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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
601:
涼
単純なあたしはその一言で機嫌が直った。日曜、龍と一緒に居れる嬉しさが勝ったんだろう。そこからは喧嘩する事もなく、普通にいれた。昼前になってもイベントはまだ続いていた。人情が厚いのか、どんどん仕事を終えた同業が集まってくる。いい加減あたしは疲れてきたので帰ることにした。
2005-07-05 02:47:00 -
602:
涼
『日曜、絶対やで♪』
『おう☆わかってるよ』
そんなやり取りをして帰るころにはもうすっかり機嫌は直って、日曜が楽しみで仕方なかった。われながらなんと単純な・・・(−−;2005-07-05 02:49:00 -
603:
涼
えらいことになった未収を考えてそこからは店には行かなかった。それでも龍は毎日メールや電話をくれた。なんでもないやり取り。営業してくるわけでもなく、友達同士のようなメール。まぁ、あんな未収の後では心配性の龍はあたしを店に呼ぶことはできないだろうとも思ったけど。
2005-07-05 02:50:00 -
604:
涼
しかし、日曜の約束は果たされなかった。土曜日が予想外に忙しかったらしく、龍はつぶれたらしい。それでも連絡をちゃんとしてきてくれた。覚えててくれたんだ。嬉しかった。
誠ちゃんと別れてからはあたしの気持ちは全部が龍に向かっていった。今までいろんな人にばら撒いていた好きという感情が、すべて龍に向いた。何年ぶりかの片思い。手に入らないもどかしさ。あいまいな龍の態度。すべてが重くのしかかってくる。
誠ちゃんと別れてなかったときの“安定”がなくなって、実るかどうかもわからない片思いはあたしの心に大きな闇を作っていく。2005-07-05 02:51:00 -
605:
涼
“今おる客めっちゃだるいねんたすけて”
仕事が終わって家にいるとそんなメールが来た。あらあらかわいそうに。と思って“はいはい、しゃーなしな笑”とメールを返し店に向かった。
店に入るとちらほらお客さんがいた。2005-07-05 02:52:00 -
606:
涼
案内されて席に座る。う〜んやっぱりあたしの席には誰も来ない。というか何人かはまだキャッチに出ているらしく、いつもより従業員が少なかった。ボーっと向かいの席でしゃべっている龍を見る。座ってる位置からしてヘルプをしているらしい。
ず〜っとみて手も面白くないのでカチカチ携帯をいじっていた。2005-07-05 02:53:00 -
607:
涼
『どうした〜ん、そんな暗い顔して・・・って涼!?』
放置されてる客だと思いヘルプしに来たつもりだったらしい。気づけよ。
しばらくしゃべって席を立って、龍が向こうから『涼、あげる♪』と何かを投げてきた。受け止めるとそれは小さなプーさんだった。『これも!』と今度は袋を投げてきた。中には小さなディズニーのぬいぐるみが入っていた。2005-07-05 02:54:00 -
608:
涼
『どうしたん!?こんなようけ。』『ユーフォーキャッチャーで取れた。』『あんたは何が欲しかったん?』『俺は別になんもいらん。』
あたしがディズニー好きって言ったから?なんて都合のいいことを考えながら一人で喜んでいた。
2005-07-05 02:55:00 -
609:
涼
店はちょっとクーラーが効きすぎていて寒かった。寒い、と言うと龍はクーラーを切ってきてくれた。それでもまだ寒かったので上着を貸してと頼んだら、もうすぐ寒くなくなるからと言われた。
そういわれたので我慢していたら、よその席で自分のジャケットを貸していた。それがなんだかあまりにもショックで放心状態になった。些細なことだとはわかっている。たかが上着だ。でも。。。なんだか崖から突き落とされたくらいショックだった。2005-07-05 02:56:00 -
610:
涼
もう、珍しくついたヘルプの言うことなんてちっとも耳に入らなくてボーっとしていた。トイレに行こう、と思い席を立った拍子に壁からわずかに出ていた釘に手がぶつかり、手の甲に出ている血管が切れ“ぷくっ”と小さく膨らんだ。どうしてだかわからないが、それがすごく面白かった。
2005-07-05 02:57:00 -
611:
涼
何度も何度も釘に手の甲をぶつける。ぷくぷくと小さな膨らみは増えていく。楽しい。無我夢中になった。やがて手の甲はぷくぷくだらけになり全体的に紫色を帯びてきた。ちょっと冷静になると、痛い。でも、ただ単に面白かった。痛いことで、凹んでた気持ちが楽になった気がした。何度も何度もやったので同じところにも何度かヒットし相当痛くなってきた。もう、手の甲にはできない。
2005-07-05 02:58:00 -
612:
涼
体に一つ傷を作る度に少し落ち着くような気がした。リストカットをする人の気持ちが少し解った気がした。グラスを割って切ろうかとも思った。でもそんな事をしたら、たかだかジャケットごときで龍の心に大きな傷を作ってしまう気がしてやめた。ミミズ腫れは意外に傷も深かったらしく少しだが全部の傷から血が流れた。慌てておしぼりで拭き、トイレのごみ箱に捨てた。店は忙しくなってきてヘルプはいつものように来ないし、龍も忙しそうに動き回って帰ってこなかったので誰にもばれずにすんだ。
2005-07-05 02:59:00 -
613:
涼
ラストになっても帰ってこない。照明がつき伝票を持った龍が帰って来た。
『ごめんなっ忙しくて…ってお前その腕!?どしたん?誰にやられたん!?』
誰にやられたんって店で誰がこんな事人の客にすんねん…と思いながら黙って自分で自分を指差した。2005-07-05 03:00:00 -
614:
涼
『自分でやったん!?なんで??』
真剣に心配している龍。ありがとう。でも今あたし笑えない。
『明るくなったらこれ目立つねぇ』
龍は黙ったままだった。
送りだしをしてもらい外に出る。2005-07-05 03:01:00 -
615:
涼
『外で見たら一層目立つなぁ…お客さんびっくりしちゃう…』
おい!と呼ぶ声がする。大好きな龍の優しい声…
『おい!涼?ほんまに大丈夫なんか?なぁ?』
うつむいたままのあたしに必死に話し掛ける龍。
ごめんね…心配させてごめんね…2005-07-05 03:02:00 -
616:
涼
『これ、猫に引っ掻かれたって言ったらお客さん納得するかなぁ?』
『いや、無理やろ…じゃなくて!!』
あたしは龍に背を向け歩き出した。
『振り向くくらいしろって!おい!涼!』
遠くで聞こえる龍の声。ごめんね…2005-07-05 03:03:00 -
617:
涼
今喋ったら嫉妬丸出しの言葉を食ってかかって龍にぶつけてしまう。疲れている龍を余計に疲れさせてしまう。優しい龍はきっと涼がこんな事したのは自分のせいだと自分を責める。そんな思いはさせたくない。やってしまったのは衝動…自分で自分を抑える為…些細な嫉妬で困らせたくなくて…。目に見えて大袈裟に残ってしまったから心配かけちゃったけど…今口をきかないのはあたしなりの優しさなんだよ…そぅ思いながら一度も振り返らずに帰った。
2005-07-05 03:04:00 -
618:
涼
次の日も店に行った。ソフトドリンクとセットだけだったから安くあがった。でも…龍の事を気にしすぎているあたしがいた。もぅいなくなってしまいたかった。悩んでも答えはでないのに悩んでしまう。龍の些細な行動で底辺までテンションが墜ちる。焦点も合わさずに座っているあたしは相当恐かっただろう。話し掛けても答えなかったしぼーっと煙草を吸うだけ。焦点を合わさずに座っている時以外は常に妙な事にハマッて没頭していた。煙草の箱の回りのビニールを綺麗に裂いたり、吸い殻の中の葉を全部掻き出したり、氷を積み上げてみたり。
2005-07-05 03:05:00 -
619:
涼
このままじゃ自分が壊れてしまう…被害妄想が酷すぎるので店にしばらく行かないでおこうと思った。最近毎日つるんでいる恵里とカラオケ行ったりマンキ行ったりとりあえずホストに行かずに過ごした。恵里は最初あたしが自分で付けた傷を見て怒っていたが一度龍に会ってみたいと言い出した。一人で店に行くよりは恵里が居てくれた方があたしとしても楽だ。
『今日初回の子連れていくね〜♪』
久し振りに龍に会う。ドキドキした。2005-07-05 03:07:00 -
620:
涼
恵里には役職の彼氏が居た。あたしが腕を傷だらけにした数日後恵里は腕に切り傷を無数に付けてあたしの前に現れた。彼氏と喧嘩して衝動的にグラスの破片でやったらしい。
『あんたがあんなんしてアホやなって思ったけど、痛くしたら落ち着くもんなんやなぁ〜』
恵里は笑ってそう言った。『付き合ってても辛いときはあるけど片思いなんやったらあんたの方が辛いこと多いやろうし、でもあんたも龍に会いたいやろぉ?』そんなこんなで店に着いた。2005-07-05 03:07:00 -
621:
涼
『おはよう♪』
龍は笑顔であたし達を出迎えてくれた。
恵里の彼氏の話をしたり、初回の恵里が居るのでヘルプもたくさんついた。今日は変な被害妄想せずにすみそうだな〜なんて思っていた。
『龍くんは涼と遊んだりせぇへんの?』
彼氏と仕事の後には大概会う恵里が不思議そうに龍に聞いた。2005-07-05 03:09:00 -
622:
涼
『俺は寝たいからなぁ仕事の後は。好きでもない奴と遊んでもしんどいだけやしな。好きやったら付き合ってるし』
あぁ今日は何もなく終わると思ったのに…。
泣き出してしまった。言葉でハッキリそんな事を言われては…遠くで恵里と龍の声が聞こえる。2005-07-05 03:10:00 -
623:
涼
好きやったら付き合ってる…当たり前だけど“今付き合っていない”=“好きではない”。わかっていたけど…目の前で本人からそんな言葉を聞いては…もぅ顔をあげるのも嫌だった。ふと横に人の気配を感じる。龍が横に来た。
2005-07-05 03:12:00 -
624:
涼
『泣くなって…でもそぅやろ?好きやったら付き合うやろ?』………とどめですか!?
『そんな何回も言わんでいいわ!!!』
龍におしぼりを投げつける。何回も言わないで。あたしが一番望んでいることをそんな簡単に否定しないで。傷をエグらないでよ…
『涼?なきやんで?俺の気持ちは何回もゆってるやん?』
毎回“お前の事は真剣に考えてる”って曖昧なくせに……2005-07-05 03:13:00 -
625:
涼
『先はわからんやん?好きになるかもしれんやんか。』
……なんだそりゃ。下手くそな慰め。今好きじゃないのはもぅわかったよ……無性に腹が立った。何の相づちも打たず龍の話を聞いていたがどんどんみじめになってくる。
『もういいってば!!好きじゃないのはよくわかったから何回も言わんとってって!!!黙って!!』
BGMがタイミング悪く途切れた。あたしの声が店に響く。…恥ずかしい……2005-07-05 03:14:00 -
626:
涼
『好きじゃない奴と遊んでも楽しくないって俺ゆうたやろ?でも俺お前と遊んだやん?なんでお前はそれをプラスにとらへんねや!?俺が営業せえへんの知ってるやろ!?でもお前とは遊んだやん。それは他とは違うって事じゃないんか?』
何かと言えばすぐそれ。一回遊んだのはそんなに大したことなのか!?2005-07-05 03:15:00 -
627:
涼
『だから別に楽しくなかったんやろ?好きじゃない奴と遊んだから。』
『お前な…好きじゃない奴やったら俺がそんなんしーひん事わかってるやろ!?普通に断る奴やって知ってるやろ!?』
だからなんでそう曖昧なんだよ何もかも……“好きじゃない奴とは遊ばない、でもお前とは遊んだ”からと言って“好き”だとは言ってはくれない。どないやねん!!泣きながら心の中でつっこんだ。掴みにくい。今まであんまり片思いをしていないから、相手を知ろうとかおもわなかったからか、読めない。こんなわかりにくい人は初めてだ。やっぱり誰より龍が好きなんだなと実感した。2005-07-05 03:15:00 -
628:
涼
『泣きやんで?ごめんな。恵理ちゃんにゆうたんは本音は本音やけどお前の事じゃないで?営業トーク♪』なんの!?今まで何回か友達を連れていった。龍がいいと言った子もいた。でも龍はダブル口座を嫌がった。つじつま合ってねぇよ……
『あんたダブル口座いっつも嫌って言うてるやん!!恵理に営業トークなんかしたってしゃあないやろ!?あんたの口座にはならんのやから。』
『ホストとしての意見って事や!そーゆー意味の営業とちゃうわ!』2005-07-05 03:17:00 -
629:
涼
席を外してた恵理が帰ってきた。
『仲直りした?』
あたしはまだ泣きっ面だった。重ね塗りしたマスカラがボロボロだ。
『今笑わせるから!』と言ってあたしの耳元で『ふとんがふっとんだ』
…笑ってしまった。下らないにも程がある使い古されたダジャレ。あたしはなぜかいつも大受けしてしまう。
『笑ったやろ?なっコレこいつにしか通じひんけど必殺やねん♪』
何を言って笑ったのかわかっていない恵理はキョトンとしていた。2005-07-05 03:20:00 -
630:
涼
略
『笑ったやろ?なっコレこいつにしか通じひんけど必殺やねん♪』
何を言って笑ったのかわかっていない恵理はキョトンとしていた。
2005-07-05 03:23:00 -
631:
涼
もぅ時間は閉店間際だった。あの後あたしはまだいくつかしょうもないダジャレを言われ完璧に泣き止んでいた。前に龍がこの面白くないダジャレを言ったのはお客さんと手を繋いであたしと大喧嘩した時だった。
『なんで涼笑ったん?』不思議そうに恵里が龍に聞く。こそっと龍が恵里に耳打ちした。恵里は呆れ返った顔で“なんでそんなんで笑えんの!?”と言っていた。
『これは俺の涼の機嫌直す最終手段やからなあ(笑)前大喧嘩したとき5時間くらいコイツ機嫌直らんかって、めっちゃテンパッてシャレゆったらウケたから♪』と、龍は何だか嬉しそうだった。2005-07-05 03:24:00 -
632:
涼
チェックをして店を出る。もぅ明るいミナミの町を歩きながら恵里からあたしが泣き出したときの話を聞いた。
『龍くんめっちゃ焦ってたから、恵里が席外したるからちゃんと話しぃ、恵里が戻って来た時に涼がまだ泣いてたら許さへんでってゆうたんやで☆』それで恵里が戻って来た時龍はギョッとしてたのか。2005-07-05 03:26:00 -
633:
涼
『掴みにくい人やなぁ…』やっぱり恵里から見ても掴みにくいようだ。
『あれじゃぁ涼が毎日テンション上がったり下がったりすんのわかるわぁ』と恵里は笑っていたが、あたしからしたら笑い事ではない。
『でも良い方に向かいそうやね☆』……マジで?2005-07-05 03:27:00 -
634:
涼
とりあえず未収が終わったら一旦引いてみようということになった。恵里は“あの人絶対引いたらスグ落とせるタイプ”だと言い切った。龍の気にしぃな性格からして引けば気にかけるのは確実だが、それが駆け引きだったとバレたら気まずい。とりあえず何にせよ、全ては未収が終わったら、という事で仕事まで寝ようと二人でマンキに行った。“泣いてごめん”系の内容のメールを作りながら、恵里がいたお陰で意外な龍の一面も見れたしな…と、二人とも意地っ張りで喧嘩したらなかなかどっちも謝らない、て話していた時の事を思い出した。
2005-07-05 03:28:00 -
635:
涼
『俺もお前も謝らへんよなぁ〜(笑)』
『なんでょ、涼謝るやんかぁ!?』
『お前いっつもメールか紙に書いてでしか謝らへんやんけ(笑)俺が謝っても許してくれへん方が多いし』2005-07-05 03:29:00 -
636:
涼
そう、あたしはごめんなさいを口で言うのが苦手だ。何故か謝れない。見抜かれていた。も些細な事だがとても嬉しかった。段々あたしの性格を掴んでくれてる。龍の性格はあたしからして掴みにくいが、他人からはあたしも“掴みにくい”とよく言われる。なんだか解ってくれたような気がして嬉しかった。そんな事を思いながらメールを作っているといつの間にか寝てしまっていた。
2005-07-05 03:30:00 -
637:
涼
ハッ、と気がつくともう夜だった。慌ててシャワーを浴び支度をして出勤。なんでかどうにも最近暇だ。なんとか数日で10万貯まったので入金しに行った。それを何度か繰り返していたが、タイミング悪くこんな時に大金を返さないといけない相手から連絡があったりする。しかもそこから二、三日物凄く暇な日が続いた。店の子達もスウェット持参で待機室でくつろぐ気満々だ。あたしも一緒になってプレステをしたりDVDを見たり、のんびり過ごした。たまには暇な日だってある、とのんきに構えていたがそんな日が続いた。やばい!?締日が近づいてくる。
2005-07-05 03:31:00 -
638:
涼
龍の店にも行かず、どこにも遊びに行かなかったがこのペースでは確実にヤバい。サラ金は延滞しているのでどこも貸してはくれないだろう。残りの額を締日までの日数で割っても、もぅなんとかなる金額ではなくなっていた。やばいやばいやばい!!!焦りだけが募る。昼から出勤したりもしたが相変わらず暇だった。給料日だというのに客足は普段と変わらず、給料日だからと出勤してくる女の子も多くて下手したら普段を下回るくらいの勢いだった。なんとか残りを10万代まで減らしてはいたが、締日に残りを綺麗にする事は出来ない。とうとう締日が来てしまった。
2005-07-05 03:32:00 -
639:
涼
『こぼれるん?なんぼくらい?』
龍は、もしもしも言わずいきなり話し出した。どうしよう。
『まだわからんねんけど…こぼれるんやったら全額こぼれるし、こぼれへんかも知れへんし、まだわからへんねん…』2005-07-05 03:34:00 -
640:
涼
自分の客の金融屋なんかにもみんな電話したが、なんと間の悪いことに出張に行っていたり、電話に出なかったりで、お金のアテがなかった。一人の客が、出張には行ってるけど、大阪の知り合いに聞いてみてあげるから、と返事待ちをしている状態だった。返事はいつになるかわからないし貸してもらえる保証もない。はっきりしたことは何もいえなかった。出勤しても未収分全額を稼げないことだけが、はっきりしていた。
2005-07-05 03:35:00 -
641:
涼
『まぁ、しゃぁないし…どうなるかまた電話してな。』そういって電話は切れた。
出勤してみるものの、また暇だ。給料日後なのになんでだ?何のための給料日やねん!!とぶつけようのない怒りがたまっていく。客からの電話もない。違う客は、予定を繰り上げれそうだったら早朝大阪に帰るようにするよ、と言っていたが朝方になっても電話はなかった。客なんて妻帯者がほとんどだ。朝4時や5時に電話をかけるわけには行かない。どうしようどうしよう・・・結局知り合いに聞いてみると言った人も、無理だった。2005-07-05 03:37:00 -
642:
涼
6時ごろ、龍からの電話が鳴った。
『どうなりそう?』
『ごめん、無理っぽい・・・』
『わかった、忙しいからまたかけるな。』
2005-07-05 03:37:00 -
643:
涼
一瞬で電話は終わった。うちに恵理が泊まりに来ていて、二人でもう寝ようとしたときだった。あたしは何とかして早くお金作らなきゃ・・・と思っていたのでなかなか寝付けなかったがふと見ると恵理はもう寝ていた。ソファでごろんと横になり、寝ようとしても夜中緊張状態だったせいか眠れない。ボーっとしていると、龍からのメールが来た。何だろう、と思いメールを開いた瞬間、携帯はあたしの手からゴトッと音を立てフローリングの床に転がり落ちた。入っていたメールの内容は目を疑うものだった。
2005-07-05 03:38:00 -
644:
涼
拾い上げて、震える手でメールを読み返す。《お前のこと好きやし来月払うの信用してるから無理せんでええで。給料なくても何とかがんばるから》
2005-07-05 03:39:00 -
645:
涼
好きって、好きって・・・・!?!?!?頭はパニックだ。未収こぼしたのに好きって!?!?それが手なのか何なのかわからないし、《好き》だと言われたのは初めてだ。一度寝たら起きない恵理は起こしても、ん〜〜・・・と言うだけだった。あわてて真美に電話をするが出ない。誰か、何とかして、話聞いて〜〜!!!かけまくって5回目くらいにやっと真美が出た。話すと真美もびっくりしていた。電話を切っても、あたしはずっと興奮状態だった。好きって・・・そればっかりが頭をかけめぐる。
2005-07-05 03:40:00 -
646:
涼
どういう意味なんだろう?頭にはハテナが大量発生していた。いつの間にか寝てしまっていて、3時ごろ恵理に起こされた。
『あんたなんか朝大騒ぎしてた?』
うすうす起きかけてたが恵理の言葉にはっとなって一瞬で目が覚めた。もう一度メールを読み返す。夢じゃない。本当に、好きだと今日見ても入っている。2005-07-05 03:41:00 -
647:
涼
とりあえず恵理と、ぶらぶらしにミナミへ出た。仕事に行って、夜中はいつものカフェでまったりだ。
『何で、龍好きとか入れてきたんかなぁ?』あたしは多分今日恵理に何十回と、この質問をしている。
『だから龍くんにどういう意味なんって聞きって何回も言ってるやろ〜』恵理は呆れ顔だ。
聞いてなんて返ってくるのか。ある意味怖い。でも、今までの龍との関係よりは一歩前に進んだような気はする。でもやっぱり・・・聞くのは怖い。2005-07-05 03:42:00 -
648:
涼
『もぉ、携帯貸して!恵理がきいたるわ!!』
恵理があたしの携帯をさっと奪い取った。
『!!!!!涼自分で聞くからぁ〜〜』
恐る恐る龍にメールを打った。《昨日のメール、どういう意味?》
返事が来るまでの数分が何時間にも思える。何度も問い合わせをしてしまう。あぁ、恐い・・・・2005-07-05 03:44:00 -
649:
涼
♪♪♪♪来た!!!!!!開けるのが恐い。意を決してボタンを押す。《人間としてってことやで》でた〜!曖昧!ものすごく曖昧。ちょっとムッとしたあたしの顔を見て恵理は何々??と興味しんしんだ。その曖昧な答えに腹が立った。一人で大騒ぎして馬鹿みたいじゃないか。と思い《あ〜そう》と返した。
2005-07-05 03:46:00 -
650:
涼
すると《お前意味わかってる?つまり客じゃなく真剣に考えてるってゆうことやで?》・・・うーんこれまた返しにくい・・・恵理のほうに画面を向け“どうしたらいい?”という顔で見てみた。恵理はまたもやあたしから携帯を奪い《それは客じゃなくて女として見てるって意味にとっていいの?》と打ってあたしに返してきたのでそのまま送信した。すると《ちゃんと見てるよ。まえからゆうてるやん》と返ってきた。確かに前から言われてはいるけど・・・そこから一歩も進んでない。まぁ“好き”と一度きりでもいわれただけ進歩したのかな・・・
2005-07-05 03:48:00