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恋愛ジャンキー
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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
178:
涼
落ち着こう。もう一度寝よう。ベッドに潜り込もうとする。パイプベッドがきしむ。
『ん……?どうしたん?優ちゃん……』
……二度目だ。ありえない。絶対何かある。女の勘ってやつだ。もう我慢ならない。
『残念!!優ちゃんじゃないんだな〜ぁ』
わざとおどけながら剛の頬を軽くつねる。ひどく驚いた様子で剛が目を開ける。2005-06-06 08:06:00 -
179:
涼
『うわっ!!涼か……優ちゃんがなんて??』
『なんて??じゃないわこのアホ!!二回も呼んだってどおゆう事よ。』
いつもなら泣き叫んで発狂してもおかしくない事態だが、なぜかひどく落ち着いていた。2005-06-06 08:06:00 -
180:
涼
聞けばこの間飲み会をした時に優ちゃんがひどく酔っぱらい、その夢を見ていたと言う。そんなわけあるか!と思ったが喧嘩してまた別れ話をされるのが嫌なのでそっかぁと明るく答えた。
しかし剛が【誤魔化しきれた】と思ったのかほっとした表情を浮かべたのを見逃さなかった。でもやはり別れ話をしたくないので見逃したふりをしてやった。2005-06-06 08:07:00 -
181:
涼
数日後電話で話しているとまだタケシの事を疑っていたようで浮気の話になった。あまりにも自分ばかり責められるので腹が立って『寝ぼけて名前間違えたお前の方がよっぽど怪しいんじゃバカ!!』と言ってしまった。
剛はあははと笑い明るいトーンでこう言った。
『あ〜だって前の日優ちゃん泊まりに来てたし。間違えたんはしゃーないって』
どのへんがしゃーないのか。とりあえず詫びるべきだろうが。と言うかだからなんで言わなきゃ分からないことをこいつは自己申告するのか。疑問で頭がいっぱいになった。2005-06-06 08:08:00 -
182:
涼
多分これを聞いた時が今までで一番涼がトチ狂った時だと思う。非常階段のザラザラした壁を殴る。手は擦れて血塗れ。泣き叫ぶ涼の耳元で電話の向こうから聞こえる脳天気な剛の笑い声。友達もいっしょにいるらしい。
2005-06-06 08:17:00 -
183:
涼
『優ちゃんの事ゆったら発狂しとんねんけど〜あ、お前それそっちじゃないって!!』
ゲームでもしているのか電話の向こうの涼なんてまるで存在しないかのように、友達と話をする剛。自分は一体この男の何なのか。というか剛はあたしを何だと思っているのか。剛の気持ちはもう優ちゃんにいってしまったのか??切なくて、やるせなくて、剛の心を取り戻す術も見つからなくて、泣き叫んでいるしかできなかった。2005-06-06 08:19:00 -
184:
涼
『さっさと別れてよ!!』それくらいしか言葉がでない。返ってきた言葉で涼はさらに狂気を増す。
『いやいや、優ちゃんと別れるんやったらお前と別れるわ。別れたくないんやったら別れへんけど、お前と別れへんかったら優ちゃんとも付き合い続けるで』
なんというむちゃくちゃな……と言うか優ちゃんとも付き合ってんのかよ…今にして思えばその時別れれば良かったのだが当時の涼にはそれはできなかった。2005-06-06 08:20:00 -
185:
涼
二番目だろうが、金蔓だろうが二股してようが別れなくてすむなら何だって良かった。
『どっちの方が好き?』
なんて愚問を問いかける。
『涼に決まってるやんか。今までだって浮気したって最後には涼のとこに帰ってきたやろ??』2005-06-06 08:21:00 -
186:
涼
さっきまで散々に言ってたくせにうって変わって甘い声。冷静な時に考えれば全く理屈が通っていないが、発狂した涼が元に戻るには十分すぎるほど甘い言葉。
『じゃあ早く涼の所にかえってきてね』
今思い返しても当時の自分がなにを考えてたのかわからない。2005-06-06 08:22:00 -
187:
涼
その後もふつうに付き合いを続けた。頑張って【余裕のある彼女】を演じ続けた。本当は余裕なんてかけらもない。早く優ちゃんと別れて、口を開けばそればっかり出てきそうだ。
ふっと気づいたが、剛は優ちゃんが来ているとき自分の荷物をどうしているのだろう。剛が風呂を掃除している時に音をたてずにクローゼットを開ける。すぐに目に飛び込んできた教科書の山。ダサイ服。涼の荷物は奥に突っ込まれていた。ぱっと見では確実に見えない。
隠されている……優ちゃんは涼の存在を知らない。自分だけが剛に愛されていると思っているはずだ。そこはあたしの場所なのに…。剛を返して……あたしのなの。あんたのじゃないの……何も答えない荷物に向かって呟き続けた。2005-06-06 08:23:00