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非恋愛体質
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1:
暇潰しにちょっと変わった日常を送った日々の事を
書こうかと思います
小学校4年生の時、父親の仕事の転勤で
東京から大阪に引っ越す事になった。
それまでの一緒に過ごして来た友人達と離れるのが嫌で
数日、駄々をこねて父親と口をきかなかったのを
大人になった今でも覚えてる。
結局は子供の無意味な抵抗で
否応無しに全く土地勘の無い大阪に来た。
「新しい友人出来るのかな・・・」
「いじめられないか・・・」
そんな不安は見事に的中、どう見ても言葉遣いが全く違うあたしは
いじめの対象に最適。2007-02-08 23:31:00 -
15:
日がどんどん暮れ出しおじさんはそれに気付き「夕飯一緒に食べに行こうか?」と
聞いて来た。
「ごめんなさい。門限8時で遅れると物凄く怒られるしお小遣いもくれなくなるんだ」と
返事をするとおじさんは無理強いする事無く「そかそか、今日はありがとう」と言いながら
あたしに笑顔を向けポケットから名刺を出し、あたしの手に握らせた。2007-02-09 02:12:00 -
16:
「いちごちゃんが暇な時にメールか電話頂戴?嫌なら今日限りでいいわ」と言って
あたしの返事を待たずに早足にマックから出て行った。
「はぁー」疲れた溜息と共に席を立ち、あたしも店を出たけれども
おじさんの姿はもう街の人ごみに紛れて見えなかった。
手の平の名刺をクシャクシャに握り潰し制服のポケットに突っ込みあたしは自宅へと足を向けた。2007-02-09 02:27:00 -
17:
おじさんとのお喋りで少しは寂しい気持ちが紛れたのは事実だったけれども
朝になって学校に行く支度をしだした途端、あたしに暗い影を落とした。
「電車乗るのも嫌、学校行くのも嫌、昼ご飯誰と食べたらいいの?ああ、でもずる休み出来ない」
良くある思春期特有のネガティブな思考回路になり余計に気分が滅入り重くなる体をベッドに埋める。
「あ、そうだ!」何を血迷ったのかそそくさと制服のポケットをあさり昨日、おじさんがくれた名刺を取り出した。2007-02-09 02:39:00 -
18:
本当は捨てるつもりだったけれどもおじさんの明るい笑顔を思い出したら
気がとがめて結局そのまま名刺をポケットに入れたままだったのだ。
クシャクシャに丸まった名刺を丁寧に手で伸ばしておじさんのメールアドレスを携帯に入力した。
打ち出す文字は何の挨拶も無く用件だけ。
「学校さぼるから会って下さい」2007-02-09 02:46:00 -
19:
数分して携帯が振動で揺れ出す。
「午前中の診察終わった後でいいかな?」期待外れの返事でがっくりと肩が落ちた。
「結局、学校行く羽目になったか・・・はぁ」溜息と共に返事を打ち出した。
「了解。時間が空いたらメール下さい」何て愛想のないメール、おじさんの苦笑いが目に浮かぶ。2007-02-09 02:56:00 -
20:
再びおじさんからのメールが来たのは4時間目がそろそろ始まる頃だった。
「もう、そろそろ終わるから1時間後に会えるよ」
「了解。昨日のマックで待ってます」
みんなが次の授業の準備をしている中、一人だけ場違いに教科書を鞄に詰め込み
詰め込み終わると暗い顔をして保健室に向かった。2007-02-09 03:02:00 -
21:
「すみません、頭痛がするしお腹も痛くて座ってられないくらいなんですけど・・・」
ボソボソとした声で保健医に訴えると「あら、顔色悪いわ!早退した方がいいかしらね?」と慌て出した。
自慢にならないがあたしは顔色の悪さはいつもの事だったのでちょっと暗い顔をしただけで本当の病人に見える。
それにボソボソ声が加われば演出効果は抜群。
「そうします・・・」にやりと笑いたいの堪え顔をしかめた状態で演技を続けた。2007-02-09 03:27:00 -
24:
「クラスと名前だけ名簿に記入してね、後で担任に私から伝えておくから」
「はい・・・」走り書きで名簿にクラスと名前を記入してとっとと保健室を退散した。
校門を出てからは態度は豹変、心の中は「ひゃっほ〜い」、小走りで駅に向かい電車に乗った。
「4時間目と5時間目の授業のノートどしようかな・・・誰か貸してくれるかな・・・」
明日の心配もあったけれども不安な気持ちを振り払うように無心に電車の窓から外を眺めてた。2007-02-09 14:04:00