っていたのに、ふと気づくと横に誰かがいた。若そうなので、怪しくはない。

    2005-06-22 00:40:00
  • 334:

    『なんか用?』
    『きづくんおそっ!何してんの?』・・・お前が何してるのかしりてぇよ。うっとぉしい。引かせれば、そばからいなくなるかと思った。
    『援交待ち。』
    なんと、そいつは引かずにあたしに説教をし始めた。でもなんだか言ってる事がもっともだったので、納得してしまい、どこかの店舗に入ろうかなという気になった。

    2005-06-22 00:40:00
  • 335:

    そいつはあたしにひとしきり説教をして仕事に戻った。今日最後の客が来たので、そいつに送ってもらった。シャンパン代には、まだ足りない。
    次の日、起きてまたサイトをいじる。もうほとんど学校には行かなくなっていた。ほとんど行ってなくても、誰からも連絡はなくて、余計に行く気がしなかった。

    2005-06-22 00:42:00
  • 336:

    いつもなら、先払いは絶対なのに機嫌を損ねて七万逃したくなかったのでしぶしぶ後払いを承諾した。終わって、コンビニによってお金を下ろすという。舐めまわされた洗っていない体が気持ち悪い。トイレにも行きたい。仕方なく車から降りた。最短でトイレから出て戻ると、車はなかった。もちろん、あたしの荷物も。

    2005-06-22 00:44:00
  • 337:

    幸い携帯は自分で持っていた。相手はメアドしか知らなかったのであわててメールを送る。
    『どこ行ってん!?鞄返せや!!!』
    『ファミマの裏に置いてあるから』

    2005-06-22 00:45:00
  • 338:

    置いてあるからったって見知らぬ土地のファミマってどこだよ!?通行人に道を聞きながらたどり着いたファミマの裏に、あたしの鞄はいた。財布も入っている。でも、中身はなかった。もとから小銭しか入っていなかったが、それがすっかりなくなっている。これではキセルさえ出来ない。

    2005-06-22 00:46:00
  • 339:

    人通りは全くなく、途方に暮れた。携帯が鳴った。昨日番号交換した駿だ。迷ったが今の状況をすべて話した。警察に言ったら?と言われ警察に電話をしたら、調書を取られ、現場検証に連れて行かれた。どっちみち誰かに迎えに来てもらわないとあたしは帰れないらしい。誠ちゃんに電話をするが出ない。心配していると思ったのでまた駿にかけた。駿は朝一で迎えに来てくれると言った。

    2005-06-22 00:47:00
  • 340:

    また警察と話をしていると誠ちゃんから電話が鳴った。迷ったが全部話した。誠ちゃんは援交したことに関しては怒らず、遠方に一人で出向いた事を怒った。知り合ったばかりの駿に迎えに来てもらうのは、やっぱり気が引けるので誠ちゃんに頼んだが車もお金もないので無理だという。そうだ、周りに車持ちの奴はたくさんいるが誠ちゃんは免許がなかったんだ…

    2005-06-22 00:48:00
  • 341:

    『誰かおるやろ、来てくれるやつ』
    『わかったわ。来てくれるってゆった子おるけど彼氏でもないのに悪いと思ったから、誠ちゃんに来てもらおうと思ったのに』
    『彼氏でもないのにって……来る奴男なん!?』
    『男やで??なんで?』
    『そいつの事好きなん!?』

    2005-06-22 00:49:00
  • 342:

    急に誠ちゃんの声が半泣きになった。
    『だって彼氏の俺でもめんどくさいのに、お前を迎えに来るって、それ絶対お前の事好きやん…帰って来て涼そいつの方がいいってなるかもしれんやん』
    どうしてそうなる!?てかそこまで言うなら来てくれよ……と思ったけど、可愛い。

    2005-06-22 00:50:00
  • 343:

    『大丈夫だよ、たとえそうでも涼には誠ちゃんだけやよ』
    『ほんまに?迎えに来てもらって、すぐそいつとバイバイしてや?遊んだりしやんとってや?』
    だからそんなに心配なら来いよ…と思ったが言っても無駄なのでわかってるよ、と答えた。
    警察のロビーのソファで一夜をあかし、駿が来た。身元引き取り人のサインをし、警察署を後にした。お金がなかったからキセルしてきた!と駿は笑顔で言った。……と言うことは帰りもキセル……

    2005-06-22 00:51:00
  • 344:

    でもそこまでして来てくれた駿。一瞬、彼氏の選択間違えたかなと思ってしまった。警察のソファは固く、寝にくかったのであたしはウトウトしていた。
    『俺らカップルみたいやなぁ〜』と駿が言った。若い男女が一緒にいれば誰だってカップルに見えるよ、と言いそうになったがそれじゃあまりにもかわいげがなさすぎるかと思って、そうやなぁ〜と答えた。この一言で後々あんな事になるなんて思ってもみなかった。

    2005-06-22 00:52:00
  • 345:

    とりあえず無理してもらったので駿を家にあげた。誠ちゃんに電話をかけ帰って来たことを伝える。
    『迎えに来てくれた奴は?』………(-_-;)
    『もう帰ったよ。駅でバイバイした。』

    2005-06-22 00:53:00
  • 346:

    ごめんね誠ちゃん……あたしの家に奴はいるよ……
    夕方まで寝て駿は仕事に行った。あたしも昨日の穴埋めをしなきゃ。用意をして梅田へ向かう。

    2005-06-22 00:54:00
  • 347:

    二本終わらせ今日は終わり。ふとこの間のやつが言ってた事を思い出し、店舗を探そうとマンガ喫茶へ入った。
    良さそうな店を見つけ、面接に行くとその日に体験をさせてくれた。女の子の人数は三人。待機室にいても緊張する。

    2005-06-22 00:55:00
  • 348:

    『何歳〜?』目がくりくりの真美が話しかけてきた。
    『二十歳です…』
    『同い年やねぇ〜』
    『なぁなぁ、自分ホストとか行く!?彼氏おるん!?』

    2005-06-22 00:56:00
  • 349:

    いきなり会話に入ってきた奈々。どこの店にもこういうホストの話をしたがりの奴は、一人はいる。
    『たまに行きますよ…』
    『どこの店にっ??』
    奈々は話に食いついて来た。

    2005-06-22 00:57:00
  • 350:

    こういう聞きたがりは嫌い。どうせ聞いたことを友達に言いふらしたり、サイトに書いたりするタイプだ。
    『どこ飲みに行ってんの?彼氏何歳??カッコいい??』
    そんな次々聞かなくても…

    2005-06-22 00:58:00
  • 351:

    『○○です・・・』できるだけ彼氏の話題は避けようと思った。深く突っ込まれてきたら困る。ユウのときに、軽々しくしゃべって痛い目を見たから喋る気にはならなかった。
    『今度うちの行ってる店に行こうよ!うちな、口座君に片思いしてんねんやん。涼ちゃんは?口座君のことはホストとしてしか見てないの??』恋愛相談に乗ってほしいのか、自分と同じ立場の人間でも探しているのだろうか…それにしても答えにくい質問だ…と黙っていると奈々は続けた。

    2005-06-22 00:59:00
  • 352:

    『あたしの行ってる店に一緒に行って、口座君の態度見てよぉ。』・・・・・・無理だよ…よその店に行ったらばれるかもしれない。そして、こいつの誘いを断るには、彼氏がホストだとばらさなければいけない。。。
    『あたし、彼氏ホストだから・・・よそには行けないねん。ごめんね。』
    『バレへんバレへん!!』奈々は笑いとばした。

    2005-06-22 01:00:00
  • 353:

    仕事が終わって漫画喫茶で寝ていると誠ちゃんからの着信で目が覚めた。
    『ねとったぁ?今日暇ねん〜俺んち来る?』
    一瞬で目が覚めた。化粧を直して誠ちゃんちへすっ飛んでいった。

    2005-06-22 01:02:00
  • 354:

    家に着くと、誠ちゃんは鍵をあけてくれた後また寝てしまった。相変わらず汚い。飲み会でもしたのかテーブルには酒の空き缶がごろごろ転がっている。食べ残した宅配ピザ、いつのかわからないパックのお茶・・・あたしの部屋も大概汚いが、こういう食べ物系はほったらかさないのでなんだか気になった。虫がわく。そう思って掃除を始めた。

    2005-06-22 01:03:00
  • 355:

    誠ちゃんは起こしてもおきないので、掃除の音くらいでは目を覚まさず相変わらずすうすうと寝息を立てている。部屋を片付け終わって、次は洗い物だ。・・・洗剤がない。もう隣のスーパーは開いている。洗剤を買いに、一人で出た。

    2005-06-22 01:04:00
  • 356:

    『涼!?』
    部屋に戻るとドアの音に反応したのか誠ちゃんが飛び起きた。
    『わっ、びっくりした、起きてたの?おはよ。』
    『さっき、目覚ましたらおらんから…どこ行ったんかと思ったよう〜なんか怒ってんのかと思って…』
    半泣きだ。これじゃ昼寝から目を覚ましたらお母さんがいなかった三歳児だ。可愛い。

    2005-06-22 01:05:00
  • 357:

    『ごめんね。洗剤買いに行ってたんよ〜。』
    『部屋めっちゃ綺麗になってるやん!涼が片付けたん?』あたしがやんなきゃ誰がやるんだよ。
    『そうだよ〜誠ちゃん、食べ残しくらいは捨ててや〜』

    2005-06-22 01:06:00
  • 358:

    だんだん目がさえてきたのか、誠ちゃんはあたしをほったらかしゲームに夢中になった。ほんと、こいつは可愛いのは眠いときと酔ったときだけだな…なんて思いながら、一緒にいられるのが嬉しくて、会話をしなくても苦ではなかった。

    2005-06-22 01:07:00
  • 359:

    『暇やなぁ〜スロットいこか。』
    特に会話もせず時間が経ち、なんだか結婚五年目の夫婦のようなこの関係は周りからも【熟年夫婦】だといわれていた。付き合ってまだ間もないのに、妙な感覚。本当に、ずっと前から一緒だったかのような不思議な居心地。

    2005-06-22 02:58:00
  • 360:

    家の近くのパチ屋へ行くと【海一番全台設定?】と書いたポスターが目に付いた。んなあほな。店内の海一番には本当に全台に?、とかかれた札が刺さっている。まぁ、刺すだけなら誰にでもできるし…とあたしは素通りした。のに、誠ちゃんは座っている。踊らされてんじゃないよ〜と思いながら違う台を打つ。誠ちゃんの様子を見に行くと・・・出してる!

    2005-06-22 02:58:00
  • 361:

    『涼もこれ打てって〜!ぜってー出る!!』言われたとおりに打つと、本当に出た。隣に、カップルが二人で座った。女は打ったことがないらしい。手つきでわかる。?が二つ並んだり、演出が出る度に手が止まる。そんな簡単にボーナスを引けないのは、一人で打てる人なら誰でもわかる。横から彼氏が押してあげる。ほほえましい光景だ。大して可愛くなかったけど、“スロットができない”というあたりがかわいらしく思えた。涼には遠い昔だ。その女の子がちょっとうらやましかった。
    二人で馬鹿みたいに勝って、その日は誠ちゃんちに泊まった。

    2005-06-22 03:00:00
  • 362:

    目を覚ますともう夕方だった。夜中まで桃鉄をして、いつの間にか二人とも寝てしまった。
    ・・・そういえば、Hしてない。同じベットで寝たのに、誠ちゃんは手を出してこなかった。まぁ、疲れてたんだし…。自分にそう言い聞かせた。今日は誠ちゃんは出勤日だ。起こさなきゃ。シャワーからあがって一服しているとマヤから電話がかかってきた。お茶しよう、という誘いだったので梅田についたら連絡する、といって、あわてて用意を再開した。誠ちゃんを起こす、起きない、起こす、起きない・・・・やっとのことで目を覚まし、のそのそとシャワーへ行く。

    2005-06-22 03:01:00
  • 363:

    『お前、昨日とえらい違い』と誠ちゃんが笑った。昨日はぶかぶかの誠ちゃんのジャージにすっぴん。今はぐりぐりに巻いた髪の毛にバッチリメイク。巻いた髪にセットをしていると、誠ちゃんもスーツに着替え、髪をセットしようと鏡の前で悪戦苦闘している。
    『誠ちゃんの方が昨日と違いすぎやし』というと『ホストはスーツでかわんねん』と笑った。

    2005-06-22 03:02:00
  • 364:

    『お前、すぐ出勤?』『ううん、友達から電話あったからちょっと遊んだら出勤』『マジで?俺友達に会ってみたい!』
    普段ならすぐオッケーだ。だが、今日のは相手が悪い…マヤにあたしは今まで何度も男を取られてきた。マヤは外見はあゆそっくりの大きな目をして可愛い子だ。ただ、無類の男好きで、それも、“他人の男”にものすごく興味を示す。

    2005-06-22 03:04:00
  • 365:

    大して可愛くない外見で、男っぽいさばさばした涼と、女の子です!って性格をした可愛いマヤでは勝ち目がなかった。本性はさばさばしていても、男の前では完璧に女を演じるマヤ・・・人は外見じゃないというけど、男という生き物は馬鹿で、すぐに作り物の中身にだまされる。会わせたくないなぁ…

    2005-06-22 03:05:00
  • 366:

    梅田について電話をするとマヤは百貨店にいるから待っててぇ〜と甘ったるい声で言った。あぁ、対面してしまう。
    『ツレに惚れたらあかんで?』というと誠ちゃんはきょとんとしていた。
    『惚れる?なんで?』『可愛いから』『マジで!楽しみやわぁ』イラッとしたのが顔に出たのか『大丈夫やって、冗談やんけぇ』と笑い飛ばした。

    2005-06-22 03:07:00
  • 367:

    『ごめぇ〜〜ん待ったぁ?あっ、彼氏?こんにちは〜はじめましてマヤですぅ』・・・・出た、マヤ得意の必殺スマイル。誠ちゃんのほうを見ると、
    『どうも。彼氏です。』とわけのわからない挨拶をしていた。『俺ほな仕事行くわな。また電話するわぁ。ばいばいマヤちゃん♪』と笑顔で去っていった

    2005-06-22 03:08:00
  • 368:

    『涼の彼氏、超かっこよくない?』あぁ、たぶんマヤにスイッチが入ってしまった・・・とりあえず二人で喫茶店に入り、他愛もない話をした。ブブブブブブブブ・・・携帯が震える。誠ちゃんからメールだ。
    “あれ、可愛いか?”と一言入っていた。・・・B専なのか!?

    2005-06-22 03:08:00
  • 369:

    マヤは誠ちゃんのタイプではなかったんだろうか。とりあえず一安心だ。
    マヤとバイバイして、出勤。今日は奈々は休みだった。うるさくまとわりつかれないですむ、と思うとほっとした。まぁまぁ客の入りもよく、時間を感じさせず仕事は終わった。誠ちゃんの店まで、あたしの店から徒歩5分。案内され、席に座る。

    2005-06-22 03:09:00
  • 370:

    『おぅ、お疲れ』酔っていない誠ちゃんはものすごくクールだった。
    『お前の友達、あれ可愛いんか?俺はあーゆータイプあんま好きじゃないで?なんか、あたし可愛いでしょ、って全身から出てる。』マヤは、あたしの男たちに会ったときにはこんな評価を得たことはない。彼氏であっても、ただの男友達であっても、誰にでも会いたがったマヤの誘いを断れず何人もの男を会わせ、最後にはみんなマヤにハマッてあたしから離れていった。マヤ自身、自分でもそれをわかっているのか、最近はキャバクラをはじめオッサンたちから貢がれまくっていた。

    2005-06-22 03:10:00
  • 371:

    みんな、可愛いって言うもん。涼今までの男ほとんどみんな取られたんやもん。』
    『お前、俺がそんなんで向こうに行くと思った?あほやなぁ。てか俺、そーゆー女めっちゃ嫌い。ちょ、涼、ゲームしようや。』誠ちゃんが目を輝かせていった。
    『お前、今からそいつに電話しろ。んで、俺が可愛い可愛いってゆーて会いたいってゆーてるから、会ったってって言え。俺がはまらせて、捨てたる。痛い目見せてやりたいやん?お前の仇☆』

    2005-06-22 03:13:00
  • 372:

    なんということを思いつくのか。でも、誠ちゃんなら本当にできそうだった。マヤが今まで合わせてとせがんできた男は、あたしの彼氏・男友達そしてそこにもうひとつ条件があった。“男前”。現に誠ちゃんに会った後、マヤはカッコいいカッコいいといっていた。
    店からそのまま電話をかけた。案の定マヤは、騙されてるとも知らずに誠ちゃんの言葉を鵜呑みにした。

    2005-06-22 03:14:00
  • 373:

    次の日もマヤと会うことになった。
    『誠ちゃんて、本間にマヤのこと可愛いってゆーてるん??』・・・言ってません笑 と思ったが『ほんまほんま、もう彼女としてのメンツもへったくれもないわぁ』というと、『マヤ可愛くないのになぁ〜』と鏡を見ながら言った。うそつけ。

    2005-06-22 03:15:00
  • 374:

    その日、偶然にも、キャバクラの帰り道で誠ちゃんに会ったらしい。・・・偶然な訳がない。キャッチ場とさほど離れていなかったからマヤの店のそばでキャッチをさせていたのだ。
    誠ちゃんの店に今から行くという。普通、連れの彼氏だと知ってて行くか!?と思ったが、誠ちゃんの作戦のひとつだろうと思って、ほっておいた。

    2005-06-22 03:16:00
  • 375:

    待機室に戻ると、誠ちゃんからメールが来ていた。
    “おもろい話いっぱいできた〜仕事終わったら電話してなぁ”
    マヤがきっと何かしたんだ。わくわくした。
    お店に着くと誠ちゃんは薄ら笑いを浮かべていた。気持ち悪い。
    『あの女ほんまにアホやな。あいつに惚れる男の気持ちがわからんわ』大爆笑しながら言った。

    2005-06-22 03:17:00
  • 376:

    何でもマヤは、酔った〜といいながら肩にもたれたり、いきなり“マヤ、手ちっちゃいねん”といって手を合わせてきたり誠ちゃんが今度遊ぼうな、というと二人で?マヤ誠ちゃんの家に行きたい!と言ったらしい。あぁ、さすがマヤ。落とす気満開である。
    『あれは一回遊んだら落ちるで』ひゃひゃ、と笑った誠ちゃんの顔が悪魔に見えた。
    『お前の仇、絶対取ったるからなっ♪見とけよ〜』こいつなら、できそう。初めてマヤが男に捨てられることを思うとわくわくした。

    2005-06-22 03:18:00
  • 377:

    マヤは驚くほど誠ちゃんにハマッていった。毎日何度も何度も、メール・電話…誠ちゃんが参ってきていた。
    ある日、仕事が暇だったので、キャッチ中だろうと思い誠ちゃんに電話をかけた。出ない。珍しい、お客さん来てるのかな、と思いほっといた。すると、誠ちゃんからメールがきた。

    2005-06-22 03:19:00
  • 378:

    “今マヤ来てる。出んといて、お前には来てる事内緒にしてって言うから出れへんかった、ごめん。マヤ帰ったら電話するわ。”
    店に来てる!?そこまでして会いたいのか。そこまでハマッたか…。しばらくして誠ちゃんからマヤが帰ったと電話が入った。と同時に、マヤからのキャッチも入った。

    2005-06-22 03:20:00
  • 379:

    『涼、マヤなぁ誠ちゃんやめといたほうがいいと思うで?最近涼のこと客としてしか見れへんくなったって。付き合うんやったらマヤみたいな可愛い子がいいって言ってたで。』カチンときた。何を真に受けてるのか。それはあんたをはまらすために、あたしと誠ちゃんで考えたくどき文句である。

    2005-06-22 03:21:00
  • 380:

    『そうなん、どこで誠ちゃんと喋ってたん?』『道やでぇ。』うそだ。行ってたのは知ってる。それに毎回あんたがメールや電話で遊ぼう遊ぼうと言っているのも知ってる。
    『じゃぁ、誠ちゃんに涼に直接言いって言っといて。』『そんなん言ったら傷つくからできへんのちゃう?でも、誠ちゃんマヤは可愛いってずっといててってゆってたしぃ』この女はどこまでアホなのか。もう限界である。

    2005-06-22 03:22:00
  • 381:

    『店行ってたやろ?』『えっ・・・いってないよぉ?』声が上ずった。
    『あんた、可愛いからって何でも真に受け取ったらあかんで。店行ってたん知ってるし、何でそんな嘘つくん?誠チャンに甘えたことも、家行きたいって言ったことも、あんたが毎日毎日遊ぼうっていってんのも、全部知ってんねんから。全部誠ちゃんから聞いてんねん。何でそうやってすぐ涼の男取ろうとするわけ?』

    2005-06-22 03:23:00
  • 382:

    『あたし別に可愛くないし。涼はそうやってあたしに嫉妬ばっかりしてるから、みんなあたしのほうが可愛いって言うねん。もう男関係であんたと喧嘩すんのこりごりやわ。縁切る。』
    ・・・縁が切れるのはかまわないが、何でそれをお前が言うんだ?あたしのことを見下してたのは知ってた。でも、そこまであらわに言葉で言われたことはなかった。
    友達を一人、失った。

    2005-06-22 03:24:00
  • 383:

    どうしたらいいんだろう…仕事は本当に暇で、考え事をしたくないのにすることがないせいで考えてしまう。どうすればいいんだろう。
    価値観の違う香織に認めさせるのは難しいし、説明したって到底わかってはくれないだろう。どうすれば・・・そればかり考えていると電話がなった。誠ちゃんだった。

    2005-06-22 03:26:00
  • 384:

    『もう仕事終わる〜〜??』『・・・・・・・・うん』『どうした?なんかあった?』誠ちゃんは声の調子でいつも見抜く。
    『友達、いなくなっちゃった…』『マヤか?お前マヤしか友達おらん訳ちゃうやろ?』『マヤともう一人・・・香織だけしか友達なんていないようなもんやってん…でも香織が友達やめるって…』『店来て話きいたるから。終わったらすぐおいでや?』やさしい誠ちゃん。早く会いたい。ぽろぽろ涙がこぼれた。

    2005-06-22 03:27:00
  • 385:

    店は終わり、お給料をもらう順番を待っていると誠ちゃんからメールが来た。
    “周りが誰もおらんくなったって、俺はずっとお前のそばから離れへんから。絶対にな。”
    また、涙があふれた。
    店に着くと、すぐに誠ちゃんが来た。

    2005-06-22 03:28:00
  • 386:

    『なんてメール来たん?』というのでメールを見せた。読み終わると誠ちゃんはぼそっと『俺のせいやんな?これ・・・』とつぶやいた。
    空気を読んだのか今日は誰もヘルプがいない。

    2005-06-22 03:29:00
  • 387:

    『誠ちゃんのせいじゃないよ・・・』『どうしたらいいんやろ…俺がこの子に電話しよか?そんなつもりじゃないって。俺はちゃんとお前との先も考えてるし、今こんなことさせてるけど、ずっとさせるつもりはないって。俺がゆったらわかってくれるかなぁ??』おそらくそんなことをしては、香織の性格上、火に油を注ぐだけだ。

    2005-06-22 03:30:00
  • 388:

    『ど〜したぁ、暗い顔してぇ』軽いトーンで、先輩の聖夜がやってきた。誠ちゃんは、聖夜に事細かに説明した。あたしは、どうしていいかわからなくて、ただ、泣いているだけだった。
    『やっぱなぁ、同じ状況に立たないと人ってわからんからなぁ。でも、涼ちゃん この子とは長いんやろ?時間経ったらわかってくれるよ、きっと。』と聖夜サンは言った。

    2005-06-23 01:45:00
  • 389:

    『んで、お前な、涼ちゃん大事にせぇよ??こんなメール来ても、お前と別れずにおってくれてんねんぞ?極端にゆうたら、涼ちゃんは友達よりお前をとったんやで。これから、友達の分もお前が傍にいてやらな。なっ?』
    『はい。わかってます。』『おう、ほんならええねん。ほんまに大事にせぇよ?』誠ちゃんの肩をポンとたたき、聖夜はどこかへ行ってしまった。

    2005-06-23 01:46:00
  • 390:

    『聖夜サンに先に言われたけど、俺同じ事思ってるから。香織ちゃんにしてたしょうもないメールも俺に送って来たらいいし、しょうもない小さなことでも電話してきたらいいし。俺がお前の、彼氏にも、友達にもなるから。な?俺はどこにもいかへんで。ずっと、お前の傍におるから。』
    日頃はそんな甘甘なことを誠ちゃんは言わない。だから余計に嬉しかった。それが本音でありますように。本当に、ずっと誠ちゃんがあたしの傍にいてくれますように…

    2005-06-23 01:57:00
  • 391:

    あのロゼの件から誠ちゃんはあたしの信用を得る為にちゃんと態度で示してくれるようになった。起きたら必ず一番に電話をかけてくれたし、出勤日は終われば必ず電話をくれた。前もって決まってる営業はすべて教えてくれたし、ちゃんと営業に行く前と帰ってきてからは報告の電話もくれた。
    そんなある日いつまで待っても営業が終わったという報告がない…不思議に思って電話をかけてみた。

    2005-06-23 02:01:00
  • 392:

    『もしもし!?今どこ!?』
    『ん〜っ……寝てたぁ……』
    寝てた!?営業に行ったんじゃなかったのか!?
    『どこで!?帰ってきてたんなら電話ぐらいしてきぃさ!!』
    『寝てたけど……俺んちじゃない…わかるやろ?』
    なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…

    2005-06-23 02:03:00
  • 393:


    なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…

    2005-06-23 02:03:00
  • 394:

    『営業終わってんねやったら帰ってきて!!涼梅田におるから。』と言うとわかった…と眠そうな声で答えた。そして30分ほど経った時電話が鳴った。
    『どこぉ??』ほんとに帰ってきた!!!

    2005-06-23 02:05:00
  • 395:

    『今日出勤しようかと思ってたけどだるいからやめ〜カラオケでも行くかぁ??』っていうか髪が!!うねうねしていた髪はストパーでサラサラになっていて、しかも若干切ったらしく、“誰が見ても男前”な誠ちゃん……あたしの勘は当たった。あまりのかっこよさににやけてしまった。
    初めて外で誠ちゃんと遊べる!!さらにテンションが上がった。誠ちゃんはミスチルやラルクなどの流行歌ばかりを歌っていたが、その全てがラブソングだった。ミスチルの“抱きしめたい”を歌い終わった誠ちゃんに、冗談めかして『この歌詞みたいな風に涼のこと想ってくれてんのん〜?』

    2005-06-23 02:07:00
  • 396:

    ……だまったまま……しまった、聞くんじゃなかった…と思ったら、小さな声で恥ずかしそうに『……思ってるよ』と言った。嬉しくて嬉しくて、『ラブソング返しッ』と言って“おなじ星”を歌った。誠ちゃんは気に入ったらしく、タイトルを聞いて、あたしの着メロをそれにした。剛の時にはありえなかった幸せな時間。そういえば、最後に剛とカラオケに行ったとき、別れの歌ばかり歌ってやったな、なんて思い出して笑えた。誠ちゃんがごろんと膝に横になる。ドキドキする。サラサラの髪をなでる。“ん?”というように誠ちゃんがこっちを見る。あぁ、心臓が破裂しそう………

    2005-06-23 02:07:00
  • 397:

    日頃誠ちゃんが甘えてくる事なんてない。あたしが甘える事もない。恥ずかしがりだと自分で言う誠ちゃんは甘えさせてはくれない。しばらくあたしの膝の上に寝ころんだまま歌っていたが、起きあがった。勇気を出して誠ちゃんの膝の上に寝ころんでみる。

    2005-06-23 02:08:00
  • 398:

    『どしたん?甘えたくなった??』ひひっと誠ちゃんは笑った。拒否られなかった!!調子に乗ってそのままチュウをせがんでみた。手招きをするので顔をあげると
    『お前からしてこい』
    ………無理だよう……
    初めて誠ちゃんとチュウをした。

    2005-06-23 02:09:00
  • 399:

    奈々はやたらとあたしになついていた。ホストへ行こうと執拗に誘ってくる。真美の誕生日に、一緒に行くことになった。“真美ちゃんのお祝いだよ”と言われては、断る理由がない。新参者のあたしに断る権利なんて、もちろんない。仕方ナシに一緒に行ったが、誠ちゃんにバレないかが気になって気になって楽しめなかった。

    2005-06-23 02:10:00
  • 400:

    その日から、奈々は何かと理由をつけては、あたしをホストに誘う。だんだん“バレなきゃいいや”という感覚になってきた。そう、ミナミに行けばいいんだ!変なところに気がついてしまった。あたしは奈々とミナミのホストの初回に行きまくった。確実に誠ちゃんの目は届かない。誠ちゃんの店では“彼女”というプレッシャーに似た何かがあり、嫌いなヘルプにも愛想良く接したし、誠ちゃんが席にいなくても文句を言わず“いい子”を多少演じた。他店ではあたしはただの客。ホスト達はみんなつなぎ止めるのに必死で、優しい。

    2005-06-23 02:11:00
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