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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
61:
この人は昔から涼に甘い。娘がホストの未収を何百万を抱えていても、パパは怒りもしなかった。涼がそんな風になったのは、自分にも原因がある、わかっているのだ。
『がんばって返していくよ。』
この一言で仕事から何から全部がパパにばれた。その日は家から出してもらえなかった。
2005-06-02 18:44:00 -
62:
ガチャリ。ドアの開く音がした。涼がこの世でもっとも嫌いな人物が帰って来た。母親だ。
『涼ちゃん!!!!何してたの、家にも帰ってこんと、どこにおったん?何をしていたの?またお母さんにいえないようなことをしてるの?親にいえないようなことをしてはだめって昔から言ってるでしょう??』
キンキンと母親が怒鳴る。
2005-06-02 18:45:00 -
63:
『うっさいばばぁ。黙れ!』ばたん、とドアを閉める。バン!!すごい勢いでドアがあく。
『うっさいってなんやの!!誰に向かって物言ってるの!!あんた自分のしてること考えてからそんなん言いなさい!!働きもせんと毎日毎日どこで何をしてるの?』
教師である母親に、自分が風俗と水商売をしてるなどいえるわけもなかった。2005-06-02 18:46:00 -
64:
涼は昔からこの女が嫌いだった。
小学生のときの門限は五時。小遣いは月500円。中学生のときの門限は六時。小遣いは2000円。中学生にもなって2000円て。夜外出するなどもってのほかだった。
2005-06-02 18:47:00 -
65:
バレー部だった涼は試合後の打ち上げでさえ参加させてもらえなかった。《子供だけで夜ファミレスに行くなんていけません。》という理由からだ。それならばと先生も一緒だとうそをついた。学校に電話をされ、あっけなく嘘はばれ、やはり行かせてもらえなかった。
2005-06-02 18:48:00 -
66:
毎回来ない涼を、部員の仲間は打ち上げに誘わなくなった。次の日の部活で話についていけない。『昨日言ってたあれさぁ〜』楽しそうに喋っている。何のことだかわからない涼は話に入れてもらえない。
とりあえず根っからのまじめ人間なのだ。八時以降のテレビは見せてもらえない。八時を過ぎたら勉強しなくてはいけないのだ。2005-06-02 18:49:00 -
67:
涼は小学生あたりから、耳がよくなった。自分の部屋で、隠れて遊ぶため、リビングから来る母親の足音や、ドアの音に敏感になったのだ。
月曜日の学校は嫌い。【めちゃイケ】の話をみんながしている。【めちゃイケ】が何なのか涼は知らなかった。2005-06-02 18:50:00 -
68:
試合があるから、電車賃500円を頂戴。というと手紙を見せなさいという。学校から、試合があるからどうこう、という手紙を見せろと。そんな手紙がいちいち出るはずがない。
たった500円やそこらのために毎回母親は学校に電話をかけ確認する。2005-06-02 18:52:00 -
69:
このころから涼はだんだんと不良になっていく。夜家から抜け出すすべがあった。塾に行くことだ。大手を振って夜外出できる。もちろん勉強などするわけもなく、塾でのクラスはいつも最下位。
毎日塾に行く振りをして、遊んだ。有名進学塾だったので先生は最下位のクラスのやつなんて、来ても来なくても気にせず、行ってないからといって連絡もされなかった。遊びたい放題だ。2005-06-02 18:52:00 -
70:
親の財布から金を抜き、ジャスコの閉店時間間際には万引き。小2から窃盗癖のあった涼は、中学時代でおそらく100万はゆうに超えるほどの万引き常習犯だった。
しかし、11時近くにもなると帰らなくてはならない。嫌で仕方なかった。
成績がよければ遊べるのでテストをがんばった。がんばって、勉強しても、涼はあまりいい点数は取れなかった。2005-06-02 18:54:00