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忘れられた日々
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1:
ナナコ
PM10:30−
その日は土曜日と言う事もあって、街は賑わい人で溢れていた。
私も週末を楽しむ一人だった。職場の友達とショッピングや食事を済ませ、程よくお酒が身体に入っていた。二軒目を目指し道を進む中、私はある人物に再会した−…2006-05-31 21:45:00 -
2:
ナナコ
再会と言っても相手が気付く事はなく、私の横を擦れ違って行った。
『…カ…オル…』私の口から自然と出た言葉は誰に届く事なく消えた。
『ナナコ〜!はよ行こっ♪』少し前を歩いていた友達が立ち止まる私に言った。『…ウン。』私は我に帰りその場を離れた。
それは二日前の出来事だった−−−2006-05-31 21:54:00 -
3:
ナナコ
ナガセ カオル−…
大切だった。最も愛していた人。消えない存在。辛い過去−−
2006-05-31 22:08:00 -
4:
ナナコ
AM7:00 ピピッピピッ−
アラームで目が覚めた。まだ、ぼぉっとする中カーテンを開け朝日を浴びる。気分とは裏腹で今日もいい天気だ。
月曜日−
無情にも時間は過ぎ、暗い気持ちのまま出勤する事になった。2006-05-31 22:18:00 -
5:
ナナコ
『ナナコおはよ♪』
ロッカールームへ入るとサチが声を掛けて来た。
『おはよ。』サチとは職場で知り合った1番の友達。週末は殆ど彼女と過ごす…二日前もそうだった。『元気ないなぁ?なんかあったん?』サチが見透かした様に聞いて来た。『…別に何もないで?』2006-05-31 22:30:00 -
6:
ナナコ
笑ってみせたがサチは納得いかない様子だった。
『この前も急に帰るし、おかしいって!』二日前、私はカオルを見掛けた後サチに断って二軒目に行く前に帰たのだった。
『体力低下してんねん↓歳やしなっ☆』と言ってごまかし、そそくさとロッカールームを後にした。2006-05-31 22:37:00 -
7:
ナナコ
ディスクに向かい資料を広げると仕事に取り掛かった。だが、身が入る訳も無かった。
意志に関係なく過去の思い出が頭を支配する。
いつの間にか私は、8年の時を遡っていた−…2006-05-31 22:44:00 -
8:
ナナコ
AM7:40
『行ってきま〜す!』制服に身を包み元気よく私は家を飛び出した。季節は春−…
心地良い風とキラキラ光る太陽に照らされて、私の心は一層弾んでいた。2006-05-31 22:55:00 -
9:
ナナコ
ドアの前で軽く深呼吸をして教室へ入った。もう登校している生徒がチラホラといる。私は黒板に書かれてある番号を頼りに自分の席へと向かった。
《知ってる人おらんなぁ…。》
少し残念に思いながら席へ着くと頬杖を付き、時が流れるのを待った。2006-05-31 23:06:00 -
10:
ナナコ
AM8:20
もう殆どの生徒が登校し席へ付いていた。後5分もすればチャイムがなる。《早く来過ぎたなぁ。》
かれこれ20分は席にいた私…さすがに後悔した。黒板の上に飾られた時計をジッと見つめる。チャイムまで後1分を切った時だった。
ガラッ−
騒がしい声と共に教室へ男の子が滑り込んで来た。それが【ナガセ カオル】だった。2006-05-31 23:15:00 -
11:
ナナコ
『間に合った?!…なっ?なっ?』
教室へ入って来るなり息を切らし大声でそう叫んでいた。『ブッ…!!アハハハハッ☆』クラス中そんな彼を見て吹き出し、笑いで包まれた。彼は少し頬を赤く染めると『俺はナガセ カオルだぁー!』と黒板前で両手を広げまた叫んだ。
《ナガセ カオル…スゴッ!!》
それが第一印象だった。2006-05-31 23:29:00 -
12:
ナナコ
初日にしてカオルがクラスの人気者になった事は言うまでもない。
そんなカオルを私は羨ましく思い憧れた。私は人見知りが激しく友達を作るのは苦手だった。性格自体は明るい方だと思うが、声を掛けるという行為が出来ないのだ。
カオルは持ち前の明るさと独特な雰囲気にクラスだけに留まらず学年中での人気は急上昇した。2006-05-31 23:37:00 -
13:
ナナコ
カオルとの出会いから半年が過ぎ様としていた。最近女子の間ではカオルの話しで持ち切りだ。入学当初に比べ背が伸び垢抜けて来たカオルに恋心を抱く女子が数え切れない程いたのだ。当の本人は知ってか知らずか相変わらずで、それが余計に女子を悩ませた。
2006-05-31 23:47:00 -
14:
ナナコ
私はというと、友達もでき親友と呼べる子もいた。平凡に学校生活を送っていた私だが、カオルだけは苦手だった。苦手と言うよりも近寄り難い…。私からみたカオルは芸能人と変わりなかったのだ。憧れを抱き遠くから見ているだけだったが不満はなかった。そんな私とカオルはこれといって言葉を交わした事もなかった。
2006-05-31 23:53:00 -
15:
ナナコ
PM4:30
イチョウの葉が散り、もうそこまで冬が来ていた。
『寒っ…』その日私は居残りがあった為、親友のアズサに先に帰って貰い一人帰路についた。校門をくぐろうとした時、人影に気付き目を向けた。
『まだスキやけど…別れよ。』『……。』2006-06-01 00:02:00 -
16:
ナナコ
そう言った違う制服を来た女の人は涙を流していた。まるでテレビドラマでも見ている気分だった。私の日常からは掛け離れたセリフだった。
私はドキドキしながら無言な男の人を見た。
《…?!ナギサ カオル!》驚きで頭が真っ白だった。今まで彼女がいるなんて噂を聞いた事がなかったからだ。いても不思議はなかったけど、何故だか胸がチクチク痛んだ。2006-06-01 00:09:00 -
17:
ナナコ
ぼぉっとその光景を見ている私に女の人は気付いたのか、バチッと目が合ってしまった。私は咄嗟に目を反らし鼓動を落ち尽かせ様とした。
『……マナベ ナナコ。』
ボソッとカオルが言った。恐る恐る見上げると、カオルが歩み寄っ来た。『盗み聞き?』『えっ?!…違っ…ゴメンナサイ。』初めての会話がコレって最悪だ。2006-06-01 00:17:00 -
18:
ナナコ
『ハァ…』カオルは溜息をつくと何も言わず駅へと向かった。『…あ!誰にも言わへんから!』何か言わなきゃと思ってやっと出た言葉だった。カオルは顔だけで振り返って『頼むわ…。』と言った。
2006-06-01 00:21:00 -
19:
ナナコ
翌日−
《ぁ〜。学校行きたない…》
カオルと会いたくないと言う方が正しい。気まずい気持ちの中、気付けばもう学校だ。重い足どりで下駄箱へ向かう。『マナベさん、おはよ。』『…?!』カオルが腕を組み立っていた。『おはよ…』気まずい雰囲気の中、上履きに履き考えると急ぎ足で歩いた。2006-06-01 00:27:00 -
20:
ナナコ
『一緒に行こうや。』カオルが後ろを付いて来た。《見張られてる?》と思いながら『ウン。』とだけ言って並んで歩く。
別に何を喋る訳でもなく、ひたすら沈黙が続いた。『…別に一緒におらんでも言ったりせんから、大丈夫やで?』私は教室が見えて来るとそう言った。
カオルは私の言葉は無視し、『じゃぁ、また帰りな!』と言って先に教室へ入って行った。2006-06-01 00:34:00 -
21:
ナナコ
《帰り?…って帰りも一緒なん?!》
《なんで…なんで私が…?》グルグルと頭の中で言葉が回る。
教室へ入り席へ付くアズサが寄って来た。『おはよ♪』『……』『ナナコ?』『…ウン。』アズサの声は右から左に抜ける。『ナナコ!!』アズサに肩を捕まれグイグイと揺すられ我に帰った。2006-06-01 00:42:00 -
22:
ナナコ
『アズサおはよ。』『どぉしたん?』アズサがそう聞いた瞬間チャイムがなった。アズサは『また後でな!』と言い席へ戻って行った。
キーンコーンカーンコーン…−
昼休み
私はアズサといつも昼食をとる広場へと向かった。2006-06-01 00:47:00 -
23:
ナナコ
広場へ着くなりアズサは気になってたであろう事を聞いて来た。『今日ズットおかしいで?どうしたん?』アズサはいつもと違って真剣な面持ちだった。
そんなアズサを見て喋ってしまいそうな自分がいる。それを必死で押さえ『なんでもないって☆』と笑ってごまかした。2006-06-01 01:06:00 -
24:
ナナコ
今まで気付かなかった気持ちだった。アズサの言葉で反応した気持ちに私は嫌でも気付かずにいられなかった。
《スキなん…?ナガセ カオルが好き…?スキ…》2006-06-01 01:17:00