小説掲示板<勿忘草>のスレッド詳細|夜遊びweb関西版

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<勿忘草>

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  • 1:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ━勿忘草(ワスレナグサ)━
    春から夏に紫色の小さな花ビラをつける。

    《花言葉》
    私を忘れないで。

    2007-04-16 03:53:00
  • 2:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    *はじめに。
    初心者なもので、読みずらいかもしれません。もしお暇があれば温かい目で見てやって下さい。
    過去と現在のシーンがコロコロ変わります。途中で疑問に思う所がありましたらレスお願いします。
    更新は不定期ですが、必ず完結いたします。長い目でお付き合い下さい。

    2007-04-16 04:03:00
  • 3:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ・・・・・・・・・・・・・・・・
    たった1人の家族である母親は疲れきり、体は痩せ、頬も痩けていた。

    朝早くにパートに出かけ、夜遅くまで働いていた。
    一緒に過ごす時間は少なくとも、それでも父親の役目もしっかりと果たす大きい存在の母親。どんなに疲れていても笑顔を絶やす事はなかった。

    2007-04-16 04:12:00
  • 4:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    貧乏に慣れていた。贅沢なんて知らず、小さい頃からオモチャだって欲しいと言った事がなかった。

    ただ……、母親がずっと側に居てくれさえすれば良かった。   それなのに、たったそれだけの細やかな願いも虚しく《死》と言う名の、永遠の別れで2人を引き裂いた。

    死因、、《過労死》

    2007-04-16 04:24:00
  • 5:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    葬式なんて出来もしなかったし、ただゴミが燃やされるように母親は焼かれて骨になった。

    墓の無い母親を海に還してあげたが、母親に会いに行く場所も無く……ただ母親を死に追いやった犯人である‥‥、貧乏を恨んだ。

    2007-04-16 04:30:00
  • 6:

    海◆Ndg8H6UwpQ

                            『お金さえあれば…』

    『そう。お金が全て』

    2007-04-16 04:32:00
  • 7:

    ちぁキ?

    がんばれ??

    2007-04-16 04:50:00
  • 8:

    イザワ?

    ↑ちょっとマネしてみました?スミマセン

    読んでます。がんばれ?

    2007-04-16 04:57:00
  • 9:

    海◆Ndg8H6UwpQ



    【1】 2007/4

    2007-04-16 14:52:00
  • 10:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『アツコちゃん。今日はいつもより酔ってる?』

     《BAR・ブルー》のマスターがアツコの顔を覗き込む。マスターは50才位。整えられた短いヒゲがダンディーで紳士的。気も利き、安心感がある。そんな大人なマスターは、日本で1番、水商売に向いているとアツコは思っている。

    『アタシさ、変わろうと思って!心機一転!!っで。1人祝い!』

    2007-04-16 14:58:00
  • 11:

    海◆Ndg8H6UwpQ


    長い爪でグラスの中にある氷を回す。パキッ と、真ん中に亀裂がはいる。

    青色で統一された洒落た小さなお店で、アツコは端の席が大好きだ。仕事終わりに来て、1人でジンをロックで2、3杯飲むと家路につく。

    2007-04-16 15:04:00
  • 12:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    *略・なし

    2007-04-16 15:08:00
  • 13:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『どうして突然。心機一転するんや?』

    『マスターにはまだ内緒。また今度話すね』

    『ほーん。じゃぁ楽しみにしとくよ』

    2007-04-16 15:13:00
  • 14:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    そんな推理をしながら、アツコの事を少しづつ知っていくのがマスターの楽しみでもあった。

    『そろそろ帰るわ!お勘定して!』

    『いつも有難うね。帰り道気を付けて!』

    2007-04-16 15:20:00
  • 15:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    店を出ると少し生温い風が吹いていた。桜も散り、これから本格的に温かくなる季節がやってくる。

    『痛ッッ!』

    予想以上に酔っていた。アツコは停めてある自転車に突っ込んだ。

    2007-04-16 15:23:00
  • 16:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    膝から血が出たようでしゃがみこむ。傷はジンジンと痛む。『最悪』

    目の前が歪んで見える。洋酒は時間が経ってから酔いが回る。やはり、かなり飲み過ぎたようだ。少しづつ意識が遠退いていく。アツコの頭の中の奥で、騒がしくとても嫌な騒音が響いていたような気がした。

    ━━━━━━━━━━━━

    2007-04-16 15:34:00
  • 17:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ━━━━━━━━━━━━気が付けば、アツコは自分の家の玄関で立ち尽くしていた。慌てて時計を見ると深夜の3時。

    『ちゃんと帰って来れてるやん』

    安心し、思わず声が出る。

    2007-04-16 15:51:00
  • 18:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    胃からあがってくる強烈な匂いで少し気持ち悪くなり、化粧も落とさず、服もそのままでユウキの寝ている布団に潜り込むと小さくため息をついた。

    隣で寝ている、アツコの恋人であるユウキはまったくアツコの存在に気付かず、背中を指でなぞってみても、ユウキは動く事はない。

    2007-04-16 15:57:00
  • 19:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『ユウキ?起きて?』

    話し掛けても、背を向けたまま眠り続ける。シングルベットで2人が横になると狭いはずなのに、アツコにはユウキが遠く感じ、淋しさに潰されてしまいそうになる。
    いつからか、2人は会話すらする事も無くなっていった。思い出そうとしても、何を話したか思い出す事は出来ない。  いつからか2人のいい関係は変わってしまった。

    2007-04-16 16:01:00
  • 20:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ふと天井に目をやるとアツコの愛用していたヴィトンのカバンが天井から吊されていた。テーブルの上には見覚えの無い安物の鏡。

    それに気付くと、1週間前にした大喧嘩を思い出した。ただでさえも会話の少ない2人だったが、それからは1度も話をしていない。

    2007-04-16 16:13:00
  • 21:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    《1週間前》


    アツコの日課は、ベランダで栽培している花に水をあげる事。どんなに二日酔いになっても欠かした事はなかった。  アツコはいつものように、芽が出たばかりの花に水をあげる。

    2007-04-19 01:35:00
  • 22:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    1日のうちでアツコが太陽に浴びるのは、この一瞬だけしかない。ふと、部屋を見ると仕事に行ったはずのユウキが立っていた。

    『あれ?もう帰り?』

    『今日は早く終わった』

    2007-04-19 01:43:00
  • 23:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『そっか。お疲れ』

    体に残るアルコールがアツコの体にダルさを残していた。回らない頭と苛立ちで深いため息をついた。化粧をする為、ポーチを取りソファに座り込むと同時に後ろから筋肉質のユウキの腕が回り込んでくる。

    2007-04-19 01:53:00
  • 24:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『仕事、行くなよ』

    『無理に決まってる』

    ユウキの腕で喉が圧迫され、目すら見ずユウキの手を振りほどいた。勢いでユウキは後ろに倒れ、アツコの大事にしていたアンティークの手鏡が割れた。腕を切りユウキの血が滲んだ。

    2007-04-19 01:58:00
  • 25:

    海◆Ndg8H6UwpQ


    『何すんの!?コレ、いくらすると思う!?割れたし!ユウキ!同じ物買ってくれるの?買える訳ないよね。貧乏だもんね。最悪』


    全て言い終わってから、言いすぎた事に気付き口を手でふさいだ。

    2007-04-19 02:02:00
  • 26:

    海◆Ndg8H6UwpQ



    『ユウキっ…ごめ…』

    『貧乏が嫌いなら、客と付き合えばいいだろ?俺なんかと別れたら?ってか。お前…………変わったよ』

    2007-04-19 02:13:00
  • 27:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ユウキの腕からは、ポタポタと血が落ちている。その真っ赤に染まった手でヴィトンの鞄を掴み上げるとアツコに投げ付けた。
    そのまま車の鍵を持ち、外に飛び出した。扉は勢いよく閉まり、マンションの廊下に《ドンッ》という音が響きわたった。

    2007-04-19 02:20:00
  • 28:

    海◆Ndg8H6UwpQ


    『これが幸せなんでしょ!ずっと〈お金〉が欲しかったやん!!!!贅沢したかったんやから。これでいいんでしょ!?』

    割れ、赤く染まった鏡に向かってアツコは叫んだ。
    鏡の中のアツコはニッコリと微笑んで小さく頷いた。

    2007-04-19 02:35:00
  • 29:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ――――
    ――――

    ユウキ、私は心の腐った最低な女ですか??ユウキ、出会えて良かったですか?
    水商売を始めたのは間違いやったかな……。

    2007-04-19 03:00:00
  • 30:

    名無しさん

    お母さんはお金がなくても主と一緒に過ごせただけで幸せだったんじゃない?!まだ完結もしてない今の段階で少し涙が出ました?
    心の貧乏はあかんよ。

    2007-04-19 03:32:00
  • 31:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    そうですね…。確かにその通りです。この話は私自身の話を元にしていますが、フィクションです。お付き合い下さい☆☆☆

    ・・・・・・・・・・・・・・・
    ・・・・・・・・・・・・・・・

    2007-05-08 02:52:00
  • 32:

    海◆Ndg8H6UwpQ



    【2】 2003

    2007-05-08 03:11:00
  • 33:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ――密集した歓楽街。

    汚染され星も見えなくなった暗やみにネオンが輝き、淋しい人間が集まる街。そんな街で、1人でも多くの客を手にしたいと考えるホステスは何人いるだろう。アツコもその中の1人だ。

    2007-05-08 03:15:00
  • 34:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    淋しかったのか?
    それすらも解らなくなった無感情の世界で、まるで光に集まる虫のようにこの街に引き寄せられた。看板はキラキラと輝き、装飾された女が練り歩く。その中でも1番輝いて見えた店。

    1階に大きく構える、有名店。クラブ《cuffs》全く無知のアツコは飛び込みで面接を受け、《優妃(ユウヒ)》という名前をつけられ働く事となった。

    2007-05-08 03:25:00
  • 35:

    名無しさん

    読んでます?頑張って?

    2007-05-14 03:36:00
  • 36:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ありがとうございます!更新遅くて申し訳ないです。頑張ります!

    ・・・・・・・・・・・・・・・

    2007-05-18 03:59:00
  • 37:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    名前は野上。
    野上はアツコの足に手を添え、顔を近づける。口からは酒の悪臭を放つ、肩書きなど無ければただの中年だが野上はお金を持っている。アツコにアフターを断る理由など無かった。

    2007-05-18 04:01:00
  • 38:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    まだ人通りの多い時間帯。野上と手を繋いで歩く。
    歳の差は40近くある2人が手を繋いで歩いている姿がガラスに反射した。その光景に少し笑え、アツコは下を向いて肩を震わす。

    どう見てもホステスと客。この街に溶け込んでいるようで少し照れ臭くもあった。

    2007-05-18 04:03:00
  • 39:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『おいしい店がある』

    そう言われついていくと、小さな飲み屋についた。適当に注文してもらい、適当に会話する。そろそろ帰ろうと立ち上がると、野上は3万をアツコに手渡す。

    『タクシー代。気を付けてな。また今週中には店に行くよ』

    2007-05-18 04:06:00
  • 40:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    アツコは戸惑いながらも、タクシーに向かって深く頭を下げる。

    手に握られた綺麗なお札が力を入れた為に、折れ曲がった。

    2007-05-18 04:13:00
  • 41:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ――――

    その頃、ユウキも人通りが減る事のない街で友人のマサノブと道端で煙草をふかしていた。

    『あ。あの子、パンツ見えそう』

    2007-05-18 04:16:00
  • 42:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    マサノブの呟きにユウキも思わず視線を向ける。

    『黒か……ヤル気入ってるなぁ。いいやん。俺は右の子がいいなぁー。』

    『はいよぉ』

    2007-05-18 04:20:00
  • 43:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    まだ吸ったばかりの煙草を地面に擦り付け、ミニスカートの二人組に小走りで近づく。

    『どこ行くん?クラブ好きぃ?ゴチるし、ちょっとでいいし付いて来てやぁ』

    『えー。どうしよ…まぁ。少しならいいけどなぁ』

    2007-05-18 04:24:00
  • 44:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    マサノブもユウキも、顔が整っている為、ナンパは比較的成功する。

    しかし、誰かれ構わず声をかける訳ではない。ナンパに付いてくる女はだいたい見た目で解った。
    ―派手だがブランド物のカバンじゃない。―垢抜けしておらず少しダサい。―姿勢と歩き方が良くない。
    この3つが当てはまる女は100%の確立でナンパしてもついてくる。

    2007-05-18 04:30:00
  • 45:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『テキーラ4つ』

    声をかけた場所から1番近くにあったトランスの流れるクラブに着き、まずは飲み物を注文する。
    ―グイッと一口で喉に流し込むと、熱いものが食道から胃へとゆっくり進む。
    瞬間に酒の匂いが鼻にまわり、鈍い感覚が脳へ伝わっていく。

    2007-05-18 04:34:00
  • 46:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ユウキは好みの顔だった《マイ》と名乗る女の腕を掴みホールへと向かう。テキーラだけで少し酔ったのかテンションが上がり、くっついて体を揺らしている。

    爆音で耳が遠くなる。ただ現実から逃げるように、何も考えずに音に身を任せる。重低音が体に響きそれがまた心地いい。それから3時間程、女に酒を飲ませ、踊り続けた。

    2007-05-24 03:39:00
  • 47:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『疲れたし、出ようか』
    『うん!!』

    始発まで時間がある。それがユウキの狙いだった。
    何も言わずマイと手を繋ぎホテルに向かう。マイは少し躊躇しながらもユウキについて歩く。

    2007-05-24 03:41:00
  • 48:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ――女はヤル道具にしか見ていなかった。
    それ以外に何の価値があるのかも解らない。ホテルにすぐ付いてきて、簡単に股を開く。本当に馬鹿だと思っている。

    軽い女は誰誰を喰った。だとか言うが、正直。女はどうあがいても受け身でしかない。気付かずに自慢気にしている女こそ、ユウキにとってただの都合のいい女であるだけ。それ以上の価値はない。

    2007-05-24 03:44:00
  • 49:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『可愛いなお前』

    服を脱がし、濃厚なキスをする。手は少しづつ下へと這って行く。
    確かに自分の腕の中で女が喘ぐ姿は可愛らしいと感じる。しかし、それもユウキが絶頂を迎えると同時に消えて無くなる。

    2007-05-24 03:52:00
  • 50:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    性行為に感情なんて必要ない。ただ本能が腰を動かし何かを急かす。


    2007-05-24 04:01:00
  • 51:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『もうイクかも…』
    『うん。マイもイク』


    ――俺には愛なんか必要ない。邪魔な感情は少しづつ捨ててしまえばいい。今が楽しければそれでいい。未来なんて、もう……来なければいい。

    2007-05-24 04:15:00
  • 52:

    名無しさん

    頑張って??

    2007-05-29 05:38:00
  • 53:

    名無しさん

    .

    2007-05-29 16:21:00
  • 54:

    名無しさん

    .

    2007-05-30 14:41:00
  • 55:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    はい!頑張ります!今日はまとめて更新します。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    2007-06-07 01:01:00
  • 56:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    夜のどす黒い闇は、ただ繰り返されるアツコの日常を少しづつ飲み込んでいた。背筋を伸ばし、ヒールで街を歩く姿は街の景色のように溶け込んでいた。

    『優妃!もう出勤?』

    『今日は休みやでー』

    2007-06-07 01:05:00
  • 57:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『そう。俺はスカウト頑張るゎ!またなぁ!!』

    そして意外だった事。広く感じていたこの街の世間とゆうモノは狭かった。毎日出勤していると見る顔も同じ。人気がないのか毎日キャッチに励むホストも案内所のお兄さんも、そんなに変わらない。ただアツコは気付かない内に夜の世界の住人になっていた。

    2007-06-07 01:08:00
  • 58:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    それは心地いいような、怖いような不思議な感覚がしていた。

    2007-06-07 01:13:00
  • 59:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『アツコ!?』

    久しぶりに呼ばれた本名にすぐ反応出来ず、少し時間がかかって振り返る。

    『やっぱりアツコやん』

    2007-06-07 01:24:00
  • 60:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『マサノブー?』

    紙パックのジュースを片手に持った旧友のマサノブ。昔から変わらず派手な頭に笑うとエクボが出来る。
    16才くらいに知り合い、ほぼ毎日を一緒に過ごしていたのに仕事に追われる毎日で、連絡すらしていなかった事に気付く。

    2007-06-07 01:27:00
  • 61:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『何お前!キャバ嬢?』

    『キャバクラではないけど、そんなもんかな。今日は休みやけど』

    『ふーん。久しぶりに飲み行くか?暇?』

    2007-06-07 01:30:00
  • 62:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    アツコは美容室の予約をしていた為、居酒屋で会う約束をしその場を離れた。

    予想外に時間がかかり、美容室を出た時には周りは真っ暗になっていた。約束をしていたチェーン店の居酒屋に急いで向かう。

    『アツコ!こっち!』

    2007-06-07 01:38:00
  • 63:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    席につくと、見覚えのないマサノブに雰囲気の似ている男が座っていた。

    『会った事ない?ユウキやで!俺の相棒やから』

    『アツコちゃん話は聞いてたでぇ!!』

    2007-06-07 01:43:00
  • 64:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ユウキの第一印象は、遊んでそう。マサノブと似ている。アツコも話しやすく会話は弾み、お酒もペースも早まる。

    『俺さ。アツコの事、好きやったのになぁ』

    酔いのまわったマサノブが昔の話をはじめた。

    2007-06-07 01:47:00
  • 65:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『そうそう。アツコちゃんにちょっかい出してキレられた。って落ち込んでたんやでコイツ』

    アツコは初めて聞いた話に驚いた。アツコも昔、マサノブが好きだった。
    女好きのマサノブに気持ちを伝えられず、ある日酔ったマサノブに体を求められ答えてしまった。それ以上好きになるのが怖くなり、アツコはマサノブと距離を置くようになった。
    それからお互いに恋人が出来るまで会わなかった時期があったのを思い出す。

    2007-06-07 01:56:00
  • 66:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    『はは。アタシもだよ!そんな事もあったよね』

    いつの間にか恋愛感情なんて忘れてしまう程、消えてしまう。 辛かった思い出も時間の為か笑い話なり、3人の会話は予想以上に盛り上がった。

    2007-06-07 02:01:00
  • 67:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    あっという間に時間は過ぎて、アツコはタクシーを拾いに大通りに歩く。

    『もう大丈夫なん?』

    マサノブがアツコの顔を覗き込む。アツコは何も言わずに頭を縦に3回振る。 タクシーにそのまま乗ると手を振り家路についた。

    2007-06-07 02:08:00
  • 68:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    アツコの1人で暮らす狭い1ルームの部屋は、まるで鉢植えに入れられた花のように、アツコを束縛して、逃げ出さないように圧迫する。 でも、それで良かった。アツコにとって居場所であり、誰にも邪魔されない確実な場所。

    そのまま布団に潜り込むとすぐに眠りについた。

    2007-06-07 02:16:00
  • 69:

    海◆Ndg8H6UwpQ




    ―――――狭いベランダに綺麗に並べられた鉢植え。お気に入りだった赤いぞうのジョウロ。

    2007-06-07 03:25:00
  • 70:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    光が反射し、水がキラキラと輝きながら土の上に落ちていく。


    ――洗濯物の匂い。それはお母さんの匂い。手を頭の上に延ばしながら鼻歌を歌う。顔は見えないがきっと笑っているに違いない。

    2007-06-07 03:28:00
  • 71:

    海◆Ndg8H6UwpQ



    『ねぇアツコ。お花はね。毎日たくさんの太陽を浴びて、毎日大切にお水をあげると綺麗な花を咲かせてくれるのよ』

    洗濯物を干す姿をずっと見つめるアツコに毎日同じ事を言う。

    2007-06-07 03:34:00
  • 72:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ―アツコはこれから大切な人に、たくさんの太陽とお水をあげるのよ。
    ―じゃあ、アツコはお母さんにたっくさんあげる!

    ―ありがとう。ねぇ、アツコ。約束だからね。

    2007-06-07 03:43:00
  • 73:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    キラキラ輝く水の雫。
    眩しすぎる光が母親を包んで洗濯物の匂いが鼻をくすぐっている。

    それが綺麗だと見とれるうちに太陽が傾きだす。

    2007-06-07 03:47:00
  • 74:

    海◆Ndg8H6UwpQ

    ――――起きないと。

    太陽が赤く染まる前に、花に水を…………。

    2007-06-07 03:49:00
  • 75:

    名無しさん

    2007-09-28 15:04:00
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