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1:
名無しさん
初めて書きます。よかったら読んで卞さい。
2006-03-25 01:45:00 -
2:
名無しさん
??
2006-03-25 01:51:00 -
3:
名無しさん
http://bbs.yoasobiweb.com/test/mread.cgi/yomimono/1133335290/1-5
2006-03-25 01:57:00 -
4:
名無しさん
この作者また立てよるんちゃうか
2006-03-25 11:18:00 -
5:
ここ最近、確かに体の調子は良くなかった。
しょっちゅう立ちくらみや目眩はするし、とにかく体がダルくて…気分が悪くなったりしてた。
だけど、ただ疲れてるだけだって――そう、思った。
それなりに苦労はしてきたし、昔から熱も出やすかったし、少しずつ異変が出てきていた自分の体に……
あたしはまだ、気付いていなかった。
――それから、どのくらい経っただろう。
あたしの熱はなかなか下がらずに、龍二はその間、付きっきりで看病していた。
あたしはというと…毎日、熱にうなされながら、何も食べずに薬を飲む。そんな苦痛な何日間か、あたしは意識も曖昧なまま――… 寝込んでいたらしい。
チュンチュンチュンッ
……朝だ。あたし、あれからどうなったんだっけ?
久しぶりに、頭がスッキリしていた。ようやく、熱が下がったのかな……。
『……ん。』
――病み上がりに起こす体は、何倍も重い。
あたしは、ベッドから、鉛がついたような体をゆっくりと持ち上げ、ふと、ベッドの脇を、見た。
『…。』
ベッドの脇2006-04-10 22:51:00 -
6:
削除削除されますた
あぼ~ん -
7:
……看病、してくれてたんかな?
チクリ―。
少しだけ、胸が痛んだ。
「……んー。」
「…あ…れ……?理都…」
『おはよ。』
「……えっ?あ……お前、目…覚めたん…!?」
龍二の焦りよう。あたしは相当、重症だったようだ。
『ん…目覚めた。あたし、どんぐらい寝てたん?』
「……丸々…三日くらい…やな。ってか、ほんまに良かった………。」
――目の前で、一気に胸を撫で下ろした様子の彼に、あたしは、やっぱり複雑な気持ちだった。
だけど、次の瞬間――。
あたしは、言葉を失う
「……ってか…な、理都…お前、顔……」
『…え…何?』
龍二が、心配そうに、あたしの顔を覗き込む。
顔が…どうしたん――?
「……や、何もないで。」2006-04-10 22:53:00 -
8:
『……何…よ?何なん?気になるやろ……?』
【ガバッ―】
あたしは、ベッドから起き上がると、そのまま洗面所へと迎う。そして、洗面所の鏡の前へ… 立つ。
『…。』
『何…………コレ?』
――思わず、唖然とした。
肌は、昔から綺麗な方だった。ニキビなんて、あまり出来た事すら、なかった
『……二?龍二ぃっ……。何なんコレ?なぁ…何なんよぉぉ………………っ。』
あたしは、鏡の前で、崩れ落ちた。
あたしの顔には、湿疹?吹き出物?みたいなモノが、三日間の間に、至る所に、出来ていた―――…。
うそ・・や。嘘や…んな?
痒い……痛い…………。
「…おっ、おい!理都!お前…何やってんねんっ!」
あたしは、必死で顔を、掻きむしった――。
『…やめてよぉ!!離してよぉぉ…っ!!!!』
「理都!落ち着けって!」『嫌やぁぁぁ…嫌やぁぁぁぁぁ!』
「理都っ……!やめろ!!跡残るぞ!!落ち着け!」
『嫌ぁぁぁぁぁぁ…!!』
2006-04-10 22:56:00 -
9:
こんな事って、
こんな事って……あるん?
あたしが、何をしたん?
なぁ神様…… こんな仕打ちを受ける程、あたしはアナタに刃向かった? 罪を犯した?
あたしは、このままどうなるん―――…?
「理都……落ち着け。腕、見せてみ。」
龍二が、強引に、あたしの腕を掴む。
『うっ…。』
思わず、言葉が漏れる。
腕気持ち悪い。
気持ち悪い・・・・。
「なんやろ…な、コレ。薬塗った方がええな…。」
『……離し…て。』
や足にも、同じように大きな湿疹のような、かぶれのようなモノが… いくつもいくつも、出来ていた。
『いいから……もう。離して…よ。』
もう、どうでもいい
「理都……お前なぁ、いい加減にしろよ。」
「このくらいで何言ってるねん…。すぐ治るわ。薬買ってくるから、おとなしく待っとけな。」
龍二は、そう言うと、そのまま部屋を出ていった。
『……』
2006-04-10 22:58:00 -
10:
もう一度、立ち上がり、鏡を見る。
痩けた頬、やつれた顔…
【ギシッ―】
あたしは、ゆっくりとその場にあった体重計に乗る
体重は、ここで一緒に住みみ始めた頃から、約8キロ減っていた。
『ふっ……ブッサイク。』
思わず、笑ってしまう。自分の馬鹿らしさと、情けなさに。『は…は……。』
あたしは、そのまま、フラフラともつれた足で部屋に戻ると、ベッドに倒れ込むように…横になった――。
痛……
――ほんの一瞬だけ、眠ってしまってた。
《今…、何時やろ……?》部屋を見渡す、が、龍二の姿はまだなかった。2006-04-10 23:01:00 -
11:
体が痺れる…。
ふと、自分の体に目をやると、昨日、彼に殴られた”証拠“がくっきりと――、あたしの体に、刻み込まれていた。たくさんの痛々しいアザは、その証。
龍二があたしに残した…
あたしの心を縛りつける、最後の 証だった―――。
「ほら、コレ塗れって!」帰ってきた彼が、少し強引にあたしの腕を掴む。
『……痛いって。』
あたしはそう言いながら、龍二の顔を見上げる。
「薬局のおっさんにいっちゃん効くやつ貰ってきたったからなぁ〜。コレ塗ったら、一発で治るわ!」
自信満々に言う龍二の手には、市販の”湿疹、アトピー性皮膚炎、ニキビ“などに効能があるらしい…塗り薬が、握られていた。
「ほら、塗れって。」
『…。…ありがと。』
あたしはそれを、鏡を見ながらゆっくりと顔や、体に塗っていった。
それが効いたとしても、効かなかったとしても。
この時のあたしには、そのまま何もしないよりは…遥かに気休めになった。
『…少し、寝るわ。』
あたしは、やつれた顔で、少し笑顔を見せると、2006-04-10 23:02:00 -
12:
削除削除されますた
あぼ~ん -
13:
今日は、珍しく龍二は朝から出かけている。
あたしは久しぶりに、部屋で一人になった気がした。相変わらず、袋に入ったフランスパンを噛る…。
『…固。』
最近は、本当にこんなものしか胃を通らなくなっていた。あたしが体調を崩してからも、龍二がスーパーまで行って、買ってきてくれていた。
【ピンポーン―――。】
突然、部屋のチャイムが鳴った。
《珍しいな……誰やろ?》あたしは、ゆっくりと立ち上がり、玄関へ迎う。
『…はーい。どちら様?』【ガチャ――。】
玄関の扉が、開く。あたしは、目の前に立つその人物を見て、少し驚いた。
『……おばちゃんっ!?』廊下には、龍二のおばちゃんが立っていた。
「…それ…より、理都ちゃん。それ、どうしたの?」
おばちゃんが、心配そうに顔を見上げる。
――ハッとする。アザは、スウェットのおかげで全て隠れていた。てことは、こっちか……
『……あっ、なんか突然肌荒れしちゃって。ヒドイ顔でしょ〜?』
あたしは、苦笑いしながら取り繕うように答えた。2006-04-10 23:05:00 -
14:
削除削除されますた
あぼ~ん -
15:
「…まぁ、若いからニキビとかは仕方ないけどね。」おばちゃんは、また優しく微笑んだ。
『…。』
「少しお邪魔してっても、いいかな?」
『あ、はい…。どうぞ。』
あたしは、持っていた扉を大きく開き、二人でゆっくりと、家の中へ入った。
「理都ちゃん…龍二と、うまくいってる?」
テーブルの前に腰を下ろし、一息ついたおばちゃんが、台所にいるあたしに声をかける。
『……え?…あ、はい。』
――あたしは、手に持ったヤカンから目を離さずに、紅茶を入れながら、答えた。
おばちゃんには言えない。どうしても…
《理都ちゃんに出会えて…あの子はほんまに――…》《理都ちゃんっ…龍二を、よろしく――…ね?》
言えるわけ、ないよ……
「そういえば…龍二は?」おばちゃんが、部屋にいない彼に気付き、言う。
『あっ…、』
この展開はマズイ・・・。
「龍二は、仕事なの?」 『……あ、あのっ、』
いいフォローが思いつかない。こういう時、昔から、あたしは頭が回らない…。思いっきり、言葉を、詰2006-04-10 23:12:00 -
16:
削除削除されますた
あぼ~ん -
17:
テーブルに座り、おばちゃんと二人で、向かい合う。…。
「……いつから、行ってないの?」
先に、口を開いたのは、彼女だった。仕事の事を、聞いているのだろう。
『えっと…色々あって。』
那智さんの事は、絶対に、言えるはずがない…
「…そう。」
再び、沈黙が流れる―― 『…。』
「理都ちゃん、少し顔色悪いけど大丈夫?それより…あなただいぶ痩せた?」
…痛いところを、突かれた。やっぱりまだ、体調は良くない。顔色も、熱も、戻っていない――…。
『あ…えっと実は……ダイエットしてて。慣れてないからかなぁ。栄養不足で、肌も荒れるし、顔色もなぜかこんなんで。笑』
あたしは、咄嗟に出た言い訳を、精一杯、平然を装って言った。
「……そう。」
おばちゃんの、【間】が恐かった。気付かれたくない。
おばちゃんには、龍二を、信じていて欲しい…
【ガチャッ―――】
その時――。勢い良く、玄関のドアが、開いた。2006-04-10 23:13:00 -
18:
削除削除されますた
あぼ~ん -
19:
「アンタ、何処行ってたん?」
おばちゃんが、間髪入れず彼に、言う。
「は…!?コレ、買いに行ってただけやん。」
そう言って、手に持った袋を胸の辺りで、ブラブラとさせると、龍二はそのままベッドに、寝転んだ。
「ドラッグストア…?」 無造作に置かれた、その袋の中から、おばちゃんが、一つ一つ中身を取り出す。栄養ドリンクに、ビタミン剤、パックのおかゆに、風邪薬………。
――袋の中から出てくるモノは、全て【あたしあて】の、 モノだった。
「…。」
おばちゃんは、黙ったままそれを…テーブルの上に、ゆっくりと置いた。
胸が、痛い――…
「…理都ちゃん、ちょっと付き合ってくれない?」 『…え?』
「夕飯の用意、買いに行くから、一緒に。」
『あ… はい。』
おばちゃんに誘われるまま、あたしは、買い物について行く事にした。
スウェットの下には、Tシャツを着ていたから、あたしはその場で簡単に着替えて、用意をした。
「…。」
2006-04-10 23:14:00 -
20:
『じゃあ、龍二…ちょっと行ってくるから。』
出際、ベッドに寝転がる彼に、声をかける。
「おー。あ、オカン…!こいつ病み上がりやから、つかまだ治ってないから、あんま無理させんなよ。」
「はい、分かってるわよ。理都ちゃん、じゃあ下行って車出してるからね。」 おばちゃんは、そう言うと先に部屋を、出ていった。
「ほな、気を付けてな!」『……龍二、アレ、』
「え?」
あたしは、テーブルの上をゆっくりと、指差す。
『ありがとう。』
「…え?あ、おう。そんなん気にすんな!当たり前やんけ!アホ!」
顔を赤くして、強い口調で言う、彼。
胸 が、痛 い――…
あたしは、そのまま部屋を出ると、急いでおばちゃんの元へ、向かった。
「…じゃあ、行こっか。」車に乗り込むと、激しいエンジン音と共に、それは、進みだす。
サイドミラーには、さっきまで、自分がいた部屋が、龍二がいる部屋が、ゆっくりと、ゆっくりと、遠ざかって見えた――…2006-04-10 23:15:00 -
21:
車内では、他愛もない話が続いていた。久しぶりに会ったおばちゃんは、元気そうで、あたしは安心した。
スーパーに着くと、一通り食材を買って、袋に詰め終わった後「はい、これは理都ちゃんとこの分。」と言って、おばちゃんが、渡してくれた。『すいません、助かります…。』あたしは彼女の好意に甘えて、手渡されたその袋を、右手で、握り締めた。
スーパーを出た後、「ちょっと寄るとこあるから。」と言ったおばちゃんに連れられて、あたしは車に、揺られていた。
――30分後。
「着いたよ。ちょっと、待っててなぁ。」
エンジンをかけたまま、サイドブレーキを…引く。 彼女の言葉に、ふと、曇った窓の外を見る―――。
『…?』
窓の外には、一件の、古びた民家があった。
隣の家とは距離があり、無駄に広い庭には、栽培植物が、目立つ。゛おばあちゃん家と似てる――゛そこを見て、なんとなく、昔良く行った田舎のおばあちゃん家を、思い出した。
表札を、見る。
【笠原】
笠原―――?誰…?
龍二の名字は、【黒崎】。2006-04-10 23:16:00 -
22:
削除削除されますた
あぼ~ん -
23:
おばちゃんは、離婚したんだった。――【笠原】は、再婚相手の…名前だ。
雄二さんも、龍二も、まだ【黒崎】として名乗ってるって事は、二人は戸籍上…父親側に、引き取られたって事になるのかな?
龍二から、父親の話を聞いた事は、一度もなかった。
なんか、変な感じ…
「はぁっ…理都ちゃん、ごめんね。お待たせ!」
――数分後、車のドアが開いた。
『……?あ、いえ。』
あたしは、気付いたら、シートの上で、転寝してしまっていた。《うっ…、いたた…》変な態勢に首を曲げて寝ていたせいで、首がおかしい…。
「はい、これ!」
『?……え?』
おばちゃんに、突然、紙袋を渡された。《何だ…?》紙袋の中を、ゆっくりと、開く――。
「…それね、おばちゃんが若い頃からお世話になってるモノなんよ。理都ちゃん一度、試してみて?」
そう言った中身には、雑誌で何度か見た事がある゛緑の葉っぱのマーク゛が有名な、メーカーの、スキンケアセットだった…。
『え…こんなにたくさん?いいんですか……?』
わざわざ、取りに帰ってくれたんだ2006-04-10 23:17:00 -
24:
削除削除されますた
あぼ~ん -
25:
『はい…。ありがとうございます…。』
あたしは、軽く頭を下げて、運転席でシートベルトをする彼女に、お礼を、言った。
「…。」
その後、また他愛もない話をしながら、車に揺られ、二人で笑っていた。
だけど、あたしの家まであと少し――、という所で、それは、急に…、止まった―――。
『…?』
【ギィーッ】おばちゃんの、サイドブレーキを引く音だけが、車内に、響く。
《…え?》
道路の脇に、突然、止まった車。―あたしは、ちらっと運転席に、目を向けた。
『…。』
周りに、店なんて、一つもない。事態を理解出来ないまま、沈黙が… 流れる。
「理都ちゃん、」
――先に口を開いたのは、彼女だった。
『は…い。』
異様な雰囲気。さっきまでの、他愛ない会話は、一気に、掻き消されていた。
2006-04-10 23:19:00 -
26:
「…本当の事を、言ってね。」
『…?』
おばちゃんの発言に、頭の中は、「?」マークでいっぱいになる。
本当の事って――?
「龍二と…何かあった?」
――ドクン。
本当の事…そういう事か
『……え?龍二と?いや、何かって…?急にどうしたんですか?』
あたしは、驚くフリをして笑顔で、答えた。
「…。」
黙ったままの、おばちゃん。静まり返った車内には、鈍い、暖房の音だけが、単調に、響いていた。
『…いや、本当にね、何もないですよ。あ、もしかしてコレですか!?』
あたしは、自分の顔を、指差す。
『ストレスでニキビ出来る程…弱くないですよ〜。単なる野菜不足です。笑』
あたしは、平然を保って、彼女に明るく、言った。 「……そう。」
「だけど、あの子、毎晩遊び歩いてるんでしょう?雄二の知り合いが、見てるって…言ってたから。」
雄二さんの―――?
アイツ、人の目気にしないからなぁ…2006-04-10 23:20:00 -
27:
『あはは、毎晩っ…!?笑そんな事ないですよ〜。たまたまですよ!あたしが寝込んでる間は、ずっと看病しててくれましたしね!』「…理都ちゃん、気を遣わないで?本当の事が…ね、聞きたいの。」
おばちゃんの目は、真剣だった。 あたしの゛作り笑い゛なんて、見透かしていると言わんばかりに――…
『なぁに……言ってるんですか!?本当の事っ?そのままんまですよ〜。たまに外で遊ぶくらいで…ギャーギャー言いません。こう見えて心広いですから。笑』
おばちゃんには、知られてはいけない。知られたくない。龍二を信じている彼女を、裏切るわけには――…絶対に、いかないんだ。
「…。」
あたしは、一人、必死で、笑った
暖房で、熱が籠もり、熱くなった車内で、手には…汗をかいていた。
「……理都ちゃん、じゃあそれは?」
突然、彼女が口を開いた。目線の先は、あたしの、 ゛体 ″だった。
え――?
「そのアザ…は何?」
しまった!!……なんで。
「さっき、着替える時に見えたんよ。2006-04-10 23:21:00 -
28:
削除削除されますた
あぼ~ん -
29:
着替える時…? どうしよう油断してた……。頭が、上手く回らない。
おばちゃんには、言えない―――…。
「…理都…ちゃん?」 ――ハっとする。
『あの…えっと、』
痛…頭が……また痛い… だめだ…… しっかりしなきゃ。
『そりゃあ…ね、喧嘩くらいしますよ〜。二人とも、気強いですから!笑 ほらあの…たまには、殴り合いもね?あたし…弟がいて、昔から兄弟喧嘩には…笑』「理都ちゃん――、」
「もう、いいのよ…。」
――必死で話している間、目が合わせられなかったあたしは、ゆっくりと、運転席の方を見る。
「もう、いいの…。気を遣ってくれてありがとう。今まで辛い思いをさせて、本当にごめんなさい…ね。」
そう言った彼女は、いつも通り優しく、でも、とても悲しそうに―――…
微笑んでいた。
その瞬間、あたしは、我に返った――。
『な…に、言ってるんですか!?気なんか遣ってませんよ!?コレは、本当にただ喧嘩が…発展しただけなんです!あたしも、龍二に手を出したしっ――…』
2006-04-10 23:23:00 -
30:
削除削除されますた
あぼ~ん -
31:
息を切らしながら、顔を、上げる。
『おば…ちゃ……ん?』
ハンドルを握り締めたままの彼女は、声を 殺して…涙を、流していた。
「…り…ちゃん……ごめ…ん…ね。」
弱々しく、放たれていく、おばちゃんの声。
『…。』
あたしは、思わず、顔を、伏せた――。
理都ちゃ…みたいないい子が…あの子と一緒にいてくれる……なら、あの子も幸せになれるかも…って思ったわ。」
『…。』
「だけど、ダメ。それじゃあ意味ないの…理都ちゃんが幸せになれなきゃ…ね、意味が…ないのよ。」
「おばちゃんは…ね、出会った時から、そんなあなたが、大好き…よ?人一倍努力して、人一倍、人の気持ちを考えれる子。だから、幸せになりなさい。強がるの…は…もう、おしまい。あなたは、十分あの子を幸せにしてくれたわ。理都ちゃん…もういいの。だからもう、我慢しなくていいのよ?ありが…とう。あなたは、誰よりも…優しい子。今まで、本当に…ありがとう。ありがとうね……。」
おばちゃんの言葉を最後まで聞き終わらないうちに、下を向いたままのあたしの2006-04-10 23:24:00 -
32:
削除削除されますた
あぼ~ん -
33:
あなただけには、知られたくなかった。
アイツを信じていた、あたしを信じてくれた、あなただけには―――…
おばちゃ…ん
ごめんなさい…………
ガラガラと、心の中に突っ掛かっていた何かが…… 音を立てて、崩れていく。
彼と出会ってから、誰かの前で、弱音を吐いたのは、これが…初めてだった。
《理都ちゃん、強がるのはもう、おしまい…。》
あたしが、ようやく落ち着いた頃だった。おばちゃんが、シートベルトをしながら言った。
「…さぁ、理都ちゃん、行くわよ。急がないと、時間がなくなる。」
『え…?』
―彼女は、素早く、ドライブモードに切り替え、サイドブレーキを下げる。
『行くって…何処に?』 家は、ほぼ目の前だった。あたしは、助手席で、キョトンと…していた。
「雄二のところよ。」
車は、ゆっくりと進み出した。おばちゃんが、ハンドルをきりながら答える。 あぁ、雄二さんのところ…
……………ん!?
『え……ちょっ、雄二さんのところ…!?いきなりなんでですか!?』
パニックにな2006-04-10 23:28:00 -
34:
削除削除されますた
あぼ~ん -
35:
あたしの質問が、聞こえているのか、いないのか… おばちゃんは、黙って車を走らせる――…。
《…雄二さんのところに?何しに行くんやろ……。》あたしは、不安で、胸が…落ち着かなかった。
「雄二に……ね、早いとこ頼まなきゃ。」
信号が、丁度、赤に変わった時――。彼女が呟いた。
『頼むって……何を?』
「あの子を…龍二を止められるのは、昔から、雄二だけなのよ。私じゃ…無理。理都ちゃんを、解放してあげられないの。」
――おばちゃんの言葉の意味が、一瞬、分からなかった。 解放って…?
『あの…それ、どーいう意味です…か?』
「とりあえず、雄二に事情を説明して…龍二を説得してもらわないと。理都ちゃんは今日中に、責任持っておばちゃんが実家に送り届けるから。荷物は…後日郵送かなんかで。今は、それしか方法がないわ…。」
『…え?』
ちょ、ちょっと待って……どーいう事?????
「あの子……治ってないんでしょ?理都ちゃんの、そのアザ…。龍二から、逃げなさい。このままじゃ…あなたは、ダメになるわ。」2006-04-10 23:29:00 -
36:
削除削除されますた
あぼ~ん -
37:
「…え?」
『おばちゃんお願い…!一回、止めてください!!』【キキーッッ―――】
「理都ちゃ…ん!?どうしたん…?」
『…っ。実家には……戻れません。』
戻れるワケがない――…。
「どうしたの…?何か…あったん!?」
『……もう戻らないって、責任取る…って、約束したんです。』
「責任って…?」
『勝手なことをした……あたしが、悪いから。家族とは、もう…会いません。』
「…。」
あたしは、一人で生きていくって決めたんだ―――。
「……あの子…の、せい?龍二のせいで、理都ちゃんが―――…」
『違います!!龍二のせいじゃ…ありません。二年も顔を見せなかった、あたしの責任です。あたしが、悪いんです。』
本当に、そう。あたしは、心のどこかで、家に帰る事を、拒んできた――…。
おばちゃんの目からは、また、涙が零れていた。
『ありがとう…ございます。嬉しかったです。』
あたしは、精一杯、笑顔を見せた。
「…理…都ちゃん、聞かせて?もし、あなたがもう…龍二の事…を、想っていないのなら……正直に、言って?実家じ2006-04-10 23:30:00 -
38:
削除削除されますた
あぼ~ん -
39:
その言葉に、正直、戸惑ってしまう、自分の心――。
あたしは、どうしたいの?このまま、何も言わずに龍二を捨てて…それで、幸せになれるん?後悔しない未来が、待ってるん――?
自分の体を、眺める。全身アザだらけの…汚い体。 トリートメントも買えなくなった、パサパサの髪。 荒れ果てて、綺麗な部分なんて一つも残っていない、ガサガサの肌――…。
瞬間、堰を切ったように、堪えていた想いが……一気に、溢れ落ちた――。
『……うーー…あたしっ…あたし……はっ………』 「うん…理都ちゃん、ちゃんと聞かせて…?うん…うん…辛かったやんな?理都ちゃ…もう大丈夫やから…ごめんね…ごめんね…?」
おばちゃんも、大声を出して 泣いていた。運転席から、その小さな体であたしを抱き締めながら…
これまで、自分のしてきた事って、一体何だったんだろう…? 少しは、意味を持ってくれるかな? この先、もし何年後かに…どこかで偶然巡り合ったらアンタは、笑ってくれる?
《おう…☆理都!お前何しててんな〜!?》
2006-04-10 23:32:00 -
40:
削除削除されますた
あぼ~ん -
41:
《このままじゃ……あなたは、ダメになるわ。》
そうだ…ね…おばちゃん。おばちゃんの、言う通りかも知れない。
このままじゃ、いずれダメになる。あたしも、龍二も二人とも――…
お金もないし、いずれ、家も食料もなくなって、生活さえ…出来なくなる。 すぐに、離れなきゃいけない時がくる。
体が、顔が、こんなんになっても、その時は笑って、《バイバイ》
って言えるのかなぁ……?
「え…理都ちゃ…?今……なん……て?」
おばちゃんは、目を真ん丸にさせて、驚いていた。
『……龍二の所に、戻ってください。』
あたしの乾いた唇からは、確かに…そう告げていた。
「本気……なの?おばちゃんの事…は、気にしなくていいのよ?理都ちゃんが…自分の…思う…とおりに」『します。』
「え…?」
『思うとおりにします。あたしが…戻りたいから、あそこに戻るんですよ。』
あたしは、微笑んだ。
「………つ…ちゃ…っ。」
『早く、戻らないと。アイツまた機嫌悪くなりますよ。《腹減2006-04-10 23:34:00 -
42:
削除削除されますた
あぼ~ん -
43:
そのまま、家まで送ってもらうと、車を降りる時に、おばちゃんから、何かを手渡された。
《封筒…?》
『コレ、なんですか?』
「たいしたものじゃないけど…後から、見てちょーだい。あ…でも、龍二がいないところでね。」
一体、なんやろう…?
とりあえず、一度頷いて、『じゃあ…今日は、ありがとうございました。』
車のドアを、閉めようとした――。
「理都ちゃんっ!!」
『え……?』
ドアから手を離す手前で、彼女に、呼び止められた。
「もし……今後何かあったら、これからは…すぐに言ってきなさい…ね?おばちゃんはね、あなたの事が…本当の娘のようなの。」
そう言って、運転席からあたしを見上げる彼女は、切なそうに…微笑んでいた。
おばちゃんに別れを告げた後、車が見えなくなるまであたしは――、ただ遠くを延々と… 眺めた。
貰った封筒の、中身を、そっと覗く――。
『…。』
恐らく、家に一度寄った時に、入れたんだろう。
白い封筒の中には、一万円札が何枚か…入っていた。
封筒を、握り締めた手に、思わ2006-04-10 23:35:00 -
44:
削除削除されますた
あぼ~ん -
45:
《戻りたい場所。》だと、言った。けど、ほんはね…
《戻れる場所がない。》
あたしの【居場所】は、他の、何処にもないんだよ…
白い息を、一度吐くと、ゆっくりと、空を見上げた。今日は、【天気予報】では雨だと言っていたのに…。空は、嫉妬するくらいに、鮮やかで…眩しいくらいにキラキラと、輝いていた。
こんな綺麗じゃ、きっと、忘れられないな……
この時、あたしは、終幕が降りかかっているラストステージへの一歩を… 静かに踏み出す事を、決めた。
そして、彼女と会ったのは、澄み渡るように晴れた青空の日。 この日が、最後になった。
【ガチャン――】
部屋に戻ると、龍二は、ベッドの上で、気持ち良さそうに… 眠っていた。スースースースー……
彼の寝息だけが、静かな部屋に――… 響く。
《寒……》
部屋は、外と変わらないくらい、ひんやりとしてる。暖房も付けずに布団にくるまる彼の元に、あたしはそっと… 近づいた。
『…こんな寒い中、良く寝れるなぁ。』
寝てる間に、足で、弾いてしまったのだろう。足元でクシャクシャになっている布団の2006-04-10 23:38:00 -
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あぼ~ん -
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「……ん…つ…。」
――足が、止まる。
…? 背を向けたまま、彼の口から発っせられる言葉に、耳を、傾ける。
「…つ…ごめ…んな…。」
しっかりと聞こえた言葉。慌てて振り向くと、龍二はまた寝息を立てて……さっきと同じように、眠っていた。
もう一度、彼の元に、ゆっくりと――… 近づく。
『…。』
龍二、ごめん…ね。
謝らないとダメなんは、あたしの方。あたし…今まで嘘ついてた。【アンタの為や】って思って、自分の気持ち偽ってた。
だけど、もう大丈夫…
あたし、決めたねん。一人になんかしない。アンタの傍におるから。誰の為でもない、自分の為に、アンタの隣で笑ってるから…
だから、もしも二人が離れ離れになる時が来れば… その時は、言ってね?
《理都…またなっ☆》
もう一度あの頃の笑顔で、あたしに……言ってね…?
あたしは、台所に向かい、スーパーの袋から、買ってもらった、おにぎりを一つ取り出した。【パク―】
お米なんか食べたん、2006-04-10 23:39:00 -
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あぼ~ん -
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冷蔵庫に一通り食材を詰めて、お風呂に水を溜めようと、立ち上がる。
クラッ――――
まただ…。最近、立ちくらみや、目眩が、ヒドイ。
お風呂の扉を開けた時―、『…うっ―――』
あたしは、瞬時に、元来た台所に戻った。
『ゲホ…ッゲホ……うっ…!』
な…に? 流し台には、さっき食べたばかりのおにぎりが、あたしの胃から、吐き戻された。
『……ぅ…ぇ!』
涙目になりながら、えづく。気持ち悪い……
しばらくその場でうずくまると、口を濯いで、とりあえず部屋に戻る……。
【ピッ】
ひんやりとしたソレを、脇に挟んだ。
【ピピピピッ――】
『…。』
━38度6分━
『……全然、下がってないやん。』
あれだけ薬飲んだのに…
『はぁ…。』あたしは、思わず溜め息をついた。
《せっかく買って貰ったおにぎり………》2006-04-10 23:41:00 -
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その後、何日間か、あたしの熱が下がる事はなかった。何を食べても、吐いての繰り返し…。そのうち、水さえも、受け付けるのが苦しくなる始末だった。
『……んだ、こ…れ?』
ベッドに寝たまま、一日一日が、過ぎていく。あたしの心は、精神的に、もうギリギリまで追い込まれてきていた事――、あたしは…気付いていなかった。
あたしの体調が良くない間龍二はいうと、看病をしてくれたり、家事をしてくれたり…していた。
だけど、少し落ち着きだした頃―あたしの家出騒動?があったにも関わらず、彼が夜に家にいない日々が…戻ってくるのだった。
そんな龍二に、次第にあたしの心は【不信感】いっぱいになった。今までとは、何かが違う。平気だった。平気なフリを…していた?
弱りきった体でベッドの上から、夜中に部屋を出ていく彼の姿を見るのは、今まで以上に… 胸が痛んだ。
アンタの隣で、笑ってるって決めたのに…な
それさえも、あたしを邪魔するん……?
矛盾した行動、熱で鈍った思考回路。次第にそれはひどくなり、あたしだけでは2006-04-10 23:43:00 -
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『………それ…何…?』
ようやく重い目蓋を開く。目に飛び込んできた異様な光景に、あたしの瞳孔は、必要以上に開いた……。 「え……これ知らんの!?お前ってアホやな〜。笑 アロエやアロエっ!食べた事あるやろ?」
笑いながら言う、龍二…。
いや……ちょっと待って?アロエくらい知ってますから。食べた事ある以前に、゛大好物 ″ですから……
自信満々に話す彼に、あたしは、口をポカンと開けたまま……唖然とする。
ヨーグルトとかね、おいしいやん。ナタデココ入りやったら、更にたまらんよ。ん…あの、触感がね?コリコリっとした歯応えが……
『って……だから、なぜに原型っ……!?!?』
龍二の腕にはヨーグルトとでもなく、ナタデココ入りでもなく…。なぜか、ばかデカイ【アロエの鉢植え】が…… 抱えられていた。
意味分からんから…(;-_-)
「お前なぁ〜アロエは、何にいいか知ってるか?」 何にいいか…って。
『美容…?ダイエット?』「ちゃぅわ〜!肌が綺麗になるんやて。連れのねぇちゃんに聞いたねんっ!」
『…肌?』
「2006-04-10 23:44:00 -
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『…何を冷静に言うてるん!?立派な…犯罪やで?早く返してきぃや。朝になるまでに返したら家の人も気付かへんやろ!?』
《信じられへんわ…。》
「…は?お前が何を言ってんねん?せっかく取ってきたったねんで?お前の、肌が治る思って…。」
『そんなん関係ないっ!人のもん盗んで…分かってるん?アンタのしてる事って人として最低やで?』
…龍二は、しばらく黙っていた。
「なら、一回だけ…塗ってみいや?ちょっとでも良くなるかもしれんし…。」 『いらんって。』
「…なんでそんなん言うねん。ちゃんと返しに行くから、一回試すだけでも試してみた――…」
『いらんって言っとうやろっ!?しつこいねん。そんなん顔に塗ったら余計に悪化するわ…。気持ち悪い!早く返しに行きやっ!!』
あたしは、声を張り上げて叫んでいた。
うっとうしい…人の気持ちなんか知らないくせに…!
あたしがどんな気持ちで、毎晩アンタの帰りを待ってたか…知ってるん?
毎晩毎晩、帰ってこーへんアンタを待つのがどんだけ辛かった…か……アンタに分かるっていうん?2006-04-10 23:45:00 -
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あぼ~ん -
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あたしは、返事もせずに、そそくさと布団に潜り込み背を向ける。
「…じゃ、先寝とっていいからな?」
【ガチャン――】
玄関のドアの閉まる音―
【パチン―】
あたしは、ベッドから起き上がると、すぐに立ち上がり電気を消した。テーブルの上のアロエには目もくれずに。布団を頭まで被り、ぎゅっと…目を瞑った。
卑屈になっているのは、自分でも分かってる。八つ当りしたってどうにもならない事だって…。だけど、どうしたらいい?見返りを求めてたわけじゃなかった。
それなのに――…
ズルイわ…
そんな顔…せんとってよ。
あたしと彼の想いは、ゆっくりと違う方向を向いて…進み始めていた。
変わらず時間だけが無情にも流れていき、気付いた時辺りはきっと――…
望んでいた景色とは違う景色が、あたしと彼を、待ち受けているのだろう。
「ほらっ!!コレ食べや!俺が作ったねん!」
『…。』
なけ無しの材料で、龍二が作ったという料理。が、彼の手によって、テーブルに並べられていく…。
お世辞でも、お2006-04-10 23:46:00 -
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あぼ~ん -
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焼いただけの肉の塊まり、手で剥がしただけのバカデカイキャベツが添えられ…みるからに水分が多そうな茶わんの中の…ご飯。
「うまそうやろっ?この絶妙な焼き具合。俺って料理の才能あるかもな〜。」
笑顔で自信満々に言う龍二の言葉とは裏腹に…
あたしの口は、ポカーン と開いたままだった。
『ご飯…何合炊いたん?』「三合やで。なんで?」 『…。』
《お米…もったいな…。》
「ってか、冷めるやん。早く食べよやっ!!」
少し乱暴に手渡された、いつも使っている箸。龍二が作ってくれた初めての手料理は、病人には…少し、胃に重たかった。
だけど、十分に゛気持ち″は伝わってくる――…。
「理都、うまいかぁ?久々に肉食ったよなぁ。オカン様様やなっ☆」
『…うん。そやな。』
なのに、どうして…?
使った物は出しっぱなし、ぐちゃぐちゃになった台所。食卓の上には、料理の隣になぜかゲームのカセットやドライバーが置いてある。ゴミ箱の回りに散らばったティッシュ、立て鏡の前に散乱したドライヤーやヘアアイロン、たくさんの抜けた髪の毛…2006-04-10 23:48:00 -
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あぼ~ん -
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「なんやぁ…お前、食欲ないんかぁ?全然、箸進んでないやん。もったいないねんからちゃんと食えよ!」
『…。』
あたし、オカシイ。
龍二が手料理を作ってくれるなんて、今までだったら考えられない事。少し前までのあたしなら、飛び上がる程嬉しかったはずなのに。
『ごめ、食欲ないねん。』【カチャ―】
箸を置く。あたしは、そのまま再びベッドに潜り込んだ。 龍二の表情は、見ていない。…見れない。
熱で、どうにかしちゃったんやろか?
今のあたしは、きっとものすごく醜い。【卑屈】で塗り固められた… 嫌な女。
少しの間があった後、【ガシャンッ――】台所で、音がした。
あたしは、分厚い布団の中でそれを聞こえぬフリして
震える膝を…抱えていた。
「…どういう事?」
『だから、体が良くなったら働こうと思うねん。』
ある日の夜―。突然のあたしの言葉に、龍二は驚きを隠せない様子だった。
「働くって…何処で?」
少し考えた後、彼は口を開いた。
『水商売。』2006-04-10 23:49:00 -
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あぼ~ん -
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『だって、アンタ働く気ないやろ?いつまでたってもダラダラしてるだけやし…昼のバイトじゃしれてるし生活費払われへんやん。』
あたしは、言葉を挟む隙を与えずに、一気に喋った。
「……それって、マジで言ってんの?」
『冗談言ってるつもりは、ないけど?』
生暖かい部屋の中が、張り詰めた空気で…一気にフリーズする。居心地が悪い。
「働く…気、ないわけやない。ほんまにしたい事見つかるまで…今、探してるとこやねん。」
言い訳がましい、言葉。もう、そんな話も聞き飽きた…。
『なら、それが見つかるまであたしが働くわ。それでいいやろ?』
「…。」
断る権利は、ないはずだ。「働くって…何処で?またスナック?」
不安そうに尋ねる彼に、あたしの決断は、更に追い打ちをかける。
『ううん、キャバクラ。駅前でな、スカウトされてん。』
嘘じゃない。体調が悪くなる前、スーパーに足を運んだ時に声をかけられて、゛スカウトマン ″とやらに、名刺を貰った。
時給は、スナックの時の約二倍。当時は景気が良く、新人の間でも4000円2006-04-10 23:50:00 -
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名無しさん
age
2006-05-18 23:19:00 -
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名無しさん
明らか傷跡の作者とIDちゃうやろ??濫用やめて??コピペするな!
2006-05-18 23:46:00 -
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名無しさん
IDやなくてIPやろ
2006-05-19 21:47:00 -
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名無しさん
これ何?
2006-07-03 11:37:00 -
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名無しさん
あげ???
2008-01-03 02:44:00 -
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名無しさん
ばり気になる
2008-06-12 07:48:00 -
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名無しさん
あげ?
2008-06-12 16:56:00 -
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