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恋愛ジャンキー
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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
608:
涼
『どうしたん!?こんなようけ。』『ユーフォーキャッチャーで取れた。』『あんたは何が欲しかったん?』『俺は別になんもいらん。』
あたしがディズニー好きって言ったから?なんて都合のいいことを考えながら一人で喜んでいた。
2005-07-05 02:55:00 -
609:
涼
店はちょっとクーラーが効きすぎていて寒かった。寒い、と言うと龍はクーラーを切ってきてくれた。それでもまだ寒かったので上着を貸してと頼んだら、もうすぐ寒くなくなるからと言われた。
そういわれたので我慢していたら、よその席で自分のジャケットを貸していた。それがなんだかあまりにもショックで放心状態になった。些細なことだとはわかっている。たかが上着だ。でも。。。なんだか崖から突き落とされたくらいショックだった。2005-07-05 02:56:00 -
610:
涼
もう、珍しくついたヘルプの言うことなんてちっとも耳に入らなくてボーっとしていた。トイレに行こう、と思い席を立った拍子に壁からわずかに出ていた釘に手がぶつかり、手の甲に出ている血管が切れ“ぷくっ”と小さく膨らんだ。どうしてだかわからないが、それがすごく面白かった。
2005-07-05 02:57:00 -
611:
涼
何度も何度も釘に手の甲をぶつける。ぷくぷくと小さな膨らみは増えていく。楽しい。無我夢中になった。やがて手の甲はぷくぷくだらけになり全体的に紫色を帯びてきた。ちょっと冷静になると、痛い。でも、ただ単に面白かった。痛いことで、凹んでた気持ちが楽になった気がした。何度も何度もやったので同じところにも何度かヒットし相当痛くなってきた。もう、手の甲にはできない。
2005-07-05 02:58:00 -
612:
涼
体に一つ傷を作る度に少し落ち着くような気がした。リストカットをする人の気持ちが少し解った気がした。グラスを割って切ろうかとも思った。でもそんな事をしたら、たかだかジャケットごときで龍の心に大きな傷を作ってしまう気がしてやめた。ミミズ腫れは意外に傷も深かったらしく少しだが全部の傷から血が流れた。慌てておしぼりで拭き、トイレのごみ箱に捨てた。店は忙しくなってきてヘルプはいつものように来ないし、龍も忙しそうに動き回って帰ってこなかったので誰にもばれずにすんだ。
2005-07-05 02:59:00 -
613:
涼
ラストになっても帰ってこない。照明がつき伝票を持った龍が帰って来た。
『ごめんなっ忙しくて…ってお前その腕!?どしたん?誰にやられたん!?』
誰にやられたんって店で誰がこんな事人の客にすんねん…と思いながら黙って自分で自分を指差した。2005-07-05 03:00:00 -
614:
涼
『自分でやったん!?なんで??』
真剣に心配している龍。ありがとう。でも今あたし笑えない。
『明るくなったらこれ目立つねぇ』
龍は黙ったままだった。
送りだしをしてもらい外に出る。2005-07-05 03:01:00 -
615:
涼
『外で見たら一層目立つなぁ…お客さんびっくりしちゃう…』
おい!と呼ぶ声がする。大好きな龍の優しい声…
『おい!涼?ほんまに大丈夫なんか?なぁ?』
うつむいたままのあたしに必死に話し掛ける龍。
ごめんね…心配させてごめんね…2005-07-05 03:02:00 -
616:
涼
『これ、猫に引っ掻かれたって言ったらお客さん納得するかなぁ?』
『いや、無理やろ…じゃなくて!!』
あたしは龍に背を向け歩き出した。
『振り向くくらいしろって!おい!涼!』
遠くで聞こえる龍の声。ごめんね…2005-07-05 03:03:00 -
617:
涼
今喋ったら嫉妬丸出しの言葉を食ってかかって龍にぶつけてしまう。疲れている龍を余計に疲れさせてしまう。優しい龍はきっと涼がこんな事したのは自分のせいだと自分を責める。そんな思いはさせたくない。やってしまったのは衝動…自分で自分を抑える為…些細な嫉妬で困らせたくなくて…。目に見えて大袈裟に残ってしまったから心配かけちゃったけど…今口をきかないのはあたしなりの優しさなんだよ…そぅ思いながら一度も振り返らずに帰った。
2005-07-05 03:04:00