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1:
涼
旧掲示板作品です。
2005-06-02 17:03:00 -
91:
良かった、また彼氏ができた。
嘘も方便、というようにけして本当に大ちゃんが気になったからと別れたわけではない。でも、大ちゃんはそうだと思っているのでいつも嬉しそうに“奪ったんやなぁ”と言っている。かわいい。大ちゃんは社会人なので毎日会うなどは無理だったが、電話は毎日くれたし、仕事中でも電話には出てくれたので寂しくはなかった。
出勤するたびに、商店街で和也に会う。会いたくなくとも会ってしまう。やはりかっこいいな…最初に逆戻りだ。和也を眺める毎日が過ぎた。
大ちゃんは、可愛らしいけれど、決して男前の部類には入らない顔だった。涼は、和也の影響もあり大分垢抜けた。自分で言うのもなんだが、並以上のレベルにはいたはずだ。
2005-06-03 15:51:00 -
92:
連れて歩くと、大ちゃんは結構見劣りした。が、やさしい。年の功とでも言うべきか。ただ、18歳の和也よりもお金がなかった。
少ない給料だけで生活しているのだから仕方ないかなと思っていた。さすがに涼が出すようなことはなかったが、和也と付き合っていたときより食事は質素になった。
大ちゃんの地元の祭に行ったり、花火大会に行ったり楽しい夏が過ぎた。ただ、花火大会で花火を見ているとき、漠然と涼は思った。来年花火を一緒に見る人は、きっと大ちゃんじゃないな、と。
2005-06-03 15:55:00 -
93:
最近大ちゃんがおかしい。冷たい。寂しい。どうしたらいいんだろう。どうしたん、と聞いても疲れてるだけ、としか答えてくれなかった。疲れてるだけじゃないのは見てればわかる。
マヤに電話をしてもらった。マヤは大ちゃんとは初対面どころか直接しゃべったこともない。それなのに、涼はマヤにかけさせた。しかも驚いたことに大ちゃんも普通にしゃべった。こいついつか騙されるんでは、と変な不安がよぎる。
マヤが聞いたところによると、ひとのものだったから燃えたのと、年の差がありすぎてどうしていいかわからなくなってきた。女として見れなくなってきている。でも涼がまっすぐに自分を愛してくれているので余計どうしたらいいのかわからないと。2005-06-03 15:56:00 -
94:
よくもまぁ、いきなりかかって来た電話にそこまで本音をしゃべるもんだ。
涼は、愛されなきゃ生きていけない。嘘でもいいんだ。メールとか、電話とか、言葉とか目に見えて、愛してくれたら、たとえそれが嘘でも涼は満足なのだ。
今度はどうやら自分が大ちゃんを愛してしまったらしい。和也のときとはまったく違う感情だ。
しかし、自分のせいで大ちゃんが悩んでいる。人のものだったから燃えたって、手に入ればそうでもないと言うこと。年が離れているのなんて出会ったときからわかっていたのに、そんなことで今更悩まれてもどうしようもない。2005-06-03 15:57:00 -
95:
でも、自分のせいで大ちゃんがつらい思いをしている。それならばと、涼は身を引くことにした。
大好きな人に自分から別れを告げた。駅で号泣してしまった。大ちゃんはごめんな、と言って涼を抱きしめた。だいちゃん。大好きな大ちゃん。抱きしめられたら余計涙があふれた。
でも、大ちゃんには幸せになってほしかった。泣きじゃくる涼に大ちゃんはキスをした。大好きな大ちゃんの、大好きな優しいキス。あふれ出た涙はしばらくすごい勢いで出続けた。2005-06-03 15:58:00 -
96:
今度は、和也のときのようにさぁ次、とはさすがになれなかった。やっぱ、和也のことは好きじゃなかったんだなと実感した。
大ちゃんの好きだった曲を聴くと涙が出た。思い出が全部あふれてきて涙が止まらなくなった。暇だ。
物事を昔からはっきり言う涼は正直友達が少なかった。しかもその少ない友達は皆昼間働いたり学校に行ったりしている。やることないなぁ〜〜…ごろん、とベットに横になる。
2005-06-03 15:59:00 -
97:
そのとき着信が入ってきた。昼間、携帯が鳴ることなんか、客からくらいしかなかった。でも、着メロが違う。
哲也だった。昨日寝すぎて店休んでしまって(起きたらもう朝だったらしい)暇だから遊ぼう、と言う電話だった。
準備をしてミナミに向かう。今日は仕事が休みだ。そういえば、昼間誰かと遊ぶなんて相当久しぶりだ。
哲也は昼間に私服で見ると、どう見てもホストっぽくはなかった。2005-06-03 16:01:00 -
98:
カラオケに行き、四時間ほど歌った。哲也はDragon Ashやジーブラの歌が上手だった。プリクラを撮りに行ったりUFOキャッチャーをしたりして遊んだ。夜になると哲也は出勤していったので涼は家に帰った。ふつうに遊ぶのも楽しいな。なんて思いながら珍しく早く寝た。
しばらくしたある日の真夜中哲也から電話がかかってきた。
『営業電話ゃろぉ?』
『うん!営業電話ぁ〜』2005-06-03 16:02:00 -
99:
営業電話を営業電話だと認めるホストなんかいるんだ、と多少驚いたが素直さが可愛くて飲みに行った。
店に行っても昼間と変わらずふつうに喋った。色をかけるわけでもなく、いろんな話をするだけ。それからはちょくちょく哲也の店で遊ぶようになった。
ホストに免疫も出来、キャッチで気に入った子とは喋ったり、時には店に行ったりもした。
不思議と哲也に惚れることはなかった。いろんなホストに遊びにいったが誰にも惚れることはなかった。ユウの一件で警戒心が働くのだろうか?2005-06-03 16:04:00 -
100:
ある日京都までバンドのライブを見に行った。数ヶ月前に友達が遊園地で野外ライブをした時、一緒に行った友達はアトラクションのフリーパスで遊びに行ったがアトラクションで遊ぶ気のなかった涼はそのまま出演バンドを見ていた。
ちょうど友達の次に出てきたバンドでドラムの男の子に惹かれた。和也のような派手さはないがきれいな顔をしていた。バンドの演奏自体も涼の好みだった。演奏後にデモテープを無料で配るという。演奏後話しかけてデモテープとフライヤーをもらった。そこからちょくちょくホームページでメンバーと話をしていた。そして今日、昔神戸のライブハウスで見た良かったバンドも一緒にやると言うので京都まで足をのばしたのだ。
ライブハウスに着いた。ドラムの智也を探す。知らない人だらけ。パンクバンドなので妙な身なりの人がたくさん。挙動不審になった。智也発見。智也に駆け寄る。久しぶりやなっと智也が笑う。笑顔も相当かっこいい。ライブハウス内に知り合いなどいるわけもなく、涼はずっと智也の側にいた。演奏も前で見たかったが妙な身なりの人が山盛りなので後ろから見た。ドラムを叩いている智也も相当かっこいい。智也の横にいるといろんな人が話しかけにくる。
『智ちん2005-06-03 16:07:00