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エレベーターが止まるまで。
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1:
あい
ホストが好きだった。
どうしようもない背徳感めくるめく甘美な夢。
スリルとドキドキはくりかえし、やりきれない虚無感さえスパイスとなって私を夜の街に駆り立てた。2007-02-05 14:16:00 -
8:
あい
エレベーターの階数が私に近付いてくる。
2・・1・・チーン。
エレベーターが開くと、満面の笑みを浮かべる大和が私の手を引く。
「待ってたで♪2日ぶり!ワラ」2007-02-05 15:22:00 -
9:
あい
そして二人でエレベーターに乗り込む。
店に着くまでのこの一時は何度行っても慣れなくてドキドキした。
チラリと横目で大和をさぐる。細いstripeの入ったスーツ。極限まで盛った金髪。整った顔の肌の黒さが、明るい所では尚、際立った。2007-02-05 15:28:00 -
10:
あい
店のドアをあけてもらい、足を踏み込む。
【いーらっしゃいやせー】
威勢のいい掛け声に包まれながら、奥のボックス席に腰を沈めた。2007-02-05 15:35:00 -
11:
名無しさん
えっ?気になる?
2007-02-08 17:24:00 -
12:
あい
大和「何のむ?」
と、いつもかわされる会話のスタート。
私「ん〜取り敢えずカシオレのみたい。」
大和「おけ。俺ビールもろていい?」
私「あいよー」2007-02-09 01:06:00 -
13:
あい
一応ボトルは卸していたが、最初からそれだけをのんでいると会計が余りにも安くなりすぎるので大体カクテルから始めて値段を調節するのが常だった。
シャンパンを入れて調節出来る程の甲斐性があればいいのだが、内心的にも経済的にも小娘には分不相応な気がして、基本的には義理のあるときかイベントのときしかシャンパンは卸さなかった。2007-02-09 01:13:00 -
14:
あい
「乾杯!」
いつもかわることのないこんな流れが好きだった。
しかし、それは過去を振り返れるいまだからこそ言えることで当時は全く何も思いもしなかった。
ただただホストクラブの淫靡なイメージに酔いどれていた。時間と金を垂れ流していることにさえ無頓着でいた。2007-02-09 01:18:00 -
15:
あい
その日は既に泥酔していたので、普段にはないくらい大和にしなだれかかった。
「あんなー、わたしなー、めっちゃたのしくてなー、ホストさいこーマジアゲアゲー」
日本語の崩壊である。もはやその会話の中には伝えたいことすら存在していなかったように思う。2007-02-09 01:35:00 -
16:
あい
そんな私の下らない話にも、大和は八重歯をみせて笑う。
「まじで?お前まじおもろいな!」
さりげなく肩を叩き、私の話に聞き入る風にまた目をのぞきこむ。
長めの前髪から、黒目がちで意志の強そうな目がすける。2007-02-09 01:41:00 -
17:
あい
下からみつめあげるようなその目が好きだった。
更には、笑ったときに、一瞬その目がクシャッと崩れるギャップ。
大好きだった。2007-02-09 01:46:00