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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
401:
涼
ある日奈々が“カッコイイ子みっけたぁ”と雑誌を目の前に広げた。あたしの目が止まったのは、奈々がカッコイイと指さした子ではなく、隣のページに小さく載っていた男前。
和也だ………
『うわっ、元彼……』2005-06-23 02:13:00 -
402:
涼
その一言で今日の行き先は和也の店に決まった。でも、和也はあたし達の席には着いてくれず一言もしゃべれなかった。奈々はここでもお気に入りを見つけたらしく、楽しそうにしている。あたしは帰りたくてたまらなかった。
しばらく仕事→ホスト→仕事……そんな毎日が続いた。あたしより、男友達を大事にする誠ちゃんはちっとも遊んではくれず、寂しかった。他店のホストたちはそこを少しだけ埋めてくれた。もちろん、誠ちゃんが出勤の日には誠ちゃんの店で飲んだ。毎日どこかしらの店にいた。これではただのホスト狂いだ。もうすぐ、夏がくる……2005-06-23 02:13:00 -
403:
涼
去年、大ちゃんと見た花火。来年見る人は違うだろうと思ったあたしの予想は当たっていた。しかし……誠ちゃんは行ってくれるのだろうか?この人はいつも突然で未だに約束をした事がない。まだ花火の日程も出ていない頃から花火に行きたいと言い続けた。浴衣を買わなきゃ!でも誠ちゃんの店ではいつも未収で飲んでいたから、その支払いでいっぱいいっぱいだった。仕方ない、久しぶりに援交しよう……
2005-06-23 02:15:00 -
404:
涼
店を少し早めにあがって、相手を捜した。あっさり見つかった。これで浴衣が買える☆誠ちゃんが出勤日だったので終わったら、店に行くつもりだった。
初めてのウォーターベットは予想以上に気持ちよく、気づけば朝……携帯の充電もいつの間にか切れていた。やばい……2005-06-23 02:16:00 -
405:
涼
とりあえず浴衣を買って、ママに着せてもらった。約束もしていないのに、とりあえず駅で誠ちゃんを待った。六時…まだ連絡はない。七時…電話をかけても出ない……もうすぐ八時になろうとしている。花火が始まる……
2005-06-23 02:20:00 -
406:
涼
八時を過ぎてやっと電話がかかってきた。
『お前昨日店ブチッたし、俺は今日ブチる!!』
言いそうな気はしてた。やっぱりか……。せっかく浴衣を着たんだし、と思って駿を呼び出した。人混みは嫌いだと言っていたが来てくれた。駿の先輩に言われた事がふと頭をよぎった。
“涼ちゃんの事諦めてない健気な駿をよろしくな”こいつはあたしを好きなのか!?まさかな…なんて思いながら、駿と花火を見た。2005-06-23 02:21:00 -
407:
涼
あーぁ、誠ちゃんと見たかったな…でも花火はまだある!!それに駿は誠ちゃんと違って甘えさせてくれる。外で普通に手もつないでくれる。電車ではこけないように抱きしめてくれた。空席を見つけたらすっ飛んで行く誠ちゃんとはえらい違いだ。
2005-06-23 02:25:00 -
408:
涼
『駿と付き合えばよかったかなぁ』別に本気で思ったわけではない。ただなんとなく、ちょっとそう思ったから、言ってみた。
『人混んでるし、ちょっと後から帰ろうか』
同じ考えの人だろうか、何人かカップルや子連れの家族がいる公園に行った。
『涼、ほんまは俺のことどう思ってる?』
(え…やばっ、本気にした!?先輩が言ってた事ほんまなんかいっ…)2005-06-23 02:27:00 -
409:
涼
困った…本気で言ったわけではないし、誠ちゃんと別れる気などさらさらない。しかし、自分があんな事言っておいてそれはない…どうしよう…
『駿の事、好きは好きやけど…なんか付き合うとかそーゆー好きじゃないねん…』
『どっちも好きとかそーゆーオチ!?』…やばい…機嫌が悪くなった…
『かっ、帰ろうか。人だいぶ減ったしさっ』
なんとか話を終わらせたい。流すしかない。2005-06-23 02:28:00 -
410:
涼
店に行く約束をしていたので、駿と別れ、浴衣のまま店へ向かった。
『何でお前浴衣着てんの?』・・・普通ほめませんか?嘘でもさ(泣)と思いながら店へ入った。同伴したのだろうか、ちらほら浴衣姿の子がいる。いいなぁ…。今同時に店に入ったから、ほかから見れば涼たちも同伴だが、誠ちゃんはさっきまで後輩の家で寝ていた。2005-06-23 02:30:00 -
411:
涼
『ブチるとか本間ありえへんし!!』誠ちゃんには女友達と行ったことにしておいた。その子と実際さっき会ったので、プリクラも撮っておいた。
『お前が先ブチッたんやんけぇ。まぁ、いかへん理由ができてよかったけど』と誠ちゃんは笑った。人ごみが嫌いだといってたので、行きたくなかったのは知ってた。でも、行きたかった。
『淀川は行ってもらうで。』というと、しゃぁないなぁ、と笑った。2005-06-23 02:31:00 -
412:
名無しさん
はやく続き?
2005-06-25 23:20:00 -
413:
名無しさん
涼ちゃん 厄介物語消えた??
2005-06-25 23:31:00 -
414:
涼
ヘルプたちはみんな“花火行って来たんスかぁ?”と聞いてくる。行ってないのに聞いてくんな!と思ったが笑ってその場をやり過ごした。
2005-06-26 00:04:00 -
415:
涼
家に帰って、寝ようと思ったけど、あまり眠くなかったので何気なしに爆弾サイトを開いた。
誠ちゃんの店のすれをさがしてクリック。前に見たときより明らかに書き込みの数が増えていた。何だろう、と思い開くと、スレはえらい事になっていた。
“あたし、○○君と付き合ってるんだけど、色とか使う人?”を筆頭に誠ちゃんの事が書かれていた。それも、延々と。しまいにはあたしのことも飛び出し、風俗してるだとか、不細工だとか、挙句に“彼女です”と名乗る人が何人も出てきた。2005-06-26 00:05:00 -
416:
涼
書き込みをされた時間を見ると、3分おきとか、5分おきとか、ほとんど間が空いていない。でも、絵文字が入っていたり、入ってなかったり“ぁ”とか“ゎ”とか小文字になったりならなかったり…同一なのかどうなのか…時間帯的に、何人もが見そうな時間ではあるけど…と思っていると、誠ちゃんから電話がかかってきた。
2005-06-26 00:29:00 -
417:
涼
『お前サイト見た?』『うん、今ちょうど見てた』『フォロー入れといてくれへん?』と言われ“彼女はいないよ”的な書き込みをした。すぐに突っかかってくる。異常に返事が早い。“お前は色やって”とか、“彼女いないと思うよ”など、ほかにも似たような書き込みはあるのに、あたしが書いたのにだけ、しかもレスナンバー指摘してまで突っかかってくる。なんでだ・・・???
2005-06-26 00:30:00 -
418:
涼
何回か、書き込んだがらちが明かない。もういいや、と思いほっておいた。すると、則之から電話が鳴った。則之は駿の後輩で可愛いやつだ。
2005-06-26 00:31:00 -
419:
涼
『どしたぁ?』
『あんね、誠さんの店のサイト見ました?』
『うん、さっき見てた。なんで?どしたの?』
『あれ書いたんね、駿さんなんですよ…俺、一緒にいたんです。俺の携帯と、駿さんの携帯の二台で書いて…俺、駿さんに言われるまま書き込んで。あれ、全部駿さんの仕業なんですよ…』2005-06-26 00:33:00 -
420:
涼
なんと、びっくりしたことに後輩使ってまで駿がした嫌がらせだったのだ。
何でも、あたしに振られたと思っていて別れさせようとたくらんだのか、誠ちゃんに対する嫌がらせかはわからないが、自作したらしい。2005-06-26 00:34:00 -
421:
涼
『明日の花火は一緒に行くんス!?』
花火の前日だったのでみんな花火の話をしている。
『しゃーなしでな』と誠ちゃんは笑った。
家に帰って則之に電話をした。2005-06-26 00:35:00 -
422:
涼
『駿にな、明日仕事行ったらあたしと誠ちゃん駅で見たって言い。』と言った。あの後則之を詰めたら、駿が別れさすためにした自作だった事を吐いたので、ちょっと遊んでやろうと思った。
2005-06-26 00:36:00 -
423:
涼
誠ちゃんは今日は絶対行ってくれると言っていた。店泊するから起こしにこいと。
夕方、用意をして店下へ向かう。私服やスーツのままの従業員達がちらほらいる。浴衣を着てる女の子も数人いた。
誠ちゃんに電話をかける。出ない。留守電に切り替わるまで数十回かけてやっと出た。従業員達が女の子と出かけていったり、従業員同士でタクシーに乗ってゆくのを見ながら誠ちゃんを待った。花火がもう上がり始めた。やっと下りてきた誠ちゃんは、前と違う浴衣を着てるあたしをみて“また買ったん!?”と、相変わらずほめてはくれなかった。2005-06-26 00:37:00 -
424:
涼
例年通りのすごい人。歩くのが早い誠ちゃんについていくのが精一杯だ。店泊したから下はスーツのままの誠ちゃん。周りから見てホストだとバレバレだ。お客さんに会わないかとヒヤヒヤした。帰り道、人の流れに逆行しているからか、スーツが目立つのか、男前だからか、すれ違う人が誠ちゃんを見ている。今思えば何人もホストは見たのでやっぱり顔で見られていた。
なかなか進まない人の波。誠ちゃんはついにギブアップ、一休みしたいと言い出した。2005-06-26 00:38:00 -
425:
涼
道から少しはなれたところにある小さな植え込みの段に座って話をした。今日が記念日なこと。香織のこと。これからのこと。パチンコのこと。ジュースを飲んだら涼しくなって結構な時間はなしこんでしまった。誠ちゃんは二人だけだとよくしゃべる。
『そろそろひと減ったかな?』大通りに戻ると、まぁまぁいるものの最初よりは明らかに空いていたので帰ることにした。2005-06-26 00:40:00 -
426:
涼
電車に乗って梅田へと向かう。何か食べて帰ろうか、ということになり東通を歩いた。
同じような考えの人や、飲みにいくサラリーマン、キャッチのホストや、カラオケ屋の店員。いつもより少し、東通はにぎわっていた。視線の先に見慣れた顔を発見。則之だ。則之がいるということは…やっぱり。その少し先に駿がいた。まさか本当に会うとは思わなかった。2005-06-26 00:41:00 -
427:
涼
則之がこっちに気づいた。小さく手を振っている。あたしが手を振ると誠ちゃんにばれるのでうんうん、と頷いた。ちょうどあたしたちが歩いてた側にいた上に、その少し手前にタバコの自販機があった。さっき買ったばかりなのでタバコは全然残っている。嫌がらせの仕返し、と思って誠ちゃんのティーシャツの裾を引っ張った。
2005-06-26 00:42:00 -
428:
涼
『待って、涼タバコ買う!』というと、あ、俺も、と言って戻ってきた。ゲーセンが隣にあったので、元々は行く気なんてなかったのだが『誠ちゃん、あのプーさん取ってぇ』と言うと聞こえなかったらしく、なんて?とあたしの顔に耳を近づけてきた。周りから見れば仲良しカップルだ。
視線を感じる。駿がこっちを見ている。それも、ものすごい至近距離から。2005-06-26 00:43:00 -
429:
涼
2000円くらい突っ込んだが取れず、誠ちゃんはあきらめた。あたしも元々別にプーさんが欲しかった訳ではないし、いいや、と思ってゲーセンを後にした。誠ちゃんは手をつないでくれない人。しかも梅田となれば余計だ。でも、駿に見せたかったので誠ちゃんの腕をつかむ。
何?と誠ちゃんが振り向く。『歩くん早い〜』と言うとお前が遅いんじゃ、そんなややこしいもん着てるから!と言われた。駿の視線が突き刺さる。則之に口パクで“バイバイ”と言い、駿とは一切目を合わせなかった。ざまぁみろ。ちょっと胸がすっとした。則之から後で聞いた話では、その後駿は店で相当荒れてたらしい。誠ちゃんが予想以上に男前だったことにも腹が立ったらしい。2005-06-26 00:44:00 -
430:
涼
ご飯を食べて帰るころには二人の姿はもうなかった。
帰ってまたサイトを開いてみた。あたしが嫌がらせで近づいたことがわかったのか、今度はあたしが散々叩かれていた。誠ちゃんには他に彼女がいるとか、騙されてるだとか、バカとか。なんだか逆にかわいそうになった。2005-06-26 00:45:00 -
431:
涼
それ以降は特に何事もなく、平和な日々をすごした。イベントが多かった月の支払いがまだ終わっていなくて、そこにまた未収を重ねていたので仕事をしてもしても追いつかない。とりあえず前の分だけでも終わらせたかったのだが、そうしてしまうと今月分がまた遅れる。彼女だから、飛ぶことはないです、と代表に説明してくれたらしく遅くなってもかまわなかったのだがユウの時のような事になるのだけはごめんだった。
2005-06-26 00:48:00 -
432:
涼
遅れてもいいとは言っても、もう三月も前の支払いだ。その間はその月の未収だけでいっぱいいっぱいだった。
『店で稼げへんねやったら援交してくれへん?ちょっと、代表に言われてて…』まぁ、代表だって待つにも限度があるだろう。2005-06-26 00:49:00 -
433:
涼
彼氏の口から、そんなことを言われた女の子は何人この世にいるだろうか。おそらくあたしだけではないかなと思う。でも、遅れたあたしが悪いし、一本行って7,8000円ではタカが知れてる。店自体そんなに集客数がいいほうでもなかった。
誠ちゃんの中では援交とソープは変わらないらしい。(ソープの方ごめんなさい)2005-06-26 00:51:00 -
434:
涼
自由出勤だったのでしばらく休んでひたすら援交をした。2万や3万でちまちまやるのがしんどくなってきた。もっと手っ取り早く稼ぐには…生でやるか、中出ししかない。
2005-06-26 00:52:00 -
435:
涼
2万や3万で、とは言っても、3万の客なんてほとんどいなかった。2万が大概、下手したら1,5万だった。そんな時代に、前のような中出しで30万なんて人はまずいないだろうと思った。疑問系で掲示板に、“中だしオッケーです、いくらくれますか?”と書き込んだ。山のように返事が来た。
2005-06-26 00:53:00 -
436:
涼
中には、50万なんて人もいたが、逆に怪しいのでやめた。2万だと言って来る奴、中だしされるのが好きなの?と聞いてくるバカ、セフレになろうよとか言って来るバカ…でも、大半の人は“五万”と言って来た。中出しは五万が相場なのか。リスクを考えれば安すぎるが、普段の倍以上だ。
2005-06-26 00:53:00 -
437:
涼
二人に会って、一日で10万稼いだ。さすがに、誠ちゃんに中出ししたとは言えず、頑張ったの、と言っておいた。誠ちゃんはそれを信じた。あたしは妊娠してないかどうかが心配で心配でたまらなかった。
2005-06-26 00:55:00 -
438:
涼
生理が来ない…もとから不順だが中だしをした後だ。あっけらかんとはしていられない…店で真美や姫さんに相談した。真美も生理が来ないらしい。でも、真美は相手はわかっている。しかも彼氏だ。かたやあたしは一回だけ金の為に関係を持ったオッサン。出来ていたとして、どうすればいいと言うのか。そんな見ず知らずの人の子供を産むのなんて、するわけがない。しかも、真美は彼氏を結婚したいほど好きらしく、むしろ嬉しそうだった。あたしとは正反対。望まれた子供と望まれていない子供。自分の体には命が宿ってませんように…ひたすら祈るばかりだった。
2005-06-26 00:56:00 -
439:
涼
あたしが妊娠したかも知れない経緯を話した後なのに、真美は自分の妊娠したかもしれないのが嬉しいらしく、キャイキャイ話している。デリカシーというものはないのか?嬉しくても状況的に普通は言えないはずだ。あたしが妊娠しているとしたら、自業自得だが、少しくらい気遣ってくれたって良くないか!?と思うと泣きそうになった。
2005-06-26 01:00:00 -
440:
涼
そしてまた、今日も暇だ。真美のキャイキャイ話す声がイライラする。あぁもうすぐ閉店だ。誠ちゃんに会いに行こう。ちょうど今日は出勤日だ。
2005-06-26 01:01:00 -
441:
涼
誠ちゃんは変に敏感で声ですぐ見抜かれる。いくらなんでも『中だしして妊娠したかもしれません』なんて口が裂けても言えない。気付かれないようにしなきゃ。いい事を思い付いた。寝てしまえばいい。そうすれば最初に声のトーンが低くても、疲れてました、で通じる。
作戦は上手く行くはずだった。でも予想外に誠ちゃんが酔っていた。誠ちゃんは酔うと人が変わる上に、やたらと喜怒哀楽が激しくなるなんともややこしい奴だ。今日は暇だったからあんまりお金がないよ、と言うと
『前10万稼いだ日みたいに頑張れョォ』
…それは、普通の頑張りじゃなぃ…2005-06-26 01:02:00 -
442:
涼
中だししたからだったなんて、知らないから、誠ちゃんは頑張ればあたしが10万稼げると思っている…それはまずい。それと同時に、嬉しそうだった真美が浮かぶ。やばい、泣きそうだ。もぅこの際、全部話してしまおう…
『誠ちゃん、涼がどうやってあんだけ稼いだかわかってゆってる?普通の頑張りで、あんだけ稼げると思うん?』
『えっ!?どうやったん?』
『中だしさせたんやで』
『え………』2005-06-26 01:03:00 -
443:
涼
誠ちゃんは一気に酔いが冷めたようだった。
『なんで??』
『だって間に合えへんし…』
『いや、だからって…』2005-06-26 01:04:00 -
444:
涼
誠ちゃんはしばらく黙ったままだった。そして小さな声で『俺のせいでそんな事させてごめん…』と言った。
『それで妊娠したかもしらへん…』言い終わる前に涙がこぼれた。ちょうどよその卓でシャンパンコールが始まった。大音量の音楽にマイク。あたしは誠ちゃんの耳元で泣きながら真美の事を話した。誠ちゃんはずっとあたしの頭を撫でていてくれた。『俺のせいで、せんでもいいような辛い思いさせてごめん…』誠ちゃんの声は震えていた。2005-06-26 01:05:00 -
445:
涼
結局、真美もあたしも妊娠してはいなかった。あたしはほっとしたが、真美は妊娠したかったようでしゅんとしていた。あたしは地道に、店と援交でがんばった。一回の会計を抑えてもらうようにし、月末の支払いは来月なら余裕なくらいの少額になった。相変わらず誠ちゃんは外ではあってくれない。しんどいだとか、パチンコだとか、店の子と遊ぶだとか。寂しい。また、奈々とホストに狂った。でも、未収はせず、たくさんの店で細客として遊んだ。
2005-06-26 01:07:00 -
446:
涼
しかし、最初に、知り合いがあたしがそいつにお金を借りてることにして、店の上の人間から40万引っ張った。借金を立て替える、みたいな形だ。そのお金で、当時家がなかったあたしの家を借りてくれると。借用書や念書を書き、拇印も押した。あたしは立派に負債を負った。
そのお金の利子がトイチだと知ったのはしばらくしてからだった。2005-06-26 01:11:00 -
447:
涼
お金を借りるときには気をつけるようにしていたから、借用書は、隅から隅までどんな小さな字も見逃さない用に読んだし、空白には何もはんこも拇印も押さなかった。後から何を書かれるのかわからないから。どこにも、そんなことはかかれていなかった。利息のこと自体、何も書かれていなかった。風俗店のバンスは利息なんて取らないから普通だと思っていた。
利息がトイチ!?おいおい、普通に考えて追いつかないぞ??慌ててそいつに電話をした。2005-06-26 01:12:00 -
448:
涼
・・・・・・・つながらない・・・・・
《おかけになった電話番号は、現在使われておりません♪》何度も聞いたことのあるお姉さんが軽快にしゃべる。使われておりませんじゃねぇよ!!おい!!2005-06-26 01:13:00 -
449:
涼
こいつがつながらないなら組長に電話するしかない。気が進まないが仕方ない。
『お久しぶりです、涼です』
『おう、元気にやってるか??』
『はい、おかげさまで。あの、家の件ってどうなったんでしょうか??』
組長はしばらく間を空けてこういった。
『家?何のことや?』
・・・やられた・・・2005-06-26 01:14:00 -
450:
涼
略
『家?何のことや?』
・・・やられた・・・2005-06-26 01:15:00 -
451:
涼
『健が、組長に知り合いに不動産屋がいるからそこで家を借りてもらう手はずをしてるって…』
『わしはそんな約束してないぞ?』
『でも、健はそれでうちの上から40万引っ張ってるんです…あたしがそれを、返していかなきゃだめで…しかも利息がトイチで…』
『健に確認してみるわ』2005-06-26 01:16:00 -
452:
涼
そういって電話は切れた。だまされた。やられた。トイチの利息なんて多いにもほどがある。返していけるはずがない。膨らむ一方だ。こんなんならア○フルに行ったほうがまだ良心的だ。
組長からかかってくるのなんてもう期待していなかった。健と連絡が取れたところでお金は返ってこないだろう。腹くくって返していくしかない。何のいわれもない借金を。2005-06-26 01:17:00 -
453:
名無しさん
誠チャンかっこぃぃ…(>ω
2005-06-27 05:01:00 -
454:
涼
誠ちゃんはもぅあがってますょ〜?
2005-06-27 15:34:00 -
455:
474
涼サンだぁ☆そうなんですか〜(>_
2005-06-27 16:03:00 -
457:
涼
474さん?ファンですか〜ぁりがとぅござぃます??
477さん?はぁぃ?ごめんなさぁぃ?2005-06-27 18:06:00 -
458:
名無しさん
?
2005-06-28 09:27:00 -
459:
涼
誠ちゃんに、最初に紹介してもらう話をしたときのことを思い出した。
『お前、そんなヤクザがらみなんて大丈夫なん?』
『俺、やめといた方がいいと思うねんけど…』
言う事を聞いておけばよかった。お金に目が眩んだあたしが悪い。
こうなってしまっては、誠ちゃんの店に行ってる場合ではない。
『ちょっと話しあんねんか。今日一時間だけ店行くから』
『ん?おう…わかった』2005-06-28 20:59:00 -
460:
涼
略
『ちょっと話しあんねんか。今日一時間だけ店行くから』
『ん?おう…わかった』2005-06-28 21:00:00 -
461:
涼
店に着いた。いつもと同じ、楽しげな店内。今日からしばらくお別れだ。
あたしは誠ちゃんにすべてを話した。
『だからお前、俺そんなん信用していいんかってゆうたやんけ…どうすんねん…』
てっきり怒られると思っていたのに、誠ちゃんは心配してくれた。あたしはまだ心のどこかで誠ちゃんを信用しきっていたわけじゃないから、店に来ないというのは別れるかもしれない、と覚悟してきたのに拍子抜けだった。2005-06-28 21:04:00 -
462:
涼
『そんなんお前一括で返せ。俺が代表から金借りるから。だから借りれるまではちょっとずつ返していっとって』
うれしくて涙がこぼれた。2005-06-28 21:06:00 -
463:
涼
しかし、代表に前借は出来なかった。誠ちゃんはバイトホストな上に時間にルーズで無欠もしたりするので信用がなかった。
あたしは地道に返していくしかなかった。
お客さんに嘘を言い、少しずつ、店に入れずにお金をもらった。それを少しずつ貯め、毎日持って帰った給料をためた分だといいまとめて返したりもした。2005-06-28 21:07:00 -
464:
涼
しかし、トイチの利息はそんなもんでは追いつかない。しかも、増えてたとえば残金が45万になると利息はそれのトイチとなるなんとも恐ろしいシステム。無理がある・・・
店には3人だけ可愛い子がいた。あたしはその中の一人だった。その3人はほとんど休みがなかった。稼げるから、休ませてもらえない。昼の1時から働いて8時には終わったのでまだよかったが、しばらくすると夜の部が出来てしまった。あたしは昼の一時から朝3時まで働かされた。2005-06-28 21:08:00 -
465:
涼
体はもうぼろぼろだ。疲れをとる暇がない。休みの日にも誰かが休んだだとか、間違えてシフトを組んでしまっただとか何かしら理由をつけて働かされた。
もう大分誠ちゃんに会っていない…2005-06-28 21:09:00 -
466:
涼
しかし働いてばかりではストレスがたまる。店の子に誘われて何回か、ホストにも行った。ボーイズバーにも行ったりした。あたしはそこのボーイズバーの子にはまり、毎日仕事が終わると行った。
毎日働かされてはいるが、時間にルーズなのと、店の中では稼いでいる方だったので出勤時間だけはわがままが言えた。夕方から出勤、なんてのもありにしてもらった。おかげで遊びに行くことができた。2005-06-28 21:10:00 -
467:
涼
今までで働いた店の中で、一番女の子が仲良くて、多額の借金があっても楽しかった。
ある日、いつものように店の子と飲みに行った帰りに『もう彼氏なんかどうでもいい〜〜〜♪』と叫んだ瞬間誠ちゃんから電話が鳴った。
『お前俺のこと本間に好き?』2005-06-28 21:11:00 -
468:
涼
びっくりして辺りを見回した。聞かれたかと思ったが、誠ちゃんの電話の後ろからは店の男の子の声がしている。そばにいるわけではないようだ。
誠ちゃんは妙に鋭くて、ほかの人に気持ちが本気で行きかけた瞬間にいつも電話をしてくる。そしてその電話で、いつもあたしの心は誠ちゃんに引き戻される。2005-06-28 21:12:00 -
469:
涼
しかし、会わないと気持ちは薄れる。“会えない時間が愛育てるのさ”という歌詞があるが、あたしはそのタイプではない。
遊んで、働いて、借金も少しずつ減って充実した毎日だった。
昼に出勤して、お弁当を食べていると非通知で着信がかかってきた。出ないつもりだったが、あまりにもなり続けるのでとった。2005-06-28 21:14:00 -
470:
涼
『おう、久しぶり、健やけど』
行方をくらました健だった。
『おう、ちゃうわ、今あたしがどんなことになってると思ってるん!?お金はどうしたん?あんた家の事も嘘やんか。聞いてんからな、ちゃんと!!』
『俺も今ヤクザに追われて大変やねん』
お前が大変かどうかなんて知ったこっちゃない。2005-06-28 21:15:00 -
471:
涼
また電話するわ、といって電話は切れた。非通知だからこっちからは連絡が取れない。どうせもう借金のことはあきらめた。連絡があったてお金は返ってこないだろう。
そのまま何ヶ月も過ぎた。特に何もなく、誠ちゃんとも電話しかしないまま。2005-06-28 21:16:00 -
472:
涼
あたしはたまの休みに真美と遊んでいた。真美が、キャッチされたい〜と言うのでひっかけを歩いた。
堺筋から道頓堀に入ると誠ちゃんの店の従業員にそっくりな子が植え込みに座っていた。でも、あたしには気づかない。きっと違う子だな、と思って声もかけずに通り過ぎた。
真美のお望みどおり、引っ掛けにはいっぱいホストがいていっぱいキャッチされた。ふと見るとさっきの子が横を歩いていた。2005-06-28 21:17:00 -
473:
涼
そのままずっと歩いて清水町のあたりまで来た。ローソンに行くと、その子がまたいた。近くで見たけど誠チャンの店の子ではなかった。あたしがトイレに行って帰ってくると真美はその子と喋っていた。私服だったけど、キャッチ中だったらしいホストだった。
真美はいたくその子を気に入り店に行くと言い出した。あたしは用事があったので先に真美に行ってもらっていた。用事を済ませ、真美に教えてもらってその店に行った。2005-06-28 21:18:00 -
474:
涼
失礼だが男前が少ない小さな店で、ホストと言うよりボーイズバーのような感じだった。真美のお気に入りのこのお勧めをつけてもらった。タイプではないが、出身地が同じで話しやすく面白い子だった。
真美のお気に入りの修二とあたしの席に着いた卓の四人でマクドに行った。恋愛対象にはまったく見ていなかったのでものすごいシモネタなんかも話して、4人で大爆笑だった。その後、二人になって、あたしは、今まであったことをほとんど卓に話した。2005-06-28 21:19:00 -
475:
涼
料金がほかの店より少し安く、男前はいないもののアットホームな楽しい店だったのであたしと真美はそこによく通った。
何度か、卓の家に泊まりに行ったりもした。でも、卓はあたしには手を出してこなかった。なんだか、本当に友達って感じで、知り合ったばかりなのに、幼馴染くらいの勢いで仲良かった。2005-06-30 02:45:00 -
476:
涼
そんなある日、仕事が終わって寮に帰り、一緒に住んでいる子達としばらく喋ってから寝ていると友達がすごい勢いで起こしに来た。
『涼ちゃん、早く起きて!!!』
遅刻かと思ったが時計を見るとまだ11時。あたしは昨日夜の部にも出勤したので出勤は4時だ。遅刻ではない。友達の勘違いだと思って寝なおした。2005-06-30 02:46:00 -
477:
涼
『あぁ、もう、またねた!!!起きて、早く!!』
友達が体を揺さぶる。あたしは揺さぶられて起こされるのが大嫌いだ。
『うっさいもう!!!涼今日まだ出勤ちゃうねん!!』
『いいから、大事なもんだけ持って!!早く家から出て!!』
・・・何事だ?2005-06-30 02:47:00 -
478:
涼
何がなんだかわからないまま友達にせかされ大事な物だけを鞄に入れた。向こうの部屋で友達が電話をしている。
『どこにいったらいいんですか?』
誰かの指示であたし達は家から出るらしい。
『なんあったんな?』
『店に警察入る!!もぅ上の人等事務所とか行かれてパクられたって。ここは寮やからバレるから逃げな!!』2005-06-30 02:48:00 -
479:
涼
パクられた!?上の人って誰??とりあえず家からは出なきゃ。店の子同士で連絡を取りSONYタワービルの前で待ち合わせた。集まったのは店の事務所がある場所から家の近い、警察が来るおそれのある子達だった。事務所は二つあったので十数人が集まった。時々逃げれた上の人から電話があり、バタバタしていたがいつまでも大人数でいてもどうにもならない。5、6時間ほどしてバラける事になった。どの事務所からも遠い子の家に行く人、遊びに行く人など様々だった。あたしは毎日ほぼ全額を返済に廻していたので所持金が恐ろしく少なかった。あたしより厳しくとりたてられていた由美がなぜかあたしにひっついてきた。行くところがないらしい。パクられたって、いったいこの先どうなるんだろう??
2005-06-30 02:50:00 -
480:
涼
とりあえず夕方まで由美とそのへんで時間を潰した。卓に連絡したかったから、起きる頃まで待った。誠ちゃんはこんな時電話に出なかったし、出たとしても家に置いてくれたりはしない。遊びに行っても泊めてはくれない事から予想できる。あたりが暗くなりだしてしばらくたった頃卓に電話をした。
2005-06-30 02:54:00 -
481:
涼
『ふぁい……』
電話で起きたらしい。事情を話すと家においでと言ってくれた。やっぱり卓は優しい。ほっていく訳にもいかないので由美も連れていった。
卓は初対面の由美ともすぐに仲良くなった。自分は出勤しなきゃいけないけど家にいていいよと言ってくれたので、由美と二人で卓を見送った。2005-06-30 02:55:00 -
482:
涼
テレビをつけるが落ち着かない。あたしは勝手にしばらく卓の家に居座るつもりだったが、由美には行くところがない。友達いないのか!?卓もおそらく今日だけなら由美と二人でいてもいいだろうが、ずっとはきついはずだ。最初に電話した時も卓ははじめは知らない人は入れたくないと言っていたのを丸め込んだのだ。由美も薄々それは気づいているらしくさっきから電話をかけまくっていた。
2005-06-30 02:56:00 -
483:
涼
卓が出勤してだいぶたった。由美の携帯が鳴った。
『店つぶれたって!!!』
店がつぶれた!?それはあの地獄のような借金の終わりを意味した。貸し金業の許可などもちろん取ってないのに一般の人にもトイチで貸し付けていた事や、カード詐欺、戸籍売買、偽装結婚、養子縁組など余罪は多々あった。逮捕の決め手はそっちらしい。やっと解放された。2005-06-30 02:57:00 -
484:
涼
『でも、しばらくは家に帰っちゃだめだって。いつ警察来るかわからんからって……』
あたしは卓の家にいられるが由美は困惑した表情だ。近くには行くあてがないから、まだ終電間に合うから実家に帰るね、と由美は出ていった。あたしはあわてて卓に電話した。卓は解放されたことを喜んでくれた。2005-06-30 02:58:00 -
485:
涼
すると誠ちゃんから電話が鳴った。
『なんやったん??電話。てか未収月末いけるんけ??』
しまった、忘れてた……。誠ちゃんは店を飛んだから未収も払わなくていいと思っていたけど、代表が家にきたって言ってたんだ。それをトイチとわかりながらも店から借りようと、頼んでいたところだった。つぶれたと言うことは借りれない。どうせなら借りてからつぶれてくれれば良かったのに……2005-06-30 02:59:00 -
486:
涼
一瞬でいろんな事を考えたが口から出たのは“大丈夫!!”だった。何が大丈夫なもんか、財布には諭吉一人さえもいないのに……
2005-06-30 03:00:00 -
487:
涼
まとまった大金がいきなり用意できるわけがない。こんな時頼れるのは……“サラ金”。それしかない……
稼ぐ術はあるが援交では職業にならない。どこか外国では娼婦は職業と認められているらしい。その国に産まれたかった……なんて思いながらどうしようか家の中で考えていると更に落ち着かなくなった。卓の飼ってる犬を連れ散歩に出た。どこかちゃんとした店舗に入ろう。一時間ほどブラブラし、出た結論がそれだった。2005-06-30 03:01:00 -
488:
涼
朝方卓が帰ってきた。二人でいろんな事を話した。卓が彼氏ならいいのに、と少し本気で思った。一つのシングルベットで二人で眠った。甘えたの卓はあたしを抱きしめたまま深い眠りに落ちていった。それが居心地よくてあたしもまた深い眠りに落ちた。
2005-06-30 03:02:00 -
489:
涼
夕方目が覚めると卓はまだ寝ていた。あたしは大手のサラ金に電話をかけた。
『職業風俗なんですけど借りれますか?』
『すいません、風俗の方にはご融資できかねます。』
風俗じゃあかんのかい!
また違うサラ金にかけた『すいません水商売してるんですけど借りれますか??』
『大丈夫ですよ、いくらご入り用ですか?』2005-06-30 03:03:00 -
490:
涼
略 『大丈夫ですよ、いくらご入り用ですか?』
2005-06-30 03:04:00 -
491:
涼
水商売ならいいのか。あたしはまた電話しますと言って電話を切り、今度は求人誌を開いてセクキャバを探し、面接の段取りを組んだ。ユウの時にセクキャバで審査は通ったんだからいけるはずだ。
面接に受かり、次の日から働く事になった。2005-06-30 03:04:00 -
492:
涼
………だるい!!!
初日の感想はそれ。もとから責められるのは好きではない。舐められるのが気持ち悪い。風俗の時は“あたし責め派なの”的なノリで客にはほとんど責めさせなかった。そしてキスも嫌いだ。客とするのなんてまっぴらごめんだ。でもセクキャバではキスと舐める事しか客は出来ないから、スケベ心丸だしでキスをしてくるし、胸にむさぼりつく。あぁ気持ち悪い……
審査が通ったら辞めよう。借りてしまえばこっちのもんだ。2005-06-30 03:06:00 -
493:
涼
サラ金会社から在籍確認をされるから、名前を覚えてもらえるように三日ほど勤め、四日目に申し込みに行った。在籍確認は余裕で出来た。あとは実家への在籍確認だ。携帯が鳴った。
『審査が通りましたので今から引き落としが可能になります』
丁寧なお姉さんの声。あたしはテンションがあがった。さっそく引き出す。これで未収が払える。せっかく店の借金がなくなったのに、また借金を背負う羽目になった。2005-06-30 03:07:00 -
494:
涼
お金をおろしてからは気が楽になって、友達とご飯を食べに行った。店長から携帯が鳴りっぱなしだ。出るわけがない。もう出勤する気なんてないのだから。次の日の昼になっても店長からの電話はなり続けた。やりすぎだろ……と思い仕方なしに電話に出て辞めることを言った。なんだかんだ言っているがうるさいので切り、着信拒否にした。
2005-06-30 03:08:00 -
495:
涼
やっぱりセクキャバは合わない。あたしは風俗向きだ。と思ったが、本番屋にいた時の稼ぎを考えると、バックを引かれていたから少なかった物の、引かれていなければ相当な稼ぎだ、ということに気づいてしばらくどこにも入らなかった。
ずっと卓の家にいてしばらくしたころ、あの本番屋の頃に寮で一緒に住んでいた子から電話が鳴った。2005-06-30 03:09:00 -
496:
涼
『あの家、明後日までに空にしてってゆってるから涼ちん一緒に荷造り行こう』
明後日までに空にってまた、この人たちは相変わらずむちゃくちゃだ。由美は一足先に荷物をほぼ持っていったらしい。色をかけられていたホストにホイホイだまされてまたどこかの本番屋にいると聞いた。そこでもまたバンスしたらしく、監獄のような生活をしているらしい。あたしは誠ちゃんの家に住む事になったので荷物を箱詰めして宅急便で送った。女三人で住んで物で溢れかえっていた家はもぬけの空になった。2005-06-30 03:10:00 -
497:
涼
あたしは誠ちゃんの家で仕事もせず毎日過ごした。久しぶりに何もしないでいい毎日が続いた。お金がなくなったら援交して、食いつないだ。元からインドア派なのでどこにも遊びに行かず引きこもりみたいな日々をすごした。
誠ちゃんの家には誠ちゃんの友達秀が住み着いていた。誠ちゃんと同じ店で働いていた子なのであたしも仲良かった。しかも誠ちゃんはろくに帰ってこなくて毎日秀と一緒だった。これじゃ誰が彼氏かわからない。2005-06-30 03:11:00 -
498:
涼
忙しすぎる毎日から離れだらだら過ごすのも半月もすれば飽きてきた。やることのない毎日は退屈で仕方なかった。仕事しよう。家にあったヘブンをぱらぱらめくり、適当に探して、入店した。毎日秀に見送られ、帰って来ると笑顔で秀が迎えてくれた。たまに一緒にスロットに行ったりして、可愛い弟ができたみたいだった。
2005-06-30 03:12:00 -
499:
涼
来月には出て行けよ、と誠ちゃんに言われたのは月半ばだった。元から一人が好きな誠ちゃんは誰かが家にいるのが嫌らしい。嫌だといっても聞きそうにないので承諾した。普通のカップルならありえないんだろうが、現役時代も店で会うのを除けば二ヶ月に一回くらいしかあわなかったから、違和感がなかった。
幸い入店した店がマンヘルだったので店泊して暮らすことにした。2005-06-30 03:13:00 -
500:
涼
休みの日にブラブラ真美と商店街を歩いていたらキャッチしてくるのは《えっ・・・》と言わんばかりのレベルの男ばかりだった。お金を払って不細工となんか飲みたくない。元から面食いだし、シカトして歩き続けた。
『なぁなぁどこ行くん?』2005-06-30 03:14:00 -
501:
涼
とりあえず顔を確認してみた。・・・めっちゃ男前やん・・・あたしは固まった。これがあたしと龍の出会いだった。しばらくそこで話をして番号を交換した。二人でキャッチしてきたが真美をキャッチしたほうは真美が気に食わないらしく真美の番号をゲットできなかった。
わがままな真美に振り回されもう一度商店街を引き返す。雨が降ってきた。引っかけを渡りきって商店街に駆け込むとそこに龍がたっていた。でも気づいてなさそうだったので声をかけなかった。すると向こうから近づいてきた。2005-06-30 03:15:00 -
502:
涼
『店来る気になったんかぁ?』
いやいやそういう訳じゃ・・・と思ったが雨で人通りもなく、寒い外にいるのはかわいそうだな、と思い幸い余裕もあったので真美を説得して店に行った。
初回料金で十分楽しめたし、何より龍はホストっぽくなくて話しやすかったし、なんといっても顔がタイプだった。これまでも誠ちゃんと付き合いながら時折キャッチで店に行ったりしていたが久々のヒットだった。2005-06-30 03:16:00 -
503:
涼
あたしはどんどん龍に惹かれた。仕事が終わると毎日龍の店へ行った。店泊していたから龍の店から家まですぐだったし、なかなかに稼げたので毎日遊べた。別に誠ちゃんと会うわけじゃないし、ばれないしいいや。龍にどんどんはまっていった。
会わないから疑われることもない。稼ぎも使った額も、誠ちゃんには把握できない。旦那が出張中の人妻みたいな気分だった。龍は毎日メールをくれたし電話もくれたし、やさしかった。客って楽だな、と思った。この頃になると、《人を本気で好きになるのってしんどい》と思い始めていた。お金でつながった関係のほうが楽。客であればつなぎとめようと、金を使わそうと、優しくしてくれる。居心地いいし、楽だし。性根まで腐ってきたようだ。2005-06-30 03:17:00 -
504:
涼
あたしは日替わりで遊ぶ店を変えていたが、龍にはまってからはほとんど龍の店でだけ遊んだ。よく通ってた店の誰かがラストだとか、誕生日だとか言う日以外は毎日行った。よそに行った日でも、ラストまではいずに、一時間だけでも龍の店に行った。頼まれればシャンパンも卸した。ボトルだって入れた。一晩で何十万も使った日もあった。龍のために毎日働いた。そうすれば、優しくしてもらえるから・・・
2005-06-30 03:18:00 -
505:
涼
でも龍の店は基本的にヘルプとあたしがそりが合わなくて、長居するにはちょっとしんどかった。龍がついていればいいがヘルプだけだとしゃべる気にもなれなかった。もちろん気の会う子もいたが、それは店の中でたった一人、しかもナンバーに入っている子だったのでそんなにいうほどヘルプには来ないし、龍がいなければつまらない空間だった。誠ちゃんの店ほど従業員の教育がしっかりしていないのもまた、面白くない原因だった。あたしは龍についてほしいがために、お金を使った。太客になれば大事にしてくれるだろう。そう思ったからだった。
2005-06-30 03:20:00 -
506:
涼
太客になれたのか、そうじゃないのかはよくわからないが龍は優しかった。本気になったらしんどい、そう思っているはずなのに、お金で割り切ったほうが楽だと思っているのに、あたしはだんだん本気で龍のことが好きになってきた。信じたって無駄、相手はホストなんだから。頭ではそう思っていても、心がうまくコントロールできない。
2005-06-30 03:20:00 -
507:
涼
龍と付き合いたい。龍の彼女になりたい。そんな思いが日に日に強くなっていく。歯止めをかけようと思ってもきかない。好きだけど、好きになりたくない。龍が売り上げのために優しいのはわかっているけど、心のどこかでは、そうじゃないと思いたかった。
2005-06-30 03:21:00 -
508:
涼
誠ちゃんが優しかったのは最初だけ。後はほんとにヒモみたいになっていた。彼氏なんだかヒモなんだかわからない。でも、付き合いが長いので情もある。龍のことが好きでも、誠ちゃんの事は切れないでいた。最初の頃の優しさが、忘れられない。愛されてると実感できたあの頃が、続いているとは到底思えないような関係でも、続いていると思いたかった。
2005-06-30 03:22:00 -
509:
涼
誠ちゃんは酔っ払ったときくらいしか電話をかけてこない。そんなときには決まって、好きだよ、と言う。その言葉が本音だと信じたい。誠ちゃんにとってあたしは必要なんだって思いたい。でも、誠ちゃんはけしてそんなことを口に出してはくれないし、酔ってなければ電話さえない。誰がどう見たって、この状況は、あたしのことを好きだとは思えない。
2005-06-30 03:24:00 -
510:
涼
だから代わりに誰か、必要としてくれる人がほしい。お金のためでもいいから優しくしてほしい。誠ちゃんはお金はせびるけど、このごろではまったく優しくなかった。あたしの中で、龍と付き合いたい気持ちが膨らんでいく。
ある日、めったに酒を飲まないあたしが飲まされ、酔っ払った。あたしは龍にからんだ。《いつになったら付き合ってくれんの?》《どうしたら彼女になれるの?》立派な痛客だ。酔っていても、記憶をなくすことはなく、覚えているから余計に嫌だったが、酔うと止められなかった。思いが溢れて、吐き出してしまう。2005-06-30 03:25:00 -
511:
涼
酔った勢いに乗って、帰りのエレベーターで龍に抱きついた。龍も酔っていたからか、あたしを抱きしめてくれた。嬉しくて仕方なかった。店では何もできないけど、エレベーターなら誰も見ていない。その瞬間だけは、あたしだけの龍だ。
一度自分の思いをぶつけてしまったら、しらふでもいえるようになった。この頃から、龍とけんかすることが増えた。二、三日に一回は軽いけんかをし、二週間に一回くらい大喧嘩をした。2005-06-30 03:27:00 -
512:
涼
軽いノリで『付き合って』と言ってみたりもした。『そんな簡単に言うなよ〜』と流されて終わった。軽く言うんじゃ、伝わらない。今度は真剣に言ってみた。【正直お前より使ってる人もおるし、その人に申し訳ないから無理】という返事が返ってきた。お金で決まるのか!?と思うと腹が立った。ホストらしい返しだな、とも思った。
2005-06-30 03:28:00 -
513:
涼
その人が使う額は、あたしには到底及ばないような額だった。無理に決まっている。
あたしと、龍の喧嘩はいつも何気ない会話から突然始まる。だから、あたしは喧嘩の内容は覚えていても、何から喧嘩になったかが思い出せない。龍はあたしの一個下だったがあたしも龍も子供だしB型だしで、お互い子供だった。大概はあたしが折れた。でも、どうにも納得いかないときは意地でも折れなかった。真剣に話せば話すほど、どっちも引かない。2005-06-30 03:29:00 -
514:
涼
『じゃぁお前は何のために店に来てるん?何をしに来てるん?』
喧嘩の中で言われた。やっぱり、何から喧嘩になったか、覚えていない。でも、そのときすごくいらいらしてたのは覚えている。
『そんなこと聞いてどうすんの?聞いて、あんたなんか変わるん?答えによって、変わるんか?』
言いたくなかった。言ったら龍を困らせることくらい、わかっていた。2005-06-30 03:30:00 -
515:
涼
『なんやねん、言えや。はよ言えや。』
口調が怖い。こっちは気遣って言わないでおこうとしてるのに。龍を困らせたくない。そう思ってるから言わないのに。あたしの中で何かか切れた。2005-06-30 03:32:00 -
516:
涼
『あんたに会いに来てんねんやんけ!しんどいやろうし、外で会われへんから、店にこな、会われへんから、店に来て金使ってでも会いたいから来てんねんやんけ!これ聞いて、あんたはどうするん?なんか変わるんか?困ったやろ?だから言いたくないっつってんやんか!』
龍はびっくりした顔をして、そして、はぁ…とため息をついた。ほら、やっぱり困った。思ったとおりだ。だから言いたくなかったのに。2005-06-30 03:34:00 -
517:
涼
『だから、色とか使われへんって言ってるやんけ。お前が思ってるよりホストの仕事ってしんどいねんぞ?ここまで上がってくるのに、俺は楽してきたわけじゃない。正直辞めたいけど、辞められへんから働いてんねん!』龍が声を荒げた。
しかも答えがなんだか噛み合っていない。誰も外で遊べとは言ってないし、今まで楽してきたとも言っていない。ホストの仕事が楽だとも…2005-06-30 03:36:00 -
518:
涼
思い出した、喧嘩のはじめはあたしが【あんたのエースより使ったら、あんたなんて言って付き合うん断るんやろうね】と言ったからだ。あたしは、お金を断る基準にされたことが気に食わなかった。そして、そんなことで断っておいて、店に来る意味を聞いてくる龍に腹が立ったんだ。
2005-06-30 03:37:00 -
519:
涼
あたしが怒ったところで付き合ってくれるとは思わない。ただ、ああいえば、本当の断る理由が聞けるかもと思ったからだ。
『お前より使う人がおるから付き合われへんって言うんやったら、そいつと付き合ってんのかって話しになるやん』
『俺は、今すぐには無理やけど、お前といっぱい約束してるやん。絶対守るっていったやん。お金で付き合うかどうかを決めてるんじゃない』2005-06-30 03:38:00 -
520:
涼
お金の話を出したのは、彼女がいるってなったら客が切れるかもしれないと言う意図からだったらしいが、あたしはそこまでわからなかった。龍は、何で今ホストをしているかを話してくれた。しかも、泣きながら。正直焦ったが、うれしかった。そして、言いたくないことまでいわなければならない状況を作った自分を反省した。
2005-06-30 03:39:00 -
521:
涼
『お前の好きにしたらいいよ。もう、こんでもいいし。』
嫌われたかもしれない。
あたしと龍は、喧嘩の後いつも筆談をするのがお決まりだった。お互い、意地っ張りで素直に謝ったりできないからいつもあたしがノートに書いて、龍にペンと一緒に渡す。そのまま、紙の上で会話する。あたしはいつものように、ノートとペンを取り出した。龍はわかったのか、隣で黙って書き終えるのを待っていた。2005-06-30 03:42:00 -
522:
涼
紙の上でなら、あたしは素直になれる。言いたくないことまで言わせてごめんね、系の事を、ノートの半分くらいまで使って書いた。
“もう、あんなに困らせへんから、切るとかやめてな?”恐る恐る書いて、龍に渡した。龍はタバコをくわえたまま笑った。
“切るとか何やねん笑 考えすぎやって”と返ってきた。ほっとした。2005-06-30 03:43:00 -
523:
涼
中身を知らなきゃ付き合えない、と言うのは前から言われていたのだが、あたしは【付き合いながら知っていけばいいやん】と思うタイプだったので、どうもほかの理由があるような気がしてならなかった。
でも、もう今日みたいに、龍にあんな思いをさせちゃいけない。あんまり素直になりすぎるのも問題だな、と思った。2005-06-30 03:44:00 -
524:
涼
龍は、あたしのことは特別だと言う。
毎日連絡することなんてないと。ほかの客には三日にいっぺんだったりして普通だと。
外で会うのだって、みんな断っている。でも、お前とは約束してるやろ?だから、特別だ、と。2005-06-30 03:45:00 -
525:
涼
二回、あたしの友達が龍の先輩だから、4人でご飯を食べに行ったことはある。龍からすれば、断れる状況なのに行ったんだから、お前は特別だ、と。
特別だとは言ってくれても、付き合ってはくれない。もどかしかった。そんなに特別なら、付き合ってくれればいいのに、といつも思っていた。
あたしの頭は毎日龍でいっぱいだった。誠ちゃんのことなんて全く考えなかった。2005-06-30 03:47:00 -
526:
涼
その日、あたし真美とバーに向かった。昼近くまで開いているそのバーは料理もおいしくよく真美といっていた。その日は、あたしの友達もいて3人で飲んでいた。話の流れからそこのバーテンの子二人とカラオケに行くことになった。
それからしばらくあたしは龍の店にも行かずに、夜はすぐに寝ていた。
日曜日、仕事の後に真美とよく行くカフェでまったりしていた。二人ともまっすぐ家に帰るのはなんだか好きじゃなくていつも寄り道して帰っていた。2005-06-30 03:48:00 -
527:
涼
龍専用の着メロがなった。日曜日なのに?と思いながら電話に出る。
『おはよう・・・』寝起きなのか、声が重い。
『おはよ〜、どしたん??日曜やのに』
『お前さぁ・・・好きな男出来たやろ』
は???????2005-06-30 03:49:00 -
528:
涼
『なにゆーてんの?何のことか全くわからん笑 ネタ?』
『セブンの男とカラオケ行ったやろ』
何で知ってんねん…ってかカラオケ行っただけで好きな人???
『行ったけど…二人じゃないで?5人やで?』
『え、そうなん?』
明らかに声のトーンが変わった。二人で行ったとでも思っていたのか?てかそもそも誰に聞いたんだ?あの二人と顔見知りだとは思えないし…カラオケに行っただけで好きな人だと思っているとも思えない。2005-06-30 03:50:00 -
529:
涼
略
明らかに声のトーンが変わった。二人で行ったとでも思っていたのか?てかそもそも誰に聞いたんだ?あの二人と顔見知りだとは思えないし…カラオケに行っただけで好きな人だと思っているとも思えない。
2005-06-30 03:51:00 -
530:
涼
『俺今日営業行こうかどうしようか迷ってんねん』
明らかにいつもの龍とは違う。龍はそんなことで悩まない。たとえ誘われても、行かないと即決するはずだ。なんとなく【行かないで】と言って欲しいんだろうなと思った。2005-06-30 03:53:00 -
531:
涼
次の日、店に行くとデッキを忘れたらしい。
『も〜明日こそ持ってきいや?』
『終わったら電話するから。待ってて。』
びっくりした。初めて言われた。待ってるって事は、店が終わった後に会うって事だ。(当たり前だけど)
絶対、バーテンの子とカラオケに行ったのが関係してるんだと思った。あの時カラオケ行ったことが、こんな形で幸福に変わるなんて思っても見なかった。2005-06-30 03:55:00 -
532:
名無しさん
おぉ?い?
2005-07-05 00:17:00 -
533:
涼
連絡が来るのを待って、合流した。明るいところで見る龍もかっこよかった。デッキをもらって、ゲーセンに寄って、お昼ご飯を食べて帰った。ほんの2時間ほどだったけど楽しくて、幸せな時間だった。
しばらくは喧嘩もなく、穏やかな毎日だった。毎日は店に行かなかったけど、週4日くらいは行っていた。2005-07-05 00:22:00 -
534:
涼
土曜日に、誠ちゃんと会うことになった。何ヶ月ぶりだろう。しかも、服が欲しいとわがままを言うので、例のバーテンの子に頼んで着なくなった服を譲ってもらって、それを渡す為だった。
2005-07-05 00:23:00 -
535:
涼
デートと呼ぶには程遠い。しかも、ブランドのものばかり欲しがったので、ただでもらうわけにも行かず、買い取ったのだ。結構な額になった。
“服くれるときにしゃぁなしであそんだる”と言われていた。前々から思っていた【こいつはあたしのことを好きなのか?】と言う疑問が増長する。2005-07-05 00:24:00 -
536:
涼
真美といつものように仕事終わり二人で歩いていた。店にいたときから、誠ちゃんのことを話していた。どうしても気になる。お金が目当てだとしか思えない。物をあげる代償に会うという事は、あたしのことを好きなわけではない、と肯定するのに十分だった。
何時にするかも決めていないのに、昼から何度も電話をかけているが出なかったから、真美とビクドンに入りまたかけた。やっぱりでない。ハンバーグを食べながらどうなんだろう、とずっと真美と討論していると電話がなった。誠ちゃんだった。2005-07-05 00:25:00 -
537:
涼
『明日何時にすんの?』
『服もらってくれた?』
あたしと会うのが目的じゃないのは、明らかになった。服のためだ。あたしは、服のついでだ。悲しさと、怒りがこみ上げた。2005-07-05 00:26:00 -
538:
涼
『あたしはあんたのなんなん?』長年積もった疑問を、思い切ってぶつけた。
『は?なんやねんそれ??』
『金目当てじゃないの?物とか、お金が欲しいから付き合ってんの?』言ってしまった。どうなるだろう。
『もうお前、そんなん言うんやったら別れよ。』
別れる・・・???2005-07-05 00:33:00 -
539:
涼
昔の誠ちゃんなら“誤解させたんやったらごめん、違うで?”と言ってくれていた。やっぱり、もうあたしのことなんてとっくに好きじゃなかったんだ。物やお金をくれるから、この人はあたしと別れなかったんだ。
2005-07-05 00:34:00 -
540:
涼
『そんなんで別れようって言うんなら、あんたやっぱり涼の事なんか好きじゃなかったんな?』
『勝手にそう思っとけや!!』
『何で違うって言ってくれへんの?怒るって事は違うんやろ?』
『俺はそんなんよう言わんのじゃ!もう勝手にどうとでも思っとけや!お前俺の事半分くらい信用してへんかったやろ。いや、半分以上か・・・』2005-07-05 00:35:00 -
541:
涼
大事なところで、大事なことをこの人は言わない。別れてもいいと思っていた。龍のことが好きだから。でも、涙がこぼれた。
『ほかのやつに大事にしてもらえや。俺以外の男と付き合ったら、お前の望むようなやつおるやろ。付き合う相手が俺じゃなかったら、お前は幸せなれるんちゃうけ』
もう、戻れないんだ。と直感で思った。2005-07-05 00:36:00 -
542:
涼
『俺がホストやめんかったらよかった。そしたらお前もそんなこと気にせんかったやろ。“ホストやししゃぁない”って思ってくれたやろ。俺はホストしてから考え方変わってもうた。辞めへんかったらお前ともずっと付き合っていけたかもな』
そんなことを言われたのは初めてだった。2005-07-05 00:37:00 -
543:
涼
『俺、今まで一年以上女と続いたことなかった。お前が初めてやってんで。あんまりあわへんかったんもお前は、あたしやから会わんかったとか思ってるかも知れんけどみんなそうやってんから。誰かと付き合って、幸せなって俺を見返したらいいねん』
もう、誠ちゃんの心は決まってしまったようだった。
否定してくれない誠ちゃんに腹が立った。2005-07-05 00:38:00 -
544:
涼
また、同じ過ちを繰り返した。誠ちゃんの態度は、もうずっと前から、はじめのうちとは変わっていた。
剛のときと同じ、最初のころの姿にしがみついてたあたしが悪い。
この人なら、あたしを愛してくれると思った。
ずっとそばにいるといった言葉は本当だと思いたかった。
ずっとそばにいてほしかった。2005-07-05 00:39:00 -
545:
涼
『自分のした悪いことはいつか自分に返ってくるねんで』
いつだったか真美に言われた言葉を思い出した。2005-07-05 00:40:00 -
546:
涼
バーテンの子にもらった服は男物でサイズがでかいしあたしが着る訳にもいかない。しかも新品ではないからほかの人にあげるのも気が引ける。本人に返すなんてもってのほかだ。仕方なしに服を渡すのと、置きっぱなしの荷物を取りにいくため次の日誠ちゃんの家に行く約束をした。
2005-07-05 00:42:00 -
547:
涼
誠ちゃんの着信で目が覚めた。
お風呂に入って用意をしていたら『遅いからスロット行ってくる』と電話がかかってきた。昨日別れ話をした、いや、別れた事などまるでなかったかのように。
結局、思いつきで行ったスロットが出たらしく、会うのは夜中になった。家につくと、10分くらいして、啓太が来た。啓太はあたしの友達の元彼だ。四人でよく遊んだ。それにしてもなんと間の悪いときに来るのか。2005-07-05 00:43:00 -
548:
涼
別にやり直したいとは思わなかったけど、あたしは誠ちゃんの本当の気持ちが知りたかった。それを、話したかったけど恥ずかしがりの誠ちゃんが、啓太の前で本音など言うわけもなく、またあたしも啓太の前で本音をさらけ出すことはできない。
2005-07-05 00:44:00 -
549:
涼
3人で前みたいにテレビを見ながらしゃべる。本当にこいつは昨日の事を覚えているのだろうか??あたしたちは、こんなあっさり終わってしまっていいのか?寝起きだったから、まさか覚えてないのか???いろんなことが頭を駆け巡る。
『そういや涼ちん最近美紀と連絡取ってんの??』美紀というのは啓太の元かの、つまりあたしの友達だ。2005-07-05 00:45:00 -
550:
涼
『あぁ、今日電話したよ。』
『何はなしたん??』
『誠ちゃんと別れる事になったぁ〜って。』
『えぇ!?!?』
誠ちゃんは啓太にも話していなかったようだ。しかも、啓太が驚いてるのを見て
『別れる事になっちゃった』と軽く言った。
覚えていた・・・2005-07-05 00:46:00 -
551:
涼
略
『別れる事になっちゃった』と軽く言った。
覚えていた・・・2005-07-05 00:47:00 -
552:
涼
啓太がいる前ではどっちも本音で話はできない。ちょうどあいのりがやっていたので話題はそこに集中した。そんな話をしに来たんじゃない・・・誠ちゃんの気持ちを聞きに来たのに・・・
誠ちゃんは啓太の好きな子にいらん事を言って、なんやかんやあったらしく、それどころじゃなかった。あたしはたくさんの荷物を持って、タクシーで帰ることにした。もう、諦めた。気持ちを聞いたら、変に離れられなくなるような気がした。好きだったことを確認しても、誠ちゃんの心はもうあたしには返ってこないだろう。2005-07-05 00:48:00 -
553:
涼
家のすぐそばにタクシー乗り場があるので、そこまで持っていくのは重いから持って行ってと頼んだら、面後くさいといわれた。しかも、啓太が『俺が持ってったるわ。優しいやろ笑』と言って持ってくれた。『お前啓太に乗り換えたら?』・・・笑えねぇよ・・・。どーゆー神経してんだ こいつ・・・
2005-07-05 00:52:00 -
554:
涼
タクシー乗り場にタクシーはいなかった。片田舎なんだから仕方ないか・・・三人でタクシーを待った。なぜかその間、あたしは啓太とばかりしゃべっていた。
『もう涼ちんとあわへんのかなぁ・・・』何でお前が寂しそうにそれを言う!?あたしは誠ちゃんからその言葉がほしかった。言ってくれないのも・・・わかっていた。
2005-07-05 00:53:00 -
555:
涼
通りがかったタクシーを止め最後のさよなら。貸りてた金は、返す、といっていたから一回は会うだろうが、それもいつになるやら・・・最後だけど、涙は出なかった。
啓太が『ばいばい』と言った。誠ちゃんは何も言わず、啓太の後ろからあたしを見ていた。
2005-07-05 00:55:00 -
556:
涼
最後になると思っていたのに、玄関横の棚にまだたくさん荷物があったのを思い出した。う〜ん…電話しにくい…でも仕方ない。
『もしもし?玄関横の荷物忘れたわ…』
『また……取りに来たらええやん?』2005-07-05 00:57:00 -
557:
涼
恥ずかしそうな声だった。真意はよくわからないが、あたしはたぶんもう誠ちゃんのところには戻らない。あたしの為でもあるけど、誠ちゃんの為でもある。価値観が変わった理由はホストを始めたからと言ってもあたしが望む物を全て与えていなければ、あそこまで歪まなかったはずだ。金で人は変わる。剛の時に実感したはずなのに。同じ事を繰り返してしまった。今更気づいたって遅い…植え付けられた妙な価値観はそうそう変わらないだろう…ごめんね誠ちゃん……
2005-07-05 00:58:00 -
558:
涼
あたしはこの頃になると店舗を変え、今度はホテヘルにいた。真美が先にそこに入って、真美の薦めで入った。なかなか回転も良く、スタッフとも仲良くやって楽しい仕事時間だった。
『優花ちゃん、予約のお客さん来たよ。ホームページでの予約やってんけど…めっちゃ若い子やで!まだ10代ちゃうか??』
へぇ珍しいな〜と思いながら化粧直しを終わらせエレベーターの前に立つ。2005-07-05 00:59:00 -
559:
涼
『お待たせいたしました。優花ちゃんでお待ちのお客さま!行ってらっしゃいませ!』
『初めましてぇ〜優花で……す』
目の前に立っていたのは剛だった。
いやいや…なんでコイツがここに!?気づかない振りをして他人と言い通そうかと思ったが無理がある。2005-07-05 01:00:00 -
560:
涼
『なんでココわかったん…?』
『適当にエロサイト見てて…いろんな店のホームページ見てたら載ってたから…すげぇ会いたくなって…』
よくもまぁあんな別れ方をしたのに来れたな…てかエロサイト見てたとかあっさり言うなよ…2005-07-05 01:01:00 -
561:
涼
『俺らってやっぱ別れたん??』
寝ぼけているのか!?別れたあの日からもう一年半経っている。
『えっ、どんだけ経ってると思ってんの!?別れてないんやったら連絡もするやろ?ずっとしてないって事は別れたんやで??まさか別れてないってずっと思ってたん??』
『あんな風に最後になって…ほんま後悔してんねん…しかも風俗してるとかめっちゃショックやし…』2005-07-05 01:02:00 -
562:
涼
ショックやし、と言われても隠してただけでずっと前からあたしは風俗嬢だ。さんざん好き放題しといて今更なんなんだ。彼氏が欲しい気持ちは正直あったけどこいつだけはごめんだ。またあんな思いはしたくない。あたしは今度こそ、ちゃんとあたしを愛してくれる人と付き合いたい。
2005-07-05 01:03:00 -
563:
涼
『風俗してるのショックやったら涼とは付き合っていけやんよ。知らんかったやろうけど涼もうこの業界五年目やから』
『前みたいには…なられへん?』
話を聞け!と言うか、なれるわけがない。自分のした事考えてみろ!!と言いたかった。でも悲しそうな顔の剛にそんな事は言えない。2005-07-05 01:04:00 -
564:
涼
そこから延々戻ってきてと言われ続けた。今までのあたしなら、寂しさから戻っているかもしれない。でも今のあたしには龍がいる。片思いで、辛くてしんどいけどほんとに龍が好きだった。
ピピピピピ…タイマーが終わりを告げる。いくら元彼でも今はタイマーに従うしかない。再会はおしまい。2005-07-05 01:05:00 -
565:
涼
『よろしかったらまたいらしてくださいね』
思いっきり営業用の声で言い、剛に背を向けた。そしてもう二度と会わないことを願った。
2005-07-05 01:06:00 -
566:
涼
剛は限りある【嫌いになって別れた】人なのであたしが好きだった頃の気持ちに戻ることはない。はぁ、テンション下がった…時計を見ると12時過ぎ。龍に電話をしてみよう♪
『はぁい?どしたん?』
優しい龍の声。特に用事はなかったからちょっとだけ喋ってすぐ切った。わずかでも声が聞けたことが嬉しい。もうすぐ龍の先輩のイベントがある。それまでは少し店に行くのを控えようと思っていた。智也以来の久しぶりすぎる片思い。どうしていいかわからない。それもまた、楽しかった。ドキドキするってこーゆー事だな〜と思った。2005-07-05 01:07:00 -
567:
涼
龍の先輩のイベントの日が来た。あたしは友達のバーに寄ってから行った。いろんな人からすごく慕われている先輩の最後の日だ。どうせ混んで放置になるだろうからいいや、と思って朝方行った。
2005-07-05 01:08:00 -
568:
涼
案の定、店の前にはすごいスタンドの数。店内は人で溢れ返っていた。隅っこの席に座る。もう、主役の先輩はベロベロだ。龍が来た。
・・・・・真っ赤。2005-07-05 01:09:00 -
569:
涼
龍も酔っていた。嫌な予感がする。案の定シャンパンの話になった。卸したくないといっていたけど、こいつは酔うと厄介なので言うことを聞くしかなかった。別に、そんなに切羽詰っていたわけでもないし、ラストくらい祝ってあげたかった。でも、みんな酔ってるから、ロゼを二本にしようと言う話になった。
2005-07-05 01:14:00 -
570:
涼
あたしもドンペリやクリュグのあの酸っぱい味がネクターを入れてもどうも苦手なので承知した。
テーブルの周りにみんなが集まってくる。2005-07-05 01:16:00 -
571:
涼
『まぁたまた続いて涼ちゃんからっ!!ピンドンいただきましたぁ〜〜っ♪』
コールが始まる。集まってきた中に、先輩の姿はなかった。まぁ、あれだけ飲んでるし、仕方ないか。二本目が空になる寸前に先輩は来た。
『それでは最後は卓也君の一気〜〜♪』
先輩は瓶を持っていたが、それを横からジンが取り上げ、飲み干した。2005-07-05 01:17:00 -
572:
涼
『ではでは、最後に卓也君のために、ピンドン二本!降ろしてくれた涼ちゃんに一言!!』
『・・・・・飲みたりひん』
『主役の卓也君もこう言ってますし!どうでしょう、涼ちゃん??』
周りではもう一本もう一本と言っている。そんなに予算はない。しかし、断れる状況ではない…あたしのほうにマイクが向けられる。こんな状況で、無理ですだなんて言える奴いるのか?そんな人がいるならうらやましい…なんてことを一瞬で考えた。でも、空気を壊すわけには行かない。2005-07-05 01:18:00 -
573:
涼
『まだまだ飲め〜っ♪』
『ピンドンもう一本いただきましたぁ〜っ!!!』
結局そのまま合計5本がおりた。2005-07-05 01:20:00 -
574:
涼
三本目を降ろす前に、横にいる龍に『こんな状況じゃ断られへんやんけ』といったが、龍も酔っ払っているし、ごめん、だけで終わった。あたしも飲んだし、酔いが回ってきた。
五本卸したことは別にかまわない。ちょっときついけど。何が納得いかないって、飲みたりひん、と言ったくせに、卓也は三本目にしか口をつけなかった。シャンパンコールが終わる頃には、姿さえなかった。2005-07-05 01:22:00 -
575:
涼
コールが終わって、静かになった店内。横にいるのは困惑した表情の龍。
『ごめん、こんないくなんて思ってなかった…』
『思ってなかったっつーかな、あの状況で断るんは無理やろ!なぁ。あんなけ盛り上がられて、どうかな?言われて、無理ですなんて言えると思うか??』
酔いが回っていたせいもあり、またなかなかきつい言葉を吐いた。2005-07-05 01:25:00 -
576:
涼
『だからごめんってゆうてるやんけ!!どうしたらええねん?卓也さん連れてきて謝らしたらええんか?被った奴連れて来て謝らせたらええんか?』
『そんなことせんでいい!!』
あたしの言葉も聴かず、龍は卓也のほうへ向かった。あんな怒った顔をしている時はやばい。
ばか!!!!!!
あたしは走って龍を追いかけた。2005-07-05 01:29:00 -
577:
涼
『いいっていってるやろ!!!!』叫びながら龍の手を引き連れ戻す。
『あほか!?そんなこと本人にゆう奴がおるか!!最後の日にそんな事言われたら卓也がどんな気になるかわかって言おうとしてんのか?涼は、それが納得いかんかったってゆうただけ!!卓也に謝ってほしいなんて思ってない!!』
『煽り止めれへんかった俺が悪かった…ごめんな?機嫌直して?』
あたしに怒鳴られてちょっと正気を取り戻したかいつものやさしい龍に戻った。2005-07-05 01:42:00 -
578:
涼
潤んだ龍の目が子犬みたいでかわいかった。
『もう怒ってないよ。涼も叫んだら落ち着いたし。』
『そっか、よかった。ほんまごめんな?』
ちょっと待っててな、と言い、龍は違う客の席へ行った。2005-07-05 01:46:00 -
579:
涼
いつものごとく放置プレイ。あたしはズケズケものを言うからここのヘルプから怖がられていた。形だけ、席にはつくものの黙ったままの子も多かった。別に無理に飲ませたりはしない。ただ、面白くない喋りにはなんとも冷たい反応をしていたと思う。そのせいか普段から誰もヘルプに来なかった。だから、誰もついてなくてももう慣れっこだ。ボーっと携帯を眺めて暇をつぶす。
2005-07-05 02:11:00 -
580:
涼
シャンパンコール連発だったのでよその席を眺めたり、お客さんの表情を見たり、よその席で接客している龍を見たり。満席なだけにどこを見てても飽きなかった。
ふっと龍に目をやる。今まで被ったことのないお客さんだった。2005-07-05 02:15:00 -
581:
涼
薄暗い店内で、あたしは目が悪いからよく見えなかったけど若い子ではなさそうだ。視線がテーブルに釘付けになった。
そのお客さんと龍は向かい合って座っていた。手をつないで喋っている。ファミレスによくいる、料理が来るまでの間テーブルの上で手をつないでるカップルのように。2005-07-05 02:16:00 -
582:
涼
仕事なんだから。酔っているし、別に手をつなぐことにそんなたいした意味があるとは思えない。接客中に無下にやめてくださいとも言えないだろう。気にしない気にしない。
そうは思っていても気になる。視線はそこにばかり行くようになった。
まだ繋いでいる。まぁ、繋いでいると言うより、龍の手をお客さんが一方的に持っていると言った感じだが。他の席を見ようと思っても、気になる。まだ繋いでいる。落ち着かない。さっきからもうタバコは消しては付けて、消してはつけての繰り返し。2005-07-05 02:17:00 -
583:
涼
龍が席を立った。違う子が同じ位置でヘルプにつく。そのお客さんはその子の手も、同じようにした。ただのスキンシップが好きな人か…??ちょっと落ち着いた。
2005-07-05 02:18:00 -
584:
涼
龍が伝票を持ってそこの席に戻ってきた。もう帰るんだ。
お客さんが席を立つ。龍が前を歩く。お客さんは前を歩く龍の手に手を伸ばし、手を繋いだ。
『ありあ〜っす!!!』と響く声が、すごく遠くで聞こえたような気がした。2005-07-05 02:19:00 -
585:
涼
手を繋いだ・・・今度は、ほんとにちゃんとしっかりと。あたしの席の真横を通ったときに。それは偶然だろうけど・・・顔はどっちかと言うと老けていた。30代にも見えそうなくらいに。
でも、確かに今、手を繋いであの人は出て行った。2005-07-05 02:21:00 -
586:
涼
あたしだって、龍と手を繋ぎたいのに。繋いだことないのに。店の中でそんなことをしたらいけないって思ってるからしないのに。なんで????あれは誰?
そればっかりが頭の中を駆け巡る。ショックで倒れそうなくらいだ。それと同時に、龍にものすごく腹が立ってきた。2005-07-05 02:22:00 -
587:
涼
『ただいま〜♪』
『仲いいねんな』とぶっきらぼうに答えた。
『へ?なにが??』きょとんとしている。
『手、繋いで帰ってたやろ?席でもずっと繋いでたよな。』
『あぁ、あの人いつもやで。しゃあないねん。嫌とか言えへんし。』
『ふーん』
なにがしゃぁないねん・・・だんだん怒りのほうが大きくなってきた。2005-07-05 02:23:00 -
588:
涼
略
『ふーん』
なにがしゃぁないねん・・・だんだん怒りのほうが大きくなってきた。
2005-07-05 02:24:00 -
589:
涼
『使うときはめっちゃ使う人やし、嫌とか言えへん』
また金!?あたしと、前に同じような経過で喧嘩になったことを覚えてないんだろうか。
『あ〜そう。悪かったね、細客で』
龍の一言で、切れモードのスイッチが完璧に入った。その一言で、龍の切れモードのスイッチも入った。2005-07-05 02:29:00 -
590:
涼
『は!?なにがやねん。あの人は主任のお客さんの枝で俺指名にしてくれた人やねん!主任のお客さんも俺の事気に入ってて、あの人らは一人じゃこーへんねん。二人とも使うときは使うから俺があの人の機嫌を損ねたら主任のお客さんも切れるねん!!それであの人切れたら、俺主任の売り上げどうやって責任取ったらいいねん!?』
『だから、結局金やろ?使うから文句いわへん、拒否らへん。そうやろ?』
『お前何が言いたいねん!?』
卓也に直接言いに行く、と言ったときと同じ本気で切れている顔になった。2005-07-05 02:30:00 -
591:
涼
『手を繋ぐのも金次第、ってことやろ?どうせあたしは誰の枝でもないですよ。』
『は?俺が繋ぎたくて繋いでんちゃうわ!!』
『お前の気持ちがどうやったかなんか知るか!繋いだってゆーことには変わらんやろーが!』
『なんでやねん。気持ち入ってへんねんぞ!?』2005-07-05 02:31:00 -
592:
涼
『入ってるも入ってないも関係ないわ!!どっちみち繋いだのは事実やんけ!!』
『気持ち入ってへんのに羨ましいんか?』
『羨ましいよ!?涼だって手繋ぎたいよ?』
『気持ち入ってなくてもか!?』2005-07-05 02:32:00 -
593:
涼
『お前、涼が本気で好きで店来てるって知ってるやんな!?』
『知ってるよ。』
『ほんなら考えたら簡単ちゃうんか?自分のことを好きな女が、他の女とて繋いでるの見て普通におれると思うか!?』
『だからしゃぁないやんけ!好きでやってんちゃうわ俺だって!!』2005-07-05 02:33:00 -
594:
涼
『涼も同じ条件にしたらええんか?なぁ。涼の友達で、金持ってる子であんたより上の人間指名さして金使わすわ。涼と一緒じゃなきゃその子はこーへん。そうなったら、あんた涼とも手繋ぐか?』
『なんでそうなんねん・・・』
『主任の売り上げのためってゆうたやんけ!』
お互いいろんな意味でバチ切れていた。2005-07-05 02:35:00 -
595:
涼
『仕事やろ!何でわからへんねん!!』
そう言うとはぁ、とため息をついて龍は席を立った。よその席でやっているシャンパンコールのおかげで周りには会話は聞こえない。
思い返すと、相当むちゃくちゃなことをいっている気がする。・・・いや、言ってるな、確実に。2005-07-05 02:39:00 -
596:
涼
でも、本当にショックだった。あたしだって、手を繋ぎたかった。この頃からあたしは今まで以上に人を好きになっていた。龍のことをこんなにも好きになるなんて。手を繋いでたくらいでこんなにも取り乱すなんて。また、龍に迷惑をかけてしまった…
2005-07-05 02:42:00 -
597:
涼
そうは思うのだが、容易に気持ちの整理はつかなかった。もし、席に戻ってきたらごめんねって言おう。そう思っているのに、苛立ったままだった。どうしても、売り上げの話を出されたのが気に食わない。だから要約すれば、お金を使ってればいいってことじゃないのか!?あんな言い方やとそうしか聞こえへんし…
龍も苛立っているのがわかるのかなかなか帰ってこない。2005-07-05 02:44:00 -
598:
涼
放置されて、周りは楽しそうであたしは一人でぽつんと座っていた。龍が戻ってきたら謝ろうと思っているのに。。。戻ってこない。やっと戻ってきたと思ったらひとことめは『いつまでそんな不機嫌なん?』かちんときた。
『機嫌悪いの見たくないんやったらどっかよその席行ってりゃいいやろ!!!!』
あぁ、こんな事言うつもりじゃなかったのに。謝ろうと思ってたのに・・・2005-07-05 02:45:00 -
599:
涼
『なんやねんそれ。わかったわ、どっかいくわ』
行っちゃった・・・よその席で楽しそうにしゃべる龍。あたしはまたぽつんと一人。よほどショックだったんだろう。顔を見るとイライラした。どうしても、金の話を出されたのがまだ納得いかない。納得いく説明がほしかった。また龍が戻ってきた。2005-07-05 02:46:00 -
600:
涼
『お前、絶対誤解してるって・・・日曜あけといて?ゆっくり話しよ。』
お誘いだ。嬉しかった。あたしのことを気にかけてくれてる。売り上げのためでもよかった。龍と一緒にいれるなら。2005-07-05 02:47:00