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恋愛ジャンキー
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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
188:
涼
『涼〜今日入浴剤何にする??こないだのお湯がとろとろになるやつにする??』
はっと我に返る。あたしはこんな思いをしているというのになんと脳天気なやつだ……
『ん〜、それのお湯がピンクになるやつにしよ♪』
剛に悟られないようになるだけ明るく答える。風呂場でわかった〜という声が響く。たばこを吸いに台所へ向かう。ふっと目をやると冷蔵庫の上に小皿。置いた覚えはないし、今日の夕飯にも使っていない。2005-06-06 08:24:00 -
189:
涼
『これ、なんでここにあるん??』
『あ〜優ちゃん歯磨き塩でやるねん。たぶんそん時塩入れたやつやわ』
確かに公認の浮気だが……というか認めざるを得ない状況にされたのだが、そんなにぬけぬけと普通に答えられては立場なしだ。もうちょっと申し訳なさそうに言えよ…と思いながら、平静を装ってあ〜そう、と答えた声は少し震えていた。2005-06-06 08:25:00 -
190:
涼
何をしていても優ちゃんがちらつく。優ちゃんにもこんな風に優しくしたのかな……こんな風に言ったのかな……会ったこともない【優ちゃん】の陰に押しつぶされそうになる。
その夜顔は見えなかったが【優子】と名乗る女に『早く負けを認めなさいよ』と言われる夢を見た。剛の家が優ちゃんが一時でもいた空間だとわかったとたんに、剛の家はあたしの中で【幸せな時間を過ごす場所】から【優ちゃんの陰に押しつぶされそうになる場所】に変わった。気持ちを落ち着かそうと、また台所へ向かう。たばこに火をつけふーっと息をはくと心なしか落ち着いた気がした。冷蔵庫の上に小皿ある小皿がまた優ちゃんを思い出させる。
今時塩で歯磨くかフツー……なんて思いながら目に入らない食器棚に押し込んだ。2005-06-06 08:26:00 -
191:
涼
月曜日の朝、剛は学校へと行く。あたしは学校に向かう大学生の群に逆らって駅へと向かう。今朝のバイバイは特別辛かった。あたしと分かれたすぐその後に、優ちゃんと顔を合わすのかと思うと嫌で嫌で仕方なかった。だが、そんなわがままは言ってられない。あたしも学校だ。
20才で専門学校に入った為、クラスメイトはほとんどが18。顔も見た事のない優ちゃんとかぶる。彼氏とどこへ行っただとかそんな話ばかり。幸せな休みの日を満喫したようだ。羨ましいと思う反面妬ましくて仕方なかった。2005-06-06 08:27:00 -
192:
涼
あたしは上に兄弟がいなかった上に、下が離れすぎているので同年代の子と比べても昔から精神面は大人びていると言われていた。二つも年下の子たちは話していると中身はもっと下のように感じた。【ガキ】だと思っていたクラスメイトにはあまり馴染めず、見下している相手に相談などする気にもなれなかった。
2005-06-06 08:28:00 -
193:
涼
おそらく剛と優ちゃんは平日にデートをしているだろう。次の日はこいつらみたいにきゃあきゃあと友達に話すのだろう。そう考えると何の罪もないクラスメイトに無性に腹が立った。始業のチャイムが鳴る。戻りたくないのでもう一本タバコに火をつける。一本吸い終わって仕方なしに教室に戻る。タバコの臭いを全身に纏ったままのあたしに『ばれるよぉ』と隣の席の恵理がおろおろしている。
2005-06-06 08:29:00 -
194:
涼
『涼ちゃんなんかあったの?イライラしてない?』
『してないよ』
本当はしてるが、口を開けば無意味な八つ当たりをしてしまいそうだったので、それだけ言って目線をそらした。
しかし好奇心旺盛というか野次馬根性というか次々みんながどうしたのどうしたのと集まってくる。ああ、誰か助けて。こいつらにほかのことに気を移してもらうには最善策だと思っていた。2005-06-06 08:30:00 -
195:
涼
そんなに不機嫌なのが顔に出てたか……と反省しながらあった事を話した。
【絶対別れた方がいいって!!】
【そんな男最低やん!!】
口を揃えてみんなが言う。そんな事はわかっている。嫌いになれたらどれだけ楽か。あたしだって嫌いになれるもんならなりてぇよ……やっぱ言うんじゃなかったと後悔した。
2005-06-06 08:31:00 -
196:
涼
言われなくても最低な男だということはよくわかっているし、別れられるものなら別れたかった。精神的に限界が近づいているのが自分でもよくわかる。でもそれとは裏腹に世界中に存在する何よりも剛の事を愛していた。
2005-06-06 08:32:00 -
197:
涼
この頃になると【優ちゃんとも付き合いながら涼とも付き合って、しかもお金までもらってる自分が最低やから】という理由で毎晩別れ話をされていた。薬は飲み続けるとだんだん効かなくなるというが、別れ話は毎日されても慣れることはなく、毎夜泣き叫び、ものに当たり続けた。別れたくないと必死にすがる自分が我ながら情けなかったが、そんな事言ってられない。『涼の事お金としか見てなくてもいいから』とまで言うようになっていた。毎晩電話のたびに泣き続けた娘を母親も心配していた。
2005-06-06 08:33:00