小説掲示板傷跡のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

夜遊びweb掲示板 関西夜遊びweb掲示板 関西
エリア選択

夜遊び掲示板を検索する

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。

掲示板リストメニュー

傷跡

スレッド内検索:
  • 1:

    名無しさん

    初めて書きます。よかったら読んで卞さい。

    2006-03-25 01:45:00
  • 2:

    名無しさん

    ??

    2006-03-25 01:51:00
  • 3:

    名無しさん

    http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1133335290/1-5

    2006-03-25 01:57:00
  • 4:

    名無しさん

    この作者また立てよるんちゃうか

    2006-03-25 11:18:00
  • 5:

    ここ最近、確かに体の調子は良くなかった。
    しょっちゅう立ちくらみや目眩はするし、とにかく体がダルくて…気分が悪くなったりしてた。
    だけど、ただ疲れてるだけだって――そう、思った。
    それなりに苦労はしてきたし、昔から熱も出やすかったし、少しずつ異変が出てきていた自分の体に……    

    あたしはまだ、気付いていなかった。 
    ――それから、どのくらい経っただろう。       
    あたしの熱はなかなか下がらずに、龍二はその間、付きっきりで看病していた。  
    あたしはというと…毎日、熱にうなされながら、何も食べずに薬を飲む。そんな苦痛な何日間か、あたしは意識も曖昧なまま――… 寝込んでいたらしい。
    チュンチュンチュンッ         
    ……朝だ。あたし、あれからどうなったんだっけ?    

    久しぶりに、頭がスッキリしていた。ようやく、熱が下がったのかな……。
    『……ん。』
    ――病み上がりに起こす体は、何倍も重い。

    あたしは、ベッドから、鉛がついたような体をゆっくりと持ち上げ、ふと、ベッドの脇を、見た。
     『…。』

    ベッドの脇

    2006-04-10 22:51:00
  • 6:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 7:

    ……看病、してくれてたんかな?           
    チクリ―。
    少しだけ、胸が痛んだ。   

    「……んー。」
    「…あ…れ……?理都…」  
    『おはよ。』    
    「……えっ?あ……お前、目…覚めたん…!?」    
    龍二の焦りよう。あたしは相当、重症だったようだ。
    『ん…目覚めた。あたし、どんぐらい寝てたん?』   
    「……丸々…三日くらい…やな。ってか、ほんまに良かった………。」    
    ――目の前で、一気に胸を撫で下ろした様子の彼に、あたしは、やっぱり複雑な気持ちだった。
    だけど、次の瞬間――。
    あたしは、言葉を失う    

    「……ってか…な、理都…お前、顔……」
    『…え…何?』
    龍二が、心配そうに、あたしの顔を覗き込む。    
    顔が…どうしたん――?    

    「……や、何もないで。」

    2006-04-10 22:53:00
  • 8:

    『……何…よ?何なん?気になるやろ……?』
    【ガバッ―】
    あたしは、ベッドから起き上がると、そのまま洗面所へと迎う。そして、洗面所の鏡の前へ… 立つ。     

    『…。』
    『何…………コレ?』   

    ――思わず、唖然とした。  
    肌は、昔から綺麗な方だった。ニキビなんて、あまり出来た事すら、なかった 
    『……二?龍二ぃっ……。何なんコレ?なぁ…何なんよぉぉ………………っ。』   

    あたしは、鏡の前で、崩れ落ちた。
    あたしの顔には、湿疹?吹き出物?みたいなモノが、三日間の間に、至る所に、出来ていた―――…。
    うそ・・や。嘘や…んな?   
    痒い……痛い…………。   

    「…おっ、おい!理都!お前…何やってんねんっ!」
    あたしは、必死で顔を、掻きむしった――。
    『…やめてよぉ!!離してよぉぉ…っ!!!!』
    「理都!落ち着けって!」『嫌やぁぁぁ…嫌やぁぁぁぁぁ!』
    「理都っ……!やめろ!!跡残るぞ!!落ち着け!」
    『嫌ぁぁぁぁぁぁ…!!』   

    2006-04-10 22:56:00
  • 9:

    こんな事って、       
    こんな事って……あるん?
    あたしが、何をしたん?   
    なぁ神様……      こんな仕打ちを受ける程、あたしはアナタに刃向かった? 罪を犯した?    

    あたしは、このままどうなるん―――…?
    「理都……落ち着け。腕、見せてみ。」
    龍二が、強引に、あたしの腕を掴む。         
    『うっ…。』
    思わず、言葉が漏れる。    
    腕気持ち悪い。
    気持ち悪い・・・・。      
    「なんやろ…な、コレ。薬塗った方がええな…。」   
    『……離し…て。』
    や足にも、同じように大きな湿疹のような、かぶれのようなモノが… いくつもいくつも、出来ていた。
    『いいから……もう。離して…よ。』     
    もう、どうでもいい    
     
    「理都……お前なぁ、いい加減にしろよ。」
    「このくらいで何言ってるねん…。すぐ治るわ。薬買ってくるから、おとなしく待っとけな。」     
    龍二は、そう言うと、そのまま部屋を出ていった。     

    『……』

    2006-04-10 22:58:00
  • 10:

    もう一度、立ち上がり、鏡を見る。
    痩けた頬、やつれた顔…    
    【ギシッ―】    
    あたしは、ゆっくりとその場にあった体重計に乗る
    体重は、ここで一緒に住みみ始めた頃から、約8キロ減っていた。          

    『ふっ……ブッサイク。』  
    思わず、笑ってしまう。自分の馬鹿らしさと、情けなさに。『は…は……。』
    あたしは、そのまま、フラフラともつれた足で部屋に戻ると、ベッドに倒れ込むように…横になった――。
    痛……            
    ――ほんの一瞬だけ、眠ってしまってた。        
    《今…、何時やろ……?》部屋を見渡す、が、龍二の姿はまだなかった。

    2006-04-10 23:01:00
  • 11:

    体が痺れる…。
    ふと、自分の体に目をやると、昨日、彼に殴られた”証拠“がくっきりと――、あたしの体に、刻み込まれていた。たくさんの痛々しいアザは、その証。       
    龍二があたしに残した…   
    あたしの心を縛りつける、最後の 証だった―――。
    「ほら、コレ塗れって!」帰ってきた彼が、少し強引にあたしの腕を掴む。   
    『……痛いって。』
    あたしはそう言いながら、龍二の顔を見上げる。    
    「薬局のおっさんにいっちゃん効くやつ貰ってきたったからなぁ〜。コレ塗ったら、一発で治るわ!」
    自信満々に言う龍二の手には、市販の”湿疹、アトピー性皮膚炎、ニキビ“などに効能があるらしい…塗り薬が、握られていた。    
    「ほら、塗れって。」
    『…。…ありがと。』   
    あたしはそれを、鏡を見ながらゆっくりと顔や、体に塗っていった。
    それが効いたとしても、効かなかったとしても。
    この時のあたしには、そのまま何もしないよりは…遥かに気休めになった。      
    『…少し、寝るわ。』    
    あたしは、やつれた顔で、少し笑顔を見せると、

    2006-04-10 23:02:00
  • 12:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 13:

    今日は、珍しく龍二は朝から出かけている。
    あたしは久しぶりに、部屋で一人になった気がした。相変わらず、袋に入ったフランスパンを噛る…。
    『…固。』
    最近は、本当にこんなものしか胃を通らなくなっていた。あたしが体調を崩してからも、龍二がスーパーまで行って、買ってきてくれていた。

    【ピンポーン―――。】     
    突然、部屋のチャイムが鳴った。
    《珍しいな……誰やろ?》あたしは、ゆっくりと立ち上がり、玄関へ迎う。
     『…はーい。どちら様?』【ガチャ――。】    
    玄関の扉が、開く。あたしは、目の前に立つその人物を見て、少し驚いた。     

    『……おばちゃんっ!?』廊下には、龍二のおばちゃんが立っていた。
    「…それ…より、理都ちゃん。それ、どうしたの?」    
    おばちゃんが、心配そうに顔を見上げる。
    ――ハッとする。アザは、スウェットのおかげで全て隠れていた。てことは、こっちか……            
    『……あっ、なんか突然肌荒れしちゃって。ヒドイ顔でしょ〜?』
    あたしは、苦笑いしながら取り繕うように答えた。

    2006-04-10 23:05:00
  • 14:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 15:

    「…まぁ、若いからニキビとかは仕方ないけどね。」おばちゃんは、また優しく微笑んだ。
    『…。』
    「少しお邪魔してっても、いいかな?」
    『あ、はい…。どうぞ。』   
    あたしは、持っていた扉を大きく開き、二人でゆっくりと、家の中へ入った。
    「理都ちゃん…龍二と、うまくいってる?」  
    テーブルの前に腰を下ろし、一息ついたおばちゃんが、台所にいるあたしに声をかける。
    『……え?…あ、はい。』    
    ――あたしは、手に持ったヤカンから目を離さずに、紅茶を入れながら、答えた。     
    おばちゃんには言えない。どうしても…
    《理都ちゃんに出会えて…あの子はほんまに――…》《理都ちゃんっ…龍二を、よろしく――…ね?》     

    言えるわけ、ないよ……     
    「そういえば…龍二は?」おばちゃんが、部屋にいない彼に気付き、言う。
    『あっ…、』
    この展開はマズイ・・・。   
    「龍二は、仕事なの?」 『……あ、あのっ、』      
    いいフォローが思いつかない。こういう時、昔から、あたしは頭が回らない…。思いっきり、言葉を、詰

    2006-04-10 23:12:00
  • 16:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 17:

    テーブルに座り、おばちゃんと二人で、向かい合う。…。               
    「……いつから、行ってないの?」
    先に、口を開いたのは、彼女だった。仕事の事を、聞いているのだろう。 
    『えっと…色々あって。』  
    那智さんの事は、絶対に、言えるはずがない…
    「…そう。」
    再び、沈黙が流れる―― 『…。』           
    「理都ちゃん、少し顔色悪いけど大丈夫?それより…あなただいぶ痩せた?」    
    …痛いところを、突かれた。やっぱりまだ、体調は良くない。顔色も、熱も、戻っていない――…。
    『あ…えっと実は……ダイエットしてて。慣れてないからかなぁ。栄養不足で、肌も荒れるし、顔色もなぜかこんなんで。笑』  
    あたしは、咄嗟に出た言い訳を、精一杯、平然を装って言った。          
    「……そう。」        
    おばちゃんの、【間】が恐かった。気付かれたくない。              
    おばちゃんには、龍二を、信じていて欲しい…
    【ガチャッ―――】   
    その時――。勢い良く、玄関のドアが、開いた。   

    2006-04-10 23:13:00
  • 18:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 19:

    「アンタ、何処行ってたん?」
    おばちゃんが、間髪入れず彼に、言う。
    「は…!?コレ、買いに行ってただけやん。」
    そう言って、手に持った袋を胸の辺りで、ブラブラとさせると、龍二はそのままベッドに、寝転んだ。
    「ドラッグストア…?」 無造作に置かれた、その袋の中から、おばちゃんが、一つ一つ中身を取り出す。栄養ドリンクに、ビタミン剤、パックのおかゆに、風邪薬………。
    ――袋の中から出てくるモノは、全て【あたしあて】の、 モノだった。      
    「…。」
    おばちゃんは、黙ったままそれを…テーブルの上に、ゆっくりと置いた。
    胸が、痛い――…           

    「…理都ちゃん、ちょっと付き合ってくれない?」 『…え?』
    「夕飯の用意、買いに行くから、一緒に。」
    『あ… はい。』
    おばちゃんに誘われるまま、あたしは、買い物について行く事にした。  
    スウェットの下には、Tシャツを着ていたから、あたしはその場で簡単に着替えて、用意をした。 
      
    「…。」           

    2006-04-10 23:14:00
  • 20:

    『じゃあ、龍二…ちょっと行ってくるから。』 
    出際、ベッドに寝転がる彼に、声をかける。  
    「おー。あ、オカン…!こいつ病み上がりやから、つかまだ治ってないから、あんま無理させんなよ。」  
    「はい、分かってるわよ。理都ちゃん、じゃあ下行って車出してるからね。」 おばちゃんは、そう言うと先に部屋を、出ていった。

    「ほな、気を付けてな!」『……龍二、アレ、』
    「え?」          
    あたしは、テーブルの上をゆっくりと、指差す。    
    『ありがとう。』     
    「…え?あ、おう。そんなん気にすんな!当たり前やんけ!アホ!」
    顔を赤くして、強い口調で言う、彼。          

    胸 が、痛 い――…     
    あたしは、そのまま部屋を出ると、急いでおばちゃんの元へ、向かった。
    「…じゃあ、行こっか。」車に乗り込むと、激しいエンジン音と共に、それは、進みだす。           
    サイドミラーには、さっきまで、自分がいた部屋が、龍二がいる部屋が、ゆっくりと、ゆっくりと、遠ざかって見えた――…

    2006-04-10 23:15:00
  • 21:

    車内では、他愛もない話が続いていた。久しぶりに会ったおばちゃんは、元気そうで、あたしは安心した。 
    スーパーに着くと、一通り食材を買って、袋に詰め終わった後「はい、これは理都ちゃんとこの分。」と言って、おばちゃんが、渡してくれた。『すいません、助かります…。』あたしは彼女の好意に甘えて、手渡されたその袋を、右手で、握り締めた。
    スーパーを出た後、「ちょっと寄るとこあるから。」と言ったおばちゃんに連れられて、あたしは車に、揺られていた。        
    ――30分後。
    「着いたよ。ちょっと、待っててなぁ。」   
    エンジンをかけたまま、サイドブレーキを…引く。 彼女の言葉に、ふと、曇った窓の外を見る―――。
    『…?』
    窓の外には、一件の、古びた民家があった。
    隣の家とは距離があり、無駄に広い庭には、栽培植物が、目立つ。゛おばあちゃん家と似てる――゛そこを見て、なんとなく、昔良く行った田舎のおばあちゃん家を、思い出した。 
    表札を、見る。       
    【笠原】           
    笠原―――?誰…? 
    龍二の名字は、【黒崎】。 

    2006-04-10 23:16:00
  • 22:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 23:

    おばちゃんは、離婚したんだった。――【笠原】は、再婚相手の…名前だ。       
    雄二さんも、龍二も、まだ【黒崎】として名乗ってるって事は、二人は戸籍上…父親側に、引き取られたって事になるのかな? 
    龍二から、父親の話を聞いた事は、一度もなかった。 
    なんか、変な感じ…
    「はぁっ…理都ちゃん、ごめんね。お待たせ!」
    ――数分後、車のドアが開いた。
    『……?あ、いえ。』
    あたしは、気付いたら、シートの上で、転寝してしまっていた。《うっ…、いたた…》変な態勢に首を曲げて寝ていたせいで、首がおかしい…。
    「はい、これ!」
    『?……え?』        
    おばちゃんに、突然、紙袋を渡された。《何だ…?》紙袋の中を、ゆっくりと、開く――。
    「…それね、おばちゃんが若い頃からお世話になってるモノなんよ。理都ちゃん一度、試してみて?」    
    そう言った中身には、雑誌で何度か見た事がある゛緑の葉っぱのマーク゛が有名な、メーカーの、スキンケアセットだった…。
    『え…こんなにたくさん?いいんですか……?』
    わざわざ、取りに帰ってくれたんだ

    2006-04-10 23:17:00
  • 24:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 25:

    『はい…。ありがとうございます…。』 
    あたしは、軽く頭を下げて、運転席でシートベルトをする彼女に、お礼を、言った。             
    「…。」
    その後、また他愛もない話をしながら、車に揺られ、二人で笑っていた。
    だけど、あたしの家まであと少し――、という所で、それは、急に…、止まった―――。          
    『…?』
    【ギィーッ】おばちゃんの、サイドブレーキを引く音だけが、車内に、響く。
    《…え?》
    道路の脇に、突然、止まった車。―あたしは、ちらっと運転席に、目を向けた。   
    『…。』
    周りに、店なんて、一つもない。事態を理解出来ないまま、沈黙が… 流れる。
    「理都ちゃん、」  
    ――先に口を開いたのは、彼女だった。        
    『は…い。』     
    異様な雰囲気。さっきまでの、他愛ない会話は、一気に、掻き消されていた。

    2006-04-10 23:19:00
  • 26:

    「…本当の事を、言ってね。」
    『…?』          
    おばちゃんの発言に、頭の中は、「?」マークでいっぱいになる。
    本当の事って――?
    「龍二と…何かあった?」   
    ――ドクン。     
    本当の事…そういう事か  
     
    『……え?龍二と?いや、何かって…?急にどうしたんですか?』
    あたしは、驚くフリをして笑顔で、答えた。
    「…。」
    黙ったままの、おばちゃん。静まり返った車内には、鈍い、暖房の音だけが、単調に、響いていた。  
    『…いや、本当にね、何もないですよ。あ、もしかしてコレですか!?』
    あたしは、自分の顔を、指差す。
    『ストレスでニキビ出来る程…弱くないですよ〜。単なる野菜不足です。笑』
    あたしは、平然を保って、彼女に明るく、言った。 「……そう。」       
    「だけど、あの子、毎晩遊び歩いてるんでしょう?雄二の知り合いが、見てるって…言ってたから。」   
    雄二さんの―――? 
    アイツ、人の目気にしないからなぁ…

    2006-04-10 23:20:00
  • 27:

    『あはは、毎晩っ…!?笑そんな事ないですよ〜。たまたまですよ!あたしが寝込んでる間は、ずっと看病しててくれましたしね!』「…理都ちゃん、気を遣わないで?本当の事が…ね、聞きたいの。」      
      
    おばちゃんの目は、真剣だった。 あたしの゛作り笑い゛なんて、見透かしていると言わんばかりに――…
    『なぁに……言ってるんですか!?本当の事っ?そのままんまですよ〜。たまに外で遊ぶくらいで…ギャーギャー言いません。こう見えて心広いですから。笑』   
    おばちゃんには、知られてはいけない。知られたくない。龍二を信じている彼女を、裏切るわけには――…絶対に、いかないんだ。      

    「…。」
    あたしは、一人、必死で、笑った
    暖房で、熱が籠もり、熱くなった車内で、手には…汗をかいていた。       
    「……理都ちゃん、じゃあそれは?」
    突然、彼女が口を開いた。目線の先は、あたしの、 ゛体 ″だった。
    え――?          
    「そのアザ…は何?」      
    しまった!!……なんで。   
    「さっき、着替える時に見えたんよ。

    2006-04-10 23:21:00
  • 28:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 29:

    着替える時…? どうしよう油断してた……。頭が、上手く回らない。
    おばちゃんには、言えない―――…。         
    「…理都…ちゃん?」  ――ハっとする。
    『あの…えっと、』
    痛…頭が……また痛い… だめだ…… しっかりしなきゃ。   


    『そりゃあ…ね、喧嘩くらいしますよ〜。二人とも、気強いですから!笑 ほらあの…たまには、殴り合いもね?あたし…弟がいて、昔から兄弟喧嘩には…笑』「理都ちゃん――、」

    「もう、いいのよ…。」    

    ――必死で話している間、目が合わせられなかったあたしは、ゆっくりと、運転席の方を見る。
    「もう、いいの…。気を遣ってくれてありがとう。今まで辛い思いをさせて、本当にごめんなさい…ね。」     
    そう言った彼女は、いつも通り優しく、でも、とても悲しそうに―――…       
    微笑んでいた。
    その瞬間、あたしは、我に返った――。
    『な…に、言ってるんですか!?気なんか遣ってませんよ!?コレは、本当にただ喧嘩が…発展しただけなんです!あたしも、龍二に手を出したしっ――…』   

    2006-04-10 23:23:00
  • 30:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 31:

    息を切らしながら、顔を、上げる。
    『おば…ちゃ……ん?』     
      
    ハンドルを握り締めたままの彼女は、声を 殺して…涙を、流していた。
    「…り…ちゃん……ごめ…ん…ね。」
    弱々しく、放たれていく、おばちゃんの声。        
    『…。』
    あたしは、思わず、顔を、伏せた――。
    理都ちゃ…みたいないい子が…あの子と一緒にいてくれる……なら、あの子も幸せになれるかも…って思ったわ。」
    『…。』
    「だけど、ダメ。それじゃあ意味ないの…理都ちゃんが幸せになれなきゃ…ね、意味が…ないのよ。」
    「おばちゃんは…ね、出会った時から、そんなあなたが、大好き…よ?人一倍努力して、人一倍、人の気持ちを考えれる子。だから、幸せになりなさい。強がるの…は…もう、おしまい。あなたは、十分あの子を幸せにしてくれたわ。理都ちゃん…もういいの。だからもう、我慢しなくていいのよ?ありが…とう。あなたは、誰よりも…優しい子。今まで、本当に…ありがとう。ありがとうね……。」     

    おばちゃんの言葉を最後まで聞き終わらないうちに、下を向いたままのあたしの

    2006-04-10 23:24:00
  • 32:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 33:

    あなただけには、知られたくなかった。
    アイツを信じていた、あたしを信じてくれた、あなただけには―――…  

    おばちゃ…ん        
    ごめんなさい…………

    ガラガラと、心の中に突っ掛かっていた何かが…… 音を立てて、崩れていく。    
    彼と出会ってから、誰かの前で、弱音を吐いたのは、これが…初めてだった。

    《理都ちゃん、強がるのはもう、おしまい…。》    
    あたしが、ようやく落ち着いた頃だった。おばちゃんが、シートベルトをしながら言った。
    「…さぁ、理都ちゃん、行くわよ。急がないと、時間がなくなる。」
    『え…?』
    ―彼女は、素早く、ドライブモードに切り替え、サイドブレーキを下げる。
    『行くって…何処に?』 家は、ほぼ目の前だった。あたしは、助手席で、キョトンと…していた。     
    「雄二のところよ。」
    車は、ゆっくりと進み出した。おばちゃんが、ハンドルをきりながら答える。 あぁ、雄二さんのところ…  
    ……………ん!?
    『え……ちょっ、雄二さんのところ…!?いきなりなんでですか!?』
    パニックにな

    2006-04-10 23:28:00
  • 34:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 35:

    あたしの質問が、聞こえているのか、いないのか… おばちゃんは、黙って車を走らせる――…。   
    《…雄二さんのところに?何しに行くんやろ……。》あたしは、不安で、胸が…落ち着かなかった。     
    「雄二に……ね、早いとこ頼まなきゃ。」 
    信号が、丁度、赤に変わった時――。彼女が呟いた。
    『頼むって……何を?』
    「あの子を…龍二を止められるのは、昔から、雄二だけなのよ。私じゃ…無理。理都ちゃんを、解放してあげられないの。」      
    ――おばちゃんの言葉の意味が、一瞬、分からなかった。 解放って…?     
    『あの…それ、どーいう意味です…か?』
    「とりあえず、雄二に事情を説明して…龍二を説得してもらわないと。理都ちゃんは今日中に、責任持っておばちゃんが実家に送り届けるから。荷物は…後日郵送かなんかで。今は、それしか方法がないわ…。」    
    『…え?』
    ちょ、ちょっと待って……どーいう事?????
    「あの子……治ってないんでしょ?理都ちゃんの、そのアザ…。龍二から、逃げなさい。このままじゃ…あなたは、ダメになるわ。」   

    2006-04-10 23:29:00
  • 36:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 37:

    「…え?」
    『おばちゃんお願い…!一回、止めてください!!』【キキーッッ―――】       
    「理都ちゃ…ん!?どうしたん…?」
    『…っ。実家には……戻れません。』
    戻れるワケがない――…。
    「どうしたの…?何か…あったん!?」
    『……もう戻らないって、責任取る…って、約束したんです。』
    「責任って…?」
    『勝手なことをした……あたしが、悪いから。家族とは、もう…会いません。』
    「…。」
    あたしは、一人で生きていくって決めたんだ―――。    

    「……あの子…の、せい?龍二のせいで、理都ちゃんが―――…」
    『違います!!龍二のせいじゃ…ありません。二年も顔を見せなかった、あたしの責任です。あたしが、悪いんです。』
    本当に、そう。あたしは、心のどこかで、家に帰る事を、拒んできた――…。
    おばちゃんの目からは、また、涙が零れていた。
    『ありがとう…ございます。嬉しかったです。』
    あたしは、精一杯、笑顔を見せた。
    「…理…都ちゃん、聞かせて?もし、あなたがもう…龍二の事…を、想っていないのなら……正直に、言って?実家じ

    2006-04-10 23:30:00
  • 38:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 39:

    その言葉に、正直、戸惑ってしまう、自分の心――。   
    あたしは、どうしたいの?このまま、何も言わずに龍二を捨てて…それで、幸せになれるん?後悔しない未来が、待ってるん――?      
    自分の体を、眺める。全身アザだらけの…汚い体。 トリートメントも買えなくなった、パサパサの髪。 荒れ果てて、綺麗な部分なんて一つも残っていない、ガサガサの肌――…。
    瞬間、堰を切ったように、堪えていた想いが……一気に、溢れ落ちた――。         

    『……うーー…あたしっ…あたし……はっ………』 「うん…理都ちゃん、ちゃんと聞かせて…?うん…うん…辛かったやんな?理都ちゃ…もう大丈夫やから…ごめんね…ごめんね…?」  
    おばちゃんも、大声を出して 泣いていた。運転席から、その小さな体であたしを抱き締めながら…
    これまで、自分のしてきた事って、一体何だったんだろう…? 少しは、意味を持ってくれるかな?   この先、もし何年後かに…どこかで偶然巡り合ったらアンタは、笑ってくれる?    
    《おう…☆理都!お前何しててんな〜!?》         

    2006-04-10 23:32:00
  • 40:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 41:

    《このままじゃ……あなたは、ダメになるわ。》      
    そうだ…ね…おばちゃん。おばちゃんの、言う通りかも知れない。        
    このままじゃ、いずれダメになる。あたしも、龍二も二人とも――…
    お金もないし、いずれ、家も食料もなくなって、生活さえ…出来なくなる。  すぐに、離れなきゃいけない時がくる。
    体が、顔が、こんなんになっても、その時は笑って、《バイバイ》
    って言えるのかなぁ……? 
    「え…理都ちゃ…?今……なん……て?」   
    おばちゃんは、目を真ん丸にさせて、驚いていた。    
    『……龍二の所に、戻ってください。』          
    あたしの乾いた唇からは、確かに…そう告げていた。
    「本気……なの?おばちゃんの事…は、気にしなくていいのよ?理都ちゃんが…自分の…思う…とおりに」『します。』
    「え…?」
    『思うとおりにします。あたしが…戻りたいから、あそこに戻るんですよ。』        
    あたしは、微笑んだ。
    「………つ…ちゃ…っ。」     
    『早く、戻らないと。アイツまた機嫌悪くなりますよ。《腹減

    2006-04-10 23:34:00
  • 42:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 43:

    そのまま、家まで送ってもらうと、車を降りる時に、おばちゃんから、何かを手渡された。
    《封筒…?》
    『コレ、なんですか?』
    「たいしたものじゃないけど…後から、見てちょーだい。あ…でも、龍二がいないところでね。」
    一体、なんやろう…?
    とりあえず、一度頷いて、『じゃあ…今日は、ありがとうございました。』
    車のドアを、閉めようとした――。
    「理都ちゃんっ!!」
    『え……?』 
    ドアから手を離す手前で、彼女に、呼び止められた。
    「もし……今後何かあったら、これからは…すぐに言ってきなさい…ね?おばちゃんはね、あなたの事が…本当の娘のようなの。」   
    そう言って、運転席からあたしを見上げる彼女は、切なそうに…微笑んでいた。  
     
    おばちゃんに別れを告げた後、車が見えなくなるまであたしは――、ただ遠くを延々と… 眺めた。
    貰った封筒の、中身を、そっと覗く――。
    『…。』          
    恐らく、家に一度寄った時に、入れたんだろう。    
    白い封筒の中には、一万円札が何枚か…入っていた。
    封筒を、握り締めた手に、思わ

    2006-04-10 23:35:00
  • 44:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 45:

    《戻りたい場所。》だと、言った。けど、ほんはね…   
    《戻れる場所がない。》    
    あたしの【居場所】は、他の、何処にもないんだよ…
    白い息を、一度吐くと、ゆっくりと、空を見上げた。今日は、【天気予報】では雨だと言っていたのに…。空は、嫉妬するくらいに、鮮やかで…眩しいくらいにキラキラと、輝いていた。  
    こんな綺麗じゃ、きっと、忘れられないな……
    この時、あたしは、終幕が降りかかっているラストステージへの一歩を… 静かに踏み出す事を、決めた。   

    そして、彼女と会ったのは、澄み渡るように晴れた青空の日。 この日が、最後になった。

    【ガチャン――】
    部屋に戻ると、龍二は、ベッドの上で、気持ち良さそうに… 眠っていた。スースースースー……
    彼の寝息だけが、静かな部屋に――… 響く。

    《寒……》
    部屋は、外と変わらないくらい、ひんやりとしてる。暖房も付けずに布団にくるまる彼の元に、あたしはそっと… 近づいた。
    『…こんな寒い中、良く寝れるなぁ。』
    寝てる間に、足で、弾いてしまったのだろう。足元でクシャクシャになっている布団の

    2006-04-10 23:38:00
  • 46:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 47:

    「……ん…つ…。」      
    ――足が、止まる。      
    …? 背を向けたまま、彼の口から発っせられる言葉に、耳を、傾ける。         
    「…つ…ごめ…んな…。」
    しっかりと聞こえた言葉。慌てて振り向くと、龍二はまた寝息を立てて……さっきと同じように、眠っていた。         
    もう一度、彼の元に、ゆっくりと――… 近づく。 
    『…。』

    龍二、ごめん…ね。
    謝らないとダメなんは、あたしの方。あたし…今まで嘘ついてた。【アンタの為や】って思って、自分の気持ち偽ってた。       
    だけど、もう大丈夫…     
    あたし、決めたねん。一人になんかしない。アンタの傍におるから。誰の為でもない、自分の為に、アンタの隣で笑ってるから…
    だから、もしも二人が離れ離れになる時が来れば… その時は、言ってね?     
    《理都…またなっ☆》    
    もう一度あの頃の笑顔で、あたしに……言ってね…?  
    あたしは、台所に向かい、スーパーの袋から、買ってもらった、おにぎりを一つ取り出した。【パク―】
    お米なんか食べたん、

    2006-04-10 23:39:00
  • 48:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 49:

    冷蔵庫に一通り食材を詰めて、お風呂に水を溜めようと、立ち上がる。
    クラッ――――     
    まただ…。最近、立ちくらみや、目眩が、ヒドイ。   
    お風呂の扉を開けた時―、『…うっ―――』  
    あたしは、瞬時に、元来た台所に戻った。
    『ゲホ…ッゲホ……うっ…!』  
    な…に? 流し台には、さっき食べたばかりのおにぎりが、あたしの胃から、吐き戻された。
    『……ぅ…ぇ!』
    涙目になりながら、えづく。気持ち悪い……
    しばらくその場でうずくまると、口を濯いで、とりあえず部屋に戻る……。
    【ピッ】 
    ひんやりとしたソレを、脇に挟んだ。
    【ピピピピッ――】 
    『…。』
    ━38度6分━
    『……全然、下がってないやん。』   
    あれだけ薬飲んだのに…   
    『はぁ…。』あたしは、思わず溜め息をついた。
    《せっかく買って貰ったおにぎり………》

    2006-04-10 23:41:00
  • 50:

    その後、何日間か、あたしの熱が下がる事はなかった。何を食べても、吐いての繰り返し…。そのうち、水さえも、受け付けるのが苦しくなる始末だった。      

    『……んだ、こ…れ?』
    ベッドに寝たまま、一日一日が、過ぎていく。あたしの心は、精神的に、もうギリギリまで追い込まれてきていた事――、あたしは…気付いていなかった。 
    あたしの体調が良くない間龍二はいうと、看病をしてくれたり、家事をしてくれたり…していた。
    だけど、少し落ち着きだした頃―あたしの家出騒動?があったにも関わらず、彼が夜に家にいない日々が…戻ってくるのだった。     
    そんな龍二に、次第にあたしの心は【不信感】いっぱいになった。今までとは、何かが違う。平気だった。平気なフリを…していた?  
    弱りきった体でベッドの上から、夜中に部屋を出ていく彼の姿を見るのは、今まで以上に… 胸が痛んだ。
    アンタの隣で、笑ってるって決めたのに…な  
    それさえも、あたしを邪魔するん……?          

    矛盾した行動、熱で鈍った思考回路。次第にそれはひどくなり、あたしだけでは

    2006-04-10 23:43:00
  • 51:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 52:

    『………それ…何…?』    
    ようやく重い目蓋を開く。目に飛び込んできた異様な光景に、あたしの瞳孔は、必要以上に開いた……。 「え……これ知らんの!?お前ってアホやな〜。笑 アロエやアロエっ!食べた事あるやろ?」
    笑いながら言う、龍二…。    

    いや……ちょっと待って?アロエくらい知ってますから。食べた事ある以前に、゛大好物 ″ですから……
    自信満々に話す彼に、あたしは、口をポカンと開けたまま……唖然とする。      
    ヨーグルトとかね、おいしいやん。ナタデココ入りやったら、更にたまらんよ。ん…あの、触感がね?コリコリっとした歯応えが……   
    『って……だから、なぜに原型っ……!?!?』
    龍二の腕にはヨーグルトとでもなく、ナタデココ入りでもなく…。なぜか、ばかデカイ【アロエの鉢植え】が…… 抱えられていた。
    意味分からんから…(;-_-)  
    「お前なぁ〜アロエは、何にいいか知ってるか?」 何にいいか…って。
    『美容…?ダイエット?』「ちゃぅわ〜!肌が綺麗になるんやて。連れのねぇちゃんに聞いたねんっ!」   
    『…肌?』

    2006-04-10 23:44:00
  • 53:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 54:

    『…何を冷静に言うてるん!?立派な…犯罪やで?早く返してきぃや。朝になるまでに返したら家の人も気付かへんやろ!?』
    《信じられへんわ…。》   
    「…は?お前が何を言ってんねん?せっかく取ってきたったねんで?お前の、肌が治る思って…。」     
    『そんなん関係ないっ!人のもん盗んで…分かってるん?アンタのしてる事って人として最低やで?』
    …龍二は、しばらく黙っていた。
    「なら、一回だけ…塗ってみいや?ちょっとでも良くなるかもしれんし…。」 『いらんって。』 
    「…なんでそんなん言うねん。ちゃんと返しに行くから、一回試すだけでも試してみた――…」
    『いらんって言っとうやろっ!?しつこいねん。そんなん顔に塗ったら余計に悪化するわ…。気持ち悪い!早く返しに行きやっ!!』  
    あたしは、声を張り上げて叫んでいた。
    うっとうしい…人の気持ちなんか知らないくせに…!   
    あたしがどんな気持ちで、毎晩アンタの帰りを待ってたか…知ってるん?
    毎晩毎晩、帰ってこーへんアンタを待つのがどんだけ辛かった…か……アンタに分かるっていうん?     

    2006-04-10 23:45:00
  • 55:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 56:

    あたしは、返事もせずに、そそくさと布団に潜り込み背を向ける。
    「…じゃ、先寝とっていいからな?」
    【ガチャン――】         
    玄関のドアの閉まる音―
    【パチン―】
    あたしは、ベッドから起き上がると、すぐに立ち上がり電気を消した。テーブルの上のアロエには目もくれずに。布団を頭まで被り、ぎゅっと…目を瞑った。   
    卑屈になっているのは、自分でも分かってる。八つ当りしたってどうにもならない事だって…。だけど、どうしたらいい?見返りを求めてたわけじゃなかった。  
    それなのに――…  
    ズルイわ…          
    そんな顔…せんとってよ。
    あたしと彼の想いは、ゆっくりと違う方向を向いて…進み始めていた。
    変わらず時間だけが無情にも流れていき、気付いた時辺りはきっと――…       
    望んでいた景色とは違う景色が、あたしと彼を、待ち受けているのだろう。

    「ほらっ!!コレ食べや!俺が作ったねん!」
    『…。』

    なけ無しの材料で、龍二が作ったという料理。が、彼の手によって、テーブルに並べられていく…。
    お世辞でも、お

    2006-04-10 23:46:00
  • 57:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 58:

    焼いただけの肉の塊まり、手で剥がしただけのバカデカイキャベツが添えられ…みるからに水分が多そうな茶わんの中の…ご飯。    
    「うまそうやろっ?この絶妙な焼き具合。俺って料理の才能あるかもな〜。」
    笑顔で自信満々に言う龍二の言葉とは裏腹に…
    あたしの口は、ポカーン と開いたままだった。
    『ご飯…何合炊いたん?』「三合やで。なんで?」 『…。』
    《お米…もったいな…。》   
    「ってか、冷めるやん。早く食べよやっ!!」 
    少し乱暴に手渡された、いつも使っている箸。龍二が作ってくれた初めての手料理は、病人には…少し、胃に重たかった。
    だけど、十分に゛気持ち″は伝わってくる――…。   
    「理都、うまいかぁ?久々に肉食ったよなぁ。オカン様様やなっ☆」
    『…うん。そやな。』     
    なのに、どうして…?

    使った物は出しっぱなし、ぐちゃぐちゃになった台所。食卓の上には、料理の隣になぜかゲームのカセットやドライバーが置いてある。ゴミ箱の回りに散らばったティッシュ、立て鏡の前に散乱したドライヤーやヘアアイロン、たくさんの抜けた髪の毛…

    2006-04-10 23:48:00
  • 59:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 60:

    「なんやぁ…お前、食欲ないんかぁ?全然、箸進んでないやん。もったいないねんからちゃんと食えよ!」   
    『…。』          
    あたし、オカシイ。
    龍二が手料理を作ってくれるなんて、今までだったら考えられない事。少し前までのあたしなら、飛び上がる程嬉しかったはずなのに。
    『ごめ、食欲ないねん。』【カチャ―】         
    箸を置く。あたしは、そのまま再びベッドに潜り込んだ。 龍二の表情は、見ていない。…見れない。      
    熱で、どうにかしちゃったんやろか?
    今のあたしは、きっとものすごく醜い。【卑屈】で塗り固められた… 嫌な女。
    少しの間があった後、【ガシャンッ――】台所で、音がした。            
    あたしは、分厚い布団の中でそれを聞こえぬフリして   
    震える膝を…抱えていた。
    「…どういう事?」
    『だから、体が良くなったら働こうと思うねん。』    
    ある日の夜―。突然のあたしの言葉に、龍二は驚きを隠せない様子だった。    
    「働くって…何処で?」
    少し考えた後、彼は口を開いた。
    『水商売。』   

    2006-04-10 23:49:00
  • 61:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 62:

    『だって、アンタ働く気ないやろ?いつまでたってもダラダラしてるだけやし…昼のバイトじゃしれてるし生活費払われへんやん。』  
    あたしは、言葉を挟む隙を与えずに、一気に喋った。  
     
    「……それって、マジで言ってんの?」
    『冗談言ってるつもりは、ないけど?』         

    生暖かい部屋の中が、張り詰めた空気で…一気にフリーズする。居心地が悪い。    
    「働く…気、ないわけやない。ほんまにしたい事見つかるまで…今、探してるとこやねん。」
    言い訳がましい、言葉。もう、そんな話も聞き飽きた…。
    『なら、それが見つかるまであたしが働くわ。それでいいやろ?』
    「…。」
    断る権利は、ないはずだ。「働くって…何処で?またスナック?」
    不安そうに尋ねる彼に、あたしの決断は、更に追い打ちをかける。
    『ううん、キャバクラ。駅前でな、スカウトされてん。』
    嘘じゃない。体調が悪くなる前、スーパーに足を運んだ時に声をかけられて、゛スカウトマン ″とやらに、名刺を貰った。
    時給は、スナックの時の約二倍。当時は景気が良く、新人の間でも4000円

    2006-04-10 23:50:00
  • 63:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 64:

    名無しさん

    age

    2006-05-18 23:19:00
  • 65:

    名無しさん

    明らか傷跡の作者とIDちゃうやろ??濫用やめて??コピペするな!

    2006-05-18 23:46:00
  • 66:

    名無しさん

    IDやなくてIPやろ

    2006-05-19 21:47:00
  • 67:

    名無しさん

    これ何?

    2006-07-03 11:37:00
  • 68:

    名無しさん

    あげ???

    2008-01-03 02:44:00
  • 69:

    名無しさん

    ばり気になる

    2008-06-12 07:48:00
  • 70:

    名無しさん

    あげ?

    2008-06-12 16:56:00
  • 71:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 72:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 73:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 74:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 75:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 76:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 77:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 78:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 79:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 80:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 81:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 82:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 83:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 84:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 85:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 86:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 87:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 88:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 89:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 90:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 91:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
  • 92:

    削除

    削除されますた

    あぼ~ん
新規レスの投稿
名前 (8文字まで)
E-mail
必須本文 (750文字まで)
傷跡を見ている人におすすめの掲示板

スレッドタイトルを対象とした検索ができます。
※スペースのあり、なしで検索結果は異なります。