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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
300:
涼
『誠ちゃん、涼な、別れてきたで。今日から、涼は誠ちゃんだけやで』と言うと、よほど驚いたのか口にくわえていたタバコがぽろっと落ちた。
『ほんまに?マジでゆうてん?うわぁ、めっちゃ嬉しい!!』
別れた理由は、剛の言動に心底腹が立ったのもあったが、涼は確実に誠ちゃんに惹かれていっていた。2005-06-21 01:48:00 -
301:
涼
『あぁ〜明日出勤やぁめんどくさいなぁ…』
『がんばりよ。誠ちゃん人気あるやろ?』
『俺、あんまお客さんおらんねん。』
意外だった。それと同時にいやな予感がした。
『涼、俺のこと支えようって気持ちある?』
・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。2005-06-21 01:48:00 -
302:
涼
略
・・・・支えるってどういう意味で?と思ったがとりあえずそこは口に出さないでおいて、あるよ、とだけ答えた。2005-06-21 01:49:00 -
303:
涼
剛はホストでもなんでもない、ただの一般人だったけどユウ以上に酷い事をしてくれた。ユウのように暴力的なことはないが精神面でいたく傷つけられた。
【ホストなんか信じるもんじゃない】と言うけれど、あたしからすれば、それはホストだからとかじゃない。相手による。現にホストでもなんでもないただの大学生はあたしから金を引っ張り、騙した。2005-06-21 01:51:00 -
304:
涼
職業で、くくりが付けられるなら苦労しない。ベテランホストだったユウと、大学生の剛がしたことは、ほとんど同レベルだ。そんな男に引っかかったあたしが悪いのはわかってる。
でも、愛されたかった。誰かに、必要としてほしかった。たとえそれがあたしのお金であっても。というかあたしが選んだ相手が悪かった。この二人のおかげであたしの価値観は大きく変わった。おそらくあたしは、誠ちゃんの店に行くだろう。2005-06-21 01:52:00 -
305:
涼
今日は誠ちゃんの誕生日。お店に行く約束をした。今日は智也のライブもある。マヤは最近ボーカルの真一にハマッていたので今日は二人でライブだ。誠ちゃんの店には三時頃に行くね、とだけ言った。
ライブで久しぶりにみる智也は前より一層男前になっていた。ふと気づいた。誠ちゃんに似ている。いや、誠ちゃんが智也に似ている。付き合いたいとかそーゆー感情は智也に対してはもうない。2005-06-22 00:06:00 -
306:
涼
『涼やんけぇ〜!!久しぶりやなぁ!!』
大好きだった声がする。あたしの手の届かない人。あたしには今誠ちゃんがいる。でも久しぶりに会った大好きな智也の笑顔に胸が締め付けられる。極めて普通に接したが内心ドキドキしっぱなしだ。ふと見るとマヤと真一は仲良く酒を飲んでいた。2005-06-22 00:07:00 -
307:
涼
『あっちぃ〜!!クーラーついてんか!?』と言いながら智也は汗でびしょびしょになったTシャツを脱いだ。線の細い智也の上半身があらわになる。あぁ、あの体に抱かれたんだ……と一人で恥ずかしかった。妹に接するように優しい智也。この人と付き合えていればあんな目には遭わなかったかも…なんて考えてるうちにライブは終わり、みんなで打ち上げに行った。知らない人ばかりが一緒に出演していたので久々にずっと智也のそばにいた。ここがあたしの居場所なら、どんなに良かっただろう。
2005-06-22 00:09:00 -
308:
涼
みんながワイワイ騒いでいる中、時計は二時半を指していた。そろそろ誠ちゃんの店に向かわなければ。智也に次いつ会えるかわからないからほんとはちょっと帰りたくなかった。でも今、あたしの彼氏は誠ちゃんだ。
『いらっしゃ〜ぁせぇ!!!』入り口で大きな声が響く。特にイベントをしているわけではないらしく花はなかった。案内された席に座り誠ちゃんの姿を目で探す。いた。ベロベロに酔っぱらっている。まともに歩けていない。シャンパンを頭からかぶったのか髪もペッタンコだった。2005-06-22 00:10:00 -
309:
涼
『りょぅぉ〜!!』ドサッとあたしの上に誠ちゃんが降ってきた。
『シャンパン持ってこいシャンパン!!カフェパリちゃぅぞぉ〜ドンペリ!!ピンクじゃぁ〜』
ロゼ!?!?!?あたしの席でロゼを飲む気なのか!?自分の誕生日はなにもいらないからと言うから、初回のあの日、未収してまで見知らぬ子の誕生日にドンペリをおろしたのに。2005-06-22 00:11:00 -
310:
涼
『ドンペリロゼいただきゃしたぁ〜!!ありやっす〜!!』ぞろぞろとシャンパンコールの為にホストがあたしの席の周りに集まる。おろさないなんて言えなくなった。仕方ない……誠ちゃんは比較的下の方だったので上の人間ばかりが席についた。緊張する。雑誌でみた事ある顔が、あたしの前に並んでる。はっきりいってロゼをおろされた事に腹が立っていた。もちろん金額的なものもある。何より勝手におろされたのが許せない。十何万もするような酒を……
でもここで上の人間にあたるわけにはいかない。この先誠ちゃんが仕事しにくくなるかもしれない。ヘラヘラと作り笑いを浮かべ上の人間と話をする。気を使って、なんだか自分が接客してるみたいだ。誠ちゃんは日頃あまり飲まないがいったん飲むと酒乱になるらしく、面白がったお客さんたちがあっちでもこっちでもシャンパンをおろす。誠ちゃんはどんどん酔っぱらっていく。フラフラになって帰ってきた。とおもったらあたしが飲んでた烏龍茶をいっきに飲み干しまたよその席へフラフラと行った。2005-06-22 00:13:00 -
311:
涼
だんだんお客さんも増えてきた。上の人たちは自分のお客さんのもとへ、下の子は雑用やヘルプに大忙し。あたしの席には誰もいなくなった。
誠ちゃんを支えると言った日の事を思い返す。負担にはさせない、無理はさせない、来てくれるだけでいいと、言っていたはずだ。それは別に今日に限った事ではなく、この先店に来るときも含め、だ。少なくとも、今日のロゼはあたしにとっては負担だ。2005-06-22 00:14:00 -
312:
涼
『入ってきて速効シャンパンとかカッコィィっすねぇ〜』見るからにアホそうな奴が前に座る。空気を読めないのか、ベラベラ喋っている。あたしは今それどころじゃない。どうあがいたって、未収は払わなければいけないし、誠ちゃんは席に来ないし、イライラしてきた。喋っているのに一言も返事をしなかったので、やっと空気を読んだのかそいつは灰皿交換してきます、と言ったまま戻って来なかった。
2005-06-22 00:15:00 -
313:
涼
『りょぅぉぉ!たばこぉ〜』どこから帰ってきたか、全身にカフェパリの甘い匂いを纏って誠ちゃんが帰ってきた。顔は真っ赤で酒臭い。どれほど飲んだのだろう。
『全然涼んとこおらんでごめんな?先輩の席でシャンパン下ろしてもらって、先輩の売り上げあげるんが、可愛がってくれた先輩への恩返しやから……ごめんな?怒ってる?』
子犬みたいなうるんだ目。酔っているからなのはわかるが、可愛すぎて怒る気が失せた。
2005-06-22 00:15:00 -
314:
涼
『あのショートの人は○○さんの本カノでなぁ、あの向かいの人は○○さんのエース兼色カノやねん笑』とか本カノ情報をペラペラ喋る。その声がまた大きい。慌てて口をふさぐ。ひとしきり喋るとまた大好きな先輩にじゃれついたままどこかへ行ってしまった。あたしの席にいなくても、先輩の為に頑張る誠ちゃんはなんだかかっこよく見えた。
2005-06-22 00:16:00 -
315:
涼
眠たくなってきたので、うつむいてじーっとしていると、横に人が座った感じがした。薄目をあけると………代表だった。
『ぅわっ!!あっ、ごめんなさい、おはようございます……お、お疲れさまです??』何を言ってるのか自分でもわからない。ははっと代表は笑った。2005-06-22 00:17:00 -
316:
涼
『あいつが席につかなくて寂しいって顔してんで?ほんとのイイ女ってのは、そーゆーのは顔にださへんもんやで。席に戻ってきても文句はゆうたあかんで?笑顔で“がんばってるね”ってゆうたんねん。それが出来るようになったら、涼ちゃんはイイ女になれるで』
初めて喋ったのに、寂しがってる事まで簡単に見抜き、嫌みなくアドバイスまでくれた。あぁ、人の上に立つ人はやっぱ器が違うな、と思った。2005-06-22 00:18:00 -
317:
涼
『はい、頑張ります』
誠ちゃんの姿を探す。四つ向こうの席でシャンパンコールをせずに直瓶している。
頑張れ!!心の中でつぶやいた。2005-06-22 00:19:00 -
318:
涼
代表の言うとおりにすれば、イイ女なんだろうが、勝手に下ろされたロゼはまた別問題だ。とはいえ、誠ちゃんはベロベロで、おそらくまともに話は聞いてくれないだろう。
『涼、しんどい?帰ってもいいで??』頭からシャンパンをぽたぽたたらしながら、誠ちゃんが戻ってきた。2005-06-22 00:20:00 -
319:
涼
『あーぁ、びしょびしょやん。大丈夫やで。がんばりよ。涼帰ったら誠ちゃん休むとこなくなってまうやん。ここにおるから。頑張って飲んでおいで。』頭を吹きながら言った。
『涼優しいなあ〜さすが俺の女やぁ〜』
だから、声がでかいってば……。隣のお客さんの視線が痛かった。2005-06-22 00:21:00 -
320:
涼
そうこうしてるうちに閉店だ。ラストソングを誠ちゃんが歌う。綺麗な声だった。帰りのエレベーターで誠ちゃんはぎゅっとあたしを抱きしめた。そしてフラフラした足取りでまたエレベーターに乗り店に戻っていった。店前でタクシーを拾い、家に帰る。“ただいま”誰からの返事もない。両親は共働き、妹二人は学生。誰かがいる方がおかしい。さっきまで、あんなに人が大勢いる場所にいたので、なんだか一人が寂しかった。とりあえずロゼの件は許せない。口で言っても聞かないだろうし、もう寝てるだろうから、メールで送ろう。
2005-06-22 00:22:00 -
321:
涼
“なんで今日勝手にロゼなんかおろしたん!?負担かけへんって、無理はさせへんって、ゆったやんな?あれは涼には負担やで。わかるやんな?あれの為に涼は働かないとあかんねんで?こんなんされてたら、誠ちゃんのゆうてる事なんも信じれへんくなる。”
文章は強気だが内心怖かった。ユウの時のことが重なる。同じになるのでは…どうせ夜まで返事は来ない。ゆっくり、眠ろう……2005-06-22 00:23:00 -
322:
涼
目をとじる。眠くはなかったが、目を閉じていれば眠れるだろう。枕元で携帯のアラームがなった。日頃は学校だから、設定したままだった。(こんな時間に起きたのでは確実に遅刻だが)止めなきゃ。手探りで携帯を探す。
【着信中:誠ちゃん】
あ、アラームと誠ちゃんの着メロは同じにしたんだった………
着信中!?!?誠ちゃん!?起きてたのか……2005-06-22 00:24:00 -
323:
涼
『あのメール、何???』
『何って、涼が思ったこと。ゆってる事とやってる事違うやん。負担かけてるやん。てか俺の誕生日はいらんからってゆったんちゃうの?それで、初回の日、涼シャンパン卸したやんか。』
『ごめん・・・』2005-06-22 00:25:00 -
324:
涼
『ごめんちゃうわ、謝ったってはらわなあかんねんから。支えるって、店で金使ってあんたの売り上げ上げることなん?それじゃ剛と変わらんのんやで!?信用しろったってあれじゃできへんで?』
『俺…た…誕生日、涼にも……ひっ。。祝ってほしかっ…ぅっ・・たんやぁ・・・』
・・・・・泣かしてしまった。2005-06-22 00:26:00 -
325:
涼
『誕生日。。仕事で、、一緒におれへんからっあっ、会いたかったしっ、祝って欲しかった。。。俺・・・信用してほしいねん。。ぅっ…今日のんは…俺が悪かったから・・・ど、どうしたら。。。信じてくれ、、るん??・・ぇっ・・・』
・・・・・号泣している。
『誕生日、祝うのだってな別に店でやらんかったてええやん?違う日に家で、そりゃ店みたいに華やかなことはできへんけど、お祝いしたって良かったやん?』2005-06-22 00:27:00 -
326:
涼
『ごめん。。。俺のこと、き、嫌いになったぁ???ぇっ。。。ひっ。。』
泣きすぎだ。店にまだいるらしく、後ろから男の子の声がする。“えっ何泣いてるんスか??”“どうした〜??”声だけでは誰だかわからないがいろんな人が心配して周りに集まってきたっぽい。泣きやまさないと・・・。2005-06-22 00:28:00 -
327:
涼
『嫌いにはなってへんよ。でも、これからちゃんと信用させてや?ゆうた事は、守りよ?涼は、誠ちゃん好きやよ。』
『ごめんなぁっ・・・俺も、好きぃ・・・』何とか泣き止んだ。
起きたら電話するから、といって電話は切れた。それにしても泣くとは。びっくりした。
シャンパン代、こないだのと合わせても結構いくな・・・仕事しなきゃ。2005-06-22 00:28:00 -
328:
涼
仕事といっても、援交である。ベットに転がったまま、カチカチとサイトをいじる。うーん。平日の昼間は、やっぱ中心地まで出なきゃ客がおらんなぁ…なんて考えているうちに寝てしまった。
はっ、と目が覚めると夕方。誠ちゃんの店は従業員が多いからどこに誰がいるかわからない。今日は梅田では仕事しないでおこう…とりあえずオッサンと待ち合わせをして十三に出た。2005-06-22 00:30:00 -
329:
涼
駅前でオッサンを待つ。聞いた目印と一致するような人物は見あたらない。“どこですか?”とメールを打つが、返事は来ない。ブチられた。一本あたりの稼ぎがいい分、来るか来ないかわからないというデメリットがあるのが面倒だ。また探しなおしだ。くそぅ。めんどくさい。
2005-06-22 00:31:00 -
330:
涼
十三はなんだか人通りがまばらだ。仕方なしに梅田に出た。JR大阪なら、誠ちゃんの店のキャッチ場には含まれてなかったはず。時刻は7時ごろ。仕事帰りのオッサンが一番多い時間。書き込んだメッセージに返事が続々届く。しかし、届きすぎていったいどれが誰なのかわからなくなってきた。あぁもう。イライラする。
2005-06-22 00:37:00 -
331:
涼
『よっ!!ひさしぶりぃ☆』
・・・誰だよ、久しぶりじゃねぇよ・・・誠ちゃんの次くらいに、あたし好みの男がそこにいた。
オッサンを待つ間、暇つぶしにそいつとしゃべった。笑ったときの八重歯と子供みたいな顔がかわいくてちょっとドキッとした。とりあえずオッサンが来そうなのでその子と番号を交換して待ち合わせ場所へ移動。今度はちゃんとオッサンが来た。2005-06-22 00:38:00 -
332:
涼
事がすんで、オッサンと別れ、受信メールを見ると、さっきの書き込みに今頃反応してきた人がいたのでそいつと待ち合わせをした。そいつもちゃんと来たのでサクッと2本終わらせ、今日は帰ろうかな、と御堂筋沿いを歩く。時間はまだ10時。終電を言い訳にすれば、次に会った人もさっさと終わらせて帰れるかも、なんて期待を抱きまたサイトに書き込む。
2005-06-22 00:39:00 -
333:
涼
まめにメールも来るが、後10分ぐらいだといって、一向に来ないやつを待つうちに終電はなくなった。タクで帰らなきゃ。と、言うことはもう一人行かなきゃ。こいつはアテにならない。諦めてほかを探す。人通りの少な目の階段に座っていたのに、ふと気づくと横に誰かがいた。若そうなので、怪しくはない。
2005-06-22 00:40:00 -
334:
涼
『なんか用?』
『きづくんおそっ!何してんの?』・・・お前が何してるのかしりてぇよ。うっとぉしい。引かせれば、そばからいなくなるかと思った。
『援交待ち。』
なんと、そいつは引かずにあたしに説教をし始めた。でもなんだか言ってる事がもっともだったので、納得してしまい、どこかの店舗に入ろうかなという気になった。2005-06-22 00:40:00 -
335:
涼
そいつはあたしにひとしきり説教をして仕事に戻った。今日最後の客が来たので、そいつに送ってもらった。シャンパン代には、まだ足りない。
次の日、起きてまたサイトをいじる。もうほとんど学校には行かなくなっていた。ほとんど行ってなくても、誰からも連絡はなくて、余計に行く気がしなかった。2005-06-22 00:42:00 -
336:
涼
いつもなら、先払いは絶対なのに機嫌を損ねて七万逃したくなかったのでしぶしぶ後払いを承諾した。終わって、コンビニによってお金を下ろすという。舐めまわされた洗っていない体が気持ち悪い。トイレにも行きたい。仕方なく車から降りた。最短でトイレから出て戻ると、車はなかった。もちろん、あたしの荷物も。
2005-06-22 00:44:00 -
337:
涼
幸い携帯は自分で持っていた。相手はメアドしか知らなかったのであわててメールを送る。
『どこ行ってん!?鞄返せや!!!』
『ファミマの裏に置いてあるから』2005-06-22 00:45:00 -
338:
涼
置いてあるからったって見知らぬ土地のファミマってどこだよ!?通行人に道を聞きながらたどり着いたファミマの裏に、あたしの鞄はいた。財布も入っている。でも、中身はなかった。もとから小銭しか入っていなかったが、それがすっかりなくなっている。これではキセルさえ出来ない。
2005-06-22 00:46:00 -
339:
涼
人通りは全くなく、途方に暮れた。携帯が鳴った。昨日番号交換した駿だ。迷ったが今の状況をすべて話した。警察に言ったら?と言われ警察に電話をしたら、調書を取られ、現場検証に連れて行かれた。どっちみち誰かに迎えに来てもらわないとあたしは帰れないらしい。誠ちゃんに電話をするが出ない。心配していると思ったのでまた駿にかけた。駿は朝一で迎えに来てくれると言った。
2005-06-22 00:47:00 -
340:
涼
また警察と話をしていると誠ちゃんから電話が鳴った。迷ったが全部話した。誠ちゃんは援交したことに関しては怒らず、遠方に一人で出向いた事を怒った。知り合ったばかりの駿に迎えに来てもらうのは、やっぱり気が引けるので誠ちゃんに頼んだが車もお金もないので無理だという。そうだ、周りに車持ちの奴はたくさんいるが誠ちゃんは免許がなかったんだ…
2005-06-22 00:48:00 -
341:
涼
『誰かおるやろ、来てくれるやつ』
『わかったわ。来てくれるってゆった子おるけど彼氏でもないのに悪いと思ったから、誠ちゃんに来てもらおうと思ったのに』
『彼氏でもないのにって……来る奴男なん!?』
『男やで??なんで?』
『そいつの事好きなん!?』2005-06-22 00:49:00 -
342:
涼
急に誠ちゃんの声が半泣きになった。
『だって彼氏の俺でもめんどくさいのに、お前を迎えに来るって、それ絶対お前の事好きやん…帰って来て涼そいつの方がいいってなるかもしれんやん』
どうしてそうなる!?てかそこまで言うなら来てくれよ……と思ったけど、可愛い。2005-06-22 00:50:00 -
343:
涼
『大丈夫だよ、たとえそうでも涼には誠ちゃんだけやよ』
『ほんまに?迎えに来てもらって、すぐそいつとバイバイしてや?遊んだりしやんとってや?』
だからそんなに心配なら来いよ…と思ったが言っても無駄なのでわかってるよ、と答えた。
警察のロビーのソファで一夜をあかし、駿が来た。身元引き取り人のサインをし、警察署を後にした。お金がなかったからキセルしてきた!と駿は笑顔で言った。……と言うことは帰りもキセル……2005-06-22 00:51:00 -
344:
涼
でもそこまでして来てくれた駿。一瞬、彼氏の選択間違えたかなと思ってしまった。警察のソファは固く、寝にくかったのであたしはウトウトしていた。
『俺らカップルみたいやなぁ〜』と駿が言った。若い男女が一緒にいれば誰だってカップルに見えるよ、と言いそうになったがそれじゃあまりにもかわいげがなさすぎるかと思って、そうやなぁ〜と答えた。この一言で後々あんな事になるなんて思ってもみなかった。2005-06-22 00:52:00 -
345:
涼
とりあえず無理してもらったので駿を家にあげた。誠ちゃんに電話をかけ帰って来たことを伝える。
『迎えに来てくれた奴は?』………(-_-;)
『もう帰ったよ。駅でバイバイした。』2005-06-22 00:53:00 -
346:
涼
ごめんね誠ちゃん……あたしの家に奴はいるよ……
夕方まで寝て駿は仕事に行った。あたしも昨日の穴埋めをしなきゃ。用意をして梅田へ向かう。2005-06-22 00:54:00 -
347:
涼
二本終わらせ今日は終わり。ふとこの間のやつが言ってた事を思い出し、店舗を探そうとマンガ喫茶へ入った。
良さそうな店を見つけ、面接に行くとその日に体験をさせてくれた。女の子の人数は三人。待機室にいても緊張する。2005-06-22 00:55:00 -
348:
涼
『何歳〜?』目がくりくりの真美が話しかけてきた。
『二十歳です…』
『同い年やねぇ〜』
『なぁなぁ、自分ホストとか行く!?彼氏おるん!?』2005-06-22 00:56:00 -
349:
涼
いきなり会話に入ってきた奈々。どこの店にもこういうホストの話をしたがりの奴は、一人はいる。
『たまに行きますよ…』
『どこの店にっ??』
奈々は話に食いついて来た。2005-06-22 00:57:00 -
350:
涼
こういう聞きたがりは嫌い。どうせ聞いたことを友達に言いふらしたり、サイトに書いたりするタイプだ。
『どこ飲みに行ってんの?彼氏何歳??カッコいい??』
そんな次々聞かなくても…2005-06-22 00:58:00 -
351:
涼
『○○です・・・』できるだけ彼氏の話題は避けようと思った。深く突っ込まれてきたら困る。ユウのときに、軽々しくしゃべって痛い目を見たから喋る気にはならなかった。
『今度うちの行ってる店に行こうよ!うちな、口座君に片思いしてんねんやん。涼ちゃんは?口座君のことはホストとしてしか見てないの??』恋愛相談に乗ってほしいのか、自分と同じ立場の人間でも探しているのだろうか…それにしても答えにくい質問だ…と黙っていると奈々は続けた。2005-06-22 00:59:00 -
352:
涼
『あたしの行ってる店に一緒に行って、口座君の態度見てよぉ。』・・・・・・無理だよ…よその店に行ったらばれるかもしれない。そして、こいつの誘いを断るには、彼氏がホストだとばらさなければいけない。。。
『あたし、彼氏ホストだから・・・よそには行けないねん。ごめんね。』
『バレへんバレへん!!』奈々は笑いとばした。2005-06-22 01:00:00 -
353:
涼
仕事が終わって漫画喫茶で寝ていると誠ちゃんからの着信で目が覚めた。
『ねとったぁ?今日暇ねん〜俺んち来る?』
一瞬で目が覚めた。化粧を直して誠ちゃんちへすっ飛んでいった。2005-06-22 01:02:00 -
354:
涼
家に着くと、誠ちゃんは鍵をあけてくれた後また寝てしまった。相変わらず汚い。飲み会でもしたのかテーブルには酒の空き缶がごろごろ転がっている。食べ残した宅配ピザ、いつのかわからないパックのお茶・・・あたしの部屋も大概汚いが、こういう食べ物系はほったらかさないのでなんだか気になった。虫がわく。そう思って掃除を始めた。
2005-06-22 01:03:00 -
355:
涼
誠ちゃんは起こしてもおきないので、掃除の音くらいでは目を覚まさず相変わらずすうすうと寝息を立てている。部屋を片付け終わって、次は洗い物だ。・・・洗剤がない。もう隣のスーパーは開いている。洗剤を買いに、一人で出た。
2005-06-22 01:04:00 -
356:
涼
『涼!?』
部屋に戻るとドアの音に反応したのか誠ちゃんが飛び起きた。
『わっ、びっくりした、起きてたの?おはよ。』
『さっき、目覚ましたらおらんから…どこ行ったんかと思ったよう〜なんか怒ってんのかと思って…』
半泣きだ。これじゃ昼寝から目を覚ましたらお母さんがいなかった三歳児だ。可愛い。2005-06-22 01:05:00 -
357:
涼
『ごめんね。洗剤買いに行ってたんよ〜。』
『部屋めっちゃ綺麗になってるやん!涼が片付けたん?』あたしがやんなきゃ誰がやるんだよ。
『そうだよ〜誠ちゃん、食べ残しくらいは捨ててや〜』2005-06-22 01:06:00 -
358:
涼
だんだん目がさえてきたのか、誠ちゃんはあたしをほったらかしゲームに夢中になった。ほんと、こいつは可愛いのは眠いときと酔ったときだけだな…なんて思いながら、一緒にいられるのが嬉しくて、会話をしなくても苦ではなかった。
2005-06-22 01:07:00 -
359:
涼
『暇やなぁ〜スロットいこか。』
特に会話もせず時間が経ち、なんだか結婚五年目の夫婦のようなこの関係は周りからも【熟年夫婦】だといわれていた。付き合ってまだ間もないのに、妙な感覚。本当に、ずっと前から一緒だったかのような不思議な居心地。2005-06-22 02:58:00 -
360:
涼
家の近くのパチ屋へ行くと【海一番全台設定?】と書いたポスターが目に付いた。んなあほな。店内の海一番には本当に全台に?、とかかれた札が刺さっている。まぁ、刺すだけなら誰にでもできるし…とあたしは素通りした。のに、誠ちゃんは座っている。踊らされてんじゃないよ〜と思いながら違う台を打つ。誠ちゃんの様子を見に行くと・・・出してる!
2005-06-22 02:58:00 -
361:
涼
『涼もこれ打てって〜!ぜってー出る!!』言われたとおりに打つと、本当に出た。隣に、カップルが二人で座った。女は打ったことがないらしい。手つきでわかる。?が二つ並んだり、演出が出る度に手が止まる。そんな簡単にボーナスを引けないのは、一人で打てる人なら誰でもわかる。横から彼氏が押してあげる。ほほえましい光景だ。大して可愛くなかったけど、“スロットができない”というあたりがかわいらしく思えた。涼には遠い昔だ。その女の子がちょっとうらやましかった。
二人で馬鹿みたいに勝って、その日は誠ちゃんちに泊まった。2005-06-22 03:00:00 -
362:
涼
目を覚ますともう夕方だった。夜中まで桃鉄をして、いつの間にか二人とも寝てしまった。
・・・そういえば、Hしてない。同じベットで寝たのに、誠ちゃんは手を出してこなかった。まぁ、疲れてたんだし…。自分にそう言い聞かせた。今日は誠ちゃんは出勤日だ。起こさなきゃ。シャワーからあがって一服しているとマヤから電話がかかってきた。お茶しよう、という誘いだったので梅田についたら連絡する、といって、あわてて用意を再開した。誠ちゃんを起こす、起きない、起こす、起きない・・・・やっとのことで目を覚まし、のそのそとシャワーへ行く。2005-06-22 03:01:00 -
363:
涼
『お前、昨日とえらい違い』と誠ちゃんが笑った。昨日はぶかぶかの誠ちゃんのジャージにすっぴん。今はぐりぐりに巻いた髪の毛にバッチリメイク。巻いた髪にセットをしていると、誠ちゃんもスーツに着替え、髪をセットしようと鏡の前で悪戦苦闘している。
『誠ちゃんの方が昨日と違いすぎやし』というと『ホストはスーツでかわんねん』と笑った。2005-06-22 03:02:00 -
364:
涼
『お前、すぐ出勤?』『ううん、友達から電話あったからちょっと遊んだら出勤』『マジで?俺友達に会ってみたい!』
普段ならすぐオッケーだ。だが、今日のは相手が悪い…マヤにあたしは今まで何度も男を取られてきた。マヤは外見はあゆそっくりの大きな目をして可愛い子だ。ただ、無類の男好きで、それも、“他人の男”にものすごく興味を示す。2005-06-22 03:04:00 -
365:
涼
大して可愛くない外見で、男っぽいさばさばした涼と、女の子です!って性格をした可愛いマヤでは勝ち目がなかった。本性はさばさばしていても、男の前では完璧に女を演じるマヤ・・・人は外見じゃないというけど、男という生き物は馬鹿で、すぐに作り物の中身にだまされる。会わせたくないなぁ…
2005-06-22 03:05:00 -
366:
涼
梅田について電話をするとマヤは百貨店にいるから待っててぇ〜と甘ったるい声で言った。あぁ、対面してしまう。
『ツレに惚れたらあかんで?』というと誠ちゃんはきょとんとしていた。
『惚れる?なんで?』『可愛いから』『マジで!楽しみやわぁ』イラッとしたのが顔に出たのか『大丈夫やって、冗談やんけぇ』と笑い飛ばした。2005-06-22 03:07:00 -
367:
涼
『ごめぇ〜〜ん待ったぁ?あっ、彼氏?こんにちは〜はじめましてマヤですぅ』・・・・出た、マヤ得意の必殺スマイル。誠ちゃんのほうを見ると、
『どうも。彼氏です。』とわけのわからない挨拶をしていた。『俺ほな仕事行くわな。また電話するわぁ。ばいばいマヤちゃん♪』と笑顔で去っていった2005-06-22 03:08:00 -
368:
涼
『涼の彼氏、超かっこよくない?』あぁ、たぶんマヤにスイッチが入ってしまった・・・とりあえず二人で喫茶店に入り、他愛もない話をした。ブブブブブブブブ・・・携帯が震える。誠ちゃんからメールだ。
“あれ、可愛いか?”と一言入っていた。・・・B専なのか!?2005-06-22 03:08:00 -
369:
涼
マヤは誠ちゃんのタイプではなかったんだろうか。とりあえず一安心だ。
マヤとバイバイして、出勤。今日は奈々は休みだった。うるさくまとわりつかれないですむ、と思うとほっとした。まぁまぁ客の入りもよく、時間を感じさせず仕事は終わった。誠ちゃんの店まで、あたしの店から徒歩5分。案内され、席に座る。2005-06-22 03:09:00 -
370:
涼
『おぅ、お疲れ』酔っていない誠ちゃんはものすごくクールだった。
『お前の友達、あれ可愛いんか?俺はあーゆータイプあんま好きじゃないで?なんか、あたし可愛いでしょ、って全身から出てる。』マヤは、あたしの男たちに会ったときにはこんな評価を得たことはない。彼氏であっても、ただの男友達であっても、誰にでも会いたがったマヤの誘いを断れず何人もの男を会わせ、最後にはみんなマヤにハマッてあたしから離れていった。マヤ自身、自分でもそれをわかっているのか、最近はキャバクラをはじめオッサンたちから貢がれまくっていた。2005-06-22 03:10:00 -
371:
涼
みんな、可愛いって言うもん。涼今までの男ほとんどみんな取られたんやもん。』
『お前、俺がそんなんで向こうに行くと思った?あほやなぁ。てか俺、そーゆー女めっちゃ嫌い。ちょ、涼、ゲームしようや。』誠ちゃんが目を輝かせていった。
『お前、今からそいつに電話しろ。んで、俺が可愛い可愛いってゆーて会いたいってゆーてるから、会ったってって言え。俺がはまらせて、捨てたる。痛い目見せてやりたいやん?お前の仇☆』2005-06-22 03:13:00 -
372:
涼
なんということを思いつくのか。でも、誠ちゃんなら本当にできそうだった。マヤが今まで合わせてとせがんできた男は、あたしの彼氏・男友達そしてそこにもうひとつ条件があった。“男前”。現に誠ちゃんに会った後、マヤはカッコいいカッコいいといっていた。
店からそのまま電話をかけた。案の定マヤは、騙されてるとも知らずに誠ちゃんの言葉を鵜呑みにした。2005-06-22 03:14:00 -
373:
涼
次の日もマヤと会うことになった。
『誠ちゃんて、本間にマヤのこと可愛いってゆーてるん??』・・・言ってません笑 と思ったが『ほんまほんま、もう彼女としてのメンツもへったくれもないわぁ』というと、『マヤ可愛くないのになぁ〜』と鏡を見ながら言った。うそつけ。2005-06-22 03:15:00 -
374:
涼
その日、偶然にも、キャバクラの帰り道で誠ちゃんに会ったらしい。・・・偶然な訳がない。キャッチ場とさほど離れていなかったからマヤの店のそばでキャッチをさせていたのだ。
誠ちゃんの店に今から行くという。普通、連れの彼氏だと知ってて行くか!?と思ったが、誠ちゃんの作戦のひとつだろうと思って、ほっておいた。2005-06-22 03:16:00 -
375:
涼
待機室に戻ると、誠ちゃんからメールが来ていた。
“おもろい話いっぱいできた〜仕事終わったら電話してなぁ”
マヤがきっと何かしたんだ。わくわくした。
お店に着くと誠ちゃんは薄ら笑いを浮かべていた。気持ち悪い。
『あの女ほんまにアホやな。あいつに惚れる男の気持ちがわからんわ』大爆笑しながら言った。2005-06-22 03:17:00 -
376:
涼
何でもマヤは、酔った〜といいながら肩にもたれたり、いきなり“マヤ、手ちっちゃいねん”といって手を合わせてきたり誠ちゃんが今度遊ぼうな、というと二人で?マヤ誠ちゃんの家に行きたい!と言ったらしい。あぁ、さすがマヤ。落とす気満開である。
『あれは一回遊んだら落ちるで』ひゃひゃ、と笑った誠ちゃんの顔が悪魔に見えた。
『お前の仇、絶対取ったるからなっ♪見とけよ〜』こいつなら、できそう。初めてマヤが男に捨てられることを思うとわくわくした。2005-06-22 03:18:00 -
377:
涼
マヤは驚くほど誠ちゃんにハマッていった。毎日何度も何度も、メール・電話…誠ちゃんが参ってきていた。
ある日、仕事が暇だったので、キャッチ中だろうと思い誠ちゃんに電話をかけた。出ない。珍しい、お客さん来てるのかな、と思いほっといた。すると、誠ちゃんからメールがきた。2005-06-22 03:19:00 -
378:
涼
“今マヤ来てる。出んといて、お前には来てる事内緒にしてって言うから出れへんかった、ごめん。マヤ帰ったら電話するわ。”
店に来てる!?そこまでして会いたいのか。そこまでハマッたか…。しばらくして誠ちゃんからマヤが帰ったと電話が入った。と同時に、マヤからのキャッチも入った。2005-06-22 03:20:00 -
379:
涼
『涼、マヤなぁ誠ちゃんやめといたほうがいいと思うで?最近涼のこと客としてしか見れへんくなったって。付き合うんやったらマヤみたいな可愛い子がいいって言ってたで。』カチンときた。何を真に受けてるのか。それはあんたをはまらすために、あたしと誠ちゃんで考えたくどき文句である。
2005-06-22 03:21:00 -
380:
涼
『そうなん、どこで誠ちゃんと喋ってたん?』『道やでぇ。』うそだ。行ってたのは知ってる。それに毎回あんたがメールや電話で遊ぼう遊ぼうと言っているのも知ってる。
『じゃぁ、誠ちゃんに涼に直接言いって言っといて。』『そんなん言ったら傷つくからできへんのちゃう?でも、誠ちゃんマヤは可愛いってずっといててってゆってたしぃ』この女はどこまでアホなのか。もう限界である。2005-06-22 03:22:00 -
381:
涼
『店行ってたやろ?』『えっ・・・いってないよぉ?』声が上ずった。
『あんた、可愛いからって何でも真に受け取ったらあかんで。店行ってたん知ってるし、何でそんな嘘つくん?誠チャンに甘えたことも、家行きたいって言ったことも、あんたが毎日毎日遊ぼうっていってんのも、全部知ってんねんから。全部誠ちゃんから聞いてんねん。何でそうやってすぐ涼の男取ろうとするわけ?』2005-06-22 03:23:00 -
382:
涼
『あたし別に可愛くないし。涼はそうやってあたしに嫉妬ばっかりしてるから、みんなあたしのほうが可愛いって言うねん。もう男関係であんたと喧嘩すんのこりごりやわ。縁切る。』
・・・縁が切れるのはかまわないが、何でそれをお前が言うんだ?あたしのことを見下してたのは知ってた。でも、そこまであらわに言葉で言われたことはなかった。
友達を一人、失った。2005-06-22 03:24:00 -
383:
涼
どうしたらいいんだろう…仕事は本当に暇で、考え事をしたくないのにすることがないせいで考えてしまう。どうすればいいんだろう。
価値観の違う香織に認めさせるのは難しいし、説明したって到底わかってはくれないだろう。どうすれば・・・そればかり考えていると電話がなった。誠ちゃんだった。2005-06-22 03:26:00 -
384:
涼
『もう仕事終わる〜〜??』『・・・・・・・・うん』『どうした?なんかあった?』誠ちゃんは声の調子でいつも見抜く。
『友達、いなくなっちゃった…』『マヤか?お前マヤしか友達おらん訳ちゃうやろ?』『マヤともう一人・・・香織だけしか友達なんていないようなもんやってん…でも香織が友達やめるって…』『店来て話きいたるから。終わったらすぐおいでや?』やさしい誠ちゃん。早く会いたい。ぽろぽろ涙がこぼれた。2005-06-22 03:27:00 -
385:
涼
店は終わり、お給料をもらう順番を待っていると誠ちゃんからメールが来た。
“周りが誰もおらんくなったって、俺はずっとお前のそばから離れへんから。絶対にな。”
また、涙があふれた。
店に着くと、すぐに誠ちゃんが来た。2005-06-22 03:28:00 -
386:
涼
『なんてメール来たん?』というのでメールを見せた。読み終わると誠ちゃんはぼそっと『俺のせいやんな?これ・・・』とつぶやいた。
空気を読んだのか今日は誰もヘルプがいない。2005-06-22 03:29:00 -
387:
涼
『誠ちゃんのせいじゃないよ・・・』『どうしたらいいんやろ…俺がこの子に電話しよか?そんなつもりじゃないって。俺はちゃんとお前との先も考えてるし、今こんなことさせてるけど、ずっとさせるつもりはないって。俺がゆったらわかってくれるかなぁ??』おそらくそんなことをしては、香織の性格上、火に油を注ぐだけだ。
2005-06-22 03:30:00 -
388:
涼
『ど〜したぁ、暗い顔してぇ』軽いトーンで、先輩の聖夜がやってきた。誠ちゃんは、聖夜に事細かに説明した。あたしは、どうしていいかわからなくて、ただ、泣いているだけだった。
『やっぱなぁ、同じ状況に立たないと人ってわからんからなぁ。でも、涼ちゃん この子とは長いんやろ?時間経ったらわかってくれるよ、きっと。』と聖夜サンは言った。2005-06-23 01:45:00 -
389:
涼
『んで、お前な、涼ちゃん大事にせぇよ??こんなメール来ても、お前と別れずにおってくれてんねんぞ?極端にゆうたら、涼ちゃんは友達よりお前をとったんやで。これから、友達の分もお前が傍にいてやらな。なっ?』
『はい。わかってます。』『おう、ほんならええねん。ほんまに大事にせぇよ?』誠ちゃんの肩をポンとたたき、聖夜はどこかへ行ってしまった。2005-06-23 01:46:00 -
390:
涼
『聖夜サンに先に言われたけど、俺同じ事思ってるから。香織ちゃんにしてたしょうもないメールも俺に送って来たらいいし、しょうもない小さなことでも電話してきたらいいし。俺がお前の、彼氏にも、友達にもなるから。な?俺はどこにもいかへんで。ずっと、お前の傍におるから。』
日頃はそんな甘甘なことを誠ちゃんは言わない。だから余計に嬉しかった。それが本音でありますように。本当に、ずっと誠ちゃんがあたしの傍にいてくれますように…2005-06-23 01:57:00 -
391:
涼
あのロゼの件から誠ちゃんはあたしの信用を得る為にちゃんと態度で示してくれるようになった。起きたら必ず一番に電話をかけてくれたし、出勤日は終われば必ず電話をくれた。前もって決まってる営業はすべて教えてくれたし、ちゃんと営業に行く前と帰ってきてからは報告の電話もくれた。
そんなある日いつまで待っても営業が終わったという報告がない…不思議に思って電話をかけてみた。2005-06-23 02:01:00 -
392:
涼
『もしもし!?今どこ!?』
『ん〜っ……寝てたぁ……』
寝てた!?営業に行ったんじゃなかったのか!?
『どこで!?帰ってきてたんなら電話ぐらいしてきぃさ!!』
『寝てたけど……俺んちじゃない…わかるやろ?』
なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…2005-06-23 02:03:00 -
393:
涼
略
なんと客の家で寝たらしい。……営業になってない。しかも自分がベットで寝て、お客さんも寝てるが、床でらしい。なんてやつだ…2005-06-23 02:03:00 -
394:
涼
『営業終わってんねやったら帰ってきて!!涼梅田におるから。』と言うとわかった…と眠そうな声で答えた。そして30分ほど経った時電話が鳴った。
『どこぉ??』ほんとに帰ってきた!!!2005-06-23 02:05:00 -
395:
涼
『今日出勤しようかと思ってたけどだるいからやめ〜カラオケでも行くかぁ??』っていうか髪が!!うねうねしていた髪はストパーでサラサラになっていて、しかも若干切ったらしく、“誰が見ても男前”な誠ちゃん……あたしの勘は当たった。あまりのかっこよさににやけてしまった。
初めて外で誠ちゃんと遊べる!!さらにテンションが上がった。誠ちゃんはミスチルやラルクなどの流行歌ばかりを歌っていたが、その全てがラブソングだった。ミスチルの“抱きしめたい”を歌い終わった誠ちゃんに、冗談めかして『この歌詞みたいな風に涼のこと想ってくれてんのん〜?』2005-06-23 02:07:00 -
396:
涼
……だまったまま……しまった、聞くんじゃなかった…と思ったら、小さな声で恥ずかしそうに『……思ってるよ』と言った。嬉しくて嬉しくて、『ラブソング返しッ』と言って“おなじ星”を歌った。誠ちゃんは気に入ったらしく、タイトルを聞いて、あたしの着メロをそれにした。剛の時にはありえなかった幸せな時間。そういえば、最後に剛とカラオケに行ったとき、別れの歌ばかり歌ってやったな、なんて思い出して笑えた。誠ちゃんがごろんと膝に横になる。ドキドキする。サラサラの髪をなでる。“ん?”というように誠ちゃんがこっちを見る。あぁ、心臓が破裂しそう………
2005-06-23 02:07:00 -
397:
涼
日頃誠ちゃんが甘えてくる事なんてない。あたしが甘える事もない。恥ずかしがりだと自分で言う誠ちゃんは甘えさせてはくれない。しばらくあたしの膝の上に寝ころんだまま歌っていたが、起きあがった。勇気を出して誠ちゃんの膝の上に寝ころんでみる。
2005-06-23 02:08:00 -
398:
涼
『どしたん?甘えたくなった??』ひひっと誠ちゃんは笑った。拒否られなかった!!調子に乗ってそのままチュウをせがんでみた。手招きをするので顔をあげると
『お前からしてこい』
………無理だよう……
初めて誠ちゃんとチュウをした。2005-06-23 02:09:00 -
399:
涼
奈々はやたらとあたしになついていた。ホストへ行こうと執拗に誘ってくる。真美の誕生日に、一緒に行くことになった。“真美ちゃんのお祝いだよ”と言われては、断る理由がない。新参者のあたしに断る権利なんて、もちろんない。仕方ナシに一緒に行ったが、誠ちゃんにバレないかが気になって気になって楽しめなかった。
2005-06-23 02:10:00 -
400:
涼
その日から、奈々は何かと理由をつけては、あたしをホストに誘う。だんだん“バレなきゃいいや”という感覚になってきた。そう、ミナミに行けばいいんだ!変なところに気がついてしまった。あたしは奈々とミナミのホストの初回に行きまくった。確実に誠ちゃんの目は届かない。誠ちゃんの店では“彼女”というプレッシャーに似た何かがあり、嫌いなヘルプにも愛想良く接したし、誠ちゃんが席にいなくても文句を言わず“いい子”を多少演じた。他店ではあたしはただの客。ホスト達はみんなつなぎ止めるのに必死で、優しい。
2005-06-23 02:11:00 -
401:
涼
ある日奈々が“カッコイイ子みっけたぁ”と雑誌を目の前に広げた。あたしの目が止まったのは、奈々がカッコイイと指さした子ではなく、隣のページに小さく載っていた男前。
和也だ………
『うわっ、元彼……』2005-06-23 02:13:00 -
402:
涼
その一言で今日の行き先は和也の店に決まった。でも、和也はあたし達の席には着いてくれず一言もしゃべれなかった。奈々はここでもお気に入りを見つけたらしく、楽しそうにしている。あたしは帰りたくてたまらなかった。
しばらく仕事→ホスト→仕事……そんな毎日が続いた。あたしより、男友達を大事にする誠ちゃんはちっとも遊んではくれず、寂しかった。他店のホストたちはそこを少しだけ埋めてくれた。もちろん、誠ちゃんが出勤の日には誠ちゃんの店で飲んだ。毎日どこかしらの店にいた。これではただのホスト狂いだ。もうすぐ、夏がくる……2005-06-23 02:13:00 -
403:
涼
去年、大ちゃんと見た花火。来年見る人は違うだろうと思ったあたしの予想は当たっていた。しかし……誠ちゃんは行ってくれるのだろうか?この人はいつも突然で未だに約束をした事がない。まだ花火の日程も出ていない頃から花火に行きたいと言い続けた。浴衣を買わなきゃ!でも誠ちゃんの店ではいつも未収で飲んでいたから、その支払いでいっぱいいっぱいだった。仕方ない、久しぶりに援交しよう……
2005-06-23 02:15:00 -
404:
涼
店を少し早めにあがって、相手を捜した。あっさり見つかった。これで浴衣が買える☆誠ちゃんが出勤日だったので終わったら、店に行くつもりだった。
初めてのウォーターベットは予想以上に気持ちよく、気づけば朝……携帯の充電もいつの間にか切れていた。やばい……2005-06-23 02:16:00 -
405:
涼
とりあえず浴衣を買って、ママに着せてもらった。約束もしていないのに、とりあえず駅で誠ちゃんを待った。六時…まだ連絡はない。七時…電話をかけても出ない……もうすぐ八時になろうとしている。花火が始まる……
2005-06-23 02:20:00 -
406:
涼
八時を過ぎてやっと電話がかかってきた。
『お前昨日店ブチッたし、俺は今日ブチる!!』
言いそうな気はしてた。やっぱりか……。せっかく浴衣を着たんだし、と思って駿を呼び出した。人混みは嫌いだと言っていたが来てくれた。駿の先輩に言われた事がふと頭をよぎった。
“涼ちゃんの事諦めてない健気な駿をよろしくな”こいつはあたしを好きなのか!?まさかな…なんて思いながら、駿と花火を見た。2005-06-23 02:21:00 -
407:
涼
あーぁ、誠ちゃんと見たかったな…でも花火はまだある!!それに駿は誠ちゃんと違って甘えさせてくれる。外で普通に手もつないでくれる。電車ではこけないように抱きしめてくれた。空席を見つけたらすっ飛んで行く誠ちゃんとはえらい違いだ。
2005-06-23 02:25:00 -
408:
涼
『駿と付き合えばよかったかなぁ』別に本気で思ったわけではない。ただなんとなく、ちょっとそう思ったから、言ってみた。
『人混んでるし、ちょっと後から帰ろうか』
同じ考えの人だろうか、何人かカップルや子連れの家族がいる公園に行った。
『涼、ほんまは俺のことどう思ってる?』
(え…やばっ、本気にした!?先輩が言ってた事ほんまなんかいっ…)2005-06-23 02:27:00 -
409:
涼
困った…本気で言ったわけではないし、誠ちゃんと別れる気などさらさらない。しかし、自分があんな事言っておいてそれはない…どうしよう…
『駿の事、好きは好きやけど…なんか付き合うとかそーゆー好きじゃないねん…』
『どっちも好きとかそーゆーオチ!?』…やばい…機嫌が悪くなった…
『かっ、帰ろうか。人だいぶ減ったしさっ』
なんとか話を終わらせたい。流すしかない。2005-06-23 02:28:00 -
410:
涼
店に行く約束をしていたので、駿と別れ、浴衣のまま店へ向かった。
『何でお前浴衣着てんの?』・・・普通ほめませんか?嘘でもさ(泣)と思いながら店へ入った。同伴したのだろうか、ちらほら浴衣姿の子がいる。いいなぁ…。今同時に店に入ったから、ほかから見れば涼たちも同伴だが、誠ちゃんはさっきまで後輩の家で寝ていた。2005-06-23 02:30:00 -
411:
涼
『ブチるとか本間ありえへんし!!』誠ちゃんには女友達と行ったことにしておいた。その子と実際さっき会ったので、プリクラも撮っておいた。
『お前が先ブチッたんやんけぇ。まぁ、いかへん理由ができてよかったけど』と誠ちゃんは笑った。人ごみが嫌いだといってたので、行きたくなかったのは知ってた。でも、行きたかった。
『淀川は行ってもらうで。』というと、しゃぁないなぁ、と笑った。2005-06-23 02:31:00 -
412:
名無しさん
はやく続き?
2005-06-25 23:20:00 -
413:
名無しさん
涼ちゃん 厄介物語消えた??
2005-06-25 23:31:00 -
414:
涼
ヘルプたちはみんな“花火行って来たんスかぁ?”と聞いてくる。行ってないのに聞いてくんな!と思ったが笑ってその場をやり過ごした。
2005-06-26 00:04:00 -
415:
涼
家に帰って、寝ようと思ったけど、あまり眠くなかったので何気なしに爆弾サイトを開いた。
誠ちゃんの店のすれをさがしてクリック。前に見たときより明らかに書き込みの数が増えていた。何だろう、と思い開くと、スレはえらい事になっていた。
“あたし、○○君と付き合ってるんだけど、色とか使う人?”を筆頭に誠ちゃんの事が書かれていた。それも、延々と。しまいにはあたしのことも飛び出し、風俗してるだとか、不細工だとか、挙句に“彼女です”と名乗る人が何人も出てきた。2005-06-26 00:05:00 -
416:
涼
書き込みをされた時間を見ると、3分おきとか、5分おきとか、ほとんど間が空いていない。でも、絵文字が入っていたり、入ってなかったり“ぁ”とか“ゎ”とか小文字になったりならなかったり…同一なのかどうなのか…時間帯的に、何人もが見そうな時間ではあるけど…と思っていると、誠ちゃんから電話がかかってきた。
2005-06-26 00:29:00 -
417:
涼
『お前サイト見た?』『うん、今ちょうど見てた』『フォロー入れといてくれへん?』と言われ“彼女はいないよ”的な書き込みをした。すぐに突っかかってくる。異常に返事が早い。“お前は色やって”とか、“彼女いないと思うよ”など、ほかにも似たような書き込みはあるのに、あたしが書いたのにだけ、しかもレスナンバー指摘してまで突っかかってくる。なんでだ・・・???
2005-06-26 00:30:00 -
418:
涼
何回か、書き込んだがらちが明かない。もういいや、と思いほっておいた。すると、則之から電話が鳴った。則之は駿の後輩で可愛いやつだ。
2005-06-26 00:31:00 -
419:
涼
『どしたぁ?』
『あんね、誠さんの店のサイト見ました?』
『うん、さっき見てた。なんで?どしたの?』
『あれ書いたんね、駿さんなんですよ…俺、一緒にいたんです。俺の携帯と、駿さんの携帯の二台で書いて…俺、駿さんに言われるまま書き込んで。あれ、全部駿さんの仕業なんですよ…』2005-06-26 00:33:00 -
420:
涼
なんと、びっくりしたことに後輩使ってまで駿がした嫌がらせだったのだ。
何でも、あたしに振られたと思っていて別れさせようとたくらんだのか、誠ちゃんに対する嫌がらせかはわからないが、自作したらしい。2005-06-26 00:34:00 -
421:
涼
『明日の花火は一緒に行くんス!?』
花火の前日だったのでみんな花火の話をしている。
『しゃーなしでな』と誠ちゃんは笑った。
家に帰って則之に電話をした。2005-06-26 00:35:00 -
422:
涼
『駿にな、明日仕事行ったらあたしと誠ちゃん駅で見たって言い。』と言った。あの後則之を詰めたら、駿が別れさすためにした自作だった事を吐いたので、ちょっと遊んでやろうと思った。
2005-06-26 00:36:00 -
423:
涼
誠ちゃんは今日は絶対行ってくれると言っていた。店泊するから起こしにこいと。
夕方、用意をして店下へ向かう。私服やスーツのままの従業員達がちらほらいる。浴衣を着てる女の子も数人いた。
誠ちゃんに電話をかける。出ない。留守電に切り替わるまで数十回かけてやっと出た。従業員達が女の子と出かけていったり、従業員同士でタクシーに乗ってゆくのを見ながら誠ちゃんを待った。花火がもう上がり始めた。やっと下りてきた誠ちゃんは、前と違う浴衣を着てるあたしをみて“また買ったん!?”と、相変わらずほめてはくれなかった。2005-06-26 00:37:00 -
424:
涼
例年通りのすごい人。歩くのが早い誠ちゃんについていくのが精一杯だ。店泊したから下はスーツのままの誠ちゃん。周りから見てホストだとバレバレだ。お客さんに会わないかとヒヤヒヤした。帰り道、人の流れに逆行しているからか、スーツが目立つのか、男前だからか、すれ違う人が誠ちゃんを見ている。今思えば何人もホストは見たのでやっぱり顔で見られていた。
なかなか進まない人の波。誠ちゃんはついにギブアップ、一休みしたいと言い出した。2005-06-26 00:38:00 -
425:
涼
道から少しはなれたところにある小さな植え込みの段に座って話をした。今日が記念日なこと。香織のこと。これからのこと。パチンコのこと。ジュースを飲んだら涼しくなって結構な時間はなしこんでしまった。誠ちゃんは二人だけだとよくしゃべる。
『そろそろひと減ったかな?』大通りに戻ると、まぁまぁいるものの最初よりは明らかに空いていたので帰ることにした。2005-06-26 00:40:00 -
426:
涼
電車に乗って梅田へと向かう。何か食べて帰ろうか、ということになり東通を歩いた。
同じような考えの人や、飲みにいくサラリーマン、キャッチのホストや、カラオケ屋の店員。いつもより少し、東通はにぎわっていた。視線の先に見慣れた顔を発見。則之だ。則之がいるということは…やっぱり。その少し先に駿がいた。まさか本当に会うとは思わなかった。2005-06-26 00:41:00 -
427:
涼
則之がこっちに気づいた。小さく手を振っている。あたしが手を振ると誠ちゃんにばれるのでうんうん、と頷いた。ちょうどあたしたちが歩いてた側にいた上に、その少し手前にタバコの自販機があった。さっき買ったばかりなのでタバコは全然残っている。嫌がらせの仕返し、と思って誠ちゃんのティーシャツの裾を引っ張った。
2005-06-26 00:42:00 -
428:
涼
『待って、涼タバコ買う!』というと、あ、俺も、と言って戻ってきた。ゲーセンが隣にあったので、元々は行く気なんてなかったのだが『誠ちゃん、あのプーさん取ってぇ』と言うと聞こえなかったらしく、なんて?とあたしの顔に耳を近づけてきた。周りから見れば仲良しカップルだ。
視線を感じる。駿がこっちを見ている。それも、ものすごい至近距離から。2005-06-26 00:43:00 -
429:
涼
2000円くらい突っ込んだが取れず、誠ちゃんはあきらめた。あたしも元々別にプーさんが欲しかった訳ではないし、いいや、と思ってゲーセンを後にした。誠ちゃんは手をつないでくれない人。しかも梅田となれば余計だ。でも、駿に見せたかったので誠ちゃんの腕をつかむ。
何?と誠ちゃんが振り向く。『歩くん早い〜』と言うとお前が遅いんじゃ、そんなややこしいもん着てるから!と言われた。駿の視線が突き刺さる。則之に口パクで“バイバイ”と言い、駿とは一切目を合わせなかった。ざまぁみろ。ちょっと胸がすっとした。則之から後で聞いた話では、その後駿は店で相当荒れてたらしい。誠ちゃんが予想以上に男前だったことにも腹が立ったらしい。2005-06-26 00:44:00 -
430:
涼
ご飯を食べて帰るころには二人の姿はもうなかった。
帰ってまたサイトを開いてみた。あたしが嫌がらせで近づいたことがわかったのか、今度はあたしが散々叩かれていた。誠ちゃんには他に彼女がいるとか、騙されてるだとか、バカとか。なんだか逆にかわいそうになった。2005-06-26 00:45:00 -
431:
涼
それ以降は特に何事もなく、平和な日々をすごした。イベントが多かった月の支払いがまだ終わっていなくて、そこにまた未収を重ねていたので仕事をしてもしても追いつかない。とりあえず前の分だけでも終わらせたかったのだが、そうしてしまうと今月分がまた遅れる。彼女だから、飛ぶことはないです、と代表に説明してくれたらしく遅くなってもかまわなかったのだがユウの時のような事になるのだけはごめんだった。
2005-06-26 00:48:00 -
432:
涼
遅れてもいいとは言っても、もう三月も前の支払いだ。その間はその月の未収だけでいっぱいいっぱいだった。
『店で稼げへんねやったら援交してくれへん?ちょっと、代表に言われてて…』まぁ、代表だって待つにも限度があるだろう。2005-06-26 00:49:00 -
433:
涼
彼氏の口から、そんなことを言われた女の子は何人この世にいるだろうか。おそらくあたしだけではないかなと思う。でも、遅れたあたしが悪いし、一本行って7,8000円ではタカが知れてる。店自体そんなに集客数がいいほうでもなかった。
誠ちゃんの中では援交とソープは変わらないらしい。(ソープの方ごめんなさい)2005-06-26 00:51:00 -
434:
涼
自由出勤だったのでしばらく休んでひたすら援交をした。2万や3万でちまちまやるのがしんどくなってきた。もっと手っ取り早く稼ぐには…生でやるか、中出ししかない。
2005-06-26 00:52:00 -
435:
涼
2万や3万で、とは言っても、3万の客なんてほとんどいなかった。2万が大概、下手したら1,5万だった。そんな時代に、前のような中出しで30万なんて人はまずいないだろうと思った。疑問系で掲示板に、“中だしオッケーです、いくらくれますか?”と書き込んだ。山のように返事が来た。
2005-06-26 00:53:00 -
436:
涼
中には、50万なんて人もいたが、逆に怪しいのでやめた。2万だと言って来る奴、中だしされるのが好きなの?と聞いてくるバカ、セフレになろうよとか言って来るバカ…でも、大半の人は“五万”と言って来た。中出しは五万が相場なのか。リスクを考えれば安すぎるが、普段の倍以上だ。
2005-06-26 00:53:00 -
437:
涼
二人に会って、一日で10万稼いだ。さすがに、誠ちゃんに中出ししたとは言えず、頑張ったの、と言っておいた。誠ちゃんはそれを信じた。あたしは妊娠してないかどうかが心配で心配でたまらなかった。
2005-06-26 00:55:00 -
438:
涼
生理が来ない…もとから不順だが中だしをした後だ。あっけらかんとはしていられない…店で真美や姫さんに相談した。真美も生理が来ないらしい。でも、真美は相手はわかっている。しかも彼氏だ。かたやあたしは一回だけ金の為に関係を持ったオッサン。出来ていたとして、どうすればいいと言うのか。そんな見ず知らずの人の子供を産むのなんて、するわけがない。しかも、真美は彼氏を結婚したいほど好きらしく、むしろ嬉しそうだった。あたしとは正反対。望まれた子供と望まれていない子供。自分の体には命が宿ってませんように…ひたすら祈るばかりだった。
2005-06-26 00:56:00 -
439:
涼
あたしが妊娠したかも知れない経緯を話した後なのに、真美は自分の妊娠したかもしれないのが嬉しいらしく、キャイキャイ話している。デリカシーというものはないのか?嬉しくても状況的に普通は言えないはずだ。あたしが妊娠しているとしたら、自業自得だが、少しくらい気遣ってくれたって良くないか!?と思うと泣きそうになった。
2005-06-26 01:00:00 -
440:
涼
そしてまた、今日も暇だ。真美のキャイキャイ話す声がイライラする。あぁもうすぐ閉店だ。誠ちゃんに会いに行こう。ちょうど今日は出勤日だ。
2005-06-26 01:01:00 -
441:
涼
誠ちゃんは変に敏感で声ですぐ見抜かれる。いくらなんでも『中だしして妊娠したかもしれません』なんて口が裂けても言えない。気付かれないようにしなきゃ。いい事を思い付いた。寝てしまえばいい。そうすれば最初に声のトーンが低くても、疲れてました、で通じる。
作戦は上手く行くはずだった。でも予想外に誠ちゃんが酔っていた。誠ちゃんは酔うと人が変わる上に、やたらと喜怒哀楽が激しくなるなんともややこしい奴だ。今日は暇だったからあんまりお金がないよ、と言うと
『前10万稼いだ日みたいに頑張れョォ』
…それは、普通の頑張りじゃなぃ…2005-06-26 01:02:00 -
442:
涼
中だししたからだったなんて、知らないから、誠ちゃんは頑張ればあたしが10万稼げると思っている…それはまずい。それと同時に、嬉しそうだった真美が浮かぶ。やばい、泣きそうだ。もぅこの際、全部話してしまおう…
『誠ちゃん、涼がどうやってあんだけ稼いだかわかってゆってる?普通の頑張りで、あんだけ稼げると思うん?』
『えっ!?どうやったん?』
『中だしさせたんやで』
『え………』2005-06-26 01:03:00 -
443:
涼
誠ちゃんは一気に酔いが冷めたようだった。
『なんで??』
『だって間に合えへんし…』
『いや、だからって…』2005-06-26 01:04:00 -
444:
涼
誠ちゃんはしばらく黙ったままだった。そして小さな声で『俺のせいでそんな事させてごめん…』と言った。
『それで妊娠したかもしらへん…』言い終わる前に涙がこぼれた。ちょうどよその卓でシャンパンコールが始まった。大音量の音楽にマイク。あたしは誠ちゃんの耳元で泣きながら真美の事を話した。誠ちゃんはずっとあたしの頭を撫でていてくれた。『俺のせいで、せんでもいいような辛い思いさせてごめん…』誠ちゃんの声は震えていた。2005-06-26 01:05:00 -
445:
涼
結局、真美もあたしも妊娠してはいなかった。あたしはほっとしたが、真美は妊娠したかったようでしゅんとしていた。あたしは地道に、店と援交でがんばった。一回の会計を抑えてもらうようにし、月末の支払いは来月なら余裕なくらいの少額になった。相変わらず誠ちゃんは外ではあってくれない。しんどいだとか、パチンコだとか、店の子と遊ぶだとか。寂しい。また、奈々とホストに狂った。でも、未収はせず、たくさんの店で細客として遊んだ。
2005-06-26 01:07:00 -
446:
涼
しかし、最初に、知り合いがあたしがそいつにお金を借りてることにして、店の上の人間から40万引っ張った。借金を立て替える、みたいな形だ。そのお金で、当時家がなかったあたしの家を借りてくれると。借用書や念書を書き、拇印も押した。あたしは立派に負債を負った。
そのお金の利子がトイチだと知ったのはしばらくしてからだった。2005-06-26 01:11:00 -
447:
涼
お金を借りるときには気をつけるようにしていたから、借用書は、隅から隅までどんな小さな字も見逃さない用に読んだし、空白には何もはんこも拇印も押さなかった。後から何を書かれるのかわからないから。どこにも、そんなことはかかれていなかった。利息のこと自体、何も書かれていなかった。風俗店のバンスは利息なんて取らないから普通だと思っていた。
利息がトイチ!?おいおい、普通に考えて追いつかないぞ??慌ててそいつに電話をした。2005-06-26 01:12:00 -
448:
涼
・・・・・・・つながらない・・・・・
《おかけになった電話番号は、現在使われておりません♪》何度も聞いたことのあるお姉さんが軽快にしゃべる。使われておりませんじゃねぇよ!!おい!!2005-06-26 01:13:00 -
449:
涼
こいつがつながらないなら組長に電話するしかない。気が進まないが仕方ない。
『お久しぶりです、涼です』
『おう、元気にやってるか??』
『はい、おかげさまで。あの、家の件ってどうなったんでしょうか??』
組長はしばらく間を空けてこういった。
『家?何のことや?』
・・・やられた・・・2005-06-26 01:14:00 -
450:
涼
略
『家?何のことや?』
・・・やられた・・・2005-06-26 01:15:00 -
451:
涼
『健が、組長に知り合いに不動産屋がいるからそこで家を借りてもらう手はずをしてるって…』
『わしはそんな約束してないぞ?』
『でも、健はそれでうちの上から40万引っ張ってるんです…あたしがそれを、返していかなきゃだめで…しかも利息がトイチで…』
『健に確認してみるわ』2005-06-26 01:16:00 -
452:
涼
そういって電話は切れた。だまされた。やられた。トイチの利息なんて多いにもほどがある。返していけるはずがない。膨らむ一方だ。こんなんならア○フルに行ったほうがまだ良心的だ。
組長からかかってくるのなんてもう期待していなかった。健と連絡が取れたところでお金は返ってこないだろう。腹くくって返していくしかない。何のいわれもない借金を。2005-06-26 01:17:00 -
453:
名無しさん
誠チャンかっこぃぃ…(>ω
2005-06-27 05:01:00 -
454:
涼
誠ちゃんはもぅあがってますょ〜?
2005-06-27 15:34:00 -
455:
474
涼サンだぁ☆そうなんですか〜(>_
2005-06-27 16:03:00 -
457:
涼
474さん?ファンですか〜ぁりがとぅござぃます??
477さん?はぁぃ?ごめんなさぁぃ?2005-06-27 18:06:00 -
458:
名無しさん
?
2005-06-28 09:27:00 -
459:
涼
誠ちゃんに、最初に紹介してもらう話をしたときのことを思い出した。
『お前、そんなヤクザがらみなんて大丈夫なん?』
『俺、やめといた方がいいと思うねんけど…』
言う事を聞いておけばよかった。お金に目が眩んだあたしが悪い。
こうなってしまっては、誠ちゃんの店に行ってる場合ではない。
『ちょっと話しあんねんか。今日一時間だけ店行くから』
『ん?おう…わかった』2005-06-28 20:59:00 -
460:
涼
略
『ちょっと話しあんねんか。今日一時間だけ店行くから』
『ん?おう…わかった』2005-06-28 21:00:00 -
461:
涼
店に着いた。いつもと同じ、楽しげな店内。今日からしばらくお別れだ。
あたしは誠ちゃんにすべてを話した。
『だからお前、俺そんなん信用していいんかってゆうたやんけ…どうすんねん…』
てっきり怒られると思っていたのに、誠ちゃんは心配してくれた。あたしはまだ心のどこかで誠ちゃんを信用しきっていたわけじゃないから、店に来ないというのは別れるかもしれない、と覚悟してきたのに拍子抜けだった。2005-06-28 21:04:00 -
462:
涼
『そんなんお前一括で返せ。俺が代表から金借りるから。だから借りれるまではちょっとずつ返していっとって』
うれしくて涙がこぼれた。2005-06-28 21:06:00 -
463:
涼
しかし、代表に前借は出来なかった。誠ちゃんはバイトホストな上に時間にルーズで無欠もしたりするので信用がなかった。
あたしは地道に返していくしかなかった。
お客さんに嘘を言い、少しずつ、店に入れずにお金をもらった。それを少しずつ貯め、毎日持って帰った給料をためた分だといいまとめて返したりもした。2005-06-28 21:07:00 -
464:
涼
しかし、トイチの利息はそんなもんでは追いつかない。しかも、増えてたとえば残金が45万になると利息はそれのトイチとなるなんとも恐ろしいシステム。無理がある・・・
店には3人だけ可愛い子がいた。あたしはその中の一人だった。その3人はほとんど休みがなかった。稼げるから、休ませてもらえない。昼の1時から働いて8時には終わったのでまだよかったが、しばらくすると夜の部が出来てしまった。あたしは昼の一時から朝3時まで働かされた。2005-06-28 21:08:00 -
465:
涼
体はもうぼろぼろだ。疲れをとる暇がない。休みの日にも誰かが休んだだとか、間違えてシフトを組んでしまっただとか何かしら理由をつけて働かされた。
もう大分誠ちゃんに会っていない…2005-06-28 21:09:00 -
466:
涼
しかし働いてばかりではストレスがたまる。店の子に誘われて何回か、ホストにも行った。ボーイズバーにも行ったりした。あたしはそこのボーイズバーの子にはまり、毎日仕事が終わると行った。
毎日働かされてはいるが、時間にルーズなのと、店の中では稼いでいる方だったので出勤時間だけはわがままが言えた。夕方から出勤、なんてのもありにしてもらった。おかげで遊びに行くことができた。2005-06-28 21:10:00 -
467:
涼
今までで働いた店の中で、一番女の子が仲良くて、多額の借金があっても楽しかった。
ある日、いつものように店の子と飲みに行った帰りに『もう彼氏なんかどうでもいい〜〜〜♪』と叫んだ瞬間誠ちゃんから電話が鳴った。
『お前俺のこと本間に好き?』2005-06-28 21:11:00 -
468:
涼
びっくりして辺りを見回した。聞かれたかと思ったが、誠ちゃんの電話の後ろからは店の男の子の声がしている。そばにいるわけではないようだ。
誠ちゃんは妙に鋭くて、ほかの人に気持ちが本気で行きかけた瞬間にいつも電話をしてくる。そしてその電話で、いつもあたしの心は誠ちゃんに引き戻される。2005-06-28 21:12:00 -
469:
涼
しかし、会わないと気持ちは薄れる。“会えない時間が愛育てるのさ”という歌詞があるが、あたしはそのタイプではない。
遊んで、働いて、借金も少しずつ減って充実した毎日だった。
昼に出勤して、お弁当を食べていると非通知で着信がかかってきた。出ないつもりだったが、あまりにもなり続けるのでとった。2005-06-28 21:14:00 -
470:
涼
『おう、久しぶり、健やけど』
行方をくらました健だった。
『おう、ちゃうわ、今あたしがどんなことになってると思ってるん!?お金はどうしたん?あんた家の事も嘘やんか。聞いてんからな、ちゃんと!!』
『俺も今ヤクザに追われて大変やねん』
お前が大変かどうかなんて知ったこっちゃない。2005-06-28 21:15:00 -
471:
涼
また電話するわ、といって電話は切れた。非通知だからこっちからは連絡が取れない。どうせもう借金のことはあきらめた。連絡があったてお金は返ってこないだろう。
そのまま何ヶ月も過ぎた。特に何もなく、誠ちゃんとも電話しかしないまま。2005-06-28 21:16:00 -
472:
涼
あたしはたまの休みに真美と遊んでいた。真美が、キャッチされたい〜と言うのでひっかけを歩いた。
堺筋から道頓堀に入ると誠ちゃんの店の従業員にそっくりな子が植え込みに座っていた。でも、あたしには気づかない。きっと違う子だな、と思って声もかけずに通り過ぎた。
真美のお望みどおり、引っ掛けにはいっぱいホストがいていっぱいキャッチされた。ふと見るとさっきの子が横を歩いていた。2005-06-28 21:17:00 -
473:
涼
そのままずっと歩いて清水町のあたりまで来た。ローソンに行くと、その子がまたいた。近くで見たけど誠チャンの店の子ではなかった。あたしがトイレに行って帰ってくると真美はその子と喋っていた。私服だったけど、キャッチ中だったらしいホストだった。
真美はいたくその子を気に入り店に行くと言い出した。あたしは用事があったので先に真美に行ってもらっていた。用事を済ませ、真美に教えてもらってその店に行った。2005-06-28 21:18:00 -
474:
涼
失礼だが男前が少ない小さな店で、ホストと言うよりボーイズバーのような感じだった。真美のお気に入りのこのお勧めをつけてもらった。タイプではないが、出身地が同じで話しやすく面白い子だった。
真美のお気に入りの修二とあたしの席に着いた卓の四人でマクドに行った。恋愛対象にはまったく見ていなかったのでものすごいシモネタなんかも話して、4人で大爆笑だった。その後、二人になって、あたしは、今まであったことをほとんど卓に話した。2005-06-28 21:19:00 -
475:
涼
料金がほかの店より少し安く、男前はいないもののアットホームな楽しい店だったのであたしと真美はそこによく通った。
何度か、卓の家に泊まりに行ったりもした。でも、卓はあたしには手を出してこなかった。なんだか、本当に友達って感じで、知り合ったばかりなのに、幼馴染くらいの勢いで仲良かった。2005-06-30 02:45:00 -
476:
涼
そんなある日、仕事が終わって寮に帰り、一緒に住んでいる子達としばらく喋ってから寝ていると友達がすごい勢いで起こしに来た。
『涼ちゃん、早く起きて!!!』
遅刻かと思ったが時計を見るとまだ11時。あたしは昨日夜の部にも出勤したので出勤は4時だ。遅刻ではない。友達の勘違いだと思って寝なおした。2005-06-30 02:46:00 -
477:
涼
『あぁ、もう、またねた!!!起きて、早く!!』
友達が体を揺さぶる。あたしは揺さぶられて起こされるのが大嫌いだ。
『うっさいもう!!!涼今日まだ出勤ちゃうねん!!』
『いいから、大事なもんだけ持って!!早く家から出て!!』
・・・何事だ?2005-06-30 02:47:00 -
478:
涼
何がなんだかわからないまま友達にせかされ大事な物だけを鞄に入れた。向こうの部屋で友達が電話をしている。
『どこにいったらいいんですか?』
誰かの指示であたし達は家から出るらしい。
『なんあったんな?』
『店に警察入る!!もぅ上の人等事務所とか行かれてパクられたって。ここは寮やからバレるから逃げな!!』2005-06-30 02:48:00 -
479:
涼
パクられた!?上の人って誰??とりあえず家からは出なきゃ。店の子同士で連絡を取りSONYタワービルの前で待ち合わせた。集まったのは店の事務所がある場所から家の近い、警察が来るおそれのある子達だった。事務所は二つあったので十数人が集まった。時々逃げれた上の人から電話があり、バタバタしていたがいつまでも大人数でいてもどうにもならない。5、6時間ほどしてバラける事になった。どの事務所からも遠い子の家に行く人、遊びに行く人など様々だった。あたしは毎日ほぼ全額を返済に廻していたので所持金が恐ろしく少なかった。あたしより厳しくとりたてられていた由美がなぜかあたしにひっついてきた。行くところがないらしい。パクられたって、いったいこの先どうなるんだろう??
2005-06-30 02:50:00 -
480:
涼
とりあえず夕方まで由美とそのへんで時間を潰した。卓に連絡したかったから、起きる頃まで待った。誠ちゃんはこんな時電話に出なかったし、出たとしても家に置いてくれたりはしない。遊びに行っても泊めてはくれない事から予想できる。あたりが暗くなりだしてしばらくたった頃卓に電話をした。
2005-06-30 02:54:00 -
481:
涼
『ふぁい……』
電話で起きたらしい。事情を話すと家においでと言ってくれた。やっぱり卓は優しい。ほっていく訳にもいかないので由美も連れていった。
卓は初対面の由美ともすぐに仲良くなった。自分は出勤しなきゃいけないけど家にいていいよと言ってくれたので、由美と二人で卓を見送った。2005-06-30 02:55:00 -
482:
涼
テレビをつけるが落ち着かない。あたしは勝手にしばらく卓の家に居座るつもりだったが、由美には行くところがない。友達いないのか!?卓もおそらく今日だけなら由美と二人でいてもいいだろうが、ずっとはきついはずだ。最初に電話した時も卓ははじめは知らない人は入れたくないと言っていたのを丸め込んだのだ。由美も薄々それは気づいているらしくさっきから電話をかけまくっていた。
2005-06-30 02:56:00 -
483:
涼
卓が出勤してだいぶたった。由美の携帯が鳴った。
『店つぶれたって!!!』
店がつぶれた!?それはあの地獄のような借金の終わりを意味した。貸し金業の許可などもちろん取ってないのに一般の人にもトイチで貸し付けていた事や、カード詐欺、戸籍売買、偽装結婚、養子縁組など余罪は多々あった。逮捕の決め手はそっちらしい。やっと解放された。2005-06-30 02:57:00 -
484:
涼
『でも、しばらくは家に帰っちゃだめだって。いつ警察来るかわからんからって……』
あたしは卓の家にいられるが由美は困惑した表情だ。近くには行くあてがないから、まだ終電間に合うから実家に帰るね、と由美は出ていった。あたしはあわてて卓に電話した。卓は解放されたことを喜んでくれた。2005-06-30 02:58:00 -
485:
涼
すると誠ちゃんから電話が鳴った。
『なんやったん??電話。てか未収月末いけるんけ??』
しまった、忘れてた……。誠ちゃんは店を飛んだから未収も払わなくていいと思っていたけど、代表が家にきたって言ってたんだ。それをトイチとわかりながらも店から借りようと、頼んでいたところだった。つぶれたと言うことは借りれない。どうせなら借りてからつぶれてくれれば良かったのに……2005-06-30 02:59:00 -
486:
涼
一瞬でいろんな事を考えたが口から出たのは“大丈夫!!”だった。何が大丈夫なもんか、財布には諭吉一人さえもいないのに……
2005-06-30 03:00:00 -
487:
涼
まとまった大金がいきなり用意できるわけがない。こんな時頼れるのは……“サラ金”。それしかない……
稼ぐ術はあるが援交では職業にならない。どこか外国では娼婦は職業と認められているらしい。その国に産まれたかった……なんて思いながらどうしようか家の中で考えていると更に落ち着かなくなった。卓の飼ってる犬を連れ散歩に出た。どこかちゃんとした店舗に入ろう。一時間ほどブラブラし、出た結論がそれだった。2005-06-30 03:01:00 -
488:
涼
朝方卓が帰ってきた。二人でいろんな事を話した。卓が彼氏ならいいのに、と少し本気で思った。一つのシングルベットで二人で眠った。甘えたの卓はあたしを抱きしめたまま深い眠りに落ちていった。それが居心地よくてあたしもまた深い眠りに落ちた。
2005-06-30 03:02:00 -
489:
涼
夕方目が覚めると卓はまだ寝ていた。あたしは大手のサラ金に電話をかけた。
『職業風俗なんですけど借りれますか?』
『すいません、風俗の方にはご融資できかねます。』
風俗じゃあかんのかい!
また違うサラ金にかけた『すいません水商売してるんですけど借りれますか??』
『大丈夫ですよ、いくらご入り用ですか?』2005-06-30 03:03:00 -
490:
涼
略 『大丈夫ですよ、いくらご入り用ですか?』
2005-06-30 03:04:00 -
491:
涼
水商売ならいいのか。あたしはまた電話しますと言って電話を切り、今度は求人誌を開いてセクキャバを探し、面接の段取りを組んだ。ユウの時にセクキャバで審査は通ったんだからいけるはずだ。
面接に受かり、次の日から働く事になった。2005-06-30 03:04:00 -
492:
涼
………だるい!!!
初日の感想はそれ。もとから責められるのは好きではない。舐められるのが気持ち悪い。風俗の時は“あたし責め派なの”的なノリで客にはほとんど責めさせなかった。そしてキスも嫌いだ。客とするのなんてまっぴらごめんだ。でもセクキャバではキスと舐める事しか客は出来ないから、スケベ心丸だしでキスをしてくるし、胸にむさぼりつく。あぁ気持ち悪い……
審査が通ったら辞めよう。借りてしまえばこっちのもんだ。2005-06-30 03:06:00 -
493:
涼
サラ金会社から在籍確認をされるから、名前を覚えてもらえるように三日ほど勤め、四日目に申し込みに行った。在籍確認は余裕で出来た。あとは実家への在籍確認だ。携帯が鳴った。
『審査が通りましたので今から引き落としが可能になります』
丁寧なお姉さんの声。あたしはテンションがあがった。さっそく引き出す。これで未収が払える。せっかく店の借金がなくなったのに、また借金を背負う羽目になった。2005-06-30 03:07:00 -
494:
涼
お金をおろしてからは気が楽になって、友達とご飯を食べに行った。店長から携帯が鳴りっぱなしだ。出るわけがない。もう出勤する気なんてないのだから。次の日の昼になっても店長からの電話はなり続けた。やりすぎだろ……と思い仕方なしに電話に出て辞めることを言った。なんだかんだ言っているがうるさいので切り、着信拒否にした。
2005-06-30 03:08:00 -
495:
涼
やっぱりセクキャバは合わない。あたしは風俗向きだ。と思ったが、本番屋にいた時の稼ぎを考えると、バックを引かれていたから少なかった物の、引かれていなければ相当な稼ぎだ、ということに気づいてしばらくどこにも入らなかった。
ずっと卓の家にいてしばらくしたころ、あの本番屋の頃に寮で一緒に住んでいた子から電話が鳴った。2005-06-30 03:09:00 -
496:
涼
『あの家、明後日までに空にしてってゆってるから涼ちん一緒に荷造り行こう』
明後日までに空にってまた、この人たちは相変わらずむちゃくちゃだ。由美は一足先に荷物をほぼ持っていったらしい。色をかけられていたホストにホイホイだまされてまたどこかの本番屋にいると聞いた。そこでもまたバンスしたらしく、監獄のような生活をしているらしい。あたしは誠ちゃんの家に住む事になったので荷物を箱詰めして宅急便で送った。女三人で住んで物で溢れかえっていた家はもぬけの空になった。2005-06-30 03:10:00 -
497:
涼
あたしは誠ちゃんの家で仕事もせず毎日過ごした。久しぶりに何もしないでいい毎日が続いた。お金がなくなったら援交して、食いつないだ。元からインドア派なのでどこにも遊びに行かず引きこもりみたいな日々をすごした。
誠ちゃんの家には誠ちゃんの友達秀が住み着いていた。誠ちゃんと同じ店で働いていた子なのであたしも仲良かった。しかも誠ちゃんはろくに帰ってこなくて毎日秀と一緒だった。これじゃ誰が彼氏かわからない。2005-06-30 03:11:00 -
498:
涼
忙しすぎる毎日から離れだらだら過ごすのも半月もすれば飽きてきた。やることのない毎日は退屈で仕方なかった。仕事しよう。家にあったヘブンをぱらぱらめくり、適当に探して、入店した。毎日秀に見送られ、帰って来ると笑顔で秀が迎えてくれた。たまに一緒にスロットに行ったりして、可愛い弟ができたみたいだった。
2005-06-30 03:12:00 -
499:
涼
来月には出て行けよ、と誠ちゃんに言われたのは月半ばだった。元から一人が好きな誠ちゃんは誰かが家にいるのが嫌らしい。嫌だといっても聞きそうにないので承諾した。普通のカップルならありえないんだろうが、現役時代も店で会うのを除けば二ヶ月に一回くらいしかあわなかったから、違和感がなかった。
幸い入店した店がマンヘルだったので店泊して暮らすことにした。2005-06-30 03:13:00 -
500:
涼
休みの日にブラブラ真美と商店街を歩いていたらキャッチしてくるのは《えっ・・・》と言わんばかりのレベルの男ばかりだった。お金を払って不細工となんか飲みたくない。元から面食いだし、シカトして歩き続けた。
『なぁなぁどこ行くん?』2005-06-30 03:14:00