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numeri
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1:
pato
この安請け合い体質をなんとかしないといけない。
先日、仕事仲間から「悪い!得意先に挨拶行かないといけないんだけど、代わりにいってくれないか!」などと熱烈に頼まれてしまいましてね、ついつい安請け合いしてしまって「よっしゃ!まかせとけ!」と引き受けてしまったんですよ。
2007-04-14 10:45:00 -
54:
pato
「あれは忘れもしない8年前の夏なんですけど…」
いつものことだ。僕の人生がパッとしない誰かの引き立て役として存在するだけになってしまったきっかけの事件を話す。2007-04-16 11:01:00 -
55:
pato
8年前の夏、世間はノストラダムスの大予言で空から恐怖の大王が降ってきて人類が滅亡するって言っていた。恐怖の大王は降り注ぐ宇宙線だとか核爆弾だとかって少年マガジンのキバヤシは言ってたっけ。
2007-04-16 11:04:00 -
56:
pato
当時、小学生だった俺はその予言を心の底から信じていて、絶対に人類は滅びるって信じて疑わなかった。だから学校の勉強なんてしなかったし、何かに対して頑張る気持ちもなかったし、友達なんて作っても無駄だって思ってた。どうせ滅びるんだから。(エッセンス4 占い)
2007-04-16 11:07:00 -
57:
pato
けれども、恐怖の大王はこなかった。恐怖の大王の到来に怯え、夏休みのほとんどを近所の防空壕跡で過ごし、布団をかぶって怯えていたのだけど、恐怖の大王は降ってこなかった。それどころか雨さえ降らなかった。
人類は滅亡せず街は平和そのもの。ただ、日航機がハイジャックされたって盛んにテレビでやってたっけ。それだけだった。2007-04-16 11:10:00 -
58:
pato
滅亡しなかったのは良かったけど、それからが大変だった。不慮の交通事故で両親が死んだ。全ての後ろ盾を失ったのだ。てっきり人類は滅亡するもんだって思って何の努力もしてこなかった俺が勉強も仕事もできるはずもなく、覇気のないどうしようもない男が一人ぼっちだった。
2007-04-16 11:13:00 -
59:
pato
それからは何をやってもダメで食うや食わずの生活。悪いことも一通りやった。そしてこの歌舞伎町でヤクザに捕まって殺されそうになってるところをダルメシアンのオーナーに拾われてホストになった。
今でも思うんだよね。ノストラダムスさえあんな嘘つかなかったら、人類が滅亡するなんて言わなかったら、もっとマシな人生だったろうにって。2007-04-16 11:16:00 -
60:
pato
「へえー、じゃあ今の人生に満足できないのを全部ノストラダムスのせいにしてるんだ?」
「おかしいだろ、コイツ。本気で信じるのもバカだけど、本気でノストラダムスのせいにしてるんだぜ」
「チョーウケるー」
2007-04-16 11:19:00 -
61:
pato
別にウケを取ろうなんて気はさらさらないのだけど、この話をするといつも笑いが巻き起こってしまう。まあ、これで客が喜んでくれるのなら安いものだ。何のとりえもなく、男前でもない俺がホストをやっていくにはこれしかないのだから。
「聖夜さん、おつかれさまです」
明け方、店の営業が終わり、売れているホストたちは次々と店を後にしていく。
2007-04-16 11:22:00 -
62:
pato
「おいダミ夫、ちゃんとトイレ掃除やっておけよ。俺はこれからアフターだからチェックできないけどな」
ナンバーワンホストの聖夜さんはトイレ掃除にとにかくうるさい。いつも俺にトイレ掃除をやらせ、その出来栄えをチェックするほどだ。なんでも、客商売はトイレの清潔さが基本らしい。2007-04-16 11:25:00 -
63:
pato
「はい、いつもどおりやっておきます」
年下に命令されてトイレ掃除、これほど屈辱的なことはないが、ノストラダムスに騙された人生なんてこんなもんだ。いつもどおり完璧にトイレを綺麗にし、店を後にした。
2007-04-16 11:28:00