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1:
結愛
これは、私の現在に至るまでの実話です。
どこにでも溢れている、だけどかけがえのない、たった一つの自分だけのストーリー。2006-05-30 14:07:00 -
6:
結愛
母は女として生きる事を選んだ。
しかし母の言う事も一利ある。若干17歳の私が、二人も育てて行ける自信なんてどこにもなかった。
もしかしたら施設に入れた方が生活も安定していて、幸せかもしれない。でも施設に入る事を誰よりも嫌がったのは妹達だった。やるだけやろう、そう決心した。2006-05-30 14:45:00 -
7:
結愛
家は祖母の持ち家で、家賃はいらない。私は妹達に手伝ってもらい自分の荷物を全て運びだした。
あとは仕事を探すだけ。
三人が生活出来るぐらいのお金を稼げる方法…
ふと、“風俗”の文字が頭に浮かんだ。2006-05-30 14:49:00 -
8:
結愛
でも、母に“やっぱり”と思われるのが嫌だった。
私だって体を売るのは出来れば避けたい。
“風俗は最終手段にしよ”そう思いながら就職情報誌を見ても、まだ幼い私が稼げる仕事なんてなかった。2006-05-30 14:52:00 -
9:
結愛
「なーにしてんのっ?」
誰かにポンっと肩を叩かれた。びくっとして振り返ると、そこには金髪のスーツを着た一人の男。にんまりと笑った口からは、八重歯がにょきっと顔をだしていた。
“この人水商売の人や…”夜の世界の事など、微塵も知らない私でもその男のオーラが昼の人間とは大きく違う事は感じ取れた。2006-05-30 15:04:00 -
10:
結愛
『しっ…仕事探してて!』「はははっ!!何でそんな緊張してんの?自分水商売した事ないやろ?ってかミテコ?」
『ミテコって?』
「あっそっか…普通の子はミテコ何て言葉知らんもんな。自分純粋そうやし、こんなとこ自分がおるとこちゃうで。駅まで送ったるからはよ帰り。なっ?」2006-05-30 15:09:00 -
11:
結愛
『…仕事探すまでは帰らん。』
「何か訳ありっぽいな。良かったら話聞くで。そこの喫茶店入ろか。おごるし」以前の私だったら、こんな怪しい男に絶対ついて行かない。でも笑顔が優しくて、喫茶店だったら大丈夫だろうと、話を聞いてもらう事にした。今考えてみると、その男は少し父に似ていた気がする…――………。2006-05-30 15:15:00 -
12:
結愛
「あっ俺、アイスコーヒーね。お嬢様は?」
『お嬢様って…オレンジジュース。』
「ははっ!オレンジジュースってやっぱまだ子供やなぁ。」『好きやねんもん。』
「可愛くていいと思うで」そんな事をさらりと言ってのけるあたりが、大人だなぁと感じた。2006-05-30 15:20:00 -
13:
結愛
「んで…さっそくで悪いけど。何で仕事探してんの?」マルボロの煙を吐き出しながら、男が尋ねた。
『実は…』
私は全てを正直に話した。さっき出逢ったばかりの人には重すぎる、そんな話をするあの頃の私には…背負っているものが自分が思うよりも大きすぎて、誰かに聞いてもらわないと潰れてしまいそうだったのかもしれない。2006-05-30 15:26:00 -
14:
結愛
「ふぅん…なる程ね。まぁ夜の世界にはそんな事情を抱えた子らはいっぱいおるわ。遊び半分でやってる奴も多いけどな。でも…給料がいいのは何でかわかるか?」
『…大変やから?』
「そう、正解。」
『でも…そんな大変そうに見えへん…』2006-05-30 15:32:00 -
15:
結愛
「そんな考えなんやったら辞めとき。汚いもんは大人になれば自然と見なあかん。若い内から汚いもんを見る必要はないねん。残念やけど、施設に預けてお嬢ちゃんはお母さんとこ戻り」『…嫌やっ!!何が大変なん!?教えてやっ!!』
この頃の私は無知で、純粋で…水商売を少し馬鹿にしていたように思う。2006-05-30 15:37:00